説明

シールド材の製造方法

【課題】金属パターン層(電磁波遮蔽層)のアース部を黒枠部として兼用するシールド材の製造方法において、アース部(黒枠部)でのピンホールの発生を防止する方法を提供する。
【解決手段】金属層14xをフォトリソグラフィによってパターニングして、金属パターン部と黒枠部として機能するアース部とから構成される金属パターン層14を形成する際に、遮光パターン層22によって金属パターン部に対応するパターン状白抜き部PWとアース部に対応する枠状白抜き部FWとが画定され、かつ遮光パターン層22及びパターン状白抜き部PWの上に露光量を低減させる光透過率調整層23が部分的に形成された構造のフォトマスク20を介してレジスト16を露光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールド材の製造方法に係り、さらに詳しくは、PDP(プラズマディスプレイパネル)から漏洩する電磁波を遮蔽するシールド材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広い視野角をもち、表示品質がよく、大画面化ができるなどの特徴をもつPDP(プラズマディスプレイパネル)は、マルチメディアディスプレイ機器などに急速にその用途を拡大している。PDPはその駆動により電磁波を発生するので、PDPの前方にはPDPからの電磁波を遮蔽するためにシールド材が配置される。
【0003】
従来のシールド材の一例では、図1に示すように、下面側の周縁部に黒枠層100aを備えたガラス板100の上に粘着層120を介してPETフィルム200が貼着されている。PETフィルム200の上には接着剤140を介して銅メッシュ部300aとそれに繋がるアース部300とにより構成される金属パターン層300(電磁波遮蔽層)が貼着されて形成されている。
【0004】
金属パターン層300はPETフィルム200の上に接着された銅箔がフォトリソグラフィ及びエッチングによってパターン化されて形成される。さらに、金属パターン層300の銅メッシュ部300aの上には粘着層160を介して反射防止/近赤外線吸収フィルム400が形成されており、シールド材の周縁部にアース部300bが露出した状態となっている。
【0005】
そして、図1のシールド材は、ガラス板100の黒枠層100aが設けられた面がPDP側になり、反射防止/近赤外線吸収フィルム400側が視聴者側になるようにPDPの前方に配置される。シールド材の周縁部に黒枠層100aを設けることにより、PDPの映像全体が引き締まってくっきりとした映像として視聴されるようになる。
【0006】
ガラス板の下面に黒枠層が設けられた構造のシールド材は、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2002−347166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、前述した図1の従来技術のシールド材において、ガラス板100の下面側に設けられた黒枠層100aを省略し、金属パターン層300のアース部300bを黒枠部として兼ねる試みがなされている。
【0008】
銅箔をパターニングしてアース部(黒枠部)300bを備えた金属パターン層300を形成する方法は、図2(a)に示すように、まず、PETフィルム200の上に銅箔310が接着剤140で貼着された積層体を用意する。その後に、図2(b)に示すように、銅箔310の上にネガ型のレジスト180を形成する。次いで、同じく図2(b)に示すように、前述した金属パターン層300を形成するためのフォトマスク500を用意する。フォトマスク500は、ガラス基板500aの一方の面に遮光パターン層500bが形成されて構成される。そして、フォトマスク500を介してレジスト180を露光した後に、レジスト180を現像する。
【0009】
このとき、アース部(黒枠部)300bに対応するフォトマスク500の周縁側の白抜き部Wに塵埃などの異物600が付着している場合、異物600に対応するレジスト180の部分は異物600によって十分に露光されずに未露光部(未架橋部)となってしまう。
【0010】
このため、図2(c)に示すように、レジスト180を現像して金属パターン層300に対応するレジストパターン180aを得る際に、アース部(黒枠部)300bに対応するレジストパターン180aの未露光部が現像時に溶解してピンホール180xが形成されることになる。従って、図2(d)に示すように、レジストパターン180aをマスクにして銅箔310をウェットエッチングして金属パターン層300を形成すると、アース部(黒枠部)300bにピンホール300xが転写されて形成されてしまう。
【0011】
アース部(黒枠部)300bにピンホール300xが点在したシールド材をPDPに設置すると、アース部(黒枠部)300bのピンホール300xからPDPの映像の光が視聴者側に漏れるので、黒枠部300bが見苦しくなるといった問題が発生する。
【0012】
レジスト180をパターニングする際にピンホール180xを低減させる方法としては、フォトマスク500の洗浄を徹底することや、露光量を多くしてフォトマスク500の異物600に対応するレジスト180の部分にも光が回り込んで露光されるようにする方法が考えられる。
【0013】
しかしながら、フォトマスク500を頻繁に洗浄しても異物600の付着はフォトリソグラフィの環境のクリーン度に左右されるので、異物の完全な除去には限界がある。また、露光量を多くする方法では、アース部(黒枠部)300bに対応するレジスト180の周縁部では異物600に起因する未露光部をなくすことは可能であるが、銅メッシュ部300aに対応するレジストパターン180aの領域ではオーバー露光となって線幅のスペックから外れて太くなって形成されてしまう。
【0014】
この対策として、ウェットエッチングのサイドエッチによって線幅をレジストパターン180aから細くしてスペック内に調整する方法が考えられるが、スペックを満足させる線幅に調整するには困難を極め、可能としても生産性がかなり悪くなり現実的ではない。
【0015】
本発明は以上の問題点を鑑みて創作されたものであり、金属パターン層(電磁波遮蔽層)のアース部を黒枠部として兼用するシールド材の製造方法において、アース部(黒枠部)でのピンホールの発生を防止するシールド材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明はシールド材の製造方法に係り、金属パターン部と、該金属パターン部に繋がって周縁部に配置されて黒枠部として機能するアース部とから構成される金属パターン層を備えたシールド材の製造方法であって、透明基材上に金属層が形成された積層体を用意する工程と、前記金属層の上にネガ型のレジストを形成する工程と、遮光パターン層によって前記金属パターン部に対応するパターン状白抜き部と前記アース部に対応する枠状白抜き部とが画定されたフォトマスクであって、前記遮光パターン層及び前記パターン状白抜き部の上に露光量を低減させる光透過率調整層が部分的に形成された構造の前記フォトマスクを介して、前記レジストを露光する工程と、前記レジストを現像することにより、前記パターン状白抜き部と前記枠状白抜き部とに対応する領域に前記レジストのパターンを残す工程と、前記レジストのパターンをマスクにして前記金属層をエッチングすることにより、前記金属パターン部と前記アース部とから構成される前記金属パターン層を得る工程と、前記レジストを除去する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のシールド材の製造方法では、金属パターン部と黒枠層を兼ねるアース部とにより構成される金属パターン層(電磁波遮蔽層)を形成する際のネガ型レジストのパターニングに使用されるフォトマスクには、遮光パターン層によって金属パターン部に対応するパターン状白抜き部とアース部に対応する枠状白抜き部とが画定されている。さらに、遮光パターン層及びパターン状白抜き部の上に露光量を低減させるための光透過率調整層が部分的に形成されている。
【0018】
本発明では、フォトマスクの枠状白抜き部に異物が付着している場合、フォトマスクの枠状白抜き部からの露光量が異物に対応するレジストの部分が露光されるように過剰に設定され、パターン状白抜き部からの露光量は光透過率調整層の作用によって所要のレジストのパターンが得られるように枠状白抜き部からの露光量より少なく設定される。
【0019】
これにより、金属パターン層のアース部(黒枠部)を形成するためのレジストパターンの外枠部でのピンホールの発生が防止されると共に、金属パターン部を形成するためのレジストパターンがスペックを満足させる所要の線幅で形成されるようになる。従って、ピンポールが発生しないアース部(黒枠部)と所要の線幅の金属パターン部とから構成される金属パターン層が得られる。
【0020】
このように、本発明では、金属パターン層のアース部を黒枠部として兼用し、かつ所要の線幅の金属パターン部(メッシュ状など)を備えたシールド材を信頼性よく製造できるようになる。本発明の製造方法で得られるシールド材はアース部を黒枠部として兼用できるので、構成が簡易となって従来技術よりも製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
本発明の好適な態様では、金属パターン層の金属パターン部の上に粘着層を介して反射防止/近赤外線吸収フィルムが貼着され、ガラス板の上に透明基材の下面が粘着層を介して貼着される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明では、ピンホールのない黒枠部として機能するアース部と所要の線幅の金属パターン部とから構成される金属パターン層を備えたシールド材を容易に製造できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0024】
図3及び図4は本発明の実施形態のシールド材の製造方法を示す断面図、図5及び図6は本実施形態で使用されるフォトマスクを介してレジストを露光する様子を示す部分断面図、図7は同じくシールド材を示す断面図である。
【0025】
本発明の実施形態のシールド材の製造方法は、図3(a)に示すように、まず、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム10と、一方の面が電解めっきによって黒化された銅箔14xとを用意し、PETフィルム10の上に接着剤12を介して銅箔14xの黒化された面を貼着する。これにより、PETフィルム10(透明基材)、接着剤12及び銅箔14x(金属層)が順に形成されて構成される積層体Mを得る。なお、本実施形態では、PETフィルム10の上に接着された銅箔14をパターニングして金属パターン層(電磁波遮蔽層)を形成するが、金属層がパターニングできる状態で透明基材の上に形成されていればよく、透明基材はフレキシブルタイプであってもよいし、リジッドタイプであってもよい。
【0026】
その後に、図3(b)に示すように、積層体Mの銅箔14xの上にネガ型のレジスト16を形成する。レジスト16は、ドライフィルムレジストであってもよいし、液状のレジストを塗布してもよい。続いて、図3(c)に示すように、フォトリソグラフィで使用されるフォトマスク20を用意する。本実施形態で使用されるフォトマスク20では、ガラス板21の一方の面の中央主要部にはクロム(Cr)からなる遮光パターン層22が形成されてパターン状白抜き部PWが画定され、周縁部に枠状白抜き部FWが画定されている。遮光パターン層22及びパターン状白抜き部PWは、好適にはメッシュ状に配置される。さらに、遮光パターン層22及びパターン状白抜き部PWが配置されたパターン領域の上(図3(b)では下)に光透過率調整層23が部分的に形成されている。
【0027】
ネガ型のレジスト16では、露光された部分が選択的に架橋することに基づいて現像液に不溶となってパターンが残される。従って、このフォトマスク20を使用してレジスト16をパターニングすると、パターン状白抜き部PWに対応する部分に金属パターン層の金属パターン部を形成するためのレジストパターンが残され、枠状白抜き部FWに対応する部分に金属パターン層のアース部を形成するためのレジストパターンが残される。そして、遮光パターン層22に対応する部分がスペース(抜きパターン)となる。
【0028】
光透過率調整層23は、ガラス板21上の枠状白抜き部FWを除く遮光パターン層22及びパターン状白抜き部PWが配置されたパターン領域のみに部分的に形成され、ガラス板21よりも光透過率が低いものが使用される。これにより、フォトマスク20に照射される光は、枠状白抜き部FW(ガラス板21)では高い透過率で光が透過して露光されるが、パターン状白抜き部PWでは光透過率調整層23の作用によって枠状白抜き部FWよりも光の透過が抑制されて露光量が低減されるようになっている。光透過率調整層23としては、グレーなどの有色の透明フィルムやガラスなどが使用される。
【0029】
なお、フォトマスクとして、遮光層としてエマルジョン(乳剤)層がパターニングされたフィルムマスクを使用し、同様に光透過率調整層を形成してもよい。
【0030】
次に、このような構成のフォトマスク20を使用するフォトリソグラフィによってレジスト16をパターニングする方法について説明する。同じく図3(c)に示すように、露光装置(不図示)から上記したフォトマスク20を介してレジスト16を露光する。このとき、図5の部分断面図に示すように、フォトマスク20の枠状白抜き部FWに塵埃などの異物19が付着している場合、異物19に対応するレジスト16の部分にも光が回り込んで未露光部(未架橋部)が残存しないような過剰な露光量を設定する。露光量としては、レジスト16の膜厚が15〜30μmの場合、50〜110mJ/cm2に設定される。
【0031】
これにより、枠状白抜き部FWに対応するレジスト16の周縁部は、フォトマスク20に異物19が付着していても異物19に影響されることなくその全体にわたって感光部Eとなる。
【0032】
ここで、前述したように、枠状白抜き部FWとパターン状白抜き部PWとの光透過率が同じ場合は、パターン状白抜き部PWを透過する光の量も過剰となってオーバー露光となるので、レジスト16のパターンが線幅スペックから外れて太く形成されることになる。
【0033】
しかしながら、本実施形態では、図6の部分断面図に示すように、フォトマスク20の遮光層パターン層22及びパターン状白抜き部PWが配置されたパターン領域にガラス板21よりも光透過率が低い光透過率調整層23が形成されているため、パターン状白抜き部PWを透過する光の量は枠状白抜き部FWを透過する光の量より少なく設定されて所要の露光量が得られるようになっている。従って、パターン状白抜き部PWに対応するレジスト16の部分が所要の線幅スペックのパターンが得られるように露光されて感光部Eとなる。
【0034】
好適な一例では、光透過率調整層23は、枠状白抜き部FWに異物19が付着していてもレジスト16に未露光部が残存しない露光量を100%としたときに、パターン状白抜き部PWでの露光量が60〜80%(好適には70%)に低減されるような光透過率を有するものが使用される。つまり、露光量が60〜80%の条件は、パターン状白抜き部PWを介して露光されるレジスト16の部分に線幅スペックを満足させる所要のパターンが形成される条件である。
【0035】
次いで、図4(a)に示すように、上記した条件で露光されたレジスト16を現像することにより、パターン部16xとそれに繋がって周縁側に配置される外枠部16yとによって構成されるレジストパターン16aを得る。上記したように、枠状白抜き部FWをオーバー露光して異物19に起因するレジスト16の未露光部が残存しないようにしたので、レジストパターン16aの外枠部16yでのピンホールの発生が防止される。しかも、パターン状白抜き部PWからの露光量は光透過率調整層23の作用によって最適な露光量に低減されて設定されるので,レジストパターン16aのパターン部16xは所要の線幅で形成される。
【0036】
続いて、図4(b)に示すように、レジストパターン16aをマスクにして、銅箔14xをウェットエッチングした後に、レジストパターン16aを除去する。これにより、中央主要部に配置されたメッシュ状などの金属パターン部14aとそれに繋がって周縁側に配置されたアース部14bとに形成される金属パターン層14(電磁波遮蔽層)が得られる。金属パターン層14はレジストパターン16aから転写されて形成されるので、アース部14bにピンホールは発生せず、金属パターン部14aは所要の線幅のパターンとなって形成される。
【0037】
その後に、図4(c)に示すように、金属パターン層14を亜塩素酸ソーダ水溶液とカセイソーダ水溶液との混合液で化成処理することにより、金属パターン層14の露出面(上面及び両側面)を黒化する。金属パターン層14の接着剤12側の面は既に黒化されているので、この工程が終了した時点で金属パターン層14の両面及び側面は全て黒化されたことになる。これにより、金属パターン層14のアース部14bが黒枠部として機能する。
【0038】
次いで、図4(d)に示すように、金属パターン層14の金属パターン部14aの上にアース部(黒枠部)14bが露出するように粘着層24aを介して反射防止/近赤外線吸収フィルム30を貼着する。反射防止/近赤外線吸収フィルム30は、PETフィルムの上面に反射防止層が形成され、下面に近赤外線吸収層が形成されて構成される。あるいは、近赤外線吸収層が形成されたPETフィルムの上に反射防止層が形成されたPETフィルムを貼着して構成してもよい。
【0039】
その後に、ガラス板40の上に、粘着層24bを介してPETフィルム10の下面を貼着する。なお、ガラス板40の上にPETフィルム10を貼着した後に、反射防止/近赤外線吸収フィルム30を貼着してもよい。
【0040】
これにより、図7に示すように、本実施形態に係るシールド材1が得られる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のシールド材の製造方法では、銅箔14xをパターニングする際のフォトリソグラフィで使用されるフォトマスク20には、遮光パターン層22及びパターン状白抜き部PWが配置されたパターン領域上に光透過率調整層23が設けられている。
【0042】
このため、フォトマスク20のアース部(黒枠部)14bに対応する枠状白抜き部FWに異物19が付着している場合、異物19による未露光部を残存させないために枠状白抜き部FWを透過する露光量をオーバー露光に設定するとしても、パターン状白抜き部PWを透過する露光量は光透過率調整層23の作用によって所要の線幅のレジストパターン16aが得られるように低減されて調整される。
【0043】
これにより、アース部(黒枠部)14bを得るためのレジストパターン16aの外枠部16yでのピンホールの発生が防止されると共に、金属パターン部14aを得るためのレジストパターン16aのパターン部16xは所要の線幅となって形成される。
【0044】
従って、レジストパターン16aから転写されて得られる金属パターン層14のアース部14bには目立つようなピンポールが発生しないと共に、金属パターン部14aが所要の線幅をもって形成される。このように、フォトマスク20の枠状白抜き部FWに異物19が付着している場合であっても、フォトマスク20内での光透過率を制御する容易な方法により、アース部14bを黒枠部として兼用するシールド材を高い製造歩留りで信頼性よく製造することができる。
【0045】
しかも、金属パターン層14のアース部14bが黒枠部として兼用されることから、ガラス板40の下面に黒枠層を特別に形成する必要がなくなるので、シールド材の構成が簡易となって製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
図7に示すように、本実施形態のシールド材1では、ガラス板40の上に粘着層24bを介してPETフィルム10が貼着されている。PETフィルム10の上には接着剤12を介して電磁波遮蔽層として機能する金属パターン層14が形成されている。金属パターン層14は、中央主要部に配置された金属パターン部14とそれに繋がって周縁側に配置されたアース部14bとによって構成されている。金属パターン層14は黒化されており、アース部14bが黒枠部を兼ねている。
【0047】
また、金属パターン層14の上には、アース部(黒枠部)14bが露出する状態で、粘着層24aを介して反射防止/近赤外線吸収フィルム30が貼着されている。
【0048】
このようにして構成されるシールド材1は、そのガラス板40の下面がPDPの表示画面側になるようにPDPの前方に配置されて電磁波シールド材として機能する。そして、アース部14bが導電性テープなどによってPDPの筐体のアース端子に接続される。本実施形態のシールド材1では、ガラス板40の下面の周縁部に黒枠層が設けられておらず、黒系色を呈する金属パターン層14のアース部14bが黒枠部として機能するようになっている。
【0049】
本実施形態の製造方法で得られるシールド材1では、金属パターン層14のアース部(黒枠部)14bでのピンホールの発生が防止されると共に、所要の線幅の金属パターン部14aが形成される。従って、シールド材1をPDPに設置する際に、所望の開口率が得られ、かつアース部(黒枠部)14bから映像の光が漏れずくっきりとした映像として視聴されるようになり、PDPの表示特性を向上させることができる。
【0050】
なお、セパレータ及び粘着層、樹脂層から構成される透明基材の上に銅箔が形成された積層体の銅箔を同様な方法でパターニングして金属パターン層を形成し、その上に反射防止/近赤外線フィルムを形成した後に、セパレータを剥離して露出する粘着層をPDPの画面に直接貼り付けてシールド材としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は従来技術のシールド材を示す断面図である。
【図2】図2(a)〜(d)は黒枠部として機能するアース部と金属パターン部とから構成される金属パターン層を形成する際の問題点を示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は本発明の実施形態のシールド材の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図4】図4(a)〜(d)は本発明の実施形態のシールド材の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図5】図5は本発明の実施形態に係るフォトマスクを用いて金属パターン層のアース部(黒枠部)に対応するレジスト領域を露光する様子を示す断面図である。
【図6】図6は本発明の実施形態に係るフォトマスクを用いて金属パターン層の金属パターン部に対応するレジスト領域を露光する様子を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の実施形態のシールド材を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1…シールド材、10…PETフィルム、12…接着剤、14x…銅箔、14…金属パターン層、14a…金属パターン部、14b…アース部(黒枠部)、16…レジスト、16a…レジストパターン、16x…パターン部、16y…外枠部、19…異物、20…フォトマスク、21,40…ガラス板、22…遮光パターン層、23…光透過率調整層、24a、24b…粘着層、30…反射防止/近赤外線吸収フィルム、PW…パターン状白抜き部、FW…枠状白抜き部、E…感光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パターン部と、該金属パターン部に繋がって周縁側に配置されて黒枠部として機能するアース部とから構成される金属パターン層を備えたシールド材の製造方法であって、
透明基材上に金属層が形成された積層体を用意する工程と、
前記金属層の上にネガ型のレジストを形成する工程と、
遮光パターン層によって前記金属パターン部に対応するパターン状白抜き部と前記アース部に対応する枠状白抜き部とが画定されたフォトマスクであって、前記遮光パターン層及び前記パターン状白抜き部の上に露光量を低減させる光透過率調整層が部分的に形成された構造の前記フォトマスクを介して、前記レジストを露光する工程と、
前記レジストを現像することにより、前記パターン状白抜き部と前記枠状白抜き部とに対応する領域に前記レジストのパターンを残す工程と、
前記レジストのパターンをマスクにして前記金属層をエッチングすることにより、前記金属パターン部と前記アース部とから構成される前記金属パターン層を得る工程と、
前記レジストを除去する工程とを有することを特徴とするシールド材の製造方法。
【請求項2】
前記フォトマスクの前記枠状白抜き部に異物が付着している場合、
前記レジストを露光する工程において、前記枠状白抜き部からの露光量が前記異物に対応する前記レジストの部分が露光されるように過剰に設定され、前記パターン状白抜き部からの露光量は前記光透過率調整層の作用によって所要の前記レジストのパターンが得られるように前記枠状白抜き部からの露光量より少なく設定されることを特徴とする請求項1に記載のシールド材の製造方法。
【請求項3】
前記フォトマスクの前記パターン状白抜き部からの前記レジストへの露光量は、前記枠状白抜き部からの露光量の60〜80%に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド材の製造方法。
【請求項4】
前記レジストを除去する工程の後に、
前記金属パターン層の前記金属パターン部の上に粘着層を介して反射防止/近赤外線吸収フィルムを貼着する工程と、
前記反射防止/近赤外線吸収フィルムを貼着する工程の前又は後に、ガラス板の上に、前記透明基材の下面を粘着層を介して貼着する工程とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のシールド材の製造方法。
【請求項5】
前記積層体を用意する工程において、前記金属層の前記透明基材側の面が黒化されており、
前記レジストを除去する工程の後に、前記金属パターン層の上面及び両側面を黒化する工程をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド材の製造方法。
【請求項6】
前記金属層は銅箔からなり、前記金属パターン部はメッシュ状のパターンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシールド材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−28138(P2008−28138A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198845(P2006−198845)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】