説明

シールされた噴霧器を駆動するためのシステムおよび方法

液体をエアロゾル化するための様々な方法、装置およびシステム。実施例はタンク内の液体をシールする工程を含む。出力波形信号が生成される。噴霧器要素は液体をエアロゾル化すべく振動する。液体がエアロゾル化されるときに、負圧がタンク内に生じる。出力波形信号は噴霧器要素を振動させる。実施例は出力波形信号の電流と出力波形信号の電圧との間の位相シフトを決定する工程を含む。更に、実施例は位相シフトに少なくとも部分的に基づいて、出力波形信号の周波数を調整する工程を含む。更に、実施例は出力波形信号の周波数に少なくとも部分的に基づいて、出力波形信号の電圧を調整する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は噴霧器に関する。特に、本発明は、内部にて付勢圧力として作用する負圧を保持することのできるシールされた液体薬タンクを有する噴霧器のための可変電圧および周波数の駆動部の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な処置が、患者に薬を搬送することに対して提案されている。いくつかの薬品搬送処置において、薬は液体であり、患者によって吸入されるように微細な液滴の形状にて投与される。患者は、肺組織によって吸収するために、薬を吸入する。更に、霧化による霧を形成する小滴は患者の肺の狭小な気管を通して移動すべく非常に小さくする必要がある。そのような霧は噴霧器によって形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、内部において付勢圧力として作用する負圧を保持することのできるシールされた液体薬タンクを有する噴霧器を駆動する可変電圧および周波数の駆動部を備えたシステムおよびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
噴霧器を駆動するための様々なシステム、方法および装置を後述する。噴霧器は、シールされた薬タンクを含み、これにより、液体が薬タンクから排水されるときに、負圧が薬タンク内に生じる。負圧が変化すると、噴霧器要素の共振周波数は変化する。駆動部が、噴霧器要素を駆動し、且つこの要素を振動させることに使用される。駆動部は、噴霧器要素が共振周波数にて、あるいは共振周波数近傍にて振動し、噴霧器要素が一定または略一定の速度および小滴の径にて液体を霧化するように、噴霧器に周波数および大きさを変更する波形信号を出力する。
【0005】
いくつかの実施例において、負に付勢される液体タンクを備えた噴霧器の要素の共振周波数を決定する方法が開示される。方法は、電流および電圧を含む電気的信号を使用して、噴霧器を駆動する工程を含む。方法は噴霧器を駆動する電気的信号の電圧と電流との間の位相シフトを測定する工程を含む。方法は、噴霧器を駆動する電気的信号の位相シフトに少なくとも部分的に基づいて噴霧器の要素の共振周波数を決定する工程を更に含む。いくつかの実施例において、方法は、駆動部によって決定された噴霧器の共振周波数に少なくとも部分的に基づいて、電気的信号の電圧の大きさを駆動部によって決定する工程を更に含む。いくつかの実施例において、負圧により付勢された液体タンクは、液体が液体タンクから排出されるときに、噴霧器の要素の共振周波数を変化させる。いくつかの実施例において、噴霧器を駆動する電気的信号は噴霧器の要素を振動させ、負圧が作用する液体タンクに収容された液体を霧化する。いくつかの実施例において、方法は、駆動部によって決定された噴霧器の共振周波数に少なくとも部分的に基づいて、噴霧器の負に付勢された液体タンク内の負圧を駆動部によって決定する工程を更に含む。いくつかの実施例において、方法は、噴霧器への電気的信号の周波数を調整する工程を更に含み、略一定の位相シフトが電気的信号の電圧および電流の間に保持される。いくつかの実施例において、電圧の大きさは記憶された値一式を使用して決定され、記憶された値一式は、負圧が作用する液体タンクの液体に応じて変化する。
【0006】
いくつかの実施例において、噴霧器の要素を駆動するための装置が開示される。装置は、出力電流および出力電圧を含む出力波形信号を生成する増幅器を備え、出力波形信号は、出力周波数にて噴霧器の要素を駆動する。装置は、出力波形信号の出力電流と出力電圧との間の位相シフトを決定する位相シフト検知器を備える。装置は、増幅器に入力される可変周波数の波形信号を生成する共振周波数追跡器を備え、可変周波数は位相シフト検知器モジュールによって決定された出力波形信号の位相シフトに基づいて調整される。装置は、共振周波数追跡器によって生成された波形信号の周波数に基づいた増幅器による出力波形信号出力の出力電圧を調整する電圧プロフィールを備える。
【0007】
いくつかの実施例において、負圧が作用する液体タンクに収容される液体を霧化するシステムが開示される。システムは、要素および負圧が作用する液体のタンクを含む噴霧器を備える。要素は、負の付勢圧力を作用された液体タンクから排出される液体を霧化すべく振動する。液体タンクの負圧は液体タンクに収容される液体が排出されるときに変化する。負の付勢圧力を作用された液体タンクに収容された液体が排出されるときに、外部環境からの空気が負圧が作用する液体タンクに略進入しないように負圧が作用する液体タンクは、シールされる。システムは駆動部を含む。駆動部は、出力波形信号の電流と出力波形信号の電圧との間の位相シフトを決定する位相シフト検知器を備える。駆動部は、出力波形信号の周波数を調整する出力波形を生成する共振周波数追跡器を備え、周波数は、位相シフト検知器モジュールによって決定された位相シフトに基づいて調整される。駆動部は、共振周波数追跡器によって生成された出力波形の周波数に基づいて出力波形信号の電圧を調整する電圧プロフィールを含む。
【0008】
いくつかの実施例において、液体をエアロゾル化する方法が開示される。実施例はタンク内の液体をシールする工程を含む。方法は、出力波形信号を生成し液体をエアロゾル化すべく噴霧器要素を振動させる工程を更に含む。液体がエアロゾル化されるときに、負圧がタンク内に生じる。出力波形信号は噴霧器要素を振動させる。方法は、出力波形信号の電流と出力波形信号の電圧との間の位相シフトを決定する工程を含む。方法は、位相シフトに少なくとも部分的に基づいて、出力波形信号の周波数を調整する工程を含む。更に、方法は、出力波形信号の周波数に少なくとも部分的に基づいて、出力波形信号の電圧を調整する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】単純化された実施例における噴霧器を示す図。
【図1B】単純化された実施例における駆動ユニットを備えた噴霧器を示す図。
【図1C】単純化された実施例において、一体的に形成される駆動ユニットを備えた携帯型の噴霧器を示す図。
【図1D】通風装置と一体的に形成された噴霧器を示す図。
【図2】単純化された実施例における噴霧器を備えた駆動部を示す図。
【図3】駆動部を備えた噴霧器を駆動する方法を示すフローチャート。
【図4】噴霧器要素の共振周波数を最初に決定する方法を示すフローチャート。
【図5】噴霧器要素の電流の共振周波数にて振動する噴霧器要素を保持すべく共振周波数追跡器を使用して、駆動部により周波数出力を調整する単純化された方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の性質および効果は、添付の図面を参照するとさらに理解される。添付の図面において、類似の要素は同じ参照符号を有する。更に、同じタイプの様々な要素は、同様の要素間にて識別する第2の符号による参照符号に従うことによって識別される。第1の参照符号のみが明細書において使用される場合に、明細書は、第2の参照符号に関係なく同じ第1の参照符号を有する任意の類似の要素に適用可能である。
【0011】
装置、システム、および方法が、噴霧器を駆動するための新規な構造体を実施すべく開示される。本発明は、噴霧器、特に、液体が薬タンクから退出するときに、負の付勢圧力(タンク内の圧力がタンクの外部の圧力未満であることを意味する)を生じさせることができる、シールされた薬タンクを備えた噴霧器の共振周波数にて噴霧器を駆動するための様々な方法を提供する。
【0012】
負の付勢圧力を噴霧器の薬タンク内に生じさせることにより、噴霧器の効率を上昇させ、これにより、負の付勢圧力のない条件と比較して、より小さく且つより一貫した径の小滴が得られると共に、より高い液体流量が得られる。この負の付勢圧力は薬タンクをシールすることにより生じてもよい。液体の薬が薬タンク(所定量の薬に代えて空気がほとんど全く進入しない)から排出されるときに負圧が生じる。負圧は霧の小滴が一貫した径を保持することを補助する。負圧が減少すると、噴霧器からの液体の流量は増加する。
【0013】
負圧によって増加した流量により、患者に搬送される薬の投与量に誤りが生じ、且つ/または不適当な径の小滴が生成される。この不適当な径の小滴により、小滴が人体に吸収される態様が変化する。例えば、患者が大き過ぎる小滴を吸入した場合に、小滴は患者の深い肺組織まで伝播しない。より正確に言えば、小滴は患者のより大きな気管に蓄積する。これは、患者による小滴の好適な吸収を妨害する。
【0014】
小滴は薬タンクに収容された所定量の液体から噴霧器要素によって形成される。噴霧器要素は複数の小さな穴を含むアパーチャプレートである。波形のような電気的信号が噴霧器要素に送信される場合に、噴霧器要素は受信される波形の周波数にて、あるいは周波数近傍にて振動する。振動している間に、噴霧器要素は所定量の液体に要素を通過させ、空中を浮遊する小滴を生じさせる。噴霧器要素がその共振周波数、あるいはその共振周波数近傍にて振動するときに、噴霧器要素はより効率的に機能し、一貫した径の小滴を生じる。
【0015】
しかしながら、薬タンク内の負圧が変化する(例えば、薬タンクの内部の圧力と、薬タンクの外側の周囲圧力との間により大きな差圧が生じる)ときに、噴霧器要素の共振周波数は変化する。噴霧器要素の(電流の)共振周波数にて振動する噴霧器要素を保持すべく、噴霧器要素を駆動することに使用される波形の周波数を変更する必要がある。
【0016】
従って、負圧が薬タンクにて保持される場合に、噴霧器要素を駆動することに使用される波形の周波数および大きさは、液体の薬の一貫した投与および一貫した小滴の径を保持することを含む噴霧器要素の効率的な作動を保持すべく薬タンク内の負圧が変化するときに、変化させる必要がある。
【0017】
明りょうに示すべく、シールされたタンクとは、液体が薬タンクから排出されるときに空気がタンクに進入することを防止するタンクを示す。しかしながら、空気は、噴霧器要素の穴を通してシールされた薬タンクに進入することがなお可能である。負圧が大きいほど(即ち、外的環境の圧力と薬タンク内の圧力との間の差圧が大きいほど)、空気はより速く噴霧器要素を通して進入する。
【0018】
図1Aは、実施例において得られる噴霧器100−aを示す。噴霧器100−aは、噴霧器要素110、薬タンク120、ヘッドスペース130、インターフェース140およびキャップ150を含む。噴霧器要素110は、圧電リングから構成され、圧電リングは、電圧がリングに印加されると、拡大・収縮する。噴霧器要素110は振動するアパーチャプレートである。圧電リングは穿孔された薄膜に取り付けられてもよい。この穿孔された薄膜は複数の貫通孔を有する。電圧が圧電リングに印加されると、薄膜は、移動され、且つ/または屈曲される。液体接触時の薄膜のそのような運動により、液体を噴霧化させる(これに代えてエアロゾル化と呼ぶ)。
【0019】
液体、通常、液体の薬の供給体が、薬タンク120に保持される。図示のように、薬タンクは液体の薬により部分的に満たされる。液体の薬が霧になるにつれ、薬タンク120の液体の薬の残量は減少する。薬タンク120の液体の薬の量に応じて、タンクの一部のみが液体の薬により満たされる。薬タンク120の残りの部分は、空気のような気体により満たされる。この空間はヘッドスペース130と通常呼ばれる。インターフェース140は、所定量の液体の薬を、薬タンク120と噴霧器要素110との間にて搬送する機能を有する。
【0020】
噴霧器、およびそのような噴霧器に関連する技術は、米国特許第5,164,740号明細書、米国特許第5,938,117号明細書、米国特許第5,586,550号明細書、米国特許第5,758,637号明細書、米国特許第6,014,970号明細書、米国特許第6,085,740号明細書、米国特許第6,235,177号明細書、米国特許第6,615,824号明細書、および米国特許第7,322,349号明細書に開示され、その全体がここに開示されたものとする。
【0021】
シールされた薬タンクを備えた噴霧器はより大きなシステムの一部である。図1Bは、実施例におけるそのようなシステム100−bを示す。図1Bは、シールされた薬タンクを備え、駆動ユニット152に接続される噴霧器151を示す。図1Bに示すシールされた噴霧器は、図1Aの噴霧器であっても、他の所定の噴霧器を示してもよい。駆動部152は、噴霧器151の噴霧器要素の振動の速度および大きさを制御する。駆動部152はケーブル153を介して噴霧器要素151に接続される。駆動部152は、噴霧器151の噴霧器要素に送られる信号の電圧および周波数を制御する。信号の電圧および周波数の制御は、噴霧器151の噴霧器要素の共振周波数に基づく。この信号は負圧の大きさに応じて変化する。
【0022】
別例における噴霧器において、駆動部は噴霧器を備えた携帯型のユニットに組み込まれる。図1Cの噴霧器100−cは、実施例において一体化した駆動部を備える携帯型の噴霧器を示す。噴霧器100−cはケース155、吹き口160、トリガボタン165、および電気プラグ170を含む。ケース155は、噴霧器(図1Aの噴霧器100−a等)および駆動部(図1Bの駆動部152等)の別例に示す要素のうちのいくつかあるいは全てを含む。従って、ケース155には、シールされた薬タンクおよび/または薬タンクに収容された液体を霧化する要素を振動させる所定の電圧の大きさおよび周波数の電気的信号を生成することができる装置が含まれる。霧化された液体薬を受容するヒトは、吹き口160にその口を位置させ吸引する。霧化された液体薬を受容するヒトが吸引する間、ヒトは、要素に液体のエアロゾル化を開始させるべくトリガボタン165を押圧する。いくつかの実施例において、噴霧器100−cは、ヒトの吸引を検知し、トリガボタン165を使用することなく要素を振動させるセンサを含んでもよい。
【0023】
噴霧器100−cは更に電気プラグ170を含む。電気プラグ170は、噴霧器100−cに動力を供給すべく電気コンセントに接続される。噴霧器100−cはバッテリを含んでもよく、噴霧器100−cがヒトに使用されていないときにバッテリが充電できるように、電気プラグ170が電気コンセントに接続される。これに代えて、噴霧器100−cのいくつかの実施例において、噴霧器100−cがヒトに使用されている間に、電気プラグ170は電気コンセントに接続される必要がある。
【0024】
いくつかの実施例において、噴霧器100−cはその動力源として代替可能なバッテリを使用してもよい。いくつかの実施例において、噴霧器は通風装置と組み合わせて作動してもよい。システム100−dは、通風装置170によってヒト176に霧化された液体の薬を供給する噴霧器178を示す。通風装置170は吸引に好適な空気をヒト176に供給する。通風装置170は、呼吸を模倣すべくヒト176の肺に空気を強制的に移動させ、続いて空気を放出させることによりヒト176が呼吸することを補助する。ヒト176が通風装置170を使用している間、液体の薬のような霧化された液体をヒト176に供給する必要がある。
【0025】
噴霧器178は、キャップ180によってシールされる薬タンク186に接続される。薬タンク186は、所定量の液体の薬182を含む。液体の薬が噴霧器178によって霧化されるときに、この液体の薬は噴霧器178に搬送される。液体の薬が霧化されるときに、液体の薬182は薬タンク186から流出し、これによりヘッドスペース184の容積を増加させる。ヘッドスペース184は空気を含む。液体タンク186はヘッドスペース184に空気を全く進入させないか進入する空気を最小限にするため、液体の薬182が流出すると、ヘッドスペース184は容量が増加するが、圧力は減少する。
【0026】
図1Bの駆動部152と同じ駆動部を示す(あるいは所定の他の駆動部を示す)駆動部172は、噴霧器178に信号を送る。この信号は、噴霧器178の要素の振動を制御する。噴霧器178は、患者176に空気および霧化された液体の薬を搬送することに使用されるチューブ179に取り付けられる。チューブ179はヒト176の口および/または鼻を覆うマスク174にて終端する。空気および霧化された液体の薬は、ヒト176の気管に進入する。
【0027】
図1A乃至1Dに示すような噴霧器は、図2に示すような駆動部に連結される。図2は、噴霧器駆動ユニット200を示す概略図である。噴霧器260は図1Aの噴霧器100−aであるか、上記特許文献や図1B乃至1Dのような他の所定の噴霧器である。噴霧器はケーブル270によって駆動部に接続される。駆動部210は図1Bの駆動部151であるか、他の所定の駆動部である。ケーブル270により、駆動部210は、噴霧器260を駆動すべくケーブル270を介して周波数および(電圧の)大きさを変える電気的波形信号を送信可能である。
【0028】
駆動部210は、増幅器230、電流位相シフト検知器240、共振周波数追跡器220、および電圧プロフィール250を含む。噴霧器260に供給される電流と、増幅器230によって生成される電圧との間の位相シフトに基づいて、噴霧器要素の共振周波数は決定される。共振周波数から、噴霧器の薬タンク内の負圧は決定され、噴霧器260を駆動する電気的波形信号の周波数および/または大きさが調整される。
【0029】
共振周波数の決定は電流位相シフト検知器240を使用して行われてもよい。電流位相シフト検知器240は、増幅器230による噴霧器260への電流出力の位相と、増幅器230による噴霧器260への電圧出力の位相との間の位相シフトを監視する。電流位相シフト検知器240によって得られた電圧および電流間の位相シフトに基づいて、共振周波数追跡器220は増幅器230に出力波形を出力し、これにより、増幅器230は、噴霧器260の要素を駆動する電気的波形信号の電圧および電流間の一定または略一定の位相シフトにより電気的波形信号を出力する。
【0030】
液体が霧化され、薬タンクの付勢圧力が変化するときに、共振周波数は変化する。更に、噴霧器260のシールされた薬タンク内の付勢圧力に付加的な要因により、噴霧器要素の共振周波数は変更される。例えば、噴霧器要素の温度、噴霧器要素の過剰液体、および/または噴霧器要素への損傷により、噴霧器要素の共振周波数は変化する。しかしながら、操作中において、噴霧器要素の共振周波数の変化は、通常噴霧器の薬タンク内の付勢圧力における変化によるものであるといえる。
【0031】
共振周波数および/または共振周波数の測定された変化は、共振周波数追跡器220によって電圧プロフィール250に送信される。電圧プロフィール250は、一貫した小滴の径および霧化された液体の投与を保持すべく所定の共振周波数にて噴霧器要素に印加される電圧の好適な大きさを決定することに使用されてもよい。いくつかの実施例において、電圧プロフィール250は、経験的に収集されたデータのテーブルを含む。本実施例において、共振周波数は、電圧増幅器230が出力すべき好適な大きさを規定する、増幅器230に出力される対応するアナログまたはデジタル信号と共にテーブルに記憶される。例えば、テーブルは、所定の共振周波数が共振周波数追跡器モジュール220によって測定される場合に、増幅器230に伝達される予め定義した電圧の大きさを含む。更に、電圧プロフィール250は、共振周波数追跡器220によって生成される波形の周波数を示すX軸、および増幅器230に供給される好適な電圧の大きさを示すY軸により、値のグラフとして示されてもよい。これにより、増幅器230は、正確な大きさの電気的信号を出力する。
【0032】
電圧プロフィール250に対する考えられる値一式の概要は、噴霧器要素の共振周波数が増加すると、噴霧器への電気的信号の出力の要求される振幅が減少することにある。所定の閾値において、共振周波数が連続して増加すると、電圧は最低水準にて電圧プロフィール250によって保持される。電圧プロフィール250のいくつかの実施例において、増幅器230への信号出力は、共振周波数追跡器220によって供給される共振周波数を使用して、計算に基づいて決定される。
【0033】
電圧プロフィールは、噴霧器の薬タンク内の異なる液体の特性(表面張力等)を含むように変更されるか調整される必要がある。いくつかの実施例において、アミカシンのような液体の薬が使用される。別例において、異なる液体の薬あるいは液体が、使用される。いくつかの実施例において、複数の液体や液体薬に必要な複数の電圧プロフィールは、1つのみの電圧プロフィールが複数の液体や液体薬に使用する必要があることに十分に類似する。電圧プロフィール250の修正または交換は、駆動部210のユーザ・インターフェースによって異なる液体を選択すること、あるいは駆動部210に異なるソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアを実装することを含む。
【0034】
共振周波数追跡器220は、噴霧器要素の電流の決定された共振周波数の、あるいはその共振周波数近傍の波形を増幅器230に送信する。電圧プロフィール250は、増幅器230によって出力される所望の電圧振幅を示す信号を増幅器230に送信する。電圧プロフィール250からのこの信号は、増幅器230の利得を制御すべく機能する。共振周波数追跡器220からの入力波形、および電圧プロフィール250から受容される所望の電圧振幅に基づいて、増幅器230は、噴霧器の開口を駆動することに使用される出力電気信号を生成する。増幅器230は可変利得線形電力増幅器である。いくつかの実施例において、固定利得電力増幅器が、可変利得増幅器や電位差計と共に使用されてもよい。更に、様々な他の増幅器や増幅器ベースの回路が、噴霧器260を駆動すべく出力電気信号を生成することに使用されてもよい。
【0035】
電流位相シフト検知器240は、共振周波数追跡器220へのフィードバックループを形成する。電流位相シフト検知器240は、増幅器230から出力されている電流の位相シフトを決定する。この位相シフトは、共振周波数追跡器220に送信される。これにより共振周波数追跡器220は、シールされた薬タンク内の付勢圧力が変化するときの噴霧器要素の共振周波数の変化に応じて出力信号の周波数を同じ周波数信号(位相が変化していない場合に)に保持しても、周波数を増加させても、周波数を減少させてもよい。電流位相シフト検知器240によるフィードバックにより、駆動部210は、液体が霧化される間に噴霧器要素に出力される電気的信号の大きさおよび周波数を周期的に、あるいは連続して調整することができる。これにより、駆動部によって連続して調整される液体タンクの付勢圧力の任意の変化が可能である。
【0036】
図2の駆動部210のような駆動部が、図3の方法300のような方法によって噴霧器要素を駆動する。これに代えて、方法300は、他の所定の駆動部を使用して行なわれてもよい。方法300は、図1A乃至1Dおよび図2の噴霧器のような様々な異なる噴霧器を使用可能である。工程310において、駆動部は、電気的信号により噴霧器の要素(更に開口と呼ぶ)を駆動する。この電気的信号は、所定の周波数および大きさの波形である。
【0037】
工程320において、噴霧器に出力される電気的信号の電圧と、電気的信号の電流との間の位相シフトが測定される。工程330において、この位相シフトを使用して、噴霧器要素の共振周波数が決定される。上述したように、この共振周波数は、噴霧器の液体タンク内の負圧が変化するときにシフトしてもよい。工程340にて、共振周波数から液体タンク内の付勢圧力が決定される。いくつかの実施例において、負圧は決定されない。
【0038】
工程350において、噴霧器要素を駆動することに使用される電気的信号の電圧の大きさが決定される。大きさは、工程330において決定された共振周波数、および/または工程340において決定された負圧を使用して決定される。共振周波数および/または負圧は、値のテーブルを参照することに使用されてもよい。値のこのテーブルは、噴霧器要素を駆動する電気的信号に使用される電圧の好適な大きさを指定する。これに代えて、共振周波数および/または負圧は、噴霧器要素を駆動するための好適な電圧の大きさを計算することに使用されてもよい。好適な大きさは、噴霧器から分配される液体の一定の投与速度および小滴の径を保持する大きさに相当する。計算またはテーブルは、分配される液体の特性に応じて変更可能である。
【0039】
工程360において、噴霧器要素を駆動する電気的波形信号は、工程330において決定された周波数および/または工程350において決定された大きさによって調整される。噴霧器要素の共振周波数が変化していない場合に、噴霧器要素を駆動する電気的信号の周波数および/または大きさは変化しない。噴霧器要素が駆動部によって駆動されている限り、方法300は繰り返される。
【0040】
図2の共振周波数追跡器220のような共振周波数追跡器は、図2の噴霧器要素260のような噴霧器要素の共振周波数にて、あるいはその共振周波数近傍にて出力を決定し保持する様々な方法に従う。図4は、噴霧器要素の共振周波数を最初に決定し、電流位相シフト検知器によって検知される噴霧器要素を駆動する電気的信号の電圧および電流間の位相シフトに基づいて噴霧器要素を駆動する出力電気信号を調整するための減少プロフィール400を示す単純化されたフローチャートを示す。図3の方法300は、図2の共振周波数追跡器220を使用して実施されても、他の所定の共振周波数追跡器を使用して実施されても、ソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアにおいて実施されてもよい。
【0041】
共振周波数が共振周波数追跡器によって決定されていないか、「自動追跡」されていない場合に、共振周波数追跡器は方法400を実施する。例えば、駆動部が駆動されたか活性化された直後の場合、新しい噴霧器が駆動ユニットに取り付けられた場合、噴霧器要素が妨害された場合、あるいは噴霧器要素が破損された場合に、共振周波数追跡器は、共振周波数を自動追跡しない。
【0042】
工程411において、共振周波数追跡器は、電流位相シフト検知器から受容された位相信号に、無限インパルス応答フィルタ(「IIRフィルタ」)を適用する。IIRフィルタは、アナログおよび/またはデジタルコンポーネントを使用して実行される。これから、フィルタを通した位相の値が得られる。
【0043】
工程412において、フィルタを通した位相の値を使用して、フィルタを通した位相と所望の位相の設定値との間の誤差が決定される。所望の位相の設定値は、噴霧器要素を共振周波数にて振動させることに必要な位相を示す。工程413において、この決定された誤差値は、誤差が、1秒より大きな設定値より小さな値であるかどうか判断することに使用されるいくつかの実施例において、異なる長さの時間が使用される。
【0044】
工程414において、誤差が1秒以上の設定値未満である場合に、噴霧器に出力される信号の電流の周波数が記憶される。工程415において、更に、共振周波数が共振周波数追跡器によって自動追跡されたことを示すべくフラグが、設定される。工程413に戻り、誤差が1秒以上の設定値未満ではなかった場合に、工程は工程430に進む。
【0045】
工程430において平均電流が所定の閾値電流値未満である場合に、出力電圧は工程432において開始電圧に設定される。工程434において、共振周波数追跡器によって決定された共振周波数は、デフォルト値にリセットされてもよい。平均電流が閾値電流値以上である場合に、工程432および434は行なわれない。噴霧器要素の共振周波数を示すフラグが自動追跡されるまで、方法400は繰り返される。
【0046】
工程414の共振周波数のフラグの設定を含め、共振周波数が決定され自動追跡されると、第2の方法が実施される。方法500は、噴霧器要素の電流の共振周波数にて振動する噴霧器要素を保持すべく共振周波数追跡器を使用して、周波数を調整する方法を示す。工程521において、電流の周波数および共振周波数間の誤差が決定される。これから、誤差値は得られる。
【0047】
工程522において、共振周波数追跡器によって生成される信号の実際の周波数が、噴霧器要素の共振周波数より大きいかどうかが決定される。はいの場合に、工程523において、出力電圧は、工程521にて決定された誤差率を掛けた減衰率によって測定され、また、工程524において、出力電圧は、終了電圧に制限される。これは、出力電圧が所定の最大および/または最小の閾値を超過することを防止する。次に、この工程は、工程530に進む。実際の周波数が工程522の共振周波数より大きいかどうか不明である場合に、出力電圧は工程525において開始電圧に設定され、方法は、工程530に進む。
【0048】
工程530において、電流が閾値電流値未満であるかどうかが決定される。未満である場合に、出力電圧は工程532において開始電圧に設定され、また、共振周波数は工程534においてリセットされる。
【0049】
様々な薬、液体、液体の薬、および液体に溶解された薬がエアロゾル化されるが、エアロゾル化される広範囲な例を後述する。付加的な例が、米国特許出願公開第12/341,780号明細書に開示され、その全体がここに開示されたものとする。略任意の反グラム陰性の抗生物質、反グラム陽性の抗生物質、あるいはこれらの組み合わせが使用される。付加的に、抗生物質は、広域スペクトル有効性、あるいは混合スペクトル有効性を有するものを含んでもよい。ポリエン材料のような抗真菌剤、特に、アンフォテリシンBも、その使用に好適である。反グラム陰性の抗生物質やその塩類の例は、アミノグリコシドやその塩類を含むが、これらに限定されるものではない。アミノグリコシドやその塩類の例は、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パラメシン、トブラマイシン、これらの塩類およびこれらの組み合わせを含む。例えば、ゲンタマイシン硫酸塩は、ミクロモノスポラプルプレアの成長によって生成される抗生物質の硫酸塩やその塩類の混合物である。ゲンタマイシン硫酸塩(USP)は、中国フーチョウに所在するFujian Fukang Pharmaceutical Co., LTDから市場にて販売されている。アミカシンは、硫酸塩として通常供給され、例えば、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から市場にて販売されている。アミカシンは、カナマイシンのような関連物質を含む。
【0050】
反グラム陽性の抗生物質やその塩類の例は、マクロライドやその塩類を含むが、これらに限定されるものではない。マクロライドやその塩類の例は、バンコマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、その塩類、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。例えば、バンコマイシン塩酸塩は、以前に放線菌Streptomyces orientalisと呼ばれたAmycolatopsis orientalisの所定の菌株により生成される抗生物質であるバンコマイシン塩酸塩である。バンコマイシン塩酸塩は、主にバンコマイシンBの一塩酸塩からなる関連物質の混合物である。全ての糖ペプチド抗生物質と同様に、バンコマイシン塩酸塩は中核ヘプタペプチドを含む。バンコマイシン塩酸塩(USP)はデンマーク国コペンハーゲンに所在するアルファーマ社から市場にて販売されている。
【0051】
いくつかの実施例において、組成物は抗生物質および1つ以上の付加的な活性薬剤を含む。ここに開示される付加的な活性薬剤は、薬品、薬あるいは化合物を含み、これらにより、薬理学的な、通常好適な、作用が得られる。これは食品、栄養補助食品、栄養素、薬、ワクチン、ビタミンおよび他の好適な薬剤を含む。ここに使用されるように、用語は生理学的にあるいは薬理学的に作用する任意の物質を更に含み、これらは患者において局部的に、あるいは全身的に作用を生じる。ここに開示される医療製剤に組み込むべき活性薬剤は、末梢神経、アドレナリン作動性受容体、コリン作動性受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シノプティック部位(synoptic sites)、神経効果器接合部位、内分泌やホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、自家薬物系(autacoid system)、消化器系や排泄系、ヒスタミン系、および中枢神経系に作用する薬を含む無機または有機化合物であるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
付加的な活性薬剤の例は、抗炎症剤、気管支拡張剤およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
気管支拡張剤の例は、β作動薬、抗ムスカリン剤、ステロイド、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。例えば、ステロイドは、硫酸アルブテロールのようなアルブテロールを含む。
【0053】
活性薬剤は、例えば、睡眠薬および鎮静剤、精神賦活剤、精神安定剤、呼吸器薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬、抗パーキンソン剤(ドーパミン拮抗薬)、鎮痛薬、抗炎症剤、抗不安薬(抗不安薬)、食欲抑制剤、抗片頭痛剤、筋収縮薬、付加的な抗感染薬(抗ウイルス剤、抗真菌剤、ワクチン)、抗関節炎薬、抗マラリア薬、制吐薬、抗てんかん薬、サイトカイン、成長因子、抗がん剤、抗血栓薬、降圧薬、心臓血管薬、抗不整脈薬、抗酸化剤、抗喘息剤、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経作用薬、利尿薬、脂質調節剤、抗アンドロゲン剤、駆虫薬、抗凝血薬、腫瘍薬、抗腫瘍薬、血糖降下剤、栄養剤やサプリメント、成長サプリメント、抗腸炎剤、ワクチン、抗体、検査薬、および造影剤を含む。活性薬剤は、吸入によって投与されると、局部的に、または全身的に作用する。
【0054】
活性薬剤は、小分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖、ステロイド、生理学的効果を誘発可能なタンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂肪、電解質等を含む複数の構造的分類の1つに分類可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本発明における使用に好適な活性薬剤の例は、以下のものを含むがこれらに限定されるものではない。1つ以上のカルシトニン、アンフォテリシンB、エリトロポイエチン(EPO)、抗血友病因子、血液凝固IX因子、セレデース(ceredase)、セレザイム(cerezyme)、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポイエチン(TPO)、アルファ1プロティナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒細胞マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子ヘパリン(LMWH)、インターフェロン・アルファ、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・ガンマ、インターロイキン1受容体、インターロイキン2、インターロイキン1受容体拮抗薬、インターロイキン3、インターロイキン4、インターロイキン6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、血液凝固IX因子、インシュリン、プロインシュリン、インシュリン類似体(例えば米国特許第5,922,675号明細書に開示されるモノアシル化(mono−acylated)インシュリン、同明細書はその全体がここに開示されたものとする。)、アミリン、Cペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレッシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インシュリントロピン(insulintropin)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチド・チモシン・アルファ1(thymosin alpha 1)、IIb/IIIa阻害剤、アルファ1アンチトリプシン 、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA−4阻害剤、ビスホスホネート(bisphosphonates)、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)、殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)、抗−CMV抗体、13−シスレチノイン酸、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン(davercin)、アジスロマイシン、フルリスロマイシン(flurithromycin)、ジリスロマイシン(dirithromycin)、ジョサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン(miocamycin)、ロキタマイシン、アンダジスロマイシン(andazithromycin)、およびスィノリドA(swinolide A);シプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン、パズフロキサシン、クリナフロキサシン、およびシタフロキサシン等のフルオロキノロン類、テイコプラニン、ランポラニン(rampolanin)、ミデプラニン(mideplanin)、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスチメタート、ポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム等のポリミキシン;ペニシリンG、ペニシリンV等のペニシリナーゼ感受性の薬剤を含むペニシリン;メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン(floxacillin)、ナフシリン等のペニシリナーゼ耐性薬剤;アンピシリン、アモキシシリンおよびヘタシリン、シリン、およびガランピシリン(galampicillin)等のグラム陰性微生物活性薬剤;カルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリンおよびピペラシリン等の抗緑膿菌性ペニシリン;セフポドキシム、セフプロジル、セフトブテン(ceftbuten)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラドリン(cephradrine)、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロール、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフメタゾール、セフタジディム、ロラカルベフ、およびマクソラクタム、アズトレオナムのようなモノバクタム等のセファロスポリン;イミペネム、メロペネム、イセチオン酸ペンタミジン、リドカイン、硫酸メタプロテレノール、ベクロメタゾンジプレピオネート、トリアムシノロンアセトアミド、ブデソニドアセトニド、フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモリンナトリウム、および酒石酸エルゴタミンのようなカルバペネム、および、適用する場合には、上記の類似体、作動薬、拮抗薬、阻害剤、および薬学的に許容され得る塩形態。ペプチドおよびタンパク質に関して、本発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、ペグ化形態、並びに生物活性フラグメントおよびこれらの類似体を包含することを意図するものである。
【0056】
本発明に使用される活性薬剤は、むきだしの核酸分子としての核酸、ベクター、関連するウイルス粒子、プラスミドDNAまたはRNA、あるいは細胞のトランスフェクションもしくは軽質転換に好適な、即ちアンチセンスを含む遺伝子治療に好適なタイプの他の核酸構築物を更に含む。更に、活性薬剤は、ワクチンとしての用途に好適な、弱毒性ウイルスまたは死菌ウイルスを含んでもよい。他の有用な薬物には、医師用卓上参考書(Physician’s Desk Reference)(最新版)の中に掲載されているものが含まれ、その全体がここに開示されたものとする。
【0057】
医薬製剤中の抗生物質や他の活性薬剤の量は、所望の結果を得るために一回服用量当たりの治療上あるいは予防的に有効な量の活性薬剤を搬送することに必要な量であろう。実際には、これは所定の薬剤、その作用、治療すべき症状の重症度、患者集団、投与要件、および所望の治療効果に応じて大きく異なる。組成物は、通常約1重量%乃至約99重量%、例えば約2重量%乃至約95重量%、あるいは約5重量%乃至の85重量%の活性薬剤を含み、これは、組成物に含有される添加剤の相対量に応じて定まる。本発明の組成物は、0.001mg/日乃至100mg/日の投与量、例えば0.01mg/日乃至75mg/日の投与量や0.10mg/日乃至50mg/日の投与量にて搬送される活性薬剤に対して特に好適である。1つ以上の活性薬剤がここに開示される製剤に組み込まれ、用語「薬剤」の使用が、2つ以上のそのような薬剤の使用を全く除外しないものといえる。
【0058】
通常、組成物は過剰な賦形剤を含まない。1つ以上の実施例において、水の組成物は、アミカシン、ゲンタマイシン、あるいはその両者、および/またはこれらの塩類等の反グラム陰性の抗生物質、並びに水から本質的に構成される。
【0059】
更に、1つ以上の実施例において、水の組成物は防腐剤を含まない。この点において、水の組成物はメチルパラベンを含まず、且つ/またはプロピルパラベンを含まない。更に、水の組成物は、塩類を含まない。
【0060】
1つ以上の実施例において、組成物は抗感染薬および賦形剤を含む。組成物は、患者、特に患者の肺に対して重大な有毒な副作用を伴うことなく肺に取り込まれる薬学的に許容される賦形剤または担体を備える。活性薬剤に付加的に、医薬製剤は、経肺投与に好適な1つ以上の製薬の賦形剤を任意に含む。これらの賦形剤は、含まれる場合に、安定、表面変形、効果増強、あるいは要素の搬送等の意図される機能を実施することに十分な量の組成物に通常含まれる。従って、含まれる場合に、賦形剤は、約0.01重量%乃至約95重量%、例えば約0.5重量%乃至約80重量%、約1重量%乃至約60重量%の範囲にある。好適に、この賦形剤は、例えば活性薬剤をより効率的且つ複製可能に搬送すること、および/または生産を促進することにより、活性薬剤要素の特徴を更に向上させるべく部分的に機能する。製剤における活性薬剤の濃度を低減することが望ましい場合に、1つ以上の賦形剤が充填剤として機能するように設けられてもよい。
【0061】
例えば、組成物は、塩化ナトリウムのような1つ以上のオスモル濃度調整剤を含む。例えば、溶液のオスモル濃度を調整すべく、塩化ナトリウムがバンコマイシン塩酸塩の溶液に付加される。1つ以上の実施例において、水溶液の組成物は、バンコマイシン塩酸塩のような反グラム陽性の抗生物質、オスモル濃度調整剤および水から本質的に構成される。
【0062】
現在の医薬製剤に好適な製薬の賦形剤および添加物は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、非生物学的ポリマ、生物学的ポリマ、砂糖のような炭水化物、アルジトールのような誘導体化された砂糖、アルドン酸、エステル化された砂糖および砂糖ポリマの単体または組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0063】
典型的なタンパク質賦形剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)、遺伝子組み換え型ヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン、ヘモグロビン等のアルブミンを含む。緩衝能力を更に備える好適なアミノ酸(本発明のジロイシルペプチド(dileucyl−peptides)の外側)は、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム、チロシン、トリプトファン等を含む。分散剤として機能するアミノ酸およびポリペプチドが好適である。このカテゴリに分類されるアミノ酸は、ロイシン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジンおよびプロリン等の疎水性アミノ酸を含む。
【0064】
本発明における使用に好適な炭水化物賦形剤は、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボース等の単糖類;例えば、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオース等の二糖類;例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン類、デキストラン類、デンプン類等の多糖類;並びに例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール等のアルジトール類を含む。
【0065】
医薬製剤は、通常有機酸または有機塩基から準備される塩である緩衝液、即ちpH調整剤を更に含む。代表的な緩衝液は、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸あるいはフタル酸の有機酸塩、トリス、トリズマ塩酸塩、あるいはリン酸の緩衝液を含む。
【0066】
医薬製剤は、高分子賦形剤/添加物、例えば、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエチルセルロース等のセルロースおよびその誘導体化されたセルロース、Ficoll類(高分子糖)、ヒドロキシエチルデンプン、デキストレート類(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン等のシクロデキストリン類)、ポリエチレングリコール類、ペクチンを更に含む。
【0067】
医薬製剤は、香料添加剤、味覚マスキング剤、無機塩類(例えば塩化ナトリウム)、抗微生物剤(例えば塩化ベンザルコニウム)、甘味料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20(登録商標)」および「TWEEN 80(登録商標)」などのポリソルベート類)、ソルビタンエステル、脂質(例えばレシチンおよび他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンのようなリン脂質)、脂肪酸および脂肪酸エステル、ステロイド(例えばコレステロール)、およびキレート剤(例えばEDTA、亜鉛および他の好適な陽イオン)を更に含む。本発明による組成における使用に好適な他の製薬の賦形剤および/または添加物は、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy”, 19.sup.th ed.、Williams & Williams, (1995)、および“Physician’s Desk Reference,” 52.sup.nd ed.、およびMedical Economics, Montvale, N.J. (1998)に開示され、これらはその全体がここに開示されたものとする。
【0068】
上述した方法、システム、および装置は例示に過ぎないことが意図されるものといえる。要求に応じて、様々な実施例において、様々な処理や要素を省略しても、代用しても、あるいは付加してもよいものといえる。例えば、別例において、方法は開示される順序とは異なる順に行なわれてもよく、また様々な工程が付加されても、省略されても、あるいは組み合わされてもよいものといえる。更に、所定の実施例に関して開示された特徴は、様々な別例において組み合わされてもよい。実施例の異なる態様および要素は同様の方法において組み合わされてもよい。更に、技術が発展するため、要素の多くは例示に過ぎず、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではないものといえる。
【0069】
実施例を完全に理解すべく、明細書において詳細な説明がなされる。しかしながら、当業者は、実施例がこれらの詳細な説明なしに実行されてもよいことを理解するであろう。例えば、公知の工程、アルゴリズム、構造体および技術については、実施例が不明瞭になることを回避すべく不要な詳細な説明を省略した。本明細書は実施例を例示するに留まり、本発明の範囲、応用可能性や、構造体を制限することを意図したものではない。より正確に言えば、上述した実施例は、当業者が本発明の実施例を実施できるように開示される。様々な変更が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および構造体においてなされてもよい。
【0070】
更に、上述した記載は、通常アエロゾル化する液体薬を詳述する。しかしながら、液体の薬を除く液体が同様の装置および方法を使用してエアロゾル化されてもよいものといえる。
【0071】
更に、実施例は、フローチャートやブロック図に示すような工程として開示されたものといえる。複数の操作を、連続する工程として上述したが、操作の多くは並行して、即ち同時に行なうことができる。付加的に、操作の順序は再構成されてもよい。プロセスは図に含まれない付加的な工程を有してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負に付勢される液体タンクを備える噴霧器の要素の共振周波数を決定する方法であって、
駆動部により、電流および電圧を含む電気的信号を使用して噴霧器の要素を駆動する工程と、
駆動部により、噴霧器を駆動する電気的信号の電圧および電流間の位相シフトを測定する工程と、
駆動部によって測定された噴霧器の要素を駆動する電気的信号の位相シフトに少なくとも部分的に基づいて、噴霧器の要素の共振周波数を駆動部によって決定する工程とを含むことを特徴とする共振周波数決定方法。
【請求項2】
前記駆動部によって決定された噴霧器の共振周波数に少なくとも部分的に基づいて、電気的信号の電圧の大きさを駆動部によって決定する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記負に付勢された液体タンクは、液体が負に付勢された液体タンクから排出されるときに、噴霧器の要素の共振周波数を変化させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記噴霧器を駆動する電気的信号は噴霧器の要素を振動させ、負に付勢された液体タンクに収容された液体を霧化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動部によって決定された噴霧器の共振周波数に少なくとも部分的に基づいて、噴霧器の負に付勢された液体タンク内の負圧を駆動部によって決定する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記噴霧器への電気的信号の周波数を駆動部によって調整する工程を更に含み、略一定の位相シフトが電気的信号の電圧および電流の間に保持されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電圧の大きさは記憶された値一式を使用して決定され、記憶された値一式は、負に付勢された液体タンクの液体に応じて変化することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
噴霧器の要素を駆動するための装置であって、
出力周波数、出力電流、および出力電圧を含む出力波形信号を生成する増幅器と、該出力波形信号は、出力周波数にて噴霧器の要素を駆動することと、
出力波形信号の出力電流と出力電圧との間の位相シフトを決定する位相シフト検知器と、
増幅器に入力される可変周波数の波形信号を生成する共振周波数追跡器と、波形信号は出力周波数を制御することと、可変周波数は位相シフト検知器モジュールによって決定された出力波形信号の位相シフトに基づいて調整されることと、
共振周波数追跡器によって生成された波形信号の周波数に基づいて増幅器による出力波形信号出力の出力電圧を調整する電圧プロフィールとを備えることとを特徴とする噴霧器要素の駆動装置。
【請求項9】
前記噴霧器は、液体が負に付勢された液体タンクから排出されるときに、噴霧器の要素の共振周波数を変化させる負に付勢された液体タンクを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記増幅器の出力電圧は、記憶された値一式を使用して決定され、記憶された値一式は、負に付勢された液体タンクに収容される液体に応じて変化することを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記負に付勢された液体タンクに収容された液体は、薬であることを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記駆動装置は携帯型のユニットにて噴霧器と連結されることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
【請求項13】
液体を霧化するシステムであって、
霧化される液体を保持する液体タンクと、
複数の開口を有する要素を含む噴霧器と、
該要素は液体タンクから排出される液体を霧化し、要素は、出力波形信号によって駆動されることと、
液体タンクに収容された液体が排出されるときに、液体タンクの負圧が変化することと、
液体タンクに収容された液体が排出されるときに、周囲環境からの空気が液体タンクに略進入しないように液体タンクがシールされることと、
駆動部とを備え、同駆動部は、
出力波形信号の電流と出力波形信号の電圧との間の位相シフトを決定する位相シフト検知器と、
出力波形信号の周波数を調整する波形を生成する共振周波数追跡器と、該周波数は、位相シフト検知器によって決定された位相シフトに基づいて調整されることと、
共振周波数追跡器によって生成された波形の周波数に基づいて出力波形信号の電圧を調整する電圧プロフィールとを含むこととを特徴とする液体を霧化するシステム。
【請求項14】
前記噴霧器は通風装置に連結されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記駆動部は携帯型ユニットにおいて噴霧器に連結されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記駆動部は、共振周波数追跡器および電圧プロフィールからの信号を使用して、出力波形信号を生成する増幅器を更に含むことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記増幅器の出力電圧は、記憶された値一式を使用して決定され、記憶された値一式は、液体タンクに収容される液体に応じて変化することを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記液体は薬であることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
液体をエアロゾル化する方法であって、
タンク内の液体をシールする工程と、
出力波形信号を生成する工程と、
液体をエアロゾル化すべく噴霧器要素を振動させる工程と、
液体がエアロゾル化されるときに、負の圧力がタンク内に生じることと、
該出力波形信号は、噴霧器要素を振動させることと、
出力波形信号の電流と出力波形信号の電圧との間の位相シフトを決定する工程と、
位相シフトに少なくとも部分的に基づいて、出力波形信号の周波数を調整する工程と、
出力波形信号の周波数に少なくとも部分的に基づいて、出力波形信号の電圧を調整する工程とを含むことを特徴とする液体をエアロゾル化する方法。
【請求項20】
前記噴霧器要素は噴霧器に連結され、同噴霧器が通風装置に連結されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記位相シフトは出力波形信号の電圧および電流の間に通常一定に保持されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記電圧は記憶された値一式を使用して調整され、記憶された値一式は、タンクの液体に応じて変化することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記出力波形信号は、通常噴霧器要素の共振周波数にて噴霧器要素を振動させることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1A】
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【図1C】
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【図1B】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533367(P2012−533367A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520838(P2012−520838)
【出願日】平成22年7月19日(2010.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/042473
【国際公開番号】WO2011/009133
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(597148884)ネクター セラピューティクス (30)