シート類枚数計測装置
【課題】シート類の積層方向に撮像手段を移動させて複数回の撮影を行ってシート類の枚数計測を行う装置において、複数の撮像画像から正確な枚数計数を行うことができるようにする。
【解決手段】積層されたシート類に平行に積層方向に所定間隔をあけて識別マークM1、M2が配列された基準マーク部26と、撮像手段30によって得られた撮像画像からシート類の枚数を計数する計数手段を備える処理部と、を備えており、撮像手段30は、積層されたシート類と基準マーク部26とを一緒に撮影しており、2つの識別マークM1、M2が1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行う。
【解決手段】積層されたシート類に平行に積層方向に所定間隔をあけて識別マークM1、M2が配列された基準マーク部26と、撮像手段30によって得られた撮像画像からシート類の枚数を計数する計数手段を備える処理部と、を備えており、撮像手段30は、積層されたシート類と基準マーク部26とを一緒に撮影しており、2つの識別マークM1、M2が1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された紙葉類やCD,DVDといった記録媒体のようなシート類の枚数を、積層方向に移動する撮像手段による撮影を行って計測するシート類枚数計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層方向に移動する撮像手段による撮影を行ってシート類の枚数を計測する装置としては、例えば、特許文献1ないし4に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1では、平判紙が積層された積層体の側面に、昇降可能にCCDカメラとマーキング装置を設け、画像データを制御装置に送出し、制御装置は画像処理により平判紙Pの境界を明瞭にし、マーキング装置により所定の枚数ごとに積層体の側面に指標を付し枚数を計数している。
【0004】
特許文献2では、紙が積み上げられた紙山の側部に、高さ方向に移動可能であるラインCCDセンサを有するカメラ装置を配し、カメラ装置15からの出力から境界部分の濃淡データを加算することにより紙の枚数を演算する演算処理装置と、紙山の上下に、紙山を付勢する押圧機構を設けた計数補助治具を具備する。
【0005】
特許文献3では、印刷物を合紙によって所定枚数単位に区分した積層印刷物を撮影するCCDカメラと、CCDカメラを上下方向に昇降させる昇降機構を設け、積層印刷物Sを積層方向に亙ってCCDカメラ13によって撮影させ、その画像信号に基づいて得られる画像波形と予め登録してある基準波形より、厚さまたは反射率を比較することにより合紙を判別しながら積層印刷物の合紙および印刷物を計数するとともに、各合紙間の枚数を計数している。
【0006】
特許文献4では、ビデオカメラを、多数枚のシート積み重ね体の1側面に沿って一定速度で移動させながら、所定枚数のシートを1撮影単位としてその静止像を所定タイミングにおいて撮影し、撮影タイミングを撮影映像内の基準ウインドの進みまたは遅れから補正しながら撮影を継続し、撮影単位のシート枚数と、撮影回数からシート枚数を計数している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−198081号公報
【特許文献2】特開2004−318430号公報
【特許文献3】特開平7−141483号公報
【特許文献4】特開平5−6471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のシート類枚数計測装置においては、得られた複数の撮像画像において、隣接する撮像画像との接合をどのように行うかについての技術が確立されていない。例えば、特許文献1においては、画像の一部が重複する2コマの画像を、画像の一致性を照合して接合するようにしているが、積層されたシート類においては、全ての画像がほぼ類似の画像となるために、画像の一致性を照合するのは困難である。
【0009】
また、特許文献2のようにラインCCDカメラを用いると、コストが高くなるという問題がある。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その目的は、シート類の積層方向に撮像手段を移動させて複数回の撮影を行ってシート類の枚数計測を行う装置において、複数の撮像画像から正確な枚数計数を行うことができるシート類枚数計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、積層されたシート類の端面を、積層方向に移動する撮像手段によって複数回の撮影を行うことにより、シート類の枚数を計測するシート類枚数計測装置において、
積層されたシート類の積層方向に識別マークが所定間隔をあけて配列された基準マーク部と、
撮像手段によって得られた撮像画像からシート類の枚数を計数する計数手段を備える処理部と、
を備えており、
前記撮像手段は、積層されたシート類と基準マーク部とを一緒に撮影しており、少なくとも2つの識別マークが1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記処理部が、
各撮像画像において、2つの識別マークの間を検出範囲として抽出する検出範囲抽出手段と、
検出範囲において、シート類と隣り合うシート類との境界に対応する部分を検出するシート類境界検出手段と、
検出範囲において最後のシート類の境界から検出範囲の終端までの距離をオフセット量として求めて記録するオフセット量算出手段と、
を備え、
前記計数手段は、検出した境界と隣り合う境界の距離からその距離の間にシート類が存在するか否かを判定して検出範囲におけるシート類の枚数を計数すると共に、検出範囲の始端から最初のシート類の境界までの距離に、前回の撮像画像のオフセット量を加算した距離を求め、該求めた距離の間にシート類が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の前記シート類境界検出手段が、
前記検出範囲における画像データの積層方向の微分値を求める微分値算出手段と、
前記微分値をさらに微分する2次微分値算出手段と、
を備え、
2次微分値のピーク値をシート類の境界に対応する部分とすることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の前記微分値算出手段が、微分値が正となる部分の値を0に置換することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の前記計数手段が、シート類の境界と隣り合うシート類の境界との平均距離をシート類の厚みとし、該シート類の境界と隣り合うシート類の境界との距離と前記シート類の厚みとの比較を行い、該距離が厚みに対して所定範囲である場合に、1枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以下である場合には、0枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以上である場合には、距離に応じて2枚以上として計数する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の前記処理部が、
各撮像画像において、2つの識別マークの間で、所定の幅を持った複数の検出範囲を抽出する検出範囲抽出手段と、
複数の検出範囲毎にそれぞれの計数値から累計値を求める前記計数手段と、
複数の検出範囲毎の累計値が合致するか否かを判断するエラー判断手段と、
を備える
ことを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の前記処理部が、
前記検出範囲における画像データが基準値以下の部分の画像データを0とする識別手段を備え、
前記計数手段は、画像データが0となる部分に対して、シート類の枚数を計数しないことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の前記処理部が、
各撮像画像において、適正に識別マークが含まれているかどうかを判定する撮像画像適否判定手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のものにおいて、前記識別マークは、前記積層方向に異なる第1マークと第2マークとが交互に配列されており、
前記撮像画像適否判定手段は、
撮像画像の第1領域と第2領域に識別マークが存在するか否かを判定し、
第1領域に第1マークが存在し、第2領域に第2マークが存在する場合と、第1領域に第2マークが存在し、第2領域に第1マークが存在する場合とが、撮影の順番毎に交互に繰り返されている場合に、撮像画像が適切であると判定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、撮像手段が、積層されたシート類と基準マーク部とを一緒に撮影し、基準マーク部の少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行うことにより、前回の撮像画像と次回の撮像画像とが一定の物理的関係を満足することが担保され、隣接する撮像画像の接合を確実に行うことができて、積層されたシート類の枚数を正確に計測することができる。
【0021】
特に、前回の撮像画像における最後のシート類の境界から検出範囲の終端までの距離をオフセット量として記録し、次回の撮像画像における検出範囲の始端から最初のシート類の境界までの距離にオフセット量を加算して、加算した距離の間にシート類が存在する否かを判定することで、隣接する検出範囲に跨るシート類を確実に計数することができる。
【0022】
また、シート類の境界を検出するのに際して、画像データの2次微分値まで求めることで、シート類の境界をより一層明確に検出することができるようになる。特に、微分値が正となる部分の値を0とすることで、シート類の境界をより一層明確に際立たせることができる。
【0023】
また、積層されたシート類の中で、あるシート類が引っ込むことにより、他のシート類よりも輝度が低く撮影されて境界が明確にならない場合があるが、そのような場合であっても、平均的な厚みを用いて、シート類が存在するものとして補間することで、計数漏れを防ぎ、確実に枚数を計数することができる。
【0024】
複数の検出範囲で同じ処理を行って枚数を計数することによって、ある検出範囲が局所的なゴミ、傷、汚れなどの影響を受けて計数値が誤っていた場合に、エラーを知らしめて、計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0025】
シート類が存在していない大きな間隙は、画像データが基準値以下になる蓋然性が高いため、基準値で識別して、間隙においてシート類の枚数を計数しないようにすることで、計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0026】
撮像画像に識別マークが適正に含まれているか否かを判定することで、計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0027】
特に、撮像画像の予め決められた第1領域と第2領域に識別マークが存在しているか否か、及び各領域に識別マークが適切に存在しているか否かを判定することで、撮影が正しく行われたかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるシート類枚数計測装置の構成を表す概略ブロック図である。
【図2】(a)は本発明によるシート類枚数計測装置の構成を表す要部斜視図、(b)は部分拡大図である。
【図3】本発明によるシート類枚数計数装置の計測処理のフローチャートである。
【図4】枚数計数処理のフローチャートである。
【図5】撮像画像の適否判定処理のフローチャートである。
【図6】シート類境界検出処理のフローチャートである。
【図7】結果出力処理のフローチャートである。
【図8】ある撮像画像と次回の撮像画像を表す図である。
【図9】撮像画像と検出範囲との関係を表す図である。
【図10】撮像画像と輝度との関係を表す図である。
【図11】撮像画像と輝度、一次微分、二次微分の関係を表す図である。
【図12】ある撮像画像のオフセット量と次回の撮像画像との関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
図1及び図2に示すように、本発明によるシート類枚数計測装置10は、大別して、シート類載置部12と、撮像部14と、処理部16と、を備える。
【0031】
シート類載置部12は、枚数を計数するべきシート類が積層状態で載置される水平な載置台20と、載置台20に対して直交する垂直な縦壁22とを備える。縦壁22には、透明なガラス、樹脂等からなる透明部24が設けられると共に、透明部24に隣接する基準マーク部26が設けられている。
【0032】
基準マーク部26には、以下で述べる撮像手段30に対向して積層方向に異なる種類の識別マークが所定間隔毎に離間して配列されている。具体的には、図2(b)に示すように、正方形の識別マークM1と円形の識別マークM2とが等間隔で交互に配されている。識別マークM1と識別マークM2との間の間隔は、撮像手段30の1回の撮影範囲内に2つの識別マークM1、識別マークM2が入ることができ、且つ2つの識別マークの間に複数のシート類が積層されることができる程度の大きさとする。識別マークは、厳密な精度の間隔で配されている必要はない。尚、この例では、2つの種類の識別マークM1、M2としたが、これに限るものではなく、3種類以上の識別マークを順番に配列することも可能であり、または、1種類の識別マークだけで構成することも可能である。
【0033】
撮像部14は、積層されるシート類の端面の撮影を行う撮像手段30と、撮像手段30をシート類の積層方向に移動する移動部32と、を備える。
【0034】
撮像手段30は、CCDカメラ40と、CCDカメラ40の先端部に配設された照明手段42と、を備える。CCDカメラ40は、エリアCCDカメラであり、縦横に複数の画素を備える。例えば、VGA対応とすれば、横640画素、縦480画素の解像度を持つCCDカメラを使用することができる。通常、横方向の解像度が高いので、解像度の高い横方向をシート類の積層方向に合わせるように配置するとよい。CCDカメラ40の撮影範囲は、透明部24と基準マーク部26に跨り設定される。そして、1画素当たり10μm程度に対応し、シート類1枚当たり8〜10画素以上の解像度を持つように調整されるとよい。カメラを移動しながら撮影するために、画像が流れないように、プログレッシブカメラまたは通常のインターレースカメラのフィールドモードを使用するとよい。照明手段42は、ストロボによる点滅照明、または点灯照明を行うものとすることができる。
【0035】
移動部32は、CCDカメラ40を支持する支持ブラケット50と、支持ブラケット50が取り付けられて上下方向に配回される歯付ベルト52と、歯付ベルト52が掛け渡されるプーリ54、54と、プーリ54の一方に連結されたモータ56と、を備える。モータ56の回転によりプーリ54を介して歯付ベルト52が移動することで、CCDカメラ40が上下方向に移動走査することになる。
【0036】
処理部16は、CCDカメラ40で取得された撮像画像を処理して、積層されたシート類の枚数を計算するもので、CCDカメラ40からの画像信号をA/D変換するA/D変換器60と、画素毎の輝度データである画像データを記録する画像メモリ62と、モータ56及びCCDカメラ40を駆動する駆動部64と、枚数の計数を行うCPUで構成される演算部66と、を備える。
【0037】
以上のように構成されるシート類枚数計測装置10の作用を説明する。
【0038】
計測にあたって、シート類載置部12に計測対象のシート類を設置する。シート類は、載置台20に水平に置かれ、縦壁22の透明部24になるべく密着する状態で積層される。また、このとき撮像手段30は初期位置にある。撮像手段30の初期位置は、通常、撮像手段30の最下限位置となる。
【0039】
そして、計測を開始すると、処理部16において、図3に示すフローチャートに従った処理が行われる。
【0040】
まず、駆動部64からモータ駆動信号を出力してモータ56の駆動を開始すると同時に、撮像手段30による撮影を行う(ステップS100)。即ち、CCDカメラ40のシャッタが開き撮影が行われると共に、照明手段42による点滅または点灯照明が開始される。
【0041】
そして、CCDカメラ40で取り込まれた画像信号を、A/D変換器60にてA/D変換後、1枚の撮像画像に対応する画像データを画像メモリ62に格納する(ステップS102)。次いで、撮像画像に対して、枚数計数処理を行う(ステップS104)。
【0042】
枚数計数の結果、得られた枚数が0であるか否かを判定し(ステップS106)、0枚でない場合には、モータ56の駆動に応じて次の撮影位置に達するまで、判定を行い(ステップS108)、撮像手段30が所定距離移動して次の撮影位置に達したことが判定されると、撮像手段がその位置の撮影を行い(ステップS110)、ステップS102に戻り、処理を繰り返す。また、得られた枚数が0である場合には、モータ56を逆回転して、撮像手段30を初期位置へと戻し(ステップS112)、その枚数計測結果を出力する(ステップS114)。
【0043】
図3から分かるように、ステップS104による枚数計数処理は、ある撮影から次回の撮影までの間でリアルタイムに行っており、枚数計数処理を行っている間に撮像手段30が移動する。このときの前回の撮影から次回の撮影までを撮像手段30が移動する所定距離は、基準マーク部26の識別マークM1、M2のピッチと同じになるように設定される。即ち、基準マーク部26の2つの識別マークM1、M2が1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるようにする。より具体的には、ある1回の撮影において、識別マークM1と識別マークM2とが撮影された場合(図8(a)参照)、次の撮影においては、同じ識別マークM2と別の識別マークM1とが対応してほぼ同じ位置に撮影されるようにする(図8(b)参照)。こうして、各撮像画像は、隣接する撮像画像と一部重複するようになる。
【0044】
処理部16によるステップS104で行われる枚数計数処理は、図4に示すフローチャートに従った処理が行われる。
【0045】
まず、得られた撮像画像の適否判定を行う(ステップS200)。この判定処理は、上述のように、前回の撮影に一部重複して撮影が行われているかどうかを判定することに対応する。
【0046】
この撮像画像の適否判定処理は、具体的には、図5に示すフローチャートに従った処理を行うことができる。まず、撮影回数をインクリメントする(ステップS300)。撮影回数の初期値は0であり、計測開始時にリセットされている。
【0047】
そして、撮像画像の中から2つの識別マークを抽出する。2つの識別マークは、撮像手段30が識別マークのピッチ毎に正しく撮影を行っている場合には、前述のように、各撮像画像においてほぼ同じ位置において撮影されている筈である。よって、各撮像画像において、決められた第1領域及び第2領域からそれぞれ識別マークを抽出する(ステップS302、図8(c))。識別マークが抽出されない場合には(ステップS304のNo)、正しい撮像画像が撮影されていないと判定する(ステップS314)。識別マークが抽出された場合には(ステップS304のYes)、さらに、撮影回数が奇数か偶数かを判定する(ステップS306)。撮影回数が奇数である場合には、第1領域に第1識別マークが、第2領域に第2識別マークが検出されたかどうかを判定し(ステップS308)、撮影回数が偶数である場合には、第1領域に第2識別マークが、第2領域に第1識別マークが検出されたかどうかを判定する(ステップS310)。ステップS308及びステップS310において、判定結果がyesであれば、正しい撮像画像が撮影されたものと判定する(ステップS312)。一方、判定結果のいずれかがnoであれば、正しい撮像画像が撮影されていないと判定する(ステップS314)。ステップS312及びステップS314の判定結果のいずれかがnoであるということは、前回の撮影に一部重複した撮影が行われていないことを意味するからである。
【0048】
尚、以上のフローチャートは、2種類の識別マークを用いた場合の例であったが、3種類以上の識別マークを用いた場合には、識別マークの配列した順番に合致して、撮影した順番に撮像画像に識別マークが現れているかどうかを判定する。多種類の識別マークを用いることにより、撮影の抜けなどをより一層確実に検出することができるようになる。
【0049】
次に、図4に戻り、撮像画像の中から検出範囲を抽出する(ステップS202)。検出範囲の始端は、第1領域で検出された識別マークの中心位置と同じ積層方向位置とし、検出範囲の終端は、第2領域で検出された識別マークの中心位置と同じ積層方向位置とする(図9参照)。また、検出範囲の幅は、適当な画素数の幅とする。検出範囲の幅はあまり広くすると、シート類が斜めに積層されている場合に積層方向で濃淡の差が小さくなり、また、あまり狭くすると、ゴミ、傷、汚れ等の影響を大きく受けて誤検出が増加するため、適度な広さとする。検出範囲は、平行に複数設定することができる。この例の場合には、4つの検出範囲を抽出し、その中の幅方向に離間した2つの検出範囲(第1検出範囲と第2検出範囲)において、以下の処理を同様に行う。
【0050】
撮像画像は、一般的には、シート類の存在していない部分は比較的黒く、シート類の存在している部分は比較的白くなり、隣接するシート類の間隙も比較的黒くなり、濃淡(輝度の差)が生じている。稀には、シート類の間隙がシート類の存在している部分よりも明るくなる場合もある。いずれにおいても、シート類が存在している部分とシート類の間隙とで、濃淡の差が発生しているので、この濃淡の差を検出して、枚数の計数を行う。以下の説明においては、シート類が存在している部分の輝度は高く、シート類の存在していない間隙の輝度は低いものとする。
【0051】
そして、ステップS202で抽出された検出範囲内の画像データである輝度データを抽出し、検出範囲の幅方向における輝度データの平均値を算出する(ステップS204)。幅方向の平均をとることにより、幅方向において局所的にゴミ、傷、汚れなどが発生している場合に、それらによる画像の乱れの影響を低減することができる。
【0052】
次に、得られた平均値をある基準値と比較する。この基準値は、シート類の有無を識別するための値に設定される。上述のようにシート類の間隙は輝度が低くなり、間隙が大きいと輝度が非常に低くなるが、それだけでなく、シート類が存在しているものの引っ込んでいる場合にも輝度が低くなる。図10(a)に示すように、輝度が非常に低い部分は、シート類が存在していない大きな間隙と判断し、輝度がやや低い部分は、シート類が存在しているものと判断して、これらを基準値によって識別する(図10(b))。そして、基準値よりも輝度が低い部分のデータは、輝度ゼロ(真っ黒)とする(ステップS206、図10(c))。
【0053】
次に、輝度データからシート類の境界を検出する(ステップS208)。シート類の境界の検出処理としては、任意の画像処理を用いることができるが、この例では、図6に示すフローチャートに従って行うことができる。
【0054】
まず、輝度データの平均値の積層方向の変化量(微分値)を算出する(ステップS400、図11(b))。そして、微分値が正となる部分の値を0とする(ステップS402、図11(c))。これによって、明るい部分から暗い部分へ変化する領域のみを残す。この処理によって、シート類の端面の状態により画像が均一でない場合があっても、そのようなシート類の端面の変化による誤検出を軽減することができる。
【0055】
次に、微分値を再度微分して2次微分値を算出する(ステップS404、図11(d))。2次微分値の正・負のピーク位置を抽出し、正のピーク位置(即ち、最も暗くなる部分)をシート類の境界の位置として検出する(ステップS406)。
【0056】
1次微分値だけを用いてシート類の境界の位置を検出することも可能であるが、以上のように2次微分値を用いることにより、安定したピークを得ることができる。特に、一次微分において正の部分を削除することにより、1次微分値が負から0(即ち正)になる最も暗い部分を、図11(d)に示すように、2次微分値のピークとして明確に抽出することができるようになり、誤検出を防止することができる。
【0057】
こうして、境界が検出されると、図4に戻り、境界と隣り合う境界との距離を計測し、その平均値を検出範囲で算出し、その平均値をシート類の厚さとする(ステップS210)。
【0058】
次に、境界と隣り合う境界の各距離に対して、ステップS210で求めたシート類の厚さとの比較を行う(ステップS212)。
【0059】
距離が厚みの50%未満の場合には、その境界と境界との間にシート類は存在しないとして1枚として計数しない(ステップS214)。また、距離が50%より大きく200%未満の場合には、その境界と境界との間に1枚のシート類が存在するものとして、計数値を1つ増加する(ステップS216)。また、距離が200%以上の場合であって、輝度データがゼロとなっていない部分においては、その間に2枚以上のシート類が存在しているものとして補間を行い、INT(距離/シート類の厚み)(ここでINT(x)は、xの小数点以下を切り捨てた整数)の値を計数値に加算する(ステップS218)。他方、ステップS218において、対象とする距離の範囲に輝度データがゼロとなっている部分があるときは、シート類が存在していない間隙部分が含まれている筈であるので計数値は1だけを増加する。こうして、平均的な厚みと境界と境界との間の距離とを比較し、必要に応じて、シート類が存在するものとして補間することで、計数漏れを防ぎ、確実に枚数を計数することができる。尚、距離との比較を行う厚みの数値範囲は、上記に限らず、適宜変更可能である。
【0060】
ステップS212〜ステップS218までの処理を、検出範囲に存在する全ての境界に対して繰り返す。そして、図12に示すように、最後の境界から検出範囲終端までの距離を求めてオフセット量として記録する(ステップS220)。
【0061】
このオフセット量は、次回の撮影における枚数計数処理(S104)のステップS212の処理において、検出範囲始端から最初の境界までの距離に加算されて、厚みとの比較が行われる。即ち、次の撮像画像に対する処理において、最初の境界の位置と検出範囲始端までの距離に、前の撮像画像に対して求めたオフセット量との距離を加算した距離を、境界と隣り合う境界との距離として、ステップS212において比較を行う。これにより、隣接する撮像画像に跨るシート類を確実に計数することができ、隣接する撮像画像同士の間の境界部分の処理を誤差なく行うことができる。
【0062】
尚、図4では、1つの検出範囲についての処理について記載したが、ステップS204〜ステップ220までの処理を、2つ以上の検出範囲について行う。
【0063】
図1に戻り、撮像装置30が積層されたシート類を通過して、シート類が全く存在していない部分の撮影を行うと、枚数計数処理(S104)で得られた枚数が0となるので、枚数計測結果を出力する(ステップS114)。結果出力は、例えば、図7に示すフローチャートに従った処理を行うことができる。
【0064】
まず、図5を参照して説明した撮像画像適否判定処理において、撮像画像判定結果がエラーとなっている場合には(ステップS500のYes)、正しく撮影されていないから、エラーを出力する(ステップS510)。正しく撮影されている場合には(ステップS500のNo)、複数の検出範囲に対する計数値(即ち各撮像画像の第1検出範囲と第2検出範囲のそれぞれの計数値の累計値)が等しいか否かを判定する(ステップS502)。等しい場合には、計測の信頼性は高いものと判定して、その計数値(各撮像画像の検出範囲の計数値の累計)を結果として出力する(ステップS504)。また、複数の検出範囲に対する計数値が等しくない場合には、計測の信頼性は低いものと判定して、画像メモリに既に格納された各撮像画像から別の複数の検出範囲(第3検出範囲と第4検出範囲)を抽出して、図4に示した枚数計数処理を行う(ステップS506)。そして、別の複数の検出範囲に対する計数値(即ち各撮像画像の第3検出範囲と第4検出範囲のそれぞれの計数値の累計値)が等しいか否かを判定する(ステップS508)。そして、等しい場合には(ステップS508のYes)、計測の信頼性は高いものと判定して、その計数値(各撮像画像の検出範囲の計数値の累計)を結果として出力する(ステップS504)。また、複数の検出範囲に対する計数値が等しくない場合には(ステップS508のNo)、計測の信頼性は低いものと判定して、エラーを出力する(ステップS510)。
【0065】
例えば、或る検出範囲だけが局所的なゴミ、傷、汚れなどの影響を受けている場合、複数の検出範囲で計数値及びその累計値が異なる結果となることが考えられる。そのため、その局所的な影響を受けるおそれが低い別の複数の検出範囲に対して、同じ枚数計数処理を行うことで、計測の精度を高めることができる。
以上の処理によって、正確な枚数計数を行うことができる。
【0066】
尚、以上のステップS200によって撮像画像適否判定手段が構成され、ステップS202によって検出範囲抽出手段が構成され、ステップS206によって識別手段が構成され、ステップS208によってシート類境界検出手段が構成され、ステップS212〜S218によって計数手段が構成され、ステップS220によってオフセット量算出手段が構成され、ステップS400及びS402によって微分値算出手段が構成され、ステップS404によって2次微分値算出手段が構成され、ステップS502またはS508によってエラー判断手段が構成される。
【符号の説明】
【0067】
10 シート類枚数計測装置
16 処理部
26 基準マーク部
30 撮像手段
M1、M2 識別マーク
S200 撮像画像適否判定手段
S202 検出範囲抽出手段
S206 識別手段
S208 シート類境界検出手段
S212〜S218 計数手段
S220 オフセット量算出手段
S400、S402 微分値算出手段
S404 2次微分値算出手段
S502、S508 エラー判断手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された紙葉類やCD,DVDといった記録媒体のようなシート類の枚数を、積層方向に移動する撮像手段による撮影を行って計測するシート類枚数計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層方向に移動する撮像手段による撮影を行ってシート類の枚数を計測する装置としては、例えば、特許文献1ないし4に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1では、平判紙が積層された積層体の側面に、昇降可能にCCDカメラとマーキング装置を設け、画像データを制御装置に送出し、制御装置は画像処理により平判紙Pの境界を明瞭にし、マーキング装置により所定の枚数ごとに積層体の側面に指標を付し枚数を計数している。
【0004】
特許文献2では、紙が積み上げられた紙山の側部に、高さ方向に移動可能であるラインCCDセンサを有するカメラ装置を配し、カメラ装置15からの出力から境界部分の濃淡データを加算することにより紙の枚数を演算する演算処理装置と、紙山の上下に、紙山を付勢する押圧機構を設けた計数補助治具を具備する。
【0005】
特許文献3では、印刷物を合紙によって所定枚数単位に区分した積層印刷物を撮影するCCDカメラと、CCDカメラを上下方向に昇降させる昇降機構を設け、積層印刷物Sを積層方向に亙ってCCDカメラ13によって撮影させ、その画像信号に基づいて得られる画像波形と予め登録してある基準波形より、厚さまたは反射率を比較することにより合紙を判別しながら積層印刷物の合紙および印刷物を計数するとともに、各合紙間の枚数を計数している。
【0006】
特許文献4では、ビデオカメラを、多数枚のシート積み重ね体の1側面に沿って一定速度で移動させながら、所定枚数のシートを1撮影単位としてその静止像を所定タイミングにおいて撮影し、撮影タイミングを撮影映像内の基準ウインドの進みまたは遅れから補正しながら撮影を継続し、撮影単位のシート枚数と、撮影回数からシート枚数を計数している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−198081号公報
【特許文献2】特開2004−318430号公報
【特許文献3】特開平7−141483号公報
【特許文献4】特開平5−6471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のシート類枚数計測装置においては、得られた複数の撮像画像において、隣接する撮像画像との接合をどのように行うかについての技術が確立されていない。例えば、特許文献1においては、画像の一部が重複する2コマの画像を、画像の一致性を照合して接合するようにしているが、積層されたシート類においては、全ての画像がほぼ類似の画像となるために、画像の一致性を照合するのは困難である。
【0009】
また、特許文献2のようにラインCCDカメラを用いると、コストが高くなるという問題がある。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その目的は、シート類の積層方向に撮像手段を移動させて複数回の撮影を行ってシート類の枚数計測を行う装置において、複数の撮像画像から正確な枚数計数を行うことができるシート類枚数計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、積層されたシート類の端面を、積層方向に移動する撮像手段によって複数回の撮影を行うことにより、シート類の枚数を計測するシート類枚数計測装置において、
積層されたシート類の積層方向に識別マークが所定間隔をあけて配列された基準マーク部と、
撮像手段によって得られた撮像画像からシート類の枚数を計数する計数手段を備える処理部と、
を備えており、
前記撮像手段は、積層されたシート類と基準マーク部とを一緒に撮影しており、少なくとも2つの識別マークが1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の前記処理部が、
各撮像画像において、2つの識別マークの間を検出範囲として抽出する検出範囲抽出手段と、
検出範囲において、シート類と隣り合うシート類との境界に対応する部分を検出するシート類境界検出手段と、
検出範囲において最後のシート類の境界から検出範囲の終端までの距離をオフセット量として求めて記録するオフセット量算出手段と、
を備え、
前記計数手段は、検出した境界と隣り合う境界の距離からその距離の間にシート類が存在するか否かを判定して検出範囲におけるシート類の枚数を計数すると共に、検出範囲の始端から最初のシート類の境界までの距離に、前回の撮像画像のオフセット量を加算した距離を求め、該求めた距離の間にシート類が存在するか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の前記シート類境界検出手段が、
前記検出範囲における画像データの積層方向の微分値を求める微分値算出手段と、
前記微分値をさらに微分する2次微分値算出手段と、
を備え、
2次微分値のピーク値をシート類の境界に対応する部分とすることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の前記微分値算出手段が、微分値が正となる部分の値を0に置換することを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の前記計数手段が、シート類の境界と隣り合うシート類の境界との平均距離をシート類の厚みとし、該シート類の境界と隣り合うシート類の境界との距離と前記シート類の厚みとの比較を行い、該距離が厚みに対して所定範囲である場合に、1枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以下である場合には、0枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以上である場合には、距離に応じて2枚以上として計数する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の前記処理部が、
各撮像画像において、2つの識別マークの間で、所定の幅を持った複数の検出範囲を抽出する検出範囲抽出手段と、
複数の検出範囲毎にそれぞれの計数値から累計値を求める前記計数手段と、
複数の検出範囲毎の累計値が合致するか否かを判断するエラー判断手段と、
を備える
ことを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の前記処理部が、
前記検出範囲における画像データが基準値以下の部分の画像データを0とする識別手段を備え、
前記計数手段は、画像データが0となる部分に対して、シート類の枚数を計数しないことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の前記処理部が、
各撮像画像において、適正に識別マークが含まれているかどうかを判定する撮像画像適否判定手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のものにおいて、前記識別マークは、前記積層方向に異なる第1マークと第2マークとが交互に配列されており、
前記撮像画像適否判定手段は、
撮像画像の第1領域と第2領域に識別マークが存在するか否かを判定し、
第1領域に第1マークが存在し、第2領域に第2マークが存在する場合と、第1領域に第2マークが存在し、第2領域に第1マークが存在する場合とが、撮影の順番毎に交互に繰り返されている場合に、撮像画像が適切であると判定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、撮像手段が、積層されたシート類と基準マーク部とを一緒に撮影し、基準マーク部の少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行うことにより、前回の撮像画像と次回の撮像画像とが一定の物理的関係を満足することが担保され、隣接する撮像画像の接合を確実に行うことができて、積層されたシート類の枚数を正確に計測することができる。
【0021】
特に、前回の撮像画像における最後のシート類の境界から検出範囲の終端までの距離をオフセット量として記録し、次回の撮像画像における検出範囲の始端から最初のシート類の境界までの距離にオフセット量を加算して、加算した距離の間にシート類が存在する否かを判定することで、隣接する検出範囲に跨るシート類を確実に計数することができる。
【0022】
また、シート類の境界を検出するのに際して、画像データの2次微分値まで求めることで、シート類の境界をより一層明確に検出することができるようになる。特に、微分値が正となる部分の値を0とすることで、シート類の境界をより一層明確に際立たせることができる。
【0023】
また、積層されたシート類の中で、あるシート類が引っ込むことにより、他のシート類よりも輝度が低く撮影されて境界が明確にならない場合があるが、そのような場合であっても、平均的な厚みを用いて、シート類が存在するものとして補間することで、計数漏れを防ぎ、確実に枚数を計数することができる。
【0024】
複数の検出範囲で同じ処理を行って枚数を計数することによって、ある検出範囲が局所的なゴミ、傷、汚れなどの影響を受けて計数値が誤っていた場合に、エラーを知らしめて、計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0025】
シート類が存在していない大きな間隙は、画像データが基準値以下になる蓋然性が高いため、基準値で識別して、間隙においてシート類の枚数を計数しないようにすることで、計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0026】
撮像画像に識別マークが適正に含まれているか否かを判定することで、計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0027】
特に、撮像画像の予め決められた第1領域と第2領域に識別マークが存在しているか否か、及び各領域に識別マークが適切に存在しているか否かを判定することで、撮影が正しく行われたかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるシート類枚数計測装置の構成を表す概略ブロック図である。
【図2】(a)は本発明によるシート類枚数計測装置の構成を表す要部斜視図、(b)は部分拡大図である。
【図3】本発明によるシート類枚数計数装置の計測処理のフローチャートである。
【図4】枚数計数処理のフローチャートである。
【図5】撮像画像の適否判定処理のフローチャートである。
【図6】シート類境界検出処理のフローチャートである。
【図7】結果出力処理のフローチャートである。
【図8】ある撮像画像と次回の撮像画像を表す図である。
【図9】撮像画像と検出範囲との関係を表す図である。
【図10】撮像画像と輝度との関係を表す図である。
【図11】撮像画像と輝度、一次微分、二次微分の関係を表す図である。
【図12】ある撮像画像のオフセット量と次回の撮像画像との関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
図1及び図2に示すように、本発明によるシート類枚数計測装置10は、大別して、シート類載置部12と、撮像部14と、処理部16と、を備える。
【0031】
シート類載置部12は、枚数を計数するべきシート類が積層状態で載置される水平な載置台20と、載置台20に対して直交する垂直な縦壁22とを備える。縦壁22には、透明なガラス、樹脂等からなる透明部24が設けられると共に、透明部24に隣接する基準マーク部26が設けられている。
【0032】
基準マーク部26には、以下で述べる撮像手段30に対向して積層方向に異なる種類の識別マークが所定間隔毎に離間して配列されている。具体的には、図2(b)に示すように、正方形の識別マークM1と円形の識別マークM2とが等間隔で交互に配されている。識別マークM1と識別マークM2との間の間隔は、撮像手段30の1回の撮影範囲内に2つの識別マークM1、識別マークM2が入ることができ、且つ2つの識別マークの間に複数のシート類が積層されることができる程度の大きさとする。識別マークは、厳密な精度の間隔で配されている必要はない。尚、この例では、2つの種類の識別マークM1、M2としたが、これに限るものではなく、3種類以上の識別マークを順番に配列することも可能であり、または、1種類の識別マークだけで構成することも可能である。
【0033】
撮像部14は、積層されるシート類の端面の撮影を行う撮像手段30と、撮像手段30をシート類の積層方向に移動する移動部32と、を備える。
【0034】
撮像手段30は、CCDカメラ40と、CCDカメラ40の先端部に配設された照明手段42と、を備える。CCDカメラ40は、エリアCCDカメラであり、縦横に複数の画素を備える。例えば、VGA対応とすれば、横640画素、縦480画素の解像度を持つCCDカメラを使用することができる。通常、横方向の解像度が高いので、解像度の高い横方向をシート類の積層方向に合わせるように配置するとよい。CCDカメラ40の撮影範囲は、透明部24と基準マーク部26に跨り設定される。そして、1画素当たり10μm程度に対応し、シート類1枚当たり8〜10画素以上の解像度を持つように調整されるとよい。カメラを移動しながら撮影するために、画像が流れないように、プログレッシブカメラまたは通常のインターレースカメラのフィールドモードを使用するとよい。照明手段42は、ストロボによる点滅照明、または点灯照明を行うものとすることができる。
【0035】
移動部32は、CCDカメラ40を支持する支持ブラケット50と、支持ブラケット50が取り付けられて上下方向に配回される歯付ベルト52と、歯付ベルト52が掛け渡されるプーリ54、54と、プーリ54の一方に連結されたモータ56と、を備える。モータ56の回転によりプーリ54を介して歯付ベルト52が移動することで、CCDカメラ40が上下方向に移動走査することになる。
【0036】
処理部16は、CCDカメラ40で取得された撮像画像を処理して、積層されたシート類の枚数を計算するもので、CCDカメラ40からの画像信号をA/D変換するA/D変換器60と、画素毎の輝度データである画像データを記録する画像メモリ62と、モータ56及びCCDカメラ40を駆動する駆動部64と、枚数の計数を行うCPUで構成される演算部66と、を備える。
【0037】
以上のように構成されるシート類枚数計測装置10の作用を説明する。
【0038】
計測にあたって、シート類載置部12に計測対象のシート類を設置する。シート類は、載置台20に水平に置かれ、縦壁22の透明部24になるべく密着する状態で積層される。また、このとき撮像手段30は初期位置にある。撮像手段30の初期位置は、通常、撮像手段30の最下限位置となる。
【0039】
そして、計測を開始すると、処理部16において、図3に示すフローチャートに従った処理が行われる。
【0040】
まず、駆動部64からモータ駆動信号を出力してモータ56の駆動を開始すると同時に、撮像手段30による撮影を行う(ステップS100)。即ち、CCDカメラ40のシャッタが開き撮影が行われると共に、照明手段42による点滅または点灯照明が開始される。
【0041】
そして、CCDカメラ40で取り込まれた画像信号を、A/D変換器60にてA/D変換後、1枚の撮像画像に対応する画像データを画像メモリ62に格納する(ステップS102)。次いで、撮像画像に対して、枚数計数処理を行う(ステップS104)。
【0042】
枚数計数の結果、得られた枚数が0であるか否かを判定し(ステップS106)、0枚でない場合には、モータ56の駆動に応じて次の撮影位置に達するまで、判定を行い(ステップS108)、撮像手段30が所定距離移動して次の撮影位置に達したことが判定されると、撮像手段がその位置の撮影を行い(ステップS110)、ステップS102に戻り、処理を繰り返す。また、得られた枚数が0である場合には、モータ56を逆回転して、撮像手段30を初期位置へと戻し(ステップS112)、その枚数計測結果を出力する(ステップS114)。
【0043】
図3から分かるように、ステップS104による枚数計数処理は、ある撮影から次回の撮影までの間でリアルタイムに行っており、枚数計数処理を行っている間に撮像手段30が移動する。このときの前回の撮影から次回の撮影までを撮像手段30が移動する所定距離は、基準マーク部26の識別マークM1、M2のピッチと同じになるように設定される。即ち、基準マーク部26の2つの識別マークM1、M2が1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるようにする。より具体的には、ある1回の撮影において、識別マークM1と識別マークM2とが撮影された場合(図8(a)参照)、次の撮影においては、同じ識別マークM2と別の識別マークM1とが対応してほぼ同じ位置に撮影されるようにする(図8(b)参照)。こうして、各撮像画像は、隣接する撮像画像と一部重複するようになる。
【0044】
処理部16によるステップS104で行われる枚数計数処理は、図4に示すフローチャートに従った処理が行われる。
【0045】
まず、得られた撮像画像の適否判定を行う(ステップS200)。この判定処理は、上述のように、前回の撮影に一部重複して撮影が行われているかどうかを判定することに対応する。
【0046】
この撮像画像の適否判定処理は、具体的には、図5に示すフローチャートに従った処理を行うことができる。まず、撮影回数をインクリメントする(ステップS300)。撮影回数の初期値は0であり、計測開始時にリセットされている。
【0047】
そして、撮像画像の中から2つの識別マークを抽出する。2つの識別マークは、撮像手段30が識別マークのピッチ毎に正しく撮影を行っている場合には、前述のように、各撮像画像においてほぼ同じ位置において撮影されている筈である。よって、各撮像画像において、決められた第1領域及び第2領域からそれぞれ識別マークを抽出する(ステップS302、図8(c))。識別マークが抽出されない場合には(ステップS304のNo)、正しい撮像画像が撮影されていないと判定する(ステップS314)。識別マークが抽出された場合には(ステップS304のYes)、さらに、撮影回数が奇数か偶数かを判定する(ステップS306)。撮影回数が奇数である場合には、第1領域に第1識別マークが、第2領域に第2識別マークが検出されたかどうかを判定し(ステップS308)、撮影回数が偶数である場合には、第1領域に第2識別マークが、第2領域に第1識別マークが検出されたかどうかを判定する(ステップS310)。ステップS308及びステップS310において、判定結果がyesであれば、正しい撮像画像が撮影されたものと判定する(ステップS312)。一方、判定結果のいずれかがnoであれば、正しい撮像画像が撮影されていないと判定する(ステップS314)。ステップS312及びステップS314の判定結果のいずれかがnoであるということは、前回の撮影に一部重複した撮影が行われていないことを意味するからである。
【0048】
尚、以上のフローチャートは、2種類の識別マークを用いた場合の例であったが、3種類以上の識別マークを用いた場合には、識別マークの配列した順番に合致して、撮影した順番に撮像画像に識別マークが現れているかどうかを判定する。多種類の識別マークを用いることにより、撮影の抜けなどをより一層確実に検出することができるようになる。
【0049】
次に、図4に戻り、撮像画像の中から検出範囲を抽出する(ステップS202)。検出範囲の始端は、第1領域で検出された識別マークの中心位置と同じ積層方向位置とし、検出範囲の終端は、第2領域で検出された識別マークの中心位置と同じ積層方向位置とする(図9参照)。また、検出範囲の幅は、適当な画素数の幅とする。検出範囲の幅はあまり広くすると、シート類が斜めに積層されている場合に積層方向で濃淡の差が小さくなり、また、あまり狭くすると、ゴミ、傷、汚れ等の影響を大きく受けて誤検出が増加するため、適度な広さとする。検出範囲は、平行に複数設定することができる。この例の場合には、4つの検出範囲を抽出し、その中の幅方向に離間した2つの検出範囲(第1検出範囲と第2検出範囲)において、以下の処理を同様に行う。
【0050】
撮像画像は、一般的には、シート類の存在していない部分は比較的黒く、シート類の存在している部分は比較的白くなり、隣接するシート類の間隙も比較的黒くなり、濃淡(輝度の差)が生じている。稀には、シート類の間隙がシート類の存在している部分よりも明るくなる場合もある。いずれにおいても、シート類が存在している部分とシート類の間隙とで、濃淡の差が発生しているので、この濃淡の差を検出して、枚数の計数を行う。以下の説明においては、シート類が存在している部分の輝度は高く、シート類の存在していない間隙の輝度は低いものとする。
【0051】
そして、ステップS202で抽出された検出範囲内の画像データである輝度データを抽出し、検出範囲の幅方向における輝度データの平均値を算出する(ステップS204)。幅方向の平均をとることにより、幅方向において局所的にゴミ、傷、汚れなどが発生している場合に、それらによる画像の乱れの影響を低減することができる。
【0052】
次に、得られた平均値をある基準値と比較する。この基準値は、シート類の有無を識別するための値に設定される。上述のようにシート類の間隙は輝度が低くなり、間隙が大きいと輝度が非常に低くなるが、それだけでなく、シート類が存在しているものの引っ込んでいる場合にも輝度が低くなる。図10(a)に示すように、輝度が非常に低い部分は、シート類が存在していない大きな間隙と判断し、輝度がやや低い部分は、シート類が存在しているものと判断して、これらを基準値によって識別する(図10(b))。そして、基準値よりも輝度が低い部分のデータは、輝度ゼロ(真っ黒)とする(ステップS206、図10(c))。
【0053】
次に、輝度データからシート類の境界を検出する(ステップS208)。シート類の境界の検出処理としては、任意の画像処理を用いることができるが、この例では、図6に示すフローチャートに従って行うことができる。
【0054】
まず、輝度データの平均値の積層方向の変化量(微分値)を算出する(ステップS400、図11(b))。そして、微分値が正となる部分の値を0とする(ステップS402、図11(c))。これによって、明るい部分から暗い部分へ変化する領域のみを残す。この処理によって、シート類の端面の状態により画像が均一でない場合があっても、そのようなシート類の端面の変化による誤検出を軽減することができる。
【0055】
次に、微分値を再度微分して2次微分値を算出する(ステップS404、図11(d))。2次微分値の正・負のピーク位置を抽出し、正のピーク位置(即ち、最も暗くなる部分)をシート類の境界の位置として検出する(ステップS406)。
【0056】
1次微分値だけを用いてシート類の境界の位置を検出することも可能であるが、以上のように2次微分値を用いることにより、安定したピークを得ることができる。特に、一次微分において正の部分を削除することにより、1次微分値が負から0(即ち正)になる最も暗い部分を、図11(d)に示すように、2次微分値のピークとして明確に抽出することができるようになり、誤検出を防止することができる。
【0057】
こうして、境界が検出されると、図4に戻り、境界と隣り合う境界との距離を計測し、その平均値を検出範囲で算出し、その平均値をシート類の厚さとする(ステップS210)。
【0058】
次に、境界と隣り合う境界の各距離に対して、ステップS210で求めたシート類の厚さとの比較を行う(ステップS212)。
【0059】
距離が厚みの50%未満の場合には、その境界と境界との間にシート類は存在しないとして1枚として計数しない(ステップS214)。また、距離が50%より大きく200%未満の場合には、その境界と境界との間に1枚のシート類が存在するものとして、計数値を1つ増加する(ステップS216)。また、距離が200%以上の場合であって、輝度データがゼロとなっていない部分においては、その間に2枚以上のシート類が存在しているものとして補間を行い、INT(距離/シート類の厚み)(ここでINT(x)は、xの小数点以下を切り捨てた整数)の値を計数値に加算する(ステップS218)。他方、ステップS218において、対象とする距離の範囲に輝度データがゼロとなっている部分があるときは、シート類が存在していない間隙部分が含まれている筈であるので計数値は1だけを増加する。こうして、平均的な厚みと境界と境界との間の距離とを比較し、必要に応じて、シート類が存在するものとして補間することで、計数漏れを防ぎ、確実に枚数を計数することができる。尚、距離との比較を行う厚みの数値範囲は、上記に限らず、適宜変更可能である。
【0060】
ステップS212〜ステップS218までの処理を、検出範囲に存在する全ての境界に対して繰り返す。そして、図12に示すように、最後の境界から検出範囲終端までの距離を求めてオフセット量として記録する(ステップS220)。
【0061】
このオフセット量は、次回の撮影における枚数計数処理(S104)のステップS212の処理において、検出範囲始端から最初の境界までの距離に加算されて、厚みとの比較が行われる。即ち、次の撮像画像に対する処理において、最初の境界の位置と検出範囲始端までの距離に、前の撮像画像に対して求めたオフセット量との距離を加算した距離を、境界と隣り合う境界との距離として、ステップS212において比較を行う。これにより、隣接する撮像画像に跨るシート類を確実に計数することができ、隣接する撮像画像同士の間の境界部分の処理を誤差なく行うことができる。
【0062】
尚、図4では、1つの検出範囲についての処理について記載したが、ステップS204〜ステップ220までの処理を、2つ以上の検出範囲について行う。
【0063】
図1に戻り、撮像装置30が積層されたシート類を通過して、シート類が全く存在していない部分の撮影を行うと、枚数計数処理(S104)で得られた枚数が0となるので、枚数計測結果を出力する(ステップS114)。結果出力は、例えば、図7に示すフローチャートに従った処理を行うことができる。
【0064】
まず、図5を参照して説明した撮像画像適否判定処理において、撮像画像判定結果がエラーとなっている場合には(ステップS500のYes)、正しく撮影されていないから、エラーを出力する(ステップS510)。正しく撮影されている場合には(ステップS500のNo)、複数の検出範囲に対する計数値(即ち各撮像画像の第1検出範囲と第2検出範囲のそれぞれの計数値の累計値)が等しいか否かを判定する(ステップS502)。等しい場合には、計測の信頼性は高いものと判定して、その計数値(各撮像画像の検出範囲の計数値の累計)を結果として出力する(ステップS504)。また、複数の検出範囲に対する計数値が等しくない場合には、計測の信頼性は低いものと判定して、画像メモリに既に格納された各撮像画像から別の複数の検出範囲(第3検出範囲と第4検出範囲)を抽出して、図4に示した枚数計数処理を行う(ステップS506)。そして、別の複数の検出範囲に対する計数値(即ち各撮像画像の第3検出範囲と第4検出範囲のそれぞれの計数値の累計値)が等しいか否かを判定する(ステップS508)。そして、等しい場合には(ステップS508のYes)、計測の信頼性は高いものと判定して、その計数値(各撮像画像の検出範囲の計数値の累計)を結果として出力する(ステップS504)。また、複数の検出範囲に対する計数値が等しくない場合には(ステップS508のNo)、計測の信頼性は低いものと判定して、エラーを出力する(ステップS510)。
【0065】
例えば、或る検出範囲だけが局所的なゴミ、傷、汚れなどの影響を受けている場合、複数の検出範囲で計数値及びその累計値が異なる結果となることが考えられる。そのため、その局所的な影響を受けるおそれが低い別の複数の検出範囲に対して、同じ枚数計数処理を行うことで、計測の精度を高めることができる。
以上の処理によって、正確な枚数計数を行うことができる。
【0066】
尚、以上のステップS200によって撮像画像適否判定手段が構成され、ステップS202によって検出範囲抽出手段が構成され、ステップS206によって識別手段が構成され、ステップS208によってシート類境界検出手段が構成され、ステップS212〜S218によって計数手段が構成され、ステップS220によってオフセット量算出手段が構成され、ステップS400及びS402によって微分値算出手段が構成され、ステップS404によって2次微分値算出手段が構成され、ステップS502またはS508によってエラー判断手段が構成される。
【符号の説明】
【0067】
10 シート類枚数計測装置
16 処理部
26 基準マーク部
30 撮像手段
M1、M2 識別マーク
S200 撮像画像適否判定手段
S202 検出範囲抽出手段
S206 識別手段
S208 シート類境界検出手段
S212〜S218 計数手段
S220 オフセット量算出手段
S400、S402 微分値算出手段
S404 2次微分値算出手段
S502、S508 エラー判断手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層されたシート類の端面を、積層方向に移動する撮像手段によって複数回の撮影を行うことにより、シート類の枚数を計測するシート類枚数計測装置において、
積層されたシート類の積層方向に識別マークが所定間隔をあけて配列された基準マーク部と、
撮像手段によって得られた撮像画像からシート類の枚数を計数する計数手段を備える処理部と、
を備えており、
前記撮像手段は、積層されたシート類と基準マーク部とを一緒に撮影しており、少なくとも2つの識別マークが1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行うことを特徴とするシート類枚数計測装置。
【請求項2】
前記処理部は、
各撮像画像において、2つの識別マークの間を検出範囲として抽出する検出範囲抽出手段と、
検出範囲において、シート類と隣り合うシート類との境界に対応する部分を検出するシート類境界検出手段と、
検出範囲において最後のシート類の境界から検出範囲の終端までの距離を求めてオフセット量として記録するオフセット量算出手段と、
を備え、
前記計数手段は、検出した境界と隣り合う境界の距離からその距離の間にシート類が存在するか否かを判定して検出範囲におけるシート類の枚数を計数すると共に、検出範囲の始端から最初のシート類の境界までの距離に、前回の撮像画像のオフセット量を加算した距離を求め、該求めた距離の間にシート類が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のシート類枚数計測装置。
【請求項3】
前記シート類境界検出手段は、
前記検出範囲における画像データの積層方向の微分値を求める微分値算出手段と、
前記微分値をさらに微分する2次微分値算出手段と、
を備え、
2次微分値のピーク値をシート類の境界に対応する部分とすることを特徴とする請求項2記載のシート類枚数計測装置。
【請求項4】
前記微分値算出手段は、微分値が正となる部分の値を0に置換することを特徴とする請求項3記載のシート類枚数計測装置。
【請求項5】
前記計数手段は、シート類の境界と隣り合うシート類の境界との平均距離をシート類の厚みとし、該シート類の境界と隣り合うシート類の境界との距離と前記シート類の厚みとの比較を行い、該距離が厚みに対して所定範囲である場合に、1枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以下である場合には、0枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以上である場合には、距離に応じて2枚以上として計数する、ことを特徴とする請求項3または4記載のシート類枚数計測装置。
【請求項6】
前記処理部は、
各撮像画像において、2つの識別マークの間で、所定の幅を持った複数の検出範囲を抽出する検出範囲抽出手段と、
複数の検出範囲毎にそれぞれの計数値から累計値を求める前記計数手段と、
複数の検出範囲毎の累計値が合致するか否かを判断するエラー判断手段と、
を備える
ことを特徴とする請求項1記載のシート類枚数計測装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記検出範囲における画像データが基準値以下の部分の画像データを0とする識別手段を備え、
前記計数手段は、画像データが0となる部分に対して、シート類の枚数を計数しないことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート類枚数計測装置。
【請求項8】
前記処理部は、
各撮像画像において、適正に識別マークが含まれているかどうかを判定する撮像画像適否判定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート類枚数計測装置。
【請求項9】
前記識別マークは、前記積層方向に異なる第1マークと第2マークとが交互に配列されており、
前記撮像画像適否判定手段は、
撮像画像の第1領域と第2領域に識別マークが存在するか否かを判定し、
第1領域に第1マークが存在し、第2領域に第2マークが存在する場合と、第1領域に第2マークが存在し、第2領域に第1マークが存在する場合とが、撮影の順番毎に交互に繰り返されている場合に、撮像画像が適切であると判定する、
ことを特徴とする請求項8記載のシート類枚数計測装置。
【請求項1】
積層されたシート類の端面を、積層方向に移動する撮像手段によって複数回の撮影を行うことにより、シート類の枚数を計測するシート類枚数計測装置において、
積層されたシート類の積層方向に識別マークが所定間隔をあけて配列された基準マーク部と、
撮像手段によって得られた撮像画像からシート類の枚数を計数する計数手段を備える処理部と、
を備えており、
前記撮像手段は、積層されたシート類と基準マーク部とを一緒に撮影しており、少なくとも2つの識別マークが1回の撮影で撮像画像に含まれ、且つ前回の撮影と次回の撮影とで、少なくとも1つの識別マークが重複してそれぞれの撮像画像に含まれるように、撮影を行うことを特徴とするシート類枚数計測装置。
【請求項2】
前記処理部は、
各撮像画像において、2つの識別マークの間を検出範囲として抽出する検出範囲抽出手段と、
検出範囲において、シート類と隣り合うシート類との境界に対応する部分を検出するシート類境界検出手段と、
検出範囲において最後のシート類の境界から検出範囲の終端までの距離を求めてオフセット量として記録するオフセット量算出手段と、
を備え、
前記計数手段は、検出した境界と隣り合う境界の距離からその距離の間にシート類が存在するか否かを判定して検出範囲におけるシート類の枚数を計数すると共に、検出範囲の始端から最初のシート類の境界までの距離に、前回の撮像画像のオフセット量を加算した距離を求め、該求めた距離の間にシート類が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のシート類枚数計測装置。
【請求項3】
前記シート類境界検出手段は、
前記検出範囲における画像データの積層方向の微分値を求める微分値算出手段と、
前記微分値をさらに微分する2次微分値算出手段と、
を備え、
2次微分値のピーク値をシート類の境界に対応する部分とすることを特徴とする請求項2記載のシート類枚数計測装置。
【請求項4】
前記微分値算出手段は、微分値が正となる部分の値を0に置換することを特徴とする請求項3記載のシート類枚数計測装置。
【請求項5】
前記計数手段は、シート類の境界と隣り合うシート類の境界との平均距離をシート類の厚みとし、該シート類の境界と隣り合うシート類の境界との距離と前記シート類の厚みとの比較を行い、該距離が厚みに対して所定範囲である場合に、1枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以下である場合には、0枚として計数し、該距離が厚みに対して所定範囲以上である場合には、距離に応じて2枚以上として計数する、ことを特徴とする請求項3または4記載のシート類枚数計測装置。
【請求項6】
前記処理部は、
各撮像画像において、2つの識別マークの間で、所定の幅を持った複数の検出範囲を抽出する検出範囲抽出手段と、
複数の検出範囲毎にそれぞれの計数値から累計値を求める前記計数手段と、
複数の検出範囲毎の累計値が合致するか否かを判断するエラー判断手段と、
を備える
ことを特徴とする請求項1記載のシート類枚数計測装置。
【請求項7】
前記処理部は、
前記検出範囲における画像データが基準値以下の部分の画像データを0とする識別手段を備え、
前記計数手段は、画像データが0となる部分に対して、シート類の枚数を計数しないことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート類枚数計測装置。
【請求項8】
前記処理部は、
各撮像画像において、適正に識別マークが含まれているかどうかを判定する撮像画像適否判定手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート類枚数計測装置。
【請求項9】
前記識別マークは、前記積層方向に異なる第1マークと第2マークとが交互に配列されており、
前記撮像画像適否判定手段は、
撮像画像の第1領域と第2領域に識別マークが存在するか否かを判定し、
第1領域に第1マークが存在し、第2領域に第2マークが存在する場合と、第1領域に第2マークが存在し、第2領域に第1マークが存在する場合とが、撮影の順番毎に交互に繰り返されている場合に、撮像画像が適切であると判定する、
ことを特徴とする請求項8記載のシート類枚数計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−123683(P2011−123683A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281037(P2009−281037)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000185329)オタリ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000185329)オタリ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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