説明

シート搬送装置及び画像形成装置

【課題】無端ベルトのシート搬送面のクリーニング性能を落とすことなく、安定した無端ベルトによるシートの搬送が可能なシート搬送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送ベルト181のシート搬送方向と直交する幅方向に沿って設けられ、搬送ベルト181と圧接して搬送ベルト181のシート搬送面を清掃するクリーニングブラシ200bを、搬送ベルト181に圧接する際、クリーニングブラシ200bにより搬送ベルト181の幅方向の両端側に加えられる圧力の方が、搬送ベルト181の幅方向の中央側に加えられる圧力よりも高くなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関し、特にシートを無端ベルトに吸着して搬送するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等の画像形成装置において、電子写真方式によりシートに画像を形成するようにしたものがある。このような画像形成装置では、シートに画像を形成する場合、まず画像情報に応じて感光体ドラムを露光して感光体ドラム上に静電気的な潜像を形成する。次に、この静電気的な潜像を現像器においてトナーによって現像することにより、トナー像として顕像化させ、このトナー像を転写部において給紙部から供給されたシートに転写する。そして、この後、シートを定着部に設けられた定着ローラと加圧ローラとの定着ニップに搬送して加熱及び加圧することにより、トナー像を永久画像としてシートに定着させる。
【0003】
ここで、トナー像が転写されたシートを定着部に搬送するシート搬送装置として、例えばベルト駆動ローラと、従動回転する少なくとも1本以上のベルト支持ローラとに掛け渡された無端ベルトを備えたものがある。そして、シートを搬送する場合は、エアにより無端ベルト表面にシートを吸着した後、無端ベルトを移動させることにより、シートを定着部に搬送する。
【0004】
一方、従来の画像形成装置においては、薄紙から厚紙、コート紙など、あらゆる種類のシートを、高い生産性を保ったまま出力可能とすること、更には、長期間使用しても品質の変わらない高い耐久性が求められている。
【0005】
ところで、シートを搬送する際、シートが搬送、分離手段としてのローラやガイドなどの摩擦部材に接触することにより、紙粉が発生する場合があり、この紙粉がガイド部材等に付着すると、紙粉が後続シートに付着する。そして、このように紙粉が後続シートに付着すると、トナー像が転写されたシートを定着部に搬送する際、紙紛がシートから剥がれて飛散する場合がある。また、感光体ドラム上に形成されたトナー像の一部がシートへ転写されずに飛散する場合もある。
【0006】
ここで、このように飛散した紙粉やトナー像の一部が、無端ベルト表面に付着すると、付着した紙粉等がシートの画像形成面及び非画像形成面に付着し、シートの汚れとなってしまう。そこで、従来は、無端ベルトの表面にクリーニング部材を押し付けることにより、無端ベルトに付着した紙粉や残トナーを取り除くようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−131375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような従来のシート搬送装置及びこれを備えた画像形成装置において、ベルト駆動ローラやベルト支持ローラが、無端ベルトの張力に負けて撓んでしまう場合がある。また、このベルト駆動ローラやベルト支持ローラの撓み量は、ベルト周長が加工上バラつくことによる張力のバラツキや、使用時間によるベルト張力の変動により、異なるようになる。そして、このようにローラの撓み量が異なるようになると、無端ベルトのベルト搬送方向と直交する幅方向の位置が変動する。
【0009】
ここで、無端ベルトが幅方向に寄ってしまうと、搬送されてきたシートの端部がベルト支持ローラに直接当たるようになり、この場合、シート端部の角折れ等、シートの搬送不良を引き起こすことになる。更に、クリーニング部材をベルトに押し付ける場合は、撓みによって無端ベルトに対するクリーニング部材の進入量も異なるようになり、これによって無端ベルトの幅方向の位置が変動する。
【0010】
なお、無端ベルトの幅方向の位置を安定させるために、ベルト駆動ローラ又はベルト支持ローラに位置規制用のリブを設け、このリブに無端ベルトの端部を当てることにより、無端ベルトが幅方向に寄るのを防ぐようにしたものがある。しかし、このようなリブを用いた場合には、使用時間が長くなるに連れて無端ベルトの端部がリブによって削れ、削れ粉が、搬送されてきたシートを汚し、画像不良を引き起こす。
【0011】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、無端ベルトのシート搬送面のクリーニング性能を落とすことなく、安定した無端ベルトによるシートの搬送が可能なシート搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、無端ベルトにシートを吸着させながら搬送するシート搬送装置において、前記無端ベルトのシート搬送方向と直交する幅方向に沿って設けられ、前記無端ベルトと圧接して前記無端ベルトのシート搬送面を清掃するブラシを備え、前記ブラシが前記無端ベルトに圧接する際、前記ブラシにより前記無端ベルトの幅方向の両端側に加えられる圧力の方が、前記無端ベルトの幅方向の中央側に加えられる圧力よりも高くなるように前記ブラシを構成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のように、ブラシにより無端ベルトの両端側に加えられる圧力の方が中央側にかけられる圧力よりも高くなるようにすることにより、無端ベルトのシート搬送面のクリーニング性能を落とすことなく、安定したシート搬送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例である高速モノクロプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記シート搬送装置の構成を説明する断面図。
【図3】上記シート搬送装置の平面図。
【図4】上記シート搬送装置に設けられたクリーニングブラシユニットの詳細図。
【図5】上記シート搬送装置に設けられた駆動ローラの正クラウン形状部に張架されたベルトにかかる力関係図。
【図6】(a)は、通常のクリーニングブラシにおける上記駆動ローラが撓んだ状態の正クラウン形状部に張架されたベルトに対するクリーニングブラシによるグリップ力関係図、(b)はグリップ力分布図。
【図7】(a)は、本実施の形態に係るクリーニングブラシにおける上記駆動ローラが撓んだ状態の正クラウン形状部に張架されたベルトに対するクリーニングブラシによるグリップ力関係図、(b)はグリップ力分布図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例である高速モノクロプリンタの概略構成を示す図である。図1において、100は高速モノクロプリンタ、101は高速モノクロプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。
【0016】
プリンタ本体101には、シート上に画像を形成する画像形成部102、画像形成部102にシートを給送する給紙部103が設けられている。さらに、プリンタ本体101の一側にはプリンタ本体101から排出される画像形成済みのシートに対して綴じ処理、シフト処理、折り畳み処理、穿孔処理等の処理を行うシート処理装置104が備えられている。
【0017】
画像形成部102には、感光体ドラム1、感光体ドラム1に潜像を形成するためのレーザスキャナーユニット15、コロナ帯電器2、トナーを収納し潜像を現像するための現像装置3、一次転写ローラ6、トナー回収装置5等が設けられている。なお、感光体ドラム1は、帯電極性が負極性の感光層を表面に形成した金属円筒で構成され、矢印R1方向に回転する。
【0018】
また、画像形成部102には、感光体ドラム1に形成されたトナー像が一次転写される中間転写ベルト4と、中間転写ベルト4のトナー像をシートに二次転写するための転写ローラ7とが設けられている。給紙部103は、シートSを収容するシート収納部9及びシート収納部9に収納されたシートを給送する給送部材9aを備えている。
【0019】
次に、このような構成の高速モノクロプリンタ100の動作について説明する。まず、レーザスキャナーユニット15から、シートに形成する画像に応じたレーザ光をコロナ帯電器2により予め帯電された感光体ドラム1に照射する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像が形成される。次に、静電潜像を現像装置3により現像することにより、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。そして、感光体ドラム1に形成されたトナー像は一次転写部T1において、一次転写ローラ6により中間転写ベルト4に一次転写される。
【0020】
一方、不図示の制御装置から給紙信号が給紙部103に出力されると、給送部材9aによりシート収納部11からシートSが給送される。この後、給送されたシートSはレジストローラ16に搬送された後、レジストローラ16により、中間転写ベルト上のトナー像にタイミングを合わせて、中間転写ベルト4と転写ローラ7とにより構成される二次転写部T2に搬送される。
【0021】
次に、このように二次転写部T2に送られたシート上に、中間転写ベルト4上に一次転写されていたトナー像が転写される。この後、シートは無端ベルトによりシートを吸着して搬送するシート搬送装置18によって二次転写部T2から定着手段である定着装置17へ受け渡される。そして、シートSは、定着装置17内の加圧ローラ19、定着ローラ20からなる定着ニップ部F1で加熱加圧を受けて表面にトナー像が定着された後、排出ローラ105によりプリンタ本体101から排出され、シート処理装置104に受け渡される。
【0022】
図2は、シート搬送装置18の構成を説明する断面図、図3は、その平面図である。図2及び図3に示すように、シート搬送装置18は、無数の孔を有する4本の無端状の搬送ベルト181〜184と、搬送ベルト181〜184が張架される駆動ローラ18a、従動ローラ18b,18d、揺動ローラ18cを備えている。なお、この4本のローラ18a〜18dは、前側板131及び後側板132により回転自在に支持されている。また、搬送ベルト181〜184は弾性体であり、その弾性力によって4本のローラ18a〜18dに圧接することにより、駆動ローラ18aの駆動伝達が確実に行われ、4本のローラ18a〜18dの周りを回転する。
【0023】
なお、108は、搬送ベルト内側に設置された搬送フレームであり、この搬送フレーム108により前側板131及び後側板132が支持される。また、この搬送フレーム108の内部には吸引ファン115が設置されており、シートSが通紙される際、シートSは搬送ベルト181〜184が有する孔を介して図中矢印B方向へ吸引されるエアにより搬送ベルト181〜184に吸着される。また、このとき不図示の駆動モータからの駆動が伝達ベルト124を介して駆動ローラ18aに伝達されることにより駆動ローラ18aが回転し、これにより搬送ベルト181〜184が図中矢印A方向へ移動する。そして、このようなエアによる吸着及び搬送ベルト181〜184の移動により、シートSは定着装置17に吸引搬送される。
【0024】
また、図2において、200は、搬送ベルト181〜184のシート搬送方向と直交する幅方向に沿って設けられ、搬送ベルト181〜184のシート搬送面を清掃するクリーニングブラシユニットである。このクリーニングブラシユニット200は、図4に示すように、クリーニングブラシステイ200aと、搬送ベルト181〜184に圧接するブラシであるクリーニングブラシ200bとで構成されている。
【0025】
このクリーニングブラシユニット200は、回動軸201aを介してクリーニング枠体203に上下方向に回動自在に支持されているブラシ加圧ステイ201に、メンテナンスを行うため着脱可能に配置されている。なお、クリーニング枠体203は、固定部203aを介して搬送フレーム108に固定されている。また、ブラシ加圧ステイ201は、クリーニング枠体203との間に設けられた加圧バネ202により上方に付勢されている。これにより、クリーニングブラシユニット200のクリーニングブラシ200bは搬送ベルト181〜184に所定の圧で押し付けられる。そして、この状態で駆動ローラ18aが回転して搬送ベルト181〜184が図2に示す矢印C方向に移動すると、搬送ベルト181〜184に押付けられたクリーニングブラシ200bの先端部は、矢印D方向へ倒れることになる。
【0026】
なお、図2において、101はシート搬送装置18のシート搬送方向上流に設けられ、2次転写部T2を抜けたシートSのシート搬送挙動を安定させるための2次転写出口ガイドである。また、102はシート搬送装置18のシート搬送方向下流に設けられ、矢印E方向に回転する定着ローラ20と加圧ローラ19の定着ニップ部F1に突入するシートSの挙動を安定させるための定着入口ガイドである。
【0027】
ところで、本実施の形態において、4本のローラ18a〜18dは、図5に示すように幅方向の中央部が大径で、幅方向両端部に向かうほど小径となる形状、つまり両端部よりも中央部が膨らんだクラウン形状となっている。つまり、搬送ベルト181〜184が掛け渡される4本のローラ18a〜18dの搬送ベルト181〜184が張架される領域は正クラウン形状となっている。
【0028】
ここで、図5に示すように、搬送ベルト181が正クラウン形状の中心位置から左側へずれている場合、搬送ベルト181の左端部領域が内側へ移動する力をFl、搬送ベルト181の右端部領域が内側へ移動する力をFrとした時に、Fl>Frとなる。なお、搬送ベルト181がクラウン形状から外れているほど、その力は強くなる。そして、この力の差Fl−Frが、搬送ベルト181を右側(中央側)へ移動させる力になり、この力の差Fl−Frにより搬送ベルト181は右側へ移動する。この後、搬送ベルト181が右側へ移動すると、力の差Fl−Frが小さくなり、やがて0になる。
【0029】
このように力の差Fl−Frが0になると、すなわち搬送ベルト181がFl=Frとなる位置まで移動すると、搬送ベルト181は幅移動への移動を停止し、安定する。このようにローラ18a〜18dに正クラウン形状を設けることにより、搬送ベルト181〜184を、ローラ18a〜18dのクラウン形状中央部へ移動させることができる。ここで、駆動ローラ18a、従動ローラ18b、18d、揺動ローラ18cの軸線が平行である場合、搬送ベルト181〜184は4本のローラ18a〜18dの正クラウン形状の中心で安定する。
【0030】
ところで、搬送ベルト181〜184に張架されたローラ18a〜18dは、搬送ベルト181〜184の張力により、ローラ18a〜18dを支持している前側板131及び後側板132を支点として、それぞれ撓みが生じる。ここで、このようにローラ18a〜18dに撓みが生じると、搬送ベルト181〜184は、幅方向に対して搬送ベルト自身の周長が短くなる方へ移動する。また、4本のローラ18a〜18dの軸線の平行が崩れた場合においても同様に、搬送ベルト181〜184は、周長が短くなる方へ移動し、調芯される。なお、本実施の形態においては、4本(複数)のローラを用いているが、2本(複数)のローラに張架されているシート搬送装置においても同様の現象が発生し得る。
【0031】
さらに、搬送フレーム108の加工上のバラツキや、搬送フレーム108と前側板131及び後側板132の組み付け時のばらつき等で、ローラ同士の軸線の平行度が崩れると、搬送ベルトが安定する調芯位置に個体差が発生しやすくなる。また、搬送ベルトの製造工程における熱のバラツキや成形型の寸法のバラツキにより、搬送ベルトの周長や張力にはバラツキが発生し、これらの原因によっても軸の撓み量がバラツキ、調芯位置に個体差が発生しやすくなる。また、4本のローラに張架され、4本のローラの周りの回転を繰り返すことで、搬送ベルトには伸びが発生し、その周長や張力が変化してしまう。これにより、ローラの撓み量が時系列で変化し、搬送ベルトの調芯位置が安定し難くなる。
【0032】
ところで、クリーニングブラシ200bが幅方向に平行、且つ均一な自然長Xaで均一ブラシ密度のものである場合、搬送ベルト181〜184に押し付けられると、クリーニングブラシ200bは搬送ベルト側へ進入(傾斜)する。このとき、ローラ18a〜18dの軸が撓んでいる場合、クリーニングブラシ200bの搬送ベルトへの進入量(傾斜量)Xは、幅方向によって異なる。ここで、クリーニングブラシ200bの自然長をXa、クリーニングブラシ取付け面からそれぞれの搬送ベルトまでの距離をXbとすると、クリーニングブラシ200bの搬送ベルトへの進入量XはXa−Xbと定義される。
【0033】
図6の(a)は、駆動ローラ18aが撓んだ状態の正クラウン形状部に張架された搬送ベルト181に対するクリーニングブラシ200bによるグリップ力関係図、図6の(b)は正クラウン形状部におけるグリップ力分布図を示す。
【0034】
図6に示すように、駆動ローラ18aが撓んでいる時の搬送ベルト181に対するクリーニングブラシ200bの進入量Xは搬送ベルト181の端部位置により異なる。例えば、搬送ベルト181の左端部から10mmの位置での進入量をXl、搬送ベルト181の右端部から10mmの位置での進入量をXrとした時、XlとXrの値は異なる(Xl>Xr)。
【0035】
ここで、この進入量の差Xl−Xrは、搬送ベルト181に対するクリーニングブラシ200bの押し付け力の差、すなわち駆動ローラ18aと搬送ベルト181のグリップ力の差Fgl−Fgrと比例関係となる。そして、この駆動ローラ18aの左端部のグリップ力Fglと、右端部のグリップ力grの差Fgl−Fgrによって搬送ベルトはグリップ力の弱い方向、つまり搬送ベルト自身の周長が短くなる方向Cへ移動する。
【0036】
このように、駆動ローラ18aが撓んでいる状態のとき、クリーニングブラシ200bを搬送ベルト181に押し付けると、駆動ローラ18aの軸の撓みによる搬送ベルト181の方向Cへの寄りを助長することになる。特に、4本のローラ18a〜18dの周りの回転を繰り返すと、搬送ベルト内面と駆動ローラ18aとのグリップ力が減少する。
【0037】
これに伴って、既述した図5に示す搬送ベルト181の左端部領域が内側へ移動する力Fl、搬送ベルト181の右端部領域が内側へ移動する力Frは、それぞれ小さくなる。この場合には、クリーニングブラシ200bの進入量の差Xl−Xrによるグリップ力の差Fgl−Fgrが支配的になってしまい、これにより図6の矢印C方向へ搬送ベルト181は移動し、やがて調芯用の正クラウン形状からも外れてしまう。
【0038】
なお、軸の撓みを抑えるために、張力を低減させた場合には、駆動ローラ18aと搬送ベルト181とのグリップ力が弱くなり、搬送ベルト181が駆動ローラ18aの回転に追従しなくなる可能性が大きくなる。さらに、駆動ローラ18aのクリーニングブラシ200bの進入量の差Xl−Xrによるグリップ力の差Fgl−Fgrの影響が大きくなり、搬送ベルト181が図6のC方向へ移動し易くなる。
【0039】
そこで、本実施の形態においては、クリーニングブラシ200bの自然長(丈)Xaを、図7の(a)に示すように、幅方向における搬送ベルト中心位置を中心に、外側になるほど長くなるように設定する。このように設定した場合、図7の(b)に示すように、搬送ベルト181に対するクリーニングブラシ200bの押し付け力は外側になるほど強くなる。これに伴い駆動ローラ17aと搬送ベルト181のグリップ力Fgl,Fgrが外側になるほど強くなる。つまり、Fgl<Fgrとなる。
【0040】
この結果、幅方向の片側に搬送ベルト181が移動した際に、搬送ベルト181の端部位置での押し付け力の差Fgl−Fgrが発生し、これにより搬送ベルト181を正クラウン形状の中心位置へ安定させることが可能となる。この結果、安定したシート搬送が可能となる。つまり、クリーニングブラシ200bにより両端側に加えられる圧力が中央側にかけられる圧力よりも高くなるようにすることにより、搬送ベルト181のシート搬送面のクリーニング性能を落とすことなく、安定したシート搬送が可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、搬送ベルト181〜184のシート搬送面に、幅方向の中央を頂点とし、幅方向の両端がシート搬送方向上流側に位置するように傾斜したV字形状のリブ185を設けている。そして、このようなリブ185を設けることにより、搬送ベルト181〜184の端部位置でのクリーニングブラシ200bの押し付け力を、リブ185の中心方向の戻し力に変換させている。例えば、図7に示すように、搬送ベルト181が右側によった場合、右側になるほど搬送ベルト181の左端部領域が内側へ移動する力Flは弱くなり、搬送ベルトの右端部領域が内側へ移動する力をFrは強くなる。このため、搬送ベルト181は、駆動ローラ18aの正クラウン中心位置へ戻される力が働き、搬送ベルトを正クラウン形状の中心位置へ安定させる効果が大きくなる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態においては、クリーニングブラシ200bの自然長(丈)Xaを、幅方向における搬送ベルト中心位置を中心に、外側になるほど長くなるように設定している。つまり、クリーニングブラシ200bの、幅方向の中央部の丈よりも両端側の丈を長くしている。これにより、クリーニングブラシ200bにより搬送ベルト181〜184の両端側に加えられる圧力の方が中央側にかけられる圧力よりも高くなる。この結果、搬送ベルト181〜184のシート搬送面のクリーニング性能を落とすことなく、安定したシート搬送が可能となる。
【0043】
なお、これまでの説明においては、搬送ベルトにかかる圧力を、クリーニングブラシ200bの自然長の長さXを幅方向で変更したが、クリーニングブラシ200bのブラシ繊維の密度を変更することでも、同等の効果が得られる。つまり、クリーニングブラシ200bの幅方向において、ベルト両端側と接するクリーニングブラシ200bの繊維密度を、ベルト中央側と接するクリーニングブラシの繊維密度よりも大きくする。これにより、搬送ベルト181〜184にかかるクリーニングブラシ200bの圧力を、幅方向において、搬送ベルト181〜184の中央側よりも両端側を高くすることができる。
【0044】
更に、本実施の形態では、搬送ベルト181〜184のシート搬送面に設けられたリブ185をV字形状としたが、U字形状にしても良い。この場合、例えば図7に示すように搬送ベルト181が右側によった場合、搬送ベルト181の右端部領域が内側へ移動する力をFrは、V字形状リブよりも強くなる。このため、搬送ベルト181を正クラウン形状の中心位置へ安定させる効果は、V字形状リブを設けた搬送ベルト181より大きくなる。
【符号の説明】
【0045】
18…シート搬送装置、18a…駆動ローラ、18b,18d…従動ローラ、18c…揺動ローラ、100…高速モノクロプリンタ、101…高速モノクロプリンタ本体、102…画像形成部、181〜184…搬送ベルト、185…リブ、200…クリーニングブラシユニット、200b…クリーニングブラシ、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトにシートを吸着させながら搬送するシート搬送装置において、
前記無端ベルトのシート搬送方向と直交する幅方向に沿って設けられ、前記無端ベルトと圧接して前記無端ベルトのシート搬送面を清掃するブラシを備え、
前記ブラシが前記無端ベルトに圧接する際、前記ブラシにより前記無端ベルトの幅方向の両端側に加えられる圧力の方が、前記無端ベルトの幅方向の中央側に加えられる圧力よりも高くなるように前記ブラシを構成することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記ブラシにより前記無端ベルトの幅方向の両端側に加えられる圧力の方が、中央側に加えられる圧力よりも高くなるように、前記ブラシの、幅方向の中央部の丈よりも両端側の丈を長くしたことを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記ブラシにより前記無端ベルトの幅方向の両端側に加えられる圧力の方が、中央側に加えられる圧力よりも高くなるように、前記ブラシの、幅方向の中央部の密度よりも両端側の密度を大きくしたことを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記無端ベルトのシート搬送面に、幅方向の中央を頂点とし、幅方向の両端がシート搬送方向上流に位置するように傾斜した複数のリブを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記無端ベルトが掛け渡される複数のローラを備え、
前記複数のローラは、幅方向の中央部の方が幅方向両端部よりも大径となる形状を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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