説明

シート状物の展張構造

【課題】展張枠体内にシート状物を強固に展張する組み付け操作が容易な展張構造を提供する。
【解決手段】長尺の枠材12を枠組みして成る展張枠体内に、シート状物6がその周縁部10を展張用部材15を介して枠材に取付けられて展張され、シート状物の周縁部が周縁部の長手方向と平行に配された棒状部材26を抱いて曲げ返され、曲げ返された周縁部と該曲げ返された周縁部より内がわの周縁部とが重畳されてなる重畳部11が形成され、枠材が重畳部を沿わせて案内する案内部13を備え、棒状部材を抱いた部分の周縁部が棒状部材を抱いた状態で展張用部材を介して枠材に係合され、重畳部が案内部に沿って曲げられて枠材の長手方向に延びる稜を形成して展張枠体の内がわに向けて張られるシート状物の展張構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展張枠体内シート状物が展張された展張構造に関する。
【背景技術】
【0002】
展張枠体内シート状物を展張する方式は従来より各種開示されている。例えば、略コ字状の枠体の両端にシート挿入溝を設け、該シート挿入溝に連通してシート端部の保持杆の挿通孔を設けた保持枠にボルト取付孔を設けて止め金具を構成せしめたもの、(例えば、特許文献1参照。)や、シート周縁部に押え部材をあてがい且つ前記押え部材を取付溝に押込むことによりシートを引っ張りながらシート周縁部をシート取付枠に固定するもの(例えば、特許文献2、3参照。)が知られている。
【0003】
前者は、展張力が略コ字状の枠体の両端に集中してかかるので、安定した強力な展張構造を得るうえでは不充分である。後者は、シート端縁を固定する機構と、シートに張力を付与する機構とがそれぞれ設けられ、構造が複雑で構成部材も多く、展張操作も手間がかかる。
【特許文献1】特開平10−113276号公報
【特許文献2】特開2000−19998号公報
【特許文献3】実開平03−5187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、展張枠体内にシート状物を強固に展張する組み付け操作が容易な展張構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨とするところは、長尺の枠材を枠組みして成る展張枠体内に、シート状物がその周縁部を展張用部材を介して該枠材に取付けられて展張され、
前記シート状物の周縁部が該周縁部の長手方向と平行に配された棒状部材を抱いて曲げ返され、曲げ返された該周縁部と該曲げ返された周縁部より内がわの周縁部とが重畳されてなる重畳部が形成され、
前記枠材が前記重畳部を沿わせて案内する案内部を備え、
前記棒状部材を抱いた部分の前記周縁部が前記棒状部材を抱いた状態で前記展張用部材を介して前記枠材に係合され、
前記重畳部が前記案内部に沿って曲げられて該枠材の長手方向に延びる稜を形成して前記展張枠体の内がわに向けて張られるシート状物の展張構造であることにある。
【0006】
前記展張構造においては、前記枠材が該枠材の長手方向に延びる基面と、自身の長手方向を該基面の長手方向と平行にして該基面から立直する基壁とを備え得、
前記展張用部材が、前記棒状部材を抱いた部分の前記周縁部を抱える抱え部を備えて、前記枠材に固定され得、
前記抱え部と前記基壁と前記基面とで、前記棒状部材を抱いた部分の前記周縁部が囲まれ得る。
【0007】
前記曲げ返された周縁部と該曲げ返された周縁部より内がわの前記周縁部とは、両面粘着テープを介して接着され得る。
【0008】
前記展張用部材は、前記枠材に締結用ネジを介して締結される締結部を備え得る。
【0009】
前記案内部は前記基壁の端縁であり得る。
【0010】
前記展張構造においては、前記枠材が、前記基面の前記基壁と反対がわのかたわらに位置して前記枠材の長手方向に延びる挿入溝と、前記基面のかたわらに該挿入溝を間にして位置して前記基面と平行な取付け面とを備え得、
前記展張用部材が、
自身の面方向を該挿入溝の長手方向と平行にしかつ前記挿入溝に自身の面方向に挿入される挿入板片部を備え得、
前記締結部が、該挿入板片部の一の縁部から該挿入板片部の面方向と略直交方向に延出され前記取付け面に当接し前記締結用ネジを介して該取付け面に締結される、固定用板片部を備え得、
前記抱え部が前記一の縁部から前記基壁に向けて曲りつつ延出され得る。
【0011】
前記展張構造においては、前記展張用部材が長尺であり得、自身の長手方向を前記枠材の長手方向と平行に配され得る。
【0012】
前記展張構造においては、前記枠材の長手方向に亙って係止溝が設けられ得、該係止溝の底面が前記基面と前記取付け面とを構成し得、該係止溝の一の側壁が前記基壁を構成し得る。
【0013】
前記展張構造は、前記係止溝を覆う蓋板を備え得、前記蓋板が断面略L字形の長尺蓋部材の一辺を構成し得、該長尺蓋部材の他辺が前記枠材の前記枠体に関して外がわの側面に当接して該枠材に固定され得る。
【0014】
前記展張構造は、前記枠材を覆う蓋板を備え得、前記蓋板が断面略L字形の長尺蓋部材の一辺を構成し得、該長尺蓋部材の他辺が前記枠材の前記枠体に関して外がわの側面に当接して該枠材に固定され得る。
【0015】
前記展張構造は、前記枠材の少なくとも一部を覆う蓋板を備え得、前記蓋板の端部と、前記案内部との間に前記重畳部の該案内部に沿う部分が位置し得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、展張枠体内にシート状物を強固に展張する組み付け操作や張替え操作が容易で短時間で可能な展張構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の展張構造の実施形態について、図面を使用して説明する。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一又は同様の部材やものを示す。図1に示すように、本発明の展張構造2は、展張枠体4にシート状物6が展張された構造である。シート状物6の表面には公告用のメッセージや図柄8が記されていて、この展張構造2による構造体3は看板や標識として好適に用いられるものである。
【0018】
展張構造2においては、展張枠体4内(内がわ)に、シート状物6がその周縁部10を図1には不図示の展張用部材を介して展張枠体4を構成する長尺の枠材12に取付けて展張される。シート状物6の表面は展張枠体4の前面に位置し、看板や標識を見る者はシート状物6の表面及び展張枠体4の前面に面することとなる。
【0019】
図2に枠材12の断面方向、例えばA−A方向の断面にみた展張構造2の断面構成を示す。長尺の枠材12の長手方向に平行に延びて、展張枠体4(図1)の前面に開口する係止溝14が設けられる。係止溝14は展張枠体4が張る面に略平行な底面16を有し、底面16の幅方向に関して中間に係止溝14と平行して、即ち、枠材12の長手方向と平行に挿入溝19が係止溝14の深さ方向に深さを有して形成されている。
底面16は、係止溝14の展張枠体4に関して内がわの側壁55(基壁9)と挿入溝19との間の部分の底面16a(基面7)と、挿入溝19と係止溝14の展張枠体4に関して外がわの側壁25との間の部分の底面16b(取付け面33)とから構成される。即ち、枠材12が、基面7の基壁9と反対がわのかたわらに位置して枠材12の長手方向に延びる挿入溝19と、基面7のかたわらに挿入溝19を間にして位置して基面7と平行な取付け面33とを備える。底面16aと底面16bとは必ずしも面一でない。
【0020】
展張用部材15は、長尺の挿入板片部18と、長尺の抱え部20と、長尺の固定用板片部22とから構成される。挿入板片部18、抱え部20、固定用板片部22は互いに長手方向を平行にして配され、挿入板片部18は長手方向を挿入溝19の長手方向と平行にして挿入溝19に自身の面17の方向に挿入される。固定用板片部22は挿入板片部18の長縁部23から展張枠体4の外方に延出される。即ち、挿入板片部18と固定用板片部22とはL字形に交わる。抱え部20は断面が略円弧状であり、長縁部23から展張枠体4の内方に曲りつつ延出される。抱え部20は断面が鈎形であってもよい。
【0021】
周縁部10(図1)を構成する、シート状物6の周縁部10がその周縁部10の長手方向と平行に配された棒状部材26を抱いて曲げ返され、曲げ返された周縁部10aと曲げ返された周縁部よりシート状物6に関して内がわの周縁部10bとが重畳され、重畳部11が形成されている。周縁部10aと周縁部10bとは図2では不図示の粘着テープ等を介して接着されている。棒状部材26を抱いた部分の周縁部10が棒状部材26を抱いた状態で係止溝14に挿入されて抱え部20の曲りの内がわ面と、側面27と、底面16aとで囲まれる。
【0022】
固定用板片部22は自身の長手方向を挿入溝19の長手方向と平行にして取付け面33に面接し締結用ネジ29を介して締結される。締結用ネジ29はタッピングビスであることが好ましい。締結用ネジ29の締め付けにより、棒状部材26を抱いた部分の周縁部10が、棒状部材26を抱いた状態で、抱え部20の曲りの内がわ面と、側面27と、基面7とで強力に挟持され、枠材12に係合される。符号97、99は、固定用板片部22及び底面16b(取付け面33)にそれぞれの長手方向に延出してそれぞれ形成された、締結用ネジ29の位置決め用の浅溝である。締結用ネジ29は枠材12の長手方向に20〜40cmおきに設けられることが好ましい。なお、抱え部20を枠材12に固定する態様は、抱え部20を枠材12に固定する機構を有するものであれば図2に示す態様に限定されない。
【0023】
抱え部20は長尺であることが好ましいが、棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10を抱えるものであれば短尺のものが枠材12の長手方向に列状に複数個配された態様であってもよい。固定用板片部22も、長尺であることが好ましいが、抱え部20を枠材12に固定する機構を有するものであれば短尺のものが枠材12の長手方向に列状に複数個配された態様であってもよい。
【0024】
なお、抱え部20を枠材12に固定する図2に示す態様は、締結用ネジ29により固定用板片部22が締め付けられる部分と、挿入板片部18が挿入溝19の内壁面から反力を受ける部分とが、抱え部20が棒状部材26と棒状部材26を抱えた部分の周縁部10に把持して作用する位置に対するそれぞれ力点と支点の関係にあり、効果的な締結と把持がなされて好ましい。
【0025】
挿入板片部18は長尺であることが好ましいが、短尺のものが枠材12の長手方向に列状に複数個配された態様であってもよい。この場合、抱え部20と固定用板片部22のうちの少なくともいずれかが長尺であることが好ましい。
【0026】
又、図2に示す態様においては、重畳部11が係止溝14の展張枠体4(図1)に関して内がわの側壁55(基壁9)の内面即ち側面27に接し、更に、係止溝14の展張枠体4に関して内がわの開口縁(端縁)43で、端縁の長手方向を軸として略直角に曲がって稜77を形成して展張枠体4内(内がわ)の方向に延出する構成となっており、シート状物6の張力により開口縁43とシート状物6との摩擦力が生じて効果的な展張がなされる。開口縁(端縁)43は重畳部11を沿わせて案内する案内部13となっている。
【0027】
更に又、重畳部11が開口縁43(案内部13)に当接しつつ曲げられているので、シート状物6の張力により、重畳部11が自身の面と直交する圧縮力をうけ周縁部10aと周縁部10bとの摩擦力が増大するので、周縁部10aと周縁部10bとが相互に滑ることを確実に防止され、安定した展張がなされる。なお、図2に示す態様においては、重畳部11が開口縁(端縁)43に当接しつつ略直角に方向をかえて曲げられているが、鋭角に曲げられる態様であってもよい。
【0028】
更に、枠材12は、長尺の固定用片部36を備え、固定用片部36を介して基礎枠体34に固定される。固定用片部36は、係止溝14の外がわの側壁25と底面16とが交わる位置31から側壁25の延出方向とは逆方向に延出している。固定用片部36の長手方向は枠材12の長手方向と平行である。固定用片部36は締結用さらネジ37により、基礎枠体34のフレーム38の一辺47に面接し締結され固定される。枠材12の、底面16の裏がわの外底面50にフレーム38の他辺51が面接する。このようにして、枠材12が基礎枠体34に固定されて展張枠体4が形成される。
【0029】
又、蓋板78が係止溝14の両側開口縁の上方にわたされて係止溝14を覆って配される。蓋板の展張枠体4に関して内がわの端部41が、係止溝14の展張枠体4に関して内がわの開口縁43の上方に位置し、両者間に周縁部10の開口縁43に接する部分が位置する。この位置で、シート状物6と蓋板78とが接していることが好ましい。蓋板78の展張枠体4に関して外がわの端部93に、係止溝14の展張枠体4に関して外がわの開口縁45が挿入された装着溝部46が形成されている。蓋板78は断面略L字形の長尺蓋部材48の一辺を構成し、長尺蓋部材48の他辺92は、枠材12の展張枠体4に関して外がわの外側面に当接して固定用ネジ35により締結されている。枠材12とフレーム38の一辺47と長尺蓋部材48とは共通のネジにより締結されてもよい。
【0030】
図3に展張枠体4に展張されるシート状物6の形状を示す。シート状物6は四隅が四角形状に切り欠かれている。これにより直線状に延びる4個の周縁部10それぞれが周縁部10とほぼ同じ長さの棒状部材26(図2)を抱くことが可能となる。
【0031】
図4に棒状部材26を抱いた周縁部10の状態を示す。曲げ返された周縁部10aと、曲げ返された周縁部10aよりシート状物6に関して内がわの周縁部10bとが重畳されて重畳部11が構成される。周縁部10aと周縁部10bとは接着剤又は両面粘着テープ54を介して接着されている。この接着構造により、棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10が、抱え部20(図2)の曲りの内がわ面と係止溝14の内面とで安定して強力に挟持される。
【0032】
展張構造2によるシート状物6の展張の操作を説明する。まず、基礎枠体34に枠材12を締結用さらネジ37により図2に示す態様で締結固定し展張枠体4を形成する。一方、シート状物6を図3に示す形状に加工し、図4に示すように、周縁部10で棒状部材26を抱かせ、周縁部10aと周縁部10bとを重畳して接着剤又は両面粘着テープ54を介して接着させる。両面粘着テープによる接着は操作が容易で好ましい。
【0033】
周縁部10aと周縁部10bとは重畳された状態で縫合により固定されてもよい。あるいは、高周波ウエルダー等により融着されて固定されてもよい。
【0034】
このように、棒状部材26をシート状物6に抱かせてから周縁部10aと周縁部10bとを重畳し接着、縫合、融着等により結合してもよいが、周縁部10を自身の長手方向に沿った折り目で折り返して折り返した部分が筒状になるように周縁部10aと周縁部10bとを重畳し、接着、縫合、融着等により結合し、その後、棒状部材をその筒状の部分の中空部に挿入してもよい。
【0035】
次に、棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10を係止溝14に挿入し、展張用部材15の挿入板片部18を挿入溝19に挿入しつつ抱え部20と係止溝14の側面27とで挟持させる。更に、固定用板片部22を係止溝14の底面に面接させるように締結用ネジ29を介して締結する。
【0036】
展張枠体4の各辺でこの操作を行なってシート状物6が展張枠体4に展張される。最後に長尺蓋部材48を図2に示す態様で展張用部材15にセットして固定用ネジ37により締結する。
【0037】
この操作の各段階の作業はいずれも熟練を要しない単純かつ短時間で行なわれる作業であり、かつ熟練を要しなくとも確実になされる作業である。従って、本発明の展張構造によるシート状物6の展張の操作は熟練を要しない単純かつ短時間で行なわれる操作であり、かつ熟練を要しなくとも確実になされる操作である。張替え操作も容易である。
【0038】
又、本発明の展張構造に用いられる部材は種類が少なく、このことが組み付けの操作を容易にする一因である。又、部材の種類が少ないことにより部材の製造コストが少なくて済む。更に、この部材が長手方向に同一の断面形状の部材から成るものであり、引き抜き法等により容易に製造できるので、製造コストが少なくて済む。
【0039】
又、展張構造2においては、図5に示すように、端部41に防水パッキン66が備えられて蓋板78とシート状物6との間がシールされてもよい。このシールの構成は、展張枠体内部に照明装置を具備した内照式の看板、標識に好適に適当される。
【0040】
本発明の展張構造において用いられる棒状部材(26)は丸棒に限らず、図6に示すように、六角棒26aであってもよい。その他の多角形断面のものであってもよい。断面が楕円形や卵形であってもよい。棒状部材の素材は特に限定されず、例えば、アルミ、鉄、真鍮等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂、樹脂とガラス繊維等の強化繊維との複合素材が挙げられる。又、棒状部材は剛直な部材に限定されず、形状が細長い部材であればロープ、紐のような可撓性を有するものであってもよい。ロープとしてはガラス繊維のストランドのような比較的硬い芯材入りのものが好ましい。
【0041】
本発明の他の態様の一例を図7に示す。図7の展張構造2aにおいては、基面7aと、基壁9aの壁面とが、展張枠体4が張る面に対して傾斜している。これにより周縁部10aと周縁部10bとの、基壁9aの縁43a(重畳部11を沿わせて案内する案内部13a)における摩擦力が更に大きなものとなり、周縁部10aと周縁部10bとが相互に滑ることが更に確実に防止され、安定した展張がなされる。なお、図7に示す態様においては、枠材12aに係止溝14(図2)が存在せず、基面7と挿入溝19とで展張用部材15が枠材12aに係止される。符号48aは枠材12aに固定用ネジ35により固定された長尺蓋部材である。
【0042】
本発明の更に他の態様の一例を図8に示す。図8の展張構造2bにおいては、枠材12bが展張方向と平行な壁面有して枠材12bの長手方向に延出する底壁107bを備え、上下面と両側面とを有し外断面形状が方形の案内台108bが底壁107bから立設されている。
【0043】
展張構造2bは、展張用部材15bが、展張用部材15(図2)における挿入板片部18に相当する板片部材18bと、案内板部材106を有し、展張用部材15bの断面形状がコの字形になるように、固定用板片部22bの両端縁それぞれから板片部材18bと案内板部材106とが固定用板片部22bの面方向と直交して立設されている。
【0044】
一方、案内台108bは下面がわで底壁107bと連接し、枠材12bの長手方向に延出される中空部109bが形成されている。図8においては、中空部109bが案内台108bの下面及びその近傍もくりぬかれた形状に形成されているが、案内台108bが中実であってもよい。
板片部材18bと案内板部材106と固定用板片部22bとで囲まれて形成される懐空間111bに案内台108bを挿入させて展張用部材15bとが案内台108bに装着される。案内台108bの上面113bからボルト100が立設されて、固定用板片部22bの中央部に形成された貫通孔102に挿通させられている。ボルト100に螺入したナット104を螺進させると、固定用板片部22b従って展張用部材15bがナット104に押し進められてボルト100の軸方向に図面視下降し、抱え部20に抱えられた、棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10が図面視下降し、シート状物6が展張される。案内台108bの両の側面115b、115bが展張用部材15bの進退の案内面となっている。
【0045】
展張構造2bはナット104の締め加減により展張張力の調整が可能で、最適な展張状態が容易に得られる。
【0046】
又、長尺蓋部材48bが枠材12bを覆い図2と同様の態様で枠材12b及び基礎枠体34に固定されるが、長尺蓋部材48bは装着溝部46(図2)を備えない。
【0047】
本発明の別の態様においては、図9に示すように、展張用部材15bがナット104に押し進められて展張面と平行な方向に摺動する構成の展張構造2fであってもよい。展張構造2fにおいては、枠材12fにおける基面7が展張面と直交し、基壁9の面が展張面と平行である。
【0048】
図9に示す態様においては、重畳部11が係止溝14fの側壁55(基壁9)の内面に接し、更に、係止溝14fの開口縁(端縁)43で、端縁の長手方向を軸として稜77を形成して曲がって更に方向を反転して展張枠体4(図1)内(内がわ)の方向に延出する構成となっている。又、案内台108bが基面7から展張方向に立設している。
【0049】
本発明の又更に他の態様の一例を図10に示す。図10の展張構造2cにおいては、枠材12cが、深さ方向が展張方向と平行である挿入溝19cと、深さ方向が展張方向と直交するテンション用溝112を備える。棒状部材26を抱いた部分の周縁部10は、基面7cに載置されるか又は基面7cと間隔をおいて対面する状態に位置するが、挿入溝19cは基面7bを構成する部材の、棒状部材26を抱いた部分の周縁部10が位置するがわとは反対側に、形成されている。テンション用溝112は基壁9の端縁部を一方の側壁として基壁9の展張枠体に関する内がわに枠材12cの長手方向に延出して形成されている。
【0050】
展張用部材15cは、挿入溝19cに挿入される挿入板片部18cと、棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10とを抱える抱え部20cと、を備える。又、展張用部材15cは挿入板片部18cと抱え部20cとを連結する連結板部114を備える。挿入板片部18c、連結板部114、抱え部20cは連結板部114を基底として断面略コの字状態に配置されている。展張用部材15cの抱え部20cがわの外側面115は、展張面と略面一に配される。抱え部20cの外側面115と反対がわの側面117が、棒状部材26を抱いた部分の周縁部10と対面し、棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10とを抱える。連結板114の内がわ面119cも棒状部材26を抱いた部分の周縁部10と対面する。
【0051】
又、展張構造2cは断面略L字形の長尺蓋部材48cを備える。長尺蓋部材48cは、展張面と平行に配される蓋板部116と、蓋板部116と直交する側板部118とから成る。蓋板部116には、テンション用溝112に挿入される挿入条124が、蓋板部116の先端部近傍から長尺蓋部材48cの内がわに突出して設けられている。蓋板部116の内側面が根元がわで外側面115と当接し、蓋板部116と抱え部20cとがその当接部分で止めビス119により締結固定される。
【0052】
又、枠材12cは、基礎枠体34のフレーム38の辺51に面接する、展張面と平行な基底面120と、基底面120と直交しフレーム38の辺51と直交する辺47と面接する固定用片部36cを備える。側板部118が固定用片部36cと面接し止めビス123により辺47とともに締結固定される。側板部118は連結板114とも面接し展張用部材15cを展張枠体の内側方向に押し込む状態で連結板114に当接する。
【0053】
展張構造2cにおいては、枠材12cに展張用部材15cが長尺蓋部材48cを介して締結固定されるとともに、その締結固定によりテンション用溝112に挿入条124が、シート状物6あるいは重畳部11を略U字状に押し込む状態で、挿入されるので、シート状物6に充分な張力を付与することが出来る。
【0054】
本発明の更に他の態様の一例を図11に示す。図11の展張構造2eは、枠材12e、展張用部材15e、長尺蓋部材48eを備えて構成される。
【0055】
枠材12eは、自身の長手方向に平行な、側面p、側面q、側面r、側面sを有する。側面pと側面qとは平行、側面rと側面sとは平行、側面pと側面rとは直交する。側面pは展張されたシート状物6と略面一に配される。側面rは展張枠体の内側に面し、側面sは展張枠体の外側に面する。
【0056】
側面sの中間部に枠材12eの長手方向に平行に、深さ方向が展張枠体の内側に向かう懐溝130が形成されている。更に、側面sには、側面pと懐溝130との間の位置に、枠材12eの長手方向に平行に、嵌合用溝132が形成されている。嵌合用溝132は開口部で深さ方向が展張枠体の内側に向かい、奥まったところで深さ方向が円弧状に変化していき、更に進むと、底部では深さ方向が側面sと平行な方向となって側面pに向かう。
【0057】
展張用部材15eは、変形溝形の長尺板から成り、側面sに平行に対面して当接又は近接する中間板部134と、中間板部134の一の長縁から断面形状で鈎状又は弧状に展張用部材15eの内がわに曲がった抱え部20eと、中間板部134の他の長縁から立設し、端部で断面形状でみて円弧状に曲がって終端近傍で中間板部134の面方向と平行に展張用部材15eの外がわに向けて延出する係合曲り板部140とから構成される。
【0058】
棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10は、抱え部20eに、抱え部20eの曲りの内がわで抱えられた状態で懐溝130に挿入される。棒状部材26と棒状部材26を抱いた部分の周縁部10は、懐溝130の側面pがわの側壁面127と、抱え部20eとの間に挟まれて位置する。係合曲り板部140は嵌合用溝132に挿入され、係止されている。
【0059】
重畳部11は棒状部材26を抱いた部分の周縁部から10抱え部20eの縁を巻いて中間板部134の外がわ面に沿って延出し、側面pと側面sとの交わる角部(稜)142に達し、更に側面pに沿って展張枠体の内側に向かう。
【0060】
側面sと側面rとの間隔は、側面sの懐溝130がわの端部分150において、嵌合用溝132がわの部分におけるよりより大きく、中間板部134に沿って延出する部分の重畳部11の外がわ面と略面一となっている。側面sと側面qとが交わる部分で長尺の固定用片部36が、自身の長手方向を枠材12eの長手方向に平行にして、側面sの面方向に平行に延出している。
【0061】
長尺蓋部材48eは、展張面と平行に配される蓋板部116eと、蓋板部116eと直交する側板部118eとが両者でL字形になるように配されて成る。蓋板部116eは、側面pとの間に側面pに沿う重畳部11が位置するように配され、側板部118eは中間板部134との間に中間板部134に沿う重畳部11が位置するように配される。側板部118eの端部と、固定用片部36と、基礎枠体34のフレーム38の一辺47とが重畳されて、固定用ネジ135で締結固定される。
【0062】
又、側板部118eは、側面sの、懐溝130と側面rの間に位置する端部分150と面接し、締結用ネジ29により締結される。これにより、展張用部材15eが締結用ネジ29と長尺蓋部材48eとを介して枠材12eに固定される。
【0063】
本発明の更に又他の態様においては、図12に示すように、側板部118eが重畳部11を貫通するタッピングネジ151により、展張用部材15eに締結されてもよい。
【0064】
なお、本明細書図面図6〜図12においては、簡明さのため、断面を表示するためのハッチングが省略されている個所がある。
【0065】
本発明の展張構造は、画像やメッセージが、インクジェット等により印刷されたあるいは描かれた、布やフィルムやターポリン等のシート状物を展張して得られる看板、標識、その他の表示体に好適に適用される。又、本発明の展張構造は内照式、外照式いずれの看板、標識にも適用出来る。
【0066】
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の展張構造は、看板や標識に限らず、自立式スクリーン、可搬式スクリーン、縫製枠、刺繍枠、電池の隔膜の展張、日よけ用シートの展張、フィルタの展張、椅子の背もたれや座面、建築用パネル、仕切りパネル、捺染やスクリーン印刷におけるスクリーンの展張、平面アンテナ、電磁遮蔽パネル、キャンバス、等の、フィルム、布、ターポリン等のシートや膜を展張して用いる用途に広く適用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の展張構造を説明する平面模式図である。
【図2】本発明の展張構造の態様を示す断面端面図である。
【図3】本発明の展張構造に用いられるシート状物の形状を示す平面図である。
【図4】本発明の展張構造におけるシート状物の周縁部の構成を示す断面模式図である。
【図5】図2に示す展張構造に防水パッキンが付加された態様を示す断面端面図である。
【図6】本発明の展張構造の他の態様の一例を示す断面端面図である。
【図7】本発明の展張構造の他の態様の一例を示す断面端面図である。
【図8】本発明の展張構造の更に他の態様の一例を示す断面端面図である。
【図9】図8に示す展張構造とは異なる本発明の展張構造の態様の一例を示す断面端面図である。
【図10】本発明の展張構造の又更に他の態様の一例を示す断面端面図である。
【図11】本発明の展張構造の更に別の態様の一例を示す断面端面図である。
【図12】本発明の展張構造の又更に別の態様の一例を示す断面端面図である。
【符号の説明】
【0069】
2、2a:展張構造
4:展張枠体
6:シート状物
7、7a:基面
9、9a:基壁
10:周縁部
11:重畳部
12:枠材
13:案内部
14:係止溝
15:展張用部材
16:底面
19:挿入溝
18:挿入板片部
20:抱え部
22:固定用板片部
26:棒状部材
29:締結用ネジ
33:取付け面
34:基礎枠体
48:長尺蓋部材
54:両面粘着テープ
78:蓋板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の枠材を枠組みして成る展張枠体内に、シート状物がその周縁部を展張用部材を介して該枠材に取付けられて展張され、
前記シート状物の周縁部が該周縁部の長手方向と平行に配された棒状部材を抱いて曲げ返され、曲げ返された該周縁部と該曲げ返された周縁部より内がわの周縁部とが重畳されてなる重畳部が形成され、
前記枠材が前記重畳部を沿わせて案内する案内部を備え、
前記棒状部材を抱いた部分の前記周縁部が前記棒状部材を抱いた状態で前記展張用部材を介して前記枠材に係合され、
前記重畳部が前記案内部に沿って曲げられて該枠材の長手方向に延びる稜を形成して前記展張枠体の内がわに向けて張られるシート状物の展張構造。
【請求項2】
前記枠材が該枠材の長手方向に延びる基面と、自身の長手方向を該基面の長手方向と平行にして該基面から立直する基壁とを備え、
前記展張用部材が、前記棒状部材を抱いた部分の前記周縁部を抱える抱え部を備えて、前記枠材に固定され、
前記抱え部と前記基壁と前記基面とで、前記棒状部材を抱いた部分の前記周縁部が囲まれる請求項1に記載のシート状物の展張構造。
【請求項3】
前記曲げ返された周縁部と該曲げ返された周縁部より内がわの前記周縁部
とが両面粘着テープを介して接着された請求項1又は2に記載のシート状物の展張構造。
【請求項4】
前記展張用部材が前記枠材に締結用ネジを介して締結される締結部を備える請求項1乃至3のいずれかに記載のシート状物の展張構造。
【請求項5】
前記案内部が前記基壁の端縁である請求項2乃至4のいずれかに記載のシート状物の展張構造。
【請求項6】
前記枠材が、前記基面の前記基壁と反対がわのかたわらに位置して前記枠材の長手方向に延びる挿入溝と、前記基面のかたわらに該挿入溝を間にして位置して前記基面と平行な取付け面とを備え、
前記展張用部材が、
自身の面方向を該挿入溝の長手方向と平行にしかつ前記挿入溝に自身の面方向に挿入される挿入板片部を備え、
前記締結部が、該挿入板片部の一の縁部から該挿入板片部の面方向と略直交方向に延出され前記取付け面に当接し前記締結用ネジを介して該取付け面に締結される、固定用板片部を備え、
前記抱え部が前記一の縁部から前記基壁に向けて曲りつつ延出された請求項5に記載のシート状物の展張構造。
【請求項7】
前記展張用部材が長尺であり、自身の長手方向を前記枠材の長手方向と平行に配される請求項6に記載のシート状物の展張構造。
【請求項8】
前記枠材の長手方向に亙って係止溝が設けられ、該係止溝の底面が前記基面と前記取付け面とを構成し、該係止溝の一の側壁が前記基壁を構成する請求項6又は7に記載のシート状物の展張構造。
【請求項9】
前記枠材の少なくとも一部を覆う蓋板を備え、前記蓋板の端部と、前記案内部との間に前記重畳部の該案内部に沿う部分が位置する請求項1乃至8のいずれかに記載のシート状物の展張構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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