説明

ジアミノジフェニルスルホンから誘導されたフィブリドを含有する紙

本発明は、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有するフィブリドで製造された紙に関する。かかる紙は、高い熱安定性を有し、アラミドフィブリドのみで製造された紙より容易にインクを受け入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有するフィブリドで製造された紙に関する。かかる紙は、高い熱安定性を有し、アラミドフィブリドのみで製造された紙より容易にインクを受け入れる。
【背景技術】
【0002】
改善された強度および/または熱安定性を紙に提供するために高性能材料から製造された紙が開発されてきた。例えば、アラミド紙は、芳香族ポリアミドからなる合成紙である。その耐熱性および耐燃性、電気絶縁性、強靱性および可撓性のために、この紙は、電気絶縁材料および航空機ハニカム用の基礎材料として使用されてきた。これらの材料のうち、DuPont(U.S.A.)のNomex(登録商標)は、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フロックとフィブリドとを水中で混合し、次に混合スラリーを製紙プロセスにかけて形成紙(formed paper)を製造し、引き続き形成紙の熱カレンダー加工によって製造される。この紙は、高温においてさえも高いままである強度および強靱性を有すると共に、優れた電気絶縁性を有することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般にかかるアラミド紙は着色および印刷するのが困難であり;幾つかの用途向けにはアラミド紙は、バーコードおよび他の指示を印刷するためのより良好な表面を提供するためにコートされる。これは、製紙後の追加の工程と、追加の製造工程によって発生する生成廃棄物の処理工程とを必要とする。それ故、改善された特性の高性能紙、特に、公知のアラミド紙などの高性能紙よりも容易にインクまたは色を受け入れる紙が継続して必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含む非粒状の、繊維状またはフィルム様ポリマーフィブリドであって、0.1〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2ミクロン以下の厚さを有するフィブリドと;パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物の群から選択される高性能フロックであって、2〜25mmの長さを有するフロックと;ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のフロックとを含む高度に印刷可能な熱的に安定な紙に関する。様々な実施形態では、本発明はまた、耐熱性のタグおよびラベル、ラップされたワイヤーおよび導体、ラミネート構造体、ハニカム構造体、およびこの高度に印刷可能な熱的に安定な紙を含む電気デバイスに関する。(本明細書で用いるところでは「フィルム様」は「フィルム」を意味する。)
【0005】
本発明はまた、
a)フロックおよびフィブリドの総重量を基準として4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含む10〜95重量部のポリマーフィブリドと、90〜5重量部のフロックとの水性分散系を形成する工程であって、このフロックが、
(i)パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の高性能フロックと、
(ii)ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のフロックと
の混合物である工程と;
b)この分散系をブレンドしてスラリーを形成する工程と、
c)この水性液体をこのスラリーから排水して湿潤紙組成物をもたらす工程と、
d)この湿潤紙組成物を乾燥させて形成紙を製造する工程と
を含む熱的に安定な紙の製造方法に関する。
【0006】
必要ならば、本方法は、形成紙を熱および圧力下に強固にしてカレンダー加工紙を製造する追加の工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、紙の熱安定性を犠牲にすることなく改善された印刷適性のための紙での4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有するポリマーフィブリドの使用に関する。かかるポリマーは、紙の印刷適性を向上させるのを助ける[SO2]結合を有する。
【0008】
用語「フィブリド」は本明細書で用いるところでは、小さい、フィルム状または不規則な繊維形状の粒子の非常に細分されたポリマー生成物を意味する。本質的に2つの種類のフィブリド;「フィルム状」フィブリドおよび「繊維形状」または「繊維質」フィブリドがある。フィルム状フィブリドは、ほぼ100〜1000マイクロメートル程度の長さおよび幅ならびに0.1〜1マイクロメートルの厚さを有する本質的に二次元の粒子である。繊維形状または繊維質フィブリドは通常、2〜3mm以下の長さ、10〜50ミクロンの幅、および0.1〜1マイクロメートルの厚さを有する。フィブリドは、溶液の溶剤と不混和性である液体の凝固浴にポリマー溶液を流し込むことによって製造される。ポリマー溶液の流れは、ポリマーが凝固するときに激しい剪断力および乱流にかけられる。フィブリドの主たる形状は、ポリマーの種類およびそれらの凝固中の特定の処理条件によって決定される。
【0009】
好ましくは、フィブリドは320℃より上の融点または分解点を有する。フィブリドは繊維ではないが、それらがウェブによって連結された繊維様領域を有する点でそれらは繊維状である。一実施形態では、フィブリドは5:1〜10:1のアスペクト比を有する。別の実施形態では、フィブリドは、乾燥させたことがない状態で湿式使用され、紙の他の原料または成分の周りに物理的に絡ませられたバインダーとして堆積させることができる。フィブリドは、ポリマー溶液が単一段階で沈澱させられ、剪断される米国特許第3,018,091号明細書に開示されているタイプのフィブリル化装置の使用をはじめとする任意の方法によって製造することができる。フィブリドはまた、米国特許第2,988,782号明細書および同第2,999,788号明細書に開示されている方法によって製造することができる。
【0010】
フィブリドは、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含む。かかるポリマーおよびコポリマーは一般に構造:
NH2−Ar1−SO2−Ar2−NH2
(式中、Ar1およびAr2は、炭素原子の任意の非置換または置換6員環芳香族基であり、Ar1およびAr2は同じであっても異なっていてもよい)を有する。幾つかの好ましい実施形態では、Ar1およびAr2は同じものである。さらにより好ましくは、炭素原子の6員環芳香族基は、SO2基に対してメタ−またはパラ−配向結合を有する。このモノマーまたはこの一般構造を有する多数のモノマーが相溶性溶媒中で酸モノマーと反応させられてポリマーを生成する。有用な酸モノマーは一般に、
Cl−CO−Ar3−CO−Cl
(式中、Ar3は、任意の非置換もしくは置換芳香環構造であり、Ar1および/またはAr2と同じであっても異なっていてもよい)
の構造を有する。幾つかの好ましい実施形態では、Ar3は炭素原子の6員環芳香族基である。さらにより好ましくは、炭素原子の6員環芳香族基はメタ−またはパラ−配向結合を有する。幾つかの好ましい実施形態では、Ar1およびAr2は同じものであり、Ar3はAr1およびAr2の両方とも異なる。例えば、Ar1およびAr2は両方とも、メタ配向結合を有するベンゼン環であることができるが、Ar3は、パラ配向結合を有するベンゼン環であることができる。有用なモノマーの例としては、塩化テレフタロイル、塩化イソフタロイルなどが挙げられる。幾つかの好ましい実施形態では、この酸は、塩化テレフタロイルまたはそれと塩化イソフタロイルとの混合物であり、アミンモノマーは4,4’ジアミノジフェニルスルホンである。幾つかの他の好ましい実施形態では、アミンモノマーは、3:1の重量比の4,4’ジアミノジフェニルスルホンと3,3’ジアミノジフェニルスルホンとの混合物であり、それは両スルホンモノマーを有するコポリマーから製造されたフィブリドを生成する。
【0011】
さらに別の好ましい実施形態では、フィブリドは、スルホンアミンモノマーとパラフェニレンジアミンおよび/またはメタフェニレンジアミンに由来するアミンモノマーとから誘導された両繰り返し単位を有するコポリマーを含有する。幾つかの好ましい実施形態では、スルホンアミド繰り返し単位は、他のアミド繰り返し単位に対して3:1の重量比で存在する。幾つかの実施形態では、アミンモノマーの少なくとも80モルパーセントはスルホンアミンモノマーまたはスルホンアミンモノマーの混合物である。便宜上、本明細書では、省略形「PSA」は、以前に記載されたようなスルホンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーで製造された全クラスの繊維の全てを表すために用いられる。
【0012】
一実施形態では、スルホンモノマーから誘導されたポリマーおよびコポリマーは好ましくは、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、またはそれらの混合物などのジアルキルアミド溶媒中での1種以上のジアミンモノマーと1種以上の塩化物モノマーとの重縮合によって製造することができる。この種の重合の幾つかの実施形態では、塩化リチウムまたは塩化カルシウムなどの無機塩もまた存在する。必要ならば、ポリマーは、水などの非溶媒での沈殿によって単離し、中和し、洗浄し、乾燥させることができる。ポリマーはまた、直接にポリマー粉末を生成する界面重合によっても製造することができ、ポリマー粉末は次に繊維製造のための溶媒に溶解させることができる。
【0013】
スルホンアミンモノマーを含有するPSA繊維またはコポリマーの具体的な製造方法は、Wangらの中国特許出願公開第1389604A号明細書に開示されている。この参考文献は、ジメチルアセトアミド中で等モル量の塩化テレフタロイルと共重合させられた50〜95重量パーセントの4,4’ジアミノジフェニルスルホンと5〜50重量パーセントの3,3’ジアミノジフェニルスルホンとの混合物から形成されたコポリマー溶液を紡糸することによって製造されたポリスルホンアミド繊維(PSA)として知られる繊維を開示している。Chenらの中国特許出願公開第1631941A号明細書はまた、ジメチルアセトアミド中で等モル量の塩化テレフタロイルと共重合させられた10:90〜90:10の質量比の4,4’ジアミノジフェニルスルホンと3,3’ジアミノジフェニルスルホンとの混合物から形成されたPSAコポリマー紡糸液の調製方法を開示している。コポリマーのさらに別の製造方法は、Sokolovらに付与された米国特許第4,169,932号明細書に開示されている。この参考文献は、重合の速度を上げるために第三級アミンを使用するポリ(パラフェニレン)テレフタルアミド(PPD−T)の製造を開示している。この特許はまた、PPD−Tコポリマーがパラフェニレンジアミン(PPD)の5〜50モルパーセントを、4,4’ジアミノジフェニルスルホンなどの別の芳香族ジアミンで置き換えることによって製造できることを開示している。
【0014】
一実施形態では、PSAフィブリドの一部を別の、第2の、非粒状の、繊維状またはフィルム様ポリマーバインダーで置き換えることができる。かかるバインダーには、別のポリマーまたはコポリマーから製造されたフィブリドが含まれる。好ましい実施形態ではポリマーバインダーは、メタ−アラミドフィブリド、パラ−アラミドフィブリド、およびそれらの混合物の群から選択される。好ましいメタ−アラミドフィブリドはポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フィブリドである。
【0015】
一実施形態では、良好な結果でPSAフィブリドの約80重量パーセント以下をMPD−Iフィブリドで置き換えることができると考えられる。しかしながら、好ましい実施形態では、PSAフィブリドの20〜50重量パーセントがMPD−Iフィブリドで置き換えられる。PSAフィブリドによって提供される追加のポリスルホン基による紙の改善された染色性および印刷適性は紙中のたった20重量パーセントのPSAフィブリドでさえも保持されると考えられる。
【0016】
必要ならば、紙中のフィブリドを、カーボンブラック、グラファイト、および鉱物粉末をはじめとする、異なる充填剤で充填することができる。好ましい実施形態では充填剤入りフィブリドはPSAフィブリドである。フィブリドをカーボンブラックまたはグラファイトで充填する方法は、例えば、Bairに付与された米国特許第5,482,773号明細書に記載されている。
【0017】
PSAフィブリドは、少なくとも2種の異なるフロックと組み合わせられる。第1フロックは、パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の高性能フロックである。第2フロックは、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のフロックである。
【0018】
「フロック」とは、2〜25ミリメートル、好ましくは3〜7ミリメートルの長さおよび3〜20マイクロメートル、好ましくは5〜14マイクロメートルの直径を有する繊維を意味する。フロック長さが3ミリメートル未満である場合、紙の強度は大幅に低下し、フロック長さが25ミリメートル超である場合、典型的なウェット−レイド法によって一様な紙ウェブを形成することが困難である。フロック径が5マイクロメートル未満である場合、十分な一様性および再現性で商業的に生産することが困難な可能性があり、フロック径が20マイクロメートル超である場合、軽い〜中程度の坪量の一様な紙を形成することが困難である。フロックは一般に、連続紡糸フィラメントを特有の長さ片へカットすることによって製造される。
【0019】
第1高性能フロックには、パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物のフロックが含まれる。
【0020】
アラミドとは、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合しているポリアミドを意味する。パラ−アラミドは、ポリマー鎖中にパラ立体配置またはパラ配向結合を含有するようなポリアミドであり、一方メタ−アラミドは、ポリマー鎖中にメタ立体配置またはメタ配向結合を含有するようなポリアミドである。添加物をアラミドで使用することができ、事実、10重量パーセントほどまでの量の他のポリマー材料をアラミドとブレンドできること、またはアラミドのジアミンを10パーセントほどの量の他のジアミンで置き換えられたか、もしくはアラミドの二酸塩化物を10パーセントほどの量の他の二酸塩化物で置き換えられたコポリマーを使用できることが分かった。幾つかの実施形態では、好ましいパラ−アラミドはポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である。有用なパラ−アラミド繊維の製造方法は、例えば、米国特許第3,869,430号明細書;同第3,869,429号明細書;および同第3,767,756号明細書に概して開示されている。様々な形態のかかる芳香族ポリアミド有機繊維は、それぞれ、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware);および帝人株式会社(日本)によってKevlar(登録商標)およびTwaron(登録商標)の商標で販売されている。また、コポリ(p−フェニレン/3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド)をベースとする繊維は、本明細書で用いるところではパラ−アラミド繊維と定義される。これらの繊維の商業的に入手可能な一バージョンは、同様に帝人株式会社から入手可能なTechnora(登録商標)繊維として公知である。
【0021】
幾つかの実施形態では、好ましいメタ−アラミドはポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)およびそのコポリマーである。かかる一メタ−アラミドフロックは、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能なNomex(登録商標)アラミド繊維であるが、メタ−アラミド繊維は、帝人株式会社(日本国東京)から入手可能な、商標Conex(登録商標);ユニチカ株式会社(日本国大阪)から入手可能な、Apyeil(登録商標);Yantai Spandex Co.Ltd(Shandong Province,China)から入手可能な、New Star(登録商標)Meta−aramid;およびGuangdong Charming Chemical Co.Ltd.(Xinhui in Guangdong,China)から入手可能なChinfunex(登録商標)Aramid 1313で様々な型で入手可能である。メタ−アラミド繊維は本質的に難燃性であり、多数の方法を用いる乾式または湿式紡糸によって紡糸することができるが;米国特許第3,063,966号明細書、同第3,227,793号明細書、同第3,287,324号明細書、同第3,414,645号明細書、および同第5,667,743号明細書は、使用することができるアラミド繊維の有用な製造方法を例示している。
【0022】
添加物をアラミドで使用することができ、事実、10重量パーセントほどまでの量の他のポリマー材料をアラミドとブレンドできること、またはアラミドのジアミンを10パーセントほどの量の他のジアミンで置き換えられたか、もしくはアラミドの二酸塩化物を10%ほどの量の他の二酸塩化物で置き換えられたコポリマーを使用できることが分かった。
【0023】
商業的に入手可能なカーボン繊維には、Toho Tenax America,Incから入手可能なTenax(登録商標)繊維が含まれ、商業的に入手可能なガラス繊維には、Johns Manville Co.によって販売されるホウケイ酸ガラスマイクロファイバータイプ253が含まれる。有用な商業的に入手可能な液晶ポリエステル繊維には、Swicofil AG Textile Servicesから入手可能なVectran(登録商標)HS繊維が含まれる。ポリフェニレンスルフィド繊維は、良好な耐熱性、耐化学薬品性、および耐加水分解性を有する。これらの繊維の成分単位の少なくとも90%は、−(C64−S)−のフェニレンスルフィド構造単位を有するポリマーまたはコポリマーのものである。ポリフェニレンスルフィド繊維は、American Fibers and Fabricsによって商品名Ryton(登録商標)、東レ株式会社によってToray PPS(登録商標)、呉羽化学工業株式会社によってFortron(登録商標)、および東洋紡績株式会社によってProcon(登録商標)で販売されている。ポリエーテル−ケトン−ケトンおよびポリエーテル−エーテル−ケトン繊維には、Zyex Ltd.(UK)から入手可能なZyex(登録商標)PEEKおよびZyex(登録商標)PEK繊維が含まれる。ポリオキサジアゾール繊維はまた良好な耐熱性を有し、例えば、Bachに付与された米国特許第4,202,962号明細書およびEncyclopedia of Polymer Science and Engineering、第12巻、322〜339ページ(John Wiley & Sons,New York,1988年)に開示されている。幾つかの実施形態では、ポリオキサジアゾール繊維は、ポリアリーレン−1,3,4−オキサジアゾールポリマー、ポリアリーレン−1,2,4−オキサジアゾールポリマー、またはそれらの混合物を含有する。幾つかの好ましい実施形態では、ポリオキサジアゾール繊維は、ポリパラフェニレン−1,3,4−オキサジアゾールポリマーを含有する。好適なポリオキサジアゾール繊維は、Oxalon(登録商標)、Arselon(登録商標)、Arselon−C(登録商標)およびArselon−S(登録商標)繊維などの様々な商品名で商業的に知られている。有用な商業的に入手可能なポリベンザゾール繊維には、東洋紡績株式会社(日本国)から入手可能な、Zylon(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維、Zylon(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維が含まれる。
【0024】
幾つかの好ましい実施形態では高性能フロックは高弾性率を有する。本明細書で用いるところでは高弾性率繊維は、1デニール当たり600グラム(1デシテックス当たり550グラム)以上の引張弾性率またはヤング率(Young’s modulus)を有するものである。高弾性率のフロックは剛性を提供し、かつまた、紙の最終用途につながり得る改善された寸法安定性を紙に提供することができる。好ましい実施形態では、この繊維のヤング率は、1デニール当たり900グラム(1デシテックス当たり820グラム)以上である。好ましい実施形態では、紙の最終用途に高レベルの機械的特性を提供するように繊維靱性は1デニール当たり少なくとも21グラム(1デシテックス当たり19グラム)であり、その伸びは少なくとも2%である。
【0025】
好ましい実施形態では高弾性率フロックは耐熱性繊維である。「耐熱性繊維」とは、空気中で毎分摂氏20度の速度で500℃まで加熱されたときにその繊維重量の90パーセントを繊維が保持することを意味する。かかる繊維は普通、繊維または布が空気中で火災を支援しないような限界酸素指数(LOI)をこの繊維またはこの繊維から製造された布が有することを意味する、難燃性であり、好ましいLOI範囲は約26以上である。好ましい耐熱性繊維はパラ−アラミド繊維、特にポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)繊維である。
【0026】
第2フロックには、ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物のフロックが含まれる。
【0027】
幾つかの実施形態では、好ましいポリエステルはポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)ポリマーである。これらのポリマーは、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリ(エチレングリコール)、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸などをはじめとする、様々なコモノマーを含んでもよい。これらのコモノマーに加えて、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパンおよびトリメチロールエタン、ならびにペンタエリスリトールのような分岐剤が使用されてもよい。PETは、テレフタル酸かその低級アルキルエステル(例えばジメチルテレフタレート)かのどちらかとエチレングリコールまたはこれらのブレンドもしくは混合物とから公知の重合技術によって得ることができる。PENは、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとから公知の重合技術によって得ることができる。
【0028】
本発明に有用な脂肪族ポリアミドバインダーには、ナイロンポリマーまたはコポリマーを含有する任意の種類の繊維が含まれる。ナイロンは、ポリマー鎖の不可欠な部分として繰り返しアミド基(−NH−CO−)を有する長鎖合成ポリアミドであり、ナイロンの2つの一般例は、ポリヘキサメチレンジアミンアジパミドである、ナイロン66、ならびにポリカプロラクタムである、ナイロン6である。他のナイロンには、11−アミノ−ウンデカン酸から製造される、ナイロン11;およびヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との縮合生成物から製造される、ナイロン610が含まれ得る。幾つかの好ましい実施形態では脂肪族ポリアミドは、ナイロン610、ナイロン6、ナイロン66またはそれらの混合物である。ビスコース繊維はまたレーヨン繊維としても知られ、広く商業的に入手可能であり;かかる一繊維は、Courtauldsから入手可能なFibro(登録商標)繊維である。
【0029】
一実施形態では、フィブリドは3種の異なるフロックと組み合わせられる。この実施形態では、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有する第3フロックの少なくとも1種が使用される。
【0030】
フィブリドおよびフロックは組み合わせられて熱的に安定な紙を形成する。本明細書で用いるところでは、紙という用語はその通常の意味で用いられ、それは従来の製紙法ならびに装置およびプロセスを用いて製造することができる。繊維状材料、すなわちフィブリドおよびフロックは、一緒にスラリー化されてミックスを形成することができ、ミックスは、Fourdrinier機でまたは形成スクリーンを含有するハンドシート金型で手動によってなどで紙に変換される。繊維を紙にする方法についてはGrossの米国特許第3,756,908号明細書およびHeslerらの米国特許第5,026、456号明細書に言及されてもよい。必要ならば、いったん紙が形成されれば、それは、ロールから高温および高圧の2つの加熱カレンダーロール間でカレンダー加工され、紙の結合強度を上げる。カレンダー加工はまた、印刷のための平滑な表面を紙に提供する。同じまたは異なる組成の幾つかの層を、形成および/またはカレンダー加工中に一緒に組み合わせて最終紙構造体にすることができる。一実施形態では、この紙は、95:5〜10:90の紙組成物におけるフィブリド対フロックの重量比を有する。好ましい一実施形態では、この紙は、60:40〜10:90の紙組成物におけるフィブリド対フロックの重量比を有する。
【0031】
一実施形態では、この形成紙は、1立方センチメートル当たり約0.1〜0.5グラムの密度を有する。幾つかの実施形態ではこの形成紙の厚さは、約0.002〜0.015インチの範囲である。カレンダー加工紙の厚さは、最終用途または所望の特性に依存し、幾つかの実施形態では典型的には厚さが0.001から0.005ミル(25〜130マイクロメートル)である。幾つかの実施形態では、この紙の坪量は、1平方ヤード当たり0.5〜6オンス(1平方メートル当たり15〜200グラム)である。
【0032】
粉末または繊維形態での紙の導電率および他の特性の調節のための充填剤、顔料、酸化防止剤などの追加の成分は、本発明の紙組成物に添加することができる。必要ならば、高温での酸化分解に対する耐性を提供するために防止剤を紙に添加することができる。好ましい防止剤は、ビスマスの酸化物、水酸化物および硝酸塩である。特に有効な防止剤は、ビスマスの水酸化物および硝酸塩である。紙中へのかかる充填剤の望ましい一組み込み方法は、充填剤をフィブリド形成中にフィブリドへ先ず組み込むことによる。紙へ追加の成分を組み込む他の方法には、かかる成分を紙形成中にスラリーに添加すること、形成紙の表面に成分を吹き付けることおよび他の通常の技法が含まれる。
【0033】
PSAフィブリドが紙にバインダーとして組み込まれるとき、PSAフィブリド中のスルホン基は、例えば、バインダーとしてMPD−Iフィブリドのみを有する紙よりも紙の表面上で印刷インクを受け入れるための改良された部位を提供する。
【0034】
一実施形態では、熱的に安定な紙は、
a)フロックおよびフィブリドの総重量を基準として4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含む10〜95重量部のポリマーフィブリドと、5〜90重量部のフロックとの水性分散系を形成する工程であって、このフロックが、
(i)パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の高性能フロックと、
(ii)ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のフロックと
の混合物である工程と;
b)この分散系をブレンドしてスラリーを形成する工程と、
c)この水性液体をこのスラリーから排水して湿潤紙組成物をもたらす工程と、
d)この湿潤紙組成物を乾燥させて形成紙を製造する工程と
を含む方法を用いて製造することができる。
【0035】
別の実施形態では、フロック混合物は、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有する少なくとも1種のフロックをさらに含む。
【0036】
紙は、実験室スクリーンから、Fourdrinier機または傾斜ワイヤー機などの、商業規模の製紙機までの任意の規模の装置で形成することができる。一般的な方法は、水性液体中で、フィブリドおよびフロックと、任意選択的に充填剤などの追加の成分との分散系を製造する工程と、液体を分散系から排水して湿潤組成物をもたらす工程と、湿潤紙組成物を乾燥させる工程とを含む。
【0037】
分散系は、フロックを水性液体中に分散させ、次にフィブリドを加える工程によるか、フィブリドを液体中に分散させ、次に繊維を加える工程によるかのどちらかで製造することができる。分散系はまた、フロック含有分散系を繊維含有分散系と組み合わせることによって製造することができる。分散系中のフロックの濃度は、分散系の総重量を基準として0.01〜1.0重量パーセントの範囲であることができる。分散系中のフィブリドの濃度は、固形分の総重量を基準として20重量パーセント以下であることができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、水性分散系中のPSAフィブリドの一部を、別の、第2の、非粒状の、繊維状またはフィルム様ポリマーバインダーで置き換えることができる。かかるバインダーには、別のポリマーまたはコポリマーから製造されたフィブリドが含まれる。好ましい実施形態ではポリマーバインダーは、メタ−アラミドフィブリド、パラ−アラミドフィブリド、およびそれらの混合物の群から選択される。好ましいメタ−アラミドフィブリドはポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フィブリドである。
【0039】
好ましい一実施形態では、染料または顔料が着色紙を製造するために水性分散系に含められる。紙の最終用途に適合する、かつ、紙中のスルホン基に十分に結合する任意の染料または顔料を使用することができる。好ましい一実施形態では、染料または顔料は、最終紙に所望の着色をもたらす量で添加される。好ましい染料および顔料は、カレンダー加工プロセス、すなわち、摂氏250度以上の温度に耐えることができ;幾つかの特に好ましい実施形態では、染料および顔料は、摂氏310度以上の温度に耐えることができる。
【0040】
分散系の水性液体は一般に水であるが、pH調整物質、成形助剤、界面活性剤、消泡剤などの様々な他の物質を含んでもよい。水性液体は通常、分散系をスクリーンまたは他の穿孔支持体上へ導き、分散された固形分を保持し、次に湿潤紙組成物をもたらすために液体を通過させることによって分散系から排水される。湿潤組成物は、いったん支持体上に形成されれば、真空または他の圧力によって通常はさらに脱水され、残存液体を蒸発させることによってさらに乾燥される。
【0041】
より高い密度および強度が望まれる場合に行うことができる、次の工程は、金属−金属、金属−複合材料、または複合材料−複合材料ロールのニップで紙の1つ以上の層をカレンダー加工する工程である。あるいはまた、紙の1つ以上の層を、特定の組成物および最終用途にとって最適である、圧力、温度および時間にて圧盤プレスで圧縮することができる。また、強化または幾つかの他の特性改質が高密度化なしにまたは高密度化に加えて望まれる場合、カレンダー加工または圧縮の前、後またはその代わりに独立した工程としての熱処理を行うことができる。
【0042】
この紙は、高温タグ、ラベル、およびセキュリティペーパー用の印刷可能な材料として有用である。この紙はまた、プリント配線盤などの材料中の構成要素として;または、モーター、変圧器および他の電力設備での使用のための電気絶縁材料などの、誘電特性が有用である場合に使用することができる。これらの用途では、この紙は、要望に応じて、単独でまたは含浸樹脂ありかなしかのどちらかでラミネート構造体に使用することができる。別の実施形態では、この紙は、ワイヤーおよび導体用の電気絶縁性ラッピングとして使用される。ワイヤーまたは導体は、ワイヤーまたは導体の螺旋状重複ラッピングのように、完全にラップされ得るか、または平方形導体の場合のように導体の一部のみかまたは1つ以上の面をラップされ得る。ラッピングの量は用途によって決定され、必要ならば紙の多層をラッピングに使用することができる。別の実施形態では、この紙はまた、コア構造体またはハニカムなどの構造材料における構成要素として使用することができる。例えば、この紙の1つ以上の層が、ハニカム構造体のセルを形成するための主要材料として使用されてもよい。あるいはまた、紙の1つ以上の層がハニカムセルまたは他のコア材料をカバーするかまたはそれと向かい合うためのシートに使用されてもよい。好ましくは、これらの紙および/または構造体は、フェノール、エポキシ、ポリイミドまたは他の樹脂などの樹脂を含浸する。しかしながら、幾つかの場合にはこの紙はいかなる樹脂含浸もなしに有用である可能性がある。
【実施例】
【0043】
試験方法
厚さおよび坪量(グラメージ)は、対応してASTM D374およびASTM D646に従って本発明の紙について測定した。厚さ測定では、検体への約172kPaの圧力の方法Eを用いた。
【0044】
紙の密度(見掛け密度)は、ASTM D202に従って測定した。
【0045】
引張強度および伸びは、ASTM D828に従って試験検体2.54cm幅および18cmのゲージ長を使用してInstron型試験機で本発明の紙について測定した。
【0046】
実施例1
4,4’ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’ジアミノジフェニルスルホンのコポリマーからのフィブリドを次の通り製造する。DMAC中の4,4’ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’ジアミノジフェニルスルホンのコポリマーの10%溶液を、Waringブレンダーを使用して高剪断応力で水浴にて沈澱させる。沈澱物を次に水で洗浄し、同じブレンダーにおいて水で10分間分散させてフィブリドを形成する。これらのフィブリドは、約450mlのShopper−Rieglerのろ水度を有する。
【0047】
2.0グラム(乾燥重量)の固形分を含有するこれらのフィブリドの水スラリーを、約1600gの水入りの実験室ミキサー(Britishパルプ評価装置)に、フロックの90重量パーセントがポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フロックであり、フロックの10重量パーセントがポリエチレンテレフタレート(PET)である、2グラムのフロックと一緒に入れ、3分間かき混ぜて、フィブリドとフロックとの50/50重量パーセント混合物を形成する。このポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フロックは0.22テックス(2.0デニール)の線密度および0.64cmの長さを有する。このPETは同じカット長を有する。
【0048】
この分散系を次に、8リットルの水で、約21×21cmハンドシート金型に注ぎ込み、ウェットレイドシートを形成する。このシートを2片の吸取紙の間に置き、麺棒でハンドクーチし、190℃のハンドシート乾燥機中で乾燥させて形成紙を製造する。乾燥後に、この形成紙を、300℃の温度および約3000N/cmの線圧で金属−金属ニップでカレンダー加工する。最終カレンダー加工紙は、83.4g/m2の坪量、0.094mmの厚さ、0.89g/cm3の密度、26.0N/cmの引張強度、および3.22%の伸びを有する。この紙は、先行コーティングなしに印刷されて印刷ラベルまたは印刷タグを提供する。
【0049】
実施例2
実施例1を繰り返して先ず形成し、次にカレンダー加工した紙を製造するが、フィブリドとフロックとの50/50スラリーブレンドは、1.7グラム(乾燥重量)のフィブリドと1.7グラムのフロック混合物とを含有し、このフロックの90重量パーセントはポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)フロックであり、10重量パーセントはポリエチレンテレフタレートフロックである。このポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)フロックは、0.17テックス(1.5デニール)の線密度および0.64cmの長さを有した。このPETは同じカット長を有する。最終カレンダー加工紙は、71.9g/m2の坪量、0.079mmの厚さ、0.91g/cm3の密度、23.3N/cmの引張強度、および1.90%の伸びを有する。この紙は、先行コーティングなしに印刷されて印刷ラベルまたは印刷タグを提供する。
【0050】
実施例3
BASF Wyandotte Corp.(Charlotte,N.C.)から入手可能な、2グラムのBasacryl Red GL染料を添加して実施例1の方法を繰り返して先ず形成し、次にカレンダー加工した紙を製造し、1600グラムの水スラリーに加える。これらのフィブリドはレッド染料を受け入れ、着色紙が製造される。
【0051】
実施例4
ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)MPD−Iフロックの10重量パーセントを、4,4’ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’ジアミノジフェニルスルホン・アミンモノマー(約70:30比)PSAから誘導されたコポリマーから製造されたフロックで置き換えることを除いて実施例1を繰り返して先ず形成し、次にカレンダー加工した紙を製造する。このPSAフロックはMPD−Iフロックと同じカット長を有する。最終フロック混合物は、80%MPD−Iフロック、10%PETフロック、および10%PSAフロックの組成を有する。最終カレンダー加工紙は、先行コーティングなしに印刷されて印刷ラベルまたは印刷タグを提供する。
【0052】
実施例5
水性分散系においてPSAフィブリドの20重量パーセントをMPD−Iフィブリドで置き換えることを除いて実施例1を繰り返して先ず形成し、次にカレンダー加工した紙を製造する。最終カレンダー加工紙は、先行コーティングなしに印刷されて印刷ラベルまたは印刷タグを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含む非粒状の、繊維状またはフィルム様ポリマーフィブリドであって、0.1〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2μm以下の厚さを有するフィブリドと;
b)パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の高性能フロックであって、2.0〜25mmの長さを有するフロックと;
c)ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のフロックと
を含む、高度に印刷可能な熱的に安定な紙であって、
この紙組成物におけるフィブリド対フロックの重量比が95:5〜10:90である紙。
【請求項2】
d)4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有する少なくとも1種のフロック
をさらに含む、請求項1に記載の紙。
【請求項3】
前記メタ−アラミド繊維がポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)繊維である請求項1に記載の紙。
【請求項4】
第2の非粒状の、繊維状またはフィルム様ポリマーバインダーをさらに含む、請求項1に記載の紙。
【請求項5】
前記ポリマーバインダーが、メタ−アラミドフィブリド、パラ−アラミドフィブリド、およびそれらの混合物の群から選択される請求項4に記載の紙。
【請求項6】
前記メタ−アラミドがポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である請求項5に記載の紙。
【請求項7】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートである請求項1に記載の紙。
【請求項8】
前記脂肪族ポリアミドが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11およびそれらの混合物の群から選択される請求項1に記載の紙。
【請求項9】
請求項1に記載の紙を含む耐熱性のタグもしくはラベル、またはセキュリティペーパー。
【請求項10】
請求項1に記載の紙でラップされたワイヤーまたは導体。
【請求項11】
請求項1に記載の紙を含むラミネート構造体。
【請求項12】
請求項1に記載の紙を含むハニカム構造体。
【請求項13】
請求項1に記載の紙を含む電気デバイス。
【請求項14】
a)フロックおよびフィブリドの総重量を基準として4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアミンモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含む10〜95重量部のポリマーフィブリドと、90〜5重量部のフロックとの水性分散系を形成する工程であって、前記フロックが、
(i)パラ−アラミド、メタ−アラミド、カーボン、ガラス、液晶ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル−ケトン−ケトン、ポリエーテル−エーテル−ケトン、ポリオキサジアゾール、ポリベンザゾール、およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の高性能フロックと、
(ii)ポリエステル、脂肪族ポリアミド、ビスコースおよびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のフロックと
の混合物である工程と;
b)前記分散系をブレンドしてスラリーを形成する工程と、
c)水性液体を前記スラリーから排水して湿潤紙組成物をもたらす工程と、
d)前記湿潤紙組成物を乾燥させて形成紙を製造する工程と
を含む熱的に安定な形成紙の製造方法。
【請求項15】
前記フロック混合物が、4,4’ジアミノジフェニルスルホン、3,3’ジアミノジフェニルスルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから誘導されたポリマーまたはコポリマーを含有する少なくとも1種のフロックをさらに含む請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2011−508105(P2011−508105A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539920(P2010−539920)
【出願日】平成20年12月20日(2008.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/087870
【国際公開番号】WO2009/086225
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】