説明

シート搬送装置及び画像形成装置

【課題】ジャムしたシートの視認性がよく、ジャムしたシートを容易に取り除くことができるようにする。
【解決手段】アーム29a,29bが、第1のガイド部21に設けられ、第1のガイド部21と一体に回動可能に支持され、第1のガイド部21を開閉する。また、移動機構50は、支持部25a,25bと、突き当て部材26と、レバー27とを有し、アーム29a,29bを回動させて第1のガイド部21を開放する際に、第2のガイド部22を固定ガイド部23から離間する方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送路を備えたシート搬送装置及びシート搬送装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特にシート搬送路を開放するものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シートが搬送されるシート搬送路を有するシート搬送装置を備えた画像形成装置が知られている。このシート搬送装置においては、シート搬送路でシートのジャムが発生した場合に、いかに容易にかつ確実にジャムしたシートを取り除くかが課題となっている。
【0003】
通常、シート搬送装置において、シート搬送路を構成する一対のガイド部のうち、少なくとも一方が開放するように、ガイド部に設けた支軸を支点にガイド部が回動するように構成されている。
【0004】
シート搬送路にシートがジャムした際には、ユーザに対してジャムしたシートの位置を知らせ、ユーザがジャムしたシートのあるガイド部を開放させてジャムしたシートを取り除くようになっている。
【0005】
したがって、ジャムしたシートの視認性を向上させ、ジャムしたシートを取り除くのに十分な操作空間を確保することが求められている。
【0006】
このようにジャム処理性を向上させようとした場合、回動する側の回動ガイド部の回動量を大きくする必要があるが、装置内部に設けられたシート搬送路の場合、回動ガイド部の開放空間が大きく取れない。そこで、回動ガイド部の外側の構成物と共に回動ガイド部を回動可能にしたり(特許文献1参照)、或いは回動ガイド部及び固定ガイド部を一体に装置外に引き出せるよう構成したりすることで、回動ガイド部の回動量を確保していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平8−18724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記いずれの構成でも、装置外部に回動ガイド部を開放させるための開放空間が必要であり、開放空間を確保するために、装置を設置するための占有面積が増加してしまうという問題がある。そして、上記いずれの構成でも、可動部が増加してしまい、可動部が増えることにより、構成が複雑化してしまい、また、部品点数が増加してしまうので、コストアップしてしまう。
【0009】
また、回動ガイド部の回動量を大きくすることができたとしても、回動ガイド部の回動支点近傍は、固定ガイド部との離間量が非開放時とほとんど変わらない。したがって、回動ガイド部の回動支点近傍のシート搬送路にジャムしたシートが存在した場合に、ジャムしたシートが見えず、ジャムしたシートの取り忘れやちぎれたシート片が残留してしまうおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、ジャムしたシートの視認性がよく、ジャムしたシートを取り除くのが容易なシート搬送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシート搬送装置は、装置本体に固定された固定ガイド部、前記固定ガイド部に対向して配置された第1のガイド部、及び前記固定ガイド部に対向し、且つ前記第1のガイド部とシート搬送方向に並設された第2のガイド部を有し、前記固定ガイド部と前記第1のガイド部と前記第2のガイド部とによってシートが搬送されるシート搬送路と、前記シート搬送路を開放するように前記第1のガイド部を移動させる際に、前記第2のガイド部を前記固定ガイド部から離間するように移動させる移動機構と、を備えるシート搬送装置であって、前記移動機構は、前記第1のガイド部に設けられたガイド当接部と、前記第2のガイド部に設けられ、前記ガイド当接部が当接可能な被ガイド当接部と、前記ガイド当接部が前記被ガイド当接部に当接した際に、前記第2のガイド部が前記固定ガイド部から離間する方向にスライドするように前記第2のガイド部を案内する案内部と、を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のシート搬送装置は、装置本体に固定された固定ガイド部と、前記固定ガイド部に対向して配置された第1のガイド部と、前記固定ガイド部に対向し、前記第1のガイド部とシート搬送方向に並設された第2のガイド部と、前記第1のガイド部を回動自在に支持するフレームと、前記固定ガイド部に対して接離するように前記第2のガイド部をスライド移動可能に案内する案内部と、を備え、前記第1のガイド部を前記フレームに対して回動させたとき、前記第1のガイド部の端部が、前記第2のガイド部に接して前記第2のガイド部をスライド移動するように押圧する、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部にシートを搬送する上記シート搬送装置と、を備えた、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第2のガイド部が固定ガイド部から離間する方向に移動するので、第1のガイド部の回動量を大きくとらなくても、シート搬送路にジャムしたシートの視認性を向上させることができる。そして、ジャムしたシートを取り除く際には、シートを容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るシート搬送装置を搭載する画像形成装置の一例としてのプリンタの概略構成を示す説明図である。
【図2】プリンタにおける図1のA−1部の概略構成を示す部分拡大図である。
【図3】図2のA−2部における水平パスの概略構成を示す説明図である。(a)は、水平パスの斜視図、(b)は、水平パスの部分概略平面図である。
【図4】水平パスの開放動作を示す説明図である。(a)は、開閉ガイド部が閉じている状態を示す図である。(b)は、開閉ガイド部を開放している途中の状態を示す図である。(c)は、開閉ガイド部を開放している途中の状態を示す図である。(d)は、開閉ガイド部が開放した状態を示す図である。
【図5】第1実施形態に係るシート搬送装置を搭載する画像形成装置の一例としてのプリンタにおける変形例を示す説明図である。(a)は、開閉ガイド部が閉じている状態を示す図である。(b)は、開閉ガイド部を開放している途中の状態を示す図である。(c)は、開閉ガイド部を開放している途中の状態を示す図である。(d)は、開閉ガイド部が開放した状態を示す図である。
【図6】第2実施形態に係るシート搬送装置を搭載する画像形成装置の一例としてのプリンタにおける概略構成を示す説明図である。(a)は、開閉ガイド部が閉じている状態を示す図である。(b)は、開閉ガイド部が開放した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るシート搬送装置を搭載する画像形成装置の一例としてのプリンタの概略構成を示す説明図である。
【0018】
図1において、1は画像形成装置としてのプリンタであり、110は、シート搬送装置の装置本体でもある画像形成装置本体としてのプリンタ本体である。
【0019】
このプリンタ1は、プリンタ本体110の上方に配置された原稿給送装置120と、不図示の原稿載置台に載置された原稿を読み取る画像読取部130とを備えている。またプリンタ1は、シートSを搬送するシート搬送装置140と、シート搬送装置140により搬送されたシートSに画像を形成する画像形成部200と、画像形成部200で形成されたトナー画像をシート上に定着する定着部300と、を備えている。
【0020】
シート搬送装置140は、シートSを給送するシート給送部141と、シートSが搬送されるシート搬送路142と、シートSの斜行補正やタイミング補正を行う斜行補正部としての斜行補正機構148とを備えている。また、シート搬送装置140は、複数の搬送ローラ対151〜156等を備え、これらがシート搬送路142に配設されている。また、シート搬送装置140は、定着部300で画像が定着されたシートSをプリンタ本体110から排出する排出ローラ対180を備えている。
【0021】
シート搬送路142は、シート給送部141から略水平に延びる水平部としての水平パス161と、水平パス161から略垂直上方延びるように湾曲する下に凸形状の第1の湾曲パス162とを有している。また、シート搬送路142は、第1の湾曲パス162から略垂直に上方に延びる縦パス163と、縦パス163から斜め下方に延びる傾斜パス164とを有している。またシート搬送路142は、傾斜パス164から斜め上方に延びるように湾曲する下に凸形状の第2の湾曲パス165を有している。ここで、下に凸形状とは、凸形状部分が真下に向いている場合のみならず、下方向に傾斜している場合を含んでいる。
【0022】
水平パス161には、搬送ローラ対151が配設され、第1の湾曲パス162には、搬送ローラ対152が配設され、縦パス163には、搬送ローラ対153,154が配設されている。また、傾斜パス164には、搬送ローラ対155,156及び斜行補正機構148が配設されている。
【0023】
また、シート搬送路142は、定着部300からシートSを直接排出するストレートパス166と、シートSをスイッチバックさせる反転パス167とを有している。また、シート搬送路142は、縦パス163の途中に接続され、反転パス167でスイッチバックさせたシートSを搬送ローラ対154の上流側に合流させ、再度画像形成部200に案内するための再搬送パス168を有している。
【0024】
斜行補正機構148は、シートSを搬送しながらシートSの斜行を補正する、所謂アクティブレジストレーション方式としている。斜行補正機構148は、シート搬送方向と直交する幅方向のそれぞれの側部に配置される2つの斜行補正ローラ対148a,148aと、幅方向のそれぞれの側部に配置される2つの横レジローラ対148b,148bとを有する。なお、図1では、それぞれ一方のみが図示されている。斜行補正ローラ対148a,148aは、それぞれ独立して回転駆動され、互いに異なる搬送速度で回転駆動可能に構成されている。横レジローラ対148b,148bは、幅方向にスライド可能に構成されている。各斜行補正ローラ対148a,148aは、シートSの斜行量に応じて搬送速度が設定される。これによりシートSは、各斜行補正ローラ対148a,148aで搬送されながら斜行が補正される。また、シートSは、横レジローラ対148b,148bで横レジが補正される。
【0025】
画像形成部200は、斜行補正機構148のシート搬送方向下流側に配置され、像担持体としての感光体ドラム102、シートSにトナー像を転写する転写部104、露光装置101、現像装置103及び不図示の帯電装置等を有している。
【0026】
転写部104は、不図示の駆動ローラ、テンションローラ及び転写対向ローラ等のローラ類によって張架され、搬送駆動される転写ベルト105と、不図示の転写対向ローラにより、転写ベルト105に圧接する転写ローラ106とを有している。転写ベルト105に転写ローラ106が圧接することにより、転写ニップ部が形成されている。
【0027】
シート給送部141は、シートSを複数枚収納するシート収納部であるカセット145と、カセット145に収納されたシートSを送り出す分離ローラ146とを有している。カセット145には、各種シートSを選択的に収納させることができる。
【0028】
このような構成のプリンタ1において、プリンタ本体110に設けられている不図示の制御装置から画像読取部130に画像読取信号が出力されると、画像読取部130により画像が読み取られる。
【0029】
そして、不図示の帯電装置により感光体ドラム102の表面が一様に帯電される。次に、露光装置101による露光により感光体ドラム102の表面に潜像が形成され、この後、この感光体ドラム102上に形成された静電潜像に対して現像装置103によるトナー現像が行われ、感光体ドラム102上にトナー像が形成される。この後、転写ベルト105上にトナー像が転写される。
【0030】
なお、転写ベルト105の表面及び感光体ドラム102の表面には、トナーや紙粉を清掃する不図示の清掃部材を当接してそれぞれの表面を清掃している。
【0031】
一方、制御装置から給紙信号がシート給送部141に出力されると、分離ローラ146により、指定されたサイズのシートSが収容されたカセット145からシートSが一枚ずつ送り出される。そして、このように送り出されたシートSは、搬送ローラ対151〜156により斜行補正機構148に搬送され、この斜行補正機構148により斜行が補正される。
【0032】
次に、このように斜行が補正されたシートSは、転写ベルト105と転写ローラ106との転写ニップ部まで搬送される。
【0033】
転写ベルト105及び転写ローラ106によりトナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト107により定着部300へと搬送される。そして、この定着部300において、略対向するローラ300a,300bにより熱及び圧力を加えてシート上にトナーを溶融固着させる。
【0034】
次に、このようにして得られた定着画像を有するシートSはストレートパス166を通過して排出ローラ対180により不図示のシート後処理装置へ排出される。
【0035】
なお、シートSの両面に画像を形成する場合には、不図示の切換部材の切換により、この後、反転パス167へと搬送される。このように反転パス167へと搬送されると、シートSはスイッチバック動作を行うことで先後端を入れ換え、再搬送パス168へと搬送される。
【0036】
この後、シート給送部141から搬送されてくる後続ジョブのシートSとのタイミングを合わせて縦パス163の途中に合流し、搬送ローラ対154〜156及び斜行補正機構148を経て画像形成部200へと送られる。画像形成プロセスに関しては1面目と同様なので省略する。
【0037】
次に、本第1実施形態におけるプリンタ1のシート搬送装置140について詳細に説明する。
【0038】
図2は、プリンタ1における図1のA−1部の概略構成を示す部分拡大図である。図3は、図2のA−2部における水平パス161の概略構成を示す説明図であり、図3の(a)は、水平パス161の斜視図、図3の(b)は、水平パス161の部分概略平面図である。
【0039】
シート搬送路142の水平パス161は、略水平状態でプリンタ本体110に固定された固定ガイド部23と、固定ガイド部23に対向して配置され、開閉可能な開閉ガイド部20とによって形成されている。この開閉ガイド部20は、固定ガイド部23の上方であって、固定ガイド部23に対向して配置された第1のガイド部21を有している。また、開閉ガイド部20は、第1のガイド部21のシート搬送方向(矢印B方向)上流側であって固定ガイド部23に対向して配置され、第1のガイド部21に連設された第2のガイド部22を有している。
【0040】
第1のガイド部21のシート搬送方向と直交する幅方向の一方の側端には、アーム29aが設けられており、他方の側端には、アーム29bが設けられている。これらアーム29a,29bにより、第1のガイド部21は傾動自在に支持されている。
【0041】
一方のアーム29aは、第1のガイド部21の一方の側端に固定される固定部291aと、固定部291aからシート搬送方向上流側に延出し、固定ガイド部23から離間する方向に屈曲する延出部292aとを有する。また、他方のアーム29bは、第1のガイド部21の他方の側端に固定される固定部291bと、固定部291bからシート搬送方向上流側に延出し、固定ガイド部23から離間する方向に屈曲する延出部292bとを有する。
【0042】
アーム29aのシート搬送方向上流側の端部、即ち、延出部292aの端部には、プリンタ本体110の幅方向の一方のフレーム110aに回動自在に支持される回動軸24aが固定されている。また、アーム29bのシート搬送方向上流側の先端、即ち、延出部292bの先端には、プリンタ本体110の幅方向の他方のフレーム110bに回動自在に支持される回動軸24bが固定されている。回動軸24a,24bは、固定ガイド部23に対向する位置に配置されている。
【0043】
これにより、アーム29a,29bは、第1のガイド部21と一体に回動軸24a,24bを支点として回動可能にプリンタ本体110に支持されている。そして、アーム29a,29bを回動させることにより、第1のガイド部21を開閉させることができる。アーム29bには、ユーザが第1のガイド部21を開閉操作するための把手28が設けられている。
【0044】
なお、搬送ローラ対151のうち、一方のローラは、固定ガイド部23側に設けられ、他方のローラは、第1のガイド部21側に設けられており、第1のガイド部21を開放する際に、第1のガイド部21と一体となって移動する。
【0045】
第2のガイド部22は、アーム29a,29bの回動支点である回動軸24a,24bの近傍に配置されている。そして、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、固定ガイド部23に対してシートSの搬送空間として、約3mmの距離を保つよう不図示のスペーサと閉時マグネット30で保持されている。
【0046】
本第1実施形態では、プリンタ1は、アーム29a,29bを回動させて第1のガイド部21を開放する際に、第2のガイド部22を固定ガイド部23から離間する方向に移動させる移動機構50を備えている。
【0047】
この移動機構50は、第2のガイド部22のシート搬送方向下流側端である一端22aにおける幅方向の一方に設けられ、一端22aをアーム29aに対して回動可能に支持する支持部25aを有している。また、移動機構50は、第2のガイド部22の一端22aにおける幅方向の他方に設けられ、一端22aをアーム29bに対して回動可能に支持する支持部25bを有している。
【0048】
一方の支持部25aは、第2のガイド部22の一端22aにおける幅方向の一方に固定され、フレーム110aに向かって突設される回動軸61aと、アーム29aに形成され、回動軸61aが貫通する軸受け62aとからなる。
【0049】
また、他方の支持部25bは、アーム29bに固定され、第2のガイド部22に向かって突設される回動軸61bと、第2のガイド部22の一端22aにおける幅方向の他方に形成され、回動軸61bが貫通する軸受け62bとからなる。
【0050】
また、移動機構50は、第2のガイド部22の一端22aに設けられた当接部としてのレバー27を有している。このレバー27は、第2のガイド部22の一端22aに固定されている回動軸61aに取り付けられている。このレバー27は、回動軸61aを挟んで第2のガイド部22のシート搬送方向と平行な方向の反対側に配置されている。そして、レバー27が力点となり、このレバー27に押圧力が作用して揺動した場合には、第2のガイド部22は、回動軸61aを中心に回動する。なお、アーム29aの内側には第1のガイド部21が配置されているので、レバー27はアーム29aの外側に配置されている。
【0051】
更に、移動機構50は、このレバー27の上方に配置され、フレーム110aに固定され、レバー27が当接可能な被当接部としての突き当て部材26を有している。
【0052】
なお、本第1実施形態では、各回動軸61a,61bには、不図示のねじりコイルばねが設けられており、このねじりコイルばねの一端がアーム29a,29b、他端が第2のガイド部22に係止されている。これにより、第2のガイド部22は、常に第1のガイド部21に対して図中反時計方向にばね付勢されているが、不図示のストッパにより、第1のガイド部21と平行状態に規制されている。
【0053】
次に、シートSが水平パス161でジャムした際の開閉ガイド部20の開放動作について説明する。
【0054】
図4は、水平パス161の開放動作を示す説明図である。図4(a)は、開閉ガイド部20が閉じている状態を示す図である。図4(b)、は、開閉ガイド部20を開放している途中の状態を示す図である。図4(c)は、開閉ガイド部20を開放している途中の状態を示す図である。図4(d)は、開閉ガイド部20が開放した状態を示す図である。
【0055】
まず、開閉ガイド部20が閉じている状態のときは、図4(a)に示すように、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、固定ガイド部23と所定の距離(3mm)を空けて保持されている。
【0056】
そして、図4(b)に示すように、ユーザが把手28を持ち上げてアーム29a,29bを回動させると、開閉ガイド部20は、閉時マグネット30から外れる。そして、アーム29a,29bは、回動軸24a,24bを支点に矢印C方向(反時計回り)に回動し、第1のガイド部21及び第2のガイド部22が一体に開放する方向(固定ガイド部23から離間する方向)に傾動する。このとき、第2のガイド部22の一端22aは、支持部25a,25bに支持されているので、アーム29a,29bと連動して固定ガイド部23から離間する方向に移動する。また、第2のガイド部22は、不図示のねじりコイルばねで付勢されているので、その付勢力により第1のガイド部21と平行状態を保ちながら、第1のガイド部21と共に傾動する。
【0057】
更にユーザがアーム29a,29bを回動させると、図4(c)に示すように、レバー27が突き当て部材26に当接する。この状態で更にユーザがアーム29a,29bを回動させると、レバー27は、突き当て部材26に押圧されて、支持部25a,25bの回動軸61aを支点に、矢印D’方向(時計回り)に回動する。
【0058】
これにより第2のガイド部22は、不図示のねじりコイルばねの付勢力に抗して、支持部25a,25bの回動軸61a,61bを支点に、第1のガイド部21に対して相対的に矢印C方向とは反対の矢印D方向(時計回り)に回動する。即ち、第2のガイド部22は、回動軸61a,61bを支点に、第2のガイド部22の他端22bが固定ガイド部23から離間する方向に回動する。
【0059】
そして、開閉ガイド部20を最大に開放した場合、図4(d)に示すように、第2のガイド部22全体が固定ガイド部23から離間し、開閉ガイド部20は、固定ガイド部23に対向して配置した開時保持マグネット31に吸着されてその開放状態が保持される。
【0060】
このように、第1のガイド部21を傾動させて開放させた場合に、第1のガイド部21の回動支点近傍の第2のガイド部22が、固定ガイド部23から離間する方向に移動する。そして、ユーザが第1のガイド部21側から矢印X方向に水平パス161を見た場合に、第1のガイド部21の奥にある第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間しているので、ジャムしたシートSが良く見えるようになる。したがって、第1のガイド部21の回動量を大きくとらなくても、ジャムしたシートSの視認性が向上する。また、ジャムしたシートSを取り除く際にも、第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間する方向に移動しているので、作業空間が確保され、シートSを容易に取り除くことができる。
【0061】
また、開閉ガイド部20は、開時保持マグネット31に吸着されてその状態を保持できるため、ユーザは両手でジャム処理を行うことができるので、作業性が向上する。
【0062】
また、アーム29a,29bが屈曲して形成されているので、開閉ガイド部20を開放した際に、アーム29a,29bの延出部292a,292bの固定ガイド部23から離間する方向に移動する。したがって、幅方向両側のいずれの側(矢印Xと直交する方向)からでも手を入れてジャム処理をする際に、アーム29a,29bが邪魔になることはないので、シートSを容易に取り除くことができる。
【0063】
また、開閉ガイド部20、つまり、第1のガイド部21の回動量が小さくて済むので、プリンタ本体110内での開放空間を大きくとる必要がなくなるため、装置を小型化することができる。また、構造も簡単となり、コストダウンを図ることができる。
【0064】
なお、本第1実施形態では、アーム29a,29bが屈曲して形成されている場合について説明したが、これに限定するものではない。
【0065】
図5は、第1実施形態に係るシート搬送装置を搭載する画像形成装置の一例としてのプリンタにおける変形例を示す説明図である。図5(a)は、開閉ガイド部20が閉じている状態を示す図である。図5(b)、は、開閉ガイド部20を開放している途中の状態を示す図である。図5(c)は、開閉ガイド部20を開放している途中の状態を示す図である。図5(d)は、開閉ガイド部20が開放した状態を示す図である。
【0066】
この図5に示すように、アーム29a,29bは、ストレート形状である。なお、開放動作は、上記図4で説明した動作と同様であり、図5(a)に示すように、閉じた状態の開閉ガイド部20を持ち上げると、図5(b)に示すように、第1のガイド部21及び第2のガイド部22が一体に傾動する。そして、図5(c)に示すように、レバー27が突き当て部材26に当接すると、図5(d)に示すように、第2のガイド部22の他端22bが固定ガイド部23から離間する方向に移動する。これにより、第2のガイド部22全体が固定ガイド部23から離間することとなる。
【0067】
この場合も同様に、第1のガイド部21側から矢印X方向に水平パス161を見た場合に、第1のガイド部21の奥にある第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間しているので、ジャムしたシートSが良く見えるようになる。したがって、第1のガイド部21の回動量を大きくとらなくても、ジャムしたシートSの視認性が向上する。また、ジャムしたシートSを取り除く際にも、第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間する方向に移動しているので、作業空間が確保され、シートSを容易に取り除くことができる。
【0068】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、移動機構50が、支持部25a,25b、突き当て部材26及びレバー27を有する場合について説明した。本第2実施形態では、移動機構の構成が異なる画像形成装置について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
図6は、第2実施形態に係るシート搬送装置を搭載する画像形成装置の一例としてのプリンタにおける概略構成を示す説明図である。図6(a)は、開閉ガイド部20が閉じている状態を示す図である。図6(b)は、開閉ガイド部20が開放した状態を示す図である。
【0070】
本第2実施形態では、移動機構50aは、第1のガイド部21の第2のガイド部22側の端部に設けられたガイド当接部としての略L字形状に折り曲げられた折曲部21aを有している。また、移動機構50aは、第2のガイド部22の一端22aに設けられ、折曲部21aが当接可能な被ガイド当接部としての被当接面22cを有している。
【0071】
更に、移動機構50aは、折曲部21aが被当接面22cに当接した際に、第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間する方向にスライドするように第2のガイド部22を案内する案内部32を有している。この案内部32は、装置本体としてのプリンタ本体に架設される一対のガイド軸32a,32bと、第2のガイド部22に固定され、一対のガイド軸32a,32bが挿通される長孔hを有するガイド部材32cとを有している。
【0072】
一対のガイド軸32a,32bは、第2のガイド部22の上方(外側)であって、上下方向(ガイド面と垂直な方向)に並設されている。これにより、ガイド部材32cが、長孔hに挿通されている一対のガイド軸32a,32bに案内され、ガイド部材32cが固定される第2のガイド部22が、固定ガイド部23と平行な状態を保持しながら、固定ガイド部23から離間する方向に案内される。
【0073】
ここで、本第2実施形態では、第2のガイド部22を閉じる方向に付勢する不図示のばねを有しており、第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間する方向に移動する際には、ばねの付勢力に抗して移動することとなる。なお、この第2のガイド部22が自重で閉状態に復帰できる場合には、ばね部材は省略可能である。
【0074】
以上の構成により、まず、開閉ガイド部20が閉じている状態のときは、図6(a)に示すように、第1のガイド部21及び第2のガイド部22は、固定ガイド部23と所定の距離(3mm)を空けて保持されている。そして、第2のガイド部22は、案内部32の上側のガイド軸32aに支持されている。
【0075】
ユーザが把手28を持ち上げてアーム29a,29bを回動させると、開閉ガイド部20は、閉時マグネット30から外れる。そして、アーム29a,29bは、図6(b)に示すように、回動軸24a,24bを支点に反時計回りに回動し、第1のガイド部21が開放する方向(固定ガイド部23から離間する方向)に傾動する。このとき、第1のガイド部21の折曲部21aに第2のガイド部22の被当接面22cが上方に押圧される。
【0076】
これにより、第2のガイド部22は、案内部32のガイド軸32a,32bに案内されながら、固定ガイド部23と平行な状態を保持しつつ、固定ガイド部23から離間する方向にスライドする。そして、開閉ガイド部20を最大に開放した場合、開閉ガイド部20は、固定ガイド部23に対向して配置した開時保持マグネット31に吸着されてその開放状態が保持される。
【0077】
このように、第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間する方向に移動するので、第1のガイド部21の回動量を大きくとらなくても、ジャムしたシートSの視認性が向上する。また、ジャムしたシートSを取り除く際にも、第2のガイド部22が固定ガイド部23から離間する方向に移動しているので、作業空間が確保され、シートSを容易に取り除くことができる。
【0078】
また、開閉ガイド部20は、開時保持マグネット31に吸着されてその状態を保持できるため、ユーザは両手でジャム処理を行うことができるので、作業性が向上する。
【0079】
また、アーム29a,29bが屈曲して形成されているので幅方向両側のいずれの側からでも手を入れてジャム処理をする際に、アーム29a,29bが邪魔になることはないので、シートSを容易に取り除くことができる。
【0080】
また、第2のガイド部22が固定ガイド部23に対して略平行に移動するので、例えば第2のガイド部22の形状が複雑な形状をしているような場合には、離間動作に支障をきたすことなく、安定して第2のガイド部22を離間させることができる。
【0081】
以上、上記第1及び第2実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
上記実施形態では、水平パスを開放する場合について説明したが、これに限定するものではなく、例えば、垂直或いは傾斜しているパスに適用することも可能である。
【0083】
また、上記実施形態では、開閉ガイド部のシート搬送方向下流側が開放するように構成したが、これに限定するものではなく、開閉ガイド部のシート搬送方向上流側、或いはシート搬送方向と直交する側が開放するように構成してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、不図示のばね部材で第2のガイド部を付勢していたが、これに限定するものではなく、水平パスにおいては、第2のガイド部の自重で第2のガイド部を下方に付勢するようにしてもよい。また、第2のガイド部を閉状態に復帰する方向にばね部材で付勢するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例に説明したが、これに限定するものではなく、インクジェット、オフセット印刷などの画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置(プリンタ)
21 第1のガイド部
21a ガイド当接部(折曲部)
22 第2のガイド部
22a 一端
22b 他端
22c 被ガイド当接部(被当接面)
23 固定ガイド部
25a,25b 支持部
26 被当接部(突き当て部材)
27 当接部(レバー)
29a,29b アーム
32 案内部
50,50a 移動機構
110 装置本体(プリンタ本体)
140 シート搬送装置
142 シート搬送路
200 画像形成部
291a,291b 固定部
292a,292b 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に固定された固定ガイド部、前記固定ガイド部に対向して配置された第1のガイド部、及び前記固定ガイド部に対向し、且つ前記第1のガイド部とシート搬送方向に並設された第2のガイド部を有し、前記固定ガイド部と前記第1のガイド部と前記第2のガイド部とによってシートが搬送されるシート搬送路と、
前記シート搬送路を開放するように前記第1のガイド部を移動させる際に、前記第2のガイド部を前記固定ガイド部から離間するように移動させる移動機構と、を備えるシート搬送装置であって、
前記移動機構は、前記第1のガイド部に設けられたガイド当接部と、
前記第2のガイド部に設けられ、前記ガイド当接部が当接可能な被ガイド当接部と、
前記ガイド当接部が前記被ガイド当接部に当接した際に、前記第2のガイド部が前記固定ガイド部から離間する方向にスライドするように前記第2のガイド部を案内する案内部と、を有することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
装置本体に固定された固定ガイド部と、
前記固定ガイド部に対向して配置された第1のガイド部と、
前記固定ガイド部に対向し、前記第1のガイド部とシート搬送方向に並設された第2のガイド部と、
前記第1のガイド部を回動自在に支持するフレームと、
前記固定ガイド部に対して接離するように前記第2のガイド部をスライド移動可能に案内する案内部と、を備え、
前記第1のガイド部を前記フレームに対して回動させたとき、前記第1のガイド部の端部が、前記第2のガイド部に接して前記第2のガイド部をスライド移動するように押圧する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1のガイド部に設けられ、前記第1のガイド部と一体に回動可能に前記装置本体に支持され、前記第1のガイド部を開閉するアームを、さらに備え、
前記アームは、前記第1のガイド部に固定された固定部と、前記固定部から延出し、前記固定ガイド部から離間する方向に屈曲して回動可能に前記装置本体に支持された延出部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部にシートを搬送する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40051(P2013−40051A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−259644(P2012−259644)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2008−139984(P2008−139984)の分割
【原出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】