説明

シート敷設装置

【課題】凹状の溝の特に両側壁の崩れを防止しながら円滑にシートの敷設作業を行うことができるシート敷設装置を提供することを課題としている。
【解決手段】凹状の溝5にシート6を敷設するシート敷設装置のシート敷設作業部32において、シート6の側端部を、溝5の両側方の溝肩部5a中に折り曲げて折り込む埋設ガイド56と、溝肩部に挿入されてシートの側端部の覆土を行う覆土体59の一方又は両方を、耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝5の側壁を成形して土留めを行う溝成形部31による土留め作用の範囲内で溝成形部31の側方に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に形成した溝及び溝肩部にシートを敷設するシート敷設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来管理作業機に耕耘装置を装着し、該耕耘装置に、耕耘土を盛り上げて畦を形成する畦立て成形板と、形成された畦にシート(古紙フィルム)を被せて覆うマルチ装置とを連接して野菜等の栽培床を形成する装置が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方管理作業機を使用して圃場に深さ20cm、幅60cm程度の凹溝を形成し、この溝内に防根透水シートを敷設し、その後シート上に耕耘土を埋め戻すとともに、必要な肥料を入れて表面を均すことにより、野菜やトマト,メロン等を栽培する根圏抑制栽培法が公知となっている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−140213号公報
【特許文献2】特開平10−136787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記根圏抑制栽培法に使用する溝(凹溝)に円滑に防根透水シートを敷設する装置は従来存在しないが、特許文献1に示されるマルチ装置を、例えば畦立て成形板を、耕耘土を両側方に寄せて根圏抑制栽培法に使用する溝を形成する溝成形用の培土板に変更し、且つシートの被覆部を凹溝形状に沿ってシートを敷設する構造に変更することにより、根圏抑制栽培法の凹溝にシートを敷設する作物栽培床専用型のシート敷設作業機を構成することが考えられる。
【0005】
しかし耕耘土を両側方に寄せて成形される凹溝は、シートの敷設に際して、溝の両側壁が崩れを起こす場合がある等の問題が考えられる。本発明は凹状の溝の特に両側壁の崩れを防止しながら円滑にシートの敷設作業を行うことができるシート敷設装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明のシート敷設装置は、耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝5の側壁を成形して土留めを行う溝成形部31と、上記溝5にシート6を敷設するシート敷設作業部32とを備え、上記シート敷設作業部32が、溝5に沿って敷かれたシート6の側端部を、溝5の両側方の溝肩部5a中に折り曲げて折り込む埋設ガイド56を備えたシート敷設装置において、前記埋設ガイド56を、溝成形部31による土留め作用の範囲内で溝成形部31の側方に配置したことを第1の特徴としている。
【0007】
第2に、耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝5の側壁を成形して土留めを行う溝成形部31と、上記溝5にシート6を敷設するシート敷設作業部32とを備え、上記シート敷設作業部32が、溝5の両側方の溝肩部5aに挿入されてシート6の側端部に覆土を行う覆土体59を備えたシート敷設装置において、上記覆土体59を、溝成形部31による土留め作用の範囲内で溝成形部31の側方に配置したことを特徴としている。
【0008】
第3に、耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝5の側壁を成形して土留めを行う溝成形部31と、上記溝5にシート6を敷設するシート敷設作業部32とを備え、上記シート敷設作業部32が、溝5に沿って敷かれたシート6の側端部を、溝5の両側方の溝肩部5a中に折り曲げて折り込む埋設ガイド56と、溝肩部5aに挿入されて、シート6の溝肩部5a内への折り込み部分の上方に覆土を行う覆土体59とを備えたシート敷設装置において、埋設ガイド56と覆土体59とを、共に溝成形部31による土留め作用の範囲内で溝成形部31の側方に配置したことを特徴としている。
【0009】
第4に、埋設ガイド56が、自由回転自在な円板からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上のように埋設ガイドを、溝成形部による土留め作用の範囲内で溝成形部の側方に配置することによって、埋設ガイドは、溝成形部による土留め状態で溝肩部にシートの側端部を折り込むため、シート側端部の折り込み時に溝、特に溝の側壁の崩れが防止され、溝の崩れを防止しながらシートの敷設作業を行うことができるという効果がある。
【0011】
また覆土体を、溝成形部による土留め作用の範囲内で溝成形部の側方に配置することによって、覆土体は、溝成形部による土留め状態で溝肩部に挿入されて覆土を行うため、覆土時に溝、特に溝の側壁の崩れが防止され、溝の崩れを防止しながらシートの敷設作業を行うことができる。
【0012】
また埋設ガイドと覆土体とを、共に溝成形部による土留め作用の範囲内で溝成形部の側方に配置することによって、溝成形部による土留め状態で、埋設ガイドによるシート側端部の溝肩部内への折り込み作業、及び覆土体による覆土作業が行われ、両作業時に溝、特に溝の側壁の崩れが防止され、溝の崩れを防止しながらシートの敷設作業を行うことができる。
【0013】
そして埋設ガイドを自由回転自在な円板から構成することによって、埋設ガイドを弾力性を有する線材から構成する場合に比較して、ガイド(円板)の厚さを、線材の太さより小さくすることができる。このため埋設ガイドの溝肩部への挿入幅を小さく抑えることができ、シートの溝肩部への挿入を円滑に行い、自由回転によりシートを円滑に溝肩部内に折り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1,図2は、本シート敷設装置を使用したシート敷設作業機1の側面図及び斜視図である。このシート敷設作業機1は、圃場の耕耘を行う耕耘装置2が装着された管理作業機3に本シート敷設装置4が取り付けられた構成となっている。
【0015】
シート敷設装置4を作動させながら管理作業機3を圃場内で走行させることによって、根圏抑制栽培法における凹状の溝5を作り整形し、該溝5内に防根透水シート6を敷き、該シート6を固定する構造となっている。
【0016】
上記管理作業機3は、トランスミッションケース7を備えている。該トランスミッションケース7には、前後に突出するフレーム8が設けられている。該フレーム8の前方にエンジン9が搭載されている。上記フレーム8の後方に作業機連結用のヒッチ11が設けられている。
【0017】
エンジン9の駆動力は、ベルト伝動手段等からなる伝動機構14を介してトランスミッションケース7に入力されている。上記トランスミッションケース7の下方には左右に突出する駆動軸12が設けられている。各駆動軸12には、各々クローラ走行装置13が装着されている。
【0018】
エンジン9からトランスミッションケース7に入力された駆動力によって左右の車軸12が回転駆動される。この車軸12の駆動によってクローラ走行装置13が駆動される。クローラ走行装置13の駆動によって管理作業機3が走行する。
【0019】
トランスミッションケース7の上部には杆状のハンドル16が設けられている。ハンドル16の先端には握り部16aが設けられている。トランスミッションケース7の上部からは変速レバー17が突出している。変速レバー17の操作によって車軸12の回転方向が変更されるとともに、駆動速度が変速される。
【0020】
このため変速レバー17によって管理作業機3の走行方向の変更と走行速度の変速を操作することができる。ハンドル16は、該握り部16aが前方又は後方に突出するように、反転回動可能に取り付けられている。変速レバー17は、先端が前方又は後方に突出するように、反転回動可能に取り付けられている。
【0021】
図1,図2は、握り部が管理作業機3の前方に向かって突出するようにハンドル16をセットし、先端が管理作業機3の前方に向かって突出するように変速レバー17をセットした状態を示している。この場合作業者は、管理作業機3の後方を向きハンドル16を持ち、後ずさりしながら変速レバー17によって管理作業機3を走行させることができる。
【0022】
上記クローラ走行装置9は、大径の駆動輪18と小径の従動輪19との間に無端帯状のクローラ21が巻き掛けられた構造となっている。駆動輪18が、上記車軸12に装着されている。車軸12にはクローラフレーム22が揺動自在に軸支されている。
【0023】
クローラフレーム22は管理作業機3の前方に向かって突出している。前記従動輪19はクローラフレーム22の前部に自由回転自在に軸支されている。クローラ走行装置13は、車軸12を回動支点として揺動自在に車軸12に軸支されている。
【0024】
上記耕耘装置2は耕耘本体フレーム23を備えている。該耕耘本体フレーム23は前方側が前述のヒッチ11に連結されている。耕耘本体フレーム23には、前後の中途位置にロータリ伝動ケース24が固定されている。ロータリ伝動ケース24には、伝動ケース26を介してトランスミッションケース7の上部から駆動力が入力されている。
【0025】
ロータリ伝動ケース24の下方には左右に突出するロータリ軸27が設けられている。ロータリ軸27の外周に複数の耕耘爪28が一体的に取り付けられ、ロータリ部29が構成されている。耕耘本体フレーム23側には、ロータリ部29の上方及び側方を覆うロータリカバー30が取り付けられている。
【0026】
ロータリ軸27はロータリ伝動ケース24に入力される駆動力によって回転駆動される。ロータリ軸27の回転駆動と駆動停止は、上記変速レバー17によって操作される。ロータリ軸27を回転駆動することによって耕耘爪28が回転し、圃場の耕耘を行う。
【0027】
耕耘爪28は、複数の長い溝部耕耘爪28aと複数の短い溝肩部耕耘爪28bとからなる。溝部耕耘爪28aと溝肩部耕耘爪28bは、内側寄りと外側寄りに纏めて配置されている。溝部耕耘爪28aはロータリ軸27の回転によって、左右のクローラ走行装置13の轍間距離内で、本シート敷設装置4によって形成する溝5用に、概ね溝5の幅と深さに圃場を耕耘する。
【0028】
溝肩部耕耘爪28bは、溝部耕耘爪28aの外側に配置され、且つ溝部耕耘爪28aより短く形成されているため、ロータリ軸27の回転によって上記溝5用の耕耘部分の左右両側で未耕耘の溝肩部5aを浅く耕耘する。溝肩部耕耘爪28bは、溝部耕耘爪28aによって上記溝肩部5aに飛散堆積される肩部堆積耕耘土も溝肩部5aと共に再耕耘する。これにより溝肩部5aの表層は均質に耕起され一定高さに均された状態となる。
【0029】
本シート敷設装置4は、耕耘装置2により耕耘された耕耘土によって上記溝5(根圏抑制栽培法における凹溝)を成形し、且つ成形された溝5の側壁を土留めするとともに、成形された溝5の両側方の溝肩部5aの耕耘土を均し成形する溝成形部31と、溝成形部31によって成形された上記溝5に防根透水シート6を敷設するシート敷設作業部32とからなる。
【0030】
溝成形部31とシート敷設作業部32とが耕耘装置2に連接され、本シート敷設装置4が管理作業機3に取り付けられている。このため耕耘本体フレーム23の後方には、上記溝成形部31とシート敷設作業部32を取り付けるための取付部33,34が前後に設けられている。取付部33,34は、取付孔と固定具等からなる。
【0031】
前述の溝成形部31は、培土板36と、肩部成形板37とからなる。培土板36が、溝5の成形と、成形された溝5の側壁の土留めを行う。肩部成形板37が、溝肩部5aの耕耘土を均し成形する。
【0032】
該培土板36は、上記溝部耕耘爪28aによる耕耘幅(形成する溝5の幅)と等しい幅の前面板38と、該前面板38の左右両側に連続的に連接されて後方に向かって延出する側面板39とからなる。前面板38と側面板39は、平面視で逆コ字状をなす。
【0033】
上記肩部成形板37は、溝肩部5aの耕耘土を均し成形する左右方向の板材からなる。肩部成形板37は、培土板36の側面板39から左右に突出するように設けられている。肩部成形板37は、溝肩部5aに対応するように、培土板36の底縁より上方に配置されている。
【0034】
溝成形部31は、培土板36側から立設する取付杆41を前記取付部33に挿入固定することによって耕耘本体フレーム23に装着されている。溝成形部31は耕耘装置2の後方に配置される。
【0035】
上記取付杆41には、左右方向の取付バー42が取り付け支持されている。該取付バー42には、左右に支持フレーム43が取付幅調節可能に装着されている。前述の取付部34には、支持フレーム44が上方から挿入されて取付支持されている。両支持フレーム43,44は後方に向かって突出している。
【0036】
支持フレーム43は前後方向の中途部分に回動軸支部46が設けられている。支持フレーム43は、図1の矢印Aで示されるように、回動軸支部46より後方部分を前方に向けて反転させ格納姿勢とすることができる。
【0037】
上記支持フレーム43における回動軸支部46より前方側には、ブラケット47を介して平面視で門型となる支持杆48が取り付けられている。該支持杆48の両側には、ロール状に巻き取られた防根透水シート(防根透水シートロール49)を支持する左右一対のシート支持部51が設けられている。
【0038】
シート支持部51は、防根透水シートロール49の両側芯部を支持する。シート支持部51によって本シート敷設装置4の培土板36の上方位置に防根透水シートロール49が装着される。防根透水シートロール49は、培土板36における側面板39の前後方向の略中央位置に配置される。防根透水シートロール49は回転して防根透水シート6を繰り出す。
【0039】
支持杆48の両側には、略U字状の支持杆52の両端が軸支されて取り付けられている。支持杆52には、繰出転圧ローラ53が回転自在に軸支されている。該繰出転圧ローラ53は、支持杆52によって培土板36の上方、且つシート支持部51の後方下方に配置されている。繰出転圧ローラ53は、図3に示されるように、繰り出される防根透水シート6の左右両側を各々溝肩部5aに転圧する。
【0040】
左右の支持フレーム43の回動軸支部46より後方部分には、各々ブラケット54が取り付けられている。各ブラケット54には、防根透水シート6の埋設ガイド56が取り付けられている。埋設ガイド56は左右一対となっている。埋設ガイド56は、ブラケット54に取り付けられる取付杆57の下端に自由回転自在に設けられた薄型の円板からなる。
【0041】
左右の埋設ガイド56は、培土板36の側面板39に側面視において一部重複し、側面板39の外側において、各々対応する左側又は右側の溝肩部5aの上方に配置されている。埋設ガイド56は、図3に示されるように、繰出転圧ローラ53の後方において、繰出転圧ローラ53で転圧支持した状態の防根透水シート6の側端部を溝肩部5aとの間に挟み、防根透水シート6の側端部を溝肩部5aの堆積耕耘土内に押し込み挿入する。
【0042】
このため埋設ガイド56は、防根透水シート6に対する作用位置が繰出転圧ローラ53の後方となるように、繰出転圧ローラ53の後方側に配置されている。これにより防根透水シート6の側端部は折り曲げられ、溝肩部5aにおいて地中に折り込まれる。
【0043】
両支持フレーム43の回動軸支部46より後方部分には、上記埋設ガイド56の取付け用のブラケット54の後方に、該ブラケット54とは別のブラケット58が取り付けられている。該ブラケット58には、防根透水シート6の溝肩部5a内への折り込み部分の上方に外側から土をかき寄せて覆土を行う覆土輪59が取り付けられている。
【0044】
覆土輪59は、ブラケット58側に支持される取付杆61に自由回転自在に軸支された円板からなる。覆土輪59の周面は歯車状の凹凸形状となっている。覆土輪59は、一部が溝肩部5aに挿入され、自由回転することによって溝肩部5aの土をかき寄せて覆土を行う。
【0045】
このため覆土輪59は、培土板36の側面板39に側面視において一部重複し、側面板39の外側において、溝肩部5aに対する作用位置が、埋設ガイド56の作用位置の後方に位置するように、埋設ガイド56の後方側に配置されている。ただし覆土輪59は、上記のように埋設ガイド56によって折り込まれた防根透水シート6の折り込み部分の上に覆土すればよいため、覆土輪59と埋設ガイド56とが側面視において一部重複する配置や、覆土輪59の作用位置が、埋設ガイド56の作用位置の後方側と一部重複する配置で埋設ガイド56の後方側に配置してもよい。
【0046】
前述の支持フレーム44の後端には、二股状の取付杆62が装着されている。該取付杆62には左右一対の敷設輪63が自由回転自在に軸支されている。上記敷設輪63は、埋設ガイド56と覆土輪59との間の前後位置に配置されている。敷設輪63は、培土板36の両側板39の間において、側面視で少なくとも一部が埋設ガイド56と覆土輪59とに重複する。敷設輪56は、左右両側が繰出転圧ローラ53によって溝肩部5aに転圧されて繰り出される防根透水シート6を、溝5内において溝5の両コーナ部(溝隅部)に押圧して位置決めする。
【0047】
シート敷設作業部32は、上記のように耕耘本体フレーム23に装着されるシート支持部51と繰出転圧ローラ52と埋設ガイド56と覆土輪59と敷設輪63とを備えた構成となっている。
【0048】
シート支持部51,繰出転圧ローラ53,埋設ガイド56,覆土輪59,敷設輪63は、培土板36における左右の側面板39の前後方向の略中央から後端までの範囲に配置されている。シート支持部51,繰出転圧ローラ53,埋設ガイド56,覆土輪59,敷設輪63のうち最後位置の敷設輪63の後端が、側面板39の最後端から所定の距離Lだけ前方に位置している。なお埋設ガイド56と覆土輪59は、支持フレーム43を格納姿勢に折り畳むことによって、前方上方に突出する格納姿勢に切り換えられる。
【0049】
上記のようにシート敷設装置4が取り付けられた管理作業機3を、変速レバー17の操作によってロータリ軸27を回転駆動しながら、前述のように作業者が後ずさりして図1に示されるF方向に前進させる。
【0050】
これによりまずロータリ部29の回転により、管理作業機3の走行軌跡に沿って、溝部耕耘爪28aが、本シート敷設装置4によって形成する溝5の幅と深さに圃場を連続的に耕耘する。同時に溝肩部耕耘爪28bが、溝用の耕耘部分の両側の溝肩部5aを連続的に浅く耕耘する。
【0051】
そして管理作業機3の走行に伴って耕耘土を溝成形部31の培土板36が左右方向に寄せて連続する溝8を形成する。このとき側面板39は形成する溝5の側壁に連続的に接し、側壁を押圧して均し、側壁を成形するとともに、側壁の土留めを行う。前面板38は、溝5の底面を成形する。そして肩部成形板37が溝5の左右両側の溝肩部5aを連続的に押し均し成形する。
【0052】
防根透水シート6は、管理作業機3の走行に伴い繰出転圧ローラ53を介して圃場に対して連続的に繰り出される。繰り出された防根透水シート6は、敷設輪63の転接によって整形後の溝5のコーナー部に位置決めされながら、側端部が埋設ガイド56によって連続的に溝肩部5a内に折り込み挿入される。
【0053】
そして覆土輪59が防根透水シート6の溝肩部5a内への折り込み部分の上方に覆土を行う。防根透水シート6の両側端部分の折れ込み端は、連続的な覆土により重量が加えられて閉鎖され固定される。以上のように作溝,溝の整形,防根透水シート6の敷設,防根透水シート6の固定を1行程で行うことができる。
【0054】
埋設ガイド56及び覆土輪59は、前述のように培土板36の側面板39の外側方に配置されている。このため埋設ガイド56は、培土板36の側面板39が溝5の側壁を均すように側壁に接して土留めしている範囲の側方において、溝肩部5a内に防根透水シート7の側端部とともに挿入される。
【0055】
上記埋設ガイド56の溝肩部5a内への挿入は、上記のように溝5の側壁を培土板36の側面板39が土留めしている状態で行われるため、埋設ガイド56による防根透水シート6端部の溝肩部5a内への折り込み作業が、溝5の特に側壁の崩れが防止された状態で安定して行われる。
【0056】
覆土輪59は、埋設ガイド56による防根透水シート6の側端部の溝肩部5a内への折り込み作業後に、耕耘された溝肩部5a内に挿入されて、上記覆土作業を行う。この際覆土輪59の溝肩部5a内への挿入は、上記のように溝5の側壁を培土板36の側面板39が押えて土留めしている状態で行われるため、覆土輪59による覆土作業が、溝5の特に側壁の崩れが防止された状態で安定して行われる。
【0057】
本実施形態の場合は、埋設ガイド56及び覆土輪59の両方が、培土板36の側面板39による土留め作用の範囲内となる、該側面板39の外側方における側面板39の後端位置より前方に、側面視において一部が側面板39に重複するように配置されているため、溝5の特に側壁の崩れが防止された状態で、埋設ガイド56による防根透水シート6の側端部の溝肩部5a内への折り込み作業と覆土輪59による覆土作業とが両方安定して行われる。
【0058】
本実施形態の場合は、埋設ガイド56及び覆土輪59の両方が、培土板36の側面板39の外側方における側面板39の後端位置より前方に配置されているため、上記のように埋設ガイド56による防根透水シート6の側端部の溝肩部5a内への折り込み作業と覆土輪59による覆土作業の両方が、溝5の特に側壁の崩れが防止された状態で安定して行われる。
【0059】
ただし場合によっては埋設ガイド56又は覆土輪59の一方のみを培土板36の側面板39の後端位置より前方に配置し、防根透水シート6の折り込み作業又は覆土作業を培土板36の側面板39による土留め作用が効いている状態で実行させることもできる。
【0060】
なお埋設ガイド56及び覆土輪59は、培土板36の側面板39による溝5の側壁の土留め作用範囲内で、防根透水シート6の側端部の溝肩部8a内への折り込み作業や、覆土作業を行うことによって、溝5の特に側壁の崩れが防止された状態で上記作業を行うことができる。
【0061】
このため埋設ガイド56や覆土輪59を、必ずしも上記のように完全に培土板36の側面板39の後端より前方内に収める必要はなく、上記培土板36による土留め作用範囲内で、埋設ガイド56や覆土輪59を、培土板36の側面板39の後端より後方に突出させることもできる。また本実施形態においては、埋設ガイド56と覆土輪59は、側面視において側面板39の上方に一部突出した状態で、側面板39に対して重複しているが、上記培土板36による土留め作用範囲内であれば、側面板39に対して任意の上下位置に配置することができる。
【0062】
埋設ガイド56や覆土輪59は、上記培土板36の側面板39の後端より後方に突出させることもできる範囲を含めた側面板39の後端部範囲内に設ければよい。上記のように前方に向かって走行する管理作業機3の後方にシート敷設装置4が装着されるため、後方側が培土板36による溝成形の進行方向の後方側となる。
【0063】
本シート敷設装置4に、従来公知の図4に示されるような、弾力性を有する線材を滑らかに後方に向けて湾曲させた形状の埋設ガイド64を使用することもできる。埋設ガイド64は、自由端部が溝肩部5aの上方に位置し、繰出転圧ローラ53によって溝肩部5aに敷設される防根透水シート6の両側端部を、下側に向けて摺接案内して肩部の堆積耕耘土内に押し込み折り曲げた状態とする。
【0064】
埋設ガイド64は、培土板36の側面板39の後端より前方の範囲に設けられる。ただし側面板39による溝5の側壁の土留め作用範囲内で、側面板39の後端より後方に突出させてもよい。
【0065】
この場合も埋設ガイド64は、溝5の側壁を培土板36の側面板39が押えて土留めしている状態で防根透水シート6の側端部の溝肩部85内への折り込み作業を行う。このため上記円板状の埋設ガイド56の場合と同様に、防根透水シート6の側端部の溝肩部5a内への折り込み作業を、溝5の特に側壁の崩れが防止された状態で安定して行うことができる。
【0066】
弾力性を有する線材によって埋設ガイド64を構成することによって、埋設ガイドの構造を簡単にすることができる。ただし図1〜3に示されるように、埋設ガイド56を薄板円板から構成することによって、埋設ガイド56(円板)の厚さを、上記線材からなる埋設ガイド64の厚さ(線材の太さ)より小さく(薄く)することができる。
【0067】
上記のように埋設ガイド56を薄板円板から構成することによって、埋設ガイドの溝肩部5aへの挿入幅を小さく抑えることができる。これにより防根透水シート6の溝肩部5aへの挿入を円滑に行い、自由回転により防根透水シート6を円滑に溝肩部5a内に折り込むことができる。
【0068】
なお本実施形態においては、上記両シート敷設装置も、根圏抑制栽培法において使用する防根透水シート6を凹状の溝5に対して敷設する場合を例に説明したが、防根透水シート6の他、どのようなシートであっても、該シートを凹状の溝に敷設する場合に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本シート敷設装置を使用したシート敷設作業機の側面図である。
【図2】本シート敷設装置を使用したシート敷設作業機の斜視図である。
【図3】本シート敷設装置を使用したシート敷設作業機によるシート敷設作業を示す斜視図である。
【図4】埋設ガイドを線材によって構成したシート敷設装置を使用したシート敷設作業機の斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
5 溝
5a 溝肩部
6 防根透水シート(シート)
31 溝成形部
32 シート敷設作業部
56 埋設ガイド
59 覆土輪(覆土体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝(5)の側壁を成形して土留めを行う溝成形部(31)と、上記溝(5)にシート(6)を敷設するシート敷設作業部(32)とを備え、上記シート敷設作業部(32)が、溝(5)に沿って敷かれたシート(6)の側端部を、溝(5)の両側方の溝肩部(5a)中に折り曲げて折り込む埋設ガイド(56)を備えたシート敷設装置において、前記埋設ガイド(56)を、溝成形部(31)による土留め作用の範囲内で溝成形部(31)の側方に配置したシート敷設装置。
【請求項2】
耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝(5)の側壁を成形して土留めを行う溝成形部(31)と、上記溝(5)にシート(6)を敷設するシート敷設作業部(32)とを備え、上記シート敷設作業部(32)が、溝(5)の両側方の溝肩部(5a)に挿入されてシート(6)の側端部に覆土を行う覆土体(59)を備えたシート敷設装置において、上記覆土体(59)を、溝成形部(31)による土留め作用の範囲内で溝成形部(31)の側方に配置したシート敷設装置。
【請求項3】
耕耘土を両側方に寄せて凹状の溝(5)の側壁を成形して土留めを行う溝成形部(31)と、上記溝(5)にシート(6)を敷設するシート敷設作業部(32)とを備え、上記シート敷設作業部(32)が、溝(5)に沿って敷かれたシート(6)の側端部を、溝(5)の両側方の溝肩部(5a)中に折り曲げて折り込む埋設ガイド(56)と、溝肩部(5a)に挿入されて、シート(6)の溝肩部(5a)内への折り込み部分の上方に覆土を行う覆土体(59)とを備えたシート敷設装置において、埋設ガイド(56)と覆土体(59)とを、共に溝成形部(31)による土留め作用の範囲内で溝成形部(31)の側方に配置したシート敷設装置。
【請求項4】
埋設ガイド(56)が、自由回転自在な円板からなる請求項1又は3のシート敷設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−202478(P2007−202478A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25693(P2006−25693)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】