説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】作業性を低下させることなく、ローラ本体を交換可能なシート給送装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】断面が欠円状のローラコア21とローラコア21に巻回されたゴム材22と有するローラ本体3と、ゴム材22が突出するようにローラ本体3を支持するローラホルダ23と、を備え、ローラ本体3は、ローラコア21の一端部の両側面から突出されたボス21aと、ローラコア21の両側面に形成された21cと、を有し、ローラホルダ23は、ボス21aを着脱自在で回転自在に支持する溝部23aと、ボス21aを中心に回動したローラ本体3のリブ21cを係止してローラ本体3を固定する凹部23cと、を有し、溝部23aは、ボス21aを回転自在に摺接する回転摺接部23fと、ボス21a回転摺接部23fに案内する案内通路部23eと、を有し、案内通路部23eは、ボス21aの最大径よりも幅狭に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にシートを1枚ずつ分離して給送するシート給送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置においては、シートを給送するシート給送装置のローラ本体をユーザ等が容易に交換可能に構成されることが望まれており、ローラ本体を交換可能に構成した画像形成装置が種々提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
ここで、交換可能に構成された従来の画像形成装置の給送ローラについて、図10(a)から図10(c)を参照しながら説明する。図10(a)から図10(c)に示すように、従来の給送ローラは、断面が欠円状のローラコア101の外周面に管状のゴム材102が被着されたローラ本体100と、ローラ本体100を支持するローラホルダ103と、を備えている。ローラコア101には、軸方向の両側面のそれぞれに、ボス101a,101aと、リブ101b,101bと、リブ101c,101cと、が形成されている。一方、ローラホルダ103には、ボス101a,101aを係止可能な凹部103a,103aと、リブ101b,101bがスナップフィット(嵌合)する穴部103b,103bと、リブ101c,101cを係止する凹部103c,103cとが形成されている。
【0004】
このように構成されたローラホルダ103にローラ本体100を取り付ける場合には、まず、図10(c)に示す矢印S2方向にローラ本体100を移動させてボス101a,101aを凹部103a,103aに係止させる。そして、ボス101aを中心に図10(b)に示す矢印R2方向にローラ本体100を回転させて、リブ101c,101cを凹部103a,103aに係止させる。さらに、リブ101b,101bを、外側に変位可能なスナップフィット部103d,103dに設けられている穴部103b,103bにスナップフィットさせる。これにより、ローラ本体100はローラホルダ103に装着される。
【0005】
一方、ローラホルダ103に装着されたローラ本体100を取り外す場合には、まず、ローラホルダ103のスナップフィット部103d,103dを外側に倒してリブ101b,101bと穴部103b,103bとのスナップフィットを解除する。そして、ボス101aを中心に図10(b)に示す矢印R1方向にローラ本体100を回転させた後、図10(c)に示す矢印S1方向にローラ本体100を移動させてボス101a,101aを凹部103a,103aから外す。これにより、ローラ本体100をローラホルダ103から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−157676号公報
【特許文献2】特開2002−104675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来、ローラホルダ103にローラ本体100を取り付ける際、矢印R2方向にローラ本体100を回転させるときに、ボス101aが凹部103a,103aから抜けないようにローラ本体100を押えながら回転させる必要がある。特に、ローラ本体100が一定範囲で回転が自由な状態で保持されている構成では、一方の手でローラホルダ103を押さえ、他方の手でローラ本体100をローラホルダ103に装着させる必要がある。このように、従来のローラ構成でのローラ交換は、作業性が良好でないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成で、給送ローラの交換性を良好としたシート給送装置及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート積載部に積載されたシートの最上面のシートに圧接して該シートを送り出す給送ローラを備えたシート給送装置において、前記給送ローラは、軸方向と直交する断面が欠円状のローラコアと、該ローラコアのローラ面に巻回された弾性部材と、を有するローラ本体と、前記ローラ本体の前記弾性部材が外周に突出するように前記ローラ本体を軸方向の両側から支持するローラホルダと、を備え、前記ローラ本体は、前記ローラコアの一端部の両側面のそれぞれから突出された軸部と、前記ローラコアの両側面のそれぞれに形成された係止部と、を有し、前記ローラホルダは、前記軸部を着脱自在、かつ、回転自在に支持する支持部と、前記支持部に装着された前記軸部を回動支点として回動した前記ローラ本体の前記係止部を係止して前記ローラ本体を前記ローラホルダに固定する被係止部と、を有し、前記支持部は、前記軸部を回転自在に摺接する回転摺接部と、前記軸部を前記回転摺接部に案内する案内通路部と、を有し、前記案内通路部は、前記軸部の最大径よりも幅狭に形成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローラホルダに対してローラ本体の脱落を防止した状態で取り付けてから給送ローラを回転させてローラホルダに固定することにより、ローラ本体の交換性を低下させることなく、ローラ本体を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタの概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態に係る給送ローラを示す平面図である。
【図3】ローラ本体がローラホルダに取り付けられる前の状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は、第1実施形態に係る給送ローラ70の図2に示すA−A矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる途中の状態を示す断面図である。(c)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【図5】(a)は、第2実施形態に係る給送ローラの図2に示すA−A矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる途中の状態を示す断面図である。(c)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【図6】図5(a)の部分拡大断面図である。
【図7】(a)は、第3実施形態に係る給送ローラを示す平面図であり、(b)は、(a)に示すB−B矢視断面図である。
【図8】(a)は、図7(a)に示す給送ローラのC−C矢視断面図であり、(b)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる途中の状態を示す断面図である。(c)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【図9】(a)は、第4実施形態に係る給送ローラの図2に示すA−A矢視断面図であり、(b)は、(a)の部分拡大図である。
【図10】(a)は、従来例に係るローラホルダにローラ本体が取り付けられた状態を示す断面図であり、(b)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる途中の状態を示す断面図である。(c)は、(a)に示すローラ本体がローラホルダに取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るシート給送装置としてのシート給送部を備えた画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等、シートを1枚ずつ分離しながら給送するシート給送部を備えた電子写真方式の画像形成装置である。以下の実施形態においては、電子写真方式の画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ1を用いて説明する。
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1について、図1から図4(c)を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1の概略構成について、図1及び図2を参照しながら、レーザビームプリンタ1の画像形成処理動作に沿って説明する。図1は、本発明の実施形態に係るレーザビームプリンタ1の概略構成を模式的に示す断面図である。図2は、第1実施形態に係る給送ローラ70を示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1は、シートSを給送するシート給送部71と、画像を形成する画像形成部72と、画像を転写する転写部73と、画像を定着させる定着部74と、を備えている。
【0015】
シート給送部71は、シートSを積載するシート積載部としての給送トレイ2と、シートSを給送する給送ローラ70と、シートSを1枚ずつに分離する分離パッド4と、を備えている。図2に示すように、給送ローラ70は、シートSに圧接して送り出すローラ本体3と、ローラ本体3を支持するローラホルダ23,23と、給送軸24と、シートSを搬送する給送コロ25,25と、を備えている。ローラホルダ23,23は、給送軸24に固着され、給送コロ25,25は、給送軸24に回転自在に支持されている。給送軸24は、不図示のフレームに回転自在に支持されており、給送軸24と同軸上には、カム10が設けられている。
【0016】
カム10は、給送トレイ2を昇降させる昇降板8に設けられたカムフォロア8aと摺接しており、駆動モータ75の駆動が伝達されて給送ローラ70(給送軸24)が回転すると回転するように構成されている。カム10が回転すると、カムフォロア8aを介して、給送バネ9により上方に付勢された昇降板8が上昇することで、給送トレイ2の最上面のシートSがローラ本体3に圧接し、分離パッド4で1枚ずつに分離されながら送り出される。ローラ本体3により送り出されたシートSは、搬送ローラ対5により、後述の感光体ドラム6と転写ローラ7とのニップから構成される転写部73へと搬送される。なお、給送ローラ70については、後に詳しく説明する。
【0017】
シートSが給送されるのと同時に、画像形成部72で画像の形成が開始される。画像形成部72は、レーザスキャナ11と、プロセスカートリッジ12とを備えており、レーザスキャナ11がプロセスカートリッジ12内の感光体ドラム6に静電潜像を描き、プロセスカートリッジ12内の現像器で静電潜像をトナー現像して可視化される。可視化されたトナー像は、搬送ローラ対5により転写部73に搬送されてきたシートSに未定着画像として転写される。未定着画像が転写されたシートSは、未定着画像を定着させるために、定着部74の定着器13に送られ、未定着画像がシートSに加熱定着される。未定着画像の加熱定着を終えたシートSは、排出ローラ対14へと送られ、排出トレイ15に排出される。これにより、レーザビームプリンタ1による画像形成処理が終了する。
【0018】
次に、第1実施形態に係る給送ローラ70について、図2に加え、図3から図4(c)を参照しながら説明する。まず、給送ローラ70の構成について、図2から図4(a)を参照しながら説明する。図3は、ローラ本体3がローラホルダ23に取り付けられる前の状態を示す斜視図である。図4(a)は、第1実施形態に係る給送ローラ70の図2に示すA−A矢視断面図である。なお、図3においては、給送軸24に支持された給送コロ25,25を不図示としている。
【0019】
図2及び図3に示すように、給送ローラ70は、軸方向と直交する断面が欠円状である略半月状のローラ本体3と、ローラ本体3を支持するローラホルダ23,23と、給送軸24と、給送コロ25,25と、を備えている。給送ローラ70は、回転自在に支持された給送軸24の略中央部に、ローラ本体3を軸方向の両側で支持するローラホルダ23,23を配設し、ローラホルダ23,23の両側に給送コロ25,25を回転自在に配設して構成されている。なお、給送ローラ70は、給送コロ25,25を用いない構成のものであってもよい。
【0020】
ローラ本体3は、全体として、円弧部と、欠円部とを有する略半月状になっており、図4(a)に示すように、円弧部がローラホルダ23,23の外周から突出するようにローラホルダ23,23に取り付けられる。ローラ本体3は、ローラホルダ23,23の図4(a)に示す矢印A1方向への回転により、矢印A1方向に回動し、円弧部がシートSに圧接することでシートSを給送トレイ2から送り出す。
【0021】
ローラ本体3は、軸方向と直交する断面が円弧状のローラコア21と、ローラコア21のローラ面(外周面)に巻回される無端状の弾性部材としてのゴム材22と、を備えている。ローラコア21は、ローラ面と直交する両側面のそれぞれに、軸部としてのボス21a,21aと、係止部としてのリブ21b、21bと、係止部としてのリブ21c、21cと、を備えている。ボス21a,21aは、ローラ本体3が矢印A1方向に回動した初期にシートSと接触する一端部(以下、給送先端部という)に突出している。第1実施形態においては、ボス21a,21aは、軸方向と直交する方向の径が後述の案内通路部の幅よりも幅狭になるように面取りされた面取り部としての直線部21e,21eと、円弧部21d,21dと、を有し、断面が略長丸状の円柱状に形成されている。
【0022】
リブ21c,21cは、ローラ本体3が矢印A1方向に回動した後期にシートSに接触する他端部(以下、給送後端部という)に設けられている。リブ21c,21cは、ボス21a,21aをローラ本体3に回動自在に支持(いわゆる仮止め)させた後、後述の図4(b)に示す矢印B2方向に回動されたローラ本体3をローラホルダ23に係止可能に形成される。第1実施形態においては、リブ21c,21cは、略角状に形成されており、ローラコア21の両側面から突出形成されている。リブ21b、21bは、ボス21a,21aとリブ21c,21cとの間に設けられており、ローラコア21の両側面から突出形成されている。
【0023】
ゴム材22は、ローラコア21のローラ面を被覆するようにローラコア21に巻回されており、ローラ本体3の円弧部に位置する部分がシートSに接触してシートSを送り出す。また、欠円部に位置するゴム材22は、ローラ本体3をローラホルダ23,23に装着する際、給送軸24に接触することにより弾性変形し、これにより、ボス21a,21aを回動中心に、ローラ本体3を図4(b)の矢印B1方向に付勢する。
【0024】
図3に示すように、ローラホルダ23,23は、支持部としての溝部23a,23aと、被係止部としての凹部23c、23cと、被係止部としてのスナップフィット部23d,23dと、を備えている。
【0025】
溝部23a,23aは、ボス21a,21aを着脱自在、かつ、回動自在に支持するように形成されている。溝部23a,23aは、ボス21a,21aを回転自在に摺接する回転摺接部23f,23fと、ボス21a,21aを回転摺接部23f,23fに案内可能な案内通路部23e,23eと、を備えている。回転摺接部23f,23fは、円弧状に形成されており、ボス21a,21aの円弧部21d,21dの直径(最大径)と同等又はそれ以上となるように形成されている。案内通路部23e,23eは、円弧部21d,21dの直径よりも幅狭の直線状の溝で構成されており、ボス21a,21aの直線部21e同士の幅(径方向の長さ)と同等又はそれ以上に形成されている。
【0026】
凹部23c、23cは、リブ21c、21cを係止可能な凹状に形成されている。スナップフィット部23dは、図3に示す矢印D1,D2方向に弾性変形可能に形成されており、略中央部に、リブ21b、21bを係止可能な角穴部23b,23bが形成されている。
【0027】
次に、第1実施形態に係るローラ本体3のローラホルダ23への着脱方法について、図4(a)に加え、図4(b)及び図4(c)を参照しながら説明する。図4(b)は、図4(a)に示すローラ本体3がローラホルダ23に取り付けられる途中の状態を示す断面図である。図4(c)は、図4(a)に示すローラ本体3がローラホルダ23に取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【0028】
まず、ローラ本体3をローラホルダ23に取り付ける場合について説明する。ローラ本体3をローラホルダ23に取り付ける場合には、まず、図4(c)に示すように、ローラコア21のボス21a,21aの直線部21e,21eを、溝部23a,23aの案内通路部23e,23eと略平行となるように位相を合わせる。位相を合わせると、次に、ローラ本体3を図4(c)に示す矢印C2方向に移動させる。このとき、ボス21a,21aの直線部21e,21eは、溝部23a,23aの案内通路部23e,23eの幅と同等又はそれ以下に形成されているため、位相を合わせることにより、ボス21a,21aは矢印C2方向に移動可能(装着可能)となる。
【0029】
図4(b)に示すように、ボス21a,21aを溝部23a,23aの奥側の回転摺接部23f,23fまで移動させて装着させると、ボス21a,21aを回動支点としてローラ本体3を矢印B2方向に回動させる。このとき、溝部23a,23aの回転摺接部23f,23fの直径は、ボス21a,21aの円弧部21d,21dの直径と同等又はそれ以上となるように形成されているため、ローラ本体3は、ボス21a,21aを回動支点として矢印B2方向に回動可能となる。また、ローラ本体3を回動させることにより、ボス21a,21aが溝部23a,23a(回転摺接部23f,23f)から抜けなくなり、ローラ本体3がローラホルダ23に仮止めされた状態となる。
【0030】
ローラ本体3を矢印B2方向に更に回動させると、スナップフィット部23d,23dがリブ21b,21bにより図3に示す矢印D1,D2方向にそれぞれ押し広げられ、リブ21b,21bが一対の角穴部23b,23bと係合する。そして、一対のリブ21c,21cが一対の凹部23c、23cに係止されて、スナップフィット部23d,23dが初期位置に戻ることで、ローラ本体3がローラホルダ23に固定される。
【0031】
このように、ローラ本体3のローラホルダ23に対する取付け時の垂直方向の位置決めは、ボス21a,21aと溝部23a,23aとの嵌合、リブ21b,21bと角穴部23b,23bとの係合及びリブ21c,21cと凹部23c、23cとの係止で行われる。また、ローラ本体3のローラホルダ23に対する取付け時における水平方向の位置決めは、ボス21a,21aと溝部23a,23aとの嵌合及びリブ21c,21cと凹部23c、23cとの係止により行われる。
【0032】
次に、ローラ本体3をローラホルダ23から取り外す場合について説明する。ローラ本体3をローラホルダ23から取り外す場合には、まず、スナップフィット部23d,23dを図3に示す矢印D1,D2方向にそれぞれ押し広げ、リブ21b,21bと角穴部23b,23bとの係合を解除する。リブ21b,21bと角穴部23b,23bとの係合が解除されると、ボス21a,21aを回動支点として、ローラ本体3を矢印B1方向に回動させる。ローラ本体3を矢印B1方向に回動させることで、ローラコア21のボス21a,21aの直線部21e,21eが、溝部23a,23aの案内通路部23e,23eと略平行になると、ローラ本体3を矢印C1方向に移動させる。これにより、ローラホルダ23に装着されていたローラ本体3を、ローラホルダ23から取り外すことができる。
【0033】
このように、第1実施形態に係るレーザビームプリンタ1の給送ローラ70は、ボス21a,21aの脱落が規制された状態で回動可能となるように、ボス21a,21aを溝部23a,23aに仮止め可能に構成されている。具体的には、ボス21a,21aを案内通路部23e,23eを介して回転摺接部23f,23fに挿入させた後、ローラ本体3を回動させることでローラ本体3が溝部23a,23aから脱落しないように規制されるように構成されている。そのため、ローラ本体3を装着する際、ローラ本体3の位置決めと同時にローラ本体3をローラホルダ23に、いわゆる仮止め可能となる。これにより、例えば、ローラ本体3を矢印B1又はB2方向に回動させる際に、ボス21a,21aが溝部23a,23aから抜けないため、ローラ本体3を押えながら回動させる必要がなくなる。その結果、ローラ本体3が作業途中で脱落することが防止され、容易にローラ本体3をローラホルダ23に装着させることが可能になる。つまり、ローラ本体3の交換性が良好となる。
【0034】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aについて、図1及び図2を援用すると共に、図5(a)から図6を参照しながら説明する。第2実施形態においては、ローラホルダに形成される溝部が第1実施形態と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と相違する点、即ち、ローラホルダの溝部を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成のものについては、その説明を省略する。
【0035】
図5(a)は、第2実施形態に係る図2に示すA−A矢視断面図である。図5(b)は、図5(a)に示すローラ本体3がローラホルダ23A,23Aに取り付けられる途中の状態を示す断面図である。図5(c)は、図5(a)に示すローラ本体3がローラホルダ23A,23Aに取り付けられる前の状態を示す断面図である。図6は、図5(a)の部分拡大断面図である。
【0036】
図5(a)に示すように、給送ローラ70Aは、ローラ本体30と、ローラホルダ33,33と、給送コロ25,25と、給送軸34と、を備えている。ローラホルダ33,33は、溝部33a,33aと、凹部33c、33cと、スナップフィット部33d,33dと、を備えている。溝部33a,33aは、ボス31a,31aを回転自在に支持する回転摺接部33f,33fと、ボス31a,31aを回転摺接部33f,33fに案内する案内通路部33e,33eと、を備えている。回転摺接部33f,33fは、円弧状に形成されており、ボス31a,31aの円弧部31d,31dの直径(最大径)と同等又はそれ以上となるように形成されている。案内通路部33e,33eは、円弧部31d,31dの直径よりも幅狭の直線状の溝で構成されており、ボス31a,31aの直線部31e同士の幅(径方向の長さ)と同等又はそれ以上に形成されている。
【0037】
ここで、給送開始時においては、ローラ本体30の給送先端部30aには、図5(a)に示すαの方向に、シートSとの接触による反力Pが作用する。具体的には、図6に示すように、反力Pは、給送開始時に最初にシートSに接触する点であるゴム材22の給送開始点22aに作用する。なお、ローラ本体30の給送先端部30aに作用する反力Pは、給送ローラ70Aが回転してローラ本体30がシートSと接触することにより作用するが、ここでは、反力Pの作用する方向のみを考慮してローラ本体30が回転していない状態を用いて説明する。また、反力Pの作用する角度αは、ローラ本体30の配置角度やゴム材22の給送開始点22aの位置により様々な角度となる。
【0038】
まず、図6に示すように、給送開始点22aと給送コロ25の接触点25aのそれぞれを通る直線(ゴム材22と給送コロ25とに接する直線)を接線Lと定義し、接線Lと水平軸とがなす角を角度αと定義する。反力Pは、角度αの方向に作用するため、ローラ本体30は、角度αの方向にローラホルダ33から離れようとする。
【0039】
ここで、第1実施形態においては、ローラホルダ23に設けられた溝部23aの開口方向である案内通路部23e,23eの案内方向は、図5(a)に示す水平軸と直交する垂直方向と略平行に形成されていた。一方、第2実施形態においては、溝部23aの案内通路部33e,33eの案内方向は、図6に示す水平軸に対して給送後端部30b側に角度β傾斜している。ローラ本体30に作用する反力Pによってボス31a,31aが溝部33a,33から外れないようにするためには、角度βは、角度α未満(β<α)とする必要がある。
【0040】
第2実施形態においては、角度αは、図6に示す水平軸に対して約88度であり、角度βは、図6に示す水平軸に対して約45度に設定している。また、ローラコア31のボス31a,31aは、溝部33a,33aの案内通路部33e,33eに案内される際に、案内通路部33e,33eと直線部31e,31eとが略平行になるように設けられている。
【0041】
なお、第2実施形態に係るローラ本体30のローラホルダ33への着脱方法については、第1実施形態と同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0042】
このように、第2実施形態に係るレーザビームプリンタ1Aの給送ローラ70Aは、ローラホルダ33の案内通路部33e,33eの案内方向が、シートSからの反力Pが作用する方向αに対して所定角度傾斜(α−β)するように形成されている。そのため、シートSとの接触によるシートSからの反力Pに対して、補強等をすることなく、ローラ本体3がローラホルダ33から容易に外れることを防止することができる。
【0043】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るレーザビームプリンタ1Bについて、図1を援用すると共に、図7(a)から図8(c)を参照しながら説明する。第3実施形態においては、ローラホルダと給送軸との間に所定の空転区間を設けた点において、第1実施形態と相違する。そのため、第3実施形態においては、第1実施形態と相違する点、即ち、ローラホルダと給送軸との間に設けられた所定の空転区間を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成のものについては、その説明を省略する。
【0044】
図7(a)は、第3実施形態に係る給送ローラ70Bを示す平面図である。図7(b)は、図7(a)に示すB−B矢視断面図である。図8(a)は、図7(a)に示すC−C矢視断面図である。図8(b)は、図8(a)に示すローラ本体40がローラホルダ43に取り付けられる途中の状態を示す断面図である。図8(c)は、図8(a)に示すローラ本体40がローラホルダ43に取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【0045】
図7(a)に示すように、給送ローラ70Bは、ローラ本体40と、ローラホルダ43と、給送コロ52,52と、給送軸50と、セレーション部材51,51と、を備えている。ローラホルダ43は、溝部43a,43aと、凹部43c、43cと、スナップフィット部43d,43dと、を備えている。溝部43a,43aは、ボス41a,41aを回転自在に支持する回転摺接部43f,43fと、ボス41a,41aを回転摺接部43f,43fに案内する案内通路部43e,43eと、を備えている。図7(b)に示すように、セレーション部材51,51は、給送軸50に嵌合して固定された円筒状に形成されており、外周部分に軸方向に延在する凸部51a,51bが設けられている。ローラ本体40は、第1及び第2の実施例と同様の構成で、ローラホルダ43に両側から支持されており、ローラホルダ43は、給送軸50に支持されている。
【0046】
ここで、ローラホルダ43は、回転方向に角度θの空転区間Ar形成するための凹部43g,43hを有しており、凹部43g,43hは、セレーション部材51,51の凸部51a,51bに対応する(動作を規制する)ように形成されている。つまり、ローラホルダ43は、凹部43g,43h及び凸部51a,51bからなる空転区間Ar内で回転自在となるように構成されている。
【0047】
図8(a)に示すように、ローラホルダ43に設けられた溝部43a,43aの案内通路部43e,43eの案内方向は、水平軸に対して給送後端部40b側に角度β傾斜している。これに対し、ローラ本体40のボス41a,41aの直線部41e,41eは、案内通路部43e,43eの案内方向に対して略直交している。角度βは、ボス41a,41aの中心とローラホルダ43,43の中心とを結ぶ直線と、水平軸との成す角度γ以上となるように設定している。
【0048】
図8(c)に示すように、ボス41a,41aを溝部43a,43aに挿入する案内方向E2は、角度βの傾きと平行であるため、ローラホルダ43,43には矢印A1方向に力が作用する。そのため、ローラホルダ43の凹部43g,43hと、セレーション部材51の凸部51a、51aとは、突き当たった状態で保持される。これにより、ローラホルダ43は給送軸50との間で回転が規制される。その結果、ローラ本体40をローラホルダ43に取り付ける際に、ローラホルダ43が回転しないため、ローラ本体40の交換性を向上させることができる。
【0049】
一方、角度βを角度γ未満に設定すると、ボス41a,41aを溝部43a,43aに挿入する際に、ローラホルダ43が空転区間Ar内で矢印A2方向に回転する。そのため、ボス41a,41aを溝部43a,43aに挿入し難くなり、ローラ本体40の交換性が低下するおそれがある。
【0050】
以上を考慮すると、角度βは、β≧γに設定する必要がある。さらに、第2実施形態と同様に、ローラ本体40が受ける反力Pを考慮すると、角度βは、γ≦β<αとなるように設定する必要がある。なお、溝部43a,43aが変形することを防止するため、ローラホルダ43の強度を高めることも考えられるが、コストや補強するためのスペースが余分に必要なため、角度βを考慮して設定することが望ましい。
【0051】
角度βをγ≦β<αに設定することで、ローラホルダ43が空転区間Ar内で回転することを防止すると共に、ローラ本体40がシートSから受ける反力Pによって、溝部43a,43aの変形を防ぎ、ローラ本体40のガタつきや外れを防止することができる。
【0052】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るレーザビームプリンタ1Cについて、図9(a)及び図9(b)を参照しながら説明する。第4実施形態においては、ローラホルダに形成される溝部及びローラ本体の軸部が第1実施形態と相違する。そのため、第4実施形態においては、第1実施形態と相違する点、即ち、ローラホルダの溝部及びローラ本体の軸部を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成のものについては、その説明を省略する。
【0053】
図9(a)は、第4実施形態に係る図2に示す給送ローラ70CのA−A矢視断面図である。図9(b)は、図9(a)の部分拡大図である。
【0054】
図9(a)及び図9(b)に示すように、給送ローラ70Cは、ローラ本体60と、ローラホルダ63,63と、給送コロ65,65と、給送軸64と、を備えている。ローラ本体60は、ローラコア61と、ゴム材22と、を備えており、ローラコア61は、ボス61a,61aと、リブ61b、61bと、リブ61c、61cと、を備えている。ボス61a,61aは、円柱状に形成されている。
【0055】
ローラホルダ63,63は、溝部63a,63aと、凹部63c、63cと、スナップフィット部63d,63dと、を備えている。溝部63a,63aは、ボス61a,61aを回転自在に摺接する回転摺接部63f,63fと、ボス61a,61aを回転摺接部63f,63fに案内する案内通路部63e,63eと、を備えている。回転摺接部63f,63fは、円弧状に形成されており、ボス61a,61aが回動自在となるように、ボス61a,61aの直径と略同径に形成されている。案内通路部63e,63eは、ボス61a,61aの直径よりも幅狭に形成されると共に、ボス61a,61aの直径以上に広がるように弾性変形可能に形成されている。
【0056】
このように、第4実施形態に係るレーザビームプリンタ1Cの給送ローラ70Cは、案内通路部63e,63eを弾性変形可能に形成することにより、ボス61a,61aを圧入により回転摺接部63f,63fに装着させることができる。これにより、ボス61a,61aを回転摺接部63f,63fに容易に装着させることができる。その結果、ローラ本体60が作業途中で脱落することが防止され、容易にローラ本体60をローラホルダ63,63に装着させることが可能になる。つまり、ローラ本体60の交換性が良好となる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0058】
例えば、本実施形態においては、電子写真方式の画像形成装置の一例としてレーザビームプリンタ1を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。本発明に係るシート給送装置は、インクジェット方式や熱転写方式等の画像形成装置にも利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A,1B,1C レーザビームプリンタ(画像形成装置)
2 給送トレイ(シート積載部)
3 ローラ本体
21 ローラコア
21a ボス(軸部)
21b リブ(係止部)
21c リブ(係止部)
21e 直線部(面取り部)
22 ゴム材(弾性部材)
23 ローラホルダ
23a 溝部(支持部)
23c 凹部(被係止部)
23d スナップフィット部(被係止部)
23e 案内通路部
23f 回転摺接部
24 給送軸
70,70A,70B,70C 給送ローラ
71 シート給送部(シート給送装置)
72 画像形成部
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート積載部に積載されたシートの最上面のシートに圧接して該シートを送り出す給送ローラを備えたシート給送装置において、
前記給送ローラは、
軸方向と直交する断面が欠円状のローラコアと、該ローラコアのローラ面に巻回された弾性部材と、を有するローラ本体と、
前記ローラ本体の前記弾性部材が外周に突出するように前記ローラ本体を軸方向の両側から支持するローラホルダと、を備え、
前記ローラ本体は、前記ローラコアの一端部の両側面のそれぞれから突出された軸部と、前記ローラコアの両側面のそれぞれに形成された係止部と、を有し、
前記ローラホルダは、前記軸部を着脱自在、かつ、回転自在に支持する支持部と、前記支持部に装着された前記軸部を回動支点として回動した前記ローラ本体の前記係止部を係止して前記ローラ本体を前記ローラホルダに固定する被係止部と、を有し、
前記支持部は、前記軸部を回転自在に摺接する回転摺接部と、前記軸部を前記回転摺接部に案内する案内通路部と、を有し、前記案内通路部は、前記軸部の最大径よりも幅狭に形成される、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記軸部は、径方向の長さが前記案内通路部の幅よりも幅狭になるように面取りされた面取り部を有し、該面取り部により前記軸部が前記案内通路部を通って前記回転摺接部に装着可能とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記案内通路部は、弾性変形して前記軸部を前記回転摺接部に案内可能にする、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記案内通路部は、前記軸部を前記回転摺接部に案内する方向が、前記ローラホルダに支持された前記ローラ本体がシートから受ける反力が作用する方向に対して所定角度傾斜した方向となるように形成される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部にシートを給送する請求項1から4のいずれか1項に記載のシート給送装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−43715(P2013−43715A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180629(P2011−180629)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】