説明

シール剤の硬化処理装置及び硬化処理方法

【課題】2枚の基板を貼り合わせるためのシール剤の塗布パターンを硬化処理するに際して、効率的に硬化処理を行ってシール工程全体の所要時間を短縮させることができる。
【解決手段】2枚の基板Sの一面側に第1硬化処理ユニット3を配置し、2枚の基板Sの他面側に第2硬化処理ユニット4は配置する。第1硬化処理ユニット3の直線状の処理部3Aを平行移動することによって基板Sに形成された塗布パターンの一方向の辺を順次硬化処理し、第2硬化処理ユニット4の直線状の処理部4Aを平行移動することによって基板Sに形成された塗布パターンの他方向の辺を順次硬化処理する。第1硬化処理ユニット3による処理と第2硬化処理ユニット4の処理を同工程で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の基板を貼り合わせるためのシール剤を硬化させる硬化処理装置及び硬化処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2枚の基板を貼り合わせて、それらの基板の間に封止領域を形成する工程は、フラットパネルなどの製造において一般に行われている。例えば、液晶ディスプレイパネルの製造では、カラーフィルタが形成された一方の基板とTFTが形成された他方の基板の間に液晶材料を充填・封入するための工程があり、有機ELパネルの製造では、基板上に形成された有機EL素子を外気から遮蔽するために、有機EL素子が形成された基板と封止基板とを貼り合わせて有機EL素子を囲む封止領域を形成する工程がある。
【0003】
2枚の基板間に所望の封止領域を形成するには、封止領域を囲む所望のパターンで一方又は両方の基板上にシール剤を塗布し、このシール剤を介して2枚の基板を貼り合わせ、その後シール剤を硬化処理する。この際、シール剤が光硬化性の場合には光透過性の基板を介してシール剤に光(例えば紫外線)を照射し、シール剤が熱硬化性の場合には熱伝導性の基板を介してシール剤を加熱する。
【0004】
下記特許文献1には、貼り合わせた2枚の基板間のシール剤に紫外光を照射する紫外光照射装置が記載されている。この従来技術は、ほぼ直交する状態で設けられ紫外線を所定の長さの直線状で出射する2つの照射手段(第1の照射手段と第2の照射手段)と、これらの照射手段を移動自在に支持するガイド部材と、各照射手段と基板とをガイド部材に沿って相対的に移動させる駆動手段と、この駆動手段を制御して基板に塗布されたシール剤の部分に合わせて紫外線を照射させるように、第1及び第2の照射手段と基板とを位置調整する制御手段とを備えている。
【0005】
この従来技術によると、互いに直交するシール剤の塗布部分に対して、先ず第1の照射手段を用いて一方向に平行に並ぶ複数の塗布部分に紫外線を照射し、それが終わった後に、第2の照射手段を用いて他方向に平行に並ぶ複数の塗布部分に紫外線を照射する。これによると、第1の照射手段が一方向に沿うシール剤の塗布部分に紫外線を照射している間は、第2の照射手段は第1の照射手段の移動の邪魔にならない位置に退避しており、第1の照射手段による紫外線照射が終わって次に第2の照射手段による紫外線照射が行われる場合には、第1の照射手段は第2の照射手段の移動の邪魔にならない位置に退避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−99783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術によると、シール剤の塗布部分のみに紫外線を照射できるので、基板間に封入された液晶材料が紫外線によって劣化するのを回避できると共に、不要な箇所への紫外線照射を行わないことでエネルギーの有効利用を図ることができる。しかしながら、基板上に形成されたシール剤の塗布パターンが多くの区画された封止領域を含む場合に、第1の照射手段で一方向に沿うシール剤の塗布部分の全体を照射するのに相当の時間を要し、その時間に第2の照射手段で他方向に沿うシール剤の塗布部分を照射する時間が加わることになるので、シール工程全体での所要時間が長くなり、高い生産性を得ることができない問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、2枚の基板を貼り合わせるためのシール剤を硬化処理するに際して、効率的に硬化処理を行ってシール工程全体の所要時間を短縮させることができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0010】
2枚の基板を貼り合わせるシール剤を硬化処理する装置であって、前記基板に形成されたシール剤の塗布パターンのうち一方向の辺に沿う直線状の処理部を備えた第1硬化処理ユニットと、前記塗布パターンのうち前記一方向と交差する他方向の辺に沿う直線状の処理部を備えた第2硬化処理ユニットと、前記処理部が前記塗布パターン上に位置するように、前記基板と前記第1硬化処理ユニットとを前記他方向に沿って前記塗布パターンの一端側から他端側まで相対的に移動させると共に、前記基板と前記第2硬化処理ユニットとを前記一方向に沿って前記塗布パターンの一端側から他端側まで相対的に移動させる移動部と、前記処理部と前記移動部の動作をそれぞれ制御する制御手段を備え、前記第1硬化処理ユニットを前記2枚の基板の一面側に配置し、前記第2硬化処理ユニットを前記2枚の基板の他面側に配置したことを特徴するシール剤の硬化処理装置。
【0011】
2枚の基板を貼り合わせるためのシール剤を硬化処理する方法であって、前記シール剤は矩形状のシール領域を縦横複数並列した塗布パターンを有しており、前記塗布パターンの縦方向の辺に前記2枚の基板の一面側に配置した第1硬化処理ユニットの直線状の処理部の方向を合わせ、前記基板と前記第1硬化処理ユニットを横方向に相対的に移動することで、前記基板一端側から他端まで、前記塗布パターンの縦方向の辺に順次硬化処理を施す第1処理と、前記塗布パターンの横方向の辺に前記2枚の基板の他面側に配置した第2硬化処理ユニットの直線状の処理部の方向を合わせ、前記第2硬化処理ユニットを縦方向に移動することで、前記基板の縦方向一端側から前記基板の縦方向他端側まで、前記塗布パターンの横方向の辺に順次硬化処理を施す第2処理を行うに際して、前記第1処理と前記第2処理を同工程で行うことを特徴とするシール剤の硬化処理方法。
【発明の効果】
【0012】
このような特徴を有するシール剤の硬化処理装置及び硬化処理方法によると、基板上に一方向(縦方向)と他方向(横方向)の辺を複数有するシール剤の塗布パターンが形成されている場合に、2枚の基板の一面側に配置した第1硬化処理ユニットによって塗布パターンの一方向の辺を基板の一端から他端まで順次硬化処理し、これと同工程で、2枚の基板の他面側に配置した第2硬化処理ユニットによって塗布パターンの他方の辺を基板の一端から他端まで順次硬化処理する。
【0013】
これによると、2枚の基板の一面側に配置した第1硬化処理ユニットが塗布パターンの一方向の辺を基板の一端から他端まで硬化処理する間に、2枚の基板の他面側に配置した第2硬化処理ユニットを用いて、塗布パターンの他方の辺を硬化処理し終えることができるので、シール剤の塗布パターンを硬化処理するに際して、効率的に硬化処理を行ってシール工程全体の所要時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置の基本構成を示す説明図である(同図(a)が平面図であり、同図(b)がA−A断面図)。
【図2】本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置の制御手段の機能を示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置の動作例及び具体的な硬化処理方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置の基本構成を示す説明図である(同図(a)が平面図であり、同図(b)がA−A断面図)。硬化処理装置1は、2枚の基板Sを貼り合わせるシール剤を硬化処理する装置であり、支持部2、第1硬化処理ユニット3、第2硬化処理ユニット4、移動部5、制御手段6を備えている。この硬化処理装置1の処理の対象は、2枚の透明基板間に液晶材料を封入した液晶ディスプレイパネル、有機EL素子が形成された基板と封止基板とを貼り合わせて有機EL素子を両基板間で封止する有機ELパネルなどのフラットディスプレイパネルを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではなく、2枚の基板間にシール剤を介在させて貼り合わせた構造のもの全てを対象にすることができる。
【0016】
支持部2は、シール剤を介して貼り合わせられた2枚の基板Sを支持する支持面2Aを備えている。第1硬化処理ユニット3は、基板Sに形成されたシール剤の塗布パターンのうち一方向の辺に沿う直線状の処理部3Aを備えており、支持面2Aに形成されたスリット開口部2Bに配置されている。支持面2A上の基板Sと第1硬化処理ユニット3とは処理部3Aの配置方向(図示Y方向)に交差する方向(図示X方向)に沿って相対的に移動可能に配備されている。図示の例では、第1硬化処理ユニット3が静止しており、基板Sを図示X方向に移動させる構成にしているが、これに限らず、基板Sと第1硬化処理ユニット3の両方が移動する構成であってもよいし、第1硬化処理ユニット3のみが移動する構成であってもよい。
【0017】
第2硬化処理ユニット4は、基板Sに形成されたシール剤の塗布パターンのうち前述した一方向(図示Y方向)と交差する他方向(図示X方向)の辺に沿う直線状の処理部4Aを備えている。すなわち、第2硬化処理ユニット4は、第1硬化処理ユニット3の処理部3Aが配置された一方向(図示Y方向)と交差する他方向(図示X方向)に沿った処理部4Aを備えており、基板Sが配置される支持面2A上に配置されている。また、基板Sと第2硬化処理ユニット4とは処理部4Aの配置方向(図示X方向)に交差する方向(図示X方向)に沿って相対的に移動可能に配置されている。図示の例では基板Sに対して第2硬化処理ユニットを移動させる構成にしているが、これに限らず、基板Sと第2硬化処理ユニット4の両方が移動する構成であってもよいし、基板Sのみが移動する構成であってもよい。
【0018】
本発明の実施形態に係る硬化処理装置1は、第1硬化処理ユニット3が貼り合わせられる2枚の基板Sの一面側(裏面側)に配置されており、第2硬化処理ユニット4が2枚の基板Sの他面側(表面側)に配置されている。これによると、第1硬化処理ユニット3の処理部3Aは基板Sに対して一面側から硬化処理を施すことになり、第2硬化処理ユニット4の処理部4Aは基板Sに対して他面側から硬化処理を施すことになる。
【0019】
第1硬化処理ユニット3と第2硬化処理ユニット4のそれぞれは、各処理部3A,4Aの配置方向の角度調整を行うアライメント調整部3B,4Bを備えている。このアライメント調整部3B,4Bは制御手段6からの制御信号によって駆動して各処理部3A,4Aの配置角度を調整する。また、第2硬化処理ユニット4は、ユニット支持部4Cを備えている。このユニット支持部4Cは、後述するスライド軸5hに沿って第2硬化処理ユニット4を移動自在に支持している。
【0020】
第1硬化処理ユニット3と第2硬化処理ユニット4の各処理部3A,4Aは、硬化対象のシール剤が光硬化性の場合は、光透過性の基板を介してシール剤に紫外線等の光を照射する露光処理部であり、硬化対象のシール剤が熱硬化性の場合は、熱伝導性の基板を介してシール剤を加熱する加熱処理部である。
【0021】
各処理部3A,4Aの処理動作は制御手段6からの信号で制御されている。各処理部3A,4Aが露光処理部の場合には、光を基板Sに向けて照射する光源が直線状に配置されている。そして、各処理部3A,4Aは、例えば、光源から照射される光を遮蔽するシャッター機構を備え、制御手段6からの信号によって光源のON・OFFと共にシャッター機構が開閉動作することで処理の動作・非動作を切り替えるようになっている。このようなシャッター機構を設けることで、処理部3A,4Aの非動作時に基板Sに不要な光が照射されることを抑止でき、基板S内の液晶や配線が照射された紫外線等で損傷するのを回避することができる。
【0022】
各処理部3A,4Aが加熱処理部の場合には、熱を基板Sに向けて照射する熱源が直線状に配置されている。そして、各処理部3A,4Aは、例えば、熱源から照射される熱を遮蔽するシャッター機構を備え、制御手段6からの信号によって熱源のON・OFFと共にシャッター機構が開閉動作することで処理の動作・非動作を切り替えるようになっている。このようなシャッター機構を設けることで、処理部3A,4Aの非動作時に基板Sに不要な熱が照射されることを抑止できる。
【0023】
また、各処理部3A,4Aは、様々なシール剤の塗布パターンに対応できるように、直線状の各処理部3A,4Aの処理長さを任意に調整できることが好ましい。各処理部3A,4Aが露光処理部の場合には、直線状に配列された光源を全点灯する場合と任意の長さに部分点灯する場合を選択調整することで処理長さを任意に調整することができる。また、前述したようにシャッター機構を設ける場合には、シャッター機構を部分的に開閉できるようにすることで処理長さを任意に調整することができる。
【0024】
移動部5は、処理部3A,4Aが基板Sに形成された塗布パターン上に位置するように、基板Sと第1硬化処理ユニット3とを他方向(図示X方向)に沿って塗布パターンの一端側から他端側まで相対的に移動させると共に、基板Sと第2硬化処理ユニット4とを一方向(図示Y方向)に沿って塗布パターンの一端側から他端側まで相対的に移動させる。図示の例では、移動部5は、支持面2A上に沿って基板Sを摺動させて、基板Sを支持面2Aに形成されたスリット開口部2Bに配置された第1硬化処理ユニット3に対してX方向に移動させており、また、基板Sと共にX方向に移動する第2硬化処理ユニット4を基板Sに対してY方向に移動させている。
【0025】
移動部5の具体例を説明する。一対のスライド軸5a,5aと案内軸5b,5bがX方向に沿って配置されており、このスライド軸5a,5aに沿って摺動自在な一対の摺動部5c,5cを備える。この摺動部5c,5cにはフレーム5dが一体に架け渡されており、このフレーム5dには支持面2A上の基板Sの端部を押す凸部5eが設けられている。そして、スライド軸5a,5aの駆動部5f,5fを駆動することで、フレーム5dがX方向に摺動し、これに押されて基板Sが支持面2A上をX方向に摺動する。
【0026】
また、フレーム5dには一対のアーム5g,5gが一体に設けられ、このアーム5g,5g間にスライド軸5hと案内軸5kが架け渡されてY方向に延在している。このスライド軸5hには前述した第2硬化処理ユニット4のユニット支持部4Cが摺動自在に支持されており、スライド軸5hの駆動部5jを駆動することで第2硬化処理ユニット4がY方向に沿って移動する。
【0027】
制御手段6は、支持面2A上で基板を支持した状態で、入力される塗布パターンデータ6Aとアライメントマーク検出信号6Bに基づいて移動部5と各処理部3A,4Aを適宜に制御するものである。図2は、制御手段6の機能を示した説明図である。制御手段6は、制御機能として、アライメント調整手段60、基板移動手段61、第2硬化処理ユニット移動手段62、処理部動作手段63などを備えている。
【0028】
制御手段6のアライメント調整手段60は、図示省略した検出手段で支持面2A上に支持された基板Sのアライメントマークを検出し、このアライメントマークから認識できるシール剤の塗布パターンの縦方向(図示Y方向)辺の方向に合わせるように、第1硬化処理ユニット3のアライメント調整部3Bを動作させ、処理部3Aの方向を調整する。また、アライメントマークから認識できるシール剤塗布パターンの横方向(図示X方向)辺の方向に合わせるように、第2硬化処理ユニット4のアライメント調整部4Bを動作させ処理部4Aの方向を調整する。このようなアライメント調整手段60を設けることで、基板S上に傾いてシール剤の塗布パターンが形成されている場合であっても、塗布パターンに合わせて精度良く硬化処理を行うことができる。
【0029】
制御手段6の基板移動手段61は、入力された塗布パターンデータに基づいて、塗布パターンの一方向(図示Y方向)に沿った辺上に第1硬化処理ユニット3の処理部3Aが位置するように、静止している第1硬化処理ユニット3に対して移動部5を動作させて、支持面2A上の基板Sを摺動させる。この場合、各辺での硬化処理に所定の時間が掛かるので基板Sの移動は間欠的な移動になり、一つの辺上に処理部3Aを位置させて所定時間硬化処理を行った後、次の辺上に処理部3Aを位置させる。
【0030】
制御手段6の第2硬化処理ユニット移動手段62は、入力された塗布パターンデータに基づいて、塗布パターンの他方向(図示X方向)に沿った辺上に第2硬化処理ユニット4の処理部4Aが位置するように、移動部5を動作させて第2硬化処理ユニット4を基板Sの一端側から他端側に向けて順次移動させる。この場合も、各辺での硬化処理に所定の時間が掛かるので第2硬化処理ユニット4の移動は間欠的な移動になり、一つの辺上に処理部4Aを位置させて所定時間硬化処理を行った後、次の辺上に処理部4Aを移動させる。
【0031】
制御手段6の処理部動作手段63は、基板移動手段61,第2硬化処理ユニット移動手段62によって各処理部3A,4Aが塗布パターンの辺上に位置したところで、処理を要する各処理部3A,4Aの処理動作を実行する。各処理部3A,4Aが露光処理部の場合は、前述した光源をON状態にし、前述したシャッター機構を開状態にする。この処理部動作手段63は、基板移動手段61,第2硬化処理ユニット移動手段62によって各処理部3A,4Aが基板Sに対して相対的に移動中の場合は、各処理部3A,4Aの処理動作を停止する。この際、各処理部3A,4Aが露光処理部の場合は前述した光源をOFF状態にして前述したシャッター機構を閉状態にする。
【0032】
以下に、図3に基づいて、硬化処理装置1の動作例(具体的な硬化処理方法)を説明する。
【0033】
支持部2の支持面2A上に、シール剤を介して貼り合わせられた一対の基板Sを設置する。基板SにはアライメントマークMが付されていると共にこのアライメントマークを基準にして各種形態でシール剤の塗布パターンPが形成されている。図示の例では、塗布パターンPは矩形状のシール領域を縦横複数並列したパターンを有している。
【0034】
先ず、硬化処理の前段として、支持面2A上に設定された基板SのアライメントマークMが検出され、前述した制御手段6は、入力された塗布パターンデータと検出されたアライメントマークMの位置によって支持面2A上での塗布パターンPの位置を認識する。そして、制御手段6は、アライメント調整部3B,4Bを動作して第1硬化処理ユニット3,第2硬化処理ユニット4の各処理部3A,4Aの方向を塗布パターンPの縦横の辺の方向に合わせる。
【0035】
その後、図3(a)に示すように、基板Sを移動させることで塗布パターンPの縦方向(図示Y方向)の一つの辺Y1上に第1硬化処理ユニット3の処理部3Aを位置させ、更に、第2硬化処理ユニット4を移動させることで塗布パターンPの横方向(図示X方向)の一つの辺X1上に第2硬化処理ユニット4の処理部4Aを位置させる。そして、処理部3Aと処理部4Aを動作させて塗布パターンPの辺Y1と辺X1を硬化処理する。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、基板Sを移動させることで塗布パターンPの縦方向(図示Y方向)の別の辺Y2上に第1硬化処理ユニット3の処理部3Aを位置させ、更に、第2硬化処理ユニット4を移動させることで塗布パターンPの横方向(図示X方向)の別の辺X2上に第2硬化処理ユニット4の処理部4Aを位置させる。そして、処理部3Aと処理部4Aを動作させて塗布パターンPの辺Y2と辺X2を硬化処理する。この動作を繰り返し、最終的に、図3(c)に示すように、塗布パターンPの端の辺Ym,Xnを硬化処理して、全ての塗布パターンPに硬化処理を施す。
【0037】
図3に示した動作例において、これらの動作を処理部3A,4A毎にみていくと、第1硬化処理ユニット3の処理部3Aに関しては、塗布パターンPの縦方向の辺に2枚の基板Sの一面側に配置した第1硬化処理ユニット3の処理部3Aの方向を合わせ、基板Sと第1硬化処理ユニット3を横方向(図示X方向)に相対的に移動することで、基板Sの横方向一端側から他端側まで、塗布パターンPの縦方向(図示Y方向)の辺に順次硬化処理を施す第1処理が行われる。
【0038】
また、第2硬化処理ユニット4の処理部4Aに関しては、塗布パターンPの横方向の辺に2枚の基板Sの他面側に配置した第2硬化処理ユニット4の処理部4Aの方向を合わせ、第2硬化処理ユニット4を縦方向(図示Y方向)に移動することで、基板Sの縦方向一端側から基板Sの縦方向他端側まで、塗布パターンPの横方向(図示X方向)の辺に順次硬化処理を施す第2処理が行われる。
【0039】
そして、本発明の実施形態に係る硬化処理方法は、前述した第1処理と前述した第2処理が同工程で行われ、第1硬化処理ユニット3が基板Sの一端から他端まで相対的に移動する間に、塗布パターンPの縦方向(図示Y方向)の辺だけでなく、塗布パターンPの横方向(図示X方向)の辺までも全て硬化処理することができる。これによって、塗布パターンPの縦方向の辺を全て硬化処理した後に横方向の辺を硬化処理する従来技術に比べて処理時間を大きく短縮させることができる。
【0040】
特に、塗布パターンPの硬化処理すべき縦辺の数が横辺の数に等しい場合には、前述した第1処理と前述した第2処理を同期させることが好ましい。この際には、基板Sの移動を第2硬化処理ユニット4の移動に同期させて行い、第1硬化処理ユニット3の処理部3Aの動作を、第2硬化処理ユニット4の処理部4Aの動作に同期させて行うことで、より効率的に処理を進行させることができる。
【0041】
図示の例では、第1硬化処理ユニット3の処理部3Aは、塗布パターンPの一方向(図示Y方向)全体を処理できる長さを備えており、第2硬化処理ユニット4の処理部4Aは、塗布パターンPの他方向(図示X方向)全体を処理できる長さを備えている。これによって、前述した第1処理において処理部3Aが塗布パターンPの縦方向の辺全てを硬化処理することができ、前述した第2処理では処理部4Aによって塗布パターンPの横方向の辺全てを硬化処理することができる。これによって効率的な処理を行うことが可能になる。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置及び硬化処理方法によると、直線状の処理部3A,4Aを塗布パターンPにおける各辺上に位置させて硬化処理を行うので、基板S上の塗布パターンP以外の部分に紫外線や熱などが照射されることを抑止することができる。これによって、基板S間に封止された液晶材料や有機EL素子、基板S上に形成された配線やTFT素子などが紫外線や熱などで損傷することを回避することができると共に、不要な箇所に紫外線や熱が照射されないのでエネルギーの有効利用を図ることができる。
【0043】
また、本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置及び硬化処理方法は、処理部3A,4Aの方向と塗布パターンPとのアライメント調整が可能であるので、塗布パターンPが支持部2の移動方向に対して傾斜している場合であっても、精度良く塗布パターンPのみを硬化処理することができる。
【0044】
更には、本発明の実施形態に係るシール剤の硬化処理装置及び硬化処理方法は、塗布パターンPの縦方向の辺と横方向の辺を同工程で硬化処理できるので、精度良く塗布パターンPのみを硬化処理する場合であっても、処理時間を短縮することが可能になり、シール工程全体の所要時間を短縮させることができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1:硬化処理装置,2:支持部,2A:支持面,2B:スリット開口部,
3:第1硬化処理ユニット,3A:処理部,3B:アライメント調整部,
4:第2硬化処理ユニット,4A:処理部,4B:アライメント調整部,
4C:ユニット支持部,
5:移動部,
6:制御手段,60:アライメント調整手段,61:基板移動手段,
62:第2硬化処理ユニット移動手段,63:処理部動作手段,
S:基板,P:塗布パターン,M:アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の基板を貼り合わせるシール剤を硬化処理する装置であって、
前記基板に形成されたシール剤の塗布パターンのうち一方向の辺に沿う直線状の処理部を備えた第1硬化処理ユニットと、
前記塗布パターンのうち前記一方向と交差する他方向の辺に沿う直線状の処理部を備えた第2硬化処理ユニットと、
前記処理部が前記塗布パターン上に位置するように、前記基板と前記第1硬化処理ユニットとを前記他方向に沿って前記塗布パターンの一端側から他端側まで相対的に移動させると共に、前記基板と前記第2硬化処理ユニットとを前記一方向に沿って前記塗布パターンの一端側から他端側まで相対的に移動させる移動部と、
前記処理部と前記移動部の動作をそれぞれ制御する制御手段を備え、
前記第1硬化処理ユニットを前記2枚の基板の一面側に配置し、前記第2硬化処理ユニットを前記2枚の基板の他面側に配置したことを特徴するシール剤の硬化処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記基板と前記第1硬化処理ユニットとの相対的な移動と前記基板と前記第2硬化処理ユニットとの相対的な移動を同工程で行うように、前記移動部を動作させることを特徴とする請求項1に記載されたシール剤の硬化処理装置。
【請求項3】
前記第1硬化処理ユニットの処理部は、前記塗布パターンの前記一方向全体を処理できる長さを備え、
前記第2硬化処理ユニットの処理部は、前記塗布パターンの前記他方向全体を処理できる長さを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載されたシール剤の硬化処理装置。
【請求項4】
前記シール剤は光硬化性であり、前記処理部は光透過性の前記基板を介して前記シール剤に光を照射する露光処理部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載されたシール剤の硬化処理装置。
【請求項5】
前記シール剤は熱硬化性であり、前記処理部は熱伝導性の前記基板を介して前記シール剤を加熱する加熱処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載されたシール剤の硬化処理装置。
【請求項6】
前記第1硬化処理ユニットと前記第2硬化処理ユニットのそれぞれは、前記処理部の配置方向の角度調整を行うアライメント調整部を備え、
前記制御手段は、前記基板のアライメントマークを検出した検出信号に基づいて、前記アライメント調整部を動作させて前記処理部の方向を前記塗布パターンに合わせるアライメント調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載されたシール剤の硬化処理装置。
【請求項7】
2枚の基板を貼り合わせるためのシール剤を硬化処理する方法であって、
前記シール剤は矩形状のシール領域を縦横複数並列した塗布パターンを有しており、
前記塗布パターンの縦方向の辺に前記2枚の基板の一面側に配置した第1硬化処理ユニットの直線状の処理部の方向を合わせ、前記基板と前記第1硬化処理ユニットを横方向に相対的に移動することで、前記基板の横方向一端側から他端側まで、前記塗布パターンの縦方向の辺に順次硬化処理を施す第1処理と、
前記塗布パターンの横方向の辺に前記2枚の基板の他面側に配置した第2硬化処理ユニットの直線状の処理部の方向を合わせ、前記第2硬化処理ユニットを縦方向に移動することで、前記基板の縦方向一端側から前記基板の縦方向他端側まで、前記塗布パターンの横方向の辺に順次硬化処理を施す第2処理を行うに際して、
前記第1処理と前記第2処理を同工程で行うことを特徴とするシール剤の硬化処理方法。
【請求項8】
前記第1処理又は第2処理に先立って、前記基板のアライメントマークを検出して前記処理部の方向を前記塗布パターンに合わせることを特徴とする請求項7に記載されたシール剤の硬化処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−25054(P2013−25054A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159425(P2011−159425)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】