ジスルフィドで安定化された多価抗体
1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分、たとえばFab又はFab’断片を含み、VH/VL対である第2の対象抗原に対する特異性を有する2つの単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、2つの単一ドメイン抗体がジスルフィド結合によって連結されている、多価抗体融合タンパク質。また、ジスルフィド結合によって安定化されている、特定の二重特異性抗体融合タンパク質及び他の抗体断片も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい二重特異性抗体融合タンパク質に関する。そのような抗体は、そのin vivo血清半減期を延長させるために使用する、1つの対象抗原に対する第1の特異性、及び第2の対象抗原、たとえば血清担体タンパク質に対する第2の特異性を含む。また、そのような分子及びそれらを含む医薬組成物を生成する方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
抗体の高い特異性及び親和性により、これらが、特にタンパク質:タンパク質の相互作用を変調させるための理想的な診断剤及び治療剤となる。組換え抗体技術の分野における進歩により、Fv、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片並びに他の抗体断片などの抗体断片の生成がもたらされた。これらのより小さな分子は、完全抗体の抗原結合活性を保持しており、完全免疫グロブリン分子と比較して改善された組織透過及び薬物動態学の特性も示すことができる。実際、ReoPro(登録商標)及びLucentis(登録商標)などの製品の最近の成功によって見られるように、抗体断片は多用途の治療剤であることが証明されつつある。そのような断片は完全免疫グロブリンを超えるいくつかの利点を示すように見える一方で、これらは、in vivoでの長い寿命を与えるFcドメインを欠くため、増加した血清クリアランス速度の欠点もある(Medasanら、1997、J.Immunol.、158:2211〜2217)。
【0003】
二重特異性を有する、すなわち2つの異なる抗原と結合する抗体が、以前に記載されている(総説には、Segalら、1999、Curr.Opin.Immunol.、11:558〜562、Plueckthun及びPack、1997、Immunotechnology、3:83〜105、Fischer及びLeger、2007、Pathobiology、74、3〜14を参照)。また、二重特異性抗体は、WO02/02773号、US2007065440号、US2006257406号、US2006106203号及びUS2006280734号にも記載されている。ヘテロ二重特異性抗体に基づく分子を作製するための以前の手法では、一般に、化学的架橋結合又はタンパク質工学技法が用いられてきた。化学的架橋結合は、ヘテロ及びホモ二量体の形成の収率不良並びにそれに続くクロマトグラフィー分離の必要性を欠点とする。タンパク質工学手法は、非常に精巧であったか(たとえば、ノブ−イン−ホール(knobs−into−holes)工学、Ridgwayら、1996、Protein Eng.、9(7):617〜621)、又は不適切な安定性の特徴を有する分子を使用していた(たとえばジアボディー、scFv)。一部の事例では、二重特異性抗体は、両方の抗原がそれぞれの抗体アームに同時に結合することができないという立体障害の問題の欠点を有する場合もある。
【0004】
単一ドメイン抗体又はdAbとしても知られる単一可変ドメイン抗体は、抗体の重鎖(VH)又は軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に対応する。マウス単一ドメイン抗体はWardら、1989、Nature、341、544〜546によって記載されている。また、ヒト及び「ラクダ化」ヒト単一ドメイン抗体も記載されている(Holtら、2003、Trends in Biotechnology、21、484〜490)。また、単一ドメイン抗体は、ラクダ科(ラクダ及びラマ)並びに軟骨魚類(テンジクザメ(wobbegong)及びコモリザメ(nurse shark))からも得られている。これらの生物は、その免疫系の不可欠且つ重大な構成要素としてFcに等価の定常ドメインフレームワーク上に搭載されている、進化した高い親和性の単一のV様ドメインを有する(ラクダ科ではVhHと呼ばれ、サメではV−NARと呼ばれる)(総説には、Holliger及びHudson、2005、Nature Biotechnology、23(9):1126〜1136を参照)。
【0005】
単一ドメイン抗体−酵素の融合体は、EP0368684号に記載されている。また、単一ドメイン−エフェクター群融合体もWO2004/058820号に記載されており、これは単一可変ドメインを含む。二重可変ドメイン免疫グロブリンはWO2007/024715号に記載されている。二重特異的リガンドは、異なる特異性を有する2つの単一ドメイン抗体を含み、EP1517921号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2及び他の抗体断片などの抗体断片の半減期を改善させる手段が知られている。一手法は、断片をポリマー分子にコンジュゲートさせることである。したがって、動物におけるFab’、F(ab’)2断片の短い循環半減期は、ポリエチレングリコール(PEG)とのコンジュゲーションによって改善されている(たとえば、WO98/25791号、WO99/64460号及びWO98/37200号を参照)。別の手法は、FcRn受容体と相互作用する薬剤とのコンジュゲーションによって抗体断片を修飾することである(たとえばWO97/34631号を参照)。半減期を延長させるためのさらに別の手法は、血清アルブミンと結合するポリペプチドを使用することである(たとえば、Smithら、2001、Bioconjugate Chem.、12:750〜756、EP0486525号、US6267964号、WO04/001064号、WO02/076489号、及びWO01/45746号を参照)。しかし、FcRn受容体と相互することが原因で長い半減期を有するものの代替物として、PEGとのコンジュゲーションによって修飾されずに、又はヒト血清アルブミンにコンジュゲートされずに、長いin vivo半減期を有する抗原結合免疫グロブリンタンパク質を生成する必要性が依然として残る。
【0007】
様々なタンパク質が血漿中に存在し、チロキシン結合タンパク質、トランスサイレチン、α1−酸糖タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン及びアルブミン、又はその任意のものの断片が含まれる。血清担体タンパク質は体内を循環し、半減期は日単位で測定され、たとえば、チロキシン結合タンパク質では5日間、又はトランスサイレチンでは2日間(Bartalena及びRobbins、1993、Clinics in Lab.Med.、13:583〜598)、又はヨウ素化α1−酸糖タンパク質の代謝回転の第2期では65時間(Breeら、1986、Clin.Pharmacokin.、11:336〜342)である。Gitlinら(1964、J.Clin.Invest.、10:1938〜1951)からのデータでは、妊娠女性では、α1−酸糖タンパク質の半減期は3.8日間であり、トランスフェリンは12日間であり、フィブリノーゲンは2.5日間であることが示唆されている。血清アルブミンは、血管及び血管外の区画のどちらにおいても豊富なタンパク質であり、人における半減期は約19日間である(Peters、1985、Adv Protein Chem.、37:161〜245)。これは、約21日間であるIgG1の半減期に類似している(Waldeman及びStrober、1969、Progr.Allergy、13:1〜110)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、組換えによって生成することができ、2つの抗原、具体的には2つの別個の/異なる抗原と同時に結合することができる、改善された二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0009】
したがって、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分、たとえばFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有する単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、具体的には第1の抗原及び第2の抗原が異なる実体である、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中で用いる単一ドメイン抗体とは、単鎖Fvに言及するものではない。単鎖Fvは、互いに連結されていることによって独立した実体を形成する、又はその中の可変ドメインの1つのみを介して別の実体に連結されている、2つの可変ドメインによって特徴づけられている。
【0011】
本明細書中で用いる多価とは、2つ以上の結合部位、たとえば2つ又は3つの結合部位、たとえば2つの結合部位を有する実体をいうことを意図する。それぞれの結合部位は、同じエピトープ若しくは同じ抗原上の異なるエピトープと結合し得るか、又は異なる(別個の)抗原と結合し得る。
【0012】
また、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分、たとえばFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体をさらに含む、二重特異性抗体融合タンパク質も提供する。
【0013】
本発明の二重特異性抗体融合体は、2つの対象抗原と選択的に結合することができる。
【0014】
一実施形態では、第1及び第2の抗原は同じ抗原である。
【0015】
一実施形態では、Fab又はFab’断片によって結合される対象抗原は、細胞会合タンパク質、たとえば、細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞若しくは腫瘍細胞などの細胞上の細胞表面タンパク質であり得るか、又は可溶性タンパク質であり得る。また、対象抗原は、疾患又は感染中にアップレギュレーションされるタンパク質などの、任意の医学的に関連性のあるタンパク質、たとえば受容体及び/又はその対応するリガンドであり得る。細胞表面タンパク質の特定の例には、接着分子、たとえばβ1インテグリンなどのインテグリン、たとえば、VLA−4、E−セレクチン、Pセレクチン又はL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD45、CDW52、CD69、CD134(OX40)、ICOS、BCMP7、CD137、CD27L、CDCP1、DPCR1、DPCR1、デュデュリン2、FLJ20584、FLJ40787、HEK2、KIAA0634、KIAA0659、KIAA1246、KIAA1455、LTBP2、LTK、MAL2、MRP2、ネクチン様2、NKCC1、PTK7、RAIG1、TCAM1、SC6、BCMP101、BCMP84、BCMP11、DTD、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI及びMHCクラスII抗原、VEGF、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。
【0016】
可溶性抗原には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−16又はIL−17などのインターロイキン、たとえば呼吸器合胞体ウイルス又はサイトメガロウイルス抗原などのウイルス抗原、IgEなどの免疫グロブリン、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、G−CSF又はGM−CSFなどのコロニー刺激因子、及びPDGF−α、PDGF−βなどの血小板由来成長因子、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。他の抗原には、細菌細胞表面抗原、細菌毒素、ウイルス、たとえば、インフルエンザ、EBV、HepA、B及びC、バイオテロ剤、放射性核種及び重金属、並びにヘビ及びクモの毒液及び毒素が含まれる。
【0017】
一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質は、対象抗原の活性を機能的に変更させるために使用し得る。たとえば、抗体融合タンパク質は、前記抗原の活性を直接又は間接的に中和、拮抗又は刺激し得る。
【0018】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質中の単一ドメイン抗体(単数又は複数)によって結合される第2の対象抗原は、細胞会合タンパク質、たとえば、細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞若しくは腫瘍細胞などの細胞上の細胞表面タンパク質であり得るか、又は可溶性タンパク質であり得る。また、対象抗原は、疾患又は感染中にアップレギュレーションされるタンパク質などの、任意の医学的に関連性のあるタンパク質、たとえば受容体及び/又はその対応するリガンドであり得る。細胞表面タンパク質の特定の例には、接着分子、たとえばβ1インテグリンなどのインテグリン、たとえば、VLA−4、E−セレクチン、Pセレクチン又はL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD45、CDW52、CD69、CD134(OX40)、ICOS、BCMP7、CD137、CD27L、CDCP1、DPCR1、DPCR1、デュデュリン2、FLJ20584、FLJ40787、HEK2、KIAA0634、KIAA0659、KIAA1246、KIAA1455、LTBP2、LTK、MAL2、MRP2、ネクチン様2、NKCC1、PTK7、RAIG1、TCAM1、SC6、BCMP101、BCMP84、BCMP11、DTD、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI及びMHCクラスII抗原、VEGF、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。
【0019】
可溶性抗原には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−16又はIL−17などのインターロイキン、たとえば呼吸器合胞体ウイルス又はサイトメガロウイルス抗原などのウイルス抗原、IgEなどの免疫グロブリン、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、G−CSF又はGM−CSFなどのコロニー刺激因子、及びPDGF−α、PDGF−βなどの血小板由来成長因子、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。他の抗原には、細菌細胞表面抗原、細菌毒素、ウイルス、たとえば、インフルエンザ、EBV、HepA、B及びC、バイオテロ剤、放射性核種及び重金属、並びにヘビ及びクモの毒液及び毒素が含まれる。
【0020】
単一ドメイン抗体(単数又は複数)によって結合され得る他の抗原には、血清担体タンパク質、細胞媒介性のエフェクター機能の動員を可能にするポリペプチド及び核種キレートタンパク質が含まれる。
【0021】
したがって、一例では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分を含み、第2のタンパク質に対する特異性を有する単一ドメイン抗体をさらに含み、後者が補体経路の活性化及び/又はエフェクター細胞の動員などのエフェクター機能を動員する能力をもたらす、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。さらに、本発明の融合タンパク質は、核種キレートタンパク質と結合する単一ドメイン抗体によって放射性核種をキレート化するために使用し得る。そのような融合タンパク質は、治療用のイメージング又は放射性核種標的化手法において有用である。
【0022】
したがって、一例では、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片は動員ポリペプチドに対する特異性を有する少なくとも1つのdAbと融合されており、前記dAbは、前記動員ポリペプチドと結合することによって細胞媒介性エフェクター機能(単数又は複数)を直接又は間接的に動員する能力をもたらす、単離した二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0023】
エフェクター機能の動員は、エフェクター機能が、その表面上に動員分子を保有している細胞に関連しているという点で、直接であり得る。間接的な動員は、dAbと動員分子との結合が、たとえば、立ち代ってエフェクター機能を直接若しくは間接的に動員し得る因子の放出を引き起こす場合に起こり得るか、又はシグナル伝達経路の活性化を介したものであり得る。例には、TNFα、IL2、IL6、IL8、IL17、IFNγ、ヒスタミン、C1q、オプソニン、並びにC2、C4、C3−転換酵素、及びC5〜C9などの古典的及び副補体活性化カスケードの他のメンバーが含まれる。
【0024】
本明細書中で使用する「動員ポリペプチド」には、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIなどのFcγR、それだけには限定されないがC1q及びC3などの補体経路タンパク質、それだけには限定されないが、CD68、CD115、CD16、CD80、CD83、CD86、CD56、CD64、CD3、CD4、CD8、CD28、CD45、CD19、CD20及びCD22などのCDマーカータンパク質(表面抗原分類マーカー)が含まれる。CDマーカータンパク質であるさらなる動員ポリペプチドには、CD1、CD1d、CD2、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD40、CD43、CD44、CD45、CD46、CD49、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD58、CD59、CD61、CD62、D62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD66e、CD68、CD70、CD71、CD72、CD79、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD88、CD89、CD90、CD94、CD95、CD98、CD106、CD114、CD116、CD117、CD118、CD120、CD122、CD130、CD131、CD132、CD133、CD134、CD135、CD137、CD138、CD141、CD142、CD143、CD146、CD147、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD162、CD164、CD169、CD184、CD206、CD209、CD257、CD278、CD281、CD282、CD283及びCD304、又は細胞媒介性エフェクター機能を直接若しくは間接的に動員する能力を保持しているその任意のものの断片が含まれる。また、動員ポリペプチドには、エフェクター機能を保有するIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE及びIgAなどの免疫グロブリン分子も含まれる。
【0025】
一実施形態では、dAbが特異性を有する第2のタンパク質は補体経路タンパク質であり、C1qが特に好ましい。
【0026】
好ましい実施形態では、dAbが特異性を有する第2のタンパク質はCDマーカータンパク質であり、CD68、CD80、CD86、CD64、CD3、CD4、CD8、CD45、CD16及びCD35が特に好ましい。
【0027】
したがって、対象抗原に対する特異性を有する抗体断片を含み、前記断片が、CD68、CD80、CD86、CD64、CD3、CD4、CD8、CD45、CD16及びCD35からなる群から選択されるCD分子に対する特異性を有する少なくとも1つのdAbと融合されている、単離した二重特異性抗体融合タンパク質も提供される。
【0028】
一実施形態では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、第1の特異性を有する免疫グロブリン部分に延長された半減期をもたらす。
【0029】
したがって、一実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されており、前記単一ドメイン抗体が、前記血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子又はCD35/CR1と結合することによって、前記対象抗原に対する特異性を有する抗体断片に延長された半減期をもたらす、二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0030】
一実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されており、前記単一ドメイン抗体が、前記血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子又はCD35/CR1と結合することによって、前記対象抗原に対する特異性を有する抗体断片に延長された半減期をもたらす、単離した二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0031】
本明細書中で使用する「血清担体タンパク質」には、チロキシン結合タンパク質、トランスサイレチン、α1−酸糖タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン及びアルブミン、又はその任意のものの断片が含まれる。
【0032】
本明細書中で使用する「循環免疫グロブリン分子」には、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、sIgA、IgM及びIgD、又はその任意のものの断片が含まれる。
【0033】
CD35/CR1とは、赤血球上に存在し、36日間の半減期を有するタンパク質である(正常な範囲は28〜47日間、Lanaroら、1971、Cancer、28(3):658〜661)。
【0034】
好ましい実施形態では、dAbが特異性を有する第2のタンパク質は血清担体タンパク質であり、ヒト血清担体タンパク質が特に好ましい。最も好ましい実施形態では、血清担体タンパク質はヒト血清アルブミンである。
【0035】
したがって、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、ヒト血清アルブミンに対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0036】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、ヒト血清アルブミンに対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、単離した二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0037】
一実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体断片はFab断片である。別の実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体断片はFab’断片である。
【0038】
したがって、最も好ましい一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質は、翻訳融合タンパク質、すなわち遺伝子融合体であり、そのそれぞれの配列は発現ベクターによってコードされている。或いは、抗体融合タンパク質構成要素は、化学的手段を使用して、すなわち、化学的コンジュゲーション又は化学的架橋結合によって融合されている。そのような化学的手段は当分野で知られている。
【0039】
一例では、抗体断片は、ネイティブ又は改変されたヒンジ領域を保有するFab’断片である。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質を調製するために使用する抗体断片がFab’断片である場合、前記断片は、一般に、重鎖のC末端で1つ又は複数のアミノ酸によって延長される。したがって、本発明の抗体融合体は、直接又はリンカーを介してdAbに翻訳融合(又は化学的融合)されたFab’断片を含むことができる。さらに、適切な抗体Fab’断片の例には、WO2005003170号及びWO2005003171号に記載されているものが含まれる。
【0040】
別の例では、抗体断片はFab断片である。したがって、本発明の抗体融合体は、リンカー配列に翻訳融合(又は化学的融合)されており、立ち代ってそれがdAbに翻訳融合(又は化学的融合)されている、Fab断片を含むことができる。好ましくは、Fab断片は、WO2005/003169号に記載されているように、鎖間システインで終結するFab断片である。したがって、一例では、Fab断片は、IgG1の位置233で終結する。
【0041】
本発明において有用な抗体Fab又はFab’断片は、任意の種からのものであることができるが、好ましくは、モノクローナル抗体、ヒト抗体に由来するか、又はヒト化断片である。本発明において使用するための抗体断片は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD若しくはIgA)又はサブクラスに由来することができ、たとえば、マウス、ラット、サメ、ウサギ、ブタ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ又はヒトを含めた任意の種から得られ得る。
【0042】
一実施形態では、抗体Fab又はFab’断片は、モノクローナル、完全ヒト、ヒト化又はキメラ抗体断片である。一実施形態では、抗体Fab又はFab’断片は、完全にヒトであるか、又はヒト化されたものである。
【0043】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技法(Kohler及びMilstein、Nature、1975、256、495〜497)、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozborら、Immunology Today、1983、4、72)及びEBV−ハイブリドーマ技法(Coleら、「モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)」、ページ77〜96、Alan R.Liss,Inc.、1985)などの、当分野で知られている任意の方法によって調製し得る。
【0044】
また、本発明において使用するための抗体は、たとえば、Babcook,J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1996、93(15)、7843〜7848、WO92/02551号、WO2004/051268号及びWO2004/106377号によって記載されている方法によって、特定の抗体の産生について選択された単一のリンパ球から作製された免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニング及び発現させることによって、単一リンパ球抗体方法を使用しても、作製し得る。
【0045】
ヒト化抗体とは、非ヒト種からの1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する、非ヒト種からの抗体分子である(たとえばUS5,585,089号を参照)。
【0046】
また、本発明において使用するための抗体は、当分野で知られている様々なファージディスプレイ方法を使用して作製することもでき、Brinkmanら、J.Immunol.Methods、1995、182、41〜50、Amesら、J.Immunol.Methods、1995、184、177〜186、Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.、1994、24、952〜958、Persicら、Gene、1997、187、9〜18、及びBurtonら、Advances in Immunology、1994、57、191〜280、WO90/02809号、WO91/10737号、WO92/01047号、WO92/18619号、WO93/11236号、WO95/15982号、及びWO95/20401号、並びにUS5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743、及び第5,969,108号によって記載されているものが含まれる。また、トランスジェニックのマウス又は他の哺乳動物を含めた他の生物を使用しても、ヒト化抗体を作製し得る。
【0047】
完全ヒト抗体とは、重鎖及び軽鎖の両方の可変領域及び定常領域(存在する場合)が、必ずしも同じ抗体からのものではないが、すべてヒト起源である、又はヒト起源の配列と実質的に同一である抗体である。完全ヒト抗体の例には、たとえば、一般的にEP0546073 B1号、US5,545,806号、US5,569,825号、US5,625,126号、US5,633,425号、US5,661,016号、US5,770,429号、EP0438474 B1号及びEP0463151 B1号に記載されているように、たとえば上述のファージディスプレイ方法によって産生された抗体、並びにマウス免疫グロブリンの可変及び/又は定常領域の遺伝子がそのヒト対応物によって置き換えられているマウスによって産生された抗体が含まれ得る。
【0048】
本発明において使用するための抗体Fab又はFab’断片の出発物質は、任意の適切な酵素切断及び/又は消化技法を使用して、たとえばペプシンを用いた処理によって、任意の完全抗体、特に完全モノクローナル抗体から得られ得る。或いは、又はそれに加えて、抗体の出発物質は、抗体の可変及び/又は定常領域をコードしているDNAの操作及び再発現を含む組換えDNA技法の使用によって調製し得る。標準の分子生物学的技法を使用して、アミノ酸又はドメインを所望に応じて修飾、付加、又は欠失させ得る。可変又は定常領域へ任意の変更を行っても、それらは依然として本明細書中で使用する用語「可変」及び「定常」領域によって包含される。
【0049】
抗体断片の出発物質は、たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ又はヒトを含めた任意の種から得られ得る。抗体断片の部分を複数の種から得てもよく、たとえば抗体断片はキメラであり得る。一例では、定常領域が1つの種からのものであり、可変領域が別の種からのものである。また、抗体断片の出発物質は改変されていてもよい。別の例では、抗体断片の可変領域は、組換えDNA操作技法を用いて作製されている。そのような操作されたバージョンには、たとえば、天然抗体の可変領域から、天然抗体のアミノ酸配列への又はそれ中の、挿入、欠失又は変化によって作製されたものが含まれる。この種類の特定の例には、少なくとも1つのCDRを含有し、任意選択で、1つの抗体からの1つ又は複数のフレームワークのアミノ酸を含有し、可変領域ドメインの残りの部分が第2の抗体からのものである、操作された可変領域ドメインが含まれる。これらの抗体断片を作製及び製造する方法は当分野で周知である(たとえば、Bossら、US4,816,397号、Cabillyら、US6,331,415号、Shraderら、WO92/02551号、Wardら、1989、Nature、341、544、Orlandiら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86、3833、Riechmannら、1988、Nature、322、323、Birdら、1988、Science、242、423、Queenら、US5,585,089号、Adair、WO91/09967号、Mountain及びAdair、1992、Biotechnol.Genet.Eng.Rev、10、1〜142、Vermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181を参照)。
【0050】
本発明では、Fab又はFab’断片と融合されたそれぞれの単一ドメイン抗体は、直接又はリンカーを介して連結されていてよい。
【0051】
本明細書中で用いる、直接連結されているとは、Fab又はFab’の「最後」のアミノ酸が、ペプチド結合によって、単一ドメイン抗体の「最初」のアミノ酸と結合していることをいうことを意図する(又は実際にはその逆)。
【0052】
dAbをFab又はFab’と連結させるための適切なリンカー領域の例には、それだけには限定されないが、柔軟なリンカー配列及び強固なリンカー配列が含まれる。柔軟なリンカー配列には、Hustonら、1988、PNAS、85:5879〜5883、Wright及びDeonarain、Mol.Immunol.、2007、44(11):2860〜2869、Alfthanら、Prot.Eng.、1995、8(7):725〜731、Luoら、J.Biochem.、1995、118(4):825〜831、Tangら、1996、J.Biol.Chem.、271(26):15682〜15686、並びにTurnerら、1997、JIMM、205、42〜54に開示されているものが含まれる(代表的な例には表1を参照)。
【表1】
【0053】
配列3及び45〜48中のS)は任意選択である。
【0054】
したがって、一実施形態では、リンカーは配列
【化1】
を有する。一実施形態では、リンカーは配列
【化2】
を有する。
【0055】
強固なリンカーの例には、ペプチド配列
【化3】
が含まれる。
【0056】
他のリンカーには、
【化4】
が含まれる。
【0057】
一実施形態では、ペプチドリンカーはアルブミン結合ペプチドである。アルブミン結合ペプチドの例はWO2007/106120号中に提供されており、以下のものが含まれる。
【表2】
【0058】
一実施形態では、本発明の分子は、アルブミン結合ペプチドリンカーに加えた、又はそれに代わる位置にある、アルブミン結合ペプチドを含む。ペプチドはin vivoでアルブミンと結合し、これにより分子の半減期が増加される。
【0059】
アルブミン結合ペプチドは、1つ又は複数の可変領域(たとえばFab中及び/又はドメイン抗体(単数若しくは複数)中)、ヒンジ、リンカー、分子のN末端又はC末端、又はその組合せ、或いは分子の抗原結合特性を妨害しない任意の位置に付加されていてよい。
【0060】
一実施形態では、抗体のヒンジ配列又はその一部、たとえば上部ヒンジ配列をリンカーとして使用する。典型的には、本発明において使用するための抗体Fab’断片は、ネイティブ又は改変されたヒンジ領域を保有する。そのようなヒンジ領域は、dAb部分に対する天然リンカーとして使用される。ネイティブヒンジ領域とは、通常は抗体分子のCH1ドメインと会合しているヒンジ領域である。改変されたヒンジ領域とは、長さ及び/又は組成がネイティブヒンジ領域とは異なる任意のヒンジである。そのようなヒンジには、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ラクダ、ラマ又はヤギのヒンジ領域などの、任意の他の種からのヒンジ領域が含まれ得る。他の改変されたヒンジ領域は、CH1ドメインのとは異なるクラス又はサブクラスの抗体に由来する完全ヒンジ領域を含み得る。したがって、たとえば、クラスγ1のCH1ドメインは、クラスγ4のヒンジ領域に付着していてもよい。或いは、改変されたヒンジ領域は、天然ヒンジの一部、又は反復中のそれぞれの単位が天然ヒンジ領域に由来する反復単位を含み得る。さらなる代替では、天然ヒンジ領域は、1つ若しくは複数のシステイン若しくは他の残基をアラニンなどの中性残基に変換することによって、又は適切に配置された残基をシステイン残基に変換することによって、変更し得る。そのような手段によって、ヒンジ領域中のシステイン残基の数を増加又は減少させ得る。さらに、ヒンジのシステイン(単数又は複数)と軽鎖の鎖間システインとの間の距離、ヒンジのシステイン間の距離、及び柔軟性などのヒンジの特性に影響を与え得るヒンジ中の他のアミノ酸の組成等の、ヒンジの他の特徴を制御することができ、たとえば、回転の柔軟性を増加させるためにグリシンをヒンジ内に取り込ませてもよく、又は柔軟性を減少させるためにプロリンを取り込ませてもよい。或いは、荷電又は疎水性の残基の組合せをヒンジ内に取り込ませて多量体化の特性を与えてもよく、たとえば、荷電又はイオン性テイル、たとえばリンカーとしての酸性テイルの使用にはRichterら、2001、Prot.Eng.、14(10):775〜783、及びロイシンジッパー配列にはKostelnyら、1992、J.Immunol.、5(1):1547〜1553を参照されたい。他の改変されたヒンジ領域は完全に合成であってよく、長さ、組成及び柔軟性などの所望の特性を保有するように設計し得る。
【0061】
いくつかの改変されたヒンジ領域が、たとえば、US5,677,425号、US6642356号、WO9915549号、WO2005003170号、WO2005003169号、WO2005003170号、WO9825971号及びWO2005003171号に既に記載されており、これらは本明細書中に参考として組み込まれている。そのようなヒンジは、一般にCH1領域の後に続くが、軽鎖カッパ又はラムダ断片の定常領域の末端上に取り込まれていてもよい。たとえば表3を参照されたい。
【表3】
【0062】
本発明において使用するための、単一ドメイン抗体又はdAbとしても知られる単一可変ドメインは、当分野で知られている方法を使用して作製することができ、WO2005118642号、Wardら、1989、Nature、341、544〜546及びHoltら、2003、Trends in Biotechnology、21、484〜490に開示されているものが含まれる。一実施形態では、本発明において使用するための単一ドメイン抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)又は軽鎖ドメイン(VL)である。それぞれの軽鎖ドメインは、カッパ又はラムダ部分群のどちらかであり得る。VH及びVLドメインを単離する方法は当分野で記載されており、たとえば、EP0368684号及びWardら、上記を参照されたい。そのようなドメインは、任意の適切な種又は抗体出発物質に由来し得る。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、げっ歯類、ヒト又は他の種に由来し得る。一実施形態では、単一ドメイン抗体はヒト化されている。
【0063】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、たとえば、WO2005/118642号、Jespersら、2004、Nature Biotechnology、22、1161〜1165及びHoltら、2003、Trends in Biotechnology、21、484〜490に記載の方法を使用して、ファージディスプレイライブラリから導く。好ましくは、そのような単一ドメイン抗体は完全にヒトであるが、他の種に由来していてもよい。一実施形態では、単一可変ドメインは、フレームワークがヒト又は実質的にヒトの起源であり、CDR(単数又は複数)が非ヒト起源のものであるという点で、キメラである。Holtら、上記に記載のように、単一ドメイン抗体の配列は、単離された後、単一ドメイン抗体の特徴、たとえば溶解度を改善させるために改変し得ることを理解されたい。
【0064】
本明細書中で用いる実質的にヒトとは、元の材料の免疫原性に関連し得るヒト特徴が保持されていることをいうことを意図する。実質的にヒトの材料には、フレームワーク配列中の1つのアミノ酸が別のアミノ酸によって付加、欠失又は置き換えられているものが含まれる。
【0065】
一実施形態では、dAbは、scFvファージディスプレイから、或いはトランスジェニックHumouse(商標)若しくはVelocimouse(商標)又はヒト化したげっ歯類から得られたヒト配列である。
【0066】
一実施形態では、dAbは、ヒト若しくはヒト化したげっ歯類、ラクダ科又はサメから得られる。そのようなdAbは好ましくはヒト化されたものである。一例では、単一ドメイン抗体は、EP0656946号に記載のように、ラクダ科免疫グロブリンに基づくVHHドメインである。一例では、ラクダ又はラマを対象抗原で免疫化し、力価が適切となった際に血液を収集する。dAbをコードしている遺伝子を単一細胞PCRによってクローニングし得るか、又は、dAbをコードしているB細胞(単数又は複数)を、EBV形質転換によって、若しくは不死化細胞系との融合によって不死化させ得る。
【0067】
本明細書中で上述したように、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、直接又はリンカーを介して、第2の対象抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0068】
したがって、一実施形態では、抗体断片、たとえばFab又はFab’断片は、重鎖又は軽鎖の可変領域のN末端で、直接又はリンカーを介してdAbと融合されている。或いは、抗体Fab又はFab’断片は、重鎖又は軽鎖のC末端で、直接又はリンカーを介してdAbと融合されている。別の実施形態では、抗体Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖は、それぞれC末端で、直接又はリンカーを介してdAbと融合されている。連結は化学的コンジュゲーションであることができるが、最も好ましくは翻訳融合、すなわち、それぞれの配列が発現ベクターによって順にコードされている遺伝子融合である。
【0069】
典型的には、単一ドメイン抗体のN末端は、直接又はリンカーを介してFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のC末端と融合させ、単一ドメイン抗体がFab又はFab’のN末端と融合されている場合は、これはそのC末端を介して、任意選択でリンカーを介して融合される。
【0070】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、重鎖又は軽鎖のN末端で、第2の対象抗原に対する特異性を有する単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0071】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、重鎖又は軽鎖のC末端で、第2の対象抗原に対する特異性を有する単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0072】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、重鎖又は軽鎖のC末端で、第2の対象抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0073】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、一方の単一ドメイン抗体がFab又はFab’断片の軽鎖のC末端と融合されており、他方の単一ドメイン抗体がFab又はFab’断片の重鎖のC末端と融合されている、2つの単一ドメイン抗体と融合されており、前記単一ドメイン抗体が第2の対象抗原に対する特異性を有する、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0074】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体は同一である、すなわち、同じ抗原に対する同じ結合特異性を有する。一例では、これらは、同じ抗原上の同じエピトープと結合する。たとえば、単一ドメイン抗体は、どちらも同じVH dAb、同じVHH dAb又は同じVL dAbであり得る。
【0075】
好ましくは、Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む場合、2つの単一ドメイン抗体は、抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である、すなわち、これらは同じ結合特異性を有する相補的VH/VL対である。一例では、VH/VL対は単一特異性である。典型的には、これらは同じ抗体に由来するVH/VL対である。一例では、VH/VL対は、Fabファージディスプレイライブラリなどの「対のライブラリ」から対として単離された可変ドメインの対である。
【0076】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質は、相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含み、VH単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されている。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質が相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、VL単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VH単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されている。
【0077】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質は、相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含み、VH単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されている。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質が相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、VL単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており)、VH単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されている。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質が、1つ又は複数のジスルフィド結合によって連結されている2つの単一ドメイン抗体、たとえば、1つ又は複数(たとえば1又は2つ)のジスルフィド結合によって連結されている相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、VH単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。或いは、VL単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VH単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。
【0078】
一実施形態では、VH単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。或いは、VL単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており、VH単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。
【0079】
一実施形態では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対をさらに含み、VH/VL対が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されている、多価抗体融合タンパク質を提供する。
【0080】
ジスルフィド結合は構築体にさらなる安定化をもたらすと考えられており、これは有利であり得る。好ましくは、VH/VL対は単一のジスルフィド結合によって連結されている。
【0081】
典型的には、VH/VL対は、VH中に1つ及びVL中に1つの、2つの操作されたシステイン間の単一のジスルフィド結合によって互いに連結される。
【0082】
操作されたシステインを導入するための適切な位置は当分野で知られており、その一部を以下に記載する。他の適切な位置が存在し得ることを理解されたい。
【0083】
一実施形態では、ジスルフィド結合は、
・VH37+VL95C、たとえばProtein Science、6、781〜788、Zhuら(1997)を参照、
・VH44+VL100、たとえば、Biochemistry、33、5451〜5459、Reiterら(1994)、又はJournal of Biological Chemistry、第269巻、第28号、ページ18327〜18331、Reiterら(1994)、又はProtein Engineering、第10巻、第12号、ページ1453〜1459、Rajagopalら(1997)を参照、
・VH44+VL105、たとえばJ Biochem.、118、825〜831、Luoら(1995)を参照、
・VH45+VL87、たとえばProtein Science、6、781〜788、Zhuら(1997)を参照、
・VH55+VL101、たとえばFEBS Letters、377、135〜139、Youngら(1995)を参照、
・VH100+VL50、たとえばBiochemistry、29、1362〜1367、Glockshuberら(1990)を参照、
・VH100b+VL49、
・VH98+VL46、たとえばProtein Science、6、781〜788、Zhuら(1997)を参照、
・VH101+VL46又は
・VH105+VL43、たとえば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻、ページ7538〜7542、Brinkmannら(1993)、若しくはProteins、19、35〜47、Jungら(1994)を参照、
・VH106+VL57、たとえばFEBS Letters、377、135〜139、Youngら(1995)を参照
の間である(内容によりそうでないと指示されない限りは、上記リストではKabat付番(Kabatら、1987、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、米国保健社会福祉省(US Department of Health and Human Services)、NIH、米国)を用いる)。
【0084】
上述のアミノ酸対は、ジスルフィド結合が形成されることができるように、システインによる置換えを助長する位置にある。システインは、既知の技法によってこれらの位置内に操作することができる。
【0085】
したがって、一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0086】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0087】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0088】
一実施形態では、本発明の可変ドメイン対(VH/VL)は、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、VHのシステイン残基は位置44であり、VLのシステイン残基は位置100である。
【0089】
典型的には、システイン対はこれらの位置内に操作され、したがって、一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、操作されたシステイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0090】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、操作されたシステイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0091】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、操作されたシステイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0092】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、VHの操作されたシステイン残基は位置44であり、VLの操作されたシステイン残基は位置100である。
【0093】
したがって、一実施形態では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対である2つの単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、2つの単一ドメイン抗体が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置が、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される、多価抗体融合タンパク質を提供する。
【0094】
一実施形態では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対をさらに含み、VH/VL対が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置が、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される、多価抗体融合タンパク質を提供する。
【0095】
1つ又は複数の実施形態では、CHドメインとCL又はCKドメインとの間などの重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合は、たとえば結合を形成する1つ又は複数のシステインが置き換えられているために存在しない。前記1つ又は複数のシステインは、たとえばセリンによって置き換えられていてよい。
【0096】
1つ又は複数の実施形態では、CHドメインとCL又はCKドメインとの間の重鎖と軽鎖との間の鎖間ジスルフィド結合が存在する。
【0097】
一実施形態では、1、2、3又は4つの単一ドメイン抗体、たとえば、同じ又は異なる抗原に向けられていてよい2つの別々のVH/VL対を含む、F(ab)2断片が提供される。
【0098】
一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質はFcドメインを含まない。一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質は、CH2又はCH3ドメインを含まない。
【0099】
本発明の二重特異性融合タンパク質では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、Fab又はFab’断片の構成要素によって結合されるものとは異なる第2の抗原と結合する。
【0100】
一例では、本発明において使用するためのdAbは、補体経路タンパク質、CDマーカータンパク質又はFcγRに対する特異性を示す。この場合、dAbは好ましくはCD分子に対して特異的である。最も好ましくは、dAbは、CD68、CD80、CD86、CD64、CD3、CD4、CD8、CD45、CD16及びCD35からなる群から選択されるCD分子に対する特異性を示す。
【0101】
好ましい例では、本発明において使用するためのdAbは、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1に対する特異性を示し、血清担体タンパク質は、好ましくは、チロキシン結合タンパク質、トランスサイレチン、α1−酸糖タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン又は血清アルブミンなどのヒト血清担体タンパク質である。最も好ましくは、dAbはヒト血清アルブミンに対する特異性を示す。したがって、一例では、ウサギ、マウス、ラット、ラクダ又はラマを、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1(たとえばヒト血清アルブミン)で免疫化、力価が適切となった際に血液を収集する。dAbをコードしている遺伝子を単一細胞PCRによってクローニングし得るか、又は、dAbをコードしているB細胞(単数又は複数)を、EBV形質転換によって、若しくは不死化細胞系との融合によって不死化させ得る。或いは、単一ドメイン抗体は、本明細書中で上述したようにファージディスプレイによって得てもよい。
【0102】
一実施形態では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)はヒト血清アルブミンと結合する。一実施形態では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、ヒト血清アルブミン、マウス血清アルブミン及びラット血清アルブミンと結合する。
【0103】
一実施形態では、血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、WO2005/118642号(たとえば図1c及び1dを参照)中に提供されているdAb、又はWO2004/041862号中に提供されているVHH、又はたとえばWO2006/122787号の表IIIに記載されているヒト化ナノボディである。
【0104】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(e)の配列番号56又は図5(k)の配列番号62に示す、CDR−H1の配列を有するCDRと、図5(f)の配列番号57又は図5(l)の配列番号63に示す、CDR−H2の配列を有するCDRと、図5(g)の配列番号58又は図5(m)の配列番号64に示す、CDR−H3の配列とを有するCDRのうちの少なくとも1つを含む、重鎖VH単一ドメイン抗体である。
【0105】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VHドメインのCDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3のうちの少なくとも2つが、配列番号56又は配列番号62に示す、CDR−H1の配列、配列番号57又は配列番号63に示す、CDR−H2の配列、及び配列番号58又は配列番号64に示す、CDR−H3の配列から選択される、重鎖VH抗体である。たとえば、単一ドメイン抗体は、CDR−H1が配列番号56に示す配列を有し、CDR−H2が配列番号57に示す配列を有するVHドメインを含み得る。或いは、単一ドメイン抗体は、CDR−H1が配列番号56に示す配列を有し、CDR−H3が配列番号58に示す配列を有するVHドメインを含み得る。疑念を回避するために、すべての順列が含まれることを理解されたい。
【0106】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VHドメインが配列番号56に示す、CDR−H1の配列と、配列番号57に示す、CDR−H2の配列と、配列番号58に示す、CDR−H3の配列とを含む、重鎖VH単一ドメイン抗体である。
【0107】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VHドメインが配列番号62に示す、CDR−H1の配列と、配列番号63に示す、CDR−H2の配列と、配列番号64に示す、CDR−H3の配列とを含む、重鎖VH単一ドメイン抗体である。
【0108】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(a)に示す配列(配列番号52)を有するヒト化重鎖VH単一ドメイン抗体、dAbH1である。G4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbH1融合体の一例を図6に示す(配列番号68)。
【0109】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(c)に示す配列(配列番号54)を有するヒト化重鎖VH単一ドメイン抗体、dAbH2である。G4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbH2融合体の一例を図6に示す(配列番号69)。
【0110】
抗体可変ドメイン中の残基は、Kabatらによって考案されたシステムに従って慣習的に付番される。このシステムは、Kabatら、1987、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、米国保健社会福祉省(US Department of Health and Human Services)、NIH、米国(本明細書中以降、「Kabatら(上記)」)に記載されている。別段に指定した場合以外は、この付番システムを本明細書において使用する。
【0111】
Kabat残基の指定は、必ずしもアミノ酸残基の直線的付番と直接対応するわけではない。実際の直線的アミノ酸配列は、厳密なKabat付番よりも少ない又はそれに追加のアミノ酸を含有していてよく、これは、基本的可変ドメイン構造の、フレームワークであるか相補性決定領域(CDR)であるかにかかわらない構造的構成要素の短縮又はそれ内への挿入に対応する。残基の正しいKabat付番は、所与の抗体について、抗体の配列中の相同残基を「標準の」Kabat付番配列とアラインメントすることによって決定し得る。
【0112】
重鎖可変ドメインのCDRは、Kabat付番システムに従って、残基31〜35(CDR−H1)、残基50〜65(CDR−H2)及び残基95〜102(CDR−H3)に位置している。しかし、Chothia(Chothia,C.及びLesk,A.M.、J.Mol.Biol.、196、901〜917(1987))によれば、CDR−H1に等価なループが残基26から残基32まで延びる。したがって、本明細書中で使用する「CDR−H1」は、Kabat付番システム及びChothiaの位相的ループ定義の組合せによって記載されているように、残基26〜35を含む。
【0113】
軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabat付番システムに従って、残基24〜34(CDR−L1)、残基50〜56(CDR−L2)及び残基89〜97(CDR−L3)に位置している。
【0114】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(h)の配列番号59又は図5(n)の配列番号65に示す、CDR−L1の配列を有するCDR、図5(i)の配列番号60又は図5(o)の配列番号66に示す、CDR−L2の配列を有するCDR、及び図5(j)の配列番号61又は図5(p)の配列番号67に示す、CDR−L3の配列を有するCDRのうちの少なくとも1つを含む、軽鎖VL単一ドメイン抗体である。
【0115】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VLドメインのCDR−L1、CDR−L2及びCDR−L3のうちの少なくとも2つが、配列番号59又は配列番号65に示す、CDR−L1の配列、配列番号60又は配列番号66に示す、CDR−L2の配列、及び配列番号61又は配列番号67に示す、CDR−L3の配列から選択される、軽鎖VL抗体である。たとえば、ドメイン抗体は、CDR−L1が配列番号59に示す配列を有し、CDR−L2が配列番号60に示す配列を有するVLドメインを含み得る。或いは、ドメイン抗体は、CDR−L1が配列番号59に示す配列を有し、CDR−L3が配列番号61に示す配列を有するVLドメインを含み得る。疑念を回避するために、すべての順列が含まれることを理解されたい。
【0116】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VLドメインが、配列番号59に示す、CDR−L1の配列と、配列番号60に示すCDR−L2の配列と、配列番号61に示すCDR−L3の配列とを含む、軽鎖VLドメイン抗体である。
【0117】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VLドメインが、配列番号65に示す、CDR−L1の配列と、配列番号66に示す、CDR−L2の配列と、配列番号67に示す、CDR−L3の配列とを含む、軽鎖VLドメイン抗体である。
【0118】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(b)に示す配列(配列番号53)を有するヒト化軽鎖VL単一ドメイン抗体、dAbL1である。どちらもG4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbL1融合体及びCk1−dAbL1融合体の一例を図6に示す(配列番号70及び配列番号72)。
【0119】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(d)に示す配列(配列番号55)を有するヒト化軽鎖VL単一ドメイン抗体、dAbL2である。どちらもG4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbL2融合体及びCk1−dAbL2融合体の一例を図6に示す(配列番号71及び配列番号73)。
【0120】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含み、2つの単一ドメイン抗体は、本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である一実施形態では、VH dAbはdAbH1(配列番号52)であり、VL dAbはdAbL1(配列番号53)である。
【0121】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体は、本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対であり、VH dAbはdAbH2(配列番号54)であり、VL dAbはdAbL2(配列番号55)である。
【0122】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含み、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である一実施形態では、VH dAbは配列番号202に示す配列を有し、VL dAbは配列番号203に示す配列を有する。
【0123】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対であり、VH dAbは配列番号204に示す配列を有し、VL dAbは配列番号205に示す配列を有する。
【0124】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれN末端で単一ドメイン抗体を含み、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である一実施形態では、VH dAbは配列番号202に示す配列を有し、VL dAbは配列番号203に示す配列を有する。
【0125】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれN末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対であり、VH dAbは配列番号204に示す配列を有し、VL dAbは配列番号205に示す配列を有する。
【0126】
別の態様では、本発明は、本明細書中上記、及び図5(e〜p)中に提供するCDRのうちの1つ又は複数を含有する、具体的には、配列番号56に示す配列を有するCDRH1、配列番号57に示す配列を有するCDRH2、配列番号58に示す配列を有するCDRH3、配列番号59に示す配列を有するCDRL1、配列番号60に示す配列を有するCDRL2、及び/又は配列番号61に示す配列を有するCDRL3を含む、アルブミン結合抗体又はその断片を提供する。一実施形態では、アルブミン結合抗体又は断片は、配列番号62に示す配列を有するCDRH1、配列番号63に示す配列を有するCDRH2、配列番号64に示す配列を有するCDRH3、配列番号65に示す配列を有するCDRL1、配列番号66に示す配列を有するCDRL2、及び/又は配列番号67に示す配列を有するCDRL3を含む。前記CDRは、任意の適切な抗体フレームワーク内及び任意の適切な抗体様式内に取り込ませ得る。そのような抗体には、それだけには限定されないが、モノクローナル、ヒト化、完全ヒト又はキメラ抗体であり得る、完全抗体及び機能的に活性のある断片又はその誘導体が含まれる。したがって、そのようなアルブミン結合抗体は、完全長の重鎖及び軽鎖又はその断片を有する完全抗体分子を含んでいてよく、それだけには限定されないが、Fab、改変されたFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体、scFv、二価、三価又は四価抗体、ビス−scFv、ジアボディー、トリアボディー、トリボディー、テトラボディー、及び上記のうちの任意のもののエピトープ結合断片であり得る(たとえば、Holliger及びHudson、2005、Nature Biotech.、23(9):1126〜1136、Adair及びLawson、2005、Drug Design Reviews−Online、2(3)、209〜217を参照)。これらの抗体断片を作製及び製造する方法は当分野で周知である(たとえばVermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181を参照)。多価抗体は、複数の特異性を含み得るか、又は単一特異性であり得る(たとえばWO92/22853号及びWO05/113605号を参照)。本発明のこの態様は、これらのアルブミン結合抗体の変異体までも拡張されることを理解されたい。
【0127】
そのようなアルブミン結合抗体、具体的には単一ドメイン抗体は、所望に応じて又は任意の他の適切なコンテキストで使用されるように、任意の他の抗体若しくはタンパク質又は他の分子とコンジュゲートさせ得ることを理解されたい。一例では、上述し、且つ図5(a〜d)及び図24に示した単一ドメイン抗体、dAbH1、dAbL1、dAbH2、dAbL2は、任意の適切な抗体様式内に取り込ませ得る、又は、任意の適切なコンテキストにおいて、融合体若しくはコンジュゲートなどとして、単一ドメイン抗体として使用し得る。
【0128】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(e)に示す、CDR−H1の配列と、図5(f)に示す、CDR−H2の配列と、図5(g)に示す、CDR−H3の配列とを含む。
【0129】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(k)に示す、CDR−H1の配列と、図5(l)に示す、CDR−H2の配列と、図5(m)に示す、CDR−H3の配列とを含む。
【0130】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(h)に示す、CDR−L1の配列と、図5(i)に示す、CDR−L2の配列と、図5(j)に示す、CDR−L3の配列とを含む。
【0131】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(n)に示す、CDR−L1の配列と、図5(o)に示す、CDR−L2の配列と、図5(p)に示す、CDR−L3の配列とを含む。
【0132】
一実施形態では、本発明は、図5(a)〜(d)又は図24に示す配列を有するVHドメイン及び/又はVLドメインを含むFv又はscFvを提供する。一実施形態では、Fv又はscFvは、配列番号202に示す配列を有するVH及び配列番号203に示す配列を有するVHを含む。一実施形態では、Fv又はscFvは、配列番号204に示す配列を有するVH及び配列番号205に示す配列を有するVLを含む。
【0133】
一実施形態では、scFvのVH及びVLはVHVLの配向である(NからC末端)。一実施形態では、VH及びVLはVLVHの配向である(NからC末端)。
【0134】
上述のように、scFv又はFv断片は、任意の適切な抗体様式内にさらに取り込ませ得る。たとえば、これらを1つ又は複数の他の抗体断片と融合又はコンジュゲートさせ得る。
【0135】
以下の抗体様式では、本明細書中の配列表からの配列のそれぞれは、天然の位置又は天然でない位置に対応する位置に配置されていてもよい。天然の位置は、CDRH1の位置H1と表示したリスト中の関連する配列、CDRH2の位置H2と表示したリスト中の関連する配列、CDRH3の位置H3と表示したリスト中の関連する配列、CDRL1の位置L1と表示したリスト中の関連する配列、CDRL2の位置L2と表示したリスト中の関連する配列、及びCDRL3の位置L3と表示したリスト中の関連する配列のものである。また、H1及びH2、H1及びH3、H1及びL1、H1及びL2、H1及びL3、H2及びL1、H2及びL2、H2及びL3、H2及びH3、H3及びL1、H3及びL2、H3及びL3、H1及びH2及びH3、H1及びH2及びL1、H1及びH2及びL2、H1及びH2及びL3、H2及びH3及びL1、H2及びH3及びL2、H2及びH3及びL3、H3及びL1及びL2、H3及びL1及びL3、H3及びL2及びL3、L1及びL2及びL3、H1及びH2及びH3及びL1、H1及びH2及びH3及びL2、H1及びH2及びH3及びL3、H2及びH3及びL1及びL2、H2及びH3及びL1及びL3、及びH2及びH3及びL2及びL3、H3及びL1及びL2及びL3、H1及びH2及びH3及びL1及びL2、H1及びH2及びH3及びL2及びL3、H1及びH2及びH3及びL1及びL3、L1及びL2及びL3及びH1及びH2、L1及びL2及びL3及びH1及びH3、L1及びL2及びL3及びH2及びH3、H1及びH2及びH3及びL1及びL2及びL3などの、その組合せも想定される。
【0136】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号222、223、90〜93から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0137】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号94〜99から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0138】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号100〜105から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0139】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号106〜111から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0140】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号112〜117から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0141】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号118〜123から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0142】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号124〜129から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0143】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号130〜135から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0144】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号136〜141から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0145】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号142〜147から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0146】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号148〜153から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0147】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号154〜159から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0148】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号160〜165から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0149】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号166〜171から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0150】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号172〜177から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0151】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号178〜183から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0152】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号184〜189から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0153】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号190〜195から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0154】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号196〜201から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0155】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号202を含む。
【0156】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号203を含む。
【0157】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号202及び203を含む。
【0158】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号204を含む。
【0159】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号205を含む。
【0160】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号204及び205を含む。
【0161】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号206を含む。
【0162】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号207を含む。
【0163】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号206及び207を含む。
【0164】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、位置84のAがDによって置換されている、配列番号202に示す配列を含む。
【0165】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、位置84のAがDによって置換されている、配列番号204に示す配列を含む。
【0166】
本発明の二重特異性融合タンパク質の単一ドメイン抗体(単数又は複数)がアルブミンと結合する場合、アルブミンに対する単一ドメイン抗体の結合親和性は、Fab又はFab’のin vivo半減期を延長させるために十分である。2.5μM以下の親和性であるアルブミンに対する親和性がin vivo半減期を延長させることが報告されている(Nguyen,A.ら(2006)Protein Engineering,Design&Selection、19(7)、291〜297)。本発明の単一ドメイン抗体分子は、好ましくは、それらの目的及びそれらが結合する抗原に適した結合親和性を有する。一例では、単一ドメイン抗体は、高い、たとえばピコモーラーの結合親和性を有する。一例では、単一ドメイン抗体は、ナノモーラー又はマイクロモーラーである抗原に対する結合親和性を有する。親和性は、天然又は組換えの抗原を使用した、本明細書中の実施例中に記載されているBIAcoreを含めた、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して測定し得る。
【0167】
好ましくは、アルブミンと結合する本発明の単一ドメイン抗体分子は、約2μM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体分子は、約1μM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体分子は、約500nM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体分子は、約200nM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明のドメイン抗体分子は、約1nM以上の結合親和性を有する。本発明によって提供される、及び当分野で知られている単一ドメイン抗体の親和性は、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して変更し得ることを理解されたい。したがって、本発明は、アルブミンに対して改善された親和性を有する、本発明のドメイン抗体分子の変異体にも関する。そのような変異体は、CDRの突然変異(Yangら、J.Mol.Biol.、254、392〜403、1995)、鎖シャフリング(Marksら、Bio/Technology、10、779〜783、1992)、大腸菌(E.coli)の突然変異誘発株の使用(Lowら、J.Mol.Biol.、250、359〜368、1996)、DNAシャフリング(Pattenら、Curr.Opin.Biotechnol.、8、724〜733、1997)、ファージディスプレイ(Thompsonら、J.Mol.Biol.、256、77〜88、1996)及び性的(sexual)PCR(Crameriら、Nature、391、288〜291、1998)を含めたいくつかの親和性成熟プロトコルによって得ることができる。Vaughanら(上記)が、これらの親和性成熟の方法を記述している。
【0168】
二重特異性融合タンパク質の単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、所要に応じて単量体、二量体又は三量体として提供し得る。所望の生成物は、材料を供する下流の処理ステップを調節することによって得られ得る。一実施形態では、処理された材料は実質的に均質な単量体として提供される。一実施形態では、処理された材料は実質的に均質な二量体として提供される。一実施形態では、処理された材料は実質的に均質な三量体として提供される。
【0169】
また、本発明は、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしている単離したDNA配列も提供する。本発明のDNA配列は、たとえば化学的プロセッシング、cDNA、ゲノムDNA又はその任意の組合せによって生成された合成DNAを含み得る。
【0170】
本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列は、当業者に周知の方法によって得ることができる。たとえば、抗体断片、リンカー及び/又はdAbの一部又は全体をコードしているDNA配列を、決定されたDNA配列から、又は対応するアミノ酸配列に基づいて、所望に応じて合成し得る。
【0171】
標準の分子生物学の技法を使用して、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列を調製し得る。オリゴヌクレオチド合成技法を使用して、所望のDNA配列を完全に又は部分的に合成し得る。必要に応じて部位特異的突然変異誘発及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法を使用し得る。
【0172】
本発明はさらに、本発明の1つ又は複数のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターに関する。したがって、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしている1つ又は複数のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターが提供される。好ましい一実施形態では、クローニング又は発現ベクターは、二重特異性抗体融合タンパク質全体をコードしている単一のDNA配列を含む。したがって、クローニング又は発現ベクターは、DNAにコードされた転写単位を、翻訳融合タンパク質が産生されるような順序で含む。
【0173】
実際、当業者には、本発明の融合タンパク質はN末端又はC末端にdAbを有することができ、したがって、dAbのDNAにコードされた転写単位は、翻訳融合体をコードしているDNA配列内でそれぞれ最初又は最後となることを理解されよう。したがって、翻訳融合体は、N末端のdAb及びC末端のFab又はFab’を含み得る。さらに、翻訳融合体は、N末端のFab又はFab’及びC末端のdAbを含み得る。
【0174】
Fab又はFab’の重鎖及び軽鎖を同じ又は異なるベクター内に取り込ませ得ることを理解されたい。一実施形態では、1つのベクターがFab又はFab’の重鎖及びC末端のdAbを含む翻訳融合体を含んでいてよく、別のベクターがFab又はFab’の軽鎖及びC末端のdAbを含む翻訳融合体を含んでいてよい。
【0175】
たとえば、抗体断片のN末端にdAb部分を有する二重特異性抗体融合タンパク質を産生することが所望される場合、ベクターは、DNA転写単位を、dAb部分をコードしているDNA転写単位、任意選択でリンカー配列をコードしているDNA転写単位、及び抗体断片をコードしているDNA転写単位の順に含む。抗体断片のC末端にdAb部分を有する二重特異性抗体融合タンパク質を産生することが所望される場合、ベクターは、DNA転写単位を、抗体断片をコードしているDNA転写単位、任意選択でリンカー配列をコードしているDNA転写単位、及び血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1、たとえばヒト血清アルブミンに対する特異性を有する、dAb部分をコードしているDNA転写単位の順に含む。したがって、本発明の翻訳融合体は、たとえば、それだけには限定されないが、dAb−リンカー−Fab、Fab−リンカー−dAb、dAb−Fab、Fab−dAb、Fab’−dAb、dAb−Fab’、dAb−リンカーFab’、Fab’−リンカー−dAbを含めた、様々な立体配置であることができる。2つのベクターを使用する場合は、たとえば、第1のベクターはdAbと融合されているFab又はFab’の重鎖を含んでいてよく、第2のベクターはdAbと融合されているFab又はFab’の軽鎖を含んでいてよい。
【0176】
本発明の翻訳融合体内に含まれる抗体断片のDNAコードは、ベクター内に転写単位として当業者に知られている立体配置で取り込ませることができ、たとえば、転写単位は、軽鎖のコード、次いで重鎖のコード、又はその逆を含むことができる。具体的には、Humphreysら、2002、Protein Expression and Purification、26:309〜320を参照されたい。
【0177】
好ましくは、本発明によるベクターは、抗体リーダー配列などの適切なリーダー配列を含む。そのようなリーダー配列は当分野で周知である。
【0178】
ベクターを構築し得る一般的な方法、形質移入及び形質転換の方法、並びに培養方法は、当業者に周知である。これに関しては、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、1999、F.M.Ausubel(編)、Wiley Interscience、New York及びCold Spring Harbor Publishingによって出版されたManiatis Manualを参照されたい。
【0179】
また、1つ又は複数の本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしている1つ又は複数のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。任意の適切な宿主細胞/ベクター系を、二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列の発現に使用し得る。細菌、たとえば大腸菌及び他の微生物系を使用し得るか、又は真核、たとえば哺乳動物の宿主細胞発現系も使用し得る。適切な哺乳動物宿主細胞には、NS0、CHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。したがって、一実施形態では、本発明の融合タンパク質は大腸菌中で発現させる。別の実施形態では、本発明の融合タンパク質は哺乳動物細胞中で発現させる。
【0180】
また、本発明は、二重特異性抗体融合タンパク質を産生する方法であって、本発明のベクターを含む宿主細胞を、前記二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列からのタンパク質の発現に適した条件下で培養することを含む方法も提供する。本発明は、二重特異性抗体融合タンパク質を単離する方法をさらに提供する。
【0181】
産生時に、必要な場合は、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質を、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して精製し得る。たとえば、それだけには限定されないが、イオン交換、サイズ排除、タンパク質G又は疎水性相互作用クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技法を使用し得る。
【0182】
二重特異性抗体融合タンパク質の大きさは、サイズ排除クロマトグラフィー及び非還元SDS−PAGEなどの、当分野で知られている慣用の方法によって確認し得る。そのような技法は、たとえば、タンパク質が二量体化していないこと及び/又はその一部分、たとえばdAb部分が失われていないことを確認するために使用することができる。二量体が検出され、均質な単量体の生成物が必要な場合は、単量体の二重特異性抗体融合タンパク質を、上述のように慣用のクロマトグラフィー技法を使用して、二量体種から精製して取り出し得る。
【0183】
本発明の二重特異性抗体融合タンパク質は、炎症性疾患及び障害、免疫疾患及び障害、線維性障害並びに癌を含めた疾患及び障害の処置において有用である。
【0184】
用語「炎症性疾患」又は「障害」及び「免疫疾患又は障害」には、関節リウマチ、乾癬性関節炎、スチル病、マックルウェルズ病、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、血管炎、I型真性糖尿病、移植及び移植片対宿主病が含まれる。
【0185】
用語「線維性障害」には、特発性肺線維症(IPF)、全身性硬化症(又は強皮症)、腎臓線維症、糖尿病性腎症、IgA腎症、高血圧、末期腎臓病、腹膜線維症(持続的携行式腹膜透析)、肝硬変、加齢黄斑変性症(ARMD)、網膜症、心反応性線維症、瘢痕、ケロイド、熱傷、皮膚潰瘍、血管形成術、冠血管バイパス手術、関節形成術及び白内障手術が含まれる。
【0186】
用語「癌」には、皮膚中、又はより一般的には身体の臓器、たとえば、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、膵臓、胃、膀胱若しくは腸の内壁に見つかる、上皮から生じる悪性の新成長が含まれる。癌は、隣接組織に浸潤し、遠位臓器、たとえば、骨、肝臓、肺又は脳へと拡大(転移)する傾向がある。
【0187】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と会合した本発明の抗体融合体を含む医薬組成物が提供される。また、疾患又は障害を処置する医薬品を製造するための、本発明の抗体融合タンパク質の使用も提供される。最も好ましくは、疾患又は障害は炎症性疾患又は障害である。
【0188】
本発明による医薬組成物は、経口、頬側、非経口、皮下、経鼻、局所、眼若しくは直腸の投与に適した形態、又は吸入若しくはガス注入による投与に適した形態をとり得る。
【0189】
適切な場合は、たとえば抗体融合タンパク質の単一ドメイン抗体(単数又は複数)がアルブミンと結合する場合は、二重特異性融合タンパク質を、ヒト又は組換え血清アルブミンを用いて、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して事前に配合することが望ましい場合がある。
【0190】
医薬配合物が液体、たとえば溶液又は懸濁液である場合は、配合物は、アルブミン、たとえばヒト血清アルブミン、具体的には組換えヒト血清アルブミンなどの組換えアルブミンをさらに含み得る。適切な量は、全配合物の2%w/w未満、具体的には1、0.5、又は0.1%w/w未満の範囲であり得る。これは、配合物中の抗体構成要素の安定化を支援し得る。医薬組成物は、後に水性溶媒を用いて再構成するために凍結乾燥し得る。
【0191】
一実施形態では、本発明による凍結乾燥した「抗体」を含む、バイアルなどの単位用量容器が提供される。
【0192】
経口投与には、医薬組成物は、たとえば、慣用の手段によって、結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(たとえば、ラクトース、結晶セルロース若しくはリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルク若しくはシリカ)、崩壊剤(たとえば、ジャガイモデンプン若しくはグリコール酸(glycollate)ナトリウム)、又は湿潤剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤を用いて調製した、錠剤、ロゼンジ又はカプセルの形態をとり得る。錠剤は、当分野で周知の方法によってコーティングし得る。経口投与のための液体調製物は、たとえば、液剤、シロップ若しくは懸濁液の形態をとり得るか、又は、使用前に水若しくは他の適切なビヒクルで構成するための乾燥生成物として提供し得る。そのような液体調製物は、慣用の手段によって、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル又は保存料などの薬学的に許容される添加剤を用いて調製し得る。また、調製物は、必要に応じて、緩衝塩、香味料、着色剤又は甘味剤も含有し得る。
【0193】
経口投与のための調製物は、活性化合物の徐放性を与えるために適切に配合し得る。
【0194】
頬側投与には、組成物は、慣用の様式で配合した錠剤又はロゼンジの形態をとり得る。
【0195】
本発明の二重特異性抗体は、たとえばボーラス注射又は輸液による、注射による非経口投与のために配合し得る。注射用の配合物は、単位剤形で、たとえばガラスアンプル又は複数用量容器、たとえばガラスバイアル中で提供し得る。注射用の組成物は油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液などの形態をとってよく、懸濁剤、安定化剤、保存料及び/又は分散剤などの配合剤を含有し得る。或いは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、たとえば無菌的な発熱物質非含有水で構成するための粉末形態であり得る。
【0196】
上述の配合物に加えて、本発明の二重特異性抗体はデポー調製物としても配合し得る。そのような長時間作用性配合物は、植込み又は筋肉内注射によって投与し得る。
【0197】
経鼻投与又は吸入による投与には、本発明による化合物は、加圧パック又は噴霧器のためのエアロゾルスプレー提示の形態で、適切な噴霧剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガス若しくはガスの混合物を使用して、好都合に送達し得る。
【0198】
所望する場合は、組成物は、活性成分を含有する1つ又は複数の単位剤形を含有し得るパック又は分注装置中で提示し得る。パック又は分注装置には、投与のための指示が添付されていてもよい。
【0199】
局所投与には、本発明による化合物は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体中に懸濁又は溶解させた活性構成要素を含有する適切な軟膏中で好都合に配合し得る。具体的な担体には、たとえば、鉱物油、液体石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス及び水が含まれる。或いは、本発明による化合物は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解させた活性構成要素を含有する適切なローション中で適切に配合し得る。具体的な担体には、たとえば、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、ベンジルアルコール、2−オクチルドデカノール及び水が含まれる。
【0200】
一実施形態では、配合物は、吸入を含めた局所投与のための配合物として提供される。
【0201】
適切な吸入用調製物には、吸入用粉末、噴霧用ガスを含有する計量エアロゾル又は噴霧用ガスを含まない吸入用溶液が含まれる。活性物質を含有する、本開示による吸入用粉末は、上述の活性物質のみから、又は上述の活性物質と生理的に許容される賦形剤との混合物からなり得る。
【0202】
これらの吸入用粉末には、単糖(たとえば、グルコース若しくはアラビノース)、二糖(たとえば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖(たとえばデキストラン)、ポリアルコール(たとえば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(たとえば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの互いとの混合物が含まれ得る。単糖又は二糖、すなわち、ラクトース又はグルコースの、排他的ではないが特にその水和物の形態の使用が適切に使用される。
【0203】
肺中に堆積させるための粒子は、10ミクロン未満、たとえば1〜9ミクロン、たとえば0.1〜5μm、具体的には1〜5μmの粒子径を必要とする。活性成分(抗体又は断片など)の粒子径は非常に重要である。
【0204】
吸入用エアロゾルを調製するために使用することができる噴霧用ガスは、当分野で知られている。適切な噴霧用ガスは、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタンなどの炭化水素並びにメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンなどの塩素化及び/又はフッ素誘導体等のハロ炭化水素から、とりわけ選択される。上述の噴霧用ガスは、それ自体で又はその混合物中で使用し得る。
【0205】
特に適した噴霧用ガスは、TG11、TG12、TG134a及びTG227からとりわけ選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。上述のハロゲン化炭化水素のうち、TG134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)及びTG227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)並びにその混合物が特に適している。
【0206】
また、噴霧用ガスを含有する吸入用エアロゾルは、共溶媒、安定化剤、表面活性剤(界面活性剤)、抗酸化剤、潤滑剤及びpHを調節する手段などの、他の成分も含有し得る。これらの成分はすべて当分野で知られている。
【0207】
本発明による噴霧用ガスを含有する吸入用エアロゾルは、5重量%までの活性物質を含有し得る。本発明によるエアロゾルは、たとえば、0.002〜5重量%、0.01〜3重量%、0.015〜2重量%、0.1〜2重量%、0.5〜2重量%又は0.5〜1重量%の活性成分を含有する。
【0208】
或いは、肺への局所投与は、たとえば、噴霧器、たとえばコンプレッサーに接続された噴霧器(たとえば、Pari Respiratory Equipment,Inc.、バージニア州Richmondによって製造された、Pari Master(登録商標)コンプレッサーに接続されたPari LC−Jet Plus(登録商標)噴霧器)などの装置を用いた、液体の溶液又は懸濁液の配合物の投与によるものであり得る。
【0209】
本発明の抗体様式は、溶媒中に分散させて、たとえば、溶液又は懸濁液の形態で送達することができる。これは、適切な生理溶液、たとえば、生理食塩水又は他の薬理学的に許容される溶媒若しくは緩衝溶液中に懸濁させることができる。当分野で知られている緩衝溶液は、約4.0〜5.0のpHを達成するために、1mlの水あたり、0.05mg〜0.15mgのエデト酸二ナトリウム、8.0mg〜9.0mgのNaCl、0.15mg〜0.25mgのポリソルベート、0.25mg〜0.30mgの無水クエン酸、及び0.45mg〜0.55mgのクエン酸ナトリウムを含有し得る。懸濁液では、たとえば凍結乾燥した抗体を用いることができる。
【0210】
また、治療用の懸濁液又は溶液の配合物は、1つ又は複数の賦形剤も含有することができる。賦形剤は当分野で周知であり、緩衝液(たとえば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液及び炭酸水素緩衝液)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(たとえば血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、並びにグリセロールが含まれる。溶液又は懸濁液は、リポソーム又は生分解性ミクロスフェア中にカプセル封入することができる。配合物は、一般に、無菌的な製造プロセスを用いて実質的に無菌的な形態で提供される。
【0211】
これには、当業者が精通した方法による、配合物に使用する緩衝溶媒/溶液の生成及び濾過による滅菌、無菌的緩衝溶媒溶液中への抗体の無菌的懸濁、並びに無菌的容器内への配合物の分注が含まれ得る。
【0212】
本開示による噴霧用配合物は、たとえば、箔の包みで梱包した単一用量単位(たとえば、密封されたプラスチック容器又はバイアル)として提供し得る。それぞれのバイアルは、一定体積、たとえば2mlの溶媒/溶液緩衝液中に1つの単位用量を含有する。
【0213】
本開示の抗体様式は、噴霧化を介した送達に適していると考えられている。
【0214】
眼の投与には、本発明による化合物は、殺菌剤又は殺真菌剤、たとえば、硝酸フェニル水銀、塩化ベンジルアルコニウム又は酢酸クロルヘキシジンなどの保存料を用いて又は用いない、等張なpH調節した無菌的な生理食塩水中の微小イオン化された懸濁液として、好都合に配合し得る。或いは、眼への投与には、化合物はペトロラタムなどの軟膏中で配合し得る。
【0215】
直腸投与には、本発明による化合物は、坐薬として好都合に配合し得る。これらは、活性構成要素を、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融けて活性構成要素を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製することができる。そのような材料には、たとえば、カカオ脂、蜜蝋及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0216】
特定の状態の予防又は処置に必要な本発明の化合物の量は、選択した化合物及び処置する患者の状態に応じて変動する。しかし、一般に、1日用量は、経口又は頬側の投与には、体重1kgあたり約10ng〜1000mg、典型的には100ng〜100mg、たとえば約0.01mg〜40mg、非経口投与には体重1kgあたり約10ng〜50mg、経鼻投与又は吸入若しくはガス注入による投与には、約0.05mg〜約1000mg、たとえば約0.5mg〜約1000mgの範囲であり得る。
【0217】
本発明のそれぞれの実施形態の好ましい特長は、必要な変更を加えて、他の実施形態のそれぞれと同様である。それだけには限定されないが本明細書中で引用された特許及び特許出願を含めたすべての出版物は、それぞれの個々の出版物が具体的且つ個々に本明細書中に参考として組み込まれていると示されていると記載されたごとく、本明細書中に参考として組み込まれている。
【0218】
本明細書のコンテキストにおける含むとは、含まれることを意味することを意図する。
【0219】
技術的に適切な場合は、本発明の実施形態を組み合わせ得る。
【0220】
実施形態は、特定の特長/要素を含むものとして本明細書中に記載されている。また、本開示は、前記特長/要素からなる、又はから本質的になる個別の実施形態までにも拡張される。
【0221】
以下、本発明を以下の実施例を参照して記載するが、これらは単なる例示であり、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】dAbがC末端にあるFab−dAbの図表示である。
【図2A】Fab−didAbの図表示である。
【図2B】dAb間に追加のジスルフィド安定化を有するFab−didAbの図表示である。
【図3】FabA−dAbL3(CK−SG4SE)(1)及びFabA−dAbL3(CK−G[APAPA]2)(2)のSDS PAGE分析を示す図である。
【図4】FabA−dAbL3(CK−SG4SE)(1)及びFabA−dAbL3(CK−G[APAPA]2)(2)のウエスタンブロット分析を示す図である。
【図4a】FabB−didAbのSDS PAGEを示す図である。 レーンM=SeeBlueマーカー レーン1及び2=IgG対照 レーン3=FabB レーン4=FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及びdAbH1(CH1−G4S×2) レーン5=FabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及びdAbH2(CH1−G4S×2)
【図5】ドメイン抗体dAbH1、dAbH2、dAbL1及びdAbL2並びにこれらの抗体のそれぞれに由来するCDRの配列を示す図である。
【図6】ドメイン抗体と融合されているFabBの重鎖又は軽鎖可変ドメインを含むFabB−dAb構築体を示す図である。
【図7】Fab’A重鎖及び軽鎖の配列及びFabA重鎖の配列を示す図である。
【図8a】様々なマウスdAbにおけるCDRのアミノ酸配列を示す図である。図8a、8b及び8cは、マウス化Fab−didAbのアミノ酸配列を示す。
【図8b】mFabD−mdidAbのアミノ酸配列を示す図である。図8a、8b及び8cは、マウス化Fab−didAbのアミノ酸配列を示す。 dAbL1(CK−G4S×2) dAbH1(CH1−G4S×2) dAbL2(CK−G4S×2)及び dAbH2(CH1−G4S×2)
【図8c】mFabD−mdidAbのアミノ酸配列を示す図である。図8a、8b及び8cは、マウス化Fab−didAbのアミノ酸配列を示す。 dAbL1(CK−G4S×2)及び dAbH1(CH1−G4S×2)mFabC−mdAbH1 dAbL2(CK−G4S×2)及び dAbH2(CH1−G4S×2
【図9】FabB−didAbのSDS PAGEを示す図である: レーン1及び4はFab’Bであり、 レーン2及び5は、FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)であり、 レーン3及び6は、FabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)である。
【図10】Thermofluor熱安定性アッセイを示す図表示である。
【図11】活性化したマウスT細胞と結合した、HAS−FITCシグナル/HAS−FITC混合物のプロットを示す図である。
【図12】凝集安定性アッセイのプロットを示す図である。
【図13】皮下及び静脈内投薬後の経時的なin vivo濃度プロフィールを示す図である。
【図14A】特定のCD4+細胞及びCD8+細胞の読取値を示す図である。
【図14B】特定のCD4+細胞及びCD8+細胞の読取値を示す図である。
【図14C】特定のCD4+細胞及びCD8+細胞の読取値を示す図である。
【図15】FabB−645FvのSDS−PAGE分析を示す図である。
【図16】FabB−645Fvのサイズ排除分析を示す図である。
【図17】様々なリンカー長を有するFabB−645Fvの温度記録を示す図である。
【図18】特定のFabB構築体のSDS−PAGE分析を示す図である。
【図19】様々なFabB−645Fv構築体のサイズ排除分析を示す図である。
【図20】特定の様式の配列を示す図である。
【図21】特定の様式の配列を示す図である。
【図22】特定の様式の配列を示す図である。
【図23】特定の様式の配列を示す図である。
【図24】特定の様式の配列を示す図である。
【図25】VH/VL対がFabのC末端に位置しており、ジスルフィド安定化されている、構築体Fab−645dsFVのSDS PAGE分析を示す図である。
【図26】図25の構築体のサイズ排除分析を示す図である。
【図27A】本開示による構築体のThermofluor分析を示す図である。
【図27B】Tm対pHのプロットを示す図である。
【図28】ヒトPCMB上でのヒトOX40リガンド結合の阻害に基づいた、本開示による構築体のin vitroアッセイを示す図である。
【図29A】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、血液に対する効果を示す図である。
【図29B】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、腹膜に対する効果を示す図である。
【図29C】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、脾臓細胞に対する効果を示す図である。
【図29D】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、脾臓細胞に対する効果を示す図である。
【図30A】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図30B】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図30C】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図30D】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図31】特定の構築体の発現データを示す図である。
【図32A】特定の構築体の結合データを示す図である。
【図32B】特定の構築体の結合データを示す図である。
【図32C】特定の構築体の結合データを示す図である。
【0223】
キー
−645Fvは、didAbL1及びH1と同等とみなす(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)。
648Fvは、didAbL2及びH2と同等とみなす(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)。
−645dsFvは、didAbL1及びH1と同等とみなし(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)、L1及びH1はジスルフィド結合によって安定化されている。
−648dsFvは、didAbL2及びH2と同等とみなし(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)、L2及びH3はジスルフィド結合によって安定化されている。
FabΔとは、鎖間システイン結合(CHとCL又はCKとの間)を欠くFabである。
【実施例】
【0224】
略記:内容によりそうでないと指示されない限りは、接頭字としての「m」は、マウスをいうことを意図する。
【0225】
内容によりそうでないと指示されない限りは、接頭字としての「h」は、ヒトをいうことを意図する。Fab A、Fab B、Fab C及びFab Dの構成要素を、以下に様々な様式で提供し得る。
【0226】
(例1)
ヒト血清アルブミンに特異的なdAbの生成
ヒト血清アルブミンに対する特異性を有するdAbをコードしている、インフレームのDNAにコードされた転写単位を、組換えDNA技術を使用して生成した。
【0227】
所望する場合は、動員タンパク質に対する特異性を有するdAbをコードしている、インフレームのDNAにコードされた転写単位を、組換えDNA技術を使用して生成することができる。
【0228】
(例2)
抗体断片の産生
dAbと軽鎖のC末端との融合には、ヒトカッパ軽鎖定常領域(カッパ定常領域のKm3アロタイプを有する)、ペプチドリンカー及びdAbをコードしているDNAを合成し、SacI−PvuII制限断片として、ヒトガンマ−1のCH1定常領域をコードしているDNAを含有する、UCB−Celltechのインハウス発現ベクターpTTOD(Fab)(pTTO−1の誘導体、Popplewellら、Methods Mol.Biol.、2005、308:17〜30に記載)内にクローニングした。これにより、どちらもtacプロモーターの制御下にある、リンカーを介してdAbと融合されたヒト化軽鎖の遺伝子、次いでヒト化重鎖Fab断片の遺伝子からなる、2シストロン性の遺伝子配置が生じた。また、Gly4Serリンカーの上流の独特なBspE1部位、又はAla−Proに富んだリンカーの上流のAscI部位もコードされている。
【0229】
dAbと重鎖のC末端との融合には、ヒトCH1断片(γ1アイソタイプのもの)、次いでリンカーのコード配列及びdAbをコードしているDNAを合成した。これを、ApaI−EcoRI制限断片として、ヒトガンマ−1のCH1定常領域をコードしているDNAを含有する、UCB−Celltechのインハウス発現ベクターpTTOD(Fab)(pTTO−1の誘導体、Popplewellら、上記に記載)内にサブクローニングした。これにより、どちらもtacプロモーターの制御下にある、ヒト化軽鎖の遺伝子、非コード遺伝子間配列、次いでリンカーを介してdAbと融合された重鎖からなる、2シストロン性の遺伝子配置が生じた。組換え発現プラスミドを大腸菌株W3110内に形質転換させ、それ中での発現はIPTGを加えることによって誘導した。発現実験は、最初は小スケール(5mlの培養体積)で行い、200uMのIPTGを約0.5のOD(600nm)で加え、細胞を誘導の2時間後に回収し、終夜、30℃トリス/EDTA中で抽出した。清澄にした抽出液は、Biacoreによる親和性分析に使用した。有望な発現収率及び活性を与える構築体を発酵用に選択した。
【0230】
以下の例に適用可能な方法
以下の例では、dAbを融合させる抗体鎖は、cカッパ軽鎖はCK又はLC、重鎖定常ドメインCH1はCH1又はHCとして示す。
【0231】
大腸菌中で発現させるためのFabA−dAb融合プラスミドの構築
Fab−dAb融合タンパク質は、dAbL3又はdAbH4を、FabAの軽鎖又は重鎖のどちらかの定常領域のC末端と融合させることによって構築した。柔軟な
【化5】
又は強固な
【化6】
リンカーを使用してdAbをcカッパ領域(配列番号75)と連結させた一方で、リンカー
【化7】
を使用してdAbをCHI領域(配列番号76)と連結させた。インハウスのpTTODベクターのFabA配列内へのサブクローニングを可能にするために、定常領域−dAbの融合体をコードしているDNA配列を、断片として合成により製造した。
【0232】
軽鎖−dAbの融合体は、
【化8】
又は強固な
【化9】
リンカーのどちらかを介してdAbL3又はdAbH4のどちらかと融合されているC末端のcカッパをコードしている、合成した遺伝子のSacI−ApaI断片を、FabAを発現することができるプラスミドの対応する部位内にサブクローニングすることによって構築した。
【0233】
重鎖−dAbの融合体は、DKTHTSリンカーを介してdAbL3又はdAbH4のどちらかと融合されているC末端のCHIをコードしている、合成した遺伝子のApaI−EcoRI断片を、FabAを発現することができるプラスミドの対応する部位内にサブクローニングすることによって構築した。
【0234】
Fab’AはIL−1ベータ結合抗体に由来し、その重鎖及び軽鎖配列は、図7に示すようにそれぞれ配列番号74及び75中に提供する。軽鎖にdAbが付着しているFab’Aでは、重鎖にdAbが付着していない場合でも、重鎖のヒンジをDKTHTSに変更した(配列番号76)。
【0235】
FabAは、同じ軽鎖配列(配列番号75)及び鎖間システインで終結する切断された重鎖配列(配列番号77)を含む。dAbL3及びdAbH4はそれぞれ、ヒト血清アルブミンと結合する軽鎖及び重鎖ドメイン抗体である。
【0236】
大腸菌中で発現させるためのFabA−didAb融合プラスミドの構築
軽鎖及び重鎖の両方上にdAbL3又はdAbH4を有するFabA−didAbは、CH1−dAbの融合体をコードしているApaI−EcoRI断片を、既存のFab−dAbプラスミド内にサブクローニングすることによって構築し、ここでdAbは柔軟なリンカーを介して軽鎖と融合されている。
【0237】
哺乳動物細胞中で発現させるためのFabB−dAb融合プラスミドの構築
FabB−dAb、FabB−dAbH1(CH1−G4S×2)、FabB−dAbH2(CH1−G4S×2)、FabB−dAbL1(CH1−G4S×2)、FabB−dAbL2(CH1−G4S×2)はすべて、PCRによってアセンブルし、その後、HCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。これらは、哺乳動物細胞中で発現させるために、FabB軽鎖を含有する類似のベクターと対にした(以下を参照)。
【0238】
FabBは、細胞表面共刺激分子と結合する抗体に由来する。dAbH1、dAbH2、dAbL1及びdAbL2は、例3に記載のように得られた。
【0239】
FabB−dAb及びdidAbの哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、2μgの重鎖プラスミド+2μgの軽鎖プラスミドを、10μlの293fectin+340μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベーションした。その後、混合物を懸濁液中の5×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。
【0240】
Biacore
Fab−dAb構築体の相互作用の結合親和性及び動力学的パラメータは、CM5センサーチップ及びHBS−EP(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20)ランニング緩衝液を用いてBiacore T100で実施した表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。Fab−dAb試料は、ヒトF(ab’)2に特異的なヤギFab(Jackson ImmunoResearch、109−006−097)又はインハウスで作製した抗ヒトCH1モノクローナル抗体のどちらかを使用して、センサーチップ表面に捕捉させた。捕捉抗体の共有的固定は標準のアミンカップリング化学によって達成した。
【0241】
それぞれのアッセイサイクルは、最初に1分間の注入を使用したFab−dAbの捕捉、次いで3分間の抗原の注入からなる会合段階からなり、その後、解離を5分間監視した。それぞれのサイクルの後、捕捉表面を、2×1分間の40mMのHClの注入、次いで30秒間の5mMのNaOHの注入を用いて再生した。使用した流速は、捕捉には10μl/分、会合及び解離段階には30μl/分、並びに再生には10μl/分であった。
【0242】
動力学的アッセイでは、抗原の滴定(ヒトの血清アルブミンでは典型的には62.5nM〜2μMであり、IL−1βでは1.25〜40nMである)を行い、ブランクのフローセルを参照の減算に使用し、機器のノイズ及びドリフトを減算するために緩衝液ブランクの注入を含めた。
【0243】
動力学的パラメータは、Biacore T100評価ソフトウェアを使用して、生じたセンサーグラムを、標準の1:1結合モデルに、同時に総合的に当てはめることによって決定した。
【0244】
同時結合について試験するために、別個の5μMのHSA若しくは100nMのIL−1β、又は5μMのHSA及び100nMのIL−1βの混合溶液のどちらかの3分間の注入を、捕捉されたFab−dAbの上に注入した。
【0245】
大腸菌からのFab−dAbの精製
ペリプラズム抽出
ペリプラズム内にFab−dAbを含有する大腸菌ペレットを、100mMのトリス/HCl、10mMのEDTA、pH7.4を用いて、元の培養体積に再懸濁させた。その後、これらの懸濁液を4℃で16時間、250rpmでインキュベーションした。再懸濁させたペレットを10000×gで1時間、4℃で遠心分離した。上清を除去し、0.45μmを濾過した。
【0246】
タンパク質Gの捕捉
Fab−dAbを濾過した上清からタンパク質Gクロマトグラフィーによって捕捉した。手短に述べると、20分間の滞留時間を用いて、上清を、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で平衡化したGammabind Plus Sepharose(GE Healthcare)カラムに適用した。カラムを20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.8で溶出させた。溶出ピークを収集し、1Mの酢酸ナトリウムを用いてpHを約pH5に調節した。pHを調節した溶出液を濃縮し、10kのMWCO膜を使用して、50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5中にダイアフィルトレーションした。
【0247】
イオン交換
Fab−dAbを、pH4.5でNaClの溶出勾配を用いた陽イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製した。手短に述べると、ダイアフィルトレーションしたタンパク質Gの溶出液を、50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5で平衡化したSource15S(GE Healthcare)カラムに適用した。カラムを50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5で洗浄し、結合した材料を、20倍カラム体積の、50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5中の0〜1MのNaClの直線勾配を用いて溶出させた。3番目のカラム体積の画分を、勾配全体にわたって収集した。画分をA280及びSDS−PAGEによって分析し、関連する画分をプールした。
【0248】
ゲル濾過
必要な場合は、Fab−dAbをゲル濾過によってさらに精製した。手短に述べると、FabA−dAbL3(CK−SG4SE)のプールしたイオン交換溶出画分を、50mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaCl、pH5.0で平衡化したSuperdex200(GE Healthcare)カラムに適用し、50mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaCl、pH5.0の均一濃度勾配で溶出させた。1/120倍カラム体積の画分を、勾配全体にわたって収集した。画分をA280及びSDS−PAGEによって分析し、関連する画分をプールした。ゲル濾過を受けなかったFab−dAbでは、プールしたイオン交換溶出画分を濃縮し、10kのMWCO膜を使用して、50mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaCl、pH5.0中にダイアフィルトレーションした。
【0249】
SDS−PAGE
必要な場合は試料を水で希釈し、その後、10μlに、10μLの2×試料ランニング緩衝液を加えた。非還元試料には、2μLの100mMのNEMをこの時点で加え、還元試料には、2μLの10×還元剤を加えた。試料を渦撹拌し、85℃で5分間インキュベーションし、冷却し、12500rpmで30秒間遠心分離した。調製した試料を4〜20%のアクリルアミントリス/グリシンSDSゲル上に載せ、100分間、125Vで流した。ゲルをウエスタンブロッティングのためにPVDF膜上に移したか、又はクマシーブルータンパク質染色で染色した。
【0250】
ウエスタンブロッティング
ゲルを、12mMのトリス、96mMのグリシン、pH8.3中で、16時間、150mAでPVDF膜に移した。PVDF膜を1時間、PBS+0.1%のTween20(遮断緩衝液)中の2%のMarvel(商標)で遮断した。
【0251】
抗軽鎖
HRP−ウサギ抗ヒトカッパ軽鎖、遮断緩衝液中の1/5000の希釈液で1時間。
【0252】
抗重鎖
マウス抗ヒト重鎖、遮断緩衝液中の1/7000の希釈液で1時間。次いで、HRP−ヤギ抗マウス、遮断緩衝液中の1/2000の希釈液で1時間。
【0253】
抗Hisタグ
ウサギ抗His6、遮断緩衝液中の1/1000の希釈液で1時間。次いで、HRP−ヤギ抗ウサギIgG、遮断緩衝液中の1/1000の希釈液で1時間。
【0254】
すべてのブロットを、100mlのPBS+0.1%のTween20を用いて、1回の洗浄あたり10分間で6回洗浄した。ブロットは、ECL試薬で1分間展開させた後にAmersham Hyperfilmに曝露させたか、又は金属増感DAB試薬で20〜30分間、次いで水で展開させた。
【0255】
高温逆相HPLC
試料(2μg)は、2.1mmのC8 Poroshellカラム上、80℃で、2ml/分の流速及び18〜38%のBの勾配を用いて、4分間にわたって分析した。A=H2O中の0.1%のTFA、B=80:20のIPA:MeOH中の0.065%のTFA。検出は214nmでの吸収によるものである。
【0256】
ELISA
Fab−dAbの収率はサンドイッチELISAを用いて測定した。手短に述べると、Fab−dAbを抗CH1抗体で捕捉し、その後、抗カッパ−HRPを用いて表示させた。
【0257】
FACS
試料(mFabD−didAb)を5μg/mlのFITC(フルオレセインイソチオシアネート)で標識したHSAと共に45分間インキュベーションした。その後、試料/HSA−FITCのインキュベーションを活性化したマウスCD4+T細胞に加え、さらに45分間インキュベーションした。細胞をPBSで洗浄し、細胞に関連する蛍光をFACS(蛍光活性化細胞分取)によって測定した。
【0258】
(例3)
抗アルブミン抗体の作製
1/2ロップウサギを組換えchromapureヒト血清アルブミン(Jacksonから購入)で免疫化した。ウサギには100ugのHSAタンパク質の3回の免疫化を皮下で与え、最初の免疫化は完全フロイントアジュバント中、続く免疫化は不完全フロイント中であった。ヒト、マウス及びラットの血清アルブミンと結合する抗体1及び2、646、647、並びに649は、WO04/051268号に記載の方法を使用して単離した。抗体1及び2の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)の遺伝子を単離し、逆転写PCRによるクローニングの後に配列決定した。
【0259】
軽鎖を移植した配列を、ウサギC−カッパ定常領域をコードしているDNAを含有するウサギ軽鎖発現ベクターpVRbcK内にサブクローニングした。重鎖を移植した配列を、ウサギFab’重鎖定常領域をコードしているDNAを含有するウサギ重鎖発現ベクターpVRbHFab内にサブクローニングした。プラスミドをCHO細胞内に同時形質移入し、産生された抗体をアルブミン結合及び親和性についてスクリーニングした(表1)。CHO細胞の形質移入は、Lipofectamine(商標)2000手順を使用して、製造者の指示(InVitrogen、カタログ番号11668)に従って行った。
【0260】
ヒト化ドメイン抗体dAbL1、dAbH1、dAbL2及びdAbH2の作製
ヒトV領域アクセプターフレームワーク及びフレームワーク領域中のドナー残基を使用して、ヒト化したVL及びVH領域を設計した。1つの移植したVL領域(L1(配列番号53)及びL2(配列番号55))並びに1つのVH領域(H1(配列番号52)及びH2(配列番号54))を、抗体1及び2のそれぞれについてそれぞれ設計し、遺伝子はオリゴヌクレオチドのアセンブル及びPCR突然変異誘発によって構築した。移植したドメイン抗体及びそのCDRを図5に示す。
【表4】
【0261】
(例4)
哺乳動物細胞中で発現させたFabB−dAbの分析
方法に記載されているようにFabB−dAb構築体を産生し、FabB−dAbを含有する形質移入したHEK293細胞からの上清をBIAcoreで直接試験した。
【0262】
動力学的分析を実施して、HSAとFabB−dAb構築体との相互作用を評価した。これらは、FabBのCH1のC末端と融合されているdAbL1、dAbH2又はdAbL3のいずれかからなっていた(図6を参照)。FabB−dAbL1は、HSAに対する親和性、KD=170nMが、FabB−dAbL3、KD=392nMよりも高かった。FabB−dAbH2は、HSAに対して最も乏しい親和性を保有することが示された、KD=1074nM、表2を参照されたい。
【表5】
【0263】
親和性及び動力学的パラメータを、HSAと、dAbL1、dAbH2又はdAbL3と融合されているFabBとの結合について決定した。示したデータは平均値±SEMである。(FabB−dAbL1及びFabB−dAbH2ではn=4。FabB−dAbL3ではn=2)。
【0264】
FabB−dAbタンパク質のSDS−PAGE及びウエスタンブロッティングにより、産生されたFabB−dAbは予測された大きさであったことが確認された。
【0265】
(例5)
哺乳動物細胞中で発現させたFabB−didAbの分析
方法に記載されているようにFabB−didAb構築体を産生させ、didAbを含有する形質移入したHEK293細胞からの上清をBIAcoreで直接試験した。
【0266】
単一のdAbがFabの重鎖及び軽鎖のC末端のどちらとも融合されているdidAb構築体を使用して、さらなる分析を行った。didAbが天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインの対合に由来していた構築体は、単一のdAb単独と比較して顕著な親和性の改善を示した(表2及び3)。2つの同一のdAbL1からなるdidAb融合体では、単一のdAbL1で見られるものを超える親和性の改善は示されなかった(データ示さず)。
【表6】
【0267】
親和性及び動力学的パラメータを、HSAと、dAbL1及びdAbH1又はdAbL2及びdAbH2の両方と融合されているFabBとの結合について決定した。
【0268】
FabB−didAbタンパク質のSDS−PAGEにより、FabB−didAbは良好に発現され、予測された大きさであったことが確認された(図4aを参照)。このSDS PAGEゲルは細胞によって発現された全タンパク質であることに注意されたい。
【0269】
(例6)
精製したFabA−dAbの分析
大腸菌中でFab−dAb、Fab’A−dAbL3(CK−SG4SE)、Fab’A−dAbL3(CK−G[APAPA]2)を発現させるためのプラスミドを、方法に記載されているように構築した。Fab−dAbは大腸菌のペリプラズム内に発現され、方法に記載されているように均質となるまで精製した。Fab−dAbの純度は、高温逆相HPLC、SDS−PAGE及びウエスタンブロッティングによって評価した。また、Fab−dAbは、Biacoreによって抗原結合についても評価した。
【0270】
高温逆相HPLC
方法に記載されているように行った高温逆相HPLCにより、FabA−dAbL3(CK−SG4SE)及びFabA−dAbL3(CK−G[APAPA]2)中に含有されるすべての種の定量分析が与えられた。存在するそれぞれの種の百分率を表4に示す。
【表7】
【0271】
SDS−PAGE
Fab−dAb試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上に流した。ゲルをクマシー染色した。両方のFab−dAb試料、すなわちFab’A−dAbL3(CK−SG4SE)及びFab’A−dAbL3(CK−G[APAPA]2)のバンドプロフィールは、高温逆相HPLCによって観察されたプロフィールに良好に対応する(図3)。
【0272】
ウエスタンブロット
方法に記載されているように、Fab−dAb試料を非還元SDS−PAGE、次いで抗軽鎖及び抗重鎖抗体を用いたウエスタンブロット分析に供した。これにより、dAbはFabの軽鎖上にあり、どちらの試料中でも重鎖は改変されていなかったことが確認された(図4)。また、これは、クマシー染色した非還元SDS PAGEによって検出されたすべてのバンドがFab−dAb関連の産物であることも実証している。
【0273】
Biacore
方法に記載されているように、SPRによる動力学的分析を使用して、ヒト血清アルブミンとFab’A−dAbL3(CK−SG4SE)及びFab’A−dAbL3(CK−G[APAPA]2)との結合を評価した。表5の結果は、どちらの構築体も約1μMの同様の親和性(KD)でヒト血清アルブミンと結合できることを実証している。
【表8】
【0274】
さらなる動力学的分析は、すべての融合構築体が元のFabAのIL−1βに対する相互作用特徴を保持しており、表6、動力学及び親和性のパラメータに軽微な相違しか見られないことを実証した。
【表9】
【0275】
それぞれの構築体がヒト血清アルブミン及びIL−1β抗原の両方と同時に結合する潜在性は、それぞれの構築体をセンサーチップ表面に捕捉させた後に、5μMのヒト血清アルブミン若しくは100nMのIL−1β、又は5μMのヒト血清アルブミン及び100nMのIL−1βの両方の混合溶液の、別個の3分間の注入のどちらかを行うことによって評価した。それぞれのFab−dAb構築体について、合わせたHSA/IL−1β溶液で見られた応答は、独立した注入の応答の合計とほぼ同一であった、表7を参照されたい。これは、Fab−dAbはIL−1β及びヒト血清アルブミンの両方と同時結合することができ、IL−1β又はヒト血清アルブミンのどちらかの結合は他方の相互作用を阻害しないことを示している。元のFabAはIL−1βとのみ結合し、ヒト血清アルブミンとの結合は無視できる程度である。
【表10】
【0276】
上記表は、HSA若しくはIL−1βの別個の注入、又は事前に混合したHSA及びIL−1βの注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は、HSAは5μMであり、IL−1βは100nMであった。個々のHSA及びIL−1βの応答の合計を括弧内に示す。
【0277】
(例7)
FabA didAb
大腸菌でのFabA−didAbの発現
C末端のヒスチジンタグ(HIS6タグ)で終結するFabA−dAb及びFabA−didAbの融合体を大腸菌(Escherichia coli)中で発現させた。ペリプラズム抽出後、dAb融合タンパク質を、C末端のHis6タグを介して精製した。Fab発現は、抗CH1及び抗cカッパ抗体を用いた非還元ゲルのウエスタンブロッティングによって分析した。FabA−dAb及びFabA−didAbは完全長タンパク質として発現されており、どちらの抗体検出試薬とも反応することが示された。
【0278】
大腸菌中で発現させたFabA−didAbの分析
さらなる分析を実施して、HSAと1つ又は複数のdAbを融合させたFabA構築体との結合を特徴づけた。結合アッセイを、dAbL3又はdAbH4がFabAの軽鎖又は重鎖のどちらかと融合されている様々な構築体で行った(構築体の詳細及び結合データの要約には表8を参照)。軽鎖又は重鎖のどちらか上にdAbH4のみを保有する構築体は、比較的乏しい親和性でHSAと結合することが見られたが(それぞれ≒9μM及び3μM)、dAbL3を、単一の融合体(軽鎖若しくは重鎖のどちらか上)として、又は反対の鎖上の第2のdAb(dAbL3若しくはdAbH4)と組んで保有する構築体では、より高い親和性の結合が観察された。
【表11】
【0279】
親和性及び動力学的パラメータを、HSAと、示したように軽鎖(LC)若しくは重鎖(HC)のどちらか又は両方上にdAbL3又はdAbH4を保有するFabAとの結合について決定した。HSAと元のFabAとの結合は検出されなかった(nb)。HSAと(HC上のdAbH4)又は(LC上のdAbH4)を有するFabAとの結合の相互作用の動力学は、決定するには速すぎ、したがって、親和性(KD)は定常状態の結合から決定した。
【0280】
(例8)
FabB−didAbの発現及び精製
哺乳動物発現
形質移入の前に、CHO−XE細胞をアール(Earls)バランス塩溶液(EBSS)で洗浄し、ペレット化し、2×108個の細胞/mlでEBSSに再懸濁させた。重鎖及び軽鎖プラスミドを400ugの合計濃度で細胞に加えた。形質移入には、800μlの細胞/DNA混合物の最適化した電気パラメータをインハウスの電気穿孔器上で使用した。形質移入した細胞を、glutamax、HT及び抗真菌抗生物質溶液を添加した1LのCD−CHO培地に直接移した。細胞をインキュベーションし、37℃で24時間振盪し、その後、32℃に移行させた。3mMの酪酸ナトリウムを4日目に加えた。上清を14日目に1500×gでの遠心分離によって回収して、細胞を除去した。発現レベルはELISAによって決定した。
【0281】
哺乳動物発現の上清の濃度
ELISAによって評価して約55μg/mlのFabB−didAbを含有する哺乳動物上清を、10kDaの分子量カットオフのポリエーテルスルホン(PES)膜を装着したMinisette濃縮機を使用して、1.8Lから200mlまで濃縮した。
【0282】
タンパク質G精製
濃縮した上清を、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で平衡化したGammabind Plus Sepharose(GE Healthcare)カラムに適用した。カラムを20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピークを収集し、2Mのトリス/HCl、pH8.8を用いてpHを約pH7に調節した。10kDの分子量カットオフのPES膜を使用して、pHを調節した溶出液を1mg/mlまで濃縮し、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1中にダイアフィルトレーションした。
【0283】
SDS−PAGE
必要な場合は試料を水で希釈し、その後、26μlに、10μLの4×LDS試料ランニング緩衝液を加えた。非還元試料には、4μLの100mMのNEMを加え、還元試料には、4μLの10×還元剤を加えた。試料を渦撹拌し、85℃で5分間インキュベーションし、冷却し、12500rpmで30秒間遠心分離した。調製した試料を4〜20%のアクリルアミントリス/グリシンSDSゲル上に載せ、110分間、125Vで流した。ゲルをクマシーブルータンパク質染色で染色した。
【0284】
ELISA
Fab−didAbの収率はサンドイッチELISAを用いて測定した。手短に述べると、Fab−didAbを抗CH1抗体で捕捉し、その後、抗カッパ−HRPを用いて表示させた。
【0285】
SDS−PAGE
FabB及びFabB−didAb試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上で分離し、染色した。図9を参照されたい。
【0286】
(例9)
FabB−Fvに対するThermofluor熱安定性アッセイ
試料(1μlの約1mg/mlの試料、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素)を四つ組で384ウェルプレートに流した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。結果を表D及び図10に示す。
【表12】
【0287】
(例10)
FabB−Fvの凝集安定性アッセイ
PBS中の1mg/mlの試料を、1400rpmで渦撹拌しながら25℃でインキュベーションした。吸光度を595nmで測定する。この吸光度は粒子によって散乱された光が原因であり、試料の凝集と相関させることができる。FabB−645Fv(G4S×2)及びFabB−648Fv(G4S×2)はどちらも、FabB単独と同等に凝集に対して耐性がある。これらはすべて、IgG対照よりも凝集に対して耐性がある。(図12)
【0288】
(例11)
Fab−FvとHSAとの結合のpH依存性
Fab−Fv構築体とHSAとの相互作用の結合親和性は、40mMのクエン酸、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20及び80mMのリン酸水素二ナトリウム、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20を混合することによってpH5.0、5.5、6.0及び7.0のランニング緩衝液を作製して所望のpHを与えた以外は、方法に記載されているように決定した。
【0289】
HSAに対するFabB−645Fv(G4S×2)の親和性は、7.4(標準のアッセイpH)から5.0のpHによって影響を受けない。HSAに対するFabB−648Fv(G4S×2)の親和性はpHによって影響を受け、pH7.4とpH5.0との間で約10倍の親和性の損失が存在する。
【表13】
【0290】
(例12)
FabB−Fvのin vivoマウスPK
雄のBALB/cマウスにおけるFabB−645Fv(G4S×2)及びFabB−648Fv(G4S×2)の薬物動態学を、皮下(sc)又は静脈内(iv)のどちらかでの10mg/kgの単一の投与後に決定した。6匹のマウスに、それぞれの構築体及び投与経路について投薬した。皮下投与の1、4、8、24、48、72、102及び168時間後並びに静脈内投与の30分間、1、8、24、48、72、96及び168時間後の時点で、一連の血液試料(30μL)を尾部静脈から収集した。収集した血液を、血清分離のために凝血活性化剤を含むSarstedt microvette CB300Z内に分注し、室温で少なくとも20分間静置した。その後、microvetteを20℃、10,000rpmで5分間遠心分離した。血清を除去し、凍結して保管した後に分析した。血清試料中のFabB−645Fv(G4S×2)又はFabB−648Fv(G4S×2)の濃度はELISAによって評価した。手短に述べると、Nunc Maxisorb ImmunomoduleプレートをPBS中のhOX40−Fcでコーティングし、PBS中の1%のBSAで遮断した。血清試料及び標準物質をPBS中の1%のBSAに希釈し、プレートに1時間施用した。プレートをPBSで洗浄し、ヤギ抗ヒトカッパHRPのコンジュゲートを表示させる抗体をPBS中の1%のBSA中で1時間施用した。プレートを洗浄し、その後、TMB基質で展開させ、次いで2.5Mの硫酸で停止させた。630nmでの洗浄液の吸光度を測定し、濃度を検量線から決定した。
【0291】
FabB−645Fv(G4S×2)及びFabB−648Fv(G4S×2)はどちらも血漿中で延長された半減期を有する。図13。FabB−645Fv(G4S×2)の半減期はscで71時間及びivで62時間であり、FabB−648Fv(G4S×2)の半減期はscで25時間及びivで30時間である。
【0292】
(例13)
FabB−Fvのin vivo有効性研究
FabB−645Fv及びFabB−648Fvがin vivoで有効であるかを調査するための研究を行った。手短に述べると、これはHuSCIDマウスにおける定常状態の投薬を含み、読取りはT細胞生着の防止であった。
【0293】
CB17 SCIDマウスに、2.475mg/kgのFabB−645Fv又はFabB−648Fv又はFabB−PEG40k又はPBSの負荷用量を皮下で−2日目に投薬した。10日目を含めた、その後のそれまでの毎日に、これらに0.75mg/kgのFabB−645Fv又はFabB−648Fv又はFabB−PEG40k又はPBSの維持量を皮下で投薬した。それぞれの投薬群は9〜10匹のマウスからなっていた。−1日目に、ナチュラルキラー細胞の活性を抑止するために、すべてのマウスを0.87mg/マウスのラット抗マウスTM−β1抗体で処置した。0日目に、すべてのマウスに8×106個のヒト末梢血単核球の腹膜間(inter peritoneal)注射を与えた。14日目にマウスを屠殺し、血液、脾臓及び腹膜洗浄液を採取した。試料はFACSによってCD4+及びCD8+T細胞について分析した。データ組はダネット試験後比較を用いた一方向Anovaによって分析した。すべての試験構築体、FabB−645Fv、FabB−648Fv及びFabB−PEG40kは、試験したすべての区画、すなわち、血液、腹膜及び脾臓において同等に有効であった。図14A、B及びC。
【0294】
(例14)
アルブミンに対する645Fvの親和性を変化させるためのFabB−645Fvの突然変異
突然変異誘発PCRによって、点突然変異をFabB−645dsFv(S3×G4S)の645Fv部分の重鎖のCDR中の選択された残基内に導入した。たとえば、I50Aは、Ile50をAlaで置き換えたものである。様々な突然変異を以下の表11に示す。ヒトアルブミンに対するFab−645Fv突然変異体の親和性は、方法に記載されているようにBIAcoreによって評価した。すべての突然変異は、ヒトアルブミンに対して変化していない又は低下した親和性を有していた。
【表14】
【0295】
(例15)
FabとFvとの間の1〜5Gly4Serのリンカー長
哺乳動物細胞中で発現させるためのFabB−645Fv融合プラスミドの構築
FabのC末端とFvのN末端との間に
【化10】
リンカーのいずれかを有するFabB−645Fv’をPCRによってアセンブルし、その後、HCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。関連する重鎖及び軽鎖プラスミドを、哺乳動物細胞中で発現させるために対合させた。
【0296】
FabB−645Fv(1〜5×G4S)の哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、24μgの重鎖プラスミド+24μgの軽鎖プラスミドを、120μlの293fectin+4080μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を60mLの懸濁液中の60×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。すべての構築体は、同等に良好に発現された。
【0297】
タンパク質G精製
哺乳動物発現の懸濁液を遠心分離によって清澄にし、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して上清を約1.8mLまで濃縮した。濃縮した上清を16000×gで10分間遠心分離してすべての沈殿物を除去し、その後、1.5mLを1mlのHiTrapタンパク質Gカラム(GE Healthcare)に1ml/分で載せた。カラムを20mMのホスフェート、40mMのNaCl、pH7.4で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピーク(2mL)を収集し、250μLの1Mの酢酸ナトリウムを用いてpHを約pH5に調節した。pHを調節した溶出液を、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1中にダイアフィルトレーションし、約250μLまで濃縮した。すべての構築体は同様の精製プロフィールを有しており、最終濃度は0.5〜1.1mg/mlであった。
【0298】
FabB−645Fv(1〜5×G4S)のアルブミンに対する親和性
ヒト及びマウスのアルブミンに対する精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)構築体の親和性は、方法に記載されているように決定した。FabのC末端とFvのN末端との間の1〜5×Gly4SerのFvの様々なリンカー長は、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらに対する645Fvの親和性にも影響を与えなかった。
【表15】
【0299】
精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)のSDS−PAGE分析
FabB−645Fv(1〜5×G4S)試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上で分離し、染色した。図15を参照されたい。
【0300】
精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)のサイズ排除分析
FabB−645Fv(1〜5×G4S)試料を、均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を1ml/分で用いて展開させたSuperdex200 10/300GL Tricornカラム(GE Healthcare)上で、大きさについて分析した。
【0301】
1×G4S又は2×G4Sのどちらかの、FabのC末端とFvのN末端との間のリンカー長は、単量体FabB−645Fvの量を低下させる一方で、二量体及びより高次の多量体の量を増加させる。単量体の量は1×G4Sリンカー長で最も少ない。3×G4S、4×G4S又は5×G4Sのいずれかの、FabのC末端とFvのN末端との間のリンカー長は、単量体FabB−645Fvの量を増加させた一方で、二量体及びより高次の多量体の量を減少させ、そのレベルは3つのリンカー長すべてで同様であった。図16。
【表16】
【0302】
精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)のThermofluor熱安定性分析
試料(1μlの約1mg/mlの試料、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素)を四つ組で384ウェルプレートに流した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。結果を表14及び図17に示す。
【表17】
【0303】
(例16)
Fab−Fv中のFvのジスルフィド安定化
哺乳動物細胞中で発現させるためのFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)融合プラスミド
突然変異誘発PCRによって、点突然変異を、FabB−645Fv(2×G4S)及びFabB−648Fv(2×G4S)DNA配列内に、Fvの重鎖及び軽鎖の両方のフレームワーク領域中の選択された残基で導入した。Fvの重鎖と軽鎖との間に鎖間ジスルフィド結合を作製するために導入された突然変異は、重鎖のG44C及び軽鎖のG100Cであった。Fv中に鎖間ジスルフィド結合を作製するためにシステインを付加することに加えて、Fabの重鎖と軽鎖との間の天然の鎖間ジスルフィドを、突然変異誘発PCRによって、システインをセリンに変化させることによって除去した。鎖間ジスルフィド結合を含有するFvはdsFvと呼び、鎖間ジスルフィド結合を欠くFabはFabΔと呼ぶ。その後、これらすべての構築体のDNAをHCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。関連する重鎖及び軽鎖プラスミドを、哺乳動物細胞中で発現させるために対合させた。
【0304】
FabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)の哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、24μgの重鎖プラスミド+24μgの軽鎖プラスミドを、120μlの293fectin+4080μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を60mLの懸濁液中の60×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。すべての構築体は、同等に良好に発現された。
【0305】
FabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のタンパク質G精製
哺乳動物発現の懸濁液を遠心分離によって清澄にし、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して上清を約1.8mLまで濃縮した。濃縮した上清を16000×gで10分間遠心分離してすべての沈殿物を除去し、その後、1.5mLを1mlのHiTrapタンパク質Gカラム(GE Healthcare)に1ml/分で載せた。カラムを20mMのホスフェート、40mMのNaCl、pH7.4で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピーク(2mL)を収集し、250μLの1Mの酢酸ナトリウムを用いてpHを約pH5に調節した。pHを調節した溶出液を、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1中にダイアフィルトレーションし、約250μLまで濃縮した。すべての構築体は同様の精製プロフィールを有しており、最終濃度は0.5〜0.8mg/mlであった。
【0306】
アルブミンに対する、FabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)の親和性
ヒト及びマウスのアルブミンに対する、精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)、FabΔB−648dsFv(2×G4S)構築体の親和性は、方法に記載されているように決定した。Fvのジスルフィド安定化は、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらに対するFvの親和性にも影響を与えなかったか、又はそれをわずかに増加させた。
【表18】
【0307】
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のSDS−PAGE分析
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)、FabΔB−648dsFv(2×G4S)試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上で分離し、染色した。図18を参照されたい。
【0308】
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のサイズ排除分析
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)、FabΔB−648dsFv(2×G4S)試料を、均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を1ml/分で用いて展開させたSuperdex200 10/300GL Tricornカラム(GE Healthcare)上で、大きさについて分析した。
【0309】
鎖間ジスルフィド結合を645Fv又は648FvのどちらかのFv内に導入することで、Fvが鎖間ジスルフィドを有さなかったFab−Fvと比較して、単量体Fab−Fv種の量が増加した。Fab−FvのFab部分からの天然の鎖間ジスルフィド結合の除去は、存在する単量体種の量に小さな影響しか与えなかった。図19。
【表19】
【0310】
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のThermofluor熱安定性分析
試料(1μlの約1mg/mlの試料、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素)を四つ組で384ウェルプレートに流した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。
【0311】
鎖間ジスルフィド結合を645Fv又は648FvのどちらかのFab−FvのFv部分内に導入することで、Fvが鎖間ジスルフィドを有さなかったFab−Fvと比較して、Fvの熱安定性が増加した。Fab−FvのFab部分からの天然の鎖間ジスルフィド結合の除去は、Fab−FvのFab部分の熱安定性を減少させた。
【表20】
【0312】
FabDのBiacore方法
Fab−dAbとFab−didAb構築体との相互作用の結合親和性及び動力学的パラメータは、CM5センサーチップ及びHBS−EP(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20)ランニング緩衝液を用いてBiacore T100で実施した表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。ヒトFab試料は、ヒトF(ab’)2に特異的なヤギFab(Jackson ImmunoResearch、109−006−097)又はインハウスで作製した抗ヒトCH1モノクローナル抗体のどちらかを使用して、センサーチップ表面に捕捉させた。マウスFab試料は、マウスF(ab’)2に特異的なヤギFab(Jackson ImmunoResearch、115−006−072)を使用して捕捉した。捕捉抗体の共有的固定は標準のアミンカップリング化学によって達成した。
【0313】
それぞれのアッセイサイクルは、最初に1分間の注入を使用したFab−dAb又はFab−didAb構築体の捕捉、次いで3分間の抗原の注入からなる会合段階からなり、その後、解離を5分間監視した。それぞれのサイクルの後、捕捉表面を、2×1分間の40mMのHClの注入、次いで30秒間の5mMのNaOHの注入を用いて再生した。使用した流速は、捕捉には10μl/分、会合及び解離段階には30μl/分、並びに再生には10μl/分であった。
【0314】
動力学的アッセイでは、抗原の滴定(ヒト又はマウスの血清アルブミンでは典型的には62.5nM〜2μMであり、IL−1βでは1.25〜40nMであり、細胞表面受容体Dでは20〜1.25nMである)を行い、ブランクのフローセルを参照の減算に使用し、機器のノイズ及びドリフトを減算するために緩衝液ブランクの注入を含めた。
【0315】
動力学的パラメータは、Biacore T100評価ソフトウェアを使用して、生じたセンサーグラムを、標準の1:1結合モデルに、同時に総合的に当てはめることによって決定した。同時結合について試験するために、別個の5μMのHSA若しくは100nMのIL−1β、又は5μMのHSA及び100nMのIL−1βの混合溶液のどちらかの3分間の注入を、捕捉されたFab−dAbの上に注入した。アルブミン及び細胞表面受容体Dの同時結合は、2μMのHSA若しくはMSA及び20nMのマウス細胞表面受容体Dの最終濃度を使用して、同じ様式で評価した。
【0316】
(例17)
mFabC−mdidAb及びmFabD−mdidAbの哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、2μgの重鎖プラスミド+2μgの軽鎖プラスミドを、10μlの293fectin+340μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベーションした。その後、混合物を懸濁液中の5×106個のHEK293細胞に加え、6日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。
【0317】
ELISA
mFab−mdidAbの収率はサンドイッチELISAを用いて測定した。手短に述べると、mFab−mdidAbを抗CH1抗体で捕捉し、その後、抗カッパ−HRPを用いて表示させた。
【表21】
【0318】
(例18)
さらなる動力学的分析を実施して、血清アルブミン及びヒトOX40と、精製したFabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)の融合体並びにFabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)の融合体との相互作用を評価した(表19)。FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)並びにFabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)はどちらも、元のFabBのヒトOX40に対する親和性を保持していた(表20)。
【0319】
FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)並びにFabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)の構築体が、ヒト又はマウスの血清アルブミン及びヒトOX40の両方と同時に結合する潜在性は、それぞれのFab−didAb構築体をセンサーチップ表面に捕捉させ、その後、別個の2μMのアルブミン(ヒト若しくはマウス)又は50nMのヒトOX40、或いは2μMのアルブミン及び50nMのOX40の両方の混合溶液の3分間の注入を行うことによって評価した。HSA結合はどちらのFab−didAb構築体でも見られた。それぞれのFab−didAb構築体について、合わせたアルブミン/OX40溶液で見られた応答は、独立した注入の応答の合計とほぼ同一であった(表21中に要約)。これは、Fab−didAbはOX40及び血清アルブミンの両方と同時結合することができることを示している。元のFabBはOX40のみと結合し、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらとも有意な結合は存在しなかった。
【表22】
【0320】
HSA及びMSAとFab−didAbの融合体との結合について決定された親和性及び動力学的パラメータ。
【表23】
【0321】
hOX40−FcとFabB及びFabB−didAbの融合体との結合の親和性及び動力学的パラメータ。
【表24】
【0322】
上記表は、HSA若しくはMSA又はhOX40−Fcの別個の注入、或いは事前に混合したアルブミン及びhOX40−Fcの注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は2μMのアルブミンHSA及び50nMのhOX40−Fcであった。個々のアルブミン及びhOX40−Fcの応答の合計を括弧内に示す。
【0323】
(例19)
さらなる動力学的分析を実施して、血清アルブミン及びマウス細胞表面受容体Dと、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)との相互作用を評価した(表22)。どちらのmFabD−mdidAbも、HSAとの比較的高い親和性の結合を示した(それぞれKD=2.78nM及び8.97nM)。また、mFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)は、同様の親和性(KD=22nM)でMSAとも結合したが、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)では、MSAとの結合は見られなかった。どちらのmFabD−mdidAbも、元のmFabDのマウス細胞表面受容体Dに対する親和性を保持していた(表23)。
【0324】
mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)が、ヒト又はマウスの血清アルブミン及びマウス細胞表面受容体Dと同時に結合する潜在性は、それぞれのmFab−mdidAb構築体をセンサーチップ表面に捕捉させ、その後、別個の2μMのアルブミン(ヒト若しくはマウス)又は20nMのマウス細胞表面受容体D、或いは2μMのアルブミン及び20nMの細胞表面受容体Dの両方の混合溶液の3分間の注入を行うことによって評価した。ここでも、HSA結合はどちらのmFab−mdidAb構築体でも見られた一方で、mFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)のみがMSAと結合した。それぞれのmFab−mdidAb構築体について、合わせたアルブミン/細胞表面受容体D溶液で見られた応答は、独立した注入の応答の合計とほぼ同一であった(表24中に要約)。これは、mFab−mdidAbは細胞表面受容体D及び血清アルブミンの両方と同時結合することができることを示している。元のmFabDは細胞表面受容体Dのみと結合し、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらとも有意な結合は存在しなかった。
【表25】
【0325】
HSA及びMSAと、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)との結合について決定された親和性及び動力学的パラメータ。
【表26】
【0326】
マウス細胞表面受容体D−Fcと、mFabD、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)との結合の親和性及び動力学的パラメータ。
【表27】
【0327】
上記表は、HSA若しくはMSA又はマウス細胞表面受容体D−Fcの別個の注入、或いは事前に混合したアルブミン及びマウス細胞表面受容体D−Fcの注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は2μMのアルブミンHSA及び20nMのマウス細胞表面受容体D−Fcであった。個々のアルブミン及びマウス細胞表面受容体D−Fcの応答の合計を括弧内に示す。
【0328】
(例20)
さらなる分析を実施して、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)又はmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)と、細胞表面上に発現された血清アルブミン及びマウス細胞表面受容体Dとの同時相互作用を評価した。どちらのmFabD−mdidAbも、活性化したマウスT細胞の細胞表面上に発現された、FITCで標識したHSA及び細胞表面受容体Xと同時に結合することができた(図11)。mFabDは、活性化したマウスT細胞の細胞表面上に発現された細胞表面受容体Xと結合することができたが(データ示さず)、FITCで標識したHSAとは結合しなかった。
【0329】
(例21)
FabB−645dsFv(3×G4S)の発現及び精製
哺乳動物発現
形質移入の前に、1.4×1010個のCHO−SV細胞をアール(Earls)バランス塩溶液(EBSS)で洗浄し、ペレット化した。7mgの重鎖及び7mgの軽鎖のプラスミドDNAを細胞に加えた。EBBS緩衝液は10mlの最終体積まで加える。最適化した電気パラメータをインハウスの電気穿孔器上で使用して、キュベット1個あたり800μlの上記を電気穿孔した。形質移入した細胞を、glutamax、HT及び抗真菌抗生物質溶液を添加した7×1LのCD−CHO培地に直接移した。細胞をインキュベーションし、37℃で24時間振盪し、その後、32℃に移行させた。3mMの酪酸ナトリウムを4日目に加えた。上清を10又は14日目に1500×gでの遠心分離によって回収して、細胞を除去した。発現レベルはタンパク質Gアッセイによって決定した。
【0330】
哺乳動物上清の濃度
15μg/mlのFabB−645dsFv(3×G4S)を含有するプールした哺乳動物上清を、2×10kDaの分子量カットオフのポリエーテルスルホン(PES)膜を装着したMinisette濃縮機を使用して、6.5Lから800mlまで濃縮した。
【0331】
タンパク質G精製
濃縮した上清を、135cm/時で、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4で平衡化した50mlのGammabind Plus Sepharose(GE Healthcare)カラムに施用した。カラムを20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピークを収集し、2Mのトリス/HCl、pH8.8を用いてpHを約pH7に調節した。10kDaの分子量カットオフの膜を備えたAmicon Ultra−15濃縮機及びスイングアウトローター中の4000×gでの遠心分離を使用して、pHを調節した溶出液を7mlまで濃縮し、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4中にダイアフィルトレーションした。
【0332】
Superdex200精製
濃縮及びダイアフィルトレーションしたタンパク質G溶出液を、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4で平衡化したXK26/60Superdex200(GE Healthcare)カラムに適用した。均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を用いて30cm/時でカラムを展開させた。5mlの画分を収集し、Superdex200 10/300GL Triconカラム(GE Healthcare)によって分析し、均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を1ml/分で用いて展開させた。単量体のみを含有する画分をプールし、10kDaの分子量カットオフの膜を備えたAmicon Ultra−15濃縮機及びスイングアウトローター中の4000×gでの遠心分離を使用して、約10mg/mlまで濃縮した。
【0333】
FabB−645dsFv(3×G4S)のSDS−PAGE分析
FabB−645dsFv(3×G4S)をPBSで0.32mg/mlまで希釈し、26μlに10μLの4×LDS(Invitrogen)試料ランニング緩衝液を加えた。非還元試料には、4μLの100mMのNEMを加え、還元試料には、4μLの10×還元剤(Invitrogen)を加えた。試料を渦撹拌し、100℃で3分間インキュベーションし、冷却し、12500rpmで30秒間遠心分離した。調製した試料を10μl/2μgで4〜20%のアクリルアミントリス/グリシンSDSゲル上に載せ、110分間、125Vで流した。ゲルをクマシーブルータンパク質染色で染色し、7.5%の酢酸で脱染色した。図25を参照されたい。還元及び非還元条件下のどちらにおいても、FabB−645dsFv(3×G4S)は本質的に1つのバンドである。非還元ゲル上の主バンドの上下の2つの副バンドは、鎖間ジスルフィド結合のうちのどちらか一方が形成されていないものである。還元ゲル上の主バンドの上の1つの副バンドは、還元不可能なFabB−645dsFv(3×G4S)である。図25を参照されたい。
【0334】
FabB−645dsFv(3×G4S)のサイズ排除分析
FabB−645dsFv(3×G4S)をPBSで0.5mg/mlまで希釈した。100μlのこれをSuperdex200 10/300GL Triconカラム(GE Healthcare)上に注入し、均一濃度勾配のPBSを用いて1ml/分で展開させた。ピークは280nm及び214nmでの吸光度によって検出した。図26を参照されたい。クロマトグラム中に13.44メトリック分の保持時間を有する単一の対称ピークが存在する。同じ条件下で流したBioRadゲル濾過標準物質(151−1901)保持時間から作成した検量線を用いて、このピーク保持時間を見かけの分子量に変換した。FabB−645dsFv(3×G4S)の見かけの分子量は87kDaであった。
【0335】
FabB−645dsFv(3×G4S)の熱安定性分析
熱安定性を測定するために、FabB−645dsFv(3×G4S)をPBSで1mg/mlまで希釈した。四つ組で、1μlのこの希釈した試料に、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素を384ウェルプレート中で加えた。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。図27Aを参照されたい。FabB−645dsFv(3×G4S)は、70℃より高いTmを有する熱的に安定な分子である。
【0336】
一定範囲のpHにわたる熱安定性を測定するために、10mg/mlのFabB−645dsFv(3×G4S)を、0.2ずつ増大するpH2.2〜8.0の緩衝液で0.11mg/mlまで希釈した。pH緩衝液は、0.1Mのクエン酸及び0.2Mのリン酸水素二ナトリウムを加え、イオン強度を同等化するためにNaClを加えることによって調製した。45μlのそれぞれのpHの希釈した試料に、5μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素を加えた。10μlのこれらのアリコートを、四つ組で、384ウェルプレート中で分析した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。その後、TmをpHに対してプロットした。図27Bを参照されたい。FabB−645dsFv(3×G4S)のgA26Fab及び645dsFvドメインはどちらも、pH4.5〜8.0の範囲にわたって、pHによって大きな影響を受けないTmを有する。pH4.5未満では、pH4.0で2つの別々のアンフォールディング事象が区別できなくなるまで、どちらのドメインのTmも減少し、この単一の事象は65℃のTmを有する。この区別できない単一のアンフォールディング事象のTmは、pHの減少に伴って減少し続けるが、それでもpH2.2で50℃より高い。
【0337】
FabB−645dsFv(3×G4S)のin vitro有効性
FabB−645dsFv(3×G4S)のin vitro有効性は、細胞に基づくOX40リガンド遮断アッセイによって評価した。手短に述べると、ヒトPBMCを単離し、5μg/mlのPHA−L(植物性赤血球凝集素−L)と共に24〜72時間、37℃/5%のCO2でインキュベーションすることによって活性化した。その後、細胞をPBS/0.09%のアジ化ナトリウムで洗浄し、96ウェルの培養プレートに0.25×106個の細胞/ウェルで播種した。FabB−645dsFv(3×G4S)の希釈液をPBS/5%のHSA中で調製した。また、4μg/mlのビオチン標識したCD252−CD8融合タンパク質の溶液もPBS/5%のHSA中で調製した。50μlのそれぞれのFabB−645dsFv(3×G4S)の希釈液を50μlのCD252−CD8融合タンパク質に加え、混合物を活性化したT細胞と共に30分間、4℃でインキュベーションした。このインキュベーションの後、細胞をPBS/0.09%のアジ化ナトリウムで洗浄した。その後、活性化したT細胞を100μlのPBS中のストレプトアビジン−PEと共に30分間、4℃でインキュベーションした。細胞をPBS/0.09%のアジ化ナトリウムで再度洗浄し、その後、緩衝液に再懸濁させ、フローサイトメトリーによって分析した。FabB−645dsFv(3×G4S)は、OX40リガンドとヒトPBMCの表面上に発現されたOX40との結合を、約3.5nMのEC50で遮断することが示された。図28を参照されたい。
【0338】
FabB−645dsFv(3×G4S)のin vivo有効性
in vivoでの用量応答の関係性を研究するために、FabB−645dsFv(3×G4S)を用いた研究を行った。手短に述べると、これはHuSCIDマウスにおける0.3、3及び30μg/mlの定常状態の投薬を含み、T細胞生着の防止が読み取られた。
【0339】
CB17 SCIDマウスに、2.475mg/kg又は0.2475mg/kg又は0.02475mg/kgのFabB−645dsFv(3×G4S)PBSの負荷用量を皮下で−2日目に投薬した。14日目を含めた、その後のそれまでの毎日に、これらに0.75mg/kg又は0.075mg/kg又は0.0075mg/kgのFabB−645dsFv(3×G4S)又はPBSの維持量を皮下で投薬した。それぞれの投薬群は9〜10匹のマウスからなっていた。−1日目に、ナチュラルキラー細胞の活性を抑止するために、すべてのマウスを0.87mg/マウスのラット抗マウスTM−β1抗体で処置した。0日目に、すべてのマウスに8×106個のヒト末梢血単核球の腹膜間(inter peritoneal)注射を与えた。14日目にマウスを屠殺し、血液、脾臓及び腹膜洗浄液を採取した。試料はFACSによってCD4+及びCD8+T細胞について分析した。データ組はダネット試験後比較を用いた一方向Anovaによって分析した。図29A、B及びCを参照されたい。30及び3μg/mlの投薬はすべての区画において同等に有効であった一方で、0.3μg/mlの投薬は血液及び脾臓中で統計的に有効であったが、30及び3μg/mlの投薬によって生じた最大レベルまでではなかった。
【0340】
(例22)
645Fv−652Fabの構築、発現及び抗原結合
645Fv−652Fabプラスミドの構築
645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)、645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)の全遺伝子合成は、第三者請負業者が行った(DNA2.0)。645Fv−652Fabのアミノ酸配列には図30A、B、C及びDを参照されたい。すべての遺伝子は、HCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある、UCBが所有権を有する哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。
【0341】
645Fv−652Fabの哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、2μgの重鎖プラスミド及び2μgの軽鎖プラスミドを、10μlの293fectin及び340μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を懸濁液中の5×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。4日後、上清を1500×gでの遠心分離によって収集して細胞を除去し、その後、0.22μmで滅菌濾過した。
【0342】
645Fv−652Fabの定量
哺乳動物上清中のFv−Fabの濃度はサンドイッチELISAを使用して測定した。試料中のFv−Fabを抗CH1抗体で捕捉し、抗カッパ−HRPのコンジュゲートで検出した。検出抗体をTMBで展開させ、未知の試料の濃度を検量線から計算した。すべての645Fv−652Fabは同様の発現レベルを有していたが、ジスルフィド安定化されたFvバージョンは、ジスルフィド安定化されていないバージョンのレベルの55%〜75%で発現された。図31を参照されたい。
【0343】
645Fv−652Fabの抗原結合
Biacore方法
Fv−Fab構築体の相互作用の動力学的定数及び結合応答は、CM5センサーチップを用いたBiacore3000で実施した表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。ランニング緩衝液であるHBS−EPは、10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20、pH7.4からなっていた。インハウスで作製した抗ヒトCH1モノクローナル抗体を使用して、試料をセンサーチップ表面上に捕捉させた。捕捉抗体の共有的固定は標準のアミンカップリング化学によって達成した。
【0344】
アッセイサイクルは、1分間のFv−Fab構築体の捕捉、次いで会合段階(HSAでは3分間又はhIL13では6分間)からなり、その後、解離を5分間(HSA)又は20分間(hIL13)監視した。それぞれのサイクルの後、捕捉表面を、2×1分間の40mMのHClの注入、次いで30秒間の5mMのNaOHの注入を用いて再生した。使用した流速は、捕捉には10μl/分、会合及び解離段階には30μl/分、並びに再生には10μl/分であった。
【0345】
動力学的アッセイは抗原の滴定によって行った(HSAでは50nM〜0.3125nMの倍加希釈であり、hIL13では−20nMの単一の濃度である)。ブランクのフローセル及び緩衝液ブランクの注入により、データの二重参照が可能となった。
【0346】
動力学的パラメータは、Biacore3000、4.1評価ソフトウェアを使用して、生じたセンサーグラムを、標準の1:1結合モデルに、同時に総合的に当てはめることによって決定した。
【0347】
同時結合について試験するために、別個の50nMのHSA若しくは20nMのhIL13、又は50nMのHSA及び20nMのhIL13の混合液の6分間の注入を、捕捉されたFvFabの上に注入した。
【0348】
Biacore親和性実験
動力学的分析を実施して、HSA及びhIL13と、645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)、645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)及び645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)との相互作用の親和性を評価した。図30A及び30Bを参照されたい。すべてのFv−Fabは等価な親和性及び結合レベルでHSAと結合した。
【0349】
645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)及び645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)は、約0.1nMの親和性でhIL13と結合する一方で、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)及び645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)は、約0.6nMの親和性で結合する。TVAAP/ASTKGPリンカーと比較して3×G4Sリンカーを有するFv−Fabに対するhIL13の親和性の相違は、主に会合速度である。ジスルフィド安定化された及びジスルフィド安定化されていないFv−Fabに対するhIL13及びHSAの親和性は等価であった。また、すべての構築体に対するhIL13の結合レベルも等価である。
【0350】
Fv−Fabである645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)、645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)及び645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)と、HSA及びhIL13の両方との同時結合を評価した。それぞれのFv−Fab構築体をセンサーチップ表面に捕捉させ、次いで別個の50nMのHSA若しくは20nMのhIL13、又は50nMのHSA及び20nMのhIL13の両方の混合溶液の6分間の注入を行った。それぞれのFv−Fab構築体について、合わせたHSA/hIL13溶液の結合応答は独立した注入の応答の合計に等価であった。図32Cを参照されたい。これは、Fv−Fabが、hIL13及びHSAの両方と同時結合できることを実証している。
【0351】
図32Cは、HSA若しくはhIL13の別個の注入、又は事前に混合したHSA及びhIL13の注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は50nMのHSA及び20nMのhIL13であった。個々のHSA及びhIL13の応答の合計を括弧内に示す。
【配列表フリーテキスト】
【0352】
配列番号: 1
<223> リンカー
配列番号: 2
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配列番号: 3
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配列番号: 4
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配列番号: 5
<223> リンカー
<222> (7)..(7)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 6
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<222> (7)..(7)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 7
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配列番号: 8
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配列番号: 9
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<223> ヒンジ
配列番号: 37
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配列番号: 49
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<222> (7)..(7)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (12)..(12)
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配列番号: 50
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<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
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<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
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<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 51
<223> リンカー
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<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 52
<223> ドメイン抗体 H1
配列番号: 53
<223> ドメイン抗体 L1
配列番号: 54
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配列番号: 55
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配列番号: 56
<223> ドメイン抗体 H1 CDR-H1
配列番号: 57
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配列番号: 58
<223> ドメイン抗体 H1 CDR-H3
配列番号: 59
<223> ドメイン抗体 L1 CDR-L1
配列番号: 60
<223> ドメイン抗体 L1 CDRL2
配列番号: 61
<223> ドメイン抗体 L1 CDR-L3
配列番号: 62
<223> ドメイン抗体 H2 CDR-H1
配列番号: 63
<223> ドメイン抗体 H2 CDR-H2
配列番号: 64
<223> ドメイン抗体 H2 CDR-H3
配列番号: 65
<223> ドメイン抗体 L2 CDR-L1
配列番号: 66
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配列番号: 67
<223> ドメイン抗体 L2 CDR-L3
配列番号: 68
<223> Fab B-dAbH1 (CH1-G4S4)
配列番号: 69
<223> FabB-dAbH2 (CH1-G4Sx2)
配列番号: 70
<223> FabB dAbL1 (cCH1-G4Sx2)
配列番号: 71
<223> FabB dAbL2 (CH1-G4Sx2)
配列番号: 72
<223> FabB dABL1 (CK1 G4Sx2)
配列番号: 73
<223> FabB dAbL2 (CK1 G4Sx2)
配列番号: 74
<223> Fab'A 重鎖
配列番号: 75
<223> FabA 軽鎖
配列番号: 76
<223> Fab'A 重鎖 (修飾リンカー)
配列番号: 77
<223> FabA 重鎖
配列番号: 78
<223> mdAbH1
配列番号: 79
<223> mdAbL1
配列番号: 80
<223> mdAbH2
配列番号: 81
<223> mdAbL2
配列番号: 82
<223> mFabD-mdidAb dAbH1(CH1-G4Sx2)
配列番号: 83
<223> mFabD-mdidAb, -dAbL1(CK-G4Sx2)
配列番号: 84
<223> mFabD-mdidAb, -dAbH2(CH1-G4Sx2)
配列番号: 85
<223> mFabD-mdidAb, -dAbL2(CK-G4Sx2)
配列番号: 86
<223> dAbH1(CH1-G4Sx2)mFabC-mdAbH1
配列番号: 87
<223> mFabC-mdidAb, -dAbL1(CK-G4Sx2)
配列番号: 88
<223> mFabC-mdidAb dAbH2(CH1-G4Sx2)
配列番号: 89
<223> mFabC-mdidAb, -dAbL2(CK-G4Sx2)
配列番号: 90
<223> 646Fv CDRH3
配列番号: 91
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配列番号: 92
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配列番号: 94
<223> 647Fv CDRH1
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配列番号: 97
<223> 647Fv QASQSLGNRLA
配列番号: 98
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配列番号: 99
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配列番号: 100
<223> 649Fv CDRH1
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配列番号: 128
<223> 645重鎖V96AFv CDRL2
配列番号: 129
<223> 645重鎖V96AFv CDRL3
配列番号: 130
<223> 645重鎖P97AFv CDRH1
配列番号: 131
<223> 645重鎖P97AFv CDRH2
配列番号: 132
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配列番号: 133
<223> 645重鎖P97AFv CDRL1
配列番号: 134
<223> 645重鎖P97AFv CDRL2
配列番号: 135
<223> 645重鎖P97AFv CDRL3
配列番号: 136
<223> 645重鎖G98AFv CDRH1
配列番号: 137
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配列番号: 140
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配列番号: 146
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配列番号: 148
<223> 645重鎖S100AFv CDRH1
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配列番号: 150
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<223> 645重鎖S100AFv CDRL1
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配列番号: 154
<223> 645重鎖T100aAFv CDRH1
配列番号: 155
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配列番号: 157
<223> 645重鎖T100aAFv CDRL1
配列番号: 158
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配列番号: 159
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配列番号: 160
<223> 645重鎖P100cAFv CDRH1
配列番号: 161
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配列番号: 162
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配列番号: 163
<223> 645重鎖P100cAFv CDRL1
配列番号: 164
<223> 645重鎖P100cAFv CDRL2
配列番号: 165
<223> 645重鎖P100cAFv CDRL3
配列番号: 166
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRH1
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<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRH2
配列番号: 168
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRH3
配列番号: 169
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRL1
配列番号: 170
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRL2
配列番号: 171
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRL3
配列番号: 172
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRH1
配列番号: 173
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRH2
配列番号: 174
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRH3
配列番号: 175
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRL1
配列番号: 176
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRL2
配列番号: 177
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRL3
配列番号: 178
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRH1
配列番号: 179
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRH2
配列番号: 180
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRH3
配列番号: 181
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRL1
配列番号: 182
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRL2
配列番号: 183
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRL3
配列番号: 184
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRH1
配列番号: 185
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRH2
配列番号: 186
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRH3
配列番号: 187
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRL1
配列番号: 188
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRL2
配列番号: 189
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRL3
配列番号: 190
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRH1
配列番号: 191
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRH2
配列番号: 192
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRH3
配列番号: 193
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRL1
配列番号: 194
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRL2
配列番号: 195
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRL3
配列番号: 196
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRH1
配列番号: 197
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRH2
配列番号: 198
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRH3
配列番号: 199
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRL1
配列番号: 200
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRL2
配列番号: 201
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRL3
配列番号: 202
<223> 645dsFv 重鎖Fv
配列番号: 203
<223> 645dsFv 軽鎖Fv
配列番号: 204
<223> 648dsFv 重鎖Fv
配列番号: 205
<223> 648dsFv 軽鎖Fv
配列番号: 206
<223> 645Fvの重鎖
配列番号: 207
<223> 645Fvの軽鎖
配列番号: 208
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 209
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 210
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 211
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 212
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 213
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 214
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 215
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 216
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 217
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 218
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 219
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 220
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 221
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 222
<223> 646Fv CDRH1
配列番号: 223
<223> 646Fv CDRH2
配列番号: 224
<223> リンカー
配列番号: 225
<223> リンカー
配列番号: 226
<223> 652 VH ドメイン
<222> (26)..(35)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (50)..(65)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (98)..(109)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 227
<223> 652 VL ドメイン
<222> (24)..(34)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (50)..(56)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (89)..(97)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 228
<223> リンカー
配列番号: 229
<223> リンカー
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい二重特異性抗体融合タンパク質に関する。そのような抗体は、そのin vivo血清半減期を延長させるために使用する、1つの対象抗原に対する第1の特異性、及び第2の対象抗原、たとえば血清担体タンパク質に対する第2の特異性を含む。また、そのような分子及びそれらを含む医薬組成物を生成する方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
抗体の高い特異性及び親和性により、これらが、特にタンパク質:タンパク質の相互作用を変調させるための理想的な診断剤及び治療剤となる。組換え抗体技術の分野における進歩により、Fv、Fab、Fab’及びF(ab’)2断片並びに他の抗体断片などの抗体断片の生成がもたらされた。これらのより小さな分子は、完全抗体の抗原結合活性を保持しており、完全免疫グロブリン分子と比較して改善された組織透過及び薬物動態学の特性も示すことができる。実際、ReoPro(登録商標)及びLucentis(登録商標)などの製品の最近の成功によって見られるように、抗体断片は多用途の治療剤であることが証明されつつある。そのような断片は完全免疫グロブリンを超えるいくつかの利点を示すように見える一方で、これらは、in vivoでの長い寿命を与えるFcドメインを欠くため、増加した血清クリアランス速度の欠点もある(Medasanら、1997、J.Immunol.、158:2211〜2217)。
【0003】
二重特異性を有する、すなわち2つの異なる抗原と結合する抗体が、以前に記載されている(総説には、Segalら、1999、Curr.Opin.Immunol.、11:558〜562、Plueckthun及びPack、1997、Immunotechnology、3:83〜105、Fischer及びLeger、2007、Pathobiology、74、3〜14を参照)。また、二重特異性抗体は、WO02/02773号、US2007065440号、US2006257406号、US2006106203号及びUS2006280734号にも記載されている。ヘテロ二重特異性抗体に基づく分子を作製するための以前の手法では、一般に、化学的架橋結合又はタンパク質工学技法が用いられてきた。化学的架橋結合は、ヘテロ及びホモ二量体の形成の収率不良並びにそれに続くクロマトグラフィー分離の必要性を欠点とする。タンパク質工学手法は、非常に精巧であったか(たとえば、ノブ−イン−ホール(knobs−into−holes)工学、Ridgwayら、1996、Protein Eng.、9(7):617〜621)、又は不適切な安定性の特徴を有する分子を使用していた(たとえばジアボディー、scFv)。一部の事例では、二重特異性抗体は、両方の抗原がそれぞれの抗体アームに同時に結合することができないという立体障害の問題の欠点を有する場合もある。
【0004】
単一ドメイン抗体又はdAbとしても知られる単一可変ドメイン抗体は、抗体の重鎖(VH)又は軽鎖(VL)のいずれかの可変領域に対応する。マウス単一ドメイン抗体はWardら、1989、Nature、341、544〜546によって記載されている。また、ヒト及び「ラクダ化」ヒト単一ドメイン抗体も記載されている(Holtら、2003、Trends in Biotechnology、21、484〜490)。また、単一ドメイン抗体は、ラクダ科(ラクダ及びラマ)並びに軟骨魚類(テンジクザメ(wobbegong)及びコモリザメ(nurse shark))からも得られている。これらの生物は、その免疫系の不可欠且つ重大な構成要素としてFcに等価の定常ドメインフレームワーク上に搭載されている、進化した高い親和性の単一のV様ドメインを有する(ラクダ科ではVhHと呼ばれ、サメではV−NARと呼ばれる)(総説には、Holliger及びHudson、2005、Nature Biotechnology、23(9):1126〜1136を参照)。
【0005】
単一ドメイン抗体−酵素の融合体は、EP0368684号に記載されている。また、単一ドメイン−エフェクター群融合体もWO2004/058820号に記載されており、これは単一可変ドメインを含む。二重可変ドメイン免疫グロブリンはWO2007/024715号に記載されている。二重特異的リガンドは、異なる特異性を有する2つの単一ドメイン抗体を含み、EP1517921号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2及び他の抗体断片などの抗体断片の半減期を改善させる手段が知られている。一手法は、断片をポリマー分子にコンジュゲートさせることである。したがって、動物におけるFab’、F(ab’)2断片の短い循環半減期は、ポリエチレングリコール(PEG)とのコンジュゲーションによって改善されている(たとえば、WO98/25791号、WO99/64460号及びWO98/37200号を参照)。別の手法は、FcRn受容体と相互作用する薬剤とのコンジュゲーションによって抗体断片を修飾することである(たとえばWO97/34631号を参照)。半減期を延長させるためのさらに別の手法は、血清アルブミンと結合するポリペプチドを使用することである(たとえば、Smithら、2001、Bioconjugate Chem.、12:750〜756、EP0486525号、US6267964号、WO04/001064号、WO02/076489号、及びWO01/45746号を参照)。しかし、FcRn受容体と相互することが原因で長い半減期を有するものの代替物として、PEGとのコンジュゲーションによって修飾されずに、又はヒト血清アルブミンにコンジュゲートされずに、長いin vivo半減期を有する抗原結合免疫グロブリンタンパク質を生成する必要性が依然として残る。
【0007】
様々なタンパク質が血漿中に存在し、チロキシン結合タンパク質、トランスサイレチン、α1−酸糖タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン及びアルブミン、又はその任意のものの断片が含まれる。血清担体タンパク質は体内を循環し、半減期は日単位で測定され、たとえば、チロキシン結合タンパク質では5日間、又はトランスサイレチンでは2日間(Bartalena及びRobbins、1993、Clinics in Lab.Med.、13:583〜598)、又はヨウ素化α1−酸糖タンパク質の代謝回転の第2期では65時間(Breeら、1986、Clin.Pharmacokin.、11:336〜342)である。Gitlinら(1964、J.Clin.Invest.、10:1938〜1951)からのデータでは、妊娠女性では、α1−酸糖タンパク質の半減期は3.8日間であり、トランスフェリンは12日間であり、フィブリノーゲンは2.5日間であることが示唆されている。血清アルブミンは、血管及び血管外の区画のどちらにおいても豊富なタンパク質であり、人における半減期は約19日間である(Peters、1985、Adv Protein Chem.、37:161〜245)。これは、約21日間であるIgG1の半減期に類似している(Waldeman及びStrober、1969、Progr.Allergy、13:1〜110)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、組換えによって生成することができ、2つの抗原、具体的には2つの別個の/異なる抗原と同時に結合することができる、改善された二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0009】
したがって、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分、たとえばFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有する単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、具体的には第1の抗原及び第2の抗原が異なる実体である、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中で用いる単一ドメイン抗体とは、単鎖Fvに言及するものではない。単鎖Fvは、互いに連結されていることによって独立した実体を形成する、又はその中の可変ドメインの1つのみを介して別の実体に連結されている、2つの可変ドメインによって特徴づけられている。
【0011】
本明細書中で用いる多価とは、2つ以上の結合部位、たとえば2つ又は3つの結合部位、たとえば2つの結合部位を有する実体をいうことを意図する。それぞれの結合部位は、同じエピトープ若しくは同じ抗原上の異なるエピトープと結合し得るか、又は異なる(別個の)抗原と結合し得る。
【0012】
また、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分、たとえばFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体をさらに含む、二重特異性抗体融合タンパク質も提供する。
【0013】
本発明の二重特異性抗体融合体は、2つの対象抗原と選択的に結合することができる。
【0014】
一実施形態では、第1及び第2の抗原は同じ抗原である。
【0015】
一実施形態では、Fab又はFab’断片によって結合される対象抗原は、細胞会合タンパク質、たとえば、細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞若しくは腫瘍細胞などの細胞上の細胞表面タンパク質であり得るか、又は可溶性タンパク質であり得る。また、対象抗原は、疾患又は感染中にアップレギュレーションされるタンパク質などの、任意の医学的に関連性のあるタンパク質、たとえば受容体及び/又はその対応するリガンドであり得る。細胞表面タンパク質の特定の例には、接着分子、たとえばβ1インテグリンなどのインテグリン、たとえば、VLA−4、E−セレクチン、Pセレクチン又はL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD45、CDW52、CD69、CD134(OX40)、ICOS、BCMP7、CD137、CD27L、CDCP1、DPCR1、DPCR1、デュデュリン2、FLJ20584、FLJ40787、HEK2、KIAA0634、KIAA0659、KIAA1246、KIAA1455、LTBP2、LTK、MAL2、MRP2、ネクチン様2、NKCC1、PTK7、RAIG1、TCAM1、SC6、BCMP101、BCMP84、BCMP11、DTD、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI及びMHCクラスII抗原、VEGF、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。
【0016】
可溶性抗原には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−16又はIL−17などのインターロイキン、たとえば呼吸器合胞体ウイルス又はサイトメガロウイルス抗原などのウイルス抗原、IgEなどの免疫グロブリン、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、G−CSF又はGM−CSFなどのコロニー刺激因子、及びPDGF−α、PDGF−βなどの血小板由来成長因子、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。他の抗原には、細菌細胞表面抗原、細菌毒素、ウイルス、たとえば、インフルエンザ、EBV、HepA、B及びC、バイオテロ剤、放射性核種及び重金属、並びにヘビ及びクモの毒液及び毒素が含まれる。
【0017】
一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質は、対象抗原の活性を機能的に変更させるために使用し得る。たとえば、抗体融合タンパク質は、前記抗原の活性を直接又は間接的に中和、拮抗又は刺激し得る。
【0018】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質中の単一ドメイン抗体(単数又は複数)によって結合される第2の対象抗原は、細胞会合タンパク質、たとえば、細菌細胞、酵母細胞、T細胞、内皮細胞若しくは腫瘍細胞などの細胞上の細胞表面タンパク質であり得るか、又は可溶性タンパク質であり得る。また、対象抗原は、疾患又は感染中にアップレギュレーションされるタンパク質などの、任意の医学的に関連性のあるタンパク質、たとえば受容体及び/又はその対応するリガンドであり得る。細胞表面タンパク質の特定の例には、接着分子、たとえばβ1インテグリンなどのインテグリン、たとえば、VLA−4、E−セレクチン、Pセレクチン又はL−セレクチン、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11a、CD11b、CD18、CD19、CD20、CD23、CD25、CD33、CD38、CD40、CD45、CDW52、CD69、CD134(OX40)、ICOS、BCMP7、CD137、CD27L、CDCP1、DPCR1、DPCR1、デュデュリン2、FLJ20584、FLJ40787、HEK2、KIAA0634、KIAA0659、KIAA1246、KIAA1455、LTBP2、LTK、MAL2、MRP2、ネクチン様2、NKCC1、PTK7、RAIG1、TCAM1、SC6、BCMP101、BCMP84、BCMP11、DTD、癌胎児性抗原(CEA)、ヒト乳脂肪グロブリン(HMFG1及び2)、MHCクラスI及びMHCクラスII抗原、VEGF、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。
【0019】
可溶性抗原には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−16又はIL−17などのインターロイキン、たとえば呼吸器合胞体ウイルス又はサイトメガロウイルス抗原などのウイルス抗原、IgEなどの免疫グロブリン、インターフェロンα、インターフェロンβ又はインターフェロンγなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、G−CSF又はGM−CSFなどのコロニー刺激因子、及びPDGF−α、PDGF−βなどの血小板由来成長因子、並びに適切な場合はその受容体が含まれる。他の抗原には、細菌細胞表面抗原、細菌毒素、ウイルス、たとえば、インフルエンザ、EBV、HepA、B及びC、バイオテロ剤、放射性核種及び重金属、並びにヘビ及びクモの毒液及び毒素が含まれる。
【0020】
単一ドメイン抗体(単数又は複数)によって結合され得る他の抗原には、血清担体タンパク質、細胞媒介性のエフェクター機能の動員を可能にするポリペプチド及び核種キレートタンパク質が含まれる。
【0021】
したがって、一例では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有する免疫グロブリン部分を含み、第2のタンパク質に対する特異性を有する単一ドメイン抗体をさらに含み、後者が補体経路の活性化及び/又はエフェクター細胞の動員などのエフェクター機能を動員する能力をもたらす、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。さらに、本発明の融合タンパク質は、核種キレートタンパク質と結合する単一ドメイン抗体によって放射性核種をキレート化するために使用し得る。そのような融合タンパク質は、治療用のイメージング又は放射性核種標的化手法において有用である。
【0022】
したがって、一例では、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片は動員ポリペプチドに対する特異性を有する少なくとも1つのdAbと融合されており、前記dAbは、前記動員ポリペプチドと結合することによって細胞媒介性エフェクター機能(単数又は複数)を直接又は間接的に動員する能力をもたらす、単離した二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0023】
エフェクター機能の動員は、エフェクター機能が、その表面上に動員分子を保有している細胞に関連しているという点で、直接であり得る。間接的な動員は、dAbと動員分子との結合が、たとえば、立ち代ってエフェクター機能を直接若しくは間接的に動員し得る因子の放出を引き起こす場合に起こり得るか、又はシグナル伝達経路の活性化を介したものであり得る。例には、TNFα、IL2、IL6、IL8、IL17、IFNγ、ヒスタミン、C1q、オプソニン、並びにC2、C4、C3−転換酵素、及びC5〜C9などの古典的及び副補体活性化カスケードの他のメンバーが含まれる。
【0024】
本明細書中で使用する「動員ポリペプチド」には、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIなどのFcγR、それだけには限定されないがC1q及びC3などの補体経路タンパク質、それだけには限定されないが、CD68、CD115、CD16、CD80、CD83、CD86、CD56、CD64、CD3、CD4、CD8、CD28、CD45、CD19、CD20及びCD22などのCDマーカータンパク質(表面抗原分類マーカー)が含まれる。CDマーカータンパク質であるさらなる動員ポリペプチドには、CD1、CD1d、CD2、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD40、CD43、CD44、CD45、CD46、CD49、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD58、CD59、CD61、CD62、D62E、CD62L、CD62P、CD63、CD64、CD66e、CD68、CD70、CD71、CD72、CD79、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD88、CD89、CD90、CD94、CD95、CD98、CD106、CD114、CD116、CD117、CD118、CD120、CD122、CD130、CD131、CD132、CD133、CD134、CD135、CD137、CD138、CD141、CD142、CD143、CD146、CD147、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD162、CD164、CD169、CD184、CD206、CD209、CD257、CD278、CD281、CD282、CD283及びCD304、又は細胞媒介性エフェクター機能を直接若しくは間接的に動員する能力を保持しているその任意のものの断片が含まれる。また、動員ポリペプチドには、エフェクター機能を保有するIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE及びIgAなどの免疫グロブリン分子も含まれる。
【0025】
一実施形態では、dAbが特異性を有する第2のタンパク質は補体経路タンパク質であり、C1qが特に好ましい。
【0026】
好ましい実施形態では、dAbが特異性を有する第2のタンパク質はCDマーカータンパク質であり、CD68、CD80、CD86、CD64、CD3、CD4、CD8、CD45、CD16及びCD35が特に好ましい。
【0027】
したがって、対象抗原に対する特異性を有する抗体断片を含み、前記断片が、CD68、CD80、CD86、CD64、CD3、CD4、CD8、CD45、CD16及びCD35からなる群から選択されるCD分子に対する特異性を有する少なくとも1つのdAbと融合されている、単離した二重特異性抗体融合タンパク質も提供される。
【0028】
一実施形態では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、第1の特異性を有する免疫グロブリン部分に延長された半減期をもたらす。
【0029】
したがって、一実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されており、前記単一ドメイン抗体が、前記血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子又はCD35/CR1と結合することによって、前記対象抗原に対する特異性を有する抗体断片に延長された半減期をもたらす、二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0030】
一実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されており、前記単一ドメイン抗体が、前記血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子又はCD35/CR1と結合することによって、前記対象抗原に対する特異性を有する抗体断片に延長された半減期をもたらす、単離した二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0031】
本明細書中で使用する「血清担体タンパク質」には、チロキシン結合タンパク質、トランスサイレチン、α1−酸糖タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン及びアルブミン、又はその任意のものの断片が含まれる。
【0032】
本明細書中で使用する「循環免疫グロブリン分子」には、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、sIgA、IgM及びIgD、又はその任意のものの断片が含まれる。
【0033】
CD35/CR1とは、赤血球上に存在し、36日間の半減期を有するタンパク質である(正常な範囲は28〜47日間、Lanaroら、1971、Cancer、28(3):658〜661)。
【0034】
好ましい実施形態では、dAbが特異性を有する第2のタンパク質は血清担体タンパク質であり、ヒト血清担体タンパク質が特に好ましい。最も好ましい実施形態では、血清担体タンパク質はヒト血清アルブミンである。
【0035】
したがって、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、ヒト血清アルブミンに対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質が提供される。
【0036】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、ヒト血清アルブミンに対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、単離した二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0037】
一実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体断片はFab断片である。別の実施形態では、対象抗原に対する特異性を有する抗体断片はFab’断片である。
【0038】
したがって、最も好ましい一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質は、翻訳融合タンパク質、すなわち遺伝子融合体であり、そのそれぞれの配列は発現ベクターによってコードされている。或いは、抗体融合タンパク質構成要素は、化学的手段を使用して、すなわち、化学的コンジュゲーション又は化学的架橋結合によって融合されている。そのような化学的手段は当分野で知られている。
【0039】
一例では、抗体断片は、ネイティブ又は改変されたヒンジ領域を保有するFab’断片である。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質を調製するために使用する抗体断片がFab’断片である場合、前記断片は、一般に、重鎖のC末端で1つ又は複数のアミノ酸によって延長される。したがって、本発明の抗体融合体は、直接又はリンカーを介してdAbに翻訳融合(又は化学的融合)されたFab’断片を含むことができる。さらに、適切な抗体Fab’断片の例には、WO2005003170号及びWO2005003171号に記載されているものが含まれる。
【0040】
別の例では、抗体断片はFab断片である。したがって、本発明の抗体融合体は、リンカー配列に翻訳融合(又は化学的融合)されており、立ち代ってそれがdAbに翻訳融合(又は化学的融合)されている、Fab断片を含むことができる。好ましくは、Fab断片は、WO2005/003169号に記載されているように、鎖間システインで終結するFab断片である。したがって、一例では、Fab断片は、IgG1の位置233で終結する。
【0041】
本発明において有用な抗体Fab又はFab’断片は、任意の種からのものであることができるが、好ましくは、モノクローナル抗体、ヒト抗体に由来するか、又はヒト化断片である。本発明において使用するための抗体断片は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD若しくはIgA)又はサブクラスに由来することができ、たとえば、マウス、ラット、サメ、ウサギ、ブタ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ又はヒトを含めた任意の種から得られ得る。
【0042】
一実施形態では、抗体Fab又はFab’断片は、モノクローナル、完全ヒト、ヒト化又はキメラ抗体断片である。一実施形態では、抗体Fab又はFab’断片は、完全にヒトであるか、又はヒト化されたものである。
【0043】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技法(Kohler及びMilstein、Nature、1975、256、495〜497)、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozborら、Immunology Today、1983、4、72)及びEBV−ハイブリドーマ技法(Coleら、「モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)」、ページ77〜96、Alan R.Liss,Inc.、1985)などの、当分野で知られている任意の方法によって調製し得る。
【0044】
また、本発明において使用するための抗体は、たとえば、Babcook,J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1996、93(15)、7843〜7848、WO92/02551号、WO2004/051268号及びWO2004/106377号によって記載されている方法によって、特定の抗体の産生について選択された単一のリンパ球から作製された免疫グロブリン可変領域cDNAをクローニング及び発現させることによって、単一リンパ球抗体方法を使用しても、作製し得る。
【0045】
ヒト化抗体とは、非ヒト種からの1つ又は複数の相補性決定領域(CDR)及びヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する、非ヒト種からの抗体分子である(たとえばUS5,585,089号を参照)。
【0046】
また、本発明において使用するための抗体は、当分野で知られている様々なファージディスプレイ方法を使用して作製することもでき、Brinkmanら、J.Immunol.Methods、1995、182、41〜50、Amesら、J.Immunol.Methods、1995、184、177〜186、Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.、1994、24、952〜958、Persicら、Gene、1997、187、9〜18、及びBurtonら、Advances in Immunology、1994、57、191〜280、WO90/02809号、WO91/10737号、WO92/01047号、WO92/18619号、WO93/11236号、WO95/15982号、及びWO95/20401号、並びにUS5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743、及び第5,969,108号によって記載されているものが含まれる。また、トランスジェニックのマウス又は他の哺乳動物を含めた他の生物を使用しても、ヒト化抗体を作製し得る。
【0047】
完全ヒト抗体とは、重鎖及び軽鎖の両方の可変領域及び定常領域(存在する場合)が、必ずしも同じ抗体からのものではないが、すべてヒト起源である、又はヒト起源の配列と実質的に同一である抗体である。完全ヒト抗体の例には、たとえば、一般的にEP0546073 B1号、US5,545,806号、US5,569,825号、US5,625,126号、US5,633,425号、US5,661,016号、US5,770,429号、EP0438474 B1号及びEP0463151 B1号に記載されているように、たとえば上述のファージディスプレイ方法によって産生された抗体、並びにマウス免疫グロブリンの可変及び/又は定常領域の遺伝子がそのヒト対応物によって置き換えられているマウスによって産生された抗体が含まれ得る。
【0048】
本発明において使用するための抗体Fab又はFab’断片の出発物質は、任意の適切な酵素切断及び/又は消化技法を使用して、たとえばペプシンを用いた処理によって、任意の完全抗体、特に完全モノクローナル抗体から得られ得る。或いは、又はそれに加えて、抗体の出発物質は、抗体の可変及び/又は定常領域をコードしているDNAの操作及び再発現を含む組換えDNA技法の使用によって調製し得る。標準の分子生物学的技法を使用して、アミノ酸又はドメインを所望に応じて修飾、付加、又は欠失させ得る。可変又は定常領域へ任意の変更を行っても、それらは依然として本明細書中で使用する用語「可変」及び「定常」領域によって包含される。
【0049】
抗体断片の出発物質は、たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ラクダ、ラマ、ヤギ又はヒトを含めた任意の種から得られ得る。抗体断片の部分を複数の種から得てもよく、たとえば抗体断片はキメラであり得る。一例では、定常領域が1つの種からのものであり、可変領域が別の種からのものである。また、抗体断片の出発物質は改変されていてもよい。別の例では、抗体断片の可変領域は、組換えDNA操作技法を用いて作製されている。そのような操作されたバージョンには、たとえば、天然抗体の可変領域から、天然抗体のアミノ酸配列への又はそれ中の、挿入、欠失又は変化によって作製されたものが含まれる。この種類の特定の例には、少なくとも1つのCDRを含有し、任意選択で、1つの抗体からの1つ又は複数のフレームワークのアミノ酸を含有し、可変領域ドメインの残りの部分が第2の抗体からのものである、操作された可変領域ドメインが含まれる。これらの抗体断片を作製及び製造する方法は当分野で周知である(たとえば、Bossら、US4,816,397号、Cabillyら、US6,331,415号、Shraderら、WO92/02551号、Wardら、1989、Nature、341、544、Orlandiら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86、3833、Riechmannら、1988、Nature、322、323、Birdら、1988、Science、242、423、Queenら、US5,585,089号、Adair、WO91/09967号、Mountain及びAdair、1992、Biotechnol.Genet.Eng.Rev、10、1〜142、Vermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181を参照)。
【0050】
本発明では、Fab又はFab’断片と融合されたそれぞれの単一ドメイン抗体は、直接又はリンカーを介して連結されていてよい。
【0051】
本明細書中で用いる、直接連結されているとは、Fab又はFab’の「最後」のアミノ酸が、ペプチド結合によって、単一ドメイン抗体の「最初」のアミノ酸と結合していることをいうことを意図する(又は実際にはその逆)。
【0052】
dAbをFab又はFab’と連結させるための適切なリンカー領域の例には、それだけには限定されないが、柔軟なリンカー配列及び強固なリンカー配列が含まれる。柔軟なリンカー配列には、Hustonら、1988、PNAS、85:5879〜5883、Wright及びDeonarain、Mol.Immunol.、2007、44(11):2860〜2869、Alfthanら、Prot.Eng.、1995、8(7):725〜731、Luoら、J.Biochem.、1995、118(4):825〜831、Tangら、1996、J.Biol.Chem.、271(26):15682〜15686、並びにTurnerら、1997、JIMM、205、42〜54に開示されているものが含まれる(代表的な例には表1を参照)。
【表1】
【0053】
配列3及び45〜48中のS)は任意選択である。
【0054】
したがって、一実施形態では、リンカーは配列
【化1】
を有する。一実施形態では、リンカーは配列
【化2】
を有する。
【0055】
強固なリンカーの例には、ペプチド配列
【化3】
が含まれる。
【0056】
他のリンカーには、
【化4】
が含まれる。
【0057】
一実施形態では、ペプチドリンカーはアルブミン結合ペプチドである。アルブミン結合ペプチドの例はWO2007/106120号中に提供されており、以下のものが含まれる。
【表2】
【0058】
一実施形態では、本発明の分子は、アルブミン結合ペプチドリンカーに加えた、又はそれに代わる位置にある、アルブミン結合ペプチドを含む。ペプチドはin vivoでアルブミンと結合し、これにより分子の半減期が増加される。
【0059】
アルブミン結合ペプチドは、1つ又は複数の可変領域(たとえばFab中及び/又はドメイン抗体(単数若しくは複数)中)、ヒンジ、リンカー、分子のN末端又はC末端、又はその組合せ、或いは分子の抗原結合特性を妨害しない任意の位置に付加されていてよい。
【0060】
一実施形態では、抗体のヒンジ配列又はその一部、たとえば上部ヒンジ配列をリンカーとして使用する。典型的には、本発明において使用するための抗体Fab’断片は、ネイティブ又は改変されたヒンジ領域を保有する。そのようなヒンジ領域は、dAb部分に対する天然リンカーとして使用される。ネイティブヒンジ領域とは、通常は抗体分子のCH1ドメインと会合しているヒンジ領域である。改変されたヒンジ領域とは、長さ及び/又は組成がネイティブヒンジ領域とは異なる任意のヒンジである。そのようなヒンジには、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ラクダ、ラマ又はヤギのヒンジ領域などの、任意の他の種からのヒンジ領域が含まれ得る。他の改変されたヒンジ領域は、CH1ドメインのとは異なるクラス又はサブクラスの抗体に由来する完全ヒンジ領域を含み得る。したがって、たとえば、クラスγ1のCH1ドメインは、クラスγ4のヒンジ領域に付着していてもよい。或いは、改変されたヒンジ領域は、天然ヒンジの一部、又は反復中のそれぞれの単位が天然ヒンジ領域に由来する反復単位を含み得る。さらなる代替では、天然ヒンジ領域は、1つ若しくは複数のシステイン若しくは他の残基をアラニンなどの中性残基に変換することによって、又は適切に配置された残基をシステイン残基に変換することによって、変更し得る。そのような手段によって、ヒンジ領域中のシステイン残基の数を増加又は減少させ得る。さらに、ヒンジのシステイン(単数又は複数)と軽鎖の鎖間システインとの間の距離、ヒンジのシステイン間の距離、及び柔軟性などのヒンジの特性に影響を与え得るヒンジ中の他のアミノ酸の組成等の、ヒンジの他の特徴を制御することができ、たとえば、回転の柔軟性を増加させるためにグリシンをヒンジ内に取り込ませてもよく、又は柔軟性を減少させるためにプロリンを取り込ませてもよい。或いは、荷電又は疎水性の残基の組合せをヒンジ内に取り込ませて多量体化の特性を与えてもよく、たとえば、荷電又はイオン性テイル、たとえばリンカーとしての酸性テイルの使用にはRichterら、2001、Prot.Eng.、14(10):775〜783、及びロイシンジッパー配列にはKostelnyら、1992、J.Immunol.、5(1):1547〜1553を参照されたい。他の改変されたヒンジ領域は完全に合成であってよく、長さ、組成及び柔軟性などの所望の特性を保有するように設計し得る。
【0061】
いくつかの改変されたヒンジ領域が、たとえば、US5,677,425号、US6642356号、WO9915549号、WO2005003170号、WO2005003169号、WO2005003170号、WO9825971号及びWO2005003171号に既に記載されており、これらは本明細書中に参考として組み込まれている。そのようなヒンジは、一般にCH1領域の後に続くが、軽鎖カッパ又はラムダ断片の定常領域の末端上に取り込まれていてもよい。たとえば表3を参照されたい。
【表3】
【0062】
本発明において使用するための、単一ドメイン抗体又はdAbとしても知られる単一可変ドメインは、当分野で知られている方法を使用して作製することができ、WO2005118642号、Wardら、1989、Nature、341、544〜546及びHoltら、2003、Trends in Biotechnology、21、484〜490に開示されているものが含まれる。一実施形態では、本発明において使用するための単一ドメイン抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)又は軽鎖ドメイン(VL)である。それぞれの軽鎖ドメインは、カッパ又はラムダ部分群のどちらかであり得る。VH及びVLドメインを単離する方法は当分野で記載されており、たとえば、EP0368684号及びWardら、上記を参照されたい。そのようなドメインは、任意の適切な種又は抗体出発物質に由来し得る。一実施形態では、単一ドメイン抗体は、げっ歯類、ヒト又は他の種に由来し得る。一実施形態では、単一ドメイン抗体はヒト化されている。
【0063】
一実施形態では、単一ドメイン抗体は、たとえば、WO2005/118642号、Jespersら、2004、Nature Biotechnology、22、1161〜1165及びHoltら、2003、Trends in Biotechnology、21、484〜490に記載の方法を使用して、ファージディスプレイライブラリから導く。好ましくは、そのような単一ドメイン抗体は完全にヒトであるが、他の種に由来していてもよい。一実施形態では、単一可変ドメインは、フレームワークがヒト又は実質的にヒトの起源であり、CDR(単数又は複数)が非ヒト起源のものであるという点で、キメラである。Holtら、上記に記載のように、単一ドメイン抗体の配列は、単離された後、単一ドメイン抗体の特徴、たとえば溶解度を改善させるために改変し得ることを理解されたい。
【0064】
本明細書中で用いる実質的にヒトとは、元の材料の免疫原性に関連し得るヒト特徴が保持されていることをいうことを意図する。実質的にヒトの材料には、フレームワーク配列中の1つのアミノ酸が別のアミノ酸によって付加、欠失又は置き換えられているものが含まれる。
【0065】
一実施形態では、dAbは、scFvファージディスプレイから、或いはトランスジェニックHumouse(商標)若しくはVelocimouse(商標)又はヒト化したげっ歯類から得られたヒト配列である。
【0066】
一実施形態では、dAbは、ヒト若しくはヒト化したげっ歯類、ラクダ科又はサメから得られる。そのようなdAbは好ましくはヒト化されたものである。一例では、単一ドメイン抗体は、EP0656946号に記載のように、ラクダ科免疫グロブリンに基づくVHHドメインである。一例では、ラクダ又はラマを対象抗原で免疫化し、力価が適切となった際に血液を収集する。dAbをコードしている遺伝子を単一細胞PCRによってクローニングし得るか、又は、dAbをコードしているB細胞(単数又は複数)を、EBV形質転換によって、若しくは不死化細胞系との融合によって不死化させ得る。
【0067】
本明細書中で上述したように、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含み、前記断片が、直接又はリンカーを介して、第2の対象抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0068】
したがって、一実施形態では、抗体断片、たとえばFab又はFab’断片は、重鎖又は軽鎖の可変領域のN末端で、直接又はリンカーを介してdAbと融合されている。或いは、抗体Fab又はFab’断片は、重鎖又は軽鎖のC末端で、直接又はリンカーを介してdAbと融合されている。別の実施形態では、抗体Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖は、それぞれC末端で、直接又はリンカーを介してdAbと融合されている。連結は化学的コンジュゲーションであることができるが、最も好ましくは翻訳融合、すなわち、それぞれの配列が発現ベクターによって順にコードされている遺伝子融合である。
【0069】
典型的には、単一ドメイン抗体のN末端は、直接又はリンカーを介してFab又はFab’断片の重鎖又は軽鎖のC末端と融合させ、単一ドメイン抗体がFab又はFab’のN末端と融合されている場合は、これはそのC末端を介して、任意選択でリンカーを介して融合される。
【0070】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、重鎖又は軽鎖のN末端で、第2の対象抗原に対する特異性を有する単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0071】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、重鎖又は軽鎖のC末端で、第2の対象抗原に対する特異性を有する単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0072】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、重鎖又は軽鎖のC末端で、第2の対象抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの単一ドメイン抗体と融合されている、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0073】
一実施形態では、本発明は、対象抗原に対する特異性を有する抗体Fab又はFab’断片を含む又はそれからなっており、前記断片が、一方の単一ドメイン抗体がFab又はFab’断片の軽鎖のC末端と融合されており、他方の単一ドメイン抗体がFab又はFab’断片の重鎖のC末端と融合されている、2つの単一ドメイン抗体と融合されており、前記単一ドメイン抗体が第2の対象抗原に対する特異性を有する、二重特異性抗体融合タンパク質を提供する。
【0074】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体は同一である、すなわち、同じ抗原に対する同じ結合特異性を有する。一例では、これらは、同じ抗原上の同じエピトープと結合する。たとえば、単一ドメイン抗体は、どちらも同じVH dAb、同じVHH dAb又は同じVL dAbであり得る。
【0075】
好ましくは、Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む場合、2つの単一ドメイン抗体は、抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である、すなわち、これらは同じ結合特異性を有する相補的VH/VL対である。一例では、VH/VL対は単一特異性である。典型的には、これらは同じ抗体に由来するVH/VL対である。一例では、VH/VL対は、Fabファージディスプレイライブラリなどの「対のライブラリ」から対として単離された可変ドメインの対である。
【0076】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質は、相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含み、VH単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されている。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質が相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、VL単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VH単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されている。
【0077】
一実施形態では、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質は、相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含み、VH単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されている。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質が相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、VL単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており)、VH単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されている。本発明の二重特異性抗体融合タンパク質が、1つ又は複数のジスルフィド結合によって連結されている2つの単一ドメイン抗体、たとえば、1つ又は複数(たとえば1又は2つ)のジスルフィド結合によって連結されている相補的VH/VL対である2つの単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、VH単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。或いは、VL単一ドメイン抗体は重鎖定常領域(CH1)のC末端と融合されており、VH単一ドメイン抗体は軽鎖定常領域(Cカッパ又はCラムダ)のC末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。
【0078】
一実施形態では、VH単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており、VL単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。或いは、VL単一ドメイン抗体は重鎖のN末端と融合されており、VH単一ドメイン抗体は軽鎖のN末端と融合されており、前記VH/VL対間のジスルフィド結合の存在によって特徴づけられている。
【0079】
一実施形態では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対をさらに含み、VH/VL対が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されている、多価抗体融合タンパク質を提供する。
【0080】
ジスルフィド結合は構築体にさらなる安定化をもたらすと考えられており、これは有利であり得る。好ましくは、VH/VL対は単一のジスルフィド結合によって連結されている。
【0081】
典型的には、VH/VL対は、VH中に1つ及びVL中に1つの、2つの操作されたシステイン間の単一のジスルフィド結合によって互いに連結される。
【0082】
操作されたシステインを導入するための適切な位置は当分野で知られており、その一部を以下に記載する。他の適切な位置が存在し得ることを理解されたい。
【0083】
一実施形態では、ジスルフィド結合は、
・VH37+VL95C、たとえばProtein Science、6、781〜788、Zhuら(1997)を参照、
・VH44+VL100、たとえば、Biochemistry、33、5451〜5459、Reiterら(1994)、又はJournal of Biological Chemistry、第269巻、第28号、ページ18327〜18331、Reiterら(1994)、又はProtein Engineering、第10巻、第12号、ページ1453〜1459、Rajagopalら(1997)を参照、
・VH44+VL105、たとえばJ Biochem.、118、825〜831、Luoら(1995)を参照、
・VH45+VL87、たとえばProtein Science、6、781〜788、Zhuら(1997)を参照、
・VH55+VL101、たとえばFEBS Letters、377、135〜139、Youngら(1995)を参照、
・VH100+VL50、たとえばBiochemistry、29、1362〜1367、Glockshuberら(1990)を参照、
・VH100b+VL49、
・VH98+VL46、たとえばProtein Science、6、781〜788、Zhuら(1997)を参照、
・VH101+VL46又は
・VH105+VL43、たとえば、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻、ページ7538〜7542、Brinkmannら(1993)、若しくはProteins、19、35〜47、Jungら(1994)を参照、
・VH106+VL57、たとえばFEBS Letters、377、135〜139、Youngら(1995)を参照
の間である(内容によりそうでないと指示されない限りは、上記リストではKabat付番(Kabatら、1987、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、米国保健社会福祉省(US Department of Health and Human Services)、NIH、米国)を用いる)。
【0084】
上述のアミノ酸対は、ジスルフィド結合が形成されることができるように、システインによる置換えを助長する位置にある。システインは、既知の技法によってこれらの位置内に操作することができる。
【0085】
したがって、一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0086】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0087】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0088】
一実施形態では、本発明の可変ドメイン対(VH/VL)は、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、VHのシステイン残基は位置44であり、VLのシステイン残基は位置100である。
【0089】
典型的には、システイン対はこれらの位置内に操作され、したがって、一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、操作されたシステイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0090】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、操作されたシステイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0091】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、VH中に1つ及びVL中に1つの、CDRの外である2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、操作されたシステイン残基の対の位置は、VH37及びVL95、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH98及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される。
【0092】
一実施形態では、可変ドメイン対(VH/VL)は、2つの操作されたシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、VHの操作されたシステイン残基は位置44であり、VLの操作されたシステイン残基は位置100である。
【0093】
したがって、一実施形態では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対である2つの単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、2つの単一ドメイン抗体が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置が、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される、多価抗体融合タンパク質を提供する。
【0094】
一実施形態では、本発明は、1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対をさらに含み、VH/VL対が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、システイン残基の対の位置が、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される、多価抗体融合タンパク質を提供する。
【0095】
1つ又は複数の実施形態では、CHドメインとCL又はCKドメインとの間などの重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合は、たとえば結合を形成する1つ又は複数のシステインが置き換えられているために存在しない。前記1つ又は複数のシステインは、たとえばセリンによって置き換えられていてよい。
【0096】
1つ又は複数の実施形態では、CHドメインとCL又はCKドメインとの間の重鎖と軽鎖との間の鎖間ジスルフィド結合が存在する。
【0097】
一実施形態では、1、2、3又は4つの単一ドメイン抗体、たとえば、同じ又は異なる抗原に向けられていてよい2つの別々のVH/VL対を含む、F(ab)2断片が提供される。
【0098】
一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質はFcドメインを含まない。一実施形態では、本発明の抗体融合タンパク質は、CH2又はCH3ドメインを含まない。
【0099】
本発明の二重特異性融合タンパク質では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、Fab又はFab’断片の構成要素によって結合されるものとは異なる第2の抗原と結合する。
【0100】
一例では、本発明において使用するためのdAbは、補体経路タンパク質、CDマーカータンパク質又はFcγRに対する特異性を示す。この場合、dAbは好ましくはCD分子に対して特異的である。最も好ましくは、dAbは、CD68、CD80、CD86、CD64、CD3、CD4、CD8、CD45、CD16及びCD35からなる群から選択されるCD分子に対する特異性を示す。
【0101】
好ましい例では、本発明において使用するためのdAbは、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1に対する特異性を示し、血清担体タンパク質は、好ましくは、チロキシン結合タンパク質、トランスサイレチン、α1−酸糖タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン又は血清アルブミンなどのヒト血清担体タンパク質である。最も好ましくは、dAbはヒト血清アルブミンに対する特異性を示す。したがって、一例では、ウサギ、マウス、ラット、ラクダ又はラマを、血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1(たとえばヒト血清アルブミン)で免疫化、力価が適切となった際に血液を収集する。dAbをコードしている遺伝子を単一細胞PCRによってクローニングし得るか、又は、dAbをコードしているB細胞(単数又は複数)を、EBV形質転換によって、若しくは不死化細胞系との融合によって不死化させ得る。或いは、単一ドメイン抗体は、本明細書中で上述したようにファージディスプレイによって得てもよい。
【0102】
一実施形態では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)はヒト血清アルブミンと結合する。一実施形態では、単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、ヒト血清アルブミン、マウス血清アルブミン及びラット血清アルブミンと結合する。
【0103】
一実施形態では、血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、WO2005/118642号(たとえば図1c及び1dを参照)中に提供されているdAb、又はWO2004/041862号中に提供されているVHH、又はたとえばWO2006/122787号の表IIIに記載されているヒト化ナノボディである。
【0104】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(e)の配列番号56又は図5(k)の配列番号62に示す、CDR−H1の配列を有するCDRと、図5(f)の配列番号57又は図5(l)の配列番号63に示す、CDR−H2の配列を有するCDRと、図5(g)の配列番号58又は図5(m)の配列番号64に示す、CDR−H3の配列とを有するCDRのうちの少なくとも1つを含む、重鎖VH単一ドメイン抗体である。
【0105】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VHドメインのCDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3のうちの少なくとも2つが、配列番号56又は配列番号62に示す、CDR−H1の配列、配列番号57又は配列番号63に示す、CDR−H2の配列、及び配列番号58又は配列番号64に示す、CDR−H3の配列から選択される、重鎖VH抗体である。たとえば、単一ドメイン抗体は、CDR−H1が配列番号56に示す配列を有し、CDR−H2が配列番号57に示す配列を有するVHドメインを含み得る。或いは、単一ドメイン抗体は、CDR−H1が配列番号56に示す配列を有し、CDR−H3が配列番号58に示す配列を有するVHドメインを含み得る。疑念を回避するために、すべての順列が含まれることを理解されたい。
【0106】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VHドメインが配列番号56に示す、CDR−H1の配列と、配列番号57に示す、CDR−H2の配列と、配列番号58に示す、CDR−H3の配列とを含む、重鎖VH単一ドメイン抗体である。
【0107】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VHドメインが配列番号62に示す、CDR−H1の配列と、配列番号63に示す、CDR−H2の配列と、配列番号64に示す、CDR−H3の配列とを含む、重鎖VH単一ドメイン抗体である。
【0108】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(a)に示す配列(配列番号52)を有するヒト化重鎖VH単一ドメイン抗体、dAbH1である。G4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbH1融合体の一例を図6に示す(配列番号68)。
【0109】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(c)に示す配列(配列番号54)を有するヒト化重鎖VH単一ドメイン抗体、dAbH2である。G4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbH2融合体の一例を図6に示す(配列番号69)。
【0110】
抗体可変ドメイン中の残基は、Kabatらによって考案されたシステムに従って慣習的に付番される。このシステムは、Kabatら、1987、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、米国保健社会福祉省(US Department of Health and Human Services)、NIH、米国(本明細書中以降、「Kabatら(上記)」)に記載されている。別段に指定した場合以外は、この付番システムを本明細書において使用する。
【0111】
Kabat残基の指定は、必ずしもアミノ酸残基の直線的付番と直接対応するわけではない。実際の直線的アミノ酸配列は、厳密なKabat付番よりも少ない又はそれに追加のアミノ酸を含有していてよく、これは、基本的可変ドメイン構造の、フレームワークであるか相補性決定領域(CDR)であるかにかかわらない構造的構成要素の短縮又はそれ内への挿入に対応する。残基の正しいKabat付番は、所与の抗体について、抗体の配列中の相同残基を「標準の」Kabat付番配列とアラインメントすることによって決定し得る。
【0112】
重鎖可変ドメインのCDRは、Kabat付番システムに従って、残基31〜35(CDR−H1)、残基50〜65(CDR−H2)及び残基95〜102(CDR−H3)に位置している。しかし、Chothia(Chothia,C.及びLesk,A.M.、J.Mol.Biol.、196、901〜917(1987))によれば、CDR−H1に等価なループが残基26から残基32まで延びる。したがって、本明細書中で使用する「CDR−H1」は、Kabat付番システム及びChothiaの位相的ループ定義の組合せによって記載されているように、残基26〜35を含む。
【0113】
軽鎖可変ドメインのCDRは、Kabat付番システムに従って、残基24〜34(CDR−L1)、残基50〜56(CDR−L2)及び残基89〜97(CDR−L3)に位置している。
【0114】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(h)の配列番号59又は図5(n)の配列番号65に示す、CDR−L1の配列を有するCDR、図5(i)の配列番号60又は図5(o)の配列番号66に示す、CDR−L2の配列を有するCDR、及び図5(j)の配列番号61又は図5(p)の配列番号67に示す、CDR−L3の配列を有するCDRのうちの少なくとも1つを含む、軽鎖VL単一ドメイン抗体である。
【0115】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VLドメインのCDR−L1、CDR−L2及びCDR−L3のうちの少なくとも2つが、配列番号59又は配列番号65に示す、CDR−L1の配列、配列番号60又は配列番号66に示す、CDR−L2の配列、及び配列番号61又は配列番号67に示す、CDR−L3の配列から選択される、軽鎖VL抗体である。たとえば、ドメイン抗体は、CDR−L1が配列番号59に示す配列を有し、CDR−L2が配列番号60に示す配列を有するVLドメインを含み得る。或いは、ドメイン抗体は、CDR−L1が配列番号59に示す配列を有し、CDR−L3が配列番号61に示す配列を有するVLドメインを含み得る。疑念を回避するために、すべての順列が含まれることを理解されたい。
【0116】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VLドメインが、配列番号59に示す、CDR−L1の配列と、配列番号60に示すCDR−L2の配列と、配列番号61に示すCDR−L3の配列とを含む、軽鎖VLドメイン抗体である。
【0117】
別の実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、VLドメインが、配列番号65に示す、CDR−L1の配列と、配列番号66に示す、CDR−L2の配列と、配列番号67に示す、CDR−L3の配列とを含む、軽鎖VLドメイン抗体である。
【0118】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(b)に示す配列(配列番号53)を有するヒト化軽鎖VL単一ドメイン抗体、dAbL1である。どちらもG4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbL1融合体及びCk1−dAbL1融合体の一例を図6に示す(配列番号70及び配列番号72)。
【0119】
一実施形態では、本発明において使用するためのヒト血清アルブミンと結合する単一ドメイン抗体は、図5(d)に示す配列(配列番号55)を有するヒト化軽鎖VL単一ドメイン抗体、dAbL2である。どちらもG4Sリンカーを含む適切なCH1−dAbL2融合体及びCk1−dAbL2融合体の一例を図6に示す(配列番号71及び配列番号73)。
【0120】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含み、2つの単一ドメイン抗体は、本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である一実施形態では、VH dAbはdAbH1(配列番号52)であり、VL dAbはdAbL1(配列番号53)である。
【0121】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体は、本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対であり、VH dAbはdAbH2(配列番号54)であり、VL dAbはdAbL2(配列番号55)である。
【0122】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含み、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である一実施形態では、VH dAbは配列番号202に示す配列を有し、VL dAbは配列番号203に示す配列を有する。
【0123】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれC末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対であり、VH dAbは配列番号204に示す配列を有し、VL dAbは配列番号205に示す配列を有する。
【0124】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれN末端で単一ドメイン抗体を含み、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である一実施形態では、VH dAbは配列番号202に示す配列を有し、VL dAbは配列番号203に示す配列を有する。
【0125】
Fab又はFab’断片の重鎖及び軽鎖がそれぞれN末端で単一ドメイン抗体を含む一実施形態では、2つの単一ドメイン抗体が本明細書中で上述したように抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対であり、VH dAbは配列番号204に示す配列を有し、VL dAbは配列番号205に示す配列を有する。
【0126】
別の態様では、本発明は、本明細書中上記、及び図5(e〜p)中に提供するCDRのうちの1つ又は複数を含有する、具体的には、配列番号56に示す配列を有するCDRH1、配列番号57に示す配列を有するCDRH2、配列番号58に示す配列を有するCDRH3、配列番号59に示す配列を有するCDRL1、配列番号60に示す配列を有するCDRL2、及び/又は配列番号61に示す配列を有するCDRL3を含む、アルブミン結合抗体又はその断片を提供する。一実施形態では、アルブミン結合抗体又は断片は、配列番号62に示す配列を有するCDRH1、配列番号63に示す配列を有するCDRH2、配列番号64に示す配列を有するCDRH3、配列番号65に示す配列を有するCDRL1、配列番号66に示す配列を有するCDRL2、及び/又は配列番号67に示す配列を有するCDRL3を含む。前記CDRは、任意の適切な抗体フレームワーク内及び任意の適切な抗体様式内に取り込ませ得る。そのような抗体には、それだけには限定されないが、モノクローナル、ヒト化、完全ヒト又はキメラ抗体であり得る、完全抗体及び機能的に活性のある断片又はその誘導体が含まれる。したがって、そのようなアルブミン結合抗体は、完全長の重鎖及び軽鎖又はその断片を有する完全抗体分子を含んでいてよく、それだけには限定されないが、Fab、改変されたFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体、scFv、二価、三価又は四価抗体、ビス−scFv、ジアボディー、トリアボディー、トリボディー、テトラボディー、及び上記のうちの任意のもののエピトープ結合断片であり得る(たとえば、Holliger及びHudson、2005、Nature Biotech.、23(9):1126〜1136、Adair及びLawson、2005、Drug Design Reviews−Online、2(3)、209〜217を参照)。これらの抗体断片を作製及び製造する方法は当分野で周知である(たとえばVermaら、1998、Journal of Immunological Methods、216、165〜181を参照)。多価抗体は、複数の特異性を含み得るか、又は単一特異性であり得る(たとえばWO92/22853号及びWO05/113605号を参照)。本発明のこの態様は、これらのアルブミン結合抗体の変異体までも拡張されることを理解されたい。
【0127】
そのようなアルブミン結合抗体、具体的には単一ドメイン抗体は、所望に応じて又は任意の他の適切なコンテキストで使用されるように、任意の他の抗体若しくはタンパク質又は他の分子とコンジュゲートさせ得ることを理解されたい。一例では、上述し、且つ図5(a〜d)及び図24に示した単一ドメイン抗体、dAbH1、dAbL1、dAbH2、dAbL2は、任意の適切な抗体様式内に取り込ませ得る、又は、任意の適切なコンテキストにおいて、融合体若しくはコンジュゲートなどとして、単一ドメイン抗体として使用し得る。
【0128】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(e)に示す、CDR−H1の配列と、図5(f)に示す、CDR−H2の配列と、図5(g)に示す、CDR−H3の配列とを含む。
【0129】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(k)に示す、CDR−H1の配列と、図5(l)に示す、CDR−H2の配列と、図5(m)に示す、CDR−H3の配列とを含む。
【0130】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(h)に示す、CDR−L1の配列と、図5(i)に示す、CDR−L2の配列と、図5(j)に示す、CDR−L3の配列とを含む。
【0131】
一実施形態では、本発明のこの態様の抗体は、図5(n)に示す、CDR−L1の配列と、図5(o)に示す、CDR−L2の配列と、図5(p)に示す、CDR−L3の配列とを含む。
【0132】
一実施形態では、本発明は、図5(a)〜(d)又は図24に示す配列を有するVHドメイン及び/又はVLドメインを含むFv又はscFvを提供する。一実施形態では、Fv又はscFvは、配列番号202に示す配列を有するVH及び配列番号203に示す配列を有するVHを含む。一実施形態では、Fv又はscFvは、配列番号204に示す配列を有するVH及び配列番号205に示す配列を有するVLを含む。
【0133】
一実施形態では、scFvのVH及びVLはVHVLの配向である(NからC末端)。一実施形態では、VH及びVLはVLVHの配向である(NからC末端)。
【0134】
上述のように、scFv又はFv断片は、任意の適切な抗体様式内にさらに取り込ませ得る。たとえば、これらを1つ又は複数の他の抗体断片と融合又はコンジュゲートさせ得る。
【0135】
以下の抗体様式では、本明細書中の配列表からの配列のそれぞれは、天然の位置又は天然でない位置に対応する位置に配置されていてもよい。天然の位置は、CDRH1の位置H1と表示したリスト中の関連する配列、CDRH2の位置H2と表示したリスト中の関連する配列、CDRH3の位置H3と表示したリスト中の関連する配列、CDRL1の位置L1と表示したリスト中の関連する配列、CDRL2の位置L2と表示したリスト中の関連する配列、及びCDRL3の位置L3と表示したリスト中の関連する配列のものである。また、H1及びH2、H1及びH3、H1及びL1、H1及びL2、H1及びL3、H2及びL1、H2及びL2、H2及びL3、H2及びH3、H3及びL1、H3及びL2、H3及びL3、H1及びH2及びH3、H1及びH2及びL1、H1及びH2及びL2、H1及びH2及びL3、H2及びH3及びL1、H2及びH3及びL2、H2及びH3及びL3、H3及びL1及びL2、H3及びL1及びL3、H3及びL2及びL3、L1及びL2及びL3、H1及びH2及びH3及びL1、H1及びH2及びH3及びL2、H1及びH2及びH3及びL3、H2及びH3及びL1及びL2、H2及びH3及びL1及びL3、及びH2及びH3及びL2及びL3、H3及びL1及びL2及びL3、H1及びH2及びH3及びL1及びL2、H1及びH2及びH3及びL2及びL3、H1及びH2及びH3及びL1及びL3、L1及びL2及びL3及びH1及びH2、L1及びL2及びL3及びH1及びH3、L1及びL2及びL3及びH2及びH3、H1及びH2及びH3及びL1及びL2及びL3などの、その組合せも想定される。
【0136】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号222、223、90〜93から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0137】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号94〜99から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0138】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号100〜105から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0139】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号106〜111から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0140】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号112〜117から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0141】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号118〜123から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0142】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号124〜129から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0143】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号130〜135から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0144】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号136〜141から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0145】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号142〜147から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0146】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号148〜153から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0147】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号154〜159から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0148】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号160〜165から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0149】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号166〜171から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0150】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号172〜177から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0151】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号178〜183から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0152】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号184〜189から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0153】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号190〜195から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0154】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号196〜201から選択される1、2、3、4、5又は6個の配列などの配列を含む。
【0155】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号202を含む。
【0156】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号203を含む。
【0157】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号202及び203を含む。
【0158】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号204を含む。
【0159】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号205を含む。
【0160】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号204及び205を含む。
【0161】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号206を含む。
【0162】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号207を含む。
【0163】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、配列番号206及び207を含む。
【0164】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、位置84のAがDによって置換されている、配列番号202に示す配列を含む。
【0165】
一実施形態では、本開示の抗体融合タンパク質は、位置84のAがDによって置換されている、配列番号204に示す配列を含む。
【0166】
本発明の二重特異性融合タンパク質の単一ドメイン抗体(単数又は複数)がアルブミンと結合する場合、アルブミンに対する単一ドメイン抗体の結合親和性は、Fab又はFab’のin vivo半減期を延長させるために十分である。2.5μM以下の親和性であるアルブミンに対する親和性がin vivo半減期を延長させることが報告されている(Nguyen,A.ら(2006)Protein Engineering,Design&Selection、19(7)、291〜297)。本発明の単一ドメイン抗体分子は、好ましくは、それらの目的及びそれらが結合する抗原に適した結合親和性を有する。一例では、単一ドメイン抗体は、高い、たとえばピコモーラーの結合親和性を有する。一例では、単一ドメイン抗体は、ナノモーラー又はマイクロモーラーである抗原に対する結合親和性を有する。親和性は、天然又は組換えの抗原を使用した、本明細書中の実施例中に記載されているBIAcoreを含めた、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して測定し得る。
【0167】
好ましくは、アルブミンと結合する本発明の単一ドメイン抗体分子は、約2μM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体分子は、約1μM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体分子は、約500nM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明の単一ドメイン抗体分子は、約200nM以上の結合親和性を有する。一実施形態では、本発明のドメイン抗体分子は、約1nM以上の結合親和性を有する。本発明によって提供される、及び当分野で知られている単一ドメイン抗体の親和性は、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して変更し得ることを理解されたい。したがって、本発明は、アルブミンに対して改善された親和性を有する、本発明のドメイン抗体分子の変異体にも関する。そのような変異体は、CDRの突然変異(Yangら、J.Mol.Biol.、254、392〜403、1995)、鎖シャフリング(Marksら、Bio/Technology、10、779〜783、1992)、大腸菌(E.coli)の突然変異誘発株の使用(Lowら、J.Mol.Biol.、250、359〜368、1996)、DNAシャフリング(Pattenら、Curr.Opin.Biotechnol.、8、724〜733、1997)、ファージディスプレイ(Thompsonら、J.Mol.Biol.、256、77〜88、1996)及び性的(sexual)PCR(Crameriら、Nature、391、288〜291、1998)を含めたいくつかの親和性成熟プロトコルによって得ることができる。Vaughanら(上記)が、これらの親和性成熟の方法を記述している。
【0168】
二重特異性融合タンパク質の単一ドメイン抗体(単数又は複数)は、所要に応じて単量体、二量体又は三量体として提供し得る。所望の生成物は、材料を供する下流の処理ステップを調節することによって得られ得る。一実施形態では、処理された材料は実質的に均質な単量体として提供される。一実施形態では、処理された材料は実質的に均質な二量体として提供される。一実施形態では、処理された材料は実質的に均質な三量体として提供される。
【0169】
また、本発明は、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしている単離したDNA配列も提供する。本発明のDNA配列は、たとえば化学的プロセッシング、cDNA、ゲノムDNA又はその任意の組合せによって生成された合成DNAを含み得る。
【0170】
本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列は、当業者に周知の方法によって得ることができる。たとえば、抗体断片、リンカー及び/又はdAbの一部又は全体をコードしているDNA配列を、決定されたDNA配列から、又は対応するアミノ酸配列に基づいて、所望に応じて合成し得る。
【0171】
標準の分子生物学の技法を使用して、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列を調製し得る。オリゴヌクレオチド合成技法を使用して、所望のDNA配列を完全に又は部分的に合成し得る。必要に応じて部位特異的突然変異誘発及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法を使用し得る。
【0172】
本発明はさらに、本発明の1つ又は複数のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターに関する。したがって、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしている1つ又は複数のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターが提供される。好ましい一実施形態では、クローニング又は発現ベクターは、二重特異性抗体融合タンパク質全体をコードしている単一のDNA配列を含む。したがって、クローニング又は発現ベクターは、DNAにコードされた転写単位を、翻訳融合タンパク質が産生されるような順序で含む。
【0173】
実際、当業者には、本発明の融合タンパク質はN末端又はC末端にdAbを有することができ、したがって、dAbのDNAにコードされた転写単位は、翻訳融合体をコードしているDNA配列内でそれぞれ最初又は最後となることを理解されよう。したがって、翻訳融合体は、N末端のdAb及びC末端のFab又はFab’を含み得る。さらに、翻訳融合体は、N末端のFab又はFab’及びC末端のdAbを含み得る。
【0174】
Fab又はFab’の重鎖及び軽鎖を同じ又は異なるベクター内に取り込ませ得ることを理解されたい。一実施形態では、1つのベクターがFab又はFab’の重鎖及びC末端のdAbを含む翻訳融合体を含んでいてよく、別のベクターがFab又はFab’の軽鎖及びC末端のdAbを含む翻訳融合体を含んでいてよい。
【0175】
たとえば、抗体断片のN末端にdAb部分を有する二重特異性抗体融合タンパク質を産生することが所望される場合、ベクターは、DNA転写単位を、dAb部分をコードしているDNA転写単位、任意選択でリンカー配列をコードしているDNA転写単位、及び抗体断片をコードしているDNA転写単位の順に含む。抗体断片のC末端にdAb部分を有する二重特異性抗体融合タンパク質を産生することが所望される場合、ベクターは、DNA転写単位を、抗体断片をコードしているDNA転写単位、任意選択でリンカー配列をコードしているDNA転写単位、及び血清担体タンパク質、循環免疫グロブリン分子、又はCD35/CR1、たとえばヒト血清アルブミンに対する特異性を有する、dAb部分をコードしているDNA転写単位の順に含む。したがって、本発明の翻訳融合体は、たとえば、それだけには限定されないが、dAb−リンカー−Fab、Fab−リンカー−dAb、dAb−Fab、Fab−dAb、Fab’−dAb、dAb−Fab’、dAb−リンカーFab’、Fab’−リンカー−dAbを含めた、様々な立体配置であることができる。2つのベクターを使用する場合は、たとえば、第1のベクターはdAbと融合されているFab又はFab’の重鎖を含んでいてよく、第2のベクターはdAbと融合されているFab又はFab’の軽鎖を含んでいてよい。
【0176】
本発明の翻訳融合体内に含まれる抗体断片のDNAコードは、ベクター内に転写単位として当業者に知られている立体配置で取り込ませることができ、たとえば、転写単位は、軽鎖のコード、次いで重鎖のコード、又はその逆を含むことができる。具体的には、Humphreysら、2002、Protein Expression and Purification、26:309〜320を参照されたい。
【0177】
好ましくは、本発明によるベクターは、抗体リーダー配列などの適切なリーダー配列を含む。そのようなリーダー配列は当分野で周知である。
【0178】
ベクターを構築し得る一般的な方法、形質移入及び形質転換の方法、並びに培養方法は、当業者に周知である。これに関しては、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、1999、F.M.Ausubel(編)、Wiley Interscience、New York及びCold Spring Harbor Publishingによって出版されたManiatis Manualを参照されたい。
【0179】
また、1つ又は複数の本発明の二重特異性抗体融合タンパク質をコードしている1つ又は複数のDNA配列を含むクローニング又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。任意の適切な宿主細胞/ベクター系を、二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列の発現に使用し得る。細菌、たとえば大腸菌及び他の微生物系を使用し得るか、又は真核、たとえば哺乳動物の宿主細胞発現系も使用し得る。適切な哺乳動物宿主細胞には、NS0、CHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。したがって、一実施形態では、本発明の融合タンパク質は大腸菌中で発現させる。別の実施形態では、本発明の融合タンパク質は哺乳動物細胞中で発現させる。
【0180】
また、本発明は、二重特異性抗体融合タンパク質を産生する方法であって、本発明のベクターを含む宿主細胞を、前記二重特異性抗体融合タンパク質をコードしているDNA配列からのタンパク質の発現に適した条件下で培養することを含む方法も提供する。本発明は、二重特異性抗体融合タンパク質を単離する方法をさらに提供する。
【0181】
産生時に、必要な場合は、本発明の二重特異性抗体融合タンパク質を、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して精製し得る。たとえば、それだけには限定されないが、イオン交換、サイズ排除、タンパク質G又は疎水性相互作用クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー技法を使用し得る。
【0182】
二重特異性抗体融合タンパク質の大きさは、サイズ排除クロマトグラフィー及び非還元SDS−PAGEなどの、当分野で知られている慣用の方法によって確認し得る。そのような技法は、たとえば、タンパク質が二量体化していないこと及び/又はその一部分、たとえばdAb部分が失われていないことを確認するために使用することができる。二量体が検出され、均質な単量体の生成物が必要な場合は、単量体の二重特異性抗体融合タンパク質を、上述のように慣用のクロマトグラフィー技法を使用して、二量体種から精製して取り出し得る。
【0183】
本発明の二重特異性抗体融合タンパク質は、炎症性疾患及び障害、免疫疾患及び障害、線維性障害並びに癌を含めた疾患及び障害の処置において有用である。
【0184】
用語「炎症性疾患」又は「障害」及び「免疫疾患又は障害」には、関節リウマチ、乾癬性関節炎、スチル病、マックルウェルズ病、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、血管炎、I型真性糖尿病、移植及び移植片対宿主病が含まれる。
【0185】
用語「線維性障害」には、特発性肺線維症(IPF)、全身性硬化症(又は強皮症)、腎臓線維症、糖尿病性腎症、IgA腎症、高血圧、末期腎臓病、腹膜線維症(持続的携行式腹膜透析)、肝硬変、加齢黄斑変性症(ARMD)、網膜症、心反応性線維症、瘢痕、ケロイド、熱傷、皮膚潰瘍、血管形成術、冠血管バイパス手術、関節形成術及び白内障手術が含まれる。
【0186】
用語「癌」には、皮膚中、又はより一般的には身体の臓器、たとえば、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、膵臓、胃、膀胱若しくは腸の内壁に見つかる、上皮から生じる悪性の新成長が含まれる。癌は、隣接組織に浸潤し、遠位臓器、たとえば、骨、肝臓、肺又は脳へと拡大(転移)する傾向がある。
【0187】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、1つ又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と会合した本発明の抗体融合体を含む医薬組成物が提供される。また、疾患又は障害を処置する医薬品を製造するための、本発明の抗体融合タンパク質の使用も提供される。最も好ましくは、疾患又は障害は炎症性疾患又は障害である。
【0188】
本発明による医薬組成物は、経口、頬側、非経口、皮下、経鼻、局所、眼若しくは直腸の投与に適した形態、又は吸入若しくはガス注入による投与に適した形態をとり得る。
【0189】
適切な場合は、たとえば抗体融合タンパク質の単一ドメイン抗体(単数又は複数)がアルブミンと結合する場合は、二重特異性融合タンパク質を、ヒト又は組換え血清アルブミンを用いて、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して事前に配合することが望ましい場合がある。
【0190】
医薬配合物が液体、たとえば溶液又は懸濁液である場合は、配合物は、アルブミン、たとえばヒト血清アルブミン、具体的には組換えヒト血清アルブミンなどの組換えアルブミンをさらに含み得る。適切な量は、全配合物の2%w/w未満、具体的には1、0.5、又は0.1%w/w未満の範囲であり得る。これは、配合物中の抗体構成要素の安定化を支援し得る。医薬組成物は、後に水性溶媒を用いて再構成するために凍結乾燥し得る。
【0191】
一実施形態では、本発明による凍結乾燥した「抗体」を含む、バイアルなどの単位用量容器が提供される。
【0192】
経口投与には、医薬組成物は、たとえば、慣用の手段によって、結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(たとえば、ラクトース、結晶セルロース若しくはリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルク若しくはシリカ)、崩壊剤(たとえば、ジャガイモデンプン若しくはグリコール酸(glycollate)ナトリウム)、又は湿潤剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤を用いて調製した、錠剤、ロゼンジ又はカプセルの形態をとり得る。錠剤は、当分野で周知の方法によってコーティングし得る。経口投与のための液体調製物は、たとえば、液剤、シロップ若しくは懸濁液の形態をとり得るか、又は、使用前に水若しくは他の適切なビヒクルで構成するための乾燥生成物として提供し得る。そのような液体調製物は、慣用の手段によって、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル又は保存料などの薬学的に許容される添加剤を用いて調製し得る。また、調製物は、必要に応じて、緩衝塩、香味料、着色剤又は甘味剤も含有し得る。
【0193】
経口投与のための調製物は、活性化合物の徐放性を与えるために適切に配合し得る。
【0194】
頬側投与には、組成物は、慣用の様式で配合した錠剤又はロゼンジの形態をとり得る。
【0195】
本発明の二重特異性抗体は、たとえばボーラス注射又は輸液による、注射による非経口投与のために配合し得る。注射用の配合物は、単位剤形で、たとえばガラスアンプル又は複数用量容器、たとえばガラスバイアル中で提供し得る。注射用の組成物は油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液などの形態をとってよく、懸濁剤、安定化剤、保存料及び/又は分散剤などの配合剤を含有し得る。或いは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、たとえば無菌的な発熱物質非含有水で構成するための粉末形態であり得る。
【0196】
上述の配合物に加えて、本発明の二重特異性抗体はデポー調製物としても配合し得る。そのような長時間作用性配合物は、植込み又は筋肉内注射によって投与し得る。
【0197】
経鼻投与又は吸入による投与には、本発明による化合物は、加圧パック又は噴霧器のためのエアロゾルスプレー提示の形態で、適切な噴霧剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガス若しくはガスの混合物を使用して、好都合に送達し得る。
【0198】
所望する場合は、組成物は、活性成分を含有する1つ又は複数の単位剤形を含有し得るパック又は分注装置中で提示し得る。パック又は分注装置には、投与のための指示が添付されていてもよい。
【0199】
局所投与には、本発明による化合物は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体中に懸濁又は溶解させた活性構成要素を含有する適切な軟膏中で好都合に配合し得る。具体的な担体には、たとえば、鉱物油、液体石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ワックス及び水が含まれる。或いは、本発明による化合物は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解させた活性構成要素を含有する適切なローション中で適切に配合し得る。具体的な担体には、たとえば、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、ベンジルアルコール、2−オクチルドデカノール及び水が含まれる。
【0200】
一実施形態では、配合物は、吸入を含めた局所投与のための配合物として提供される。
【0201】
適切な吸入用調製物には、吸入用粉末、噴霧用ガスを含有する計量エアロゾル又は噴霧用ガスを含まない吸入用溶液が含まれる。活性物質を含有する、本開示による吸入用粉末は、上述の活性物質のみから、又は上述の活性物質と生理的に許容される賦形剤との混合物からなり得る。
【0202】
これらの吸入用粉末には、単糖(たとえば、グルコース若しくはアラビノース)、二糖(たとえば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖(たとえばデキストラン)、ポリアルコール(たとえば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(たとえば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの互いとの混合物が含まれ得る。単糖又は二糖、すなわち、ラクトース又はグルコースの、排他的ではないが特にその水和物の形態の使用が適切に使用される。
【0203】
肺中に堆積させるための粒子は、10ミクロン未満、たとえば1〜9ミクロン、たとえば0.1〜5μm、具体的には1〜5μmの粒子径を必要とする。活性成分(抗体又は断片など)の粒子径は非常に重要である。
【0204】
吸入用エアロゾルを調製するために使用することができる噴霧用ガスは、当分野で知られている。適切な噴霧用ガスは、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタンなどの炭化水素並びにメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンなどの塩素化及び/又はフッ素誘導体等のハロ炭化水素から、とりわけ選択される。上述の噴霧用ガスは、それ自体で又はその混合物中で使用し得る。
【0205】
特に適した噴霧用ガスは、TG11、TG12、TG134a及びTG227からとりわけ選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。上述のハロゲン化炭化水素のうち、TG134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)及びTG227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)並びにその混合物が特に適している。
【0206】
また、噴霧用ガスを含有する吸入用エアロゾルは、共溶媒、安定化剤、表面活性剤(界面活性剤)、抗酸化剤、潤滑剤及びpHを調節する手段などの、他の成分も含有し得る。これらの成分はすべて当分野で知られている。
【0207】
本発明による噴霧用ガスを含有する吸入用エアロゾルは、5重量%までの活性物質を含有し得る。本発明によるエアロゾルは、たとえば、0.002〜5重量%、0.01〜3重量%、0.015〜2重量%、0.1〜2重量%、0.5〜2重量%又は0.5〜1重量%の活性成分を含有する。
【0208】
或いは、肺への局所投与は、たとえば、噴霧器、たとえばコンプレッサーに接続された噴霧器(たとえば、Pari Respiratory Equipment,Inc.、バージニア州Richmondによって製造された、Pari Master(登録商標)コンプレッサーに接続されたPari LC−Jet Plus(登録商標)噴霧器)などの装置を用いた、液体の溶液又は懸濁液の配合物の投与によるものであり得る。
【0209】
本発明の抗体様式は、溶媒中に分散させて、たとえば、溶液又は懸濁液の形態で送達することができる。これは、適切な生理溶液、たとえば、生理食塩水又は他の薬理学的に許容される溶媒若しくは緩衝溶液中に懸濁させることができる。当分野で知られている緩衝溶液は、約4.0〜5.0のpHを達成するために、1mlの水あたり、0.05mg〜0.15mgのエデト酸二ナトリウム、8.0mg〜9.0mgのNaCl、0.15mg〜0.25mgのポリソルベート、0.25mg〜0.30mgの無水クエン酸、及び0.45mg〜0.55mgのクエン酸ナトリウムを含有し得る。懸濁液では、たとえば凍結乾燥した抗体を用いることができる。
【0210】
また、治療用の懸濁液又は溶液の配合物は、1つ又は複数の賦形剤も含有することができる。賦形剤は当分野で周知であり、緩衝液(たとえば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液及び炭酸水素緩衝液)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(たとえば血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、並びにグリセロールが含まれる。溶液又は懸濁液は、リポソーム又は生分解性ミクロスフェア中にカプセル封入することができる。配合物は、一般に、無菌的な製造プロセスを用いて実質的に無菌的な形態で提供される。
【0211】
これには、当業者が精通した方法による、配合物に使用する緩衝溶媒/溶液の生成及び濾過による滅菌、無菌的緩衝溶媒溶液中への抗体の無菌的懸濁、並びに無菌的容器内への配合物の分注が含まれ得る。
【0212】
本開示による噴霧用配合物は、たとえば、箔の包みで梱包した単一用量単位(たとえば、密封されたプラスチック容器又はバイアル)として提供し得る。それぞれのバイアルは、一定体積、たとえば2mlの溶媒/溶液緩衝液中に1つの単位用量を含有する。
【0213】
本開示の抗体様式は、噴霧化を介した送達に適していると考えられている。
【0214】
眼の投与には、本発明による化合物は、殺菌剤又は殺真菌剤、たとえば、硝酸フェニル水銀、塩化ベンジルアルコニウム又は酢酸クロルヘキシジンなどの保存料を用いて又は用いない、等張なpH調節した無菌的な生理食塩水中の微小イオン化された懸濁液として、好都合に配合し得る。或いは、眼への投与には、化合物はペトロラタムなどの軟膏中で配合し得る。
【0215】
直腸投与には、本発明による化合物は、坐薬として好都合に配合し得る。これらは、活性構成要素を、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融けて活性構成要素を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製することができる。そのような材料には、たとえば、カカオ脂、蜜蝋及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0216】
特定の状態の予防又は処置に必要な本発明の化合物の量は、選択した化合物及び処置する患者の状態に応じて変動する。しかし、一般に、1日用量は、経口又は頬側の投与には、体重1kgあたり約10ng〜1000mg、典型的には100ng〜100mg、たとえば約0.01mg〜40mg、非経口投与には体重1kgあたり約10ng〜50mg、経鼻投与又は吸入若しくはガス注入による投与には、約0.05mg〜約1000mg、たとえば約0.5mg〜約1000mgの範囲であり得る。
【0217】
本発明のそれぞれの実施形態の好ましい特長は、必要な変更を加えて、他の実施形態のそれぞれと同様である。それだけには限定されないが本明細書中で引用された特許及び特許出願を含めたすべての出版物は、それぞれの個々の出版物が具体的且つ個々に本明細書中に参考として組み込まれていると示されていると記載されたごとく、本明細書中に参考として組み込まれている。
【0218】
本明細書のコンテキストにおける含むとは、含まれることを意味することを意図する。
【0219】
技術的に適切な場合は、本発明の実施形態を組み合わせ得る。
【0220】
実施形態は、特定の特長/要素を含むものとして本明細書中に記載されている。また、本開示は、前記特長/要素からなる、又はから本質的になる個別の実施形態までにも拡張される。
【0221】
以下、本発明を以下の実施例を参照して記載するが、これらは単なる例示であり、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】dAbがC末端にあるFab−dAbの図表示である。
【図2A】Fab−didAbの図表示である。
【図2B】dAb間に追加のジスルフィド安定化を有するFab−didAbの図表示である。
【図3】FabA−dAbL3(CK−SG4SE)(1)及びFabA−dAbL3(CK−G[APAPA]2)(2)のSDS PAGE分析を示す図である。
【図4】FabA−dAbL3(CK−SG4SE)(1)及びFabA−dAbL3(CK−G[APAPA]2)(2)のウエスタンブロット分析を示す図である。
【図4a】FabB−didAbのSDS PAGEを示す図である。 レーンM=SeeBlueマーカー レーン1及び2=IgG対照 レーン3=FabB レーン4=FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及びdAbH1(CH1−G4S×2) レーン5=FabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及びdAbH2(CH1−G4S×2)
【図5】ドメイン抗体dAbH1、dAbH2、dAbL1及びdAbL2並びにこれらの抗体のそれぞれに由来するCDRの配列を示す図である。
【図6】ドメイン抗体と融合されているFabBの重鎖又は軽鎖可変ドメインを含むFabB−dAb構築体を示す図である。
【図7】Fab’A重鎖及び軽鎖の配列及びFabA重鎖の配列を示す図である。
【図8a】様々なマウスdAbにおけるCDRのアミノ酸配列を示す図である。図8a、8b及び8cは、マウス化Fab−didAbのアミノ酸配列を示す。
【図8b】mFabD−mdidAbのアミノ酸配列を示す図である。図8a、8b及び8cは、マウス化Fab−didAbのアミノ酸配列を示す。 dAbL1(CK−G4S×2) dAbH1(CH1−G4S×2) dAbL2(CK−G4S×2)及び dAbH2(CH1−G4S×2)
【図8c】mFabD−mdidAbのアミノ酸配列を示す図である。図8a、8b及び8cは、マウス化Fab−didAbのアミノ酸配列を示す。 dAbL1(CK−G4S×2)及び dAbH1(CH1−G4S×2)mFabC−mdAbH1 dAbL2(CK−G4S×2)及び dAbH2(CH1−G4S×2
【図9】FabB−didAbのSDS PAGEを示す図である: レーン1及び4はFab’Bであり、 レーン2及び5は、FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)であり、 レーン3及び6は、FabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)である。
【図10】Thermofluor熱安定性アッセイを示す図表示である。
【図11】活性化したマウスT細胞と結合した、HAS−FITCシグナル/HAS−FITC混合物のプロットを示す図である。
【図12】凝集安定性アッセイのプロットを示す図である。
【図13】皮下及び静脈内投薬後の経時的なin vivo濃度プロフィールを示す図である。
【図14A】特定のCD4+細胞及びCD8+細胞の読取値を示す図である。
【図14B】特定のCD4+細胞及びCD8+細胞の読取値を示す図である。
【図14C】特定のCD4+細胞及びCD8+細胞の読取値を示す図である。
【図15】FabB−645FvのSDS−PAGE分析を示す図である。
【図16】FabB−645Fvのサイズ排除分析を示す図である。
【図17】様々なリンカー長を有するFabB−645Fvの温度記録を示す図である。
【図18】特定のFabB構築体のSDS−PAGE分析を示す図である。
【図19】様々なFabB−645Fv構築体のサイズ排除分析を示す図である。
【図20】特定の様式の配列を示す図である。
【図21】特定の様式の配列を示す図である。
【図22】特定の様式の配列を示す図である。
【図23】特定の様式の配列を示す図である。
【図24】特定の様式の配列を示す図である。
【図25】VH/VL対がFabのC末端に位置しており、ジスルフィド安定化されている、構築体Fab−645dsFVのSDS PAGE分析を示す図である。
【図26】図25の構築体のサイズ排除分析を示す図である。
【図27A】本開示による構築体のThermofluor分析を示す図である。
【図27B】Tm対pHのプロットを示す図である。
【図28】ヒトPCMB上でのヒトOX40リガンド結合の阻害に基づいた、本開示による構築体のin vitroアッセイを示す図である。
【図29A】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、血液に対する効果を示す図である。
【図29B】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、腹膜に対する効果を示す図である。
【図29C】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、脾臓細胞に対する効果を示す図である。
【図29D】本開示による構築体のin vivo有効性、具体的にはCD4+及びCD8+、脾臓細胞に対する効果を示す図である。
【図30A】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図30B】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図30C】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図30D】本開示による特定の様式の配列を示す図である。
【図31】特定の構築体の発現データを示す図である。
【図32A】特定の構築体の結合データを示す図である。
【図32B】特定の構築体の結合データを示す図である。
【図32C】特定の構築体の結合データを示す図である。
【0223】
キー
−645Fvは、didAbL1及びH1と同等とみなす(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)。
648Fvは、didAbL2及びH2と同等とみなす(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)。
−645dsFvは、didAbL1及びH1と同等とみなし(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)、L1及びH1はジスルフィド結合によって安定化されている。
−648dsFvは、didAbL2及びH2と同等とみなし(別段に指摘しない限りは、それぞれのdABに使用するリンカーは同じである)、L2及びH3はジスルフィド結合によって安定化されている。
FabΔとは、鎖間システイン結合(CHとCL又はCKとの間)を欠くFabである。
【実施例】
【0224】
略記:内容によりそうでないと指示されない限りは、接頭字としての「m」は、マウスをいうことを意図する。
【0225】
内容によりそうでないと指示されない限りは、接頭字としての「h」は、ヒトをいうことを意図する。Fab A、Fab B、Fab C及びFab Dの構成要素を、以下に様々な様式で提供し得る。
【0226】
(例1)
ヒト血清アルブミンに特異的なdAbの生成
ヒト血清アルブミンに対する特異性を有するdAbをコードしている、インフレームのDNAにコードされた転写単位を、組換えDNA技術を使用して生成した。
【0227】
所望する場合は、動員タンパク質に対する特異性を有するdAbをコードしている、インフレームのDNAにコードされた転写単位を、組換えDNA技術を使用して生成することができる。
【0228】
(例2)
抗体断片の産生
dAbと軽鎖のC末端との融合には、ヒトカッパ軽鎖定常領域(カッパ定常領域のKm3アロタイプを有する)、ペプチドリンカー及びdAbをコードしているDNAを合成し、SacI−PvuII制限断片として、ヒトガンマ−1のCH1定常領域をコードしているDNAを含有する、UCB−Celltechのインハウス発現ベクターpTTOD(Fab)(pTTO−1の誘導体、Popplewellら、Methods Mol.Biol.、2005、308:17〜30に記載)内にクローニングした。これにより、どちらもtacプロモーターの制御下にある、リンカーを介してdAbと融合されたヒト化軽鎖の遺伝子、次いでヒト化重鎖Fab断片の遺伝子からなる、2シストロン性の遺伝子配置が生じた。また、Gly4Serリンカーの上流の独特なBspE1部位、又はAla−Proに富んだリンカーの上流のAscI部位もコードされている。
【0229】
dAbと重鎖のC末端との融合には、ヒトCH1断片(γ1アイソタイプのもの)、次いでリンカーのコード配列及びdAbをコードしているDNAを合成した。これを、ApaI−EcoRI制限断片として、ヒトガンマ−1のCH1定常領域をコードしているDNAを含有する、UCB−Celltechのインハウス発現ベクターpTTOD(Fab)(pTTO−1の誘導体、Popplewellら、上記に記載)内にサブクローニングした。これにより、どちらもtacプロモーターの制御下にある、ヒト化軽鎖の遺伝子、非コード遺伝子間配列、次いでリンカーを介してdAbと融合された重鎖からなる、2シストロン性の遺伝子配置が生じた。組換え発現プラスミドを大腸菌株W3110内に形質転換させ、それ中での発現はIPTGを加えることによって誘導した。発現実験は、最初は小スケール(5mlの培養体積)で行い、200uMのIPTGを約0.5のOD(600nm)で加え、細胞を誘導の2時間後に回収し、終夜、30℃トリス/EDTA中で抽出した。清澄にした抽出液は、Biacoreによる親和性分析に使用した。有望な発現収率及び活性を与える構築体を発酵用に選択した。
【0230】
以下の例に適用可能な方法
以下の例では、dAbを融合させる抗体鎖は、cカッパ軽鎖はCK又はLC、重鎖定常ドメインCH1はCH1又はHCとして示す。
【0231】
大腸菌中で発現させるためのFabA−dAb融合プラスミドの構築
Fab−dAb融合タンパク質は、dAbL3又はdAbH4を、FabAの軽鎖又は重鎖のどちらかの定常領域のC末端と融合させることによって構築した。柔軟な
【化5】
又は強固な
【化6】
リンカーを使用してdAbをcカッパ領域(配列番号75)と連結させた一方で、リンカー
【化7】
を使用してdAbをCHI領域(配列番号76)と連結させた。インハウスのpTTODベクターのFabA配列内へのサブクローニングを可能にするために、定常領域−dAbの融合体をコードしているDNA配列を、断片として合成により製造した。
【0232】
軽鎖−dAbの融合体は、
【化8】
又は強固な
【化9】
リンカーのどちらかを介してdAbL3又はdAbH4のどちらかと融合されているC末端のcカッパをコードしている、合成した遺伝子のSacI−ApaI断片を、FabAを発現することができるプラスミドの対応する部位内にサブクローニングすることによって構築した。
【0233】
重鎖−dAbの融合体は、DKTHTSリンカーを介してdAbL3又はdAbH4のどちらかと融合されているC末端のCHIをコードしている、合成した遺伝子のApaI−EcoRI断片を、FabAを発現することができるプラスミドの対応する部位内にサブクローニングすることによって構築した。
【0234】
Fab’AはIL−1ベータ結合抗体に由来し、その重鎖及び軽鎖配列は、図7に示すようにそれぞれ配列番号74及び75中に提供する。軽鎖にdAbが付着しているFab’Aでは、重鎖にdAbが付着していない場合でも、重鎖のヒンジをDKTHTSに変更した(配列番号76)。
【0235】
FabAは、同じ軽鎖配列(配列番号75)及び鎖間システインで終結する切断された重鎖配列(配列番号77)を含む。dAbL3及びdAbH4はそれぞれ、ヒト血清アルブミンと結合する軽鎖及び重鎖ドメイン抗体である。
【0236】
大腸菌中で発現させるためのFabA−didAb融合プラスミドの構築
軽鎖及び重鎖の両方上にdAbL3又はdAbH4を有するFabA−didAbは、CH1−dAbの融合体をコードしているApaI−EcoRI断片を、既存のFab−dAbプラスミド内にサブクローニングすることによって構築し、ここでdAbは柔軟なリンカーを介して軽鎖と融合されている。
【0237】
哺乳動物細胞中で発現させるためのFabB−dAb融合プラスミドの構築
FabB−dAb、FabB−dAbH1(CH1−G4S×2)、FabB−dAbH2(CH1−G4S×2)、FabB−dAbL1(CH1−G4S×2)、FabB−dAbL2(CH1−G4S×2)はすべて、PCRによってアセンブルし、その後、HCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。これらは、哺乳動物細胞中で発現させるために、FabB軽鎖を含有する類似のベクターと対にした(以下を参照)。
【0238】
FabBは、細胞表面共刺激分子と結合する抗体に由来する。dAbH1、dAbH2、dAbL1及びdAbL2は、例3に記載のように得られた。
【0239】
FabB−dAb及びdidAbの哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、2μgの重鎖プラスミド+2μgの軽鎖プラスミドを、10μlの293fectin+340μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベーションした。その後、混合物を懸濁液中の5×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。
【0240】
Biacore
Fab−dAb構築体の相互作用の結合親和性及び動力学的パラメータは、CM5センサーチップ及びHBS−EP(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20)ランニング緩衝液を用いてBiacore T100で実施した表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。Fab−dAb試料は、ヒトF(ab’)2に特異的なヤギFab(Jackson ImmunoResearch、109−006−097)又はインハウスで作製した抗ヒトCH1モノクローナル抗体のどちらかを使用して、センサーチップ表面に捕捉させた。捕捉抗体の共有的固定は標準のアミンカップリング化学によって達成した。
【0241】
それぞれのアッセイサイクルは、最初に1分間の注入を使用したFab−dAbの捕捉、次いで3分間の抗原の注入からなる会合段階からなり、その後、解離を5分間監視した。それぞれのサイクルの後、捕捉表面を、2×1分間の40mMのHClの注入、次いで30秒間の5mMのNaOHの注入を用いて再生した。使用した流速は、捕捉には10μl/分、会合及び解離段階には30μl/分、並びに再生には10μl/分であった。
【0242】
動力学的アッセイでは、抗原の滴定(ヒトの血清アルブミンでは典型的には62.5nM〜2μMであり、IL−1βでは1.25〜40nMである)を行い、ブランクのフローセルを参照の減算に使用し、機器のノイズ及びドリフトを減算するために緩衝液ブランクの注入を含めた。
【0243】
動力学的パラメータは、Biacore T100評価ソフトウェアを使用して、生じたセンサーグラムを、標準の1:1結合モデルに、同時に総合的に当てはめることによって決定した。
【0244】
同時結合について試験するために、別個の5μMのHSA若しくは100nMのIL−1β、又は5μMのHSA及び100nMのIL−1βの混合溶液のどちらかの3分間の注入を、捕捉されたFab−dAbの上に注入した。
【0245】
大腸菌からのFab−dAbの精製
ペリプラズム抽出
ペリプラズム内にFab−dAbを含有する大腸菌ペレットを、100mMのトリス/HCl、10mMのEDTA、pH7.4を用いて、元の培養体積に再懸濁させた。その後、これらの懸濁液を4℃で16時間、250rpmでインキュベーションした。再懸濁させたペレットを10000×gで1時間、4℃で遠心分離した。上清を除去し、0.45μmを濾過した。
【0246】
タンパク質Gの捕捉
Fab−dAbを濾過した上清からタンパク質Gクロマトグラフィーによって捕捉した。手短に述べると、20分間の滞留時間を用いて、上清を、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で平衡化したGammabind Plus Sepharose(GE Healthcare)カラムに適用した。カラムを20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.8で溶出させた。溶出ピークを収集し、1Mの酢酸ナトリウムを用いてpHを約pH5に調節した。pHを調節した溶出液を濃縮し、10kのMWCO膜を使用して、50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5中にダイアフィルトレーションした。
【0247】
イオン交換
Fab−dAbを、pH4.5でNaClの溶出勾配を用いた陽イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製した。手短に述べると、ダイアフィルトレーションしたタンパク質Gの溶出液を、50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5で平衡化したSource15S(GE Healthcare)カラムに適用した。カラムを50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5で洗浄し、結合した材料を、20倍カラム体積の、50mMの酢酸ナトリウム、pH4.5中の0〜1MのNaClの直線勾配を用いて溶出させた。3番目のカラム体積の画分を、勾配全体にわたって収集した。画分をA280及びSDS−PAGEによって分析し、関連する画分をプールした。
【0248】
ゲル濾過
必要な場合は、Fab−dAbをゲル濾過によってさらに精製した。手短に述べると、FabA−dAbL3(CK−SG4SE)のプールしたイオン交換溶出画分を、50mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaCl、pH5.0で平衡化したSuperdex200(GE Healthcare)カラムに適用し、50mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaCl、pH5.0の均一濃度勾配で溶出させた。1/120倍カラム体積の画分を、勾配全体にわたって収集した。画分をA280及びSDS−PAGEによって分析し、関連する画分をプールした。ゲル濾過を受けなかったFab−dAbでは、プールしたイオン交換溶出画分を濃縮し、10kのMWCO膜を使用して、50mMの酢酸ナトリウム、125mMのNaCl、pH5.0中にダイアフィルトレーションした。
【0249】
SDS−PAGE
必要な場合は試料を水で希釈し、その後、10μlに、10μLの2×試料ランニング緩衝液を加えた。非還元試料には、2μLの100mMのNEMをこの時点で加え、還元試料には、2μLの10×還元剤を加えた。試料を渦撹拌し、85℃で5分間インキュベーションし、冷却し、12500rpmで30秒間遠心分離した。調製した試料を4〜20%のアクリルアミントリス/グリシンSDSゲル上に載せ、100分間、125Vで流した。ゲルをウエスタンブロッティングのためにPVDF膜上に移したか、又はクマシーブルータンパク質染色で染色した。
【0250】
ウエスタンブロッティング
ゲルを、12mMのトリス、96mMのグリシン、pH8.3中で、16時間、150mAでPVDF膜に移した。PVDF膜を1時間、PBS+0.1%のTween20(遮断緩衝液)中の2%のMarvel(商標)で遮断した。
【0251】
抗軽鎖
HRP−ウサギ抗ヒトカッパ軽鎖、遮断緩衝液中の1/5000の希釈液で1時間。
【0252】
抗重鎖
マウス抗ヒト重鎖、遮断緩衝液中の1/7000の希釈液で1時間。次いで、HRP−ヤギ抗マウス、遮断緩衝液中の1/2000の希釈液で1時間。
【0253】
抗Hisタグ
ウサギ抗His6、遮断緩衝液中の1/1000の希釈液で1時間。次いで、HRP−ヤギ抗ウサギIgG、遮断緩衝液中の1/1000の希釈液で1時間。
【0254】
すべてのブロットを、100mlのPBS+0.1%のTween20を用いて、1回の洗浄あたり10分間で6回洗浄した。ブロットは、ECL試薬で1分間展開させた後にAmersham Hyperfilmに曝露させたか、又は金属増感DAB試薬で20〜30分間、次いで水で展開させた。
【0255】
高温逆相HPLC
試料(2μg)は、2.1mmのC8 Poroshellカラム上、80℃で、2ml/分の流速及び18〜38%のBの勾配を用いて、4分間にわたって分析した。A=H2O中の0.1%のTFA、B=80:20のIPA:MeOH中の0.065%のTFA。検出は214nmでの吸収によるものである。
【0256】
ELISA
Fab−dAbの収率はサンドイッチELISAを用いて測定した。手短に述べると、Fab−dAbを抗CH1抗体で捕捉し、その後、抗カッパ−HRPを用いて表示させた。
【0257】
FACS
試料(mFabD−didAb)を5μg/mlのFITC(フルオレセインイソチオシアネート)で標識したHSAと共に45分間インキュベーションした。その後、試料/HSA−FITCのインキュベーションを活性化したマウスCD4+T細胞に加え、さらに45分間インキュベーションした。細胞をPBSで洗浄し、細胞に関連する蛍光をFACS(蛍光活性化細胞分取)によって測定した。
【0258】
(例3)
抗アルブミン抗体の作製
1/2ロップウサギを組換えchromapureヒト血清アルブミン(Jacksonから購入)で免疫化した。ウサギには100ugのHSAタンパク質の3回の免疫化を皮下で与え、最初の免疫化は完全フロイントアジュバント中、続く免疫化は不完全フロイント中であった。ヒト、マウス及びラットの血清アルブミンと結合する抗体1及び2、646、647、並びに649は、WO04/051268号に記載の方法を使用して単離した。抗体1及び2の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)の遺伝子を単離し、逆転写PCRによるクローニングの後に配列決定した。
【0259】
軽鎖を移植した配列を、ウサギC−カッパ定常領域をコードしているDNAを含有するウサギ軽鎖発現ベクターpVRbcK内にサブクローニングした。重鎖を移植した配列を、ウサギFab’重鎖定常領域をコードしているDNAを含有するウサギ重鎖発現ベクターpVRbHFab内にサブクローニングした。プラスミドをCHO細胞内に同時形質移入し、産生された抗体をアルブミン結合及び親和性についてスクリーニングした(表1)。CHO細胞の形質移入は、Lipofectamine(商標)2000手順を使用して、製造者の指示(InVitrogen、カタログ番号11668)に従って行った。
【0260】
ヒト化ドメイン抗体dAbL1、dAbH1、dAbL2及びdAbH2の作製
ヒトV領域アクセプターフレームワーク及びフレームワーク領域中のドナー残基を使用して、ヒト化したVL及びVH領域を設計した。1つの移植したVL領域(L1(配列番号53)及びL2(配列番号55))並びに1つのVH領域(H1(配列番号52)及びH2(配列番号54))を、抗体1及び2のそれぞれについてそれぞれ設計し、遺伝子はオリゴヌクレオチドのアセンブル及びPCR突然変異誘発によって構築した。移植したドメイン抗体及びそのCDRを図5に示す。
【表4】
【0261】
(例4)
哺乳動物細胞中で発現させたFabB−dAbの分析
方法に記載されているようにFabB−dAb構築体を産生し、FabB−dAbを含有する形質移入したHEK293細胞からの上清をBIAcoreで直接試験した。
【0262】
動力学的分析を実施して、HSAとFabB−dAb構築体との相互作用を評価した。これらは、FabBのCH1のC末端と融合されているdAbL1、dAbH2又はdAbL3のいずれかからなっていた(図6を参照)。FabB−dAbL1は、HSAに対する親和性、KD=170nMが、FabB−dAbL3、KD=392nMよりも高かった。FabB−dAbH2は、HSAに対して最も乏しい親和性を保有することが示された、KD=1074nM、表2を参照されたい。
【表5】
【0263】
親和性及び動力学的パラメータを、HSAと、dAbL1、dAbH2又はdAbL3と融合されているFabBとの結合について決定した。示したデータは平均値±SEMである。(FabB−dAbL1及びFabB−dAbH2ではn=4。FabB−dAbL3ではn=2)。
【0264】
FabB−dAbタンパク質のSDS−PAGE及びウエスタンブロッティングにより、産生されたFabB−dAbは予測された大きさであったことが確認された。
【0265】
(例5)
哺乳動物細胞中で発現させたFabB−didAbの分析
方法に記載されているようにFabB−didAb構築体を産生させ、didAbを含有する形質移入したHEK293細胞からの上清をBIAcoreで直接試験した。
【0266】
単一のdAbがFabの重鎖及び軽鎖のC末端のどちらとも融合されているdidAb構築体を使用して、さらなる分析を行った。didAbが天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインの対合に由来していた構築体は、単一のdAb単独と比較して顕著な親和性の改善を示した(表2及び3)。2つの同一のdAbL1からなるdidAb融合体では、単一のdAbL1で見られるものを超える親和性の改善は示されなかった(データ示さず)。
【表6】
【0267】
親和性及び動力学的パラメータを、HSAと、dAbL1及びdAbH1又はdAbL2及びdAbH2の両方と融合されているFabBとの結合について決定した。
【0268】
FabB−didAbタンパク質のSDS−PAGEにより、FabB−didAbは良好に発現され、予測された大きさであったことが確認された(図4aを参照)。このSDS PAGEゲルは細胞によって発現された全タンパク質であることに注意されたい。
【0269】
(例6)
精製したFabA−dAbの分析
大腸菌中でFab−dAb、Fab’A−dAbL3(CK−SG4SE)、Fab’A−dAbL3(CK−G[APAPA]2)を発現させるためのプラスミドを、方法に記載されているように構築した。Fab−dAbは大腸菌のペリプラズム内に発現され、方法に記載されているように均質となるまで精製した。Fab−dAbの純度は、高温逆相HPLC、SDS−PAGE及びウエスタンブロッティングによって評価した。また、Fab−dAbは、Biacoreによって抗原結合についても評価した。
【0270】
高温逆相HPLC
方法に記載されているように行った高温逆相HPLCにより、FabA−dAbL3(CK−SG4SE)及びFabA−dAbL3(CK−G[APAPA]2)中に含有されるすべての種の定量分析が与えられた。存在するそれぞれの種の百分率を表4に示す。
【表7】
【0271】
SDS−PAGE
Fab−dAb試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上に流した。ゲルをクマシー染色した。両方のFab−dAb試料、すなわちFab’A−dAbL3(CK−SG4SE)及びFab’A−dAbL3(CK−G[APAPA]2)のバンドプロフィールは、高温逆相HPLCによって観察されたプロフィールに良好に対応する(図3)。
【0272】
ウエスタンブロット
方法に記載されているように、Fab−dAb試料を非還元SDS−PAGE、次いで抗軽鎖及び抗重鎖抗体を用いたウエスタンブロット分析に供した。これにより、dAbはFabの軽鎖上にあり、どちらの試料中でも重鎖は改変されていなかったことが確認された(図4)。また、これは、クマシー染色した非還元SDS PAGEによって検出されたすべてのバンドがFab−dAb関連の産物であることも実証している。
【0273】
Biacore
方法に記載されているように、SPRによる動力学的分析を使用して、ヒト血清アルブミンとFab’A−dAbL3(CK−SG4SE)及びFab’A−dAbL3(CK−G[APAPA]2)との結合を評価した。表5の結果は、どちらの構築体も約1μMの同様の親和性(KD)でヒト血清アルブミンと結合できることを実証している。
【表8】
【0274】
さらなる動力学的分析は、すべての融合構築体が元のFabAのIL−1βに対する相互作用特徴を保持しており、表6、動力学及び親和性のパラメータに軽微な相違しか見られないことを実証した。
【表9】
【0275】
それぞれの構築体がヒト血清アルブミン及びIL−1β抗原の両方と同時に結合する潜在性は、それぞれの構築体をセンサーチップ表面に捕捉させた後に、5μMのヒト血清アルブミン若しくは100nMのIL−1β、又は5μMのヒト血清アルブミン及び100nMのIL−1βの両方の混合溶液の、別個の3分間の注入のどちらかを行うことによって評価した。それぞれのFab−dAb構築体について、合わせたHSA/IL−1β溶液で見られた応答は、独立した注入の応答の合計とほぼ同一であった、表7を参照されたい。これは、Fab−dAbはIL−1β及びヒト血清アルブミンの両方と同時結合することができ、IL−1β又はヒト血清アルブミンのどちらかの結合は他方の相互作用を阻害しないことを示している。元のFabAはIL−1βとのみ結合し、ヒト血清アルブミンとの結合は無視できる程度である。
【表10】
【0276】
上記表は、HSA若しくはIL−1βの別個の注入、又は事前に混合したHSA及びIL−1βの注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は、HSAは5μMであり、IL−1βは100nMであった。個々のHSA及びIL−1βの応答の合計を括弧内に示す。
【0277】
(例7)
FabA didAb
大腸菌でのFabA−didAbの発現
C末端のヒスチジンタグ(HIS6タグ)で終結するFabA−dAb及びFabA−didAbの融合体を大腸菌(Escherichia coli)中で発現させた。ペリプラズム抽出後、dAb融合タンパク質を、C末端のHis6タグを介して精製した。Fab発現は、抗CH1及び抗cカッパ抗体を用いた非還元ゲルのウエスタンブロッティングによって分析した。FabA−dAb及びFabA−didAbは完全長タンパク質として発現されており、どちらの抗体検出試薬とも反応することが示された。
【0278】
大腸菌中で発現させたFabA−didAbの分析
さらなる分析を実施して、HSAと1つ又は複数のdAbを融合させたFabA構築体との結合を特徴づけた。結合アッセイを、dAbL3又はdAbH4がFabAの軽鎖又は重鎖のどちらかと融合されている様々な構築体で行った(構築体の詳細及び結合データの要約には表8を参照)。軽鎖又は重鎖のどちらか上にdAbH4のみを保有する構築体は、比較的乏しい親和性でHSAと結合することが見られたが(それぞれ≒9μM及び3μM)、dAbL3を、単一の融合体(軽鎖若しくは重鎖のどちらか上)として、又は反対の鎖上の第2のdAb(dAbL3若しくはdAbH4)と組んで保有する構築体では、より高い親和性の結合が観察された。
【表11】
【0279】
親和性及び動力学的パラメータを、HSAと、示したように軽鎖(LC)若しくは重鎖(HC)のどちらか又は両方上にdAbL3又はdAbH4を保有するFabAとの結合について決定した。HSAと元のFabAとの結合は検出されなかった(nb)。HSAと(HC上のdAbH4)又は(LC上のdAbH4)を有するFabAとの結合の相互作用の動力学は、決定するには速すぎ、したがって、親和性(KD)は定常状態の結合から決定した。
【0280】
(例8)
FabB−didAbの発現及び精製
哺乳動物発現
形質移入の前に、CHO−XE細胞をアール(Earls)バランス塩溶液(EBSS)で洗浄し、ペレット化し、2×108個の細胞/mlでEBSSに再懸濁させた。重鎖及び軽鎖プラスミドを400ugの合計濃度で細胞に加えた。形質移入には、800μlの細胞/DNA混合物の最適化した電気パラメータをインハウスの電気穿孔器上で使用した。形質移入した細胞を、glutamax、HT及び抗真菌抗生物質溶液を添加した1LのCD−CHO培地に直接移した。細胞をインキュベーションし、37℃で24時間振盪し、その後、32℃に移行させた。3mMの酪酸ナトリウムを4日目に加えた。上清を14日目に1500×gでの遠心分離によって回収して、細胞を除去した。発現レベルはELISAによって決定した。
【0281】
哺乳動物発現の上清の濃度
ELISAによって評価して約55μg/mlのFabB−didAbを含有する哺乳動物上清を、10kDaの分子量カットオフのポリエーテルスルホン(PES)膜を装着したMinisette濃縮機を使用して、1.8Lから200mlまで濃縮した。
【0282】
タンパク質G精製
濃縮した上清を、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で平衡化したGammabind Plus Sepharose(GE Healthcare)カラムに適用した。カラムを20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピークを収集し、2Mのトリス/HCl、pH8.8を用いてpHを約pH7に調節した。10kDの分子量カットオフのPES膜を使用して、pHを調節した溶出液を1mg/mlまで濃縮し、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1中にダイアフィルトレーションした。
【0283】
SDS−PAGE
必要な場合は試料を水で希釈し、その後、26μlに、10μLの4×LDS試料ランニング緩衝液を加えた。非還元試料には、4μLの100mMのNEMを加え、還元試料には、4μLの10×還元剤を加えた。試料を渦撹拌し、85℃で5分間インキュベーションし、冷却し、12500rpmで30秒間遠心分離した。調製した試料を4〜20%のアクリルアミントリス/グリシンSDSゲル上に載せ、110分間、125Vで流した。ゲルをクマシーブルータンパク質染色で染色した。
【0284】
ELISA
Fab−didAbの収率はサンドイッチELISAを用いて測定した。手短に述べると、Fab−didAbを抗CH1抗体で捕捉し、その後、抗カッパ−HRPを用いて表示させた。
【0285】
SDS−PAGE
FabB及びFabB−didAb試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上で分離し、染色した。図9を参照されたい。
【0286】
(例9)
FabB−Fvに対するThermofluor熱安定性アッセイ
試料(1μlの約1mg/mlの試料、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素)を四つ組で384ウェルプレートに流した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。結果を表D及び図10に示す。
【表12】
【0287】
(例10)
FabB−Fvの凝集安定性アッセイ
PBS中の1mg/mlの試料を、1400rpmで渦撹拌しながら25℃でインキュベーションした。吸光度を595nmで測定する。この吸光度は粒子によって散乱された光が原因であり、試料の凝集と相関させることができる。FabB−645Fv(G4S×2)及びFabB−648Fv(G4S×2)はどちらも、FabB単独と同等に凝集に対して耐性がある。これらはすべて、IgG対照よりも凝集に対して耐性がある。(図12)
【0288】
(例11)
Fab−FvとHSAとの結合のpH依存性
Fab−Fv構築体とHSAとの相互作用の結合親和性は、40mMのクエン酸、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20及び80mMのリン酸水素二ナトリウム、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20を混合することによってpH5.0、5.5、6.0及び7.0のランニング緩衝液を作製して所望のpHを与えた以外は、方法に記載されているように決定した。
【0289】
HSAに対するFabB−645Fv(G4S×2)の親和性は、7.4(標準のアッセイpH)から5.0のpHによって影響を受けない。HSAに対するFabB−648Fv(G4S×2)の親和性はpHによって影響を受け、pH7.4とpH5.0との間で約10倍の親和性の損失が存在する。
【表13】
【0290】
(例12)
FabB−Fvのin vivoマウスPK
雄のBALB/cマウスにおけるFabB−645Fv(G4S×2)及びFabB−648Fv(G4S×2)の薬物動態学を、皮下(sc)又は静脈内(iv)のどちらかでの10mg/kgの単一の投与後に決定した。6匹のマウスに、それぞれの構築体及び投与経路について投薬した。皮下投与の1、4、8、24、48、72、102及び168時間後並びに静脈内投与の30分間、1、8、24、48、72、96及び168時間後の時点で、一連の血液試料(30μL)を尾部静脈から収集した。収集した血液を、血清分離のために凝血活性化剤を含むSarstedt microvette CB300Z内に分注し、室温で少なくとも20分間静置した。その後、microvetteを20℃、10,000rpmで5分間遠心分離した。血清を除去し、凍結して保管した後に分析した。血清試料中のFabB−645Fv(G4S×2)又はFabB−648Fv(G4S×2)の濃度はELISAによって評価した。手短に述べると、Nunc Maxisorb ImmunomoduleプレートをPBS中のhOX40−Fcでコーティングし、PBS中の1%のBSAで遮断した。血清試料及び標準物質をPBS中の1%のBSAに希釈し、プレートに1時間施用した。プレートをPBSで洗浄し、ヤギ抗ヒトカッパHRPのコンジュゲートを表示させる抗体をPBS中の1%のBSA中で1時間施用した。プレートを洗浄し、その後、TMB基質で展開させ、次いで2.5Mの硫酸で停止させた。630nmでの洗浄液の吸光度を測定し、濃度を検量線から決定した。
【0291】
FabB−645Fv(G4S×2)及びFabB−648Fv(G4S×2)はどちらも血漿中で延長された半減期を有する。図13。FabB−645Fv(G4S×2)の半減期はscで71時間及びivで62時間であり、FabB−648Fv(G4S×2)の半減期はscで25時間及びivで30時間である。
【0292】
(例13)
FabB−Fvのin vivo有効性研究
FabB−645Fv及びFabB−648Fvがin vivoで有効であるかを調査するための研究を行った。手短に述べると、これはHuSCIDマウスにおける定常状態の投薬を含み、読取りはT細胞生着の防止であった。
【0293】
CB17 SCIDマウスに、2.475mg/kgのFabB−645Fv又はFabB−648Fv又はFabB−PEG40k又はPBSの負荷用量を皮下で−2日目に投薬した。10日目を含めた、その後のそれまでの毎日に、これらに0.75mg/kgのFabB−645Fv又はFabB−648Fv又はFabB−PEG40k又はPBSの維持量を皮下で投薬した。それぞれの投薬群は9〜10匹のマウスからなっていた。−1日目に、ナチュラルキラー細胞の活性を抑止するために、すべてのマウスを0.87mg/マウスのラット抗マウスTM−β1抗体で処置した。0日目に、すべてのマウスに8×106個のヒト末梢血単核球の腹膜間(inter peritoneal)注射を与えた。14日目にマウスを屠殺し、血液、脾臓及び腹膜洗浄液を採取した。試料はFACSによってCD4+及びCD8+T細胞について分析した。データ組はダネット試験後比較を用いた一方向Anovaによって分析した。すべての試験構築体、FabB−645Fv、FabB−648Fv及びFabB−PEG40kは、試験したすべての区画、すなわち、血液、腹膜及び脾臓において同等に有効であった。図14A、B及びC。
【0294】
(例14)
アルブミンに対する645Fvの親和性を変化させるためのFabB−645Fvの突然変異
突然変異誘発PCRによって、点突然変異をFabB−645dsFv(S3×G4S)の645Fv部分の重鎖のCDR中の選択された残基内に導入した。たとえば、I50Aは、Ile50をAlaで置き換えたものである。様々な突然変異を以下の表11に示す。ヒトアルブミンに対するFab−645Fv突然変異体の親和性は、方法に記載されているようにBIAcoreによって評価した。すべての突然変異は、ヒトアルブミンに対して変化していない又は低下した親和性を有していた。
【表14】
【0295】
(例15)
FabとFvとの間の1〜5Gly4Serのリンカー長
哺乳動物細胞中で発現させるためのFabB−645Fv融合プラスミドの構築
FabのC末端とFvのN末端との間に
【化10】
リンカーのいずれかを有するFabB−645Fv’をPCRによってアセンブルし、その後、HCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。関連する重鎖及び軽鎖プラスミドを、哺乳動物細胞中で発現させるために対合させた。
【0296】
FabB−645Fv(1〜5×G4S)の哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、24μgの重鎖プラスミド+24μgの軽鎖プラスミドを、120μlの293fectin+4080μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を60mLの懸濁液中の60×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。すべての構築体は、同等に良好に発現された。
【0297】
タンパク質G精製
哺乳動物発現の懸濁液を遠心分離によって清澄にし、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して上清を約1.8mLまで濃縮した。濃縮した上清を16000×gで10分間遠心分離してすべての沈殿物を除去し、その後、1.5mLを1mlのHiTrapタンパク質Gカラム(GE Healthcare)に1ml/分で載せた。カラムを20mMのホスフェート、40mMのNaCl、pH7.4で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピーク(2mL)を収集し、250μLの1Mの酢酸ナトリウムを用いてpHを約pH5に調節した。pHを調節した溶出液を、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1中にダイアフィルトレーションし、約250μLまで濃縮した。すべての構築体は同様の精製プロフィールを有しており、最終濃度は0.5〜1.1mg/mlであった。
【0298】
FabB−645Fv(1〜5×G4S)のアルブミンに対する親和性
ヒト及びマウスのアルブミンに対する精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)構築体の親和性は、方法に記載されているように決定した。FabのC末端とFvのN末端との間の1〜5×Gly4SerのFvの様々なリンカー長は、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらに対する645Fvの親和性にも影響を与えなかった。
【表15】
【0299】
精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)のSDS−PAGE分析
FabB−645Fv(1〜5×G4S)試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上で分離し、染色した。図15を参照されたい。
【0300】
精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)のサイズ排除分析
FabB−645Fv(1〜5×G4S)試料を、均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を1ml/分で用いて展開させたSuperdex200 10/300GL Tricornカラム(GE Healthcare)上で、大きさについて分析した。
【0301】
1×G4S又は2×G4Sのどちらかの、FabのC末端とFvのN末端との間のリンカー長は、単量体FabB−645Fvの量を低下させる一方で、二量体及びより高次の多量体の量を増加させる。単量体の量は1×G4Sリンカー長で最も少ない。3×G4S、4×G4S又は5×G4Sのいずれかの、FabのC末端とFvのN末端との間のリンカー長は、単量体FabB−645Fvの量を増加させた一方で、二量体及びより高次の多量体の量を減少させ、そのレベルは3つのリンカー長すべてで同様であった。図16。
【表16】
【0302】
精製したFabB−645Fv(1〜5×G4S)のThermofluor熱安定性分析
試料(1μlの約1mg/mlの試料、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素)を四つ組で384ウェルプレートに流した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。結果を表14及び図17に示す。
【表17】
【0303】
(例16)
Fab−Fv中のFvのジスルフィド安定化
哺乳動物細胞中で発現させるためのFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)融合プラスミド
突然変異誘発PCRによって、点突然変異を、FabB−645Fv(2×G4S)及びFabB−648Fv(2×G4S)DNA配列内に、Fvの重鎖及び軽鎖の両方のフレームワーク領域中の選択された残基で導入した。Fvの重鎖と軽鎖との間に鎖間ジスルフィド結合を作製するために導入された突然変異は、重鎖のG44C及び軽鎖のG100Cであった。Fv中に鎖間ジスルフィド結合を作製するためにシステインを付加することに加えて、Fabの重鎖と軽鎖との間の天然の鎖間ジスルフィドを、突然変異誘発PCRによって、システインをセリンに変化させることによって除去した。鎖間ジスルフィド結合を含有するFvはdsFvと呼び、鎖間ジスルフィド結合を欠くFabはFabΔと呼ぶ。その後、これらすべての構築体のDNAをHCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。関連する重鎖及び軽鎖プラスミドを、哺乳動物細胞中で発現させるために対合させた。
【0304】
FabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)の哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、24μgの重鎖プラスミド+24μgの軽鎖プラスミドを、120μlの293fectin+4080μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を60mLの懸濁液中の60×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。すべての構築体は、同等に良好に発現された。
【0305】
FabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のタンパク質G精製
哺乳動物発現の懸濁液を遠心分離によって清澄にし、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して上清を約1.8mLまで濃縮した。濃縮した上清を16000×gで10分間遠心分離してすべての沈殿物を除去し、その後、1.5mLを1mlのHiTrapタンパク質Gカラム(GE Healthcare)に1ml/分で載せた。カラムを20mMのホスフェート、40mMのNaCl、pH7.4で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピーク(2mL)を収集し、250μLの1Mの酢酸ナトリウムを用いてpHを約pH5に調節した。pHを調節した溶出液を、10kDaの分子量カットオフの遠心分離濃縮機を使用して、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.1中にダイアフィルトレーションし、約250μLまで濃縮した。すべての構築体は同様の精製プロフィールを有しており、最終濃度は0.5〜0.8mg/mlであった。
【0306】
アルブミンに対する、FabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)の親和性
ヒト及びマウスのアルブミンに対する、精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)、FabΔB−648dsFv(2×G4S)構築体の親和性は、方法に記載されているように決定した。Fvのジスルフィド安定化は、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらに対するFvの親和性にも影響を与えなかったか、又はそれをわずかに増加させた。
【表18】
【0307】
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のSDS−PAGE分析
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)、FabΔB−648dsFv(2×G4S)試料を非還元及び還元条件下で調製し、方法に記載されているようにゲル上で分離し、染色した。図18を参照されたい。
【0308】
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のサイズ排除分析
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)、FabΔB−648dsFv(2×G4S)試料を、均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を1ml/分で用いて展開させたSuperdex200 10/300GL Tricornカラム(GE Healthcare)上で、大きさについて分析した。
【0309】
鎖間ジスルフィド結合を645Fv又は648FvのどちらかのFv内に導入することで、Fvが鎖間ジスルフィドを有さなかったFab−Fvと比較して、単量体Fab−Fv種の量が増加した。Fab−FvのFab部分からの天然の鎖間ジスルフィド結合の除去は、存在する単量体種の量に小さな影響しか与えなかった。図19。
【表19】
【0310】
精製したFabB−645dsFv(2×G4S)、FabB−648dsFv(2×G4S)、FabΔB−645dsFv(2×G4S)及びFabΔB−648dsFv(2×G4S)のThermofluor熱安定性分析
試料(1μlの約1mg/mlの試料、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素)を四つ組で384ウェルプレートに流した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。
【0311】
鎖間ジスルフィド結合を645Fv又は648FvのどちらかのFab−FvのFv部分内に導入することで、Fvが鎖間ジスルフィドを有さなかったFab−Fvと比較して、Fvの熱安定性が増加した。Fab−FvのFab部分からの天然の鎖間ジスルフィド結合の除去は、Fab−FvのFab部分の熱安定性を減少させた。
【表20】
【0312】
FabDのBiacore方法
Fab−dAbとFab−didAb構築体との相互作用の結合親和性及び動力学的パラメータは、CM5センサーチップ及びHBS−EP(10mMのHEPES(pH7.4)、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20)ランニング緩衝液を用いてBiacore T100で実施した表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。ヒトFab試料は、ヒトF(ab’)2に特異的なヤギFab(Jackson ImmunoResearch、109−006−097)又はインハウスで作製した抗ヒトCH1モノクローナル抗体のどちらかを使用して、センサーチップ表面に捕捉させた。マウスFab試料は、マウスF(ab’)2に特異的なヤギFab(Jackson ImmunoResearch、115−006−072)を使用して捕捉した。捕捉抗体の共有的固定は標準のアミンカップリング化学によって達成した。
【0313】
それぞれのアッセイサイクルは、最初に1分間の注入を使用したFab−dAb又はFab−didAb構築体の捕捉、次いで3分間の抗原の注入からなる会合段階からなり、その後、解離を5分間監視した。それぞれのサイクルの後、捕捉表面を、2×1分間の40mMのHClの注入、次いで30秒間の5mMのNaOHの注入を用いて再生した。使用した流速は、捕捉には10μl/分、会合及び解離段階には30μl/分、並びに再生には10μl/分であった。
【0314】
動力学的アッセイでは、抗原の滴定(ヒト又はマウスの血清アルブミンでは典型的には62.5nM〜2μMであり、IL−1βでは1.25〜40nMであり、細胞表面受容体Dでは20〜1.25nMである)を行い、ブランクのフローセルを参照の減算に使用し、機器のノイズ及びドリフトを減算するために緩衝液ブランクの注入を含めた。
【0315】
動力学的パラメータは、Biacore T100評価ソフトウェアを使用して、生じたセンサーグラムを、標準の1:1結合モデルに、同時に総合的に当てはめることによって決定した。同時結合について試験するために、別個の5μMのHSA若しくは100nMのIL−1β、又は5μMのHSA及び100nMのIL−1βの混合溶液のどちらかの3分間の注入を、捕捉されたFab−dAbの上に注入した。アルブミン及び細胞表面受容体Dの同時結合は、2μMのHSA若しくはMSA及び20nMのマウス細胞表面受容体Dの最終濃度を使用して、同じ様式で評価した。
【0316】
(例17)
mFabC−mdidAb及びmFabD−mdidAbの哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、2μgの重鎖プラスミド+2μgの軽鎖プラスミドを、10μlの293fectin+340μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベーションした。その後、混合物を懸濁液中の5×106個のHEK293細胞に加え、6日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。
【0317】
ELISA
mFab−mdidAbの収率はサンドイッチELISAを用いて測定した。手短に述べると、mFab−mdidAbを抗CH1抗体で捕捉し、その後、抗カッパ−HRPを用いて表示させた。
【表21】
【0318】
(例18)
さらなる動力学的分析を実施して、血清アルブミン及びヒトOX40と、精製したFabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)の融合体並びにFabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)の融合体との相互作用を評価した(表19)。FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)並びにFabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)はどちらも、元のFabBのヒトOX40に対する親和性を保持していた(表20)。
【0319】
FabB−didAb、−dAbL1(CK−G4S×2)及び−dAbH1(CH1−G4S×2)並びにFabB−didAb、−dAbL2(CK−G4S×2)及び−dAbH2(CH1−G4S×2)の構築体が、ヒト又はマウスの血清アルブミン及びヒトOX40の両方と同時に結合する潜在性は、それぞれのFab−didAb構築体をセンサーチップ表面に捕捉させ、その後、別個の2μMのアルブミン(ヒト若しくはマウス)又は50nMのヒトOX40、或いは2μMのアルブミン及び50nMのOX40の両方の混合溶液の3分間の注入を行うことによって評価した。HSA結合はどちらのFab−didAb構築体でも見られた。それぞれのFab−didAb構築体について、合わせたアルブミン/OX40溶液で見られた応答は、独立した注入の応答の合計とほぼ同一であった(表21中に要約)。これは、Fab−didAbはOX40及び血清アルブミンの両方と同時結合することができることを示している。元のFabBはOX40のみと結合し、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらとも有意な結合は存在しなかった。
【表22】
【0320】
HSA及びMSAとFab−didAbの融合体との結合について決定された親和性及び動力学的パラメータ。
【表23】
【0321】
hOX40−FcとFabB及びFabB−didAbの融合体との結合の親和性及び動力学的パラメータ。
【表24】
【0322】
上記表は、HSA若しくはMSA又はhOX40−Fcの別個の注入、或いは事前に混合したアルブミン及びhOX40−Fcの注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は2μMのアルブミンHSA及び50nMのhOX40−Fcであった。個々のアルブミン及びhOX40−Fcの応答の合計を括弧内に示す。
【0323】
(例19)
さらなる動力学的分析を実施して、血清アルブミン及びマウス細胞表面受容体Dと、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)との相互作用を評価した(表22)。どちらのmFabD−mdidAbも、HSAとの比較的高い親和性の結合を示した(それぞれKD=2.78nM及び8.97nM)。また、mFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)は、同様の親和性(KD=22nM)でMSAとも結合したが、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)では、MSAとの結合は見られなかった。どちらのmFabD−mdidAbも、元のmFabDのマウス細胞表面受容体Dに対する親和性を保持していた(表23)。
【0324】
mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)が、ヒト又はマウスの血清アルブミン及びマウス細胞表面受容体Dと同時に結合する潜在性は、それぞれのmFab−mdidAb構築体をセンサーチップ表面に捕捉させ、その後、別個の2μMのアルブミン(ヒト若しくはマウス)又は20nMのマウス細胞表面受容体D、或いは2μMのアルブミン及び20nMの細胞表面受容体Dの両方の混合溶液の3分間の注入を行うことによって評価した。ここでも、HSA結合はどちらのmFab−mdidAb構築体でも見られた一方で、mFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)のみがMSAと結合した。それぞれのmFab−mdidAb構築体について、合わせたアルブミン/細胞表面受容体D溶液で見られた応答は、独立した注入の応答の合計とほぼ同一であった(表24中に要約)。これは、mFab−mdidAbは細胞表面受容体D及び血清アルブミンの両方と同時結合することができることを示している。元のmFabDは細胞表面受容体Dのみと結合し、ヒト又はマウスのアルブミンのどちらとも有意な結合は存在しなかった。
【表25】
【0325】
HSA及びMSAと、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)との結合について決定された親和性及び動力学的パラメータ。
【表26】
【0326】
マウス細胞表面受容体D−Fcと、mFabD、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)並びにmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)との結合の親和性及び動力学的パラメータ。
【表27】
【0327】
上記表は、HSA若しくはMSA又はマウス細胞表面受容体D−Fcの別個の注入、或いは事前に混合したアルブミン及びマウス細胞表面受容体D−Fcの注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は2μMのアルブミンHSA及び20nMのマウス細胞表面受容体D−Fcであった。個々のアルブミン及びマウス細胞表面受容体D−Fcの応答の合計を括弧内に示す。
【0328】
(例20)
さらなる分析を実施して、mFabD−mdidAb、−mdAbL1(CK−G4S×2)及びmdAbH1(CH1−G4S×2)又はmFabD−mdidAb、−mdAbL2(CK−G4S×2)及びmdAbH2(CH1−G4S×2)と、細胞表面上に発現された血清アルブミン及びマウス細胞表面受容体Dとの同時相互作用を評価した。どちらのmFabD−mdidAbも、活性化したマウスT細胞の細胞表面上に発現された、FITCで標識したHSA及び細胞表面受容体Xと同時に結合することができた(図11)。mFabDは、活性化したマウスT細胞の細胞表面上に発現された細胞表面受容体Xと結合することができたが(データ示さず)、FITCで標識したHSAとは結合しなかった。
【0329】
(例21)
FabB−645dsFv(3×G4S)の発現及び精製
哺乳動物発現
形質移入の前に、1.4×1010個のCHO−SV細胞をアール(Earls)バランス塩溶液(EBSS)で洗浄し、ペレット化した。7mgの重鎖及び7mgの軽鎖のプラスミドDNAを細胞に加えた。EBBS緩衝液は10mlの最終体積まで加える。最適化した電気パラメータをインハウスの電気穿孔器上で使用して、キュベット1個あたり800μlの上記を電気穿孔した。形質移入した細胞を、glutamax、HT及び抗真菌抗生物質溶液を添加した7×1LのCD−CHO培地に直接移した。細胞をインキュベーションし、37℃で24時間振盪し、その後、32℃に移行させた。3mMの酪酸ナトリウムを4日目に加えた。上清を10又は14日目に1500×gでの遠心分離によって回収して、細胞を除去した。発現レベルはタンパク質Gアッセイによって決定した。
【0330】
哺乳動物上清の濃度
15μg/mlのFabB−645dsFv(3×G4S)を含有するプールした哺乳動物上清を、2×10kDaの分子量カットオフのポリエーテルスルホン(PES)膜を装着したMinisette濃縮機を使用して、6.5Lから800mlまで濃縮した。
【0331】
タンパク質G精製
濃縮した上清を、135cm/時で、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4で平衡化した50mlのGammabind Plus Sepharose(GE Healthcare)カラムに施用した。カラムを20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4で洗浄し、結合した材料を0.1Mのグリシン/HCl、pH2.7で溶出させた。溶出ピークを収集し、2Mのトリス/HCl、pH8.8を用いてpHを約pH7に調節した。10kDaの分子量カットオフの膜を備えたAmicon Ultra−15濃縮機及びスイングアウトローター中の4000×gでの遠心分離を使用して、pHを調節した溶出液を7mlまで濃縮し、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4中にダイアフィルトレーションした。
【0332】
Superdex200精製
濃縮及びダイアフィルトレーションしたタンパク質G溶出液を、20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4で平衡化したXK26/60Superdex200(GE Healthcare)カラムに適用した。均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を用いて30cm/時でカラムを展開させた。5mlの画分を収集し、Superdex200 10/300GL Triconカラム(GE Healthcare)によって分析し、均一濃度勾配の20mMのホスフェート、150mMのNaCl、pH7.4を1ml/分で用いて展開させた。単量体のみを含有する画分をプールし、10kDaの分子量カットオフの膜を備えたAmicon Ultra−15濃縮機及びスイングアウトローター中の4000×gでの遠心分離を使用して、約10mg/mlまで濃縮した。
【0333】
FabB−645dsFv(3×G4S)のSDS−PAGE分析
FabB−645dsFv(3×G4S)をPBSで0.32mg/mlまで希釈し、26μlに10μLの4×LDS(Invitrogen)試料ランニング緩衝液を加えた。非還元試料には、4μLの100mMのNEMを加え、還元試料には、4μLの10×還元剤(Invitrogen)を加えた。試料を渦撹拌し、100℃で3分間インキュベーションし、冷却し、12500rpmで30秒間遠心分離した。調製した試料を10μl/2μgで4〜20%のアクリルアミントリス/グリシンSDSゲル上に載せ、110分間、125Vで流した。ゲルをクマシーブルータンパク質染色で染色し、7.5%の酢酸で脱染色した。図25を参照されたい。還元及び非還元条件下のどちらにおいても、FabB−645dsFv(3×G4S)は本質的に1つのバンドである。非還元ゲル上の主バンドの上下の2つの副バンドは、鎖間ジスルフィド結合のうちのどちらか一方が形成されていないものである。還元ゲル上の主バンドの上の1つの副バンドは、還元不可能なFabB−645dsFv(3×G4S)である。図25を参照されたい。
【0334】
FabB−645dsFv(3×G4S)のサイズ排除分析
FabB−645dsFv(3×G4S)をPBSで0.5mg/mlまで希釈した。100μlのこれをSuperdex200 10/300GL Triconカラム(GE Healthcare)上に注入し、均一濃度勾配のPBSを用いて1ml/分で展開させた。ピークは280nm及び214nmでの吸光度によって検出した。図26を参照されたい。クロマトグラム中に13.44メトリック分の保持時間を有する単一の対称ピークが存在する。同じ条件下で流したBioRadゲル濾過標準物質(151−1901)保持時間から作成した検量線を用いて、このピーク保持時間を見かけの分子量に変換した。FabB−645dsFv(3×G4S)の見かけの分子量は87kDaであった。
【0335】
FabB−645dsFv(3×G4S)の熱安定性分析
熱安定性を測定するために、FabB−645dsFv(3×G4S)をPBSで1mg/mlまで希釈した。四つ組で、1μlのこの希釈した試料に、8μlのPBS及び1μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素を384ウェルプレート中で加えた。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。図27Aを参照されたい。FabB−645dsFv(3×G4S)は、70℃より高いTmを有する熱的に安定な分子である。
【0336】
一定範囲のpHにわたる熱安定性を測定するために、10mg/mlのFabB−645dsFv(3×G4S)を、0.2ずつ増大するpH2.2〜8.0の緩衝液で0.11mg/mlまで希釈した。pH緩衝液は、0.1Mのクエン酸及び0.2Mのリン酸水素二ナトリウムを加え、イオン強度を同等化するためにNaClを加えることによって調製した。45μlのそれぞれのpHの希釈した試料に、5μlの30×ストックのSypro orange蛍光色素を加えた。10μlのこれらのアリコートを、四つ組で、384ウェルプレート中で分析した。7900HT高速リアルタイムPCRシステムを使用してプレートを20から99℃まで加熱し、蛍光(490nmでの励起、530nmでの発光)を測定した。その後、TmをpHに対してプロットした。図27Bを参照されたい。FabB−645dsFv(3×G4S)のgA26Fab及び645dsFvドメインはどちらも、pH4.5〜8.0の範囲にわたって、pHによって大きな影響を受けないTmを有する。pH4.5未満では、pH4.0で2つの別々のアンフォールディング事象が区別できなくなるまで、どちらのドメインのTmも減少し、この単一の事象は65℃のTmを有する。この区別できない単一のアンフォールディング事象のTmは、pHの減少に伴って減少し続けるが、それでもpH2.2で50℃より高い。
【0337】
FabB−645dsFv(3×G4S)のin vitro有効性
FabB−645dsFv(3×G4S)のin vitro有効性は、細胞に基づくOX40リガンド遮断アッセイによって評価した。手短に述べると、ヒトPBMCを単離し、5μg/mlのPHA−L(植物性赤血球凝集素−L)と共に24〜72時間、37℃/5%のCO2でインキュベーションすることによって活性化した。その後、細胞をPBS/0.09%のアジ化ナトリウムで洗浄し、96ウェルの培養プレートに0.25×106個の細胞/ウェルで播種した。FabB−645dsFv(3×G4S)の希釈液をPBS/5%のHSA中で調製した。また、4μg/mlのビオチン標識したCD252−CD8融合タンパク質の溶液もPBS/5%のHSA中で調製した。50μlのそれぞれのFabB−645dsFv(3×G4S)の希釈液を50μlのCD252−CD8融合タンパク質に加え、混合物を活性化したT細胞と共に30分間、4℃でインキュベーションした。このインキュベーションの後、細胞をPBS/0.09%のアジ化ナトリウムで洗浄した。その後、活性化したT細胞を100μlのPBS中のストレプトアビジン−PEと共に30分間、4℃でインキュベーションした。細胞をPBS/0.09%のアジ化ナトリウムで再度洗浄し、その後、緩衝液に再懸濁させ、フローサイトメトリーによって分析した。FabB−645dsFv(3×G4S)は、OX40リガンドとヒトPBMCの表面上に発現されたOX40との結合を、約3.5nMのEC50で遮断することが示された。図28を参照されたい。
【0338】
FabB−645dsFv(3×G4S)のin vivo有効性
in vivoでの用量応答の関係性を研究するために、FabB−645dsFv(3×G4S)を用いた研究を行った。手短に述べると、これはHuSCIDマウスにおける0.3、3及び30μg/mlの定常状態の投薬を含み、T細胞生着の防止が読み取られた。
【0339】
CB17 SCIDマウスに、2.475mg/kg又は0.2475mg/kg又は0.02475mg/kgのFabB−645dsFv(3×G4S)PBSの負荷用量を皮下で−2日目に投薬した。14日目を含めた、その後のそれまでの毎日に、これらに0.75mg/kg又は0.075mg/kg又は0.0075mg/kgのFabB−645dsFv(3×G4S)又はPBSの維持量を皮下で投薬した。それぞれの投薬群は9〜10匹のマウスからなっていた。−1日目に、ナチュラルキラー細胞の活性を抑止するために、すべてのマウスを0.87mg/マウスのラット抗マウスTM−β1抗体で処置した。0日目に、すべてのマウスに8×106個のヒト末梢血単核球の腹膜間(inter peritoneal)注射を与えた。14日目にマウスを屠殺し、血液、脾臓及び腹膜洗浄液を採取した。試料はFACSによってCD4+及びCD8+T細胞について分析した。データ組はダネット試験後比較を用いた一方向Anovaによって分析した。図29A、B及びCを参照されたい。30及び3μg/mlの投薬はすべての区画において同等に有効であった一方で、0.3μg/mlの投薬は血液及び脾臓中で統計的に有効であったが、30及び3μg/mlの投薬によって生じた最大レベルまでではなかった。
【0340】
(例22)
645Fv−652Fabの構築、発現及び抗原結合
645Fv−652Fabプラスミドの構築
645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)、645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)の全遺伝子合成は、第三者請負業者が行った(DNA2.0)。645Fv−652Fabのアミノ酸配列には図30A、B、C及びDを参照されたい。すべての遺伝子は、HCMV−MIEプロモーター及びSV40EポリA配列の制御下にある、UCBが所有権を有する哺乳動物発現ベクター内にクローニングした。
【0341】
645Fv−652Fabの哺乳動物発現
Invitrogenの293fectin形質移入試薬を使用して、製造者の指示に従って、HEK293細胞を、重鎖及び軽鎖プラスミドを用いて形質移入した。手短に述べると、2μgの重鎖プラスミド及び2μgの軽鎖プラスミドを、10μlの293fectin及び340μlのOptimem培地と共に、20分間、室温でインキュベートした。その後、混合物を懸濁液中の5×106個のHEK293細胞に加え、4日間、振盪しながら37℃でインキュベーションした。4日後、上清を1500×gでの遠心分離によって収集して細胞を除去し、その後、0.22μmで滅菌濾過した。
【0342】
645Fv−652Fabの定量
哺乳動物上清中のFv−Fabの濃度はサンドイッチELISAを使用して測定した。試料中のFv−Fabを抗CH1抗体で捕捉し、抗カッパ−HRPのコンジュゲートで検出した。検出抗体をTMBで展開させ、未知の試料の濃度を検量線から計算した。すべての645Fv−652Fabは同様の発現レベルを有していたが、ジスルフィド安定化されたFvバージョンは、ジスルフィド安定化されていないバージョンのレベルの55%〜75%で発現された。図31を参照されたい。
【0343】
645Fv−652Fabの抗原結合
Biacore方法
Fv−Fab構築体の相互作用の動力学的定数及び結合応答は、CM5センサーチップを用いたBiacore3000で実施した表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。ランニング緩衝液であるHBS−EPは、10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.05%v/vの界面活性剤P20、pH7.4からなっていた。インハウスで作製した抗ヒトCH1モノクローナル抗体を使用して、試料をセンサーチップ表面上に捕捉させた。捕捉抗体の共有的固定は標準のアミンカップリング化学によって達成した。
【0344】
アッセイサイクルは、1分間のFv−Fab構築体の捕捉、次いで会合段階(HSAでは3分間又はhIL13では6分間)からなり、その後、解離を5分間(HSA)又は20分間(hIL13)監視した。それぞれのサイクルの後、捕捉表面を、2×1分間の40mMのHClの注入、次いで30秒間の5mMのNaOHの注入を用いて再生した。使用した流速は、捕捉には10μl/分、会合及び解離段階には30μl/分、並びに再生には10μl/分であった。
【0345】
動力学的アッセイは抗原の滴定によって行った(HSAでは50nM〜0.3125nMの倍加希釈であり、hIL13では−20nMの単一の濃度である)。ブランクのフローセル及び緩衝液ブランクの注入により、データの二重参照が可能となった。
【0346】
動力学的パラメータは、Biacore3000、4.1評価ソフトウェアを使用して、生じたセンサーグラムを、標準の1:1結合モデルに、同時に総合的に当てはめることによって決定した。
【0347】
同時結合について試験するために、別個の50nMのHSA若しくは20nMのhIL13、又は50nMのHSA及び20nMのhIL13の混合液の6分間の注入を、捕捉されたFvFabの上に注入した。
【0348】
Biacore親和性実験
動力学的分析を実施して、HSA及びhIL13と、645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)、645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)及び645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)との相互作用の親和性を評価した。図30A及び30Bを参照されたい。すべてのFv−Fabは等価な親和性及び結合レベルでHSAと結合した。
【0349】
645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)及び645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)は、約0.1nMの親和性でhIL13と結合する一方で、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)及び645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)は、約0.6nMの親和性で結合する。TVAAP/ASTKGPリンカーと比較して3×G4Sリンカーを有するFv−Fabに対するhIL13の親和性の相違は、主に会合速度である。ジスルフィド安定化された及びジスルフィド安定化されていないFv−Fabに対するhIL13及びHSAの親和性は等価であった。また、すべての構築体に対するhIL13の結合レベルも等価である。
【0350】
Fv−Fabである645Fv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)、645Fv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)、645dsFv−652Fab(L−3×G4S、H−3×G4S)及び645dsFv−652Fab(L−TVAAP、H−ASTKGP)と、HSA及びhIL13の両方との同時結合を評価した。それぞれのFv−Fab構築体をセンサーチップ表面に捕捉させ、次いで別個の50nMのHSA若しくは20nMのhIL13、又は50nMのHSA及び20nMのhIL13の両方の混合溶液の6分間の注入を行った。それぞれのFv−Fab構築体について、合わせたHSA/hIL13溶液の結合応答は独立した注入の応答の合計に等価であった。図32Cを参照されたい。これは、Fv−Fabが、hIL13及びHSAの両方と同時結合できることを実証している。
【0351】
図32Cは、HSA若しくはhIL13の別個の注入、又は事前に混合したHSA及びhIL13の注入の後に、それぞれの構築体について見られる結合応答(RU)を示す。それぞれの場合で、最終濃度は50nMのHSA及び20nMのhIL13であった。個々のHSA及びhIL13の応答の合計を括弧内に示す。
【配列表フリーテキスト】
【0352】
配列番号: 1
<223> リンカー
配列番号: 2
<223> リンカー
配列番号: 3
<223> リンカー
配列番号: 4
<223> リンカー
配列番号: 5
<223> リンカー
<222> (7)..(7)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 6
<223> リンカー
<222> (7)..(7)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 7
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配列番号: 8
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配列番号: 30
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配列番号: 32
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<223> ヒンジ
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<223> リンカー
<222> (7)..(7)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
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配列番号: 50
<223> リンカー
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配列番号: 51
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配列番号: 52
<223> ドメイン抗体 H1
配列番号: 53
<223> ドメイン抗体 L1
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<223> ドメイン抗体 H2
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<223> ドメイン抗体 L2
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<223> ドメイン抗体 H1 CDR-H1
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<223> ドメイン抗体 L1 CDR-L1
配列番号: 60
<223> ドメイン抗体 L1 CDRL2
配列番号: 61
<223> ドメイン抗体 L1 CDR-L3
配列番号: 62
<223> ドメイン抗体 H2 CDR-H1
配列番号: 63
<223> ドメイン抗体 H2 CDR-H2
配列番号: 64
<223> ドメイン抗体 H2 CDR-H3
配列番号: 65
<223> ドメイン抗体 L2 CDR-L1
配列番号: 66
<223> ドメイン抗体 L2 CDR-L2
配列番号: 67
<223> ドメイン抗体 L2 CDR-L3
配列番号: 68
<223> Fab B-dAbH1 (CH1-G4S4)
配列番号: 69
<223> FabB-dAbH2 (CH1-G4Sx2)
配列番号: 70
<223> FabB dAbL1 (cCH1-G4Sx2)
配列番号: 71
<223> FabB dAbL2 (CH1-G4Sx2)
配列番号: 72
<223> FabB dABL1 (CK1 G4Sx2)
配列番号: 73
<223> FabB dAbL2 (CK1 G4Sx2)
配列番号: 74
<223> Fab'A 重鎖
配列番号: 75
<223> FabA 軽鎖
配列番号: 76
<223> Fab'A 重鎖 (修飾リンカー)
配列番号: 77
<223> FabA 重鎖
配列番号: 78
<223> mdAbH1
配列番号: 79
<223> mdAbL1
配列番号: 80
<223> mdAbH2
配列番号: 81
<223> mdAbL2
配列番号: 82
<223> mFabD-mdidAb dAbH1(CH1-G4Sx2)
配列番号: 83
<223> mFabD-mdidAb, -dAbL1(CK-G4Sx2)
配列番号: 84
<223> mFabD-mdidAb, -dAbH2(CH1-G4Sx2)
配列番号: 85
<223> mFabD-mdidAb, -dAbL2(CK-G4Sx2)
配列番号: 86
<223> dAbH1(CH1-G4Sx2)mFabC-mdAbH1
配列番号: 87
<223> mFabC-mdidAb, -dAbL1(CK-G4Sx2)
配列番号: 88
<223> mFabC-mdidAb dAbH2(CH1-G4Sx2)
配列番号: 89
<223> mFabC-mdidAb, -dAbL2(CK-G4Sx2)
配列番号: 90
<223> 646Fv CDRH3
配列番号: 91
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配列番号: 92
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<223> 646Fv CDRL3
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<223> 647Fv QASQSLGNRLA
配列番号: 98
<223> 647Fv CDRL2
配列番号: 99
<223> 647Fv CDRL3
配列番号: 100
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配列番号: 121
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配列番号: 124
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配列番号: 130
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配列番号: 135
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配列番号: 139
<223> 645重鎖G98AFv CDRL1
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配列番号: 142
<223> 645重鎖Y99AFv CDRH1
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<223> 645重鎖Y99AFv CDRL1
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配列番号: 147
<223> 645重鎖Y99AFv CDRL3
配列番号: 148
<223> 645重鎖S100AFv CDRH1
配列番号: 149
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配列番号: 154
<223> 645重鎖T100aAFv CDRH1
配列番号: 155
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配列番号: 157
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配列番号: 159
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配列番号: 160
<223> 645重鎖P100cAFv CDRH1
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<223> 645重鎖P100cAFv CDRL1
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<223> 645重鎖P100cAFv CDRL2
配列番号: 165
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配列番号: 166
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRH1
配列番号: 167
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<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRL1
配列番号: 170
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRL2
配列番号: 171
<223> 645重鎖I50A+T95AFv CDRL3
配列番号: 172
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRH1
配列番号: 173
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRH2
配列番号: 174
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRH3
配列番号: 175
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRL1
配列番号: 176
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRL2
配列番号: 177
<223> 645重鎖I50A+G98AFv CDRL3
配列番号: 178
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRH1
配列番号: 179
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRH2
配列番号: 180
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRH3
配列番号: 181
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRL1
配列番号: 182
<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRL2
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<223> 645重鎖I50A+Y99AFv CDRL3
配列番号: 184
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRH1
配列番号: 185
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRH2
配列番号: 186
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRH3
配列番号: 187
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRL1
配列番号: 188
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配列番号: 189
<223> 645重鎖T56A+T95AFv CDRL3
配列番号: 190
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRH1
配列番号: 191
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRH2
配列番号: 192
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRH3
配列番号: 193
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRL1
配列番号: 194
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRL2
配列番号: 195
<223> 645重鎖T56A+G98AFv CDRL3
配列番号: 196
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRH1
配列番号: 197
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRH2
配列番号: 198
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRH3
配列番号: 199
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRL1
配列番号: 200
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRL2
配列番号: 201
<223> 645重鎖T56A+Y99AFv CDRL3
配列番号: 202
<223> 645dsFv 重鎖Fv
配列番号: 203
<223> 645dsFv 軽鎖Fv
配列番号: 204
<223> 648dsFv 重鎖Fv
配列番号: 205
<223> 648dsFv 軽鎖Fv
配列番号: 206
<223> 645Fvの重鎖
配列番号: 207
<223> 645Fvの軽鎖
配列番号: 208
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 209
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 210
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 211
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 212
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 213
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 214
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 215
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 216
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 217
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 218
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 219
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 220
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 221
<223> アルブミン結合ペプチド
配列番号: 222
<223> 646Fv CDRH1
配列番号: 223
<223> 646Fv CDRH2
配列番号: 224
<223> リンカー
配列番号: 225
<223> リンカー
配列番号: 226
<223> 652 VH ドメイン
<222> (26)..(35)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (50)..(65)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (98)..(109)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 227
<223> 652 VL ドメイン
<222> (24)..(34)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (50)..(56)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
<222> (89)..(97)
<223> Xaa はいずれの天然アミノ酸であることができる
配列番号: 228
<223> リンカー
配列番号: 229
<223> リンカー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対である2つの単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、2つの単一ドメイン抗体が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、2つのシステイン残基の位置が、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される、多価抗体融合タンパク質。
【請求項2】
VHのシステインが位置44であり、VLのシステインが位置100である、請求項1に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項3】
2つの単一ドメイン抗体が、第2の抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である、請求項1又は請求項2に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項4】
第1の抗原及び第2の抗原が異なる実体である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項5】
VH dAbが、Fab又はFab’の重鎖に直接又は間接的に接続されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項6】
VL dAbが、Fab又はFab’の軽鎖重鎖に直接又は間接的に接続されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項7】
VH dAbが、Fab又はFab’重鎖のC末端に直接又は間接的に接続されており、VL dAbが、Fab又はFab’軽鎖のC末端に直接又は間接的に接続されている、請求項5又は請求項6に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項8】
VH dAbが、Fab又はFab’重鎖のN末端に直接又は間接的に接続されており、VL dAbが、Fab又はFab’軽鎖のN末端に直接又は間接的に接続されている、請求項5又は6に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項9】
VH及び/又はVLドメインが、配列番号224又は配列番号225に示す配列を有するリンカーを介してFab又はFab’断片と連結されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項10】
VH dAbが、配列番号228に示す配列を有するリンカーを介してFab又はFab’重鎖のN末端と連結されており、VL dAbが、配列番号229に示す配列を有するリンカーを介してFab又はFab’重鎖のN末端と連結されている、請求項8に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項11】
第2の抗原がアルブミンである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項12】
第2の抗原がヒト血清アルブミンである、請求項1から11までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項13】
前記VH単一ドメイン抗体が、図5(e)の配列番号56又は図5(k)の配列番号62に示す、CDR−H1の配列を有するCDRと、図5(f)の配列番号57又は図5(l)の配列番号63に示す、CDR−H2の配列を有するCDRと、図5(g)の配列番号58又は図5(m)の配列番号64に示す、CDR−H3の配列を有するCDRとを含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項14】
前記VL単一ドメイン抗体が、図5(h)の配列番号59又は図5(n)の配列番号65に示す、CDR−L1の配列を有するCDRと、図5(i)の配列番号60又は図5(o)の配列番号66に示す、CDR−L2の配列を有するCDRと、図5(j)の配列番号61又は図5(p)の配列番号67に示す、CDR−L3の配列を有するCDRとを含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項15】
VH単一ドメイン抗体が配列番号202に示す配列を含み、VL単一ドメイン抗体が配列番号203に示す配列を含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項16】
VH単一ドメイン抗体が配列番号204に示す配列を含み、VL単一ドメイン抗体が配列番号205に示す配列を含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項17】
配列番号202に示す配列を有するVHドメインを含む、アルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項18】
配列番号204に示す配列を有するVHドメインを含む、アルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項19】
配列番号203に示す配列を有するVLドメインをさらに含む、請求項17に記載のアルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項20】
配列番号205に示す配列を有するVLドメインをさらに含む、請求項18に記載のアルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項1】
1つの対象抗原に対する第1の特異性を有するFab又はFab’断片を含み、第2の対象抗原に対する特異性を有するVH/VL対である2つの単一ドメイン抗体(dAb)をさらに含み、2つの単一ドメイン抗体が、VH中に1つ及びVL中に1つの2つのシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されており、2つのシステイン残基の位置が、VH37及びVL95、VH44及びVL100、VH44及びVL105、VH45及びVL87、VH100及びVL50、VH100b及びVL49、VH98及びVL46、VH101及びVL46、VH105及びVL43並びにVH106及びVL57からなる群から選択される、多価抗体融合タンパク質。
【請求項2】
VHのシステインが位置44であり、VLのシステインが位置100である、請求項1に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項3】
2つの単一ドメイン抗体が、第2の抗原と協同的に結合する相補的VH/VL対である、請求項1又は請求項2に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項4】
第1の抗原及び第2の抗原が異なる実体である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項5】
VH dAbが、Fab又はFab’の重鎖に直接又は間接的に接続されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項6】
VL dAbが、Fab又はFab’の軽鎖重鎖に直接又は間接的に接続されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項7】
VH dAbが、Fab又はFab’重鎖のC末端に直接又は間接的に接続されており、VL dAbが、Fab又はFab’軽鎖のC末端に直接又は間接的に接続されている、請求項5又は請求項6に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項8】
VH dAbが、Fab又はFab’重鎖のN末端に直接又は間接的に接続されており、VL dAbが、Fab又はFab’軽鎖のN末端に直接又は間接的に接続されている、請求項5又は6に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項9】
VH及び/又はVLドメインが、配列番号224又は配列番号225に示す配列を有するリンカーを介してFab又はFab’断片と連結されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項10】
VH dAbが、配列番号228に示す配列を有するリンカーを介してFab又はFab’重鎖のN末端と連結されており、VL dAbが、配列番号229に示す配列を有するリンカーを介してFab又はFab’重鎖のN末端と連結されている、請求項8に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項11】
第2の抗原がアルブミンである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項12】
第2の抗原がヒト血清アルブミンである、請求項1から11までのいずれか一項に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項13】
前記VH単一ドメイン抗体が、図5(e)の配列番号56又は図5(k)の配列番号62に示す、CDR−H1の配列を有するCDRと、図5(f)の配列番号57又は図5(l)の配列番号63に示す、CDR−H2の配列を有するCDRと、図5(g)の配列番号58又は図5(m)の配列番号64に示す、CDR−H3の配列を有するCDRとを含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項14】
前記VL単一ドメイン抗体が、図5(h)の配列番号59又は図5(n)の配列番号65に示す、CDR−L1の配列を有するCDRと、図5(i)の配列番号60又は図5(o)の配列番号66に示す、CDR−L2の配列を有するCDRと、図5(j)の配列番号61又は図5(p)の配列番号67に示す、CDR−L3の配列を有するCDRとを含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項15】
VH単一ドメイン抗体が配列番号202に示す配列を含み、VL単一ドメイン抗体が配列番号203に示す配列を含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項16】
VH単一ドメイン抗体が配列番号204に示す配列を含み、VL単一ドメイン抗体が配列番号205に示す配列を含む、請求項12に記載の多価抗体融合タンパク質。
【請求項17】
配列番号202に示す配列を有するVHドメインを含む、アルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項18】
配列番号204に示す配列を有するVHドメインを含む、アルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項19】
配列番号203に示す配列を有するVLドメインをさらに含む、請求項17に記載のアルブミンと結合するFv又はscFv。
【請求項20】
配列番号205に示す配列を有するVLドメインをさらに含む、請求項18に記載のアルブミンと結合するFv又はscFv。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図6−1】
【図6−2】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【公表番号】特表2013−505923(P2013−505923A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530333(P2012−530333)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001803
【国際公開番号】WO2011/036460
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001803
【国際公開番号】WO2011/036460
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】
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