説明

ジアゾ複写材料

【課題】 均一な感光層を形成することができ、地合に優れ、しかも長期間にわたって良質の画像を維持することのできるジアゾ複写材料を提供すること。
【解決手段】 支持体上に、プレコート層を介して、ジアゾ化合物及びカップラーからなる感光層を形成したジアゾ複写材料であって、該プレコート層に水溶性加工澱粉を含有させたことを特徴とするジアゾ複写材料。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジアゾ複写材料に関し、さらに詳しくは、均一な感光層を形成することができ、画像の均一性、滑らかさ及び緻密性(以下、地合という)に優れ、しかも長期間にわたって良質の画像を維持することのできるジアゾ複写材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジアゾ複写材料は、一般に、上質紙、中質紙等からなる支持体上に、プレコート層を形成し、その上にジアゾ化合物とカップラーとを主剤とする感光層を形成してなるものである。プレコート層は、支持体への感光層形成液の浸透を防止すると共に、支持体表面を平滑にし、感光層形成液の均一な塗布と画像濃度、鮮明度等を向上させることを企図して形成されるものである。このプレコート層の材料としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、生澱粉(コーンスターチ、タピオカスターチ、ポテトスターチ等)のような水溶性物質や、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルのような疎水性樹脂が用いられている。しかしながら、前者の水溶性物質は、塗布液の増粘度化が生じ、使用量が限定されると共に、ジアゾ感光層形成液の浸透が不均一になり、得られる画像はムラが多くなるという欠点があった。また、生澱粉の場合は、溶解度が低く、また、粘度が大幅に上昇するために、実用に供されるようなものではなかった。後者の疎水性樹脂の場合には、得られるジアゾ複写材料のアゾ染料は、光や空気により酸化分解が促進され、その結果、複写物の画像部の退色が著しく、画像濃度が低下して画像色調が変化し、コピーが見難いものとるという欠点を有していた。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来の欠点を克服し、均一な感光層を形成することができ、地合に優れ、しかも長期間にわたって良質の画像を維持することのできるジアゾ複写材料を提供することをその課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、プレコート層に着目して鋭意検討を重ねた結果、プレコート層に特定の澱粉を含有させることによって、均一な感光層を形成することができ、地合に優れ、しかも長期間にわたって良質の画像を維持することのできるジアゾ複写材料とすることができるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。すなわち、本発明によれば、支持体上に、プレコート層を介して、ジアゾ化合物及びカップラーからなる感光層を形成したジアゾ複写材料であって、該プレコート層に水溶性加工澱粉を含有させたことを特徴とするジアゾ複写材料が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、支持体上に、プレコート層を介して、ジアゾ化合物及びカップラーからなる感光層を形成したジアゾ複写材料であって、該プレコート層に水溶性加工澱粉を含有させたことを特徴とするジアゾ複写材料である。支持体としては、上質紙、中質紙の印刷用紙、塗工印刷用紙、情報用紙等を挙げることができ、その他、プラスチックフィルムや合成紙等も使用できる。
【0006】本発明においては、この支持体上にプレコート層が形成され、このプレコート層に水溶性加工澱粉を含有させたことを特徴とするものである。プレコート層は、画像補強剤としての無定形多孔質シリカ、カオリン、タルク等、滑剤としてのポリエチレンワックス、カルナバロウ等、その他の添加剤としての尿素、チオ尿素、着色染料を主材とする層である。水溶性加工澱粉としては、酵素分解澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カチオン澱粉、リン酸澱粉又は酢酸澱粉を好ましいものとして挙げることができる。ここに、酵素分解澱粉とは、生澱粉をα−アミラーゼによって分解、変性した澱粉をいう。酸化澱粉とは、生澱粉を酸化剤によって酸化、変性した澱粉をいう。ヒドロキシアルキル澱粉とは、生澱粉とアルキレンオキシドとの反応によって得られる澱粉をいう。カチオン澱粉とは、澱粉分子中に1、2、3級アルキルアミン又は4級アンモニウム塩を導入し、陽性に荷電した澱粉をいう。リン酸澱粉とは、生澱粉にオルトリン酸又はポリリン酸と尿素とを混合し加熱して変性(エステル化)した澱粉をいう。酢酸澱粉とは、生澱粉に酢酸を混合し加熱して変性(エステル化)した澱粉をいう。これら水溶性加工澱粉は、その水に対する溶解度が、重量基準で3%以上であり、5%水溶液の粘度が100mPa's以下であるものが好適である。
【0007】また、プレコート層は、次の(A)、(B)、(C)のいずれかを含有するものがより好ましい。
(A)水溶性加工澱粉及び無定形多孔質シリカ。
(B)水溶性加工澱粉並びにポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及び塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種(以下、疎水性樹脂という)。
(C)水溶性加工澱粉、無定形多孔質シリカ及び疎水性樹脂。
水溶性加工澱粉に対し、生澱粉(コーンスターチ、タピオカスターチ、ポテトスターチ、ライススターチ等)は、水に対する溶解度が低く、また粘度がきわめて高いため、液が糊状化したり、十分な成膜性が得られないため、本発明には使用し得ないものである。
【0008】無定形多孔質シリカとしては、一般にホワイトカ−ボンと指称される粉末シリカやコロイダルシリカ等が挙げられる。
【0009】プレコート層に対する水溶性加工澱粉の配合量は、重量基準で通常は、1〜5%、好ましくは、2〜4%である。また、上記(A)の場合、プレコート層に対する水溶性加工澱粉の配合量は、重量基準で通常は、1〜10%、好ましくは、2〜5%であり、無定形多孔質シリカの配合量は、通常は、0.1〜10%、好ましくは、0.5〜5%である。上記(B)の場合、プレコート層に対する水溶性加工澱粉の配合量は、重量基準で通常は、0.1〜5%、好ましくは、0.5〜2%であり、疎水性樹脂の配合量は、通常は、0.1〜10%、好ましくは、0.5〜5%である。上記(C)の場合、プレコート層に対する水溶性加工澱粉の配合量は、重量基準で通常は、0.1〜5%、好ましくは、0.5〜2%であり、無定形多孔質シリカの配合量は、通常は、0.1〜10%、好ましくは、0.5〜5%であり、疎水性樹脂の配合量は、通常は、0.1〜10%、好ましくは、0.5〜5%である。
【0010】プレコート層の塗工量は、乾燥後、0.5〜4.0g/m2の範囲とすることが望ましい。塗工量が0.5g/m2未満では、支持体を均一に被覆することができず、ジアゾ感光層の浸透ムラが生じ、地合を低下させることがある。また、4.0g/m2を超える場合は、ジアゾ感光液のプレコート層への浸透が増加するため、感光液の浸透ムラが発生すると共に、感度の低下を引き起こすことがある。プレコート層には、一般のジアゾ複写材料で使用されているポリエチレン系ワワックス、カルナバロウ等の滑剤や着色剤、その他の助剤を適宜、配合してもよい。
【0011】次いで、このプレコート層上に、公知の手段で感光層が形成されジアゾ複写材料が得られる。感光層は、ジアゾ化合物とカップラーとを主材とするものである。本発明で使用されるジアゾ化合物は、一般式ArN2+-(式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、、ArN2+はジアゾニウムカチオンを示し、X-は酸アニオンを示す。)で表される化合物である。ジアゾ化合物としては、例えば、4−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−ジエチルアニリン、4−ジアゾ−N,N−メチルヒドロキシエチルアニリン、4−ジアゾフェニルモルホリン、4−ジアゾ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジメトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルモルホリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−エチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N,N−ジブチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ−N−ベンジル−N−オキシエチルアニリン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシフェニルピペラジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシフェニルピロリジン、4−ジアゾ−2,5−ジプロポキシフェニルピペリジン、4−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−ジアゾ−1−ベンゾイルアミノ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−クロルベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メトキシベンゾイルアミノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メチルシベンゾイルアミノ)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェニルメルカプト−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−クロルフェニルメルカプト)−2,5−ジメトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−トルイルメルカプト)−2,5−ジエトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(3'−メトキシフェニルメルカプト)−2,5−ジプロポキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(2'−トルイルメルカプト)−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−フェノキシ−2,5−ジブトキシベンゼン、4−ジアゾ−1−(4'−メトキシフェノキシ)−2,5−ジエトキシベンゼンなどの塩化物の塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化錫等の複塩、および前記ジアゾの硫酸、ヘキサフルオロリン酸、4フッ化ホウ素酸などの無機酸の塩等を挙げることができる。
【0012】カップラーは、ジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するもので、カルボニル基の隣に活性メチレン基を有する化合物フェノール誘導体、ナフトール誘導体等を挙げることができる。例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N,N−ジメチルアミノモルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシナフタレン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、ベンゾイルアセトアニリド、3−ヒドロキシシアノアセトアニリド、パラスルホアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。これらのカップラーは単独で用いてもよく、2種以上を用いて任意の色相を得ることもできる。
【0013】本発明においては、上記の発色成分の他に、通常のジアゾ感光層に用いられる各種添加物、保存性向上剤、画像濃度補強剤、現像促進剤、溶解剤、酸安定剤等を用いてもよい。保存性向上剤としては、ナフタレン−モノスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−ジスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−トリスルホン酸ナトリウム、スルホサリチル酸等の芳香族スルフォン酸塩、硫酸カドミウム、硫酸マグネシウム、塩化カドミウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の金属塩を、画像濃度補強剤としては、コロイダルシリカ、無定形シリカ微粉末等を、現像促進剤としては、グリコール類、グリコールエーテル類等の多価アルコール及びその誘導体等を、溶解剤としては、カフェイン、テオフィリンやエタノール、イソプロパノール等のアルコール類等を、酸安定剤としては、クエン酸、酒石酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を挙げることができる。その他にサポニンを少量添加することもできる。なお、支持体裏面に、ジアゾ複写材料のカール等を調節するために、バックコート層を形成することができ、この場合、公知の材料を用いることができる。
【0014】このようにして作製された本発明のジアゾ複写材料は、アンモニアガスを使用した乾式現像法、アルカリ性有機溶剤を使用した半乾式現像法(ジアゾ複写材料への塗布量が5g/m2以下と微量な現像法)等により顕像化される。
【0015】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。なお、「部」、「%」とあるのはいずれも重量基準である。
実施例1ジアゾ複写用白色原紙(79g/m2)上に、酸化澱粉(日澱化学社製)5%水溶液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量2.0g/m2のプレコート層を形成した。このプレコート層の上に、下記組成からなるジアゾ感光層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量0.6g/m2の感光層を形成してジアゾ複写材料を得た。
〔感光層液組成〕
4-ジメチルアミノベンゼンジアゾニウムクロライド ・1/2塩化亜鉛 0.5部 2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルフォン酸ソーダ 2部 クエン酸 1.5部 チオ尿素 3部 ジエチレングリコール 2部 塩化亜鉛 3部 サポニン 0.1部 コロイダルシリカ 1部 水 87部
【0016】実施例2実施例1と同様の原紙上に、下記組成からなるプレコート層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量3.0g/m2のプレコート層を形成した。
〔プレコート層液組成〕
酸化澱粉(ホーネン社製SP−1) 3部 無定形シリカ粉末(シオノギ製FPS) 2部このプレコート層の上に、実施例1の感光層液からコロイダルシリカを除外した以外は実施例1同様にして、塗布、乾燥し、付着量0.6g/m2の感光層を形成してジアゾ複写材料を得た。
【0017】実施例3下記組成からなるプレコート層を実施例1と同様にして塗布、乾燥し、付着量1.7g/m2のプレコート層を形成した。
〔プレコート層液組成〕
酸化澱粉(日澱化学社製ペトロコート) 2部 塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 4部 (日信化学社製、50%固形分)
このプレコート層上に、実施例1と同様の感光層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量が0.6g/m2のジアゾ複写材料を得た。
【0018】実施例4下記組成からなるプレコート層を実施例1と同様にして塗布、乾燥し、付着量2.5g/m2のプレコート層を形成した。
〔プレコート層液組成〕
酸化澱粉(ホーネン製SP−1) 2部 塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 3部 (日信化学社製、50%固形分)
無定形シリカ微粉末(日本アエロジル製) 2部このプレコート層上に、実施例2と同様の感光層液を同様にして塗布、乾燥し、ジアゾ複写材料を得た。
【0019】実施例5ジアゾ用白色原紙(55g/m2)上に、下記組成のプレコート層液をエアーナイフにより塗布、乾燥し、付着量が2.5g/m2のプレコート層を形成した。
〔プレコート層液組成〕
酸化澱粉(敷島スターチ社製マーメイド) 1部 スチレン−アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 4部 (三井化学社製、50%固形分)
無定形シリカ微粉末(シオノギ社製FPS) 3部このプレコート層上に、下記組成のジアゾ感光層液をエアーナイフにて塗布、乾燥し、付着量が0.5g/m2のジアゾ複写材料を得た。
〔感光液組成〕
4−ジアゾ−2,5ジブトキシフェニルモルフォリン塩化物 ・1/2塩化亜鉛 1部 2−ヒドロキシナフトエ酸モルフォリノプロピルアミド 1部 酒石酸 1.5部 カフェイン 0.5部 尿素 1部 塩化亜鉛 2部 イソプロパノール 1部 サポニン 0.1部 水 92部
【0020】比較例1プレコート層に酸化澱粉に代えてポリビニルアルコール(倉レ社製PVA)5%液を用いた以外は実施例1と同様にしてジアゾ複写材料を得た。
【0021】比較例2プレコート層に無定形シリカ微粉末に代えてカオリンを用いた以外は実施例2と同様にしてジアゾ複写材料を得た。
【0022】比較例3プレコート層に酸化澱粉に代えて生澱粉(ホーネン社製コーンスターチ)を用いた以外は実施例3と同様にしてジアゾ複写材料を得た。
【0023】比較例4プレコート層液を下記組成とした以外は、実施例4と同様にしてジアゾ複写材料を得た。
〔プレコート層液組成〕
ポリビニルアルコール(倉レ社製PVA205) 1.5部 ポリアクリル酸ナトリウム 3部 無定形シリカ微粉末(日本アエロジル社製) 2.0部
【0024】比較例5プレコート層液を下記組成とした以外は、実施例5と同様にしてジアゾ複写材料を得た。
〔プレコート層液組成〕
生澱粉(ホーネン社製ライススターチ) 1部 ポリアクリル酸エステルエマルジョン(三井化学社製50%) 4部 カオリン 3部
【0025】〔評価〕このようにして得られたジアゾ感光紙に原図を重ねてジアゾ複写機で露光、現像したところ青色画像が得られた。実施例1〜4と比較例1〜4は、リコー社製SM−1500複写機を、実施例5と比較例5は、リコー社製SD−730複写機を使用した。得られた画像濃度の評価は、反射濃度計(マクベス濃度計RD914型)で測定して行った。また、得られたジアゾ感光紙を現像したサンプルの画像部の地合を視認して評価した。地合の評価は5段階評価とし、ランク5が最良で数値が下がるにしたがい地合は低下するものとした。さらに、コピーの退色性を調べるため、コピー後のサンプルを1000Luxのケイ光灯で60日間照射した後、画像部と非画像部の劣化の程度を比較した。劣化量[試験前の画像濃度−試験後の(劣化後)の画像濃度]も算出した。結果を表1に示す。
【表1】


【0026】表1から、実施例のジアゾ複写材料は、高濃度で地合に優れ、コピーの画像濃度の劣化が少なく、退色性の抑制されたものとなっていることが分かる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、均一な感光層を形成することができ、地合に優れ、しかも長期間にわたって良質の画像を維持することのできるジアゾ複写材料が提供され、複写分野に多大の寄与をなすものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に、プレコート層を介して、ジアゾ化合物及びカップラーからなる感光層を形成したジアゾ複写材料であって、該プレコート層に水溶性加工澱粉を含有させたことを特徴とするジアゾ複写材料。
【請求項2】 水溶性加工澱粉が、酵素分解澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カチオン澱粉、リン酸澱粉及び酢酸澱粉から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載のジアゾ複写材料。
【請求項3】 プレコート層が、無定形多孔質シリカを含有するものである請求項1又は2に記載のジアゾ複写材料。
【請求項4】 プレコート層が、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル共重合体及び塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のジアゾ複写材料。