説明

シール用ホットメルト組成物

【課題】太陽電池、窓材などのガラスとアルミニウム材などとの間の密封において両者間の膨張係数が大きく異なるために頻発するガラスの破損を回避するための塗布充填性、耐熱性、接着性能に優れたシール材の提供。
【解決手段】塗布充填性、耐熱性、接着性能があり、しかも弾性のあるスチレン系ブロツクポリマーとブチルゴムとを少なくとも含有する特定の溶融粘度と、耐熱クリープ範囲のシール用ホットメルト組成物により、前記のような課題をできた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシール用ホットメルト組成物に関するものであり、詳しくはガラスなどと金属製枠など異種材料間の接着性に優れ、塗布性、耐熱性並びに弾性などに優れたシール用ホットメルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト系の止水シール剤としては、ペール管内に置かれたブチルゴム系のホットメルト系シール剤の表面部分を溶融させ、加圧しながら外部に吐出させるバルクメルターを用いて塗工シールするシール材一般に使用されているが、使用済みの廃ぺール缶が産業廃棄物となる、無機フィラーを多量に含有するためにギアポンプ内部を摩耗させるなど塗工装置への負荷が大きいことから塗布作業性が悪く、更に耐熱性や接着性能も厳しくなっている市場の要求に対し十分に対応できていないという問題がある。
【0003】
ガラスなど破損しやすい被着体とその他の被着体などとの間にシール材が充填された場合、被着体間の膨張係数の違いにより大きな応力が発生しやすく、ことに被着体のサイズが大きいと温度変化が急激な場合などには発生する歪も大きくなる。ところがシール材が応力を吸収できない際には、ガラスなど被着体が破損してしまうという問題がある。
【0004】
例えば、太陽電池、窓材などではガラスとアルミニウム材などとの間の密封のためにシール材が充填されて仕上げられた場合、両者間の膨張係数が大きく異なるためガラス板の破損が起きていた。このような割れ易いガラス板の破損を回避するため両者の温度による寸法変化の差による応力を吸収できるシール材が求められる。
【0005】
当然、夏季の高い温度においてもシール材のはみ出しなどの顕著な変形などが生じないことが要求され、耐熱性が求められる。特に太陽電池パネルなど重量が大きい製品を船舶で運搬した際などに問題となっており、改善が必要となっている。
【0006】
ところが、通常の場合ではシール材の耐熱性を向上させると硬くなってしまい相反して耐寒性が低下することから、破損しやすいガラス板などでは割れが抑制できなくなるという問題がある。
【特許文献1】特開平4−110381号公報
【特許文献2】特開平9−193865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような課題を解決すべく研究開発した結果なされたものであり、従来のホットメルト型シール材の欠点を改良したものであって、塗布充填性、耐熱性、接着性能があり、しかも弾性があり、タンクタイプのホットメルトアプリケーターでも安定塗工が可能なシール用ホットメルト組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、少なくともスチレン系ブロック共重合体、ブチルゴムを含有し、溶融粘度が10Pa.s/180℃〜50Pa.s/230℃、下記(1)に記載の試験方法による耐熱クリープ試験での100℃におけるクリープが10mm未満である塗布充填性、耐熱性、耐寒性並びに弾性に優れたシール用ホッメルト組成物である。
(1)垂直に支持したアルミニウム板に接着面が10mm角の直方体で、重量が1gとなるホットメルトを垂直に立てた被着材との界面破壊が生じないように接着し、100℃雰囲気下で24時間静置した際の垂直方向の変異(mm)をクリープとして評価する。
−20℃での弾性率が150MPa〜50MPaである塗布充填性、耐熱性、耐寒性並びに弾性に優れたシール用ホッメルト組成物は さらに 大型或いは温度による寸法変化の差による応力が大きいものを吸収できるシール用ホッメルト組成を完成することができた。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、スチレンブロックコポリマー、ブチルゴムを含み、上記の条件でのホットメルト組成物で、タンクタイプのホットメルトアプリケーターでも扱え、耐熱性を有し、幅広い用途に使えることができ、さらに −20℃での弾性率が150MPa〜50MPaの条件では太陽電池等の大型で、しかも線膨張率が異なる異種材料間のシール用ホッメルト組成物として適応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係わるホットメルト組成物とその溶融粘度、弾性率、特性と配合される材料などについて説明する。
本発明の特徴として タンクタイプのホットメルトアプリケーターでの安定塗工ができことにある。シール型ホットメルトとして適う溶融粘度は10rpmでの10Pa.s/180℃〜50Pa.s/230℃であり、上限を超えると 耐熱性の得られるものは得られるが、短時間でタンク内での劣化が起こり、連続使用できない。また 下限 未満では 通常使用においてのシール性能も維持することができない。前記下限として 補うものとして、耐熱クリープ試験方法による100℃でのクリープを行う。これは10mm未満では100℃でのシール性能を維持できるものである。また スチレンブロックコポリマー、ブチルゴムを含むホットメルト組成物であり、下記の配合に従えば 通常のシール性能は十分なものとなる。更なる特徴としてホットメルト組成物が、−20℃での弾性率が150MPa〜50MPaがあり、本発明では −20℃での弾性率により、使用条件を模した促進試験や、大型の対象物にも対応できるものであり、150MPa以下であれば、たとえば 2mサイズでも異種材料間の応力を緩和でき、ガラスの破損や気密性を損なうことがなく、50MPa以上であれば、材料の自重、変位による気密性損失、外観不良もない。
【0011】
以下に配合材料等を説明する。
ブチルゴムはシール用ホットメルト組成物にシール性、耐候性、耐水性、耐熱性、衝撃吸収性などの付与を目的に配合されるもので、ムーニー粘度が20〜90であって、不飽和度0.5〜5.0程度ものが使用に供されるが日本ブチル株式会社の065など市販されている公知の物を用いることができる。
【0012】
スチレン系ブロック共重合体はシール材に弾性、凝集力と基材への密着性などを確保するために配合されるものであって、弾性、凝集力を確保するためには平均分子量が30000〜500000のものが適合している。
【0013】
その具体例としてSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン系ブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系ブロック共重合体)、SEB(スチレン−エチレン−ブチレン系ブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ブロック共重合体)、SEP(スチレン−エチレン−プロピレン系ブロック共重合体)SIBS(スチレン−イソブチレン−スチレン系ブロック共重合体)などが挙げられる。これらうちでも、SEBSが凝集力、密着力の点で好ましく、単独若しくは他のスチレン系ブロック共重合体と混合して使用することができる。SEBSの組成については、ポリスチレン/ポリオレフィンの配合比が、10/90から40/60までのものが耐熱性及び弾性率の点から望ましい。10/90以下では耐熱性が低くなり好ましくなく、40/60を越えると弾性が低くなる、硬くなるなどの問題が生じるため好ましくない。市販品としてはシェル化学社製のクレイトンG、クラレ社製のセプトン等がある。
【0014】
ブチルゴムとスチレン系ブロック共重合体の配合量は、それぞれシール用ホットメルト全体に対して10〜50重量%、2〜30重量%の範囲で選択することが溶融粘度、耐熱性の点から好ましい。各々、この配合量に満たないと十分な弾性が得られず、多すぎれば溶融粘度が増大するために塗工性が得られない。また塗工量が多くなる大きな製品や速いラインスピードでの使用の際、ホットメルトの供給能力を十分に維持するためには溶融粘度を下げる必要があるが、塗工温度を上げすぎるとホットメルトがタンク内で劣化し、製品の品質を低下させる懸念がある。このことからブチルゴムとスチレン系ブロック共重合体の配合量をむやみに増やすことは好ましくなく、また少なくしすぎれば耐熱性や弾性が低下し、シール剤としての性能を維持できなくなる。このため一般的なアプリケーターを用い、ホットメルトの極端な劣化の懸念が生じない温度での大型被着剤への塗工を考慮すると、ブチルゴムとスチレン系ブロック共重合体の配合量は、それぞれシール用ホットメルト全体に対して20〜35重量%、3〜15重量%の範囲で選択することが好ましい。またブチルゴムとスチレン系ブロック共重合体以外に、粘着性の付与、向上を目的としたテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂およびこれらの変性樹脂、水素添加樹脂などの粘着付与樹脂、溶融時の流動性や非粘着性のコントロールなどを目的としたアタクチックポリプロピレン、非晶性ポリアルファオレフィン、パラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィンオイルやナフテンオイルなどのオイル、液状ポリブタジエンや液状ポリブテンなどの液状ポリマーなどが配合される。
【0015】
また、耐熱性、流動性並びに充填性の調整などを目的として、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなど一般的に使用される充填材が配合されてもよい。あるいは更に、これら充填材の溶融時の沈降防止あるいは寸法変化の抑制や断熱性の向上目的でシラスバルーン、ガラス発泡体など中空状充填材が配合されてもよい。更にアミノ系、ビニル系、エポキシ系などのシランカップリング剤を配合することで、ガラス、金属など被着体に対する密着性を大きく改善することができる。
【0016】
特に耐熱老化性の求められるシール用途向けには、酸化防止剤が適宜配合される。
酸化防止剤としては、銅系酸化防止剤、銅塩系酸化防止剤、ハロゲン化銅系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、芳香族アミン、キレート化剤からなる金属不活性化剤等から選ばれるものが使用され、好ましくはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤の組み合わせの使用が粘度保持率、気密性能保持の点から望ましい。
【0017】
フェノール系酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2−メチル−6−t−ブチルフェノール誘導体、オクタデシル3(3、5−ジブチル−4−ビトロキシフェニル)プロピオネート、4,4−ブチリデン−ビス(6―t―ブチル−m−クレゾール)、ペンタエリスリチル・テトラキス{3−(3、5―ジ―t―ブチル―4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2{1−(2―ヒドロキシ―3、5―ジ−t−ペンチルフェニル)−エチル}−4、6ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどがある。
【0018】
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトラビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、ドステアリルペンタンエリスリトールジホスファイト、リン酸2水素ナトリュウム、リン酸1水素2ナトリュウムなとが挙げられる。
【0019】
イオウ系酸化防止剤としては、3,3−チオビスプロピオン酸ジドデシルエステル、3,3−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステル、ペンタエリスリトールテトラキス−(3−ラウリルプロピオネート)などが挙げられる。
【0020】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としてはビス(2、2、6、6―テトラメチルー4―ピペリジル)セバケート、ビス(1、2、2、6、6―ペンタメチルー4―ピペリジル)セバケート、1、2、3、4―テトラキス(2、2、6、6)テトラメチルー4ーピペリジルオキシカルボニル)ブタン、コハク酸ジメチルー1―(2―ヒドロキシルエチル)―4―ヒドロキシ―2、2、6、6―テトラメチルピペリジン重縮合体、1―(3、5、―ジーt―ブチルー4―ヒドロキシフェニル)―1、1―ビス(2、2、6、6―テトラメチルー4―ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、N、N―ビス(3―アミノプロピル)エチレンジアミン、4―ベンゾイルオキシー2、2、6、6―テトラメチルピペリジン、ビス(オクチロンー2、2、6、6―テトラメチルー4―ピペリジル)セバケートなどが挙げられる。これらは単独で使用されてもよいが、併用されても構わない。
【0021】
本発明になるシール用ホットメルト組成物は上記の各配合材料をバンバリーミキサー、加熱ニーダー、1軸ないし2軸エクストルーダーなどで加熱しながら混練りすることにより調製することができる。
このように加熱下において混練されたものは押出し機により紐状、異形状などに成型されたり、型に鋳込まれて各形状に成型されるなどしたのち、使用時に加熱、溶融してシール材として塗布充填される。
また、加熱下に混練溶融されたものが目的とするシール位置に直接、塗布充填することもできる。
【0022】
本発明になるシール用ホットメルト組成物は、ガラス板と枠体の接続部のシール、例えば建築用窓材におけるアルミニウムサッシュとガラス板の接続部、車両における車体の金属開口部とガラス板との接続部あるいは太陽電池におけるアルミニウム製、ステンレス製などの枠体とガラス板の接続部等のシールに好適である。
【0023】
本発明になるシール用ホットメルト組成物を各種接続部に塗布、充填する方法は、例えば枠体とガラス板などの接続部や組立て部品の接続部等に塗布、充填する方法、あるいは枠体や部品の片側組み付け部の周縁に塗布しておき、取り付け直前あるいは組み立て直前に直接若しくは再加熱したのち、ガラス板やその他の部品をシール用ホットメルト組成物の塗布された周縁に当接させて接続させる方法などが採用できる。
従って、各種製品の組立工場において塗布する加工手順のほか、他の工場で1部品に塗布したものを搬入し、直接若しくは再加熱の上で他の部品を塗布した部分に当接させて組み立てる加工手順も採用できる。
【0024】
本発明になるシール用ホットメルト組成物の塗布充填にはハンドガン式、ブロック溶融式、バルク式およびフォーム式などのアプリケーター設備が使用され、そのアプリケーター設備の具体例として、ノードソン製バルクメルターBM−505や同社製のタンク内で溶融させたものを塗布するタンク型アプリケーターMX−4412などの市販品が挙げられる。
【0025】
また、工場等で加工部材を大量に生産する場合、シール用ホットメルト組成物の塗布充填装置の吐出部を数値制御式産業用ロボットなどに取付れば、複雑な形状のものに対してもスピーディーに塗布可能で、大幅な生産効率の向上が期待できる。
【0026】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例、比較例
実施例、比較例のシール用ホットメルト組成物を次のように製造した。なお、表中の配合数値は重量部を示すもので、単に部として記載する。
ブチルゴムとして、不飽和度0.8%のブチルゴム(日本ブチル製、ブチル065)、スチレン系ブロック共重合体としてSEBS(クラレ製、セプトン2063、平均分子量)、粘着付与剤として水素添加石油樹脂(トーネックス製、エスコレッツ235E、融点125℃)、液状樹脂としてポリブテン(日本石油製、HV−300、平均分子量1400)、WAXとしてポリオレフィンワックス(三洋化成工業製、ビスコール550−P、融点152℃)、シランカップリング剤として1,3−ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(チッソ製、以下APDSと略称する)、熱老化防止剤としてフェノール系酸化防止剤のスミライザーGA-80(住友化学工業(株)製 CAS No 90498−90−1/3,9−bis[2−〔 3−(3−tert−butyl−4−hydoroxy−5−methylphenyl)propionyloxy〕−1、1−dimethylethyl]−2、4、8、10−tetraoxaspiro[5・5]undecane、リン系酸化防止剤のイルガフォス168(チバガイギー製 CAS No 31570−04−4/tris(2、4−di−tert−butylphenyl)phosphide)、などを配合し、シグマブレイド型ニーダーで加熱混合して実施例、比較例のシール用ホットメルト組成物とした。
【0027】
実施例、比較例のシール用ホットメルト組成物のクリープ(耐熱性)、アルミニウムフレームにガラス板を接合した試験片の強制破壊した際の破壊状態及びサイクル試験の評価などの結果は表1、表2の通りであつた。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
前記の実施例、比較例の物性評価は以下の方法によって行った。
1.弾性率(MPa)
レオロジ(株)製 「FT−レオスペクトラ DVE−V4」の圧縮モードにて測定を実施した。試料寸法は厚み2mm×5mm×5mm、厚み方向に圧縮を行い、測定は−70℃より開始し、昇温速度は1℃/minとする。
2.粘度 (Pa.s)
ブルックフィールド社製サーモゼルシステム ブルックフィールド社のデジタル粘度計(型式:DVI−I+)、サーモコントローラー(型式:75)、サーモコンテナー(HT−60DP)らからなる同社のサーモゼルシステムを用い、スピンドルはNo.29、回転速度は10rpmとする。ホットメルトの加熱開始10分後にスピンドルを挿入し、さらに10分経過後に測定を開始する。測定値はスピンドル回転開始から20分後の値とする。
3.クリープ(mm)
垂直に支持したアルミニウム板(3mm厚)に被試験体が接着面が10mm角の直方体で、重量が1gとなるホットメルトを垂直に立てた金属面の被着材との界面破壊が生じないように接着し、100℃雰囲気下で24時間静置した際の変異(mm)をクリープとして評価する。なお 試験において 金属面との間で界面破壊が起きないためには、被試験材が、変形しない程度に加温し、金属面と接着をする。図1に 試験前と試験後の正面・側面イメージを示し、クリープ値を図示した。符号4は試験前の最下部(支持板に)と符号5試験後の最下部(普通はアルミニウム板と離れた部位)の垂直差異をクリープとする。
4.破壊状態
厚み1mm、溝幅5mm×溝高さ5mm×長さ50mmの長さ方向の断面形状が略U形のアルミニウム製フレームに200℃で溶融したシール用ホットメルト組成物を充填し、冷却・固化後に100℃で10分間再加熱し、30秒以内に厚み3mm×幅25mm×高さ50mmのガラス片を厚み方向に該溝内に3mmまで挿入し、冷却して試験片とする。組み付け後に23℃雰囲気下で3日間養生を行い、引張速度mm/minにて強制破壊を行って破壊状態を確認する。cf:凝集破壊 界面での破壊がない状態を100%と表す。
5.ガラス割れ
長さ方向の断面形状が略U形であり、厚み1mm、溝幅5mm×溝高さ5mm、長さ方向の底部が392mm、長さ方向の上部が387mmのアルミニウムフレームと、厚み、溝幅と溝高さが同一で上部が262mm、底部が257mmのアルミニウムフレームを対向して置き、2本のアルミニウムフレームの該溝に200℃で溶融したホットメルトを充填し、冷却・固化させる。更に100℃にて10分間再加熱した後、30秒以内に厚み3mm×縦390mm×横260mmの長方形のガラス板の各辺が深さ3mmまで溝に挿入されるように組み付け、治具にてフレームを拘束する。
3日間養生した後、−50℃1時間、110℃1時間を1サイクルとする冷熱サイクルを50サイクル実施し、ガラスが破損する場合は×、ガラスが破損しなければ○とした。
ただし110℃加熱時にホットメルトがアルミニウムフレームより流出した場合はNGとして試験を中断した。図2に上記フレームのイメージを示す。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明になるシール用ホットメルト組成物は弾性があり、塗布性並びに耐熱性に優れ、シールされるガラス、金属などからなる部材への密着性、シール性が良好であるため、外気に接し大きなサイズで使用される場所、例えば太陽電池、建築用並びに車両、船舶などの窓材、などの用途の大いに利用できる。ことに大きいサイズのガラス板がアルミニウム枠などに装着される場合には、両者の膨張係数の違いによる寸法変化から生じる応力を吸収することから、ガラスの破損を回避することが可能になり、これらの用途に安心して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】クリープ試験説明図である。
【図2】ガラス割れのフレーム説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 アルミニウム板
2 被試験体
3 垂直変異量
4 試験前被試験材最下部想像線
5 試験後被試験材最下部想像線
6 板ガラス
7 金属フレーム
8 上部長さ 指示線
9 底部長さ 指示線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともスチレンブロックコポリマー、ブチルゴムを含むホットメルト組成物であって、10rpmでの溶融粘度が10Pa.s/180℃〜50Pa.s/230℃、下記(1)に記載する測定方法による耐熱クリープ試験方法による100℃でのクリープが10mm未満であることを特徴とするシール用ホットメルト組成物。
(1)垂直に支持したアルミニウム板に接着面が10mm角の直方体で、重量が1gとなるホットメルトを垂直に立てた被着材との界面破壊が生じないように接着し、100℃雰囲気下で24時間静置した際の垂直方向の変異(mm)をクリープとして評価する。
【請求項2】
請求項1記載のホットメルト組成物において −20℃での弾性率が150MPa〜50MPaであることを特徴とするガラスシール用ホットメルト組成物。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−290943(P2006−290943A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110178(P2005−110178)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】