説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】規制部材を確実に規制位置に保持することができると共に、規制部材の操作性を向上することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート収納部に、シート収納部に収容されたシートの位置を規制する規制部材を移動可能に設ける。そして、シート給送ローラ4によりシート給送動作とレバー15の保持動作を連動させる連動部31は、シートが給送される際には、シート給送ローラ4の回転とレバー15を連動させ、レバー15により、シートサイズに応じた規制位置に移動した規制部材を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートの位置を規制する規制部材を所定の規制位置に保持するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プリンタや複写機等の画像形成装置においては、画像形成部にシートを給送して画像を形成するようにしたものが広く普及している。そして、このような画像形成装置は、シート収納部に収容されたシートをシート給送ローラにより画像形成部に自動給送するシート給送装置を備えている。
【0003】
このような画像形成装置に用いられるシート収納部としては、各種サイズのシートを収容することのできるものがある。ここで、このシート収容部には、異なるサイズのシートを収納することができるようシート収容部に収容されたシートの後端を規制する後端規制部材が設けられている。また、シートの給送方向と直交する幅方向のシートの側端を規制する側端規制部材が設けられている。
【0004】
そして、このようなシート収納部においては、側端規制部材によってシートの側端を規制すると共に後端規制部材によって後端を規制することにより、シートの先端位置を常に所定の位置に位置するようにしている。これにより、シートのサイズにかかわらず、安定したシートの給送を行うことができる。
【0005】
なお、このような規制部材(側端規制部材及び後端規制部材)を用いてシートの位置の規制を行うようにした従来のシート収納部においては、シートサイズに応じた位置に規制部材を保持する必要がある。このため、従来のシート収納部では、底面に収納されるシートのサイズに対応した差し込み穴を複数形成し、シート収納の際には規制部材を、収納されるシートのサイズに応じた差し込み穴に差し込むようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、このような差し込み穴に規制部材を差し込むようにした場合、規制部材による規制位置が制限されるため、収納できるシートのサイズが限定される。このため、規制部材をスライド可能に設け、シートサイズに応じた位置に規制部材をスライドさせることにより、シートの位置を規制するようにしたものがある(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−208736号公報
【特許文献2】特開2007−31064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような規制部材を備えた従来のシート収納部において、シート給送時、シートをシート給送ローラに押し付けるための中板を、シート収容部のシート給送方向下流側に回動自在に設けたものが有る。ところが、このような中板を設けた場合、シート給送時、中板が上方回動すると、シートがシート給送方向と反対方向に戻されるいわゆるキックバックが生じる場合があり、この場合、シートにより後端規制部材が押圧されるようになる。
【0009】
そこで、従来は、シートにより押圧された場合でも、後端規制部材が動かないようにするため、後端規制部材をスライドさせるのに必要な力を大きく設定している。しかし、このようにスライドさせるのに必要な力を大きくした場合、後端規制部材をスライド操作させる際、後端規制部材が重くなり操作性が悪くなっていた。
【0010】
また、側端規制部材においても、既述したキックバックやシート給送の際の斜行等によって側端規制部材がシートにより押圧される場合がある。そして、このような場合でも側端規制部材が移動することがないように、側端規制部材をスライドさせる力を大きく設定している。しかし、このように構成した場合、ユーザーは重い側端規制部材をスライドさせて所定位置に合わせなければならず操作性が悪くなっていた。
【0011】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、規制部材を確実に規制位置に保持することができると共に、規制部材の操作性を向上することのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、シート収納部に収納されたシートをシート給送部により給送するシート給送装置において、前記シート収納部に移動可能に設けられ、前記シート収納部に収容されたシートの端部に当接して位置を規制する規制部材と、前記規制部材を保持可能な保持部と、前記シート給送部によるシート給送動作と前記保持部の保持動作とを連動させる連動部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、シートが給送される際に規制部材を保持して確実にシートを規制でき、シートの給送が終了すると、規制部材の保持を解除することにより、規制部材の操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
【0016】
この画像形成装置30は、画像形成装置本体30Aと、画像形成部30Bと、画像形成部30Bに記録紙等のシートSを給送するシート給送装置30C等を備えている。画像形成部30Bは、感光体ドラム(像担持体)6と、感光体ドラム6の表面を露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成するレーザスキャナユニット11等を備えている。
【0017】
シート給送装置30Cは、シートを収納すると共に画像形成装置本体30Aに対して軸1aを支点として開閉可能な積載トレイ1及び上下方向に回動可能な中板3aとにより構成されるシート収納部3を備えている。また、シート給送装置30Cは、シート収納部3に収納されたシートSを、最上位のシートS1から1枚ずつ給送するシート給送部を構成するシート給送ローラ4を備えている。
【0018】
なお、5は分離パッドであり、この分離パッド5は、バネ5aによりシート給送ローラ4に圧接している。7は感光体ドラム6と共に、転写部を構成する転写ローラ、8は定着ローラ対である。
【0019】
次に、このように構成された画像形成装置30の画像形成動作を説明する。
【0020】
不図示のパソコン等から画像情報が送られ、この画像情報を画像形成処理した不図示の制御部(コントローラ)がプリント信号を発すると、レーザスキャナユニット11からの画像露光光により感光体ドラム6に潜像が形成される。この後、感光体ドラム上の潜像が、不図示の現像器によりトナーによって現像され、感光体ドラム上にトナー像が形成される。
【0021】
一方、不図示の制御部がプリント信号を発すると、シート給送ローラ4が回転し、シート収納部3に収納された最上位のシートS1が給送される。なお、この際、シート給送ローラ4によりシートSが複数枚給紙されても、シート給送ローラ4に圧接する分離パッド5によりシートSは捌かれ、最上位のシートS1が感光体ドラム6と転写ローラ7とにより構成される転写部に搬送される。
【0022】
そして、この転写部において、感光体ドラム上に形成されたトナー像がシートS1に転写され、この後、定着ローラ対8にて熱、圧力が加えられることにより、トナー像がシートS1に定着される。この後、画像が定着されたシートS1は、排紙ローラ対9により画像形成装置本体上面に設けられた積載トレイ10へと排出される。
【0023】
ところで、中板3a、あるいはシート収納部3の不図示の底面には、給送されるシートSのシート給送方向と直交する幅方向の規制を行う一対の側端規制部材12が幅方向に対称的に移動可能に設けられている。この一対の側端規制部材12はシートの側端に当接して位置を規制する。また、積載トレイ1には、積載トレイ1に積載されたシートSの後端部に当接して位置を規制する後端規制部材2が、シート給送方向に移動可能に設けられている。
【0024】
なお、この積載トレイ1の幅方向の中央部には、図2に示すようにシート給送方向に延びた溝1bが設けられ、更にこの溝1bの両側にはシート給送方向に延びた一対のレール1cが設けられている。一方、後端規制部材2の底面の幅方向両側には、図3に示すようにトレイ1のレール1cに係合するためのフック部2b,2cが設けられ、底面の幅方向中央には溝1bに差し入れられるピン2aが突設されている。そして、このフック部2b,2cを積載トレイ1のレール1cに係合させると共に、ピン2を溝1bに差し入れることにより、後端規制部材2は、積載トレイ1のほぼ中央をシート給送方向に沿ってスライドすることができる。
【0025】
ところで、このような後端規制部材2には、既述したように中板3aの先端が上方に回動する際、収納されているシートSがシート給送方向と反対方向に戻される、いわゆるキックバックにより後端規制部材2を押す力が働く。そこで、本実施の形態においては、このように押す力が働いた場合でも、後端規制部材2をシート収納部3に収容されたシートの後端位置を規制する後端規制位置に保持するため図4に示すような連動部31を備えている。
【0026】
次に、このような連動部31について説明する。
【0027】
この連動部31は、図4に示すように、一端が積載トレイ1の内部に軸15aを支点として回動自在に設けられ、後端規制部材2をシートサイズに応じた後端規制位置に保持可能な保持部を構成するレバー15を備えている。そして、このレバー15の回動端には、一端がワイヤ巻き取り部を有するウォームホイール17に取り付けられているワイヤ16の他端が取り付けられている。ここで、後述するようにシート給送ローラ4からの駆動力をレバー15に伝達する駆動力伝達部であるワイヤ16は、図2に示すように積載トレイ1の支点1aを通ってウォームホイール17に連結されている。
【0028】
なお、図4において、18はウォームホイール17と噛み合うウォームギア、19はウォームギア18と噛み合うアイドラギア、20はアイドラギア19と噛み合うと共に、内部にトルクリミッタ20aを有している駆動伝達ギアである。23はシート給送ローラ4の軸、21、22はシート給送ローラ4の軸23を駆動するためのギア列である。
【0029】
ここで、ワイヤ16の一端が取り付けられているレバー15は、図2をA方向から見た図である図5に示すように積載トレイ1に突設され、軸15aとなるボス1dにより回動自在に取り付けられている。なお、ボス1dに取り付けられた際、レバー15は、積載トレイ1の溝1bに入り込んでいる後端規制部材2のピン2aの下端部と当接可能な高さ位置となっている。そして、このように構成することにより、連動部31は、シート給送ローラ4によるシート給送動作とレバー15の保持動作とを連動させることができる。
【0030】
次に、このように構成された連動部31における後端規制部材2の保持動作について説明する。
【0031】
プリントを行う前、ユーザーはシート収納部3にシートSをセットし、この後、積載トレイ1に設けられた後端規制部材2を手でスライドさせてシートSの後端に合わせる。このとき、後端規制部材2には何ら拘束する力は作用しておらず、フリーの状態なので、ユーザーは後端規制部材2をスムーズにスライドさせることができる。なお、この後、一対の側端規制部材12を幅方向に手でスライドさせてシートSの側端に合わせる。
【0032】
次に、不図示の制御部からのプリント信号により給送動作信号がONになると、中板3aが持ち上がりシートSの先端がシート給送ローラ4に当接される。この後、画像形成装置内に設けられた不図示の駆動源によりギア22,21が回転し、これによりシート給送ローラ4が回転してシートが送り出される。
【0033】
ここで、このようなギア22,21の回転により、シート給送ローラ4だけでなく、駆動伝達ギア20もトルクリミッタ20aを介して回転する。そして、駆動伝達ギア20が回転するとアイドラギア19を経てウォームギア18が回転し、これに伴いウォームホイール17がワイヤ16を巻き取る方向に回転する。
【0034】
これにより、ワイヤ16はウォームホイール17により巻き取られ、これに伴いレバー15は支点15aを中心に回動し、後端規制部材2のピン2aを積載トレイ1の溝1bの側壁面との間で挟持し、レバー15を固定する。なお、このように後端規制部材2のピン2aを固定した後は、アイドラギア19と駆動伝達ギア20とはトルクリミッタ20aを介して噛み合っているので、トルクリミッタ20aの作用によりレバー15には規定力以上の力は加わらない。
【0035】
このようにシート給送ローラ4の回転中は、即ちシート給送動作中は、レバー15によってピン2aを固定することにより、後端規制部材2は所定の後端規制位置に保持される。この結果、この後、中板3aの昇降によりシートSのキックバックが生じ、シートにより後端規制部材2を押す力が加わっても後端規制部材2が動くことはない。
【0036】
次に、シートの給送が終了してシート給送ローラ4の回転が停止すると、ワイヤ16の巻き取りが停止されるためレバー15によるピン2aの固定は解除され、これにより後端規制部材2はフリーになる。つまり、シートの給送が終了し、シート給送ローラ4が停止すると、後端規制部材2はフリーとなる。
【0037】
このため、ユーザーは、この後、シートをセットする時には後端規制部材2をスムーズに動かして所定の後端規制位置に移動させることができる。なお、シート給送ローラ4が停止した際、後端規制部材2を確実にフリー状態とするため、レバー15にバネ等の弾性部材を設け、シート給送ローラ4が停止した際、この弾性部材によりレバー15を、ピン2aの固定を解除する方向に移動させるようにしても良い。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、シート給送ローラ4の回転に連動して後端規制部材2を所定力で固定することができるので、シート給送時に発生する中板3aの昇降によるキックバック力により、後端規制部材2が移動するのを防ぐことができる。これにより、シート給送の際、シートSの位置を機械的に、所定の設定位置に保持することができる。また、シート給送ローラ4の回転が停止すると、後端規制部材2がフリーとなるので、ユーザーは後端規制部材2をスムーズに移動させることができる。
【0039】
このように、シートが給送される際には後端規制部材2を後端規制位置に保持し、シートの給送が終了すると、後端規制部材2の保持を解除することにより、後端規制部材2を確実に後端規制位置に保持することができる。また、後端規制部材2の操作性を向上することができる。
【0040】
なお、これまでの説明においては、レバー15をトルクリミッタ20aを介して動作させたが、本発明は、これに限らず、例えば、電磁石により、給送動作信号と連動させてレバーを回動させ、後端規制部材2を後端規制位置に保持するようにしても良い。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0042】
図6は、本実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。なお、図6において、既述した図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0043】
図6において、13は画像形成装置本体30Aに対して軸13aを支点として開閉可能な積載トレイ、14は積載トレイ13に設けられ、シートの後端を規制する後端規制部材、13b〜13fは積載トレイ13内に設けられた電磁石である。
【0044】
積載トレイ13の幅方向中央部には、図7に示すように、シート給送方向に延びた一対のレール13A,13Bが設けられている。一方、後端規制部材14の底面の幅方向両側には、図8に示すように積載トレイ1のレール13A,13Bに係合するためのフック部14b,14cが、また底面の中央部には金属板14aが設けられている。そして、このフック部14b,14cをトレイ13のレール13A,13Bに係合させることにより、後端規制部材14は、積載トレイ13の中央をシート給送方向に沿ってスライドすることができる。
【0045】
また、積載トレイ13の内部の、後端規制部材14がスライドする領域には、図7に示すように複数の磁気力発生機構である電磁石13b〜13fが、後端規制部材14のスライド移動方向であるシート給送方向に沿って並設されている。この位置は、シートサイズ、例えばA5,B5,A4,LTR,LGLに応じた位置に設定されている。そして、この複数並設された電磁石13b〜13fのうちの所定の電磁石にシートサイズに応じて選択的に電流を流すことにより、金属板14aを磁気力で固定することができる。
【0046】
このように、本実施の形態においては、シート給送動作に連動して後端規制部材2を後端規制位置に保持するための連動部は、連動させる保持部として電磁石13b〜13fを用いて後端規制部材2を磁気力で保持するようにしている。なお、これら各電磁石13b〜13fは、支点13aを通して画像形成装置本体30Aに設けられたシート給送ローラ4を駆動する際、各電磁石13b〜13fに通電する通電部材である不図示の電源と電気的に接続されている。
【0047】
次に、このように構成された連動部における後端規制部材2の保持動作について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
プリントを行う前、ユーザーは、まず図10に示すように支点13aを中心に積載トレイ13を開放してシートSをセットし、この後、後端規制部材14を手でスライドさせてシートSの後端に合わせる。このとき、電磁石13b〜13fには通電されていないので、後端規制部材14には何ら拘束する力は作用しておらず、フリーの状態なので、ユーザーは後端規制部材14をそのまま掴むだけでスムーズにスライドさせることができる。なお、この後、一対の側端規制部材12を幅方向に手でスライドさせてシートSの側端に合わせる。
【0049】
次に、給送動作信号がONになると中板3aが持ち上がりシートSの先端がシート給送ローラ4により給送されるのに適正な位置に移動し、この後、画像形成装置内に設けられた不図示の駆動源が駆動され、シート給送ローラ4が回転する。
【0050】
また、給送動作信号がONになると(S100のY)、不図示の制御部からのシートサイズ情報により、シートサイズに応じた位置にある電磁石13b〜13fがONとなり、後端規制部材14に設けられた金属板14aを固着する(S101)。これにより、後端規制部材14が所定の力で固定される。つまり、シート給送ローラ4を駆動する際の通電により、後端規制部材14が所定の力で固定される。なお、シートが、予め設定されたシートでない場合には、近傍の電磁石13b〜13fをONにして後端規制部材14を固定させる。
【0051】
そして、このように電磁石13b〜13fによって後端規制部材14を固定することにより、中板3aの昇降によるキックバックが生じて後端規制部材14を押す力が加わっても後端規制部材14が動くことはない。
【0052】
なお、この後、シートの給送が終了して給送動作信号がOFFになると(S100のN)、電磁石13b〜13fがOFFとなり、後端規制部材14がフリー(FREE)となる(S102)。これにより、後端規制部材14を、再びスムーズに動かすことができるようになる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電磁石13b〜13fによって後端規制部材14を所定力で固定することができるので、シート給送時に発生する中板の昇降によるキックバック力により後端規制部材2が移動するのを防ぐことができる。また、本実施の形態のように、電磁石13b〜13fを用いた場合、電磁石13b〜13fにより、シートSが暖められるので定着効率が向上する。
【0054】
ところで、これまで説明した第1及び第2の実施の形態では、規制部材としてシートの後端を規制する後端規制部材を保持する構成について述べてきたが、本発明は、これに限らず、シートの幅方向の位置を規制する側端規制部材を保持する構成にも適用できる。
【0055】
次に、このようにシートの幅方向の位置を規制する側端規制部材を保持するようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0056】
図11は、本実施の形態に係るシート給送装置に設けられ、シート給送動作に連動して側端規制部材を、シート収納部3に収容されたシートの側端位置を規制する側端規制位置に保持するため連動部32の構成を示す図である。
【0057】
図11において、12a、12bはシートの幅方向の側端位置を規制する側端規制部材であり、この側端規制部材12a,12bは、対向して設けられると共に、それぞれ不図示のラック部を備えている。また、24は不図示のシート収納部に設けられ、側端規制部材12a,12bに設けられたラック部と噛みあうピニオンギア、24aはピニオンギア24の下方に突設されたピンである。
【0058】
25は不図示のシート収納部本体に設けられた支点25aを中心に回動可能なレバーであり、このレバー25の回動端には金属板25bが設けられている。そして、このレバー25の金属板25bの臨む位置には電磁石26が設けられており、この電磁石26に電流を流すことにより、金属板25bと一体にレバー25を回動させ、レバー25を電磁石26により磁気力で固定することができる。
【0059】
このように、本実施の形態においては、側端規制部材12a,12bをシートの側端規制位置に保持するための連動部32は、連動させる保持部として電磁石26を用いて側端規制部材12a,12bを磁気力で保持するようにしている。
【0060】
次に、このように構成された連動部32における側端規制部材12a,12bの保持動作について説明する。
【0061】
プリントを行う前、ユーザーは、シートSをセットし、この後、まず不図示の後端規制部材をスライドさせてシートの後端を規制する。次に、側端規制部材12a,12bのどちらか一方を動かすことにより、側端規制部材12a,12bを手でスライドさせてシートの側端規制位置に合わせる。なお、このとき側端規制部材12a,12bには何ら拘束する力は作用しておらず、フリーの状態なので、ユーザーは側端規制部材12a,12bをそのまま掴むだけでスムーズにスライドさせることができる。
【0062】
次に、給送動作信号がONになると、電磁石26が通電されて金属板25bを引きつけ、これに伴いレバー25が回動してピニオンギア24の下方に同軸上で突設されたピン24aに圧接する。これにより、ピン24aはレバー25と一方の側端規制部材12bのラック部とに挟持され、固定される。
【0063】
そして、このようにピン24aが固定されることにより、ピニオンギア24が固定され、側端規制部材12a,12bも固定される。つまり、シート給送ローラ4を駆動する際の通電により、側端規制部材12a,12bが所定の力で固定される。この結果、この後、中板3aの昇降によるシートSのキックバックやシートの斜送によってシートSにより、側端規制部材12a,12bを幅方向に拡げる方向に力が加わっても側端規制部材12a,12bは移動することはない。次に、シートの給送が終了すると、電磁石26がOFFになり、これによりピニオンギア24の固定が解除され、側端規制部材12a,12bも移動が可能となる。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、シートが給送される際には側端規制部材12a,12bを側端規制位置に保持し、シートの給送が終了すると、保持を解除することにより、側端規制部材12a,12bを確実に側端規制位置に保持することができる。これにより、シート給送の際、斜行等のシートの給送不良が発生しない安定したシートの給送を行うことができる。また、側端規制部材12a,12bの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置のシート収納部を構成する積載トレイの斜視図。
【図3】上記積載トレイに設けられた後端規制部材の斜視図。
【図4】上記後端規制部材を保持する連動部を説明するための上面概略図。
【図5】上記連動部を説明するための側面図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図。
【図7】上記シート給送装置のシート収納部を構成する積載トレイの斜視図。
【図8】上記積載トレイに設けられた後端規制部材の斜視図。
【図9】上記連動部における後端規制部材の保持動作を説明するフローチャート。
【図10】上記画像形成装置の積載トレイを開放したときの状態を示す図。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るシート給送装置に設けられた連動部の構成を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1 積載トレイ
2 後端規制部材
3 シート収納部
3a 中板
4 シート給送ローラ
12 側端規制部材
13 積載トレイ
13b〜13f 電磁石
14 後端規制部材
14a 金属板
15 レバー
16 ワイヤ
17 ウォームホイール
24 ピニオンギア
24a ピン
25 レバー
25b 金属板
26 電磁石
30 画像形成装置
30A 画像形成装置本体
30B 画像形成部
30C シート給送装置
31 連動部
32 連動部
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート収納部に収納されたシートをシート給送部により給送するシート給送装置において、
前記シート収納部に移動可能に設けられ、前記シート収納部に収容されたシートの端部に当接して位置を規制する規制部材と、
前記規制部材を保持可能な保持部と、
前記シート給送部によるシート給送動作と前記保持部の保持動作とを連動させる連動部と、
を備えることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記連動部は、前記シート給送部からの駆動力を前記保持部に伝達する駆動力伝達部を備え、
前記保持部は、前記駆動力伝達部を介して伝達される前記シート給送部からの駆動力により、前記規制部材を挟持して保持することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記保持部は通電により磁気力を発生する磁気力発生機構であり、
前記連動部は、前記シート給送部を駆動する際、前記保持部に通電する通電部材を備え、
前記磁気力発生機構は、前記通電部材による通電により、前記規制部材を磁気力で保持することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記磁気力発生機構を前記規制部材の移動方向に沿って複数並設し、シートサイズに応じて複数の前記磁気力発生機構のうちの所定の磁気力発生機構に選択的に通電することを特徴とする請求項3記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記規制部材は、シートのシート給送方向の後端位置を規制する後端規制部材及びシートのシート給送方向と直交する幅方向の側端位置を規制する側端規制部材の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
画像形成部と、前記画像形成部にシートを給送する前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート給送装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−155678(P2010−155678A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334034(P2008−334034)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】