シール用パッキン、シール治具
【課題】形状が複雑な開口面を持つ被シール体を可及的に小さい力でシール治具を圧接し、シール状態を得る。
【解決手段】
被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の被シール体と接する面に、被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、この弾性パッキンの被シール体の開口部の周縁と接触する面に形成した環状の凹溝と、この環状の凹溝の中に装着され、弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備える。
【解決手段】
被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の被シール体と接する面に、被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、この弾性パッキンの被シール体の開口部の周縁と接触する面に形成した環状の凹溝と、この環状の凹溝の中に装着され、弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は例えばエンジンブロックの洩れの有無を検査する場合に用いることができるシール用パッキン及びこのシール用パッキンを実装したシール治具に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンブロックは周知のように、少なくとも2個以上のブロック半体を結合して構成され、ブロック半体の結合によって密閉された燃焼室等を形成する。エンジンブロックの洩れ検査はブロックの形状に組み上がった状態で検査することはなく、必ずブロック半体の状態で検査を行っている。その理由はブロックとして組み上がった状態で「洩れ有り」を検出した場合、エンジンブロックを構成するブロック半体の何れに漏れの原因が存在するかが判定できないためである。
このような理由から、エンジンブロックのような複合体で構成される被検査体の洩れ検査は一般にブロック半体毎に洩れ検査を実施している。
【0003】
洩れ検査とは周知のように被検査体の開口部分をシールし、シールした状態で被検査体の内部に空気を封入し、その空気圧が一定に保たれるか否かにより洩れの有無を判定する検査方法を採る。
このため、半体の被検査体の状態で空気圧を封入するには面倒なシール治具が必要となる。
その様子を図7乃至図11を用いて簡単に説明する。図7に示す1はブロックとして完成した状態の被検査体を示す。この被検査体1は同図に示すように半体1A、1Bに分割される。ここでは分割された半体1Aと1Bを被シール体と呼ぶことにする。被シール体1A、1Bの洩れの有無を検査するには先ず図8に示すように下治具2を用意する。この下治具2は被シール体1A又は1Bの開口面を取り囲む縁(切断面)の延面形状に一致するように敷設した弾性パッキン3が装着されている。弾性パッキン3は下治具2の面に凹溝が形成され、この凹溝に弾性パッキン3が挿入されて保持される。
【0004】
被シール体1Aの開口面を取り囲む縁の部分に弾性パッキン3を位置合せし、下治具2の上に図9に示すように被シール体1Aを載置する。これにより側部に面一状の開口面が形成される。この開口面に対してシール治具4(図10)を用意し、シール治具4で側部の開口面をシールし、洩れ検査を実施する。
シール治具4でも、側部の開口面の縁の形状に従って形成した環状の凹溝を有し、この環状の凹溝に弾性パッキン5が装着され、この弾性パッキン5によって側部の開口面がシールされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように半製品の洩れ検査を行なう場合、被シール体1Aと下治具2との間に継目部分が発生し、この継目部分でシールが不完全になる不都合が生じる。つまり、弾性パッキン5は、図11に示すようにシール治具4に形成した凹溝に収納されて保持されるが、その一部はシール治具4の面からわずかに突出して保持されており、この突出部分が被シール体1Aの端面及び下治具2の端面に圧接され、その変形によってシール効果を得るものであるが、従来の弾性パッキンは軟度がJISA硬度で約50度以上約70度程の比較的硬い例えばウレタンゴムのような弾性材を用いているから、継目部では継目に形成される細い溝が塞がらず、この部分でシールが不完全になる原因となっている。図12及び図13にその様子を示す。
【0006】
図12は被シール体1Aと下治具2との間に細い溝が形成された場合を示す。また図13は被シール体1Aと下治具2との間に段差が発生した様子を示す。従来はこれらの細い溝、或は段差部分をシールすることはできなかった。また図14に示す被シール体1Aの角部Pを直接シールすることはできなかった。このためにシール治具4が必要となる。
この不都合を解消するために、従来はエアシリンダでは推力が不足するために、油圧シリンダを用いてシール治具4を駆動し、シール治具4を被シール体1Aと下治具2の端面に強力に押し付け、可及的に継目部分の細い溝乃至は段差部分を塞ぐ方法を採っている。
【0007】
このため、シール装置は油圧シリンダの推力に耐えられるように強固な構造にしなければならなくなり、シール装置の全体の製造コストは高価になる不都合が生じる。然も油圧シリンダを用いて強力に押圧力を加えた場合は、弾性パッキン5の変形が著しく、短時間で破れたり、破損する事故が起きる。更に強力に押し付けたとしても、必ずしも継目部分が必ず塞がる確率は少なく、洩れ検査の信頼性が低い欠点もある。また、シール面の不連続部分の形状によく馴染むように、軟度の低い例えばJISA硬度で1〜12度程度のゲル状のパッキンを用いることも考えられるが、ゲル状のパッキンは形状が不安定であるため、シール治具に安定して保持させておくことは困難である。然も実用したとしても、洩れ検査時に、被検査体に封入された空気圧によってパッキン自体が変形し、この変形によって被検査体の内容積が変化し、あたかも洩れが生じたような現象を発生させる欠点がある。
【0008】
この発明の目的はエアシリンダ程度の推力でも充分継目部分を塞ぐことができるシール用パッキンの構造と、このシール用パッキンを用いたシール治具を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の実施形態としては被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の上記被シール体と接する面に、被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、この弾性パッキンの被シール体の開口部の周縁と接触する面に形成した環状溝と、この環状溝の中に装着され、弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備えることを特徴とするシール用パッキンを提案する。
【0010】
この発明の第2の実施形態としては被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の被シール体と接する面に、被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、この弾性パッキンの被シール体の開口部の周縁と接触する面の一部に形成した溝と、この溝の内に装着され、弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備えることを特徴とするシール用パッキンを提案する。
【0011】
この発明の第3の実施形態としては、第2実施形態で提案したシール用パッキンにおいて、溝は弾性パッキンの環状内に複数個所に設けられ、これら複数の溝のそれぞれに低軟性パッキンを装着した構造としたシール用パッキンを提案する。
この発明の第4の実施形態としては、第2実施形態又は第3実施形態で提案したシール用パッキンにおいて、弾性パッキンに形成される凹溝の溝幅は被シール体に接触する側の溝幅より、シール治具側の凹溝が大きい形状に選定され、上記溝に入る弾性パッキンの溝の底部はシール治具側で開口されており、この開口部分から断面が凸状の低軟性パッキンを装着する構造としたシール用パッキンを提案する。
【0012】
この発明の第5の実施形態では第1の面に含まれる第1の開口面と、第1の面と交差する向の面のに含まれる第2の開口面を持つ被シール体をシールするシール治具であって、上記第1の開口面の面積より大きい面積の平面を持つ下治具の面に、第1の開口面の縁と対接し、第1の開口面をシールする第1の弾性パッキンと、この第1の弾性パッキンの一部から第2の面に沿って突出して形成され、被シール体の第2の開口面をシールする第2の弾性パッキンと、第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンとが接合する屈曲部分に第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンに跨って形成された溝と、この溝に挿入されて被シール体の角の部分と接触し、この角の部分をシールし、第1の弾性パッキン及び第2の弾性パッキンの軟度より低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備えたシール治具を提案する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によるシール用パッキンによれば従来から用いられている弾性パッキンに加えて、この弾性パッキンに形成した溝にこの弾性パッキンの軟性より低い軟性を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンを収納した構造としたから、この低軟性パッキンは小さい圧接力でも被シール部材の面の凹凸方向の形状に対して流体のようによく追従して変形することができる。この結果、被シール部材に例えば継目のような不連続部分が存在しても、その不連続部分の形状によく追従して変形することができる。この結果、エアシリンダのように油圧シリンダより小さい推力の駆動装置でも継目のような不連続部分を低軟性パッキンによりシールを完全に施すことができる。
【0014】
また、継目部分と対向して低軟性パッキンを配置し、継目部分に生じる延面の不連続部分に低軟性パッキンを押し付けるから、大きな力で押し付けなくとも低軟性パッキンは接触面の形状に容易に変形し、ほぼ完全なシール状態を得ることができる。この結果シール装置の推力はエアシリンダで充分であり、シール装置の構造を簡素化することができる。
更に、低軟性パッキンは弾性パッキンの溝に収納されているから、低軟性パッキンに洩れ検査のための空気圧が直接印加されない。この結果、洩れ検査時に被シール体に封入した空気圧によってパッキンの形状が変形することはない。つまり、低軟性パッキンを用いたことによる弊害が発生することはない。ここで使用する低軟性パッキンの硬度はJISA硬度で1〜12度程度であるが、被検査体のシール面状態が良好な場合はもっと高度が高くてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明によるシール用パッキンはシール部分の面に被シール体とシール治具との継目のような不連続部分が発生する場合に適用する実施形態が最良である。つまり、シール部分の面に形成される不連続部分に弾性パッキンに保持された低軟性パッキンを押し当て、不連続部分の凹凸に対して低軟性パッキンを充分に追従させて変形させ、ほぼ完全なシール状態を得る。
【実施例1】
【0016】
図1にこの発明の請求項1で提案するシール用パッキンを図10及び図11で説明したシール治具4に適用する実施例を示す。シール治具4の面には図10に示した洩れ検査を行なうべき被シール体1Aと下治具2の各端面で形成されるシール面の延面形状に一致した凹溝4Aが形成される(図1A)。
この凹溝4Aに図1Bに示す弾性パッキン11を挿入する。弾性パッキン11は例えばウレタン樹脂のように比較的軟度が高い例えば50度以上の弾性体で環状に形成する。弾性パッキン11の被シール体1A及びシール治具2の各端面と接触する面に溝11Cを形成する。溝11Cの形成によって溝11Cの両側には土手11Aと11Bが形成され、この土手11Aと11Bによって図1Cに示す低軟性パッキン12を支持する。低軟性パッキン12は例えばウレタンゲル或はポリエチレンゲル等で構成することができる。要はその軟度をJISA硬度で1〜12度程度の低軟度に選定すればよい。
【0017】
図2にシール治具4の完成状態を示す。シール治具4の凹溝4Aに弾性パッキン11が嵌め込まれ、弾性パッキン11の溝11Cに低軟性パッキン12を挿入するか、又は弾性パッキン11の溝11Cに予め低軟性パッキン12を嵌め込み低弾性パッキン12が嵌め込まれた弾性パッキン11をシール治具4の凹溝4Aに嵌め込んでもよい。
低軟性パッキン12は弾性パッキン11の溝11Cに嵌め込まれた状態で弾性パッキン12の土手11A、11Bよりわずかに外側に突出した状態で支持するとよい。このように、低軟性パッキン12を弾性パッキン11の土手11A、11Bより外側に突出させておくことにより、低軟性パッキン12を大きく変形させることができる。この結果、シール面の凹凸に対して低軟性パッキン12を忠実に変形させることができる。図3及び図4にその例を示す。図3に示すように被シール体1Aと下治具2との継目部分に細い溝が形成された場合でも、また図4に示すように段差が発生した場合でも、細い溝又は段差の部分に低軟性パッキン12が侵入し、充分なシール効果を得ることができる。このシール状態では低軟性パッキン12は弾性パッキン11の土手11Aと11Bで挟み付けられており、被シール体1Aの内側に封入された空気圧が低軟性パッキン12に直接印加されない。この結果、低軟性パッキン12の軟度が低く、変形が自由であっても被シール体1Aに封入した空気圧によって低軟性パッキン12が変形することはなく、洩れ検査に不都合を与えるおそれはない。
【実施例2】
【0018】
図5はこの発明の請求項2乃至4で提案するシール用パッキンの実施例を示す。この実施例では弾性パッキン11の環状部分に不連続に複数の溝11Cを形成し、この複数の溝11Cのそれぞれに低軟性パッキン12を挿入して支持させた場合を示す。溝11Cの形成位置は被シール体1Aの不連続部分が発生する位置に対応させる。
ここで溝11Cは図5Bに示すように、被シール体1Aのシール面に接触する側は溝が細い溝11C−1とし、シール治具4の溝の底面と対向する側は幅広の溝11C−2を形成する。これに伴って低軟性パッキンには幅狭な突条部12Aと、幅広の突条部12Bとを備えた凸形状とされ、弾性パッキン11の裏側から挿入して支持させる構造とする。
【0019】
この構造にすることにより、低軟性パッキン12が弾性パッキン11の溝11Cから抜け出せる事故を防止できる利点が得られる。
つまり、低軟性パッキン12は軟度が低いことから接触した相手に粘着してしまう性質を持ち、その粘着力によって低軟性パッキン12が弾性パッキン11の溝11Cからはずれてしまう事故が発生するおそれがあるが、この実施例によればこのような事故の発生を抑えることができる。
【実施例3】
【0020】
図6はこの発明の請求項5で提案するシール用パッキンの実施例を示す。この実施例では下治具2のみで被シール体1Aの二つの開口面をシールするシール治具の構造を提案するものである。ここでは被シール体1Aの一つの開口面を第1の開口面Xとし、他方の一つの開口面Yと称することにする。これら第1の開口面Xと第2の開口面Yはこの実施例では互いに直交する向に交差している場合を示す。
下治具2の面には第1の弾性パッキン11−1を装着する。この第1の弾性パッキン11−1の下治具2への装着方法は上述した実施例と同様に下治具2の平面に凹溝を形成し、この凹溝に第1の弾性パッキン11−1を装着する。第1の弾性パッキン11−1は例えば軟度が50°以上の比較的硬い例えばウレタンのような樹脂材で形成する。第1の弾性パッキン11−1の一部から第2の弾性パッキン11−2を突出させて形成する。この第2の弾性パッキン11−2の突出位置は被シール体1Aの第2開口面Yの位置と対向する位置に選定する。第2の弾性パッキン11−2の突出形状は被シール体1Aの第2の開口面Yの開口形状に一致させる。これにより第2の弾性パッキン11−2の突出端面に第2の開口面Yの周縁を接触させ、第2の開口面Yをシールする。
【0021】
ここで第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2とが接合する屈曲部分に第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2とに跨って溝を形成し、この溝に低軟性パッキン12を装着する。第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2に跨って形成する溝は第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2の形状に従って屈曲した形状とされる。従って、この屈曲した形状の溝に装着する低軟性パッキンも予め屈曲した形状に形成し、その屈曲した形状の低軟性パッキン12を溝に挿入し、低軟性パッキン12を第1の弾性パッキン11−1と第2弾性パッキン11−2の屈曲部分に支持させる。
【0022】
このように、低軟性パッキン12を屈曲部に配置することにより、被シール体1Aの角部P(図6B)の部分をシールすることができる。
従って角部Pの部分をシールできることから、この実施例によれば下治具2だけで被シール体1Aをシールすることができることになる。尚、図6では省略して示しているが、第2弾性パッキン11−2の外側の面に沿って下治具2から突片を突出形成し、第2弾性パッキン11−2が被シール体1Aの第2の開口面Yからはみ出す事故を防止する構造とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
上述したこの発明によるシール用パッキン及びシール治具を洩れ検査用に用いるものとして説明したが、この発明によるシール用パッキン及びシール治具は洩れ検査に用いる場合に限られるものでなく、他にも、例えば耐圧試験或は内容積検査等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の第1実施例を説明するための分解正面図。
【図2】図1に示したシール治具に弾性パッキンと低軟性パッキンを組み込んで構成したシール治具の構造を説明するための断面図。
【図3】図2に示したシール治具の実用状態を説明するための拡大断面図。
【図4】図3と同様の拡大断面図。
【図5】この発明の第2実施例を説明するためのAはシール用パッキンの正面図、Bは一部を断面で示す平面図、Cはシール治具の断面図。
【図6】この発明の第3の実施例を説明するためのAは下治具の平面図、Bは被シール体の正面図、Cは下治具の正面図。
【図7】被シール体の構造を説明するための斜視図。
【図8】従来技術を説明するための斜視図。
【図9】図8と同様の斜視図。
【図10】図8と同様の斜視図。
【図11】図10に示したシール治具の構造を説明するための断面図。
【図12】従来技術の欠点を説明するための拡大断面図。
【図13】図12と同様の拡大断面図。
【図14】従来技術の不都合を説明するための正面図。
【符号の説明】
【0025】
1A 被シール体 11−1 第1弾性パッキン
2 下治具 11−2 第2弾性パッキン
4 シール治具 12 低軟性パッキン
4A 凹溝 X 第1の開口面
11 弾性パッキン Y 第2の開口面
11A,11B 土手
11C 溝
【技術分野】
【0001】
この発明は例えばエンジンブロックの洩れの有無を検査する場合に用いることができるシール用パッキン及びこのシール用パッキンを実装したシール治具に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンブロックは周知のように、少なくとも2個以上のブロック半体を結合して構成され、ブロック半体の結合によって密閉された燃焼室等を形成する。エンジンブロックの洩れ検査はブロックの形状に組み上がった状態で検査することはなく、必ずブロック半体の状態で検査を行っている。その理由はブロックとして組み上がった状態で「洩れ有り」を検出した場合、エンジンブロックを構成するブロック半体の何れに漏れの原因が存在するかが判定できないためである。
このような理由から、エンジンブロックのような複合体で構成される被検査体の洩れ検査は一般にブロック半体毎に洩れ検査を実施している。
【0003】
洩れ検査とは周知のように被検査体の開口部分をシールし、シールした状態で被検査体の内部に空気を封入し、その空気圧が一定に保たれるか否かにより洩れの有無を判定する検査方法を採る。
このため、半体の被検査体の状態で空気圧を封入するには面倒なシール治具が必要となる。
その様子を図7乃至図11を用いて簡単に説明する。図7に示す1はブロックとして完成した状態の被検査体を示す。この被検査体1は同図に示すように半体1A、1Bに分割される。ここでは分割された半体1Aと1Bを被シール体と呼ぶことにする。被シール体1A、1Bの洩れの有無を検査するには先ず図8に示すように下治具2を用意する。この下治具2は被シール体1A又は1Bの開口面を取り囲む縁(切断面)の延面形状に一致するように敷設した弾性パッキン3が装着されている。弾性パッキン3は下治具2の面に凹溝が形成され、この凹溝に弾性パッキン3が挿入されて保持される。
【0004】
被シール体1Aの開口面を取り囲む縁の部分に弾性パッキン3を位置合せし、下治具2の上に図9に示すように被シール体1Aを載置する。これにより側部に面一状の開口面が形成される。この開口面に対してシール治具4(図10)を用意し、シール治具4で側部の開口面をシールし、洩れ検査を実施する。
シール治具4でも、側部の開口面の縁の形状に従って形成した環状の凹溝を有し、この環状の凹溝に弾性パッキン5が装着され、この弾性パッキン5によって側部の開口面がシールされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように半製品の洩れ検査を行なう場合、被シール体1Aと下治具2との間に継目部分が発生し、この継目部分でシールが不完全になる不都合が生じる。つまり、弾性パッキン5は、図11に示すようにシール治具4に形成した凹溝に収納されて保持されるが、その一部はシール治具4の面からわずかに突出して保持されており、この突出部分が被シール体1Aの端面及び下治具2の端面に圧接され、その変形によってシール効果を得るものであるが、従来の弾性パッキンは軟度がJISA硬度で約50度以上約70度程の比較的硬い例えばウレタンゴムのような弾性材を用いているから、継目部では継目に形成される細い溝が塞がらず、この部分でシールが不完全になる原因となっている。図12及び図13にその様子を示す。
【0006】
図12は被シール体1Aと下治具2との間に細い溝が形成された場合を示す。また図13は被シール体1Aと下治具2との間に段差が発生した様子を示す。従来はこれらの細い溝、或は段差部分をシールすることはできなかった。また図14に示す被シール体1Aの角部Pを直接シールすることはできなかった。このためにシール治具4が必要となる。
この不都合を解消するために、従来はエアシリンダでは推力が不足するために、油圧シリンダを用いてシール治具4を駆動し、シール治具4を被シール体1Aと下治具2の端面に強力に押し付け、可及的に継目部分の細い溝乃至は段差部分を塞ぐ方法を採っている。
【0007】
このため、シール装置は油圧シリンダの推力に耐えられるように強固な構造にしなければならなくなり、シール装置の全体の製造コストは高価になる不都合が生じる。然も油圧シリンダを用いて強力に押圧力を加えた場合は、弾性パッキン5の変形が著しく、短時間で破れたり、破損する事故が起きる。更に強力に押し付けたとしても、必ずしも継目部分が必ず塞がる確率は少なく、洩れ検査の信頼性が低い欠点もある。また、シール面の不連続部分の形状によく馴染むように、軟度の低い例えばJISA硬度で1〜12度程度のゲル状のパッキンを用いることも考えられるが、ゲル状のパッキンは形状が不安定であるため、シール治具に安定して保持させておくことは困難である。然も実用したとしても、洩れ検査時に、被検査体に封入された空気圧によってパッキン自体が変形し、この変形によって被検査体の内容積が変化し、あたかも洩れが生じたような現象を発生させる欠点がある。
【0008】
この発明の目的はエアシリンダ程度の推力でも充分継目部分を塞ぐことができるシール用パッキンの構造と、このシール用パッキンを用いたシール治具を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の実施形態としては被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の上記被シール体と接する面に、被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、この弾性パッキンの被シール体の開口部の周縁と接触する面に形成した環状溝と、この環状溝の中に装着され、弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備えることを特徴とするシール用パッキンを提案する。
【0010】
この発明の第2の実施形態としては被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の被シール体と接する面に、被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、この弾性パッキンの被シール体の開口部の周縁と接触する面の一部に形成した溝と、この溝の内に装着され、弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備えることを特徴とするシール用パッキンを提案する。
【0011】
この発明の第3の実施形態としては、第2実施形態で提案したシール用パッキンにおいて、溝は弾性パッキンの環状内に複数個所に設けられ、これら複数の溝のそれぞれに低軟性パッキンを装着した構造としたシール用パッキンを提案する。
この発明の第4の実施形態としては、第2実施形態又は第3実施形態で提案したシール用パッキンにおいて、弾性パッキンに形成される凹溝の溝幅は被シール体に接触する側の溝幅より、シール治具側の凹溝が大きい形状に選定され、上記溝に入る弾性パッキンの溝の底部はシール治具側で開口されており、この開口部分から断面が凸状の低軟性パッキンを装着する構造としたシール用パッキンを提案する。
【0012】
この発明の第5の実施形態では第1の面に含まれる第1の開口面と、第1の面と交差する向の面のに含まれる第2の開口面を持つ被シール体をシールするシール治具であって、上記第1の開口面の面積より大きい面積の平面を持つ下治具の面に、第1の開口面の縁と対接し、第1の開口面をシールする第1の弾性パッキンと、この第1の弾性パッキンの一部から第2の面に沿って突出して形成され、被シール体の第2の開口面をシールする第2の弾性パッキンと、第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンとが接合する屈曲部分に第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンに跨って形成された溝と、この溝に挿入されて被シール体の角の部分と接触し、この角の部分をシールし、第1の弾性パッキン及び第2の弾性パッキンの軟度より低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンとを備えたシール治具を提案する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によるシール用パッキンによれば従来から用いられている弾性パッキンに加えて、この弾性パッキンに形成した溝にこの弾性パッキンの軟性より低い軟性を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンを収納した構造としたから、この低軟性パッキンは小さい圧接力でも被シール部材の面の凹凸方向の形状に対して流体のようによく追従して変形することができる。この結果、被シール部材に例えば継目のような不連続部分が存在しても、その不連続部分の形状によく追従して変形することができる。この結果、エアシリンダのように油圧シリンダより小さい推力の駆動装置でも継目のような不連続部分を低軟性パッキンによりシールを完全に施すことができる。
【0014】
また、継目部分と対向して低軟性パッキンを配置し、継目部分に生じる延面の不連続部分に低軟性パッキンを押し付けるから、大きな力で押し付けなくとも低軟性パッキンは接触面の形状に容易に変形し、ほぼ完全なシール状態を得ることができる。この結果シール装置の推力はエアシリンダで充分であり、シール装置の構造を簡素化することができる。
更に、低軟性パッキンは弾性パッキンの溝に収納されているから、低軟性パッキンに洩れ検査のための空気圧が直接印加されない。この結果、洩れ検査時に被シール体に封入した空気圧によってパッキンの形状が変形することはない。つまり、低軟性パッキンを用いたことによる弊害が発生することはない。ここで使用する低軟性パッキンの硬度はJISA硬度で1〜12度程度であるが、被検査体のシール面状態が良好な場合はもっと高度が高くてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明によるシール用パッキンはシール部分の面に被シール体とシール治具との継目のような不連続部分が発生する場合に適用する実施形態が最良である。つまり、シール部分の面に形成される不連続部分に弾性パッキンに保持された低軟性パッキンを押し当て、不連続部分の凹凸に対して低軟性パッキンを充分に追従させて変形させ、ほぼ完全なシール状態を得る。
【実施例1】
【0016】
図1にこの発明の請求項1で提案するシール用パッキンを図10及び図11で説明したシール治具4に適用する実施例を示す。シール治具4の面には図10に示した洩れ検査を行なうべき被シール体1Aと下治具2の各端面で形成されるシール面の延面形状に一致した凹溝4Aが形成される(図1A)。
この凹溝4Aに図1Bに示す弾性パッキン11を挿入する。弾性パッキン11は例えばウレタン樹脂のように比較的軟度が高い例えば50度以上の弾性体で環状に形成する。弾性パッキン11の被シール体1A及びシール治具2の各端面と接触する面に溝11Cを形成する。溝11Cの形成によって溝11Cの両側には土手11Aと11Bが形成され、この土手11Aと11Bによって図1Cに示す低軟性パッキン12を支持する。低軟性パッキン12は例えばウレタンゲル或はポリエチレンゲル等で構成することができる。要はその軟度をJISA硬度で1〜12度程度の低軟度に選定すればよい。
【0017】
図2にシール治具4の完成状態を示す。シール治具4の凹溝4Aに弾性パッキン11が嵌め込まれ、弾性パッキン11の溝11Cに低軟性パッキン12を挿入するか、又は弾性パッキン11の溝11Cに予め低軟性パッキン12を嵌め込み低弾性パッキン12が嵌め込まれた弾性パッキン11をシール治具4の凹溝4Aに嵌め込んでもよい。
低軟性パッキン12は弾性パッキン11の溝11Cに嵌め込まれた状態で弾性パッキン12の土手11A、11Bよりわずかに外側に突出した状態で支持するとよい。このように、低軟性パッキン12を弾性パッキン11の土手11A、11Bより外側に突出させておくことにより、低軟性パッキン12を大きく変形させることができる。この結果、シール面の凹凸に対して低軟性パッキン12を忠実に変形させることができる。図3及び図4にその例を示す。図3に示すように被シール体1Aと下治具2との継目部分に細い溝が形成された場合でも、また図4に示すように段差が発生した場合でも、細い溝又は段差の部分に低軟性パッキン12が侵入し、充分なシール効果を得ることができる。このシール状態では低軟性パッキン12は弾性パッキン11の土手11Aと11Bで挟み付けられており、被シール体1Aの内側に封入された空気圧が低軟性パッキン12に直接印加されない。この結果、低軟性パッキン12の軟度が低く、変形が自由であっても被シール体1Aに封入した空気圧によって低軟性パッキン12が変形することはなく、洩れ検査に不都合を与えるおそれはない。
【実施例2】
【0018】
図5はこの発明の請求項2乃至4で提案するシール用パッキンの実施例を示す。この実施例では弾性パッキン11の環状部分に不連続に複数の溝11Cを形成し、この複数の溝11Cのそれぞれに低軟性パッキン12を挿入して支持させた場合を示す。溝11Cの形成位置は被シール体1Aの不連続部分が発生する位置に対応させる。
ここで溝11Cは図5Bに示すように、被シール体1Aのシール面に接触する側は溝が細い溝11C−1とし、シール治具4の溝の底面と対向する側は幅広の溝11C−2を形成する。これに伴って低軟性パッキンには幅狭な突条部12Aと、幅広の突条部12Bとを備えた凸形状とされ、弾性パッキン11の裏側から挿入して支持させる構造とする。
【0019】
この構造にすることにより、低軟性パッキン12が弾性パッキン11の溝11Cから抜け出せる事故を防止できる利点が得られる。
つまり、低軟性パッキン12は軟度が低いことから接触した相手に粘着してしまう性質を持ち、その粘着力によって低軟性パッキン12が弾性パッキン11の溝11Cからはずれてしまう事故が発生するおそれがあるが、この実施例によればこのような事故の発生を抑えることができる。
【実施例3】
【0020】
図6はこの発明の請求項5で提案するシール用パッキンの実施例を示す。この実施例では下治具2のみで被シール体1Aの二つの開口面をシールするシール治具の構造を提案するものである。ここでは被シール体1Aの一つの開口面を第1の開口面Xとし、他方の一つの開口面Yと称することにする。これら第1の開口面Xと第2の開口面Yはこの実施例では互いに直交する向に交差している場合を示す。
下治具2の面には第1の弾性パッキン11−1を装着する。この第1の弾性パッキン11−1の下治具2への装着方法は上述した実施例と同様に下治具2の平面に凹溝を形成し、この凹溝に第1の弾性パッキン11−1を装着する。第1の弾性パッキン11−1は例えば軟度が50°以上の比較的硬い例えばウレタンのような樹脂材で形成する。第1の弾性パッキン11−1の一部から第2の弾性パッキン11−2を突出させて形成する。この第2の弾性パッキン11−2の突出位置は被シール体1Aの第2開口面Yの位置と対向する位置に選定する。第2の弾性パッキン11−2の突出形状は被シール体1Aの第2の開口面Yの開口形状に一致させる。これにより第2の弾性パッキン11−2の突出端面に第2の開口面Yの周縁を接触させ、第2の開口面Yをシールする。
【0021】
ここで第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2とが接合する屈曲部分に第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2とに跨って溝を形成し、この溝に低軟性パッキン12を装着する。第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2に跨って形成する溝は第1の弾性パッキン11−1と第2の弾性パッキン11−2の形状に従って屈曲した形状とされる。従って、この屈曲した形状の溝に装着する低軟性パッキンも予め屈曲した形状に形成し、その屈曲した形状の低軟性パッキン12を溝に挿入し、低軟性パッキン12を第1の弾性パッキン11−1と第2弾性パッキン11−2の屈曲部分に支持させる。
【0022】
このように、低軟性パッキン12を屈曲部に配置することにより、被シール体1Aの角部P(図6B)の部分をシールすることができる。
従って角部Pの部分をシールできることから、この実施例によれば下治具2だけで被シール体1Aをシールすることができることになる。尚、図6では省略して示しているが、第2弾性パッキン11−2の外側の面に沿って下治具2から突片を突出形成し、第2弾性パッキン11−2が被シール体1Aの第2の開口面Yからはみ出す事故を防止する構造とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
上述したこの発明によるシール用パッキン及びシール治具を洩れ検査用に用いるものとして説明したが、この発明によるシール用パッキン及びシール治具は洩れ検査に用いる場合に限られるものでなく、他にも、例えば耐圧試験或は内容積検査等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の第1実施例を説明するための分解正面図。
【図2】図1に示したシール治具に弾性パッキンと低軟性パッキンを組み込んで構成したシール治具の構造を説明するための断面図。
【図3】図2に示したシール治具の実用状態を説明するための拡大断面図。
【図4】図3と同様の拡大断面図。
【図5】この発明の第2実施例を説明するためのAはシール用パッキンの正面図、Bは一部を断面で示す平面図、Cはシール治具の断面図。
【図6】この発明の第3の実施例を説明するためのAは下治具の平面図、Bは被シール体の正面図、Cは下治具の正面図。
【図7】被シール体の構造を説明するための斜視図。
【図8】従来技術を説明するための斜視図。
【図9】図8と同様の斜視図。
【図10】図8と同様の斜視図。
【図11】図10に示したシール治具の構造を説明するための断面図。
【図12】従来技術の欠点を説明するための拡大断面図。
【図13】図12と同様の拡大断面図。
【図14】従来技術の不都合を説明するための正面図。
【符号の説明】
【0025】
1A 被シール体 11−1 第1弾性パッキン
2 下治具 11−2 第2弾性パッキン
4 シール治具 12 低軟性パッキン
4A 凹溝 X 第1の開口面
11 弾性パッキン Y 第2の開口面
11A,11B 土手
11C 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の上記被シール体と接する面に、上記被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて上記被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、
この弾性パッキンの上記被シール体の開口部の周縁と接触する面に形成した環状溝と、
この環状溝の中に装着され、上記弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンと、
を備えることを特徴とするシール用パッキン。
【請求項2】
被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の上記被シール体と接する面に、上記被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて上記被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、
この弾性パッキンの上記被シール体の開口部の周縁と接触する面の一部に形成した溝と、
この溝の内に装着され、上記弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンと、
を備えることを特徴とするシール用パッキン。
【請求項3】
請求項2記載のシール用パッキンにおいて、上記溝は上記弾性パッキンの環状内に複数個所に設けられ、これら複数の溝のそれぞれに上記低軟性パッキンを装着した構造とすることを特徴とするシール用パッキン。
【請求項4】
請求項2又は3の何れかに記載のシール用パッキンにおいて、弾性パッキンに形成される上記溝の溝幅は被シール体に接触する側の溝幅よりシール治具側の溝が大きい形状に選定され、上記溝に入る弾性パッキンの溝の底部はシール治具側で開口されており、この開口部分から断面が凸状の低軟性パッキンを装着する構造としたことを特徴とするシール用パッキン。
【請求項5】
第1の面に含まれる第1の開口面と、第1の面と交差する向の面のに含まれる第2の開口面を持つ被シール体をシールするシール治具であって、
上記第1の開口面の面積より大きい面積の平面を持つ下治具の面に、上記第1の開口面の縁と対接し、上記第1の開口面をシールする第1の弾性パッキンと、
この第1の弾性パッキンの一部から上記第2の面に沿って突出して形成され、上記被シール体の第2の開口面をシールする第2の弾性パッキンと、
上記第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンとが接合する屈曲部分に第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンに跨って形成された溝と、
この溝に挿入されて上記被シール体の角の部分と接触し、この角の部分をシールし、上記第1の弾性パッキン及び第2の弾性パッキンの軟度より低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンと、
を備えた構造としたことを特徴とするシール治具。
【請求項1】
被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の上記被シール体と接する面に、上記被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて上記被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、
この弾性パッキンの上記被シール体の開口部の周縁と接触する面に形成した環状溝と、
この環状溝の中に装着され、上記弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンと、
を備えることを特徴とするシール用パッキン。
【請求項2】
被シール体の開口面に圧接され、被シール体の開口面をシールするシール治具の上記被シール体と接する面に、上記被シール体の開口部の周縁に形成される縁の延面形状に従って環状に凹溝が形成され、この環状の凹溝に装着されて上記被シール体の開口部分をシールする弾性パッキンにおいて、
この弾性パッキンの上記被シール体の開口部の周縁と接触する面の一部に形成した溝と、
この溝の内に装着され、上記弾性パッキンより低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンと、
を備えることを特徴とするシール用パッキン。
【請求項3】
請求項2記載のシール用パッキンにおいて、上記溝は上記弾性パッキンの環状内に複数個所に設けられ、これら複数の溝のそれぞれに上記低軟性パッキンを装着した構造とすることを特徴とするシール用パッキン。
【請求項4】
請求項2又は3の何れかに記載のシール用パッキンにおいて、弾性パッキンに形成される上記溝の溝幅は被シール体に接触する側の溝幅よりシール治具側の溝が大きい形状に選定され、上記溝に入る弾性パッキンの溝の底部はシール治具側で開口されており、この開口部分から断面が凸状の低軟性パッキンを装着する構造としたことを特徴とするシール用パッキン。
【請求項5】
第1の面に含まれる第1の開口面と、第1の面と交差する向の面のに含まれる第2の開口面を持つ被シール体をシールするシール治具であって、
上記第1の開口面の面積より大きい面積の平面を持つ下治具の面に、上記第1の開口面の縁と対接し、上記第1の開口面をシールする第1の弾性パッキンと、
この第1の弾性パッキンの一部から上記第2の面に沿って突出して形成され、上記被シール体の第2の開口面をシールする第2の弾性パッキンと、
上記第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンとが接合する屈曲部分に第1の弾性パッキンと第2の弾性パッキンに跨って形成された溝と、
この溝に挿入されて上記被シール体の角の部分と接触し、この角の部分をシールし、上記第1の弾性パッキン及び第2の弾性パッキンの軟度より低い軟度を持つ弾性体で形成した低軟性パッキンと、
を備えた構造としたことを特徴とするシール治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−194413(P2006−194413A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9203(P2005−9203)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000130178)株式会社コスモ計器 (10)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000130178)株式会社コスモ計器 (10)
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