説明

ジアルデヒドから製造された5−および6−員環式エナミン化合物からの速硬化性熱硬化性物質

【課題】より耐久性で、耐水性で、熱硬化性のバインダーについての必要性を満足させ、かつ再生可能な資源から少なくとも部分的に製造されている、ホルムアルデヒドを含まない速硬化性バインダーを提供する。
【解決手段】ビスエナミンおよびジもしくはより高次の官能性エナミンをはじめとする1種以上の環式エナミン、場合によって水可溶性もしくは分散性第1級アミン化合物を含む熱硬化性水性バインダー組成物を提供する。このバインダーは少なくとも実質的にホルムアルデヒドを含まず、ポリカルボキシルもしくはポリカルボキシラート成分を必要とせず、並びに使用において1分以下の短い時間で硬化されるときに優れたホットメルト引張強さ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1種以上の5−もしくは6−員環式エナミン化合物、および水可溶性もしくは分散性の不揮発性第1級アミンを含む水性バインダー組成物、この製造方法、並びに様々な微粉砕基材材料、例えば、繊維、フレーク、粒子および不織物のための硬化性バインダーとしてのその使用に関する。より具体的には、本発明は複素環および/またはそのオリゴマー中に1つの窒素を有する環式エナミン化合物、例えば、1,4−ジヒドロピリジンもしくはオリゴ(1,4−ジヒドロピリジン)の速硬化性熱硬化性バインダーに関し、並びにジアルデヒドと過剰な揮発性塩基、例えば、アンモニアとを化合させて環式エナミン化合物を形成し、この組成物を水可溶性もしくは分散性不揮発性第1級アミン化合物、例えば、リシンと配合することによるこのバインダーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
その有利なコスト/性能のせいで、過去において一般的に好まれていた熱硬化性バインダー樹脂はフェノール/ホルムアルデヒド、または尿素/ホルムアルデヒド樹脂であった。ホルムアルデヒド樹脂の用途は、特に、鉱物、ガラスおよび木材複合材料繊維結合において広範囲である。断熱材製品においては、硬化した鉱物繊維バインダーは、その断熱材が圧縮されるのを可能にし、一方で圧縮力が除かれると、圧縮されたその断熱材がその元の形状に実質的に戻るのを可能にする剛性を保持する。このことは、例えば、この断熱材が巻かれた圧縮された状態で輸送され、設置前にほどかれて圧縮を開放するのを可能にし、ふわふわした断熱マットが設置されるのを可能にする。しかし、ホルムアルデヒドは非常に毒性であると認識されており、かついくつかの健康官庁によってヒトに対する発がん性物質として分類されており、さらに保健安全(EHS)イニシアチブ並びに新たな規制は、繊維状建築材料、例えば、ストーンウール、ガラスウール、複合材料、並びにセルロース繊維およびフレークなどにおける複合材料のためのホルムアルデヒドを含まないバインダーを要求している。ホルムアルデヒドを含むかまたはホルムアルデヒドを含まず、ポリカルボン酸ポリマーおよびポリオールを含むほとんどの既存の市販のバインダーは主として石油供給原料由来であり、石油供給原料は減少していてかつ大きな価格変動を受け、さらに大気中の二酸化炭素に寄与する。さらに、ポリカルボン酸熱硬化性物質はストーンウールもしくは他のアルカリ性基材に使用するために酸性である。よって、再生可能な資源から製造されるホルムアルデヒドを含まないバインダーについての強い必要性が存在している。
【0003】
近年のホルムアルデヒドを含まないバインダーは、全体として石油原料から得られるものではない、より持続可能な材料から製造されている。国際公開第2010029266A〜Bジャフレノー(Jaffrennou)は、ポリアルデヒドと水素化糖、例えば、デキストリンとの縮合からのホルムアルデヒドを含まないバインダー組成物を熱硬化性物質として開示する。しかし、この組成物はバインダーとして使用される場合、非常に過酷な熱条件においてのみ硬化し、そして不適切な引張強さおよび耐水性の硬化生成物を生じさせる。さらに、ポリアルデヒド、例えば、グリオキサールから製造されうるバインダーは毒性であり、ホルムアルデヒドを含む場合がある。また、このような組成物からの熱硬化性物質は耐水耐久性基材には適切でない傾向があり、かつ実際の適用には硬化するのが遅すぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010029266号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、より耐久性で、耐水性で、熱硬化性のバインダーについての必要性を満足させ、かつ再生可能な資源から少なくとも部分的に製造されている、ホルムアルデヒドを含まない速硬化性バインダーを提供する課題を解決するために、ホルムアルデヒドを含まないバインダーを提供することを求めてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従って、速硬化熱硬化性水性バインダー組成物は1種以上の環式エナミン化合物および/またはそのオリゴマー、例えば、ビスエナミン、例えば、1,4−ジヒドロピリジンもしくはオリゴ(1,4−ジヒドロピリジン)、アンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩、例えば、リン酸アンモニウム、および場合によっては1以上の第1級アミンもしくは第2級アミン基を有する1種以上の水可溶性もしくは分散性不揮発性アミン、例えば、リシンもしくはグルタミンを含む。この組成物は場合によっては1種以上のポリオール、糖アルコールもしくは炭水化物、好ましくは糖アルコールをさらに含むことができる。
【0007】
一実施形態においては、水性バインダー組成物はビスエナミン、そのオリゴマー、ジエナミンもしくはそのオリゴマー、好ましくはビスエナミンを形成するための過剰なアンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩の存在下のジアルデヒドから生じた1種以上の環式エナミン化合物もしくはそのオリゴマーを含む。よって、環式エナミンもしくはビスエナミン化合物は過剰なアンモニアもしくはその塩のジアルデヒド、例えば、グルタルアルデヒドへの付加から生じ、環式エナミン、例えば、1,4−ジヒドロピリジンもしくはオリゴ(1,4−ジヒドロピリジン)を形成する。
【0008】
別の実施形態においては、水性バインダー組成物は環式エナミン化合物、アンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩、および場合によっては1種以上の水可溶性もしくは分散性不揮発性アミン、好ましくは第1級アミンを、環式エナミン基:アミン基のモル比0.1:1〜20:1、または15以下:1、または好ましくは8以下:1、またはより好ましくは3.0以上:1で含む。環式エナミン基:アミン基の2:1当量比は、2つの環式エナミン基を有する環式エナミン化合物、例えば、1,4−ジヒドロピリジンの1モルあたり1つのアミン基を有するアミンの100モル%に等しい。
【0009】
1種以上の水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンは1以上のアミン基を有する脂肪族ヒドロキシアミン、例えば、アルカノールアミン、例えば、エタノールアミンなど、1以上のアミン基を有する芳香族アミン、例えば、アミノフェノールおよびアミノレゾルシノール、アミン官能性ポリマー、タンパク質、例えば、ダイズ粉もしくはゼラチン、アミノ酸、アミノ糖、ポリペプチド、尿素、アミンとポリオールとの混合物、アミンと炭水化物との混合物から選択されうる。
【0010】
好ましい実施形態においては、水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンには、リシン、グリシン、セリン、アスパラギン酸および他の一般的なアミノ酸のような第1級アミン、脂肪族第1級アミンおよびジ第1級アミン、芳香族第1級およびジ第1級アミノアルコール、並びに2以上の第1級アミン基を有するポリ(第1級アミン)、例えば、ポリ(エチレンイミン)などがある。有用なポリアミンは5,000以下、好ましくは3,800以下、またはより好ましくは2,500以下の分子量を有することができる。
【0011】
別の実施形態においては、水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンは、ダイズ粉、ゼラチンおよびアミノ糖、例えば、キトサンにおけるように、2500以上のアミン当量を有する。
【0012】
別の実施形態においては、水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンは10重量%以上、好ましくは20重量%以上のアミン基、例えば、エチルアミン基を有するポリマーを含む。
【0013】
さらに別の実施形態においては、水性バインダー組成物は共重合されたモノマーの全重量を基準にして25重量%以下、好ましくは10重量%以下の共重合されたカルボキシル基含有モノマーを有するビニルエマルションもしくはディスパーションポリマーをさらに含む。このようなポリマーは共重合されたモノマーの全重量を基準にして30重量%を超える共重合されたC以上のアルキル(メタ)アクリラートを含む(メタ)アクリラートコポリマー、または共重合されたモノマーの全重量を基準にして5重量%以下、もしくは好ましくは3重量%以下の共重合されたカルボキシル基含有モノマー、例えばメタクリル酸を有する(メタ)アクリラートコポリマーであることができる。好ましくは、このようなポリマーは全バインダー固形分を基準にして30重量%以下、好ましくは10重量%以下の量で使用される。
【0014】
さらに別の実施形態においては、水性バインダー組成物はC〜C30アルキル(もしくはアルケニル)2−ヒドロキシエチルアルカミド(もしくはアルケナミド)、C〜C30アルキル(もしくはアルケニル)ビス(2−ヒドロキシエチル)アミド、C11〜C30アルキル(もしくはアルケニル)2−ヒドロキシエチルアルカミド(もしくはアルケナミド)、C11〜C30アルキル(もしくはアルケニル)ビス(2−ヒドロキシ−エチル)アミン、C11〜C30アルキル(もしくはアルケニル)トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、C〜C30アルキル(もしくはアルケニル)モノグリセリド、三価ポリオールのC〜C30アルキル(もしくはアルケニル)モノカルボキシラート、(ポリ)アルコキシ化アミド、並びに(ポリ)アルコキシ化アルキル(もしくはアルケニル)モノカルボキシラートから選択されるもののような、1種以上の反応性防水剤をさらに含むことができる。このような反応性防水剤は、全バインダー固形分を基準にして10重量%以下の量で使用されうる。
【0015】
別の形態においては、本発明は2以上のアルデヒド基を有するジアルデヒドもしくはアルデヒドオリゴマーの1種以上を過剰なアンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩に、好ましくはアンモニア基:アルデヒド基のモル比1.5以上:1、もしくは10以下:1、好ましくは2.0以上:1、または好ましくは4以下:1で添加して、環式エナミン化合物を形成し、場合によって、次いで、得られた化合物を室温に置いておくことによりオリゴマー化させ、並びに得られた環式エナミン化合物もしくはオリゴマーを水可溶性もしくは分散性不揮発性第1級アミン、好ましくはポリ(第1級アミン)と一緒にすることを含む、水性バインダー組成物を製造する方法を提供する。
【0016】
さらに別の形態においては、本発明はバインダーを基材に適用し、100〜400℃、好ましくは200℃以下で硬化させることを含む、水性バインダー組成物を使用する方法を提供する。
さらに、本発明は、基材を水性バインダー組成物で処理し、次いで、乾燥させ、熱硬化させる方法を提供する。
さらに、本発明は、本発明の方法に従って処理された基材を含む物品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において使用される場合、語句「アルキル」とは、1以上の炭素原子を有するあらゆる脂肪族アルキル基を意味し、このアルキル基には、n−アルキル、s−アルキル、i−アルキル、t−アルキル基、または5、6もしくは7員環構造を1以上含有する環式脂肪族が挙げられる。
【0018】
本明細書において使用される場合、語句「水性」とは、水、並びに水と水混和性溶媒とから実質的に構成される混合物を含む。
本明細書において使用される場合、語句「エマルションポリマー」とは、水もしくは水性溶媒と一緒にされるときに分散相を形成するポリマーをいう。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「オリゴ」もしくは「オリゴマー」とは、2以上の繰り返し単位、例えば500以下の単位、または100以下の単位を含むことを意味する。オリゴマーとポリマーとは範囲が重複していても良い。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「ポリ(第1級アミン)」とは2以上の第1級アミン基を有するあらゆる化合物を意味する。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「不揮発性第1級アミン」とは、(周囲圧力で)150℃より高い沸点を有する第1級アミンを意味する。
【0022】
本明細書において使用される場合、用語「不揮発性水可溶性アミン」とは、アミンの除去後にその構造が10g/リットルを超える程度に水に可溶性である様な構造を有する不揮発性アミンを意味する。例えば、エタノールアミンは170℃で沸騰し、エタノールは10g/リットルを超える水中溶解度を有する。
【0023】
本明細書において使用される場合、「不揮発性水分散性アミン」とは、それ自体水に分散可能である不揮発性アミンを意味し、例えば、ポリペプチドおよびタンパク質、例えば、ダイズ粉、およびアミノ糖、例えば、キトサン、およびムコ多糖である。
【0024】
本明細書において使用される場合、用語「ポリマー」は用語「コポリマー」を含み、他に示されない限りは、用語「コポリマー」とは、2種以上の異なるモノマーから製造されるポリマーをいい、例えば、ターポリマー、ペンタポリマー、生成物コポリマー中に2種以上の異なる官能基が存在するように重合後に官能化されたホモポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマー、およびこれらの混合物または組み合わせ物が挙げられる。(コ)ポリマーとはホモポリマーもしくはコポリマーを意味する。
【0025】
本明細書において使用される場合、語句「実質的にホルムアルデヒドを含まない」とは、添加されるホルムアルデヒドを組成物が含まず、かつ組成物が乾燥および/または硬化の結果として実質的なホルムアルデヒドを遊離させないことをいう。好ましくは、このようなバインダーもしくはこのバインダーを組み込む材料は、このバインダーを乾燥および/または硬化させる結果として、100ppm未満のホルムアルデヒドしか、より好ましくは25未満の、最も好ましくは5ppm未満のホルムアルデヒドしか遊離させない。
【0026】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、用語「重量平均分子量」とは、サイズ排除ゲルクロマトグラフィ(SEC)によって決定される場合の物質の分子量をいう。
【0027】
本明細書において使用される場合、「重量%」または「重量パーセント」は固形分を基準にした重量パーセントを意味する。
【0028】
本明細書において使用される場合、語句「全バインダー固形分を基準にして」とは、バインダー中の全ての不揮発性成分(例えば、環式エナミン化合物、水可溶性もしくは分散性不揮発性第1級アミン糖もしくはポリオール、エマルションコポリマー、反応性防水剤および添加剤)の全重量と比較した、何らかの所定の成分の重量をいう。
【0029】
他に示されない限りは、本明細書において使用される科学技術用語は当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0030】
他に示されない限りは、丸括弧書きを含む用語は、その丸括弧が存在しないとした全体の用語、およびその丸括弧内に含まれる事項がない用語、およびそれぞれの選択肢の組み合わせを選択的に意味する。よって、用語「(メタ)アクリラート」とは、選択的に、メタクリラート、またはアクリラート、またはこれらの混合物を包含する。
【0031】
同じ成分もしくは特性に関する全ての範囲の端点はその端点を含み、独立して組み合わせ可能である。よって、例えば、0.1以上:1、または3以下:1、好ましくは0.4以上:1、または好ましくは2以下:1の開示された比率の範囲は、0.1:1〜3:1、0.4:1〜3:1、0.1:1〜2:1、および0.4:1〜2:1のいずれかおよび全てを意味する。
【0032】
他に示されない限りは、温度および圧力の条件は室温および標準圧力であり、「周囲条件」とも称される。水性バインダー組成物は周囲条件以外の条件下で乾燥させられうる。
【0033】
本発明の水性バインダー組成物は硬化して、高温、例えば、100℃以上で剛性であり、水または水分への曝露の後もその剛性のほとんどを維持する硬質物質を提供する。このバインダーは非常に低い硬化開始温度を有する。さらに、バインダー中の環式エナミン化合物は容易に製造され、比較的容易に取り扱われ、並びに低い毒性を有しかつアルデヒドもしくはジアルデヒド内容物を含まない。さらに、環式エナミン化合物、過剰なアンモニアもしくはその塩および場合によっては水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンの溶液は室温以上で水可溶性もしくは分散性オリゴマー生成物を生じさせるものであることができ、これは非常に優れた機械的特性を示すバインダーを提供する。
【0034】
本発明の水性バインダー組成物は再生可能な天然資源からのアミン、例えば、アミノ酸、植物供給原料、例えば、ダイズタンパク質および動物ゼラチン、特に魚ゼラチンを含むことができる。ジアルデヒドから形成される環式エナミン含有バインダーは植物からの他の材料、例えば、還元糖もしくは多糖とさらに配合されることができる。その水可溶性にかかわらず、ホットウェット引張強さ、よってバインダー処理された生成物の耐久性は本発明の水性バインダー組成物の使用を通じて改良される。さらに、硬化中の物理的特性の素早い発現によって示されるように、水性バインダー組成物は天然もしくは再生可能な供給原料からの他の既知のバインダーと比較したときにより低い硬化エネルギーを示す。
【0035】
本明細書において記載されるそれぞれの水性バインダー組成物については、水性組成物がバインダー組成物であり、かつその組成物が複合材料もしくは生成物中に存在する関連する実施形態が存在する。上で定義されたように、用語「複合材料」とは(a)繊維、スライバー、チップ、粒子およびこれらの組み合わせから選択される基材材料;並びに(b)記載される実施形態のバインダー組成物を含む材料をいう。複合材料は積層もしくは複数層膜の単一層も含むことができる。
【0036】
本発明は水性バインダーの全重量を基準にして5〜95重量%、好ましくは5重量%以上、または好ましくは20重量%以上、またはより好ましくは35重量%以上、またはより好ましくは50重量%以下の全固形分を含む水性バインダー組成物を提供する。水性バインダーは、水性バインダー溶液のいずれかを乾燥させて得られうる粉体化されたバインダーも含む。
【0037】
水性バインダー組成物は少なくとも1種の環式エナミン化合物もしくはオリゴマーを含む。このような化合物には、例えば、過剰のアンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩に1種以上のジアルデヒドもしくはオリゴマーアルデヒド、例えば、グルタルアルデヒド、1,6−ヘキサンジアール、コハク酸ジアルデヒド、およびマロン酸ジアルデヒド、4〜7個の炭素を有するジアルデヒド、2以上のアルデヒド基を有する脂環式アルデヒド、好ましくはコハク酸ジアルデヒドもしくはグルタルアルデヒドを混合することにより形成された反応生成物、並びに(オリゴ)1,4−ジヒドロピリジンが挙げられる。
【0038】
本発明の水性バインダー組成物は少なくとも1種の水可溶性もしくは分散性不揮発性アミン、例えば、アミノ酸、例えば、リシンもしくはグリシン、タンパク質またはポリペプチド、例えば、ダイズもしくは他の植物資源からのもの、ポリペプチド、脂肪族ポリアミン、例えば、トリエチレンテトラアミン、芳香族ポリアミン、例えば、エチレンイミンのオリゴマーおよびポリマーもしくはコポリマー、並びにアミン官能性ポリマー、例えば、ポリグアニド、ポリリシン、(メタ)アクリル酸n−アミノアルキルの(コ)ポリマー、例えば、メタクリル酸アミノエチル、ポリグアニジン、もしくはポリアニリンを含むことができる。好ましくは不揮発性アミンは第1級アミンである。
【0039】
好適なアミンには、例えば、ジアミンおよびポリ第1級ポリアミン、アルキルジ第1級もしくはより高次の第1級ジアミン、例えば、プトレシンおよびn−アルキレンジアミン、例えば、エチレンジアミン、およびヘキサメチレンジアミン、アミノグアニジン、およびその塩、例えば、アミノグアニジン塩酸塩;脂環式ジアミン、例えば、ジ−アミノエチルピペラジン;第1級アミン官能性アミノ酸、例えば、リシンおよびアミノグリシン;芳香族ジアミン、例えば、ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン(bisAMC)、m−キシレンジアミン(MXD);アルカノールアミン;並びに、ポリアミンポリマー、例えば、ポリエチレンイミン、10重量%以上のアミン基を有するポリエチレンイミン含有コポリマーおよびブロックコポリマー、並びに少なくとも10重量%、好ましくは20重量%のアミン基を有する他の(コ)ポリマーが挙げられる。1つの好適な脂環式第1級ジアミンは、以前はロームアンドハースカンパニーであったダウアドバンストマテリアルズ(フィラデルフィア、PA)からのPRIMENE商標MDである。
【0040】
速硬化性耐久性熱硬化性物質を提供する組成物は70重量%以下、もしくは50重量%以下、もしくは10重量%以上、もしくは20重量%以上の炭水化物で延ばされうる。炭水化物はポリオール、例えば、グリセリン、糖アルコール、例えば、ソルビトールもしくはマンニトールなど、並びに炭水化物、例えば、デキストロースもしくはフルクトースのような還元糖、デキストリン、例えば、マルトデキストリン、リグニンおよびガム、例えばグアーガムを含むことができる。還元糖は単糖、例えば、アルドースおよびケトース、または二糖であり、これはアルデヒドもしくはケトンをその開放鎖形態中に有する。これは例えば、アミンとの反応において、糖が還元剤として機能することを可能にする。還元糖には、グルコール、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノースおよびマルトースが挙げられる。さらに、ある種のケト糖は還元糖である、というのは、それらは一連の互変異性シフトによってアルデヒドに変換されることができ、カルボニルを鎖の末端に移動させることができるからである。この径路は熱硬化プロセス中にアクセス可能になる場合がある。
【0041】
多くの好適な還元糖ソース、例えば、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、および他のフルクトースおよびデキストロース同等物が使用されることができる。ある実施形態においては、還元糖成分は高デキストロース含量シロップ、例えば、30重量%を超えるデキストロースを有する高デキストロース含量シロップを含む。このようなシロップにおいては、より高いデキストロース含量、より良好には95%を超えるデキストロース含量のシロップ、例えば、米国イリノイ州デカターのアーチャーダニエルズミッドランドカンパニー(Archer Daniels Midland Company)からADM97/71コーンシロップが市販されている。
【0042】
可とう性バインダーに好適なさらなる実施形態においては、水性組成物はエマルションポリマー、例えば、25重量%以下、好ましくは3重量%以下の重合された酸コモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸を重合単位として有するアクリルエマルション、またはエマルションポリマー固形分の重量を基準にして30重量%を超えるC以上のアルキル基を含むエチレン性不飽和アクリルモノマーを含む疎水性エマルションポリマー、並びにアクリルもしくはスチレンアクリルエマルションポリマーをさらに含む。エマルションポリマーは組成物中に、全バインダー固形分を基準にして1重量%以上、または25重量%以下の量で存在することができる。
【0043】
別の実施形態においては、水性バインダー組成物は反応性防水剤をさらに含む。アルコキシ化形態の反応性防水剤には、例えば、(ポリ)アルコキシ化三価ポリオールのC〜C30アルキル(もしくはアルケニル)モノカルボキシラート、C〜C30アルキルアミン(もしくはアルケニルアミン)(ポリ)アルコキシラート、C〜C30アルキル(もしくはアルケニル)ジアミン(ポリ)アルコキシラート、アルキル(もしくはアルケニル)アミン基にエーテルもしくはチオエーテル基を含むC〜C30アルキル(もしくはアルケニル)アミン(ポリ)アルコキシラート、並びにこれらの混合物が挙げられうる。反応性防水剤は、全バインダー固形分を基準にして10重量%以下の量で使用されうる。
【0044】
さらに別の実施形態においては、水性バインダー組成物は添加剤、例えば、触媒、殺生物剤;難燃剤、腐蝕抑制剤、例えば、トリアゾールおよびホスファート化合物など、スズオキサラート、チオ尿素、オキサラートおよびクロマート、制塵剤、例えば鉱油など、消泡剤、例えばジメチコン、ケイ素ポリマー(ポリシロキサン)油、およびエトキシ化非イオン性物質;並びにカップリング剤、例えば、シラン、特にシルクェスト(Silquest商標)A−187(コネティカット州、ウイルトンにあるGEシリコーンズ−OSiスペシャリティーズにより製造);他のアミノシラン、例えば、3−アミノプロピルジアルコキシシラン、および3−(2−アミノエチル)アミノプロピルシランをさらに含むことができる。ある実施形態においては、殺生物剤は、バインダー用途の部分としての使用において水性バインダー組成物と共に、別の溶液として適用されることができる。バインダーへの殺生物剤の適用と選択的にもしくはこれと共に、殺生物剤は製造場所における「白水」に適用されうる。この水は製造された生成物を処理するのに、および/もしくは適用されるバインダー溶液を製造するのに使用されうる。
【0045】
有用な触媒にはリンベースの触媒、例えば、ジ亜リン酸ナトリウム、チタナートおよびジルコナート、例えば、デュポンによってTyzorの商品名で販売されている有機チタナートおよびジルコナート、例えば、Tyzor商標LA、Tyzor商標131、Tyzor商標217、およびTyzor商標218などの水可溶性もしくは分散性Tyzor;有機スズ塩、例えば、スズ(IV)アルコキシラートおよびジブチルスズジラウラート;アルミニウムもしくはマグネシウムのモノおよびジカルボン酸塩、並びに式MX[式中、Mは金属であり、Xは有機酸、ケト酸、例えば、グルコン酸、還元糖もしくはアルコキシ(アルキル)基であり、nは1〜5の整数である]を有する化合物、例えば、鉄(II)(グルコナート)が挙げられうる。このような化合物の例には、例えば、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、鉄、マグネシウム、スズ、チタンおよびホウ素のクエン酸塩、乳酸塩およびグルコン酸塩;並びにアルコールもしくはカルボン酸のチタナートもしくはジルコナートが挙げられる。
【0046】
水性組成物のホルムアルデヒド含量を最小限にするために、ポリマーを含みホルムアルデヒドを含まない硬化性組成物を製造する場合には、重合添加剤を使用するのが好ましく、この重合添加剤はそれ自体がホルムアルデヒドを含まず、またはバインダー形成、適用または硬化中にホルムアルデヒドを含まずもしくは発生させない。
【0047】
本発明はバインダーを基材に適用し、乾燥させおよび/または硬化させることを含むバインダーを使用する方法を提供する。乾燥(水性形態で適用される場合)および硬化においては、硬化性組成物、加熱の期間および温度は乾燥の速度、処理もしくは取り扱いの容易さ、並びに処理された基材の特性発現に影響を及ぼすであろう。好適な熱処理温度は75℃以上かつ400℃以下の範囲であることができる。好適な硬化時間は30秒〜60分、好ましくは10分以下、またはより好ましくは6分以下の範囲である。好ましい処理は基材依存性である。セルロース繊維のような感熱性基材は75〜175℃で処理されうるが、熱に対して感受性が低い複合材料は200℃以下で処理されることができ、鉱物繊維のような耐熱性基材は硬化をもたらしかつ熱硬化特性を最大化するのに必要である限りは、300℃以下で処理されうる。適用後、バインダーがその基材上で硬化するのに充分な温度までコーティングされた不織物を加熱することにより、バインダーが硬化されうる。
【0048】
バインダーは、好適な手段、例えば、エアスプレイ、エアレススプレイ、パディング、飽和、ロールコーティング、カーテンコーティング、ビーター堆積、凝集、またはディップおよびスクイーズ適用などによって、例えば、繊維のウェブなどの基材に適用されることができ、支持ワイヤまたはスクリーン上にある得られた飽和湿潤ウェブは1以上の真空ボックス上を通されて、生成物もしくは処理された基材において望まれるバインダー含量を達成するのに充分なバインダーを除去する。
【0049】
乾燥および硬化は所望の場合には2以上の別個の工程で行われることができる。例えば、硬化性組成物は最初に、組成物を少なくとも部分的に乾燥させるのに充分であるが、完全に硬化させない時間および温度で加熱されることができ、次いで、硬化をもたらすために、第2の時間で、より高い温度で、および/またはより長い時間で加熱することができる。「B−ステージング」と称されるこのような手順は、バインダー処理された不織物を提供するために、例えば、ロール形態で、後に硬化されることができ、この硬化プロセスと同時に具体的な形状への形成もしくは成形を伴うかまたは伴わずに使用されうる。
【0050】
バインダー適用に好適な基材には、例えば、織物、例えば、綿、リネン、羊毛およびポリエステル、レーヨンもしくはナイロンからの合成織物、並びに超吸収繊維;植物もしくはセルロース系繊維、例えば、ジュート、サイザル、亜麻、綿および動物繊維;並びに、耐熱性基材、例えば、金属;プラスチック;合成繊維、例えば、ポリエステル、レーヨン、ポリ(アクリロニトリル)(PAN)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリオレフィン、2種以上の繊維形成性ポリマー、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタラートなどを含む2成分繊維;鉱物繊維、例えば、ガラスおよび鉱物繊維、スラグもしくはストーンウール、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、並びにそれらから製造された織物および不織布;並びに、感熱基材、例えば、木材、例えば、固体木材、木材粒子、繊維、チップ、粉体、パルプおよびフレーク;紙およびボール紙が挙げられうる。
【0051】
本発明のバインダーは好ましくは不織ウェブを処理するために使用されうる。「不織ウェブ」とは、天然および/または合成繊維から、その繊維がランダムまたは半ランダムな秩序で(すなわち、意図的に秩序づけられずに)配列されるように、例えば、ニードルパンチング、スパンボンディング、スパンレースウェブ、メルトブローウェブ、エアレイド(ドライレイド)プロセスにより、およびウェットレイドプロセスによるような機械的手段によって;および/もしくは、例えば、ポリマーバインダーでの処理のような化学的手段により、またはこれらの組み合わせによって製造されたあらゆる物品もしくはシート状形態をいう。鉱物繊維はウェブの形態であることができ、すなわち、形成チャンバーに吹き込まれ、バインダーを噴霧し、コンベア上にウェブとして堆積されうる。ウェブ形成プロセス中に(主として機械方向の)繊維の幾分かの秩序化が起こる。本発明での使用に好適な不織ウェブの定義に含まれるのは、化学的処理もしくは機械的処理の作用によって製造される多孔膜(例えば、開口膜)である。
【0052】
好ましい実施形態においては、バインダー処理された生成物は不織物、例えば、耐熱不織物を含む。耐熱不織物は、基材の性能に材質的に悪影響を及ぼさない限りはそのような量で、それ自体が耐熱性でない繊維、例えば、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維および超吸収体繊維などを含むこともできる。
【0053】
ある種の好適な耐熱不織物、例えば、屋根葺きシングル材またはロール屋根材製造に従って、高温アスファルト組成物を含浸させたガラス繊維含有不織布などは、周囲温度よりも高い温度で使用される。不織布が150℃〜250℃の温度で高温アスファルト組成物と接触するとき、不織布は垂れ下がり、収縮しまたは他の方式で変形するようになり得る。従って、硬化性組成物を組み込む不織布は、硬化した水性組成物によって与えられる特性、例えば、引張強さなどを実質的に保持するべきである。さらに、例えば、硬化した組成物が、処理条件下で、硬すぎたもしくは脆すぎたまたは粘着性になりすぎた場合にあるように、硬化した組成物は本質的な不織布特性を実質的に損なうべきではない。
【0054】
別の実施形態においては、本発明は繊維のウェブから製造されたマットを処理する方法を含み、好ましくは、本発明の水性バインダーがそのマットに適用されるバインダー適用ステーションを通って動く移動スクリーンに移される。
【0055】
基材におけるバインダー添加量は多くの場合基材および機能依存性である。添加量は仕上がった基材の3重量%以上、または10重量%以上、または35重量%以下、好ましくは処理される乾燥基材の全重量を基準にして12重量%以上、または最も好ましくは15〜25重量%の範囲であることができる。
【0056】
本発明のバインダーについてのいくつかの好適な用途には、例えば、室内家具、トリムおよび成形品のための非構造化複合材料および積層物;並びに、フィルター媒体のような紙、板紙、ボール紙のウェットエンド形成、およびドライエンド処理もしくはコーティング;並びに織布および不織布の製造および処理、例えば、ガラス繊維およびストーンウール断熱バット、ポリエステルおよびスパンボンド屋根用シングル材、床用もしくは屋根用下張りおよび/またはスクリム、および石膏板フェーシング、並びにろ過媒体、例えばエアフィルターおよびオイルフィルターが挙げられうる。
【実施例】
【0057】
下記実施例は本発明をより良好に説明する役目を果たし、本発明は実施例によって限定されることを意図していない。
【0058】
バインダー製造:マグネチックスターラーおよび熱電対を備えた250mlのビーカーに水酸化アンモニウム(水性、フィッシャーサイエンティフィック、ラベルアッセイ28〜30重量%)を入れ、氷中で2〜5℃に冷却する。次いで、このアンモニア混合物にグルタルアルデヒドと蒸留水の混合物をゆっくりと滴下添加する。添加の速度は温度が15℃を超えないように維持される。次いで、この混合物は氷浴から取り出され、「アミン」がポーションでそのまま添加される。バインダー溶液固形分はグルタルアルデヒドおよびアミンの全重量を加え、これをバッチ重量で割ることにより計算される。目標の固形分は約20%である。次いで、添加量が約20%であるように、この溶液はワットマンGF/A濾紙上に染みこませられる。バインダー添加量の決定については以下を参照。このバインダーは以下の表1に示される。
【0059】
ガラスマイクロファイバー濾紙の処理および引張強さ:各配合物の成分を混合して、約150グラムの20重量%固形分の水溶液を生じさせることにより、以下の表1に示されるバインダーが製造された。バインダー含浸マイクロファイバーフィルター、20.3cm×25.4cmシート(ワットマン インターナショナル インコーポレーテッド、英国、メイドストーン、GF/Aカタログ番号1820 866号)は、20重量%の配合物、さらに15重量%固形分に希釈された部分の120グラムを満たした容器にフィルターシートを通すことにより製造された。浸したシートを2枚のボール紙の間に夾んで余分なバインダーを吸収させ、Birch Bros.Padderにおいて、68.9476kPa/速度5m/分で2枚のボール紙の間で加圧した。得られたサンプルは、90℃で90秒間、液化装置を備えたまたはベントされたマチスオーブン内で乾燥させられた。
【0060】
バインダー添加量を決定するために、乾燥後重量を決定した(フィルターペーパー重量のパーセンテージとしての乾燥バインダー重量)。全てのシートは約20重量%のバインダー添加量を有していた。「添加量」はフィルターシート重量を基準にした硬化後のフィルターシート上に保持されるバインダー固形分の重量%である。次いで、乾燥したシートを、サンプルを乾燥させるのに使用されたのと同じ種類のマチスオーブン中で190℃で60秒間および180秒間硬化させた。
【0061】
硬化したシートは2.54cm(1インチ)(機械方向に対して横方向)×10.16cm(4インチ)(機械方向)のストリップに切り出され、機械方向でThwing−Albert Intelect500引張試験器において引張強さについて試験された。固定ギャップは5.08cm(2インチ)であり、引張速度は2.54cm(1インチ)/分であった。ストリップは「そのまま」(乾燥引張)もしくは85℃で水に浸けて10分の直後(10分間湿潤引張)に試験された。引張強さは分離の際に測定されるピーク力としてニュートン単位で記録された。報告されるデータは7つの試験ストリップの平均であり、以下の表2に示される。
【0062】
【表1】

【0063】
1.Norland HiPure商標魚ゼラチン(ロット番号14719)ニュージャージー州、クランブリー。
2.0.087g亜硫酸水素塩で分散されたArcher Daniels Midland325(米国、イリノイ州、デカター)。
【0064】
上記表1におけるバインダーのそれぞれにおいて、アンモニア基:アルデヒド基の当量比は2.0:1であった。様々なアミンが様々な量で添加された。実施例1においては、環式エナミン基:アミン基の比率は6.6:1であった。
【0065】
以下の表2に示されるように、本発明のバインダーは全て良好な引張強さを示すが、ただし実施例6におけるアルギニンを除くが、実施例6においてはアンモニアスカベンジャーがバインダーの発現を遅らせることが考えられうる。実施例6を除いて、組成物はエナミン化合物に加えて広範囲のアミン材料を用いて良好に機能した。過半部分の水可溶性もしくは分散性アミンを有する実施例3、11および15の組成物でさえ、許容可能な加熱湿潤引張強さをもたらした。実施例15は第2級アミンを含んでいた。
【0066】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の環式エナミン化合物および/またはそのオリゴマーと、アンモニア、水酸化アンモニウムまたはアンモニア塩とを含む熱硬化性水性バインダー組成物。
【請求項2】
前記環式エナミンもしくはオリゴマーがビスエナミンもしくはそのオリゴマーを含む、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項3】
前記ビスエナミンもしくはオリゴマーが1,4−ジヒドロピリジンもしくはオリゴ(1,4−ジヒドロピリジン)である、請求項2に記載のバインダー組成物。
【請求項4】
1種以上の水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンをさらに含む、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項5】
環式エナミン化合物および水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンを、環式エナミン基:アミン基のモル比0.1:1〜15:1で含む、請求項4に記載のバインダー組成物。
【請求項6】
水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンが1以上の第1級アミン基を有する脂肪族ヒドロキシアミン、1以上の第1級アミン基を有する芳香族アミン、アミン官能性ポリマー、タンパク質、ゼラチン、アミノ酸、アミノ糖、ポリペプチド、尿素、第1級アミンとポリオールとの混合物、並びに第1級アミンと炭水化物との混合物から選択される第1級アミンである、請求項4に記載のバインダー組成物。
【請求項7】
水可溶性もしくは分散性不揮発性アミンが2以上の第1級アミン基を有するポリ(第1級アミン)である、請求項6に記載のバインダー組成物。
【請求項8】
場合によって、1種以上のポリオール、炭水化物もしくは糖アルコールをさらに含む、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項9】
1種以上の環式エナミン化合物またはそのオリゴマーが、過剰なアンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩の存在下のジアルデヒドから生じた、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項10】
2以上のアルデヒド基を有するジアルデヒドもしくはアルデヒドオリゴマーの1種以上を過剰なアンモニア、水酸化アンモニウムもしくはアンモニア塩に、アンモニア基:アルデヒド基のモル比1.5以上:1で添加することを含む、請求項1に記載のバインダー組成物を製造する方法。

【公開番号】特開2011−256383(P2011−256383A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−120927(P2011−120927)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】