説明

シート状化粧料取り出し具

【課題】容易に且つ安定的に所望箇所へ載せ換え可能なシート状化粧料取り出し具を提供する。
【解決手段】凍結乾燥してなる水溶性の多孔質体からなるシート状化粧料1を収納ケースから取り出すための取り出し具10であって、手で把持するための持ち手部11と、持ち手部11の先端部に設けられ、シート状化粧料1に突き刺して、シート状化粧料1を保持する刺突部12とを備えた。刺突部12として、複数本の繊維材23を芯材24に対して放射状に設けてなるブラシ体からなる刺突部22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結乾燥してなる水溶性の多孔質体からなるシート状化粧料を収納ケースから取り出すためのシート状化粧料取り出し具に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンなどの保湿成分の水溶液を凍結乾燥することで製作した、水溶性の多孔質体からなるシート状化粧料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このシート状化粧料を使用する際には、例えば目尻や眉間、目の下や額、口元など、皺やしみが発生し易い箇所に、化粧水を塗布した後、該化粧水を塗布した箇所にシート状化粧料を載せて、シート状化粧料を化粧水で溶かして、保湿成分を皮膚に浸透させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−279296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このシート状化粧料は、直径1cm、厚さ1mm程度の小さな円板状のものでも、1000円以上もする高価なものであるが、大変軽量な多孔質体であり、しかも僅かな力を加えるだけで潰れてしまうことから、十分に注意しながら指で摘んだ場合であっても、シート状化粧料が潰れて溶解性が低下したり、シート状化粧料が指に貼り付いて所望の位置へ上手に載せることができなかったりして、利用者に大きな不満が残ることがあった。
【0005】
また、ピンセットで摘んで移載したり、粘着部に貼り付けて移載したりすることも可能であるが、前者の場合には、ピンセットで摘んだときに、シート状化粧料が潰れてしまい、溶解性が低下するという問題があるとともに、ピンセットの先端部で顔を傷つけてしまうことも懸念され、後者の場合には、粘着力が強いと移載できず、粘着力が弱いと途中で落下してしまうという問題があり、粘着力を適正にコントロールすることが大変難しいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、容易に且つ安定的に所望箇所へ載せ換え可能なシート状化粧料取り出し具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシート状化粧料取り出し具は、凍結乾燥してなる水溶性の多孔質体からなるシート状化粧料を収納ケースから取り出すための取り出し具であって、手で把持するための持ち手部と、前記持ち手部の先端部に設けられ、前記シート状化粧料に突き刺して、該シート状化粧料を保持する刺突部とを備えたものである。
【0008】
このシート状化粧料取り出し具を用いて、例えば目尻や眉間、目の下や額、口元など、皺やしみが発生し易く、お手入れしたいスキンケア箇所に、該シート状化粧料を移載する際には、予めスキンケア箇所に化粧液を塗布するとともに、刺突部をシート状化粧料に突き刺して、シート状化粧料取り出し具にシート状化粧料を保持させ、収納ケースからシート状化粧料を取り出して、化粧水を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料を載置する。すると、シート状化粧料が化粧液に貼り付いて溶解しだし、溶解途中で刺突部をシート状化粧料から抜き取る方向へ移動させることで、シート状化粧料が前記スキンケア箇所に移載されることになる。こうして、シート状化粧料をスキンケア箇所の化粧液に溶かして、スキンケア箇所に指でなじませ、スキンケア箇所の皮膚に浸透させることになる。
【0009】
このように、このシート状化粧料取り出し具では、刺突部をシート状化粧料に突き刺して、シート状化粧料を取り出し具に保持するので、シート状化粧料を指で摘んだり、ピンセットで摘んだりする場合のように、シート状化粧料が潰れてしまうことを防止して、シート状化粧料の溶解が円滑になされなくなるという問題の発生を未然に防止できる。また、化粧液を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料を載せると、シート状化粧料がスキンケア箇所に密着するとともに、シート状化粧料に化粧液が浸透して、シート状化粧料が軟化して溶解するので、刺突部に対するシート状化粧料の引き抜き強度を高めて、移載途中におけるシート状化粧料の脱落を防止しつつ、スキンケア箇所に移載したシート状化粧料から刺突部を容易に引き抜くことが可能となる。
【0010】
ここで、前記刺突部が複数本の繊維材からなることが好ましい実施の形態である。シート状化粧料は、前述のように多孔質体なので、刺突部を繊維材で構成することで、シート状化粧料の微細孔に繊維材を突き刺して、刺突部にシート状化粧料を円滑に保持できる。しかも、繊維材の直径を適正に設定することで、シート状化粧料の刺突部からの引き抜き強度を容易に調整できる。
【0011】
前記刺突部としての複数本の繊維材を相互に角度を付けて配置することも好ましい実施の形態である。このように構成することで、繊維材によるシート状化粧料の保持力を高めて、移載途中におけるシート状化粧料の脱落を効果的に防止できる。
【0012】
前記刺突部が、複数本の繊維材を芯材に対して放射状に設けてなるブラシ体からなることも好ましい実施の形態である。このように構成することで、刺突部を構成する複数の繊維材に相互に角度を付けて、シート状化粧料の保持力を容易に高めることができる。
【0013】
前記刺突部が、前記持ち手部の先端部に設けた植毛台と、前記植毛台に複数植設される、複数本の繊維材を束ねた毛束とを有するブラシ体からなることも好ましい実施の形態である。このような構成の刺突部は、歯ブラシの植毛台に対する毛束の植設技術を利用して容易に設けることができる。
【0014】
前記刺突部が、複数本の繊維材を束ねた毛束からなるブラシ体からなることも好ましい実施の形態である。このような構成の刺突部は、毛筆の製造技術を利用して容易に設けることができる。
【0015】
前記刺突部を複数個設けて、前記シート状化粧料の複数個所を保持可能となすことも好ましい実施の形態である。このように、複数個の刺突部を形成すると、大きなシート状化粧料を保持することができる。
【0016】
刺突部を繊維材で構成する代わりに、前記持ち手部に、前記刺突部としての突起を一体成形することもできる。この場合には、シート状化粧料取り出し具の製作コストを大幅に安くすることができる。
【0017】
前記刺突部を金型のパーティングラインに沿って形成することが好ましい。このように構成することで、成形品のパーティングラインに沿って形成される小突起を刺突部として利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るシート状化粧料取り出し具によれば、刺突部をシート状化粧料に突き刺して、シート状化粧料を取り出し具に保持するので、シート状化粧料を指で摘んだり、ピンセットで摘んだりする場合のように、シート状化粧料が潰れてしまうことを防止して、シート状化粧料の溶解が円滑になされなくなるという問題の発生を未然に防止できる。また、化粧液を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料を載せると、シート状化粧料がスキンケア箇所に密着するとともに、シート状化粧料に化粧液が浸透して、シート状化粧料が軟化して溶解するので、刺突部に対するシート状化粧料の引き抜き強度を高めて、移載途中におけるシート状化粧料の脱落を防止しつつ、スキンケア箇所に移載したシート状化粧料から刺突部を容易に引き抜くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の取り出し具の斜視図
【図2】同取り出し具の一部切欠正面図
【図3】収納ケースからのシート状化粧料の取り出し方法の説明図
【図4】他の構成の第1の取り出し具の斜視図
【図5】他の構成の第1の取り出し具の斜視図
【図6】他の構成の第1の取り出し具の斜視図
【図7】第2の取り出し具の斜視図
【図8】図7のVIII-VIII線断面図
【図9】第3の取り出し具の斜視図
【図10】図9のX-X線断面図
【図11】他の構成の第3の取り出し具の斜視図
【図12】(a)〜(f)は植設可能な各種繊維材の説明図
【図13】第4の取り出し具の斜視図
【図14】図13のXIV-XIV線断面図
【図15】同取り出し具の製造方法の説明図
【図16】(a)〜(g)は使用可能な各種突起部の構成の説明図
【図17】シート状化粧料の適用部位の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図16に示すように、シート状化粧料取り出し具10は、凍結乾燥してなる水溶性の多孔質体からなるシート状化粧料1を収納ケース2から取り出すための取り出し具であって、手で把持するための持ち手部11と、持ち手部11の先端部に設けられ、シート状化粧料1に突き刺して、該シート状化粧料1を保持する刺突部12とを備えている。
【0021】
シート状化粧料1は、コラーゲンなどの保湿成分の水溶液を凍結乾燥して製作した水溶性の多孔質体で構成されている。シート状化粧料1の形状は、お手入れしたいスキンケア箇所に適合した、円形や楕円形や涙形などの任意の形状に形成することができる。例えば、図17に示すように、目尻や眉間には円形のシート状化粧料1A、1Bを用い、目の下には涙形のシート状化粧料1C、1Dを用い、額には小判形のシート状化粧料1Eを用い、口元には楕円形のシート状化粧料1Fを用いることができる。このシート状化粧料1を使用する際には、化粧水を所望のスキンケア箇所に塗布した後、該スキンケア箇所にシート状化粧料1を載せて、シート状化粧料1を化粧水で溶かし、保湿成分等を皮膚に浸透させることになる。
【0022】
取り出し具10は、刺突部12の構成により次の4つのタイプに大別される。
第1の取り出し具20、20A、20B、20Cは、図1〜図6に示すように、複数本の繊維材を芯材に対して放射状に設けてなるブラシ体からなる刺突部22を備えたものであり、第2の取り出し具30は、図7、図8に示すように、複数本の繊維材を束ねたブラシ体からなる刺突部32を備えたものであり、第3の取り出し具40、40Aは、図9〜図12に示すように、持ち手部41、41Aの先端部に設けた植毛台46、46Aに、複数本の繊維材43を束ねた毛束を植設したブラシ体からなる刺突部42、42Aを備えたものあり、第4の取り出し具50は、図13〜図16に示すように、持ち手部11の先端部に一体成形した突起からなる刺突部52を備えたものである。
【0023】
(第1の取り出し具)
図1〜図3に示す第1の取り出し具20は、手で持って操作するための持ち手部21と、複数本の繊維材23を芯材24に対して放射状に設けたブラシ体からなる刺突部22とを備えている。
【0024】
持ち手部21は、棒状の本体部25と、本体部25の先端部をU字状に分岐させてなる1対のアーム部26とを有し、合成樹脂の一体成形品で構成されている。なお、持ち手部21としては、手で持って操作可能で、且つ、刺突部22を架設状に支持可能なものであれば、任意の形状のものを採用することができる。
【0025】
刺突部22は、歯間ブラシのブラシ部と同様にして製作することができ、二つ折りにした金属細線間に複数本の繊維材23を平行に配置した状態で、該金属細線を捩じって、金属細線からなる芯材24に対して繊維材23を放射状に設け、該繊維材23を所定長さに毛切りしてなるブラシ体で構成されている。刺突部22の両端部には芯材24が突出状に設けられ、刺突部22は、芯材24の両端部をアーム部26の両端部に埋設保持させることによって、持ち手部21の両アーム部26の先端部間に架設状に支持されている。
【0026】
繊維材23の素材としては、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、これらの樹脂の混合物その他の合成樹脂製のものを適宜選択できる。また、フィラメント内部に微粒子や化学物質などを添加してもよい。また芯材24は、本例のように金属細線より構成する場合、SUS304、SUS316等のステンレス鋼線等が好適に採用でき、例えばマンガンを多く含むステンレス鋼線を用いることができ、その他、コバルト合金等を用いることもできる。
【0027】
繊維材23の直径は、シート状化粧料1への刺突性を向上して、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.35mmのものを好適に採用できる。繊維材23の先端部は、毛切りしたそのままの形状に構成することもできるし、先端部を鍵形に構成したり、球状に形成したりすることもできる。
【0028】
この取り出し具20では、本体部25を指で摘んで、取り出し具20を保持した状態で、図3に示すように、収納ケース2に収容されたシート状化粧料1に、取り出し具20の刺突部22を上側から押し当てて、刺突部22の繊維材23をシート状化粧料1に突き刺し、取り出し具20にシート状化粧料1を保持することになる。そして、シート状化粧料1を保持した状態或いは保持する前に、所望のスキンケア箇所に化粧水を塗布し、該化粧水にシート状化粧料1を載せて、シート状化粧料1を化粧水で溶かし、保湿成分等を皮膚に浸透させることになる。また、化粧液を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料1を載せると、シート状化粧料1がスキンケア箇所に密着するとともに、シート状化粧料1に化粧液が浸透して、シート状化粧料1が軟化して溶解するので、刺突部22に対するシート状化粧料1の引き抜き強度を高めて、移載途中におけるシート状化粧料1の脱落を防止しつつ、スキンケア箇所に移載したシート状化粧料1から刺突部22を容易に引き抜くことが可能となる。また、この刺突部22では、放射状に配置した繊維材23にシート状化粧料1を突き刺して保持するので、移載途中等におけるシート状化粧料1の脱落を効果的に防止することができる。
【0029】
次に、第1の取り出し具20の構成を部分的に変更した他の実施例について説明する。なお、前記実施例の第1の取り出し具20と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0030】
(1)図4に示す取り出し具20Aのように、前記刺突部22をU字状に湾曲させてなる1対の刺突部22Aを設け、該刺突部22Aを両アーム部26の先端部間に架設状に設けて、両刺突部22Aをシート状化粧料1の外縁に沿うように形成することもできる。この場合には、額等に使用する大型のシート状化粧料1であっても、安定性良く保持することができる。なお、両刺突部22Aは、シート状化粧料1の形状に応じて適宜設定することができ、円形や楕円形、涙形などに形成することもできる。
【0031】
(2)図5に示す取り出し具20Bのように、持ち手部21に代えて、棒状の本体部25Bと、本体部25Bの先端部をV字状に分岐させてなる1対のアーム部26Bとを有する持ち手部21Bを設け、両アーム部26Bの先端部に芯材24の一端部を埋設させて、両アーム部26Bの先端部に、前記刺突部22と同様の構成の刺突部22Bを片持ち状にそれぞれ設けることもできる。この場合には、比較的大型のシート状化粧料1であっても、安定性良く保持することができる。なお、本体部25Bの先端部を二股状に分岐させたが、三股以上に分岐させて、その先端部に刺突部22Bをそれぞれ設けることもできる。
【0032】
(3)図6に示す取り出し具20Cのように、持ち手部21に代えて、棒状の本体部25Cからなる持ち手部21Cを設け、前記刺突部22を環状に丸めてなる刺突部22Cを設けて、該刺突部22Cの両端部の芯材24を本体部25Cの先端部に埋設固定することもできる。この場合には、比較的大型のシート状化粧料1であっても、安定性良く保持することができる。なお、刺突部22Cの形状は、シート状化粧料1の形状に応じて適宜設定することができ、円形や楕円形、涙形などに形成することもできる。
【0033】
(第2の取り出し具)
図7、図8に示す第2の取り出し具30は、手で持って操作可能な持ち手部31と、持ち手部31の先端部に設けた、複数本の繊維材33を束ねたブラシ体からなる刺突部32とを備えている。
【0034】
持ち手部31は、棒状の本体部35と、本体部35の先端部を二股状に分岐させてなる1対のアーム部36とを有し、合成樹脂の一体成形品で構成されている。なお、持ち手部31としては、手で持って操作可能で、且つ、刺突部32を植設可能なものであれば、任意の形状のものを採用することができる。また、本実施例では、2本のアーム部36の先端部に刺突部32をそれぞれ取付けたが、シート状化粧料1の大きさに応じて、例えば小型のシート状化粧料1を保持する場合には、アーム部36を省略して本体部35の先端部に1つの刺突部32を取り付けることも可能であるし、また大型のシート状化粧料1を保持する場合には、3本以上のアーム部36を設けて、それぞれのアーム部36の端部に刺突部32を設けることも可能である。
【0035】
刺突部32は、ワンタフト歯ブラシのブラシ部と同様にして製作することができる。即ち、複数本の繊維材33を束ねてなる毛束の一端部を加熱し、毛束の一端部に毛束よりもやや大径の焼玉32aを形成し、この焼玉32aにより複数本の繊維材33を接合したものである。
【0036】
アーム部36に対する刺突部32の固定構造について説明すると、図8に示すように、アーム部36の先端部には小径の取付突部37が形成され、取付突部37には円筒状の固定筒38が外嵌されている。取付突部37の途中部には環状の係止突起37aが形成され、固定筒38の内周面には係止突起37aに係合可能な環状の係合溝38aが形成され、固定筒38は、係合溝38aに係止突起37aを係合させて、取付突部37に軸方向に移動不能に外嵌されている。取付突部37よりもやや先端側において固定筒38の内周面には環状の段差部38bが形成され、刺突部32は、その先端部を固定筒38の基端側から挿入した状態で、固定筒38を取付突部37に嵌合固定することで、取付突部37と段差部38b間に焼玉32aの外周部を保持させて、アーム部36の先端部に固定されている。ただし、刺突部32は、上記した以外の固定構造にて固定することも可能である。
【0037】
繊維材33としては、前記第1の取り出し具20の刺突部22を構成する繊維材23と同様の繊維材を採用することができる。刺突部32を構成する複数本の繊維材33は、相互に平行に配置することも可能であるが、先端側広がりの傾斜状に配置すると、シート状化粧料1に対して刺突部32を突き刺した状態での保持強度を向上できるので好ましい。また、刺突部32の先端部は、繊維材33の長さ方向と直交する方向に毛切りしたが、先鋭に毛切りすることも可能である。
【0038】
この取り出し具30では、本体部35を指で摘んで、取り出し具30を保持した状態で、第1の取り出し具20と同様に、収納ケース2に収容されたシート状化粧料1に、取り出し具30の刺突部32を上側から押し当てて、刺突部32の繊維材33をシート状化粧料1に突き刺し、取り出し具30にシート状化粧料1を保持することになる。そして、シート状化粧料1を保持した状態或いは保持する前に、所望のスキンケア箇所に化粧水を塗布し、該化粧水にシート状化粧料1を載せて、シート状化粧料1を化粧水で溶かし、保湿成分等を皮膚に浸透させることになる。また、化粧液を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料1を載せると、シート状化粧料1がスキンケア箇所に密着するとともに、シート状化粧料1に化粧液が浸透して、シート状化粧料1が軟化して溶解するので、刺突部32に対するシート状化粧料1の引き抜き強度を高めて、移載途中におけるシート状化粧料1の脱落を防止しつつ、スキンケア箇所に移載したシート状化粧料1から刺突部32を容易に引き抜くことが可能となる。
【0039】
(第3の取り出し具)
図9、図10に示す第3の取り出し具40は、手で持って操作可能な持ち手部41と、持ち手部41の先端部の植毛台46に、複数本の繊維材43を束ねた毛束を植設したブラシ体からなる刺突部42とを備えたものである。
【0040】
持ち手部41は、棒状の本体部45と、本体部45の先端部に設けた環状の植毛台46とを有し、合成樹脂の一体成形品で構成されている。なお、植毛台46としては、毛束を植設して刺突部42を構成可能なものであれば、シート状化粧料1の大きさや形状に応じて適宜設定することができ、円形や楕円形、涙形、直線状や湾曲状などに形成することもできる。例えば、図11に示す第3の取り出し具40Aのように、持ち手部41に代えて、本体部45Aの先端部に、本体部45Aに対して直交する細長い直線状の植毛台46Aを設けた持ち手部41Aを用い、該植毛台46Aに毛束を植設した刺突部42Aを設けることも可能である。
【0041】
刺突部42は、歯ブラシのブラシ部と同様に、複数の繊維材43からなる毛束を植設して製作することができる。具体的には、植毛台46の毛束の植設位置に対応させて植毛孔を形成し、複数本の繊維材43を束ねて二つ折りにし、折り曲げ部の内側に平線を配置させた状態で、折り曲げ部を平線とともに植毛孔に圧入することで植設できる。
【0042】
繊維材43としては、前記第1の取り出し具20における刺突部22を構成する繊維材23と同様の繊維材を採用することができる。刺突部42を構成する複数本の繊維材43は、相互に平行に配置することも可能であるが、先端側広がりの傾斜状に配置すると、シート状化粧料1に対して刺突部42を突き刺した状態での保持強度を向上できるので好ましい。また、繊維材43としては、図12(a)に示すように、先端部を放射状に分岐させた繊維材43Aや、図12(b)に示すように、先端近傍部に繊維材43の長さ方向に直交する複数の短繊維47Bを、繊維材43の長さ方向に間隔をあけて複数設けた繊維材43Bや、図12(c)に示すように、V字状に配置した2本の短繊維47Cを、先端近傍部に繊維材43の長さ方向に間隔をあけて複数設けた繊維材43Cや、図12(d)に示すように、倒立V字状に配置した2本の短繊維47Dを、先端近傍部に繊維材43の長さ方向に間隔をあけて複数設けた繊維材43Dや、図12(e)に示すように、先端部を斜め下側へ折り曲げた繊維材43Eや、図12(f)に示すように、波形状に成形した繊維材43Fなどを、単体又は複数本束ねて植設することができる。
【0043】
この第3の取り出し具40では、本体部45を指で摘んで、取り出し具40を保持した状態で、第1の取り出し具20と同様に、収納ケース2に収容されたシート状化粧料1に、取り出し具40の刺突部42を上側から押し当てて、刺突部42の繊維材43をシート状化粧料1に突き刺し、取り出し具40にシート状化粧料1を保持することになる。そして、シート状化粧料1を保持した状態或いは保持する前に、所望のスキンケア箇所に化粧水を塗布し、該化粧水にシート状化粧料1を載せて、シート状化粧料1を化粧水で溶かし、保湿成分等を皮膚に浸透させることになる。また、化粧液を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料1を載せると、シート状化粧料1がスキンケア箇所に密着するとともに、シート状化粧料1に化粧液が浸透して、シート状化粧料1が軟化して溶解するので、刺突部42に対するシート状化粧料1の引き抜き強度を高めて、移載途中におけるシート状化粧料1の脱落を防止しつつ、スキンケア箇所に移載したシート状化粧料1から刺突部42を容易に引き抜くことが可能となる。
【0044】
(第4の取り出し具)
図13、図14に示す第4の取り出し具50は、手で持って操作可能な持ち手部51と、持ち手部51の先端部に一体成形した突起からなる刺突部52とを備えている。
【0045】
持ち手部51は、棒状の本体部55と、細長い直線状の保持部56とを有し、合成樹脂の一体成形品で構成されている。なお、保持部56としては、刺突部52としての突起を一体成形可能なものであれば、シート状化粧料1の大きさや形状に応じて、適宜の大きさや形状に設定することができ、円形や楕円形、涙形、直線状や湾曲した曲線状などに形成することができる。
【0046】
刺突部52は、保持部56に一体成形した突起から構成されている。具体的には、図15に示すように、持ち手部51を成形する金型60、61のパーティングライン62に沿って延びる断面楔状の先鋭な突起を形成することができる。このようにパーティングライン62に沿って刺突部52としての突起を形成すると、先鋭な刺突部52を容易に成形することができる。刺突部52は、保持部56に沿って連続的に延びる突起で構成することも可能であるし、保持部56に点在させた複数の突起で構成することも可能である。刺突部52としては、図16(a)に示す刺突部52Aのように、先端部に球状部57Aを形成した突起からなるものや、図16(b)に示す刺突部52Bのように、矢印形状の突起からなるものや、図16(c)に示す刺突部52Cのように、先端部に側方へ突出する先鋭突起57Cを形成した突起からなるものや、図16(d)に示す刺突部52Dのように、先端近傍部の両側部に波形部57Dを形成した突起からなるものや、図16(e)に示す刺突部52Eのように、山形断面の突起からなるものや、図16(f)に示す刺突部52Aのように、矩形断面の突起からなるものや、図16(g)に示す刺突部52Gのように、台形断面の突起からなるものなどを採用できる。
【0047】
この第4の取り出し具50では、本体部55を指で摘んで、取り出し具50を保持した状態で、第1の取り出し具20と同様に、収納ケース2に収容されたシート状化粧料1に、取り出し具50の刺突部52を上側から押し当てて、刺突部52の突起をシート状化粧料1に突き刺し、取り出し具50にシート状化粧料1を保持することになる。そして、シート状化粧料1を保持した状態或いは保持する前に、所望のスキンケア箇所に化粧水を塗布し、該化粧水にシート状化粧料1を載せて、シート状化粧料1を化粧水で溶かし、保湿成分等を皮膚に浸透させることになる。また、化粧液を塗布したスキンケア箇所にシート状化粧料1を載せると、シート状化粧料1がスキンケア箇所に密着するとともに、シート状化粧料1に化粧液が浸透して、シート状化粧料1が軟化して溶解するので、刺突部52に対するシート状化粧料1の引き抜き強度を高めて、移載途中におけるシート状化粧料1の脱落を防止しつつ、スキンケア箇所に移載したシート状化粧料1から刺突部52を容易に引き抜くことが可能となる。しかも、持ち手部51と刺突部52とを一体成形品で構成しているので、繊維材43で刺突部を構成する場合と比較して格段に安価に製作することができる。なお、前記刺突部は任意に組み合わせて持ち手部に設けることも可能である。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 シート状化粧料 1A シート状化粧料
1B シート状化粧料 1C シート状化粧料
1E シート状化粧料 1F シート状化粧料
2 収納ケース
10 取り出し具 11 持ち手部
12 刺突部
20 取り出し具 21 持ち手部
22 刺突部 23 繊維材
24 芯材 25 本体部
26 アーム部
20A 取り出し具 22A 刺突部
20B 取り出し具 21B 持ち手部
22B 刺突部 25B 本体部
26B アーム部
20A 取り出し具 21C 持ち手部
22C 刺突部 25C 本体部
30 取り出し具 31 持ち手部
32 刺突部 32a 焼玉
33 繊維材 35 本体部
36 アーム部 37 取付突部
37a 係止突起 38 固定筒
38a 係合溝 38b 段差部
40 取り出し具 41 持ち手部
42 刺突部 43 繊維材
45 本体部 46 植毛台
40A 取り出し具 41A 持ち手部
42A 刺突部 45A 本体部
46A 植毛台
43A 繊維材 43B 繊維材
43C 繊維材 43D 繊維材
43E 繊維材 43F 繊維材
47B 短繊維 47C 短繊維
47D 短繊維
50 取り出し具 51 持ち手部
52 刺突部 55 本体部
56 保持部 60 金型
61 金型 62 パーティングライン
52A 刺突部 52B 刺突部
52C 刺突部 52D 刺突部
52E 刺突部 52G 刺突部
57A 球状部 57C 先鋭突起
57D 波形部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥してなる水溶性の多孔質体からなるシート状化粧料を収納ケースから取り出すための取り出し具であって、
手で把持するための持ち手部と、
前記持ち手部の先端部に設けられ、前記シート状化粧料に突き刺して、該シート状化粧料を保持する刺突部と、
を備えた、ことを特徴とするシート状化粧料取り出し具。
【請求項2】
前記刺突部が複数本の繊維材からなる請求項1記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項3】
前記刺突部としての複数本の繊維材を相互に角度を付けて配置した請求項1又は2記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項4】
前記刺突部が、複数本の繊維材を芯材に対して放射状に設けてなるブラシ体からなる請求項1〜3のいずれか1項記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項5】
前記刺突部が、前記持ち手部の先端部に設けた植毛台と、前記植毛台に複数植設される、複数本の繊維材を束ねた毛束とを有するブラシ体からなる請求項1〜3のいずれか1項記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項6】
前記刺突部が、複数本の繊維材を束ねた毛束からなるブラシ体からなる請求項1〜3のいずれか1項記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項7】
前記刺突部を複数個設けて、前記シート状化粧料の複数個所を保持可能となした請求項1〜6のいずれか1項記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項8】
前記持ち手部に、前記刺突部としての突起を一体成形した請求項1記載のシート状化粧料取り出し具。
【請求項9】
前記刺突部を金型のパーティングラインに沿って形成した請求項8記載のシート状化粧料取り出し具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−217577(P2012−217577A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85403(P2011−85403)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)