説明

シール剥離装置及びシール剥離方法

【課題】隣接するシール同士が隙間なく台紙上に配列されたシールを一枚一枚容易に剥離する。
【解決手段】シール剥離装置は、台紙に仮着された剥離対象となるシールに吸引手段10によってそれぞれ吸着する複数の吸着部6,7,8を有するシール保持部2を備える。複数の吸着部6,7,8は、剥離対象となるシールを台紙から剥がす方向に沿って配列されている。吸着部6,7,8は、シールに吸着した状態でシール保持部2を台紙から離間するように移動させたときに、シールを台紙から剥離しようとする剥離力がそれぞれ異なるようにバネ部材6d,7d,8dを介してシール保持部2の支持構造部にそれぞれ取り付けられている。剥離力は、剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部において最も大きく、シールの剥離方向に沿って順次小さくなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール剥離装置及びシール剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙上に並べられたシールやラベルを剥離する装置が種々提案されている。例えば、帯状台紙に仮着されたラベルを吸引保持器で吸引保持することが行われている(例えば、特許文献1)。また、台紙の周囲を固定するクランプ部と台紙のシール粘着面に向かい合う位置に設けられる真空吸着部材、シールを真空吸着部材に当接する位置まで移動可能な突き上げ部材を備えたシール剥離装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【0003】
例えば、携帯電話器等の電子機器のプリント基板に、その保護シールが用いられることがある。シールの剥離動作は、保護シールをプリント基板上に供給する作業の一環として行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−33129号公報
【特許文献2】特開2002−114211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今、台紙上に仮着されるシールは、隣接して配置される他のシールとの隙間が生じないように配列されることがある。台紙に仮着されたシールは、シールの端部や、シールの周囲から徐々に台紙から引き上げるようにすると剥がれ易い。
【0006】
しかしながら、このように隣接するシール同士が隙間なく台紙上に配列されたシールを一枚一枚剥離することは、前記特許文献1や特許文献2に開示されたシール剥離装置等を用いても困難であると考えられる。すなわち、前記従来のシール剥離装置等では、剥離対象とするシール以外の隣接するシールも同時に剥がれ始めてしまうおそれがある。これでは、一枚一枚のシールを所望の場所に供給することが困難となる。
【0007】
そこで、本明細書開示のシール剥離装置及びシール剥離方法は、隣接するシール同士が隙間なく台紙上に配列されたシールを一枚一枚容易に剥離することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書開示のシール剥離装置は、台紙に仮着された剥離対象となるシールに吸引手段によってそれぞれ吸着する複数の吸着部を有するシール保持部を備え、前記複数の吸着部は、剥離対象となる前記シールを前記台紙から剥がす方向に沿って配列され、前記シールに吸着した状態で前記シール保持部を前記台紙から離間するように移動させたときに、前記シールを前記台紙から剥離しようとする剥離力がそれぞれ異なるようにバネ部材を介して前記シール保持部の支持構造部にそれぞれ取り付けられ、前記剥離力は、剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部において最も大きく、前記シールの剥離方向に沿って順次小さくなるように設定されている。
【0009】
台紙上に仮着されたシールを剥がす場合、剥離対象となるシールの角部など、シールの端部から剥がし始める。本明細書開示のシール剥離装置は、剥離力を、剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部において最も大きく、シールの剥離方向に沿って順次小さくなるように設定している。これにより、まず、シールの端部を台紙から剥がし、引き続き、当該シールを台紙から剥離するように当該シールに剥離力を作用させることができる。このようにシールの端部から徐々に剥離するように剥離力が作用するようにしたので、隣接するシール同士が隙間なく台紙上に配列されている場合であっても、対象となるシールを一枚一枚容易に剥離することができる。
【0010】
本明細書開示のシール剥離方法は、台紙に仮着された剥離対象となるシールを剥がす方向に沿って配列され、前記シールを前記台紙から剥離する剥離力が前記シールの剥離方向に沿って順次弱くなるように設定された複数の吸着部を備えたシール保持部を前記剥離対象となるシールに密着させて、前記複数の吸着部によって前記剥離対象となるシールを吸着し、保持する行程と、前記シールに前記複数の吸着部が吸着した状態で前記シール保持部を台紙から離間させるように移動させる行程と、を備える。
【0011】
シールの端部から徐々に剥離することで、一枚一枚のシールを容易に台紙から剥離することができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書開示のシール剥離装置によれば、剥離対象となるシールの剥離方向に沿って、剥離力が異なるようにしているので、隣接するシール同士が隙間なく台紙上に配列されたシールを一枚一枚容易に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例のシール剥離装置によって剥離されるシールを示す説明図である。
【図2】図2は、実施例のシール剥離装置を上方から見た状態を模式的に示す説明図である。
【図3】図3は、実施例のシール剥離装置を底面側から見た状態を模式的に示す説明図である。
【図4】図4は、図2におけるA−A線で断面としたシール剥離装置を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例のシール剥離装置のシール保持部がシールを吸着するときの動作を時系列的に示す説明図である。
【図6】図6は、実施例のシール剥離装置がシールを剥離するときの動作を時系列的に示す説明図である。
【図7】図7は、台紙から剥離されるシールの順番の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、自由長の異なるバネ材を用いた例を示す説明図である。
【図9】図9は、長さの異なるゴム部材を用いた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。
【実施例1】
【0015】
まず、図1を参照しつつ、実施例のシール剥離装置1によって剥離されるシール51について説明する。複数のシール51は、台紙50上に仮着されている。シール51は、矩形を有している。隣接するシール51同士は、隙間なく台紙50上に配列されている。図1において、シール51aがシール剥離装置1による剥離対象となる。この剥離対象となるシール51aは、矩形の四辺のうち二辺が開放された状態となっている。そして、開放された二辺が交差する角部を含む第1領域(シール端部)51a1から剥離が開始される。シール51a1は、この第1領域51a1から対角線上に第2領域51a2、第3領域51a3の三つの領域に区画される。
【0016】
図1中、参照番号51bは、シール51aに隣接するシールを示している。隣接シール51bは、その一辺をシール51aに密着させた状態で台紙50上に配置されている。
【0017】
図2は、実施例のシール剥離装置1を上方から見た状態を模式的に示す説明図である。図3は、シール剥離装置1を底面側から見た状態を模式的に示す説明図である。図4は、図2におけるA−A線で断面としたシール剥離装置1を示す説明図である。
【0018】
シール剥離装置1は、シール保持部2と、第1押圧部3、第2押圧部4とを備えている。シール保持部2は、シール51aを台紙50から剥離するときに、シール51aに吸着する部分である。第1押圧部3、第2押圧部4は、シール51aを台紙50から剥離するときに、それぞれ隣接シール51bに当接する部分である。すなわち、第1押圧部3、第2押圧部4は、剥離対象となるシール51aの周囲の領域に当接し、台紙50を押圧する押圧手段の一例である。シール保持部2、第1押圧部3、第2押圧部4は、支持構造部5に取り付けられ、支持されている。支持構造部5は、図4に示すように昇降部12に取り付けられており、支持構造部5は、アクチュエータ(図示せず)により昇降することができる。これにより、シール保持部2、第1押圧部3、第2押圧部4を台紙50に対し、接近、離間させることができる。
【0019】
第1押圧部3は、先端部に第4ゴム部材3aを備え、第4バネ部材3bを介して支持構造部5に取り付けられている。第2押圧部4は、先端部に第5ゴム部材4aを備え、第5バネ部材4bを介して支持構造部5に取り付けられている。第4バネ部材3bと第5バネ部材4aの自由長は一致している。
【0020】
図2〜図4に示すように、シール保持部2は、複数の吸着部となる第1吸着部6、第2吸着部7、第3吸着部8を有している。第1吸着部6、第2吸着部7、第3吸着部8は、図1、図2に矢示11で示す方向、すなわち、剥離対象となるシール51aを台紙51から剥がす方向に沿って配列されている。
【0021】
第1吸着部6は、吸引手段に相当する吸引ポンプ10に接続された第1筒状部材6aを備える。第1筒状部材6aの先端部には、第1ゴム部材6bが装着されている。この第1ゴム部材6bには、第1筒状部材6aと連通する吸着孔6b1が設けられている。このような第1筒状部材6aは、図4に示すように第1バネ部材6dを介してシール保持部2の支持構造部5、すなわち、シール保持部2を支持する支持構造部5に取り付けられている。第1バネ部材6dは、支持構造部5内に形成された第1バネ収容部6c内に収容されている。
【0022】
第2吸着部7は、吸引手段に相当する吸引ポンプ10に接続された第2筒状部材7aを備える。第2筒状部材7aの先端部には、第2ゴム部材7bが装着されている。この第2ゴム部材7bには、第2筒状部材7aと連通する吸着孔7b1が設けられている。このような第2筒状部材7aは、図4に示すように第2バネ部材7dを介してシール保持部2の支持構造部5、すなわち、シール保持部2を支持する支持構造部5に取り付けられている。第2バネ部材7dは、支持構造部5内に形成された第2バネ収容部7c内に収容されている。
【0023】
第3吸着部8は、吸引手段に相当する吸引ポンプ10に接続された第3筒状部材8aを備える。第3筒状部材8aの先端部には、第3ゴム部材8bが装着されている。この第3ゴム部材8bには、第3筒状部材8aと連通する吸着孔8b1が設けられている。このような第3筒状部材8aは、図4に示すように第3バネ部材8dを介してシール保持部2の支持構造部5、すなわち、シール保持部2を支持する支持構造部5に取り付けられている。第3バネ部材8dは、支持構造部5内に形成された第3バネ収容部8c内に収容されている。
【0024】
第1バネ部材6d、第2バネ部材7d及び第3バネ部材8dのバネ定数の関係について説明する。なお、第1バネ部材6d、第2バネ部材7d、第3バネ部材8dの自由長は一致している。
【0025】
支持構造部5を昇降させるアクチュエータの上昇力が、支持構造部5、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8d、第1筒状部材6a〜第3筒状部材8aを含む第1吸着部6〜第3吸着部8を経由して、シール51aを剥離する剥離力となる。
シール51aは、第1吸着部6〜第3吸着部8が発揮する剥離力が、シール51aの台紙50に対する粘着力を上回ると、台紙50から剥離される。第1吸着部6〜第3吸着部8は、これらがそれぞれシール51aに吸着した状態でシール保持部2を台紙50から離間するように移動させたときに、シール51aを台紙50から剥離しようとする剥離力が異なる関係を有する。具体的には、剥離力は、剥離が開始される第1領域(シール端部)51a1に吸着する第1吸着部6において最も大きく、シールの剥離方向に沿って第2吸着部7、第3吸着部8となるに従って、順次小さくなるように設定されている。さらにいえば、第1吸着部6が発揮する剥離力が最も早くシール51aの粘着力を上回り、次いで、第2吸着部7の剥離力、最後に第3吸着部8の剥離力がシール51aの粘着力を上回る関係とする。
【0026】
このような剥離力の大きさ、発生のタイミングの関係を実現するため、第1バネ部材6dのバネ定数が最も大きく、次いで第2バネ部材7dのバネ定数が大きい。そして、第3バネ部材8dのバネ定数が最も小さい。
【0027】
すなわち、バネ定数は、剥離が開始される第1領域(シール端部)51a1に吸着する第1吸着部6に取り付けられる第1バネ部材6dにおいて最も大きく、シール51aの剥離方向に沿って順次小さくなるように設定されている。
【0028】
このようにバネ定数を設定することにより、シール保持部2を台紙50から離間するように移動させ、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dが自由長よりも長くなると、第1吸着部6の剥離力が最も大きくなる。そして、第2吸着部7、第3吸着部8の順で剥離力が小さくなる。剥離力は、バネ定数とバネ部材の伸び量との積として算出される。このため、バネ部材の伸び量が同じであれば、剥離力は、バネ定数の大きさに比例する。
【0029】
ここで、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dの自由長は、第4バネ部材3bと第5バネ部材4aの自由長よりも短い。これにより、支持構造部5を台紙50から離間させるときに、第4バネ部材3bと第5バネ部材4aが伸び側に転じるタイミングは、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dが伸び側に転じるタイミングよりも遅れる。
【0030】
つぎに、以上のようなシール剥離装置1の動作について説明する。まず、シール51aを吸着する行程について図5を参照しつつ説明する。まず、図5(A)に示すように、シール保持部2が剥離対象となるシール51aの上方に位置し、第1押圧部3、第2押圧部4がそれぞれ隣接シール51bの上方に位置するようにシール剥離装置1の位置合わせを行う。
【0031】
そして、図5(B)に示すように、昇降部12により支持構造部5を降下させて、シール保持部2を剥離対象となるシール51aに密着させる。具体的には、第1ゴム部材6b〜第3ゴム部材8bが剥離対象となるシール51aに当接し、第4ゴム部材3a、第5ゴム部材4aがそれぞれ隣接シール51bに当接した後も支持構造部5を降下させる。これにより、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8d、さらに、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bを圧縮状態とする。このとき、吸引ポンプ10を駆動することにより、台紙50は、シール51aを介してシール保持部2に密着する。そして、吸着し、保持される。このようにシール保持部2に吸着し、保持される台紙50は、第1押圧部3、第2押圧部4にも、押し付けられる。このように、第1押圧部3、第2押圧部4は、シール保持部2の吸引動作により相対的に加圧力が増す。
【0032】
シール剥離装置1は、図5に示すようにシール保持部2によってシール51aを吸着した後は、図6に示すように剥離動作に移行する。
【0033】
図6(A)は、吸着行程が完了した状態を示している。具体的には、昇降部12によって支持構造部5が降下し、シール保持部2、第1押圧部3、第2押圧部4が台紙50に押し付けられている状態を示している。このとき、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8d、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bはいずれも自由長から圧縮された状態となっている。
【0034】
図6(A)に示す状態から支持構造部5が台紙50から離間する方向に移動すると、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8d、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bは自由長に近づく。ここで、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bの自由長は、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dの自由長よりも長い。このため、図6(B)に示すように、第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dが伸び側に転じても、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bは、圧縮状態を維持する。すなわち、剥離対象となるシール51aの周囲の領域を押圧しつつ、シール保持部2を台紙50から離間させる。これにより、吸着力に起因する剥離力を剥離対象となるシール51aに効率的に作用させることができる。
【0035】
図6(B)に示す状態からさらに支持構造部5が台紙50から離間する方向に移動すると、まず、最もバネ定数が大きい第1吸着部6において剥離力が粘着力を上回る。これにより、図6(C)に示すように、図1に示す第1領域51a1からシール51aが剥離を始める。このとき、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bは、圧縮状態を維持し、剥離対象となるシール51aの周囲の領域を押圧し続けている。
【0036】
図6(C)に示す状態からさらに支持構造部5が台紙50から離間する方向に移動すると、第2吸着部7において剥離力が粘着力を上回る。これにより、図6(D)に示すように、図1に示す第2領域51a2においてシール51aが剥離する。このとき、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bは、圧縮状態を維持し、剥離対象となるシール51aの周囲の領域を押圧し続けている。
【0037】
図6(D)に示す状態からさらに支持構造部5が台紙50から離間する方向に移動すると、第3吸着部8において剥離力が粘着力を上回る。これにより、図6(E)に示すように、図1に示す第3領域51a3においてシール51aが剥離し、シール51aを完全に台紙50から剥離することができる。このとき、第1押圧部3、第2押圧部4は、台紙50(隣接シール51b)から離れ、第4バネ部材3b、第5バネ部材4bは、自由長に復帰する。
【0038】
なお、剥離したシール51aは、吸引ポンプ50による吸引保持が維持されたまま、供給先へ移動する。そして、第1吸着部6〜第3吸着部8から空気を吹き出してシール51aを離脱させ、所望の場所へ供給する。
【0039】
このように、本実施例のシール剥離装置1によれば、剥離対象となるシール51aの剥離方向に沿って、剥離力が異なるようにしているので、隣接するシール51同士が隙間なく台紙上に配列されたシール51aを一枚一枚容易に剥離することができる。
【0040】
図7(A)に示す一枚のシール51aを剥離した後は、図7(B)に示すシール51aを剥離対象とする。すなわち、二辺が開放された状態のシール51を順次剥離対象としてシール供給作業を継続する。
【実施例2】
【0041】
つぎに、実施例2について、図8を参照しつつ説明する。実施例2が実施例1と異なる点は、実施例1の第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dの自由長が一致していたのに対し、実施例2の第1バネ部材26d〜第3バネ部材28dの自由長は異なっている。具体的には、バネ部材の自由長は、図8(A)に示すように剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部に取り付けられるバネ部材、すなわち、第1バネ部材26dが最も短い。そして、シール51aの剥離方向に沿って順次長くなる。すなわち、第1バネ部材26dよりも第2バネ部材27dの自由長が長い。そして、第3バネ部材28dの自由長が最も長い。第1バネ部材26d、第2バネ部材27d、第3バネ部材28dのバネ定数は一致している。このため、図8(B)に示すように第1吸着部6〜第3吸着部8を設置したときに、第1バネ部材26dが最も剥離力を発揮し易い。すなわち、第1バネ部材26dが最も伸び側に転じ易く、伸び量も大きくなるため、剥離力を発揮するタイミングが早く、また、その値も大きくなる。
【0042】
要は、図1に示す第1領域51a1に対応する第1吸着部6が最も早くシール51aの粘着力を越える剥離力を発揮できればよい。
【0043】
このため、例えば、図9に示すように、第1ゴム部材36bが最も厚く、第2ゴム部材37b、第3ゴム部材38bの順で薄くすることもできる。第1バネ部材6d〜第3バネ部材8dは、実施例1と共通しており、自由長は一致している。このように第1ゴム部材36b〜第3ゴム部材38bの厚みに差異を設けることにより、第3バネ部材8dを最も圧縮した状態でセットすることができる。剥離力は、伸び側に転じた後に発揮されるようになるため、初期の状態で圧縮されていれば、伸び側に転じるタイミングが遅れる。このようにゴム部材の厚みに差異を設けることにより、伸びに転じるタイミング、ひいては、剥離力が粘着力を上回るようになるタイミングに差異を設けることができる。
【0044】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…シール剥離装置 2…シール保持部 3…第1押圧部
4…第2押圧部 5…支持構造部 6…第1吸着部
6a…第1筒状部材 6b…第1ゴム部材 6b1…吸着孔
6c…第1バネ収容部 6d…第1バネ部材 7…第2吸着部
7a…第2筒状部材 7b…第2ゴム部材 7b1…吸着孔
7c…第2バネ収容部 7d…第2バネ部材 8…第3吸着部
8a…第3筒状部材 8b…第3ゴム部材 8b1…吸着孔
8c…第3バネ収容部 8d…第3バネ部材 10…吸引ポンプ
12…昇降部 50…台紙 51…シール
51a…剥離対象シール 51a1…第1領域 51a2…第2領域
51a3…第3領域 51b…隣接シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙に仮着された剥離対象となるシールに吸引手段によってそれぞれ吸着する複数の吸着部を有するシール保持部を備え、
前記複数の吸着部は、剥離対象となる前記シールを前記台紙から剥がす方向に沿って配列され、前記シールに吸着した状態で前記シール保持部を前記台紙から離間するように移動させたときに、前記シールを前記台紙から剥離しようとする剥離力がそれぞれ異なるようにバネ部材を介して前記シール保持部の支持構造部にそれぞれ取り付けられ、
前記剥離力は、剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部において最も大きく、前記シールの剥離方向に沿って順次小さくなるように設定されていることを特徴とするシール剥離装置。
【請求項2】
前記バネ部材のバネ定数は、剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部に取り付けられるバネ部材において最も大きく、シールの剥離方向に沿って順次小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のシール剥離装置。
【請求項3】
前記バネ部材の自由長は、剥離が開始されるシール端部に吸着する吸着部に取り付けられるバネ部材において最も短く、シールの剥離方向に沿って順次長くなるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシール剥離装置。
【請求項4】
前記剥離対象となるシールの周囲の領域に当接し、前記台紙を押圧する押圧手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれ一項記載のシール剥離装置。
【請求項5】
台紙に仮着された剥離対象となるシールを剥がす方向に沿って配列され、前記シールを前記台紙から剥離する剥離力が前記シールの剥離方向に沿って順次弱くなるように設定された複数の吸着部を備えたシール保持部を前記剥離対象となるシールに密着させて、前記複数の吸着部によって前記剥離対象となるシールを吸着し、保持する行程と、
前記シールに前記複数の吸着部が吸着した状態で前記シール保持部を台紙から離間させるように移動させる行程と、
を、備えることを特徴とするシール剥離方法。
【請求項6】
前記剥離対象となるシールの周囲の領域を押圧しつつ、前記シール保持部を台紙から離間させるように移動させることを特徴とする請求項5記載のシール剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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