シート給送装置及び画像形成装置
【課題】小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート12を給送する際、シート巻き取りシャフト71により、シート12が積載されるよう一端がシート固定部材56に固定され、給紙ローラ51の周面に沿って引き上げられるシート部材53を引き上げてシート12を給紙ローラ51に押し付け、給紙ローラ51によりシート12をシート部材53に沿って給送する。
【解決手段】シート12を給送する際、シート巻き取りシャフト71により、シート12が積載されるよう一端がシート固定部材56に固定され、給紙ローラ51の周面に沿って引き上げられるシート部材53を引き上げてシート12を給紙ローラ51に押し付け、給紙ローラ51によりシート12をシート部材53に沿って給送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特に給送不良や印刷物の品位低下を発生させることなく小型化を図るようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファックス、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置には、普通紙、コート紙、プラスチックシート、布等のシートを画像成装置内の画像形成部へ供給するためのシート給送装置が設けられている。ここで、シート給送装置において、シートを1枚ずつ分離して画像形成部に送ることは非常に重要であり、シート給送装置から複数枚のシートを同時に給送するという重送を防ぐために、様々な給紙方式が提案されている。
【0003】
また、近年、重送を防ぎ安定した給紙を行うことだけでなく、シート給送装置の小型化も重視されている。さらに、プリンタやファックス等の一般家庭への普及に伴い、画像形成装置においても、より一層の小型化が求められている。ここで、シートを収容する給紙トレイ(給紙カセット)を備えた画像形成装置においては、特に装置本体の、給紙トレイを装着する方向の寸法(以下、装着方向の寸法という)が、給紙トレイの装着方向の寸法を越えないことが求められている。
【0004】
そして、画像形成装置の装着方向の寸法を給紙トレイの装着方向の寸法内に収めるようにしたシート給送装置としては、例えば給紙ローラを正逆転させることにより、シートを1枚ずつ分離するようにしたものがある(特許文献1参照)。このシート給送装置では、シートを給送する際、まず給紙ローラを逆転させて給紙トレイ内の最上位のシートをシート給送方向と逆方向に給送し、給紙トレイの後部壁を支点に一旦撓ませて他のシートから分離するようにしている。
【0005】
この後、給紙ローラを正転させ、一旦撓ませたシートを給紙トレイのシート給送方向下流側に設けられた分離爪に乗り上げさせることにより、シートを1枚ずつ分離している。このように構成することにより、シートの分離給送の機能を給紙トレイの装着方向の寸法内に収めることができ、画像形成装置の装着方向の寸法を給紙トレイの装着方向の寸法内に収めることができる。
【0006】
また、他の構成としては、シートを収容したまま折り畳むことが可能な機構を有し、シートを曲げた状態で給紙トレイに載置するようにしたシート給送装置がある(特許文献2参照)。そして、このようなシート給送装置を備えることにより、画像形成に用いるシートのサイズよりも小型の画像形成装置が実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−147752号公報
【特許文献2】特開昭58−22224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような従来のシート給送装置において、例えばシートを一旦撓ませて他のシートから分離するようにした場合、給紙トレイの上部にシートを撓ませるための空間が必要となり、これにより装置の高さが高くなる。また、シートを曲げた状態で給紙トレイに載置するようにした場合、シートを長時間に渡って湾曲させたまま載置すると、折り曲げた部位においてシートに曲げ癖が付くおそれがある。そして、曲げ癖が付いたシートを搬送すると紙詰まり(ジャム)等の給送不良や、画像をシートに転写する際の転写不良等の問題が生じる。さらに、画像形成された印刷物の一部分だけに曲げ癖がついてしまうおそれがあり、印刷物としての品位を低下させるという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シート収納部に収納されたシートを給送するシート給送装置において、前記シート収納部の上方に配置された給送ローラと、前記シート収納部に一端が、収納されたシートの下方に位置するように固定され、前記給送ローラの周面に沿って引き上げられてシートを前記給送ローラに押し付ける可撓性部材と、前記シート収納部の上方に配置され、前記可撓性部材を引き上げる引き上げ部と、を備え、シートを給送する際、前記引き上げ部により前記可撓性部材を引き上げてシートを前記給送ローラに押し付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シートを給送する際、可撓性部材を引き上げてシートを給送ローラに押し付け、可撓性部材に沿って給送することにより、小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるフルカラーレーザプリンタの全体構成図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図3】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図4】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図5】上記シート給送装置の給紙ローラとシートの当接圧を説明する図。
【図6】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するフローチャート。
【図7】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するタイミングチャート。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図9】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図10】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する第1の図。
【図11】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する第2の図。
【図12】上記シート給送装置のシートのシート部材への突入角の変動を説明する図。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図14】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図15】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図16】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するフローチャート。
【図17】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるフルカラーレーザプリンタの全体構成図である。図1において、100はフルカラーレーザプリンタ、100Aはフルカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。この装置本体であるプリンタ本体100Aには、記録用紙、プラスチックシート、布等のシートに画像を形成する画像形成部100B、シートを給送するシート給送装置200等が設けられている。
【0014】
画像形成部100Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成するプロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)を備えている。なお、このプロセスカートリッジ7は、矢印A方向(時計方向)に不図示の駆動手段(駆動源)により回転駆動される像担持体である感光体ドラム1(1Y,1M,1C,1K)等を備え、プリンタ本体100Aに着脱可能に装着されている。
【0015】
また、画像形成部100Bは、プロセスカートリッジ7の鉛直上方に配置され、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1上に静電潜像を形成するスキャナユニット3を備えている。なお、各プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1の他、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像ユニット4(4Y,4M,4C,4K)、感光体ドラム表面を均一に帯電する帯電ローラ2(2Y,2M,2C,2K)を備えている。また、各プロセスカートリッジ7は、クリーナユニット6(6Y,6M,6C,6K)等を備えている。
【0016】
図1において、100Cは中間転写ベルトユニットであり、この中間転写ベルトユニット100Cは、無端状の中間転写ベルト5と、中間転写ベルト5の内側に感光体ドラム1と対向して配設された1次転写ローラ8(8Y,8M,8C,8K)を備えている。中間転写ベルト5は、駆動ローラ41、2次転写対向ローラ42、従動ローラ43に張架されると共に全ての感光体ドラム1に当接しながら矢印B方向に回転する。
【0017】
ここで、1次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する1次転写部N1を形成すると共に、不図示のバイアス印加手段により中間転写ベルト5に転写バイアスを印加する。そして、この1次転写ローラ8によって中間転写ベルト5に1次転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト5に転写され、これにより中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0018】
また、中間転写ベルト5の外周面側において2次転写対向ローラ42に対向する位置には、中間転写ベルト5を介して2次転写対向ローラ42に圧接し、2次転写部N2を形成する2次転写ローラ9が配設されている。そして、2次転写ローラ9に、不図示の2次転写バイアス印加手段としての2次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像がシート12に転写(2次転写)される。
【0019】
シート給送装置200は、プリンタ本体100Aに着脱自在に装着された給紙トレイ55と、給紙トレイ55に収納されたシート12を給送する給紙ローラ(給送ローラ)51等を有している。そして、給紙トレイ55に収納されたシート12を給送する際は、シート12が圧接している状態の給紙ローラ51を回転させてシート12を送り出す。
【0020】
次に、このように構成されたフルカラーレーザプリンタ100の画像形成動作について説明する。プリンタ本体100Aに接続された不図示の画像読み取り装置、或いはパーソナルコンピュータ等のホスト機器等から画像信号がスキャナユニット3に入力されると、スキャナユニット3から、画像信号に対応したレーザ光が感光体ドラム上に照射される。このとき感光体ドラム1は、帯電ローラ2により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット3からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。この後、この静電潜像を現像ユニット4により現像し、可視化する。
【0021】
例えば、まず感光体ドラム1Yに、イエロー成分色の画像信号によるレーザ光をスキャナユニット3から照射し、感光体ドラム上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像ユニット4Yからのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、感光体ドラム1Yの回転に伴ってトナー像が感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが当接する1次転写部N1に到来する。そして、この1次転写部N1において、1次転写ローラ8Yに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラム上のイエロートナー像が中間転写ベルト上に転写される。
【0022】
次に、中間転写ベルト5のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラム1M上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト5に転写される。同様に、中間転写ベルト5が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト上にフルカラートナー画像が形成される。なお、トナー像転写後に、感光体ドラム表面に残ったトナーは、クリーナユニット6によって除去される。
【0023】
また、このトナー画像形成動作に並行してシート収納部である給紙トレイ55に収容されたシート12は給紙ローラ51により送り出された後、レジストローラ15に搬送される。次に、レジストローラ15に搬送されたシートは、レジストローラ15によりタイミングを合わされた後、2次転写部N2に搬送される。
【0024】
そして、2次転写部N2において、2次転写ローラ9に正極性のバイアスを印加することにより、搬送されたシート12に、中間転写ベルト5上の4色のトナー像が2次転写される。なお、トナー像が2次転写された後、中間転写ベルト5に残ったトナーは、ベルトクリーナ11によって除去される。次に、トナー像転写後のシート12は、定着部10に搬送されて加熱、加圧されることによりフルカラーのトナー像が永久画像として定着され、この後、プリンタ本体100Aの外に排出される。
【0025】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置200について説明する。シート給送装置200は、シートを積載して収容する給紙トレイ55と、給紙ローラ51と、給紙ローラ51によりシートを給送する際、シートを引き上げて給紙ローラ51に押し付けるシート引き上げユニット300とを備えている。
【0026】
ここで、この給紙ローラ51とシート引き上げユニット300は給紙トレイ55の上方に配置されている。そして、このように給紙ローラ51とシート引き上げユニット300を給紙トレイ55の上方に配置することにより、プリンタ本体100Aの、給紙トレイ55を装着する装着方向の寸法が、給紙トレイ55の装着方向の寸法を越えないようにすることができる。
【0027】
ところで、図2に示すように給紙ローラ51の給紙シャフト51aには給紙ローラギア81が固定されており、この給紙ローラギア81には図3に示す正逆転可能な給紙モータ61からの回転駆動力が不図示の歯車を介して伝達される。そして、この給紙モータ61から伝達される回転駆動力により、給紙ローラ51は矢印Fに示すシート給送方向、又は矢印Rに示すシート給送方向と逆方向(以下、逆方向という)に回転する。ここで、給紙ローラ51が給紙トレイ55に収容されているシート12の最上位のシート12aに当接してシート給送方向に回転すると、最上位のシート12aは送り出され、給紙ローラ51が逆方向に回転すると、最上位のシート12aは逆送される。
【0028】
なお、図3に示すように、給紙モータ61と給紙ローラ51との間には、給紙ローラギア81と不図示の歯車との間の接続と離間を行う駆動伝達切替え手段としてのソレノイド63が設けられている。そして、このソレノイド63のONと給紙モータ61の正逆転により、給紙ローラ51の回転方向を切り替えることができる。
【0029】
シート引き上げユニット300は、可撓性部材としてのシート部材53と、給紙シャフト51aと平行なシート掛けシャフト70及びシート巻き取りシャフト71と、トルクリミッタ72と、搬送ガイド16を備えている。ここで、シート部材53は、シートの給送方向下流端部である先端部を下方より支持すると共に、シート巻き取りシャフト71により巻き取られることによって上昇し、シート12を給紙ローラ51に押し付けるためのものである。
【0030】
なお、このシート部材53は、シート給送方向上流端部である後端部が、プリンタ本体100Aに設けられたシート固定部材56にシート部材連結部59を介して連結されている。また、シート部材53は、シート掛けシャフト70に掛け渡されると共に、他端である先端が、トルクリミッタ72を介して、給紙ローラ51の回転に連動して回転してシート部材53を巻き取る回転部材であるシート巻き取りシャフト71に取り付けられている。
【0031】
シート掛けシャフト70はシート部材53の移動方向を規制するためのものであり、シート部材53が所定の方向へシート12を導くガイドの役割を果たす。また、搬送ガイド16は、給紙ローラ51に沿って設けられており、この搬送ガイド16と給紙ローラ51との間にシート部材53が入り込んでいる。また、シート部材53の巻き取りを行う巻き取りシャフト71の端部には、給紙ローラギア81と噛合する巻き取りギア82が取り付けられている。そして、シート巻き取りシャフト71は、給紙ローラギア81及び巻き取りギア82を介して伝達される給紙モータ61からの駆動力により回転し、シート部材53を巻き取る。
【0032】
なお、シート部材53は、例えば、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの可撓性の樹脂製シートを用いて作製することができ、厚みは50μm〜250μmが好適である。なお、本実施の形態においては、シート部材53として150μmのポリエステルフィルムを使用している。
【0033】
ところで、給紙ローラ51及びシート引き上げユニット300はプリンタ本体100Aに取り付けられており、給紙トレイ55はプリンタ本体100Aに対して着脱可能である。そして、図2の(b)は、例えば給紙トレイ55内にシート12が無くなってシートを補給する際、給紙トレイ55がプリンタ本体100Aから抜き出された時の状態を示している。また、図2の(a)は、給紙トレイ55がプリンタ本体100Aに装着された時の状態を示しており、給紙トレイ55を装着した際には、給紙トレイ55上に積載されているシート12の先端部分がシート固定部材56の上、すなわちシート部材53の上に積載される。つまり、本実施の形態においては、シート収納部は、給紙トレイ55とシート固定部材56とにより構成される。また、給紙トレイ55が装着された際、シート12の先端部分はシート部材53の上に積載される。
【0034】
ところで、本実施の形態では、シートを給送する際、給紙モータ61を回転させてシート部材53をシート巻き取りシャフト71によって巻き取ることによりシート部材53を上昇させ、シート12を給紙ローラ51に押し付けるようにしている。ここで、給紙モータ61を回転させる時間は、図3に示すCPU60によりシートサイズに応じて設定される。具体的には、CPU60は、CPU内のメモリ64に予め格納されたシートサイズと回転時間との関係に関するデータテーブルの中から、シートサイズに応じた回転時間を選択してタイマ65にセットし、セットされた時間だけ給紙モータ61を回転させる。
【0035】
なお、シートを給送する際、給紙モータ61の回転を給紙ローラ51に伝達するようにソレノイド63をONするが、ソレノイド63をOFFする時間は、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。言い換えれば、給紙ローラ51の駆動を開始して停止するまでの時間は、シートのサイズにはよらず、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。このため、CPUは、予め一定に決められた、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間だけ給紙ローラ51を駆動する。なお、タイマ65は、CPU内部クロックをカウントすることによって時間計測を行う。
【0036】
次に、本実施の形態におけるシート給送装置のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始される前は、図3の(a)に示すように給紙ローラ51とシート12は非接触の状態である。そして、例えばホスト機器等から給紙開始の指令を受けると、CPU60は給紙モータ61を回転駆動すると共にソレノイド63をONすることにより、給紙ローラ51に駆動を伝達する。これにより、給紙ローラ51は矢印F方向に回転を始める。
【0037】
また、給紙モータ61の回転駆動は、給紙ローラギア81から巻き取りギア82に伝達されてシート巻き取りシャフト71が矢印U方向へ回転し、シート巻き取りシャフト71に設置されたトルクリミッタ72も同様に矢印U方向へ回転する。これにより、シート部材53がシート巻き取りシャフト71に巻き取られるようになり、このようにシート部材53が巻き取られると、まずシート部材53が上昇して給紙ローラ51に圧接する。
【0038】
なお、このように給紙ローラ51とシート部材53が圧接している段階では、給紙ローラ51から、シート部材53の巻き取りをアシストする力がシート部材53に加えられる。また、シート部材53の後端部はシート固定部材56と連結されているため、シート部材53が巻き取られるとシート部材53の見かけ長さが短くなる。この結果、図3の(b)に示すように、シート部材53が上昇し、これに伴いシート12が給紙ローラ51に接触する方向へと上昇する。
【0039】
そして、さらにシート部材53が巻き取られると、図4の(a)に示すようにシート部材上に先端部が積載されているシート12のうち、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられ、給紙ローラ51による最上位のシート12aの給送が開始される。なお、この後、シート巻き取りシャフト71は引き続き回転を続けてシート部材53を巻き取ろうとするが、最上位のシート12aと給紙ローラ51が接触すると巻き取り代がなくなる。このため、この状態でさらにシート巻き取りシャフト71が回転すると、トルク値が上昇し、一定のトルク値(リミット値)を超えると、トルクリミッタ72が空転を始める。なお、このときの給紙ローラ51とシート12との当接圧は、トルクリミッタ72のトルク値と、給紙ローラ51がシート部材53に付与する給送力で規定される。
【0040】
次に、さらに給紙ローラ51の回転が進むと、給紙ローラ51により送り出された最上位のシート12aの先端がシート部材53に接触し、この後、最上位のシート12aはシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。このとき、給紙ローラ51の回転による給送力は、給紙トレイ55内に載置されたシート間の摩擦により、最上位のシート12aよりも下方のシートにも伝達される。しかし、給紙ローラ51と最上位のシート12aの当接圧がトルクリミッタ72で最適に設定されていることにより、最上位のシート12aだけがシート部材53に沿って湾曲しながら分離されて給送される。
【0041】
ここで、この最適に設定されている当接圧について図5を用いて説明する。図5の(a)はシート12が満載状態のとき、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられた状態を示す図であり、給送力を加えられたシート12はシート部材53に対して衝突角度θ_1maxで突入する。図5の(b)は少載状態のとき、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられた状態を示す図であり、給送力を加えられたシート12はシート部材53に対して衝突角度θ_1minで突入する。
【0042】
この時の衝突によりシート12は給送力に対する抗力を受けるが、このとき給紙ローラ51とシート12の当接圧は、最上位のシート12aが受ける給送力のみが抗力を上回り、その他のシートは留まるように設定されている。これにより、最上位のシート12aは、他のシート12と分離されて給送される。
【0043】
なお、このように当接圧が設定されている給紙ローラ51により分離された最上位のシート12aは、給紙ローラ51の回転が更に進むと、給紙ローラ51とシート部材53によるニップ部へと到達する。この後、最上位のシート12aは、図4の(b)に示すように給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過し、シート部材53を給送ガイドとして、言い換えればシート部材53により案内されて図1に示すレジストローラ15へと受け渡される。
【0044】
そして、最上位のシート12aがレジストローラ15に引き継がれた時点で、ソレノイド63がOFFとなり、給紙ローラ51への給紙モータ61からの駆動力の伝達が遮断される。しかし、このように給紙モータ61からの駆動力の伝達が遮断されても、最上位のシート12aが給紙ローラ51に接している間は、最上位のシート12aの移動により給紙ローラ51は連れ回り(空転)を続ける。
【0045】
次に、このようなシート給送装置のシート給送動作制御について図6に示すフローチャート及び図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。まず、CPU60は、給紙モータ61の駆動を開始する前に、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間、すなわちレジストローラ15までの受け渡し時間t1(一定値)を設定する(S100)。なお、この受け渡し時間t1は、シートのサイズにはよらず、給紙モータ61を駆動してからシートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。
【0046】
次に、CPU内のメモリ64に予め格納されたデータテーブルの中から、シートの後端が給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過するのに必要なシートサイズに応じた給紙モータ61の回転時間(値)t2を選択する(S101)。例えば、A4サイズのシートの後端が給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過するのに必要な給紙モータ61の回転時間tA4を選択する。そして、このシート12を給送する際の給紙モータ61の回転時間(t1+t2)をタイマに設定する(S102)。
【0047】
次に、タイマをスタートする(S103)と共に、ソレノイド63をONし(S104)、この後、給紙モータ61をスタートする(S105)。なお、このとき給紙モータ61は正転するので給紙ローラ51も正転する。この後、タイマは内部クロックをカウントすることによって時間を計測する。そして、シート12がレジストローラ15に受け渡され、計測時間Tが、シート12がレジストローラ15に受け渡される受け渡し時間t1を超えると(T≧t1)(S106のY)、駆動伝達をOFFするようにソレノイド63をOFFする(S107)。なお、このように駆動伝達がOFFされても、給紙ローラ51はシートにより連れ送りされて回転するので、給紙ローラ51がレジストローラ15によるシートの搬送を妨げることはない。
【0048】
次に、シート12の後端が給紙ローラ51とシート部材53とのニップを抜け、計測時間Tが給紙モータ61の回転時間(t1+t2)を超えると(T≧t1+t2)(S108のY)、給紙モータ61を停止する(S109)。これにより、1枚目のシートの給送が完了する。
【0049】
なお、図7に示すように、シート12が給紙ローラ51とシート部材53とのニップを抜けるまではシート12の移動に伴う給紙ローラ51の回転に連動してシート巻き上げシャフト71を回転させることができ、シート部材53を巻き上げた状態に保持できる。その後シート12が給紙ローラ51とシート部材53とのニップから抜けた時点で、給紙ローラ51の給送方向への回転(正転)が停止する。
【0050】
一方、給紙ローラ51の正転が停止すると、ソレノイド63のOFFにより駆動伝達がOFFされているため、シート巻き上げシャフト71は回転自由となり、シート部材53を巻き上げて保持しておく力が無くなる。このため、通常、シート12やシート部材53は自重で自然に下降する。しかし、このようにシート巻き上げシャフト71が自由に回転できる状態であっても、構成によってはシート12やシート部材53の自重よりも大きな負荷がかかり、シート12やシート部材53が自然に下降しない場合もある。
【0051】
そこで、このような場合に備え、本実施の形態においては、ソレノイド63をONすると共に給紙モータ61を逆転駆動し、給紙ローラ51を図3に示す矢印R方向に逆回転させる。具体的には、1枚目のシートの給送が完了した後、タイマを逆転時間t3(一定値)に設定し(S110)、この後、タイマをスタートする(S111)。なお、この逆転時間t3は、シートサイズによらず一定に決められており、各部の配置構成によって予め規定される巻き取り分だけ巻き取られたシート部材53を、マージンを含めて図3の(a)に示す初期状態まで戻すことができるように設定される。
【0052】
さらに、ソレノイド63をONし(S112)、この後、給紙モータ61の逆転駆動をスタートする(S113)。ここで、このときソレノイド63はONとなっているので、給紙ローラ51は、逆転する。そして、この後、内部クロックをカウントすることによって時間計測し、計測された時間tが逆転時間t3を超えると(t≧t3)(S114のY)、ソレノイド63をOFFする(S115)。さらに、この後、給紙モータ61を停止する(S116)。そして、このような制御、すなわち初期化シーケンスにより、シート部材53を解放して図3の(a)に示す初期状態に戻すことができる。この初期化シーケンスにより、シートは初期位置に戻り、次のシートに対する安定した給紙動作が可能となる。この後、印刷ジョブが終了するまで(S117のY)、このジョブを繰り返す。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態では、シートを給送する際、シート部材53を引き上げてシートを給紙ローラ51に押し付け、シート部材53に沿って給送するようにしている。そして、このように構成することにより、シートを一旦給送方向上流側に引き戻してから給送側に給送する方式で必要となる撓み形成空間が不要であるため、シート給送装置をより小型化することが出来る。
【0054】
また、シートを曲げた状態で給紙トレイに収容する方式のように、シートに曲げ癖がつくことがないためシート給送ミスの発生が抑制され、出力物の品位低下も回避できる。また、シートをピックアップしてから分離するまでの搬送路に搬送ガイドの接続部などの段差がないため紙詰まりの発生を少なくすることも出来る。
【0055】
つまり、本実施の形態のように、シートを給送する際、シート部材53を引き上げてシートを給紙ローラ51に押し付け、シート部材53に沿って給送することにより、小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことができる。なお、本実施の形態においては、シートがレジストローラ15に達した後、ソレノイド63の切換えによって給紙ローラ51への駆動伝達を遮断して空転するようにしている。しかし、給紙ローラ51の駆動軸上にワンウェークラッチを用い、レジストローラ15の搬送速度を給紙ローラ51より速く設定しておけば、ソレノイド63の切換えなどによらず、給紙ローラを空転させることもできる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。既述した図5に示すように、給紙トレイ55内のシート12の残量により、シート12が、給紙ローラ51の回転駆動を受けてシート部材53に突入する際の突入角度の変動が生じる。図5の(a)のように、シートが満載状態の場合は、シート部材53でシート12を引き上げた状態でも、シートの束の剛度(コシ)が強いため最上位のシート12aは少ない湾曲量となり、突入角θ_1maxでシート部材53に突入する。
【0057】
これに対し、図5の(b)のように、シートの積載量が残り少なくなりシート束の剛度(コシ)が弱くなるにつれ、最上位のシート12aはシート部材53に沿って大きく湾曲しながら給紙ローラ51に当接する。この時、最上位のシート12aはシート部材53に対して突入角θ_1minで突入するが、この突入角θ_1minは満載状態のときの突入角θ_1maxに比べて小さくなっている。このように、シートを引上げるシート引き上げユニット300の、シート底面を支える部位がシート部材53のような可撓性材料で構成されている場合、シート12のシート部材53への突入角は積載量によって大きく変動する。
【0058】
ここで、このシート12のシート部材53への突入角は、シート12を一枚ずつ分離する際に重要なパラメータである。すなわち、突入角が大きすぎると、給送に大きな力が必要となり不送りやシートの端部折れが発生しやすくなる。逆に突入角が小さくなると、シート12がシート部材53に突入する際の抗力が小さくなるため、最上位のシート以外も給送されやすくなりシートの重送が発生しやすくなる。このため、安定した給紙性能を発揮するためには、シート12のシート部材53への突入角が大きく変動しないように突入角を一定の範囲内に入るようにすることが望ましい。そこで、本実施の形態においては、シート12がシート部材53に突入する際の突入角度の変動を少なくするようにしている。
【0059】
図8及び図9は、本実施の形態にかかるシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図8及び図9において、既述した図2及び図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。図8及び図9において、54はシート固定部材56に上下方向に回動可能に設けられ、シート12の先端部分を下方から支持するシート引上げ板であり、このシート引上げ板54は、各種プラスチック材料や、ジンコート鋼板のような金属の板材で構成されている。そして、この回動部材であるシート引上げ板54は、後端部に係合用シャフト58を有しており、この係合用シャフト58を介してシート固定部材56に回動自在に保持されている。
【0060】
また、このシート引上げ板54の先端部にはシート部材連結部59が設けられ、このシート部材連結部59にシート部材53の一端が固定されている。すなわち、本実施の形態のシート引き上げユニット300は、シート12を給紙ローラ側へ引き上げるための部材として、シート部材53のように柔軟な材料に加え、シート12を支持する剛体の板材であるシート引上げ板54を備えている。
【0061】
次に、このような構成のシート給送装置のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始される前は、図9に示すように給紙ローラ51とシート12は非接触の状態である。そして、例えばホスト機器等から給紙開始の指令を受けると、CPU60は給紙モータ61を回転駆動すると共にソレノイド63をONすることにより、給紙ローラ51に駆動を伝達する。これにより、給紙ローラ51は矢印F方向に回転を始める。
【0062】
また、給紙モータ61の回転駆動は、給紙ローラギア81から巻き取りギア82に伝達されてシート巻き取りシャフト71が矢印U方向へ回転し、これによりシート部材53がシート巻き取りシャフト71に巻き取られる。そして、シート部材53が巻き取られると、図10の(a)に示すようにシート引上げ板54がシート部材53と一体に上方回動し、やがて図10の(b)に示すようにシート12が給紙ローラ51に圧接する。これにより、最上位のシート12aが給紙ローラ51により給送される。
【0063】
次に、給紙ローラ51の回転が進むと、最上位のシート12aの先端はシート部材53に接触し、図11に示すようにシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。このとき、給紙ローラ51の回転による給送力は、給紙トレイ55内に載置されたシート間の摩擦により、最上位以外のシートにも伝達される。しかし、給紙ローラ51とシート12の当接圧がトルクリミッタ72で最適に設定されていることにより、最上位のシート12aだけがシート部材53に沿って曲がりながら分離されて給送される。
【0064】
なお、図12の(a)及び(b)は本実施の形態の構成におけるシート12のシート部材53への突入角の変動を説明する図である。図12の(a)はシート12が満載の状態を示しており、この場合、シート12のシート部材53に対する突入角θはθ_2maxで表わされる。図12の(b)はシートの積載量が残り少なくなった状態を示しており、この場合、シート12のシート部材53に対する突入角θは中θ_2minで表わされる。
【0065】
ここで、本実施の形態では、シート12をシート引き上げ板54で支持しているため、図12の(b)に示す給紙ローラ51との当接部におけるシート12の湾曲量は、既述した図5の(b)に対して少なく、突入角は大きく保たれている。つまり、シート12の給紙ローラ51への突入角の変動量θ(θ_1max−θ_1min,θ_2max−θ_2min)は以下の不等式の関係になっており、本実施の形態の構成によって突入角の変動量は少なくなっている。
θ_1max−θ_1min > θ_2max−θ_2min
【0066】
以上説明したように本実施の形態によれば、シート底面を剛体で形成されたシート引上げ板54で支持することにより、給紙トレイ55に収容されているシートの積載量が変動してもシート12がシート部材53へ突入する角度の変動が抑えられる。これにより、給紙トレイ55内のシートを最後の一枚まで安定して分離給送することが出来る。また、本実施の形態においても、よりシート給送装置の小型化を図りつつ、印刷物の品位低下がなく紙詰まりや重送の少ない安定したシート給送装置を提供することが出来る。
【0067】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。既述したように第1及び第2の実施の形態においては、給紙ローラ51を回転させながらシート部材53を引き上げることにより、シート12を給紙ローラ51に接触させるようにしている。この方式では、給紙圧が上がりきらず、給紙圧が低い状態でシート12への給送力伝達が始まってしまう場合がある。この場合、シート12に対する給紙ローラ51の片あたり等が生じ、シート12が斜めに給送される不良が起こるおそれがある。このため、より安定したシートの給送性能を発揮するためには、給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51の駆動を開始することが好ましい。そこで、本実施の形態においては、このように給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51の駆動を開始するようにしている。
【0068】
図13及び図14は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図13及び図14において、既述した図2及び図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0069】
図13及び図14において、73はプリンタ本体100Aに設けられ、シート部材53の先端部が固定される固定部である。74は、給紙ローラ51と固定部73の間であるシート掛けシャフト70と固定部73の間でシート部材53を下方に押圧してシート部材53を撓ませることにより、シート部材53の後端部分を引き上げる押圧部材であるシート押し込み部材である。ここで、シート押し込み部材74はレバー支軸78を支点としてプリンタ本体100Aに上下方向に回動自在に設けられ、駆動部であるシート引上げモータ62の駆動を受けてレバー支軸78を中心に回動する。なお、シート押し込み部材74にはシート部材53と接触するシート押し込みコロ75が設置されており、このシート押し込みコロ75は両端部をコロ軸受76で保持されており、さらにコロ軸受76は圧縮バネ77により、シート部材53側へ付勢されている。
【0070】
そして、このシート押し込み部材74が下方回動することにより、先端が固定部73に固定されたシート部材53がシート掛けシャフト70よりも下方に押し込まれる。ここで、このようにシート部材53が押し込まれると、シート部材53の後端部分が引き上げられ、シート部材53により先端部分が下方より支持されているシート12が給紙ローラ51に押し付けられる。
【0071】
つまり、本実施の形態においては、シート引き上げユニット300は、シート部材53を巻き上げるのではなく、シート押し込み部材74により、例えばシート部材53を下方に撓ませることにより、シート12を引き上げるようにしている。また、シート押し込み部材74をシート引上げモータ62により駆動することにより、給紙ローラ51とシート押し込み部材74とを独立して駆動している。
【0072】
これにより、シート12と給紙ローラ51の接触、離間のタイミングと給紙ローラ51の回転駆動タイミングを自由に設定することができる。なお、本実施の形態においては、シート押し込み部材74によって所定の給紙圧でシート12を給紙ローラ51に押し付けた後、給紙ローラ51の回転を開始するようにしている。これにより、給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51の回転を開始することができ、より安定したシートの給送性能を発揮することができる。
【0073】
なお、図13及び図14において、79はフォトセンサであり、79aはシート押し込み部材74に設けられた遮光部材である。そして、シート押し込み部材74が、図14の(a)に示す初期位置にあるとき、遮光部材79aがフォトセンサ79を遮光することにより、CPU60は、シート押し込み部材74が、初期位置にあることを検知することができる。
【0074】
次に、本実施の形態におけるシート給送装置のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始される前は、図14の(a)に示すように給紙ローラ51とシート12は非接触の状態である。そして、例えばホスト機器等から給紙開始の指令を受けると、CPU60は給紙モータ61を回転駆動すると共にソレノイド63をONすることにより、給紙ローラ51に駆動を伝達する。これにより、給紙ローラ51は矢印F方向に回転を始める。また、シート引上げモータ62を駆動してシート押し込み部材74を矢印Uで示すように下方回動させ、シート部材53を押し込む。ここで、シート部材53の後端部はシート固定部材56に連結されているため、シート部材53が押し込まれると、シート12と共にシート部材53が給紙ローラ51に接近する方向へと上昇し、給紙ローラ51に圧接する。
【0075】
なお、このように給紙ローラ51とシート部材53が圧接している段階では、給紙ローラ51から、シート部材53の巻き取りをアシストする力がシート部材53に加えられる。また、シート部材53の後端部はシート固定部材56に連結されているため、シート部材53が押し込まれるとシート部材53の見かけ長さが短くなる。この結果、図14の(b)に示すように、シート部材53が上昇し、これに伴いシート12が給紙ローラ51に接触する方向へと上昇する。
【0076】
そして、さらにシート部材53が押し下げられると、図15の(a)に示すようにシート部材上に先端部が積載されているシート12のうち、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられ、給紙ローラ51による最上位のシート12aの給送が開始される。なお、シート引上げモータ62は所定の負荷がかかった時点で停止するようになっており、回転が停止する負荷トルクは駆動電圧値により決定される。したがって、シート引上げモータ62への印加電圧を調整することにより、シート引上げモータ62を所定の負荷がかかった時点で停止させることが出来る。
【0077】
そこで、CPU60は、所定の給紙圧を発生するため予め設定されたモータ駆動電圧値をシート引上げモータ62に印加するようにしており、これによりシート引上げモータ62は一定の負荷トルクとなった時点で回転を停止する。そして、このようにシート引上げモータ62の駆動電圧を調整することにより、シート押し込み部材74を一定の負荷がかかるまで回動させた状態で保持することができ、これによりシート12と給紙ローラ51の当接圧を管理することができる。
【0078】
次に、さらに給紙ローラ51の回転が進むと、給紙ローラ51により送り出された最上位のシート12aの先端がシート部材53に接触し、図15の(b)に示すようにシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。このとき、給紙ローラ51の回転による給送力は、給紙トレイ55内に載置されたシート間の摩擦により、最上位以外のシートにも伝達される。しかし、給紙ローラ51とシート12の当接圧がシート引上げモータ62の駆動電圧値によって最適に設定されていることにより、最上位のシート12aだけがシート部材53に沿って曲がりながら分離されて給送される。
【0079】
次に、本実施の形態に係るシート給送制御について図16に示すフローチャート及び図17に示すタイミングチャートを用いて説明する。まず、CPU60は、給紙モータ61の駆動を開始する前にレジストローラ15までの受け渡し時間t1(一定値)を設定する(S200)。なお、この受け渡し時間t1は、シートのサイズにはよらず、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。
【0080】
次に、CPU内のメモリ64に予め格納されたデータテーブルの中から、シートの後端が給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過するのに必要なシートサイズに応じた給紙モータ61の回転時間(値)t2を選択する(S201)。例えば、A4サイズのシートに応じた給紙モータ61の回転時間tA4を選択する。また、シート押し込み部材74が所定の荷重を加えるのに十分な押し込み時間であるシート引き上げ時間(t_wait)を選択する(S202)。そして、このシート12を給送する際の給紙モータ61の回転時間(t1+t2)及びシート引き上げ時間(t_wait)をタイマに設定する。
【0081】
次に、給紙モータ61の回転時間(t1+t2)を計時するタイマをスタートする(S203)と共にシート引き上げ時間(t_wait)を計時するタイマをスタートする(S204)。なお、このタイマは別々に設けても良いが、本実施の形態においては、一つのタイマで2つの時間を計時している。さらに、シート引上げモータ62をスタートし(S205)、シート押し込み部材74を押し込み方向である下方に向けて回動させ、シート部材53を押し下げる。
【0082】
この後、タイマの計測時間Tがシート引き上げ時間(t_wait)を超えると(T≧t_wait)(S206のY)、押し下げられたシート部材53により最上位のシート12aが図15の(a)に示すように給紙ローラ51に押し付けられる。この後、ソレノイド63をONし(S207)、また給紙モータ61をスタートし(S208)、給紙ローラ51を正転させる。
【0083】
これにより、給紙ローラ51による最上位のシート12aの給送が開始され、最上位のシート12aは、図15の(b)に示すようにシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。なお、このように最上位のシート12aを給紙ローラ51に押し付けた後、給紙モータ61をスタートすることにより、給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51を回転させることができ、より安定したシートの給送性能を発揮することができる。
【0084】
次に、シート12がレジストローラ15に受け渡され、計測時間Tが受け渡し時間t1を超えると(T≧t1)(S209のY)、駆動伝達をOFFするようにソレノイド63をOFFする(S210)。次に、シート12の後端が給紙ローラ51とシート部材53とのニップを抜け、計測時間Tが給紙モータ61の回転時間(t1+t2)を超えると(T≧t1+t2)(S211のY)、給紙モータ61を停止する(S212)。これにより、1枚目のシートの給送が完了する。
【0085】
このとき、最上位のシート12a以外のシートがつられて途中まで給送されていることがある。そこで、本実施の形態においては、このような途中まで給送されているシートを戻すように、ソレノイド63をONすると共に給紙モータ61を逆転駆動し、給紙ローラ51を図14の(a)に示す矢印R方向に逆回転させる。具体的には、1枚目のシートの給送が完了した後、タイマを逆転時間t3(一定値)だけ設定し(S213)、この後、タイマをスタートする(S214)。
【0086】
さらに、ソレノイド63をONし(S215)、この後、給紙モータ61の逆転駆動をスタートする(S216)。ここで、このときソレノイド63はONとなっているので、給紙ローラ51は、逆転する。そして、この後、内部クロックをカウントすることによって時間計測し、計測された時間tが逆転時間t3を超えると(t≧t3)(S217のY)、給紙モータ61を停止する(S218)。さらに、この後、ソレノイド63をOFFする(S219)。これにより、このような途中まで給送されているシートを戻すことができる。
【0087】
次に、シート引上げモータ62の逆転駆動をスタートし(S220)、シート押し込み部材74を図14の(a)の矢印Dに示す初期位置方向である上方に向けて回動させ、シート部材53を下降させる。そして、シート押し込み部材74が、遮光部材79aがフォトセンサ79を遮光する初期位置に戻ると(S221のY)、シート引上げモータ62を停止する。この時、ソレノイド63のOFFにより給紙ローラ51は自由に回転できるので、シート部材53の移動が、給紙ローラ51との接触による摩擦抵抗によって阻害されることはない。
【0088】
ここで、このようにシート部材53が下降する際、シート12の先端位置が乱れていても、シート部材53と共にシートがトレイ内へ戻る動作時に先端位置が整えられる。即ち、最上位のシート12a以外のシート12の一部が給紙ローラ51とシート部材53のニップ側に引き込まれていても、シート部材53が下降する際にシート部材53に沿って滑り落ち、先端が整えられて初期状態に戻る。このように、シート押し込み部材74を初期位置に戻す際、シート部材53が下降すると、給紙トレイ55上に残った最上位以外のシートは先端が揃った状態で揃えられ、次の給紙動作に備えることが出来る。この後、印刷ジョブが終了するまで(S222のY)、このジョブを繰り返す。
【0089】
以上説明したように本実施の形態によれば、シート押し込み部材74の駆動と給紙ローラ51の駆動を独立して制御できるようにしているので、十分な給紙圧を加えてから給紙ローラ51の回転を開始することができる。これにより、シート給送の直進性が向上し、斜行などの給送不良の発生を抑制できる。また、本実施の形態においても、よりシート給送装置の小型化を図りつつ、印刷物の品位低下がなく紙詰まりや斜行の少ない安定したシート給送装置を提供することが出来る。
【符号の説明】
【0090】
12…シート,12a…最上位のシート、51…給紙ローラ(給送ローラ)、53…シート部材、54…シート引上げ板、55…給紙トレイ、56…シート固定部材、60…CPU、61…給紙モータ、63…ソレノイド、64…メモリ、65…タイマ、71…シート巻き取りシャフト、72…トルクリミッタ、73…固定部、74…シート押し込み部材、79…フォトセンサ、79a…遮光部材、100…フルカラーレーザプリンタ、100A…フルカラーレーザプリンタ本体、100B…画像形成部、200…シート給送装置、300…シート引き上げユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特に給送不良や印刷物の品位低下を発生させることなく小型化を図るようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファックス、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置には、普通紙、コート紙、プラスチックシート、布等のシートを画像成装置内の画像形成部へ供給するためのシート給送装置が設けられている。ここで、シート給送装置において、シートを1枚ずつ分離して画像形成部に送ることは非常に重要であり、シート給送装置から複数枚のシートを同時に給送するという重送を防ぐために、様々な給紙方式が提案されている。
【0003】
また、近年、重送を防ぎ安定した給紙を行うことだけでなく、シート給送装置の小型化も重視されている。さらに、プリンタやファックス等の一般家庭への普及に伴い、画像形成装置においても、より一層の小型化が求められている。ここで、シートを収容する給紙トレイ(給紙カセット)を備えた画像形成装置においては、特に装置本体の、給紙トレイを装着する方向の寸法(以下、装着方向の寸法という)が、給紙トレイの装着方向の寸法を越えないことが求められている。
【0004】
そして、画像形成装置の装着方向の寸法を給紙トレイの装着方向の寸法内に収めるようにしたシート給送装置としては、例えば給紙ローラを正逆転させることにより、シートを1枚ずつ分離するようにしたものがある(特許文献1参照)。このシート給送装置では、シートを給送する際、まず給紙ローラを逆転させて給紙トレイ内の最上位のシートをシート給送方向と逆方向に給送し、給紙トレイの後部壁を支点に一旦撓ませて他のシートから分離するようにしている。
【0005】
この後、給紙ローラを正転させ、一旦撓ませたシートを給紙トレイのシート給送方向下流側に設けられた分離爪に乗り上げさせることにより、シートを1枚ずつ分離している。このように構成することにより、シートの分離給送の機能を給紙トレイの装着方向の寸法内に収めることができ、画像形成装置の装着方向の寸法を給紙トレイの装着方向の寸法内に収めることができる。
【0006】
また、他の構成としては、シートを収容したまま折り畳むことが可能な機構を有し、シートを曲げた状態で給紙トレイに載置するようにしたシート給送装置がある(特許文献2参照)。そして、このようなシート給送装置を備えることにより、画像形成に用いるシートのサイズよりも小型の画像形成装置が実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−147752号公報
【特許文献2】特開昭58−22224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような従来のシート給送装置において、例えばシートを一旦撓ませて他のシートから分離するようにした場合、給紙トレイの上部にシートを撓ませるための空間が必要となり、これにより装置の高さが高くなる。また、シートを曲げた状態で給紙トレイに載置するようにした場合、シートを長時間に渡って湾曲させたまま載置すると、折り曲げた部位においてシートに曲げ癖が付くおそれがある。そして、曲げ癖が付いたシートを搬送すると紙詰まり(ジャム)等の給送不良や、画像をシートに転写する際の転写不良等の問題が生じる。さらに、画像形成された印刷物の一部分だけに曲げ癖がついてしまうおそれがあり、印刷物としての品位を低下させるという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことのできるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シート収納部に収納されたシートを給送するシート給送装置において、前記シート収納部の上方に配置された給送ローラと、前記シート収納部に一端が、収納されたシートの下方に位置するように固定され、前記給送ローラの周面に沿って引き上げられてシートを前記給送ローラに押し付ける可撓性部材と、前記シート収納部の上方に配置され、前記可撓性部材を引き上げる引き上げ部と、を備え、シートを給送する際、前記引き上げ部により前記可撓性部材を引き上げてシートを前記給送ローラに押し付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シートを給送する際、可撓性部材を引き上げてシートを給送ローラに押し付け、可撓性部材に沿って給送することにより、小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるフルカラーレーザプリンタの全体構成図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図3】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図4】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図5】上記シート給送装置の給紙ローラとシートの当接圧を説明する図。
【図6】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するフローチャート。
【図7】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するタイミングチャート。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図9】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図10】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する第1の図。
【図11】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する第2の図。
【図12】上記シート給送装置のシートのシート部材への突入角の変動を説明する図。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する第1の図。
【図14】上記シート給送装置の構成を説明する第2の図。
【図15】上記シート給送装置のシート給送動作を説明する図。
【図16】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するフローチャート。
【図17】上記シート給送装置のシート給送動作を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるフルカラーレーザプリンタの全体構成図である。図1において、100はフルカラーレーザプリンタ、100Aはフルカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。この装置本体であるプリンタ本体100Aには、記録用紙、プラスチックシート、布等のシートに画像を形成する画像形成部100B、シートを給送するシート給送装置200等が設けられている。
【0014】
画像形成部100Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成するプロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)を備えている。なお、このプロセスカートリッジ7は、矢印A方向(時計方向)に不図示の駆動手段(駆動源)により回転駆動される像担持体である感光体ドラム1(1Y,1M,1C,1K)等を備え、プリンタ本体100Aに着脱可能に装着されている。
【0015】
また、画像形成部100Bは、プロセスカートリッジ7の鉛直上方に配置され、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム1上に静電潜像を形成するスキャナユニット3を備えている。なお、各プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1の他、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像ユニット4(4Y,4M,4C,4K)、感光体ドラム表面を均一に帯電する帯電ローラ2(2Y,2M,2C,2K)を備えている。また、各プロセスカートリッジ7は、クリーナユニット6(6Y,6M,6C,6K)等を備えている。
【0016】
図1において、100Cは中間転写ベルトユニットであり、この中間転写ベルトユニット100Cは、無端状の中間転写ベルト5と、中間転写ベルト5の内側に感光体ドラム1と対向して配設された1次転写ローラ8(8Y,8M,8C,8K)を備えている。中間転写ベルト5は、駆動ローラ41、2次転写対向ローラ42、従動ローラ43に張架されると共に全ての感光体ドラム1に当接しながら矢印B方向に回転する。
【0017】
ここで、1次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する1次転写部N1を形成すると共に、不図示のバイアス印加手段により中間転写ベルト5に転写バイアスを印加する。そして、この1次転写ローラ8によって中間転写ベルト5に1次転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト5に転写され、これにより中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0018】
また、中間転写ベルト5の外周面側において2次転写対向ローラ42に対向する位置には、中間転写ベルト5を介して2次転写対向ローラ42に圧接し、2次転写部N2を形成する2次転写ローラ9が配設されている。そして、2次転写ローラ9に、不図示の2次転写バイアス印加手段としての2次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像がシート12に転写(2次転写)される。
【0019】
シート給送装置200は、プリンタ本体100Aに着脱自在に装着された給紙トレイ55と、給紙トレイ55に収納されたシート12を給送する給紙ローラ(給送ローラ)51等を有している。そして、給紙トレイ55に収納されたシート12を給送する際は、シート12が圧接している状態の給紙ローラ51を回転させてシート12を送り出す。
【0020】
次に、このように構成されたフルカラーレーザプリンタ100の画像形成動作について説明する。プリンタ本体100Aに接続された不図示の画像読み取り装置、或いはパーソナルコンピュータ等のホスト機器等から画像信号がスキャナユニット3に入力されると、スキャナユニット3から、画像信号に対応したレーザ光が感光体ドラム上に照射される。このとき感光体ドラム1は、帯電ローラ2により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット3からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。この後、この静電潜像を現像ユニット4により現像し、可視化する。
【0021】
例えば、まず感光体ドラム1Yに、イエロー成分色の画像信号によるレーザ光をスキャナユニット3から照射し、感光体ドラム上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像ユニット4Yからのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、感光体ドラム1Yの回転に伴ってトナー像が感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが当接する1次転写部N1に到来する。そして、この1次転写部N1において、1次転写ローラ8Yに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラム上のイエロートナー像が中間転写ベルト上に転写される。
【0022】
次に、中間転写ベルト5のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラム1M上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト5に転写される。同様に、中間転写ベルト5が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト上にフルカラートナー画像が形成される。なお、トナー像転写後に、感光体ドラム表面に残ったトナーは、クリーナユニット6によって除去される。
【0023】
また、このトナー画像形成動作に並行してシート収納部である給紙トレイ55に収容されたシート12は給紙ローラ51により送り出された後、レジストローラ15に搬送される。次に、レジストローラ15に搬送されたシートは、レジストローラ15によりタイミングを合わされた後、2次転写部N2に搬送される。
【0024】
そして、2次転写部N2において、2次転写ローラ9に正極性のバイアスを印加することにより、搬送されたシート12に、中間転写ベルト5上の4色のトナー像が2次転写される。なお、トナー像が2次転写された後、中間転写ベルト5に残ったトナーは、ベルトクリーナ11によって除去される。次に、トナー像転写後のシート12は、定着部10に搬送されて加熱、加圧されることによりフルカラーのトナー像が永久画像として定着され、この後、プリンタ本体100Aの外に排出される。
【0025】
次に、本実施の形態に係るシート給送装置200について説明する。シート給送装置200は、シートを積載して収容する給紙トレイ55と、給紙ローラ51と、給紙ローラ51によりシートを給送する際、シートを引き上げて給紙ローラ51に押し付けるシート引き上げユニット300とを備えている。
【0026】
ここで、この給紙ローラ51とシート引き上げユニット300は給紙トレイ55の上方に配置されている。そして、このように給紙ローラ51とシート引き上げユニット300を給紙トレイ55の上方に配置することにより、プリンタ本体100Aの、給紙トレイ55を装着する装着方向の寸法が、給紙トレイ55の装着方向の寸法を越えないようにすることができる。
【0027】
ところで、図2に示すように給紙ローラ51の給紙シャフト51aには給紙ローラギア81が固定されており、この給紙ローラギア81には図3に示す正逆転可能な給紙モータ61からの回転駆動力が不図示の歯車を介して伝達される。そして、この給紙モータ61から伝達される回転駆動力により、給紙ローラ51は矢印Fに示すシート給送方向、又は矢印Rに示すシート給送方向と逆方向(以下、逆方向という)に回転する。ここで、給紙ローラ51が給紙トレイ55に収容されているシート12の最上位のシート12aに当接してシート給送方向に回転すると、最上位のシート12aは送り出され、給紙ローラ51が逆方向に回転すると、最上位のシート12aは逆送される。
【0028】
なお、図3に示すように、給紙モータ61と給紙ローラ51との間には、給紙ローラギア81と不図示の歯車との間の接続と離間を行う駆動伝達切替え手段としてのソレノイド63が設けられている。そして、このソレノイド63のONと給紙モータ61の正逆転により、給紙ローラ51の回転方向を切り替えることができる。
【0029】
シート引き上げユニット300は、可撓性部材としてのシート部材53と、給紙シャフト51aと平行なシート掛けシャフト70及びシート巻き取りシャフト71と、トルクリミッタ72と、搬送ガイド16を備えている。ここで、シート部材53は、シートの給送方向下流端部である先端部を下方より支持すると共に、シート巻き取りシャフト71により巻き取られることによって上昇し、シート12を給紙ローラ51に押し付けるためのものである。
【0030】
なお、このシート部材53は、シート給送方向上流端部である後端部が、プリンタ本体100Aに設けられたシート固定部材56にシート部材連結部59を介して連結されている。また、シート部材53は、シート掛けシャフト70に掛け渡されると共に、他端である先端が、トルクリミッタ72を介して、給紙ローラ51の回転に連動して回転してシート部材53を巻き取る回転部材であるシート巻き取りシャフト71に取り付けられている。
【0031】
シート掛けシャフト70はシート部材53の移動方向を規制するためのものであり、シート部材53が所定の方向へシート12を導くガイドの役割を果たす。また、搬送ガイド16は、給紙ローラ51に沿って設けられており、この搬送ガイド16と給紙ローラ51との間にシート部材53が入り込んでいる。また、シート部材53の巻き取りを行う巻き取りシャフト71の端部には、給紙ローラギア81と噛合する巻き取りギア82が取り付けられている。そして、シート巻き取りシャフト71は、給紙ローラギア81及び巻き取りギア82を介して伝達される給紙モータ61からの駆動力により回転し、シート部材53を巻き取る。
【0032】
なお、シート部材53は、例えば、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの可撓性の樹脂製シートを用いて作製することができ、厚みは50μm〜250μmが好適である。なお、本実施の形態においては、シート部材53として150μmのポリエステルフィルムを使用している。
【0033】
ところで、給紙ローラ51及びシート引き上げユニット300はプリンタ本体100Aに取り付けられており、給紙トレイ55はプリンタ本体100Aに対して着脱可能である。そして、図2の(b)は、例えば給紙トレイ55内にシート12が無くなってシートを補給する際、給紙トレイ55がプリンタ本体100Aから抜き出された時の状態を示している。また、図2の(a)は、給紙トレイ55がプリンタ本体100Aに装着された時の状態を示しており、給紙トレイ55を装着した際には、給紙トレイ55上に積載されているシート12の先端部分がシート固定部材56の上、すなわちシート部材53の上に積載される。つまり、本実施の形態においては、シート収納部は、給紙トレイ55とシート固定部材56とにより構成される。また、給紙トレイ55が装着された際、シート12の先端部分はシート部材53の上に積載される。
【0034】
ところで、本実施の形態では、シートを給送する際、給紙モータ61を回転させてシート部材53をシート巻き取りシャフト71によって巻き取ることによりシート部材53を上昇させ、シート12を給紙ローラ51に押し付けるようにしている。ここで、給紙モータ61を回転させる時間は、図3に示すCPU60によりシートサイズに応じて設定される。具体的には、CPU60は、CPU内のメモリ64に予め格納されたシートサイズと回転時間との関係に関するデータテーブルの中から、シートサイズに応じた回転時間を選択してタイマ65にセットし、セットされた時間だけ給紙モータ61を回転させる。
【0035】
なお、シートを給送する際、給紙モータ61の回転を給紙ローラ51に伝達するようにソレノイド63をONするが、ソレノイド63をOFFする時間は、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。言い換えれば、給紙ローラ51の駆動を開始して停止するまでの時間は、シートのサイズにはよらず、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。このため、CPUは、予め一定に決められた、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間だけ給紙ローラ51を駆動する。なお、タイマ65は、CPU内部クロックをカウントすることによって時間計測を行う。
【0036】
次に、本実施の形態におけるシート給送装置のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始される前は、図3の(a)に示すように給紙ローラ51とシート12は非接触の状態である。そして、例えばホスト機器等から給紙開始の指令を受けると、CPU60は給紙モータ61を回転駆動すると共にソレノイド63をONすることにより、給紙ローラ51に駆動を伝達する。これにより、給紙ローラ51は矢印F方向に回転を始める。
【0037】
また、給紙モータ61の回転駆動は、給紙ローラギア81から巻き取りギア82に伝達されてシート巻き取りシャフト71が矢印U方向へ回転し、シート巻き取りシャフト71に設置されたトルクリミッタ72も同様に矢印U方向へ回転する。これにより、シート部材53がシート巻き取りシャフト71に巻き取られるようになり、このようにシート部材53が巻き取られると、まずシート部材53が上昇して給紙ローラ51に圧接する。
【0038】
なお、このように給紙ローラ51とシート部材53が圧接している段階では、給紙ローラ51から、シート部材53の巻き取りをアシストする力がシート部材53に加えられる。また、シート部材53の後端部はシート固定部材56と連結されているため、シート部材53が巻き取られるとシート部材53の見かけ長さが短くなる。この結果、図3の(b)に示すように、シート部材53が上昇し、これに伴いシート12が給紙ローラ51に接触する方向へと上昇する。
【0039】
そして、さらにシート部材53が巻き取られると、図4の(a)に示すようにシート部材上に先端部が積載されているシート12のうち、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられ、給紙ローラ51による最上位のシート12aの給送が開始される。なお、この後、シート巻き取りシャフト71は引き続き回転を続けてシート部材53を巻き取ろうとするが、最上位のシート12aと給紙ローラ51が接触すると巻き取り代がなくなる。このため、この状態でさらにシート巻き取りシャフト71が回転すると、トルク値が上昇し、一定のトルク値(リミット値)を超えると、トルクリミッタ72が空転を始める。なお、このときの給紙ローラ51とシート12との当接圧は、トルクリミッタ72のトルク値と、給紙ローラ51がシート部材53に付与する給送力で規定される。
【0040】
次に、さらに給紙ローラ51の回転が進むと、給紙ローラ51により送り出された最上位のシート12aの先端がシート部材53に接触し、この後、最上位のシート12aはシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。このとき、給紙ローラ51の回転による給送力は、給紙トレイ55内に載置されたシート間の摩擦により、最上位のシート12aよりも下方のシートにも伝達される。しかし、給紙ローラ51と最上位のシート12aの当接圧がトルクリミッタ72で最適に設定されていることにより、最上位のシート12aだけがシート部材53に沿って湾曲しながら分離されて給送される。
【0041】
ここで、この最適に設定されている当接圧について図5を用いて説明する。図5の(a)はシート12が満載状態のとき、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられた状態を示す図であり、給送力を加えられたシート12はシート部材53に対して衝突角度θ_1maxで突入する。図5の(b)は少載状態のとき、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられた状態を示す図であり、給送力を加えられたシート12はシート部材53に対して衝突角度θ_1minで突入する。
【0042】
この時の衝突によりシート12は給送力に対する抗力を受けるが、このとき給紙ローラ51とシート12の当接圧は、最上位のシート12aが受ける給送力のみが抗力を上回り、その他のシートは留まるように設定されている。これにより、最上位のシート12aは、他のシート12と分離されて給送される。
【0043】
なお、このように当接圧が設定されている給紙ローラ51により分離された最上位のシート12aは、給紙ローラ51の回転が更に進むと、給紙ローラ51とシート部材53によるニップ部へと到達する。この後、最上位のシート12aは、図4の(b)に示すように給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過し、シート部材53を給送ガイドとして、言い換えればシート部材53により案内されて図1に示すレジストローラ15へと受け渡される。
【0044】
そして、最上位のシート12aがレジストローラ15に引き継がれた時点で、ソレノイド63がOFFとなり、給紙ローラ51への給紙モータ61からの駆動力の伝達が遮断される。しかし、このように給紙モータ61からの駆動力の伝達が遮断されても、最上位のシート12aが給紙ローラ51に接している間は、最上位のシート12aの移動により給紙ローラ51は連れ回り(空転)を続ける。
【0045】
次に、このようなシート給送装置のシート給送動作制御について図6に示すフローチャート及び図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。まず、CPU60は、給紙モータ61の駆動を開始する前に、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間、すなわちレジストローラ15までの受け渡し時間t1(一定値)を設定する(S100)。なお、この受け渡し時間t1は、シートのサイズにはよらず、給紙モータ61を駆動してからシートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。
【0046】
次に、CPU内のメモリ64に予め格納されたデータテーブルの中から、シートの後端が給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過するのに必要なシートサイズに応じた給紙モータ61の回転時間(値)t2を選択する(S101)。例えば、A4サイズのシートの後端が給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過するのに必要な給紙モータ61の回転時間tA4を選択する。そして、このシート12を給送する際の給紙モータ61の回転時間(t1+t2)をタイマに設定する(S102)。
【0047】
次に、タイマをスタートする(S103)と共に、ソレノイド63をONし(S104)、この後、給紙モータ61をスタートする(S105)。なお、このとき給紙モータ61は正転するので給紙ローラ51も正転する。この後、タイマは内部クロックをカウントすることによって時間を計測する。そして、シート12がレジストローラ15に受け渡され、計測時間Tが、シート12がレジストローラ15に受け渡される受け渡し時間t1を超えると(T≧t1)(S106のY)、駆動伝達をOFFするようにソレノイド63をOFFする(S107)。なお、このように駆動伝達がOFFされても、給紙ローラ51はシートにより連れ送りされて回転するので、給紙ローラ51がレジストローラ15によるシートの搬送を妨げることはない。
【0048】
次に、シート12の後端が給紙ローラ51とシート部材53とのニップを抜け、計測時間Tが給紙モータ61の回転時間(t1+t2)を超えると(T≧t1+t2)(S108のY)、給紙モータ61を停止する(S109)。これにより、1枚目のシートの給送が完了する。
【0049】
なお、図7に示すように、シート12が給紙ローラ51とシート部材53とのニップを抜けるまではシート12の移動に伴う給紙ローラ51の回転に連動してシート巻き上げシャフト71を回転させることができ、シート部材53を巻き上げた状態に保持できる。その後シート12が給紙ローラ51とシート部材53とのニップから抜けた時点で、給紙ローラ51の給送方向への回転(正転)が停止する。
【0050】
一方、給紙ローラ51の正転が停止すると、ソレノイド63のOFFにより駆動伝達がOFFされているため、シート巻き上げシャフト71は回転自由となり、シート部材53を巻き上げて保持しておく力が無くなる。このため、通常、シート12やシート部材53は自重で自然に下降する。しかし、このようにシート巻き上げシャフト71が自由に回転できる状態であっても、構成によってはシート12やシート部材53の自重よりも大きな負荷がかかり、シート12やシート部材53が自然に下降しない場合もある。
【0051】
そこで、このような場合に備え、本実施の形態においては、ソレノイド63をONすると共に給紙モータ61を逆転駆動し、給紙ローラ51を図3に示す矢印R方向に逆回転させる。具体的には、1枚目のシートの給送が完了した後、タイマを逆転時間t3(一定値)に設定し(S110)、この後、タイマをスタートする(S111)。なお、この逆転時間t3は、シートサイズによらず一定に決められており、各部の配置構成によって予め規定される巻き取り分だけ巻き取られたシート部材53を、マージンを含めて図3の(a)に示す初期状態まで戻すことができるように設定される。
【0052】
さらに、ソレノイド63をONし(S112)、この後、給紙モータ61の逆転駆動をスタートする(S113)。ここで、このときソレノイド63はONとなっているので、給紙ローラ51は、逆転する。そして、この後、内部クロックをカウントすることによって時間計測し、計測された時間tが逆転時間t3を超えると(t≧t3)(S114のY)、ソレノイド63をOFFする(S115)。さらに、この後、給紙モータ61を停止する(S116)。そして、このような制御、すなわち初期化シーケンスにより、シート部材53を解放して図3の(a)に示す初期状態に戻すことができる。この初期化シーケンスにより、シートは初期位置に戻り、次のシートに対する安定した給紙動作が可能となる。この後、印刷ジョブが終了するまで(S117のY)、このジョブを繰り返す。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態では、シートを給送する際、シート部材53を引き上げてシートを給紙ローラ51に押し付け、シート部材53に沿って給送するようにしている。そして、このように構成することにより、シートを一旦給送方向上流側に引き戻してから給送側に給送する方式で必要となる撓み形成空間が不要であるため、シート給送装置をより小型化することが出来る。
【0054】
また、シートを曲げた状態で給紙トレイに収容する方式のように、シートに曲げ癖がつくことがないためシート給送ミスの発生が抑制され、出力物の品位低下も回避できる。また、シートをピックアップしてから分離するまでの搬送路に搬送ガイドの接続部などの段差がないため紙詰まりの発生を少なくすることも出来る。
【0055】
つまり、本実施の形態のように、シートを給送する際、シート部材53を引き上げてシートを給紙ローラ51に押し付け、シート部材53に沿って給送することにより、小型化を図りつつ、給送不良や印刷物の品位低下の発生を防ぐことができる。なお、本実施の形態においては、シートがレジストローラ15に達した後、ソレノイド63の切換えによって給紙ローラ51への駆動伝達を遮断して空転するようにしている。しかし、給紙ローラ51の駆動軸上にワンウェークラッチを用い、レジストローラ15の搬送速度を給紙ローラ51より速く設定しておけば、ソレノイド63の切換えなどによらず、給紙ローラを空転させることもできる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。既述した図5に示すように、給紙トレイ55内のシート12の残量により、シート12が、給紙ローラ51の回転駆動を受けてシート部材53に突入する際の突入角度の変動が生じる。図5の(a)のように、シートが満載状態の場合は、シート部材53でシート12を引き上げた状態でも、シートの束の剛度(コシ)が強いため最上位のシート12aは少ない湾曲量となり、突入角θ_1maxでシート部材53に突入する。
【0057】
これに対し、図5の(b)のように、シートの積載量が残り少なくなりシート束の剛度(コシ)が弱くなるにつれ、最上位のシート12aはシート部材53に沿って大きく湾曲しながら給紙ローラ51に当接する。この時、最上位のシート12aはシート部材53に対して突入角θ_1minで突入するが、この突入角θ_1minは満載状態のときの突入角θ_1maxに比べて小さくなっている。このように、シートを引上げるシート引き上げユニット300の、シート底面を支える部位がシート部材53のような可撓性材料で構成されている場合、シート12のシート部材53への突入角は積載量によって大きく変動する。
【0058】
ここで、このシート12のシート部材53への突入角は、シート12を一枚ずつ分離する際に重要なパラメータである。すなわち、突入角が大きすぎると、給送に大きな力が必要となり不送りやシートの端部折れが発生しやすくなる。逆に突入角が小さくなると、シート12がシート部材53に突入する際の抗力が小さくなるため、最上位のシート以外も給送されやすくなりシートの重送が発生しやすくなる。このため、安定した給紙性能を発揮するためには、シート12のシート部材53への突入角が大きく変動しないように突入角を一定の範囲内に入るようにすることが望ましい。そこで、本実施の形態においては、シート12がシート部材53に突入する際の突入角度の変動を少なくするようにしている。
【0059】
図8及び図9は、本実施の形態にかかるシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図8及び図9において、既述した図2及び図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。図8及び図9において、54はシート固定部材56に上下方向に回動可能に設けられ、シート12の先端部分を下方から支持するシート引上げ板であり、このシート引上げ板54は、各種プラスチック材料や、ジンコート鋼板のような金属の板材で構成されている。そして、この回動部材であるシート引上げ板54は、後端部に係合用シャフト58を有しており、この係合用シャフト58を介してシート固定部材56に回動自在に保持されている。
【0060】
また、このシート引上げ板54の先端部にはシート部材連結部59が設けられ、このシート部材連結部59にシート部材53の一端が固定されている。すなわち、本実施の形態のシート引き上げユニット300は、シート12を給紙ローラ側へ引き上げるための部材として、シート部材53のように柔軟な材料に加え、シート12を支持する剛体の板材であるシート引上げ板54を備えている。
【0061】
次に、このような構成のシート給送装置のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始される前は、図9に示すように給紙ローラ51とシート12は非接触の状態である。そして、例えばホスト機器等から給紙開始の指令を受けると、CPU60は給紙モータ61を回転駆動すると共にソレノイド63をONすることにより、給紙ローラ51に駆動を伝達する。これにより、給紙ローラ51は矢印F方向に回転を始める。
【0062】
また、給紙モータ61の回転駆動は、給紙ローラギア81から巻き取りギア82に伝達されてシート巻き取りシャフト71が矢印U方向へ回転し、これによりシート部材53がシート巻き取りシャフト71に巻き取られる。そして、シート部材53が巻き取られると、図10の(a)に示すようにシート引上げ板54がシート部材53と一体に上方回動し、やがて図10の(b)に示すようにシート12が給紙ローラ51に圧接する。これにより、最上位のシート12aが給紙ローラ51により給送される。
【0063】
次に、給紙ローラ51の回転が進むと、最上位のシート12aの先端はシート部材53に接触し、図11に示すようにシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。このとき、給紙ローラ51の回転による給送力は、給紙トレイ55内に載置されたシート間の摩擦により、最上位以外のシートにも伝達される。しかし、給紙ローラ51とシート12の当接圧がトルクリミッタ72で最適に設定されていることにより、最上位のシート12aだけがシート部材53に沿って曲がりながら分離されて給送される。
【0064】
なお、図12の(a)及び(b)は本実施の形態の構成におけるシート12のシート部材53への突入角の変動を説明する図である。図12の(a)はシート12が満載の状態を示しており、この場合、シート12のシート部材53に対する突入角θはθ_2maxで表わされる。図12の(b)はシートの積載量が残り少なくなった状態を示しており、この場合、シート12のシート部材53に対する突入角θは中θ_2minで表わされる。
【0065】
ここで、本実施の形態では、シート12をシート引き上げ板54で支持しているため、図12の(b)に示す給紙ローラ51との当接部におけるシート12の湾曲量は、既述した図5の(b)に対して少なく、突入角は大きく保たれている。つまり、シート12の給紙ローラ51への突入角の変動量θ(θ_1max−θ_1min,θ_2max−θ_2min)は以下の不等式の関係になっており、本実施の形態の構成によって突入角の変動量は少なくなっている。
θ_1max−θ_1min > θ_2max−θ_2min
【0066】
以上説明したように本実施の形態によれば、シート底面を剛体で形成されたシート引上げ板54で支持することにより、給紙トレイ55に収容されているシートの積載量が変動してもシート12がシート部材53へ突入する角度の変動が抑えられる。これにより、給紙トレイ55内のシートを最後の一枚まで安定して分離給送することが出来る。また、本実施の形態においても、よりシート給送装置の小型化を図りつつ、印刷物の品位低下がなく紙詰まりや重送の少ない安定したシート給送装置を提供することが出来る。
【0067】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。既述したように第1及び第2の実施の形態においては、給紙ローラ51を回転させながらシート部材53を引き上げることにより、シート12を給紙ローラ51に接触させるようにしている。この方式では、給紙圧が上がりきらず、給紙圧が低い状態でシート12への給送力伝達が始まってしまう場合がある。この場合、シート12に対する給紙ローラ51の片あたり等が生じ、シート12が斜めに給送される不良が起こるおそれがある。このため、より安定したシートの給送性能を発揮するためには、給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51の駆動を開始することが好ましい。そこで、本実施の形態においては、このように給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51の駆動を開始するようにしている。
【0068】
図13及び図14は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図13及び図14において、既述した図2及び図3と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0069】
図13及び図14において、73はプリンタ本体100Aに設けられ、シート部材53の先端部が固定される固定部である。74は、給紙ローラ51と固定部73の間であるシート掛けシャフト70と固定部73の間でシート部材53を下方に押圧してシート部材53を撓ませることにより、シート部材53の後端部分を引き上げる押圧部材であるシート押し込み部材である。ここで、シート押し込み部材74はレバー支軸78を支点としてプリンタ本体100Aに上下方向に回動自在に設けられ、駆動部であるシート引上げモータ62の駆動を受けてレバー支軸78を中心に回動する。なお、シート押し込み部材74にはシート部材53と接触するシート押し込みコロ75が設置されており、このシート押し込みコロ75は両端部をコロ軸受76で保持されており、さらにコロ軸受76は圧縮バネ77により、シート部材53側へ付勢されている。
【0070】
そして、このシート押し込み部材74が下方回動することにより、先端が固定部73に固定されたシート部材53がシート掛けシャフト70よりも下方に押し込まれる。ここで、このようにシート部材53が押し込まれると、シート部材53の後端部分が引き上げられ、シート部材53により先端部分が下方より支持されているシート12が給紙ローラ51に押し付けられる。
【0071】
つまり、本実施の形態においては、シート引き上げユニット300は、シート部材53を巻き上げるのではなく、シート押し込み部材74により、例えばシート部材53を下方に撓ませることにより、シート12を引き上げるようにしている。また、シート押し込み部材74をシート引上げモータ62により駆動することにより、給紙ローラ51とシート押し込み部材74とを独立して駆動している。
【0072】
これにより、シート12と給紙ローラ51の接触、離間のタイミングと給紙ローラ51の回転駆動タイミングを自由に設定することができる。なお、本実施の形態においては、シート押し込み部材74によって所定の給紙圧でシート12を給紙ローラ51に押し付けた後、給紙ローラ51の回転を開始するようにしている。これにより、給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51の回転を開始することができ、より安定したシートの給送性能を発揮することができる。
【0073】
なお、図13及び図14において、79はフォトセンサであり、79aはシート押し込み部材74に設けられた遮光部材である。そして、シート押し込み部材74が、図14の(a)に示す初期位置にあるとき、遮光部材79aがフォトセンサ79を遮光することにより、CPU60は、シート押し込み部材74が、初期位置にあることを検知することができる。
【0074】
次に、本実施の形態におけるシート給送装置のシート給送動作について説明する。シート給送動作が開始される前は、図14の(a)に示すように給紙ローラ51とシート12は非接触の状態である。そして、例えばホスト機器等から給紙開始の指令を受けると、CPU60は給紙モータ61を回転駆動すると共にソレノイド63をONすることにより、給紙ローラ51に駆動を伝達する。これにより、給紙ローラ51は矢印F方向に回転を始める。また、シート引上げモータ62を駆動してシート押し込み部材74を矢印Uで示すように下方回動させ、シート部材53を押し込む。ここで、シート部材53の後端部はシート固定部材56に連結されているため、シート部材53が押し込まれると、シート12と共にシート部材53が給紙ローラ51に接近する方向へと上昇し、給紙ローラ51に圧接する。
【0075】
なお、このように給紙ローラ51とシート部材53が圧接している段階では、給紙ローラ51から、シート部材53の巻き取りをアシストする力がシート部材53に加えられる。また、シート部材53の後端部はシート固定部材56に連結されているため、シート部材53が押し込まれるとシート部材53の見かけ長さが短くなる。この結果、図14の(b)に示すように、シート部材53が上昇し、これに伴いシート12が給紙ローラ51に接触する方向へと上昇する。
【0076】
そして、さらにシート部材53が押し下げられると、図15の(a)に示すようにシート部材上に先端部が積載されているシート12のうち、最上位のシート12aが給紙ローラ51に押し付けられ、給紙ローラ51による最上位のシート12aの給送が開始される。なお、シート引上げモータ62は所定の負荷がかかった時点で停止するようになっており、回転が停止する負荷トルクは駆動電圧値により決定される。したがって、シート引上げモータ62への印加電圧を調整することにより、シート引上げモータ62を所定の負荷がかかった時点で停止させることが出来る。
【0077】
そこで、CPU60は、所定の給紙圧を発生するため予め設定されたモータ駆動電圧値をシート引上げモータ62に印加するようにしており、これによりシート引上げモータ62は一定の負荷トルクとなった時点で回転を停止する。そして、このようにシート引上げモータ62の駆動電圧を調整することにより、シート押し込み部材74を一定の負荷がかかるまで回動させた状態で保持することができ、これによりシート12と給紙ローラ51の当接圧を管理することができる。
【0078】
次に、さらに給紙ローラ51の回転が進むと、給紙ローラ51により送り出された最上位のシート12aの先端がシート部材53に接触し、図15の(b)に示すようにシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。このとき、給紙ローラ51の回転による給送力は、給紙トレイ55内に載置されたシート間の摩擦により、最上位以外のシートにも伝達される。しかし、給紙ローラ51とシート12の当接圧がシート引上げモータ62の駆動電圧値によって最適に設定されていることにより、最上位のシート12aだけがシート部材53に沿って曲がりながら分離されて給送される。
【0079】
次に、本実施の形態に係るシート給送制御について図16に示すフローチャート及び図17に示すタイミングチャートを用いて説明する。まず、CPU60は、給紙モータ61の駆動を開始する前にレジストローラ15までの受け渡し時間t1(一定値)を設定する(S200)。なお、この受け渡し時間t1は、シートのサイズにはよらず、シートの先端がレジストローラ15に達するのに十分な時間であれば良い。
【0080】
次に、CPU内のメモリ64に予め格納されたデータテーブルの中から、シートの後端が給紙ローラ51とシート部材53のニップを通過するのに必要なシートサイズに応じた給紙モータ61の回転時間(値)t2を選択する(S201)。例えば、A4サイズのシートに応じた給紙モータ61の回転時間tA4を選択する。また、シート押し込み部材74が所定の荷重を加えるのに十分な押し込み時間であるシート引き上げ時間(t_wait)を選択する(S202)。そして、このシート12を給送する際の給紙モータ61の回転時間(t1+t2)及びシート引き上げ時間(t_wait)をタイマに設定する。
【0081】
次に、給紙モータ61の回転時間(t1+t2)を計時するタイマをスタートする(S203)と共にシート引き上げ時間(t_wait)を計時するタイマをスタートする(S204)。なお、このタイマは別々に設けても良いが、本実施の形態においては、一つのタイマで2つの時間を計時している。さらに、シート引上げモータ62をスタートし(S205)、シート押し込み部材74を押し込み方向である下方に向けて回動させ、シート部材53を押し下げる。
【0082】
この後、タイマの計測時間Tがシート引き上げ時間(t_wait)を超えると(T≧t_wait)(S206のY)、押し下げられたシート部材53により最上位のシート12aが図15の(a)に示すように給紙ローラ51に押し付けられる。この後、ソレノイド63をONし(S207)、また給紙モータ61をスタートし(S208)、給紙ローラ51を正転させる。
【0083】
これにより、給紙ローラ51による最上位のシート12aの給送が開始され、最上位のシート12aは、図15の(b)に示すようにシート部材53に沿って給紙ローラ51とシート部材53との間を給送されていく。なお、このように最上位のシート12aを給紙ローラ51に押し付けた後、給紙モータ61をスタートすることにより、給紙圧が所定の値に十分に達した後に給紙ローラ51を回転させることができ、より安定したシートの給送性能を発揮することができる。
【0084】
次に、シート12がレジストローラ15に受け渡され、計測時間Tが受け渡し時間t1を超えると(T≧t1)(S209のY)、駆動伝達をOFFするようにソレノイド63をOFFする(S210)。次に、シート12の後端が給紙ローラ51とシート部材53とのニップを抜け、計測時間Tが給紙モータ61の回転時間(t1+t2)を超えると(T≧t1+t2)(S211のY)、給紙モータ61を停止する(S212)。これにより、1枚目のシートの給送が完了する。
【0085】
このとき、最上位のシート12a以外のシートがつられて途中まで給送されていることがある。そこで、本実施の形態においては、このような途中まで給送されているシートを戻すように、ソレノイド63をONすると共に給紙モータ61を逆転駆動し、給紙ローラ51を図14の(a)に示す矢印R方向に逆回転させる。具体的には、1枚目のシートの給送が完了した後、タイマを逆転時間t3(一定値)だけ設定し(S213)、この後、タイマをスタートする(S214)。
【0086】
さらに、ソレノイド63をONし(S215)、この後、給紙モータ61の逆転駆動をスタートする(S216)。ここで、このときソレノイド63はONとなっているので、給紙ローラ51は、逆転する。そして、この後、内部クロックをカウントすることによって時間計測し、計測された時間tが逆転時間t3を超えると(t≧t3)(S217のY)、給紙モータ61を停止する(S218)。さらに、この後、ソレノイド63をOFFする(S219)。これにより、このような途中まで給送されているシートを戻すことができる。
【0087】
次に、シート引上げモータ62の逆転駆動をスタートし(S220)、シート押し込み部材74を図14の(a)の矢印Dに示す初期位置方向である上方に向けて回動させ、シート部材53を下降させる。そして、シート押し込み部材74が、遮光部材79aがフォトセンサ79を遮光する初期位置に戻ると(S221のY)、シート引上げモータ62を停止する。この時、ソレノイド63のOFFにより給紙ローラ51は自由に回転できるので、シート部材53の移動が、給紙ローラ51との接触による摩擦抵抗によって阻害されることはない。
【0088】
ここで、このようにシート部材53が下降する際、シート12の先端位置が乱れていても、シート部材53と共にシートがトレイ内へ戻る動作時に先端位置が整えられる。即ち、最上位のシート12a以外のシート12の一部が給紙ローラ51とシート部材53のニップ側に引き込まれていても、シート部材53が下降する際にシート部材53に沿って滑り落ち、先端が整えられて初期状態に戻る。このように、シート押し込み部材74を初期位置に戻す際、シート部材53が下降すると、給紙トレイ55上に残った最上位以外のシートは先端が揃った状態で揃えられ、次の給紙動作に備えることが出来る。この後、印刷ジョブが終了するまで(S222のY)、このジョブを繰り返す。
【0089】
以上説明したように本実施の形態によれば、シート押し込み部材74の駆動と給紙ローラ51の駆動を独立して制御できるようにしているので、十分な給紙圧を加えてから給紙ローラ51の回転を開始することができる。これにより、シート給送の直進性が向上し、斜行などの給送不良の発生を抑制できる。また、本実施の形態においても、よりシート給送装置の小型化を図りつつ、印刷物の品位低下がなく紙詰まりや斜行の少ない安定したシート給送装置を提供することが出来る。
【符号の説明】
【0090】
12…シート,12a…最上位のシート、51…給紙ローラ(給送ローラ)、53…シート部材、54…シート引上げ板、55…給紙トレイ、56…シート固定部材、60…CPU、61…給紙モータ、63…ソレノイド、64…メモリ、65…タイマ、71…シート巻き取りシャフト、72…トルクリミッタ、73…固定部、74…シート押し込み部材、79…フォトセンサ、79a…遮光部材、100…フルカラーレーザプリンタ、100A…フルカラーレーザプリンタ本体、100B…画像形成部、200…シート給送装置、300…シート引き上げユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート収納部に収納されたシートを給送するシート給送装置において、
前記シート収納部の上方に配置された給送ローラと、
前記シート収納部に一端が、収納されたシートの下方に位置するように固定され、前記給送ローラの周面に沿って引き上げられてシートを前記給送ローラに押し付ける可撓性部材と、
前記シート収納部の上方に配置され、前記可撓性部材を引き上げる引き上げ部と、を備え、
シートを給送する際、前記引き上げ部により前記可撓性部材を引き上げてシートを前記給送ローラに押し付けることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
シートを給送する際、引き上げられた前記可撓性部材により前記給送ローラに押し付けられたシートを、前記給送ローラにより前記可撓性部材に沿って給送することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記引き上げ部は、前記可撓性部材の他端が取り付けられ、前記給送ローラの回転に連動して回転して前記可撓性部材を巻き取る回転部材であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記シート収納部は、シートが積載される上下方向に回動可能な回動部材を備え、
前記可撓性部材の一端を前記回動部材に固定し、シートを給送する際、前記引き上げ部により前記回動部材と一体に前記可撓性部材を引き上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記可撓性部材はトルクリミッタを介して前記回転部材に他端が取り付けられることを特徴とする請求項3又は4記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記引き上げ部は、前記可撓性部材の他端が固定される固定部と、前記固定部と前記給送ローラとの間で前記可撓性部材を押圧して撓ませる押圧部材とを備え、
シートを給送する際、前記押圧部材により前記可撓性部材を押圧して前記可撓性部材を撓ませながら引き上げることを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記押圧部材を所定の負荷がかかった時点で停止する駆動部により駆動することを特徴とする請求項6記載のシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
シート収納部に収納されたシートを給送するシート給送装置において、
前記シート収納部の上方に配置された給送ローラと、
前記シート収納部に一端が、収納されたシートの下方に位置するように固定され、前記給送ローラの周面に沿って引き上げられてシートを前記給送ローラに押し付ける可撓性部材と、
前記シート収納部の上方に配置され、前記可撓性部材を引き上げる引き上げ部と、を備え、
シートを給送する際、前記引き上げ部により前記可撓性部材を引き上げてシートを前記給送ローラに押し付けることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
シートを給送する際、引き上げられた前記可撓性部材により前記給送ローラに押し付けられたシートを、前記給送ローラにより前記可撓性部材に沿って給送することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記引き上げ部は、前記可撓性部材の他端が取り付けられ、前記給送ローラの回転に連動して回転して前記可撓性部材を巻き取る回転部材であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記シート収納部は、シートが積載される上下方向に回動可能な回動部材を備え、
前記可撓性部材の一端を前記回動部材に固定し、シートを給送する際、前記引き上げ部により前記回動部材と一体に前記可撓性部材を引き上げることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記可撓性部材はトルクリミッタを介して前記回転部材に他端が取り付けられることを特徴とする請求項3又は4記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記引き上げ部は、前記可撓性部材の他端が固定される固定部と、前記固定部と前記給送ローラとの間で前記可撓性部材を押圧して撓ませる押圧部材とを備え、
シートを給送する際、前記押圧部材により前記可撓性部材を押圧して前記可撓性部材を撓ませながら引き上げることを特徴とする請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記押圧部材を所定の負荷がかかった時点で停止する駆動部により駆動することを特徴とする請求項6記載のシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−18565(P2013−18565A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150965(P2011−150965)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]