説明

ジッタ特性分析プログラム及びジッタ特性の表又はグラフ表示

【課題】複数のビット・パターン夫々のジッタ特性を比較可能に表示する。
【解決手段】波形表示装置で生成した波形データから、デジタル信号の波形データに含まれる複数のビット・パターンを特定し、ビット・パターン夫々のジッタ特性を算出する。得られた結果に基いてビット・パターンとジッタ特性との関係を示す表又はグラフを表示する。更に、複数のビット・パターン夫々について、経過時間とジッタ量(最大値、最小値、ピーク・トゥ・ピークなど)や頻度のグラフを表示しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号に含まれるビット・パターンのジッタ特性分析に関し、特にジッタ特性をビット・パターン毎の違いを比較できる形で表示できるジッタ特性分析に関する。
【背景技術】
【0002】
写真、映像などサイズの大きなファイルの処理増加に伴い、例えば、パソコンではUSB(Universal Serial Bus)などの高速シリアル・データ転送方式が実用化されている。このとき送信されるデジタル信号は、N(Nは自然数)ビットのデータを直列にして、所定の符号化方法で符号化したものである。符号化方法として例えばNRZ(Non Return to Zero)を利用すれば、デジタル信号は一定周期のUI(ユニット・インターバル)毎に”0”をL(Low)レベル、”1”をH(High)レベルに割り当てたパルス信号として生成される。このデジタル信号を受信した側では、一定周期でパルス信号の電圧値を検出することで、送信されたデジタル・データを復号する。よって、もしパルス信号の立ち上がり又は立ち下がりエッジの位相の揺らぎ(ジッタ)大きくなると、デジタル・データの復号が正常にできなくなる恐れがある。
【0003】
そこで、デジタル信号のジッタ特性が測定され、問題点の特定に利用される。ジッタ特性の測定は、特許文献1及び2開示さるような、デジタル・オシロスコープのごとき波形表示装置を用いたアイパターン表示が例えば利用される。これは、送信されるデジタル信号の波形を重ねて表示したものである。このときの波形データは、波形表示装置がUI(ユニット・インターバル)の周期よりも充分に短い周期でデジタル信号をサンプリングし、デジタル値に変換して生成したものである。
【0004】
図1は、波形表示装置の一例の機能ブロック図である。CPU10は、ハードディスク・ドライブ(HDD)14に記憶したプログラムに従って装置の動作を制御する。CPU10は、必要に応じてデータをメモリ12に読み出し、演算処理する。HDD14には、装置全体の基本的な動作を制御する基本ソフト(OS)に加えて、アイパターン表示などの被測定信号の波形分析に必要な機能を実現するプログラムを記録する。これらは、バス16を介して接続される。これらには、パソコン用のものを流用できる。
【0005】
操作パネル18及びマウス20は、入出力ポート22を介してバス16に接続される。ユーザは、これらを介して波形表示装置に必要な設定を行う。また、入出力ポート22を介して外付けの記憶装置24を接続でき、波形表示装置が生成した被測定信号の波形データを記憶装置24にコピーできる。記憶装置24を外してパソコン(図示せず)に接続すれば、記憶した波形データをパソコンのHDDにコピーすることもできる。
【0006】
前置増幅回路26は、被測定信号を適切に調整してアナロク・デジタル変換回路(ADC)28及びトリガ検出回路30に供給する。ADC28は、被測定信号の周波数よりも充分に高い周波数で被測定信号をサンプリングし、その波形データを生成する。高速な取込(アクイジション)メモリ32は、波形データを順次蓄積し、一杯になると、古いデータから順次消去する。トリガ検出回路30は、波形データ中に所定のトリガ条件を満たした部分を検出すると、取込メモリ32がその部分の前後と、その後に続く波形データを取込メモリ32が一杯になるまで記憶するよう制御し、一杯になると波形データの取得を停止させる。取得した波形データは、必要に応じてHDDに転送される。表示装置34は、波形データをアイパターン等で表示する。
【0007】
トリガ条件には、被測定信号が高速シリアル・データ転送によるデジタル信号の場合では、例えば、規格に定められた同期部分のパターンを設定すると良い。同期部分は、例えば、”0101”のビット・パターンが所定回数続くなどと定められている。この同期部分前後の波形データを取得すれば、それに続く波形データにおいて、どこがビットの始まりかを特定でき、パルス・パターンが直列に並んでいても、どのパターンがNビットの組を構成するか特定できる。
【0008】
最近の波形表示装置では、例えば、米国テクトロニクス社製DPO型オシロスコープのように、OSにパソコンと同じものを採用することが多い。このため、波形表示装置の機能追加プログラムをパソコンで開発し、波形表示装置にインストールすれば、波形表示装置の機能追加が行える。また、波形表示装置とパソコンに同じ波形データ処理プログラムをインストールしておけば、ユーザは、波形表示装置が生成した波形データをパソコンにコピーして、パソコンでも処理できる。このように、波形表示装置とパソコンは、CPUによる演算機能を具えた装置という点で共通している。
【特許文献1】米国特許第5245630号(特開平5−145582に対応)明細書
【特許文献2】米国特許第7010444号(特開2004−200868に対応)明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、デジタル信号のジッタには、機器自身の雑音や外来雑音等に起因して発生するランダムノイズ性のものと、送信するデジタル信号のビット・パターンに起因して発生するパターン依存性ジッタとがある。パターン依存性ジッタは、例えば、送信される信号周波数に対して機器の周波数特性が十分でない場合に信号の波形歪みが生じて発生するジッタである。アイパターンによるジッタ特性の測定では、これら発生原因による区別ができない。
【0010】
特許文献2では、パターン依存性ジッタのみを測定する発明を開示しているが、どのビット・パターンがどのようなジッタ特性を持つのかはわからない。即ち、複数のビット・パターンがあるときに、あるビット・パターンのジッタ特性は、他のビット・パターンのジッタ特性と比較して良いのか悪いのか、といったことがわからない。
【0011】
このように、デジタル信号中に含まれる複数のビット・パターン夫々のジッタ特性を得るとともに、複数のビット・パターンのなかで、あるビット・パターンのジッタ特性が他のものと比較して、どのような位置づけにあるのかが容易にわかるようなジッタ特性の表現技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、波形表示装置やパソコンなど演算機能を具える装置に実行させることで、ビット・パターンとジッタ特性との関係を分析するための表又はグラフを表示するジッタ特性分析プログラムである。このプログラムは、デジタル信号の波形データに含まれる複数のビット・パターンを特定する機能と、ビット・パターン夫々のジッタ特性を算出する機能とを実行し、これらで得られた結果に基いてビット・パターンとジッタ特性との関係を示す表又はグラフを表示する機能を実行する。このとき表示されるグラフは、例えば、複数のビット・パターン夫々の所定変数に関するジッタ特性を示すものである。所定変数とは、例えば、経過時間とジッタ量(最大値、最小値、ピーク・トゥ・ピークなど)や、頻度である。
【0013】
本発明を別の観点から見ると、まず、ジッタ量を算出する物差しとなる基準タイミングを定め、その上でビット・パターン別のジッタ量を算出するジッタ特性分析プログラムである。具体的には、被測定信号の波形データから1ビット相当の幅を有する部分を複数検出し、複数の部分の幅から1ビット相当の第1仮UI(ユニット・インターバル)を算出する機能と、第1仮UIを用いて波形データに含まれるビット数を算出する機能と、ビット数で波形データの長さを割り算し、1ビット相当の第2仮UIを算出する機能と、波形データに含まれる複数のビットに第2仮UIを適用して差分を算出し、差分の大きさを最小にする第2仮UIを算出する機能を実行することで基準UIを算出し、この基準UIを繰り返した時点を基準タイミングとし、これに対する波形データに含まれるビット・パターン夫々のジッタ特性を算出する機能を実行するものである。
【0014】
本発明を更に別の観点から見ると、デジタル信号に含まれる複数のビット・パターンと、複数のビット・パターン夫々のジッタ特性との関係を示すジッタ特性の表又はグラフ表示である。このとき、ビット・パターンは、演算機能を具える装置が、デジタル信号の波形データから特定したものであり、ジッタ特性は、演算機能を具える装置が、複数のビット・パターンの夫々について算出したものである。そして、表又はグラフは、演算機能を具える装置に接続された表示手段に表示される。
【0015】
本発明によれば、ビット・パターン別にジッタ特性が表又はグラフで表示されるので、パターン依存性ジッタのなかでも、特にどのビット・パターンに問題が生じているかをユーザが容易に認識できる。また、複数のビット・パターンのジッタ特性が比較可能に表示されるので、ビット・パターン間のジッタ特性の相対的な関係も容易に認識できる。これらによって、電子回路や伝送経路に潜む問題の発見に極めて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、波形表示装置が生成したデジタル信号の波形データを処理するものである。これは、図1に示す波形表示装置に機能追加プログラムをインストールすることで実現できる。また、本発明による機能追加プログラムをパソコンにインストールし、波形データをパソコンにコピーすれば、パソコンにおいても実現できる。即ち、上述の如く、波形表示装置とパソコンは、共通してCPUによる演算機能を具えた装置であり、こうした装置において本発明は実現される。
【0017】
本発明では、基準となるタイミングに対して、波形データ中の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがどの程度ジッタ量を持つかが、ビット・パターン別に算出される。そこで、最初にジッタ量の求め方を、図2を参照して説明する。図2は、被測定信号であるデジタル信号の波形データの一部分を示す。横軸は時間軸、縦軸は電圧である。実線の波形は理想的なタイミング、破線の波形は理想的なタイミングからずれている場合を示す。この例では、デジタル信号は、NRZで符号化されている。この波形データは、波形表示装置がデジタル信号を1UI(ユニット・インターバル)よりも充分に短い周期でサンプリングし、デジタル値に変換して得たものである。なお、図2では、波形データのサンプル点が滑らかな線で接続されているとする。
【0018】
基準タイミングは、1UIの周期で繰り返すタイミングである。基準タイミングの求め方は、後述する。本発明の好適な実施例によるプログラムを実行すると、波形データとしきい値が交差する点(以下、しきい値交差点と呼ぶ)と、基準タイミングとの時間軸方向の差分をジッタ量として算出する。しきい値は、標準設定では波形データの振幅の50%に設定される。理想的な波形データの場合、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ共に振幅50%の位置が、基準タイミングと一致するので、しきい値交差点と基準タイミングとの差分はゼロになる(交差点1の場合)。もし波形データが理想的なタイミングからずれている場合には、しきい値交差点が例えば交差点2に示される位置になるので、交差点と基準タイミングとで差分が生じる。以下では、しきい値交差点が基準タイミングより遅れた(図中、右にずれた)場合のジッタ量をプラスとし、その逆に基準タイミングより進んだ(図中、左にずれた)場合をマイナスとして説明する。
【0019】
しきい値は、ユーザの希望に応じて、振幅の50%以外にも設定できる。ただし、例えば、しきい値を振幅の25%に設定した場合、しきい値交差点は、理想的な場合でも交差点3に示す位置となり、基準タイミングに対して差分が生じる。即ち、立ち上がりエッジに関しては、理想的な場合でもマイナスのジッタ量が現れ、立ち下がりエッジに関してはプラスのジッタ量が現れる。よって、このジッタ量のバイアス(偏り)を考慮してジッタ特性を分析する必要がある。
【0020】
図3は、波形データとしきい値の部分の拡大図である。波形データには、細かいノイズが重畳されている場合があり、図3の例では、しきい値との交差点がP1、P2及びP3の3つ生じてしまう恐れがある。これでは、1つの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジにつき、複数のジッタ量が算出されてしまう。これを防止するため、例えば、ノイズ・ガード・バンドを設け、この範囲内では複数の交差点が生じても、1つの交差点を確定させると良い。例えば、時間的に最初に生じる交差点P1をジッタ量算出に使用する。別の方法としては、波形がノイズ・ガード・バンドの上限及び下限と交差する点P4及びP5を直線で結び、この直線としきい値との交差点P6をジッタ量算出に使用しても良い。ノイズ・ガード・バンドの幅は、任意変更可能であるが、例えば、波形データの振幅の3%である。なお、こうしたしきい値の設定方法は、オシロスコープのトリガ条件の設定で既に利用されている。
【0021】
本発明の好適な実施例によるプログラムを実行すると、デジタル信号の波形データからNビットを構成するパルス・パターンが特定される。これは、測定したデジタル信号の規格から同期部分を特定し、Nビットの組が始まる最初のビットに対応する波形データ部分を特定することで行われる。
【0022】
図4は、本発明の好適な実施例によるプログラムを実行して生成・表示されたビット・パターン毎のジッタ特性を一覧にした表である。この表は、ビット・パターンが4ビットの例であり、ジッタ特性として最小値、最大値、ピーク・トゥ・ピーク及び標準偏差の例を示す。表中のpの文字は、ピコである。ピーク・トゥ・ピークは、最大値から最小値を引いた値である。標準偏差は、ジッタ量の分布のばらつきの程度を示す。なお、”0000”と”1111”のビット・パターンには、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジがないので、ジッタ特性の算出は行っていない。
【0023】
図5は、図4に示した表を、最大値に関して降順で並べ替えたものである。これによって、この例では、最大値が最も大きいのが”1010”であり、その次が”0101”のビット・パターンであることが容易にわかる。このとき、これらは、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジが夫々2回あるビット・パターンである。一方、ジッタ最大値が最小となった”1000”のパターンは、立ち下がりエッジが1回だけのパターンであり、その次にジッタ最大値が小さい”0001”のパターンは、立ち上がりエッジが1回だけのパターンである。このように、ユーザはこの表からエッジの個数とジッタ特性との関係を読み取ることができる。他のジッタ特性に関しても、同様に降順又は昇順で並べ替えることで、ユーザはジッタ特性を種々の観点から数値的に検討できる。
【0024】
図6は、ビット・パターン毎に最大値及び最小値をバーを用いてグラフ表示したものである。横軸は、ビット・パターンの値で小から大の順番で並べたものである。各バーの上端及び下端は、対応するビット・パターンのジッタ特性の最大値及び最小値を夫々示す。これによって、ユーザは、ビット・パターンに依存した最大値及び最小値の特性を、視覚的に容易に認識できる。図7は、図6の変形例であり、ジッタ量の最大値でビット・パターンを降順に並べ替え、ビット・パターン毎の最大値及び最小値をバーを用いてグラフ表示したものである。図8は、図6の変形例であり、ビット・パターン毎に最大値及び最小値を折れ線グラフで表示したものである。
【0025】
図9は、標準偏差の値に従ってビット・パターンを降順に並べ替え、ビット・パターン毎の標準偏差を折れ線グラフで示した図である。これによって、どのビット・パターンにジッタ量のばらつきが多いかが視覚的に容易に認識できる。
【0026】
図10は、ビット・パターン別に経過時間に対するジッタ特性(この例では最大値)の変化の推移を示したグラフである。図10では、3つのパターンについてグラフを示したが、同様に”0000”及び”1111”以外の全14パターンについてグラフが作成され、表示される。更に、最大値等のジッタ特性の降順又は昇順に従ってビット・パターン別のグラフを連続表示し、アニメーション表示しても良い。
【0027】
図11は、ビット・パターン別にジッタ量の頻度分布を示したグラフである。図11では、3つのパターンについてグラフを示したが、同様に”0000”及び”1111”以外の全14パターンについてグラフが作成され、表示される。更に、標準偏差等のジッタ特性の降順又は昇順に従ってビット・パターン別のグラフを連続表示し、アニメーション表示しても良い。
【0028】
図12は、本発明の実施例に基づくフローチャートである。デジタル信号の波形データは、デジタル・オシロスコープやサンプリング・オシロスコープなどの波形表示装置によって作成される。本発明によるプログラムは、波形データを生成した波形表示装置で実行しても良いし、パソコンに波形データをコピーし、パソコンで実行しても良い。いずれにしても、これら演算機能を具える装置が波形データを得て、処理が始まる(ステップ42)。以下では、簡単のため、波形表示装置で処理を実行する例で説明するが、パソコンでも同様に処理できる。
【0029】
波形表示装置は、波形データに含まれる”010”又は”101”のビット・パターンの幅を算出する(ステップ44)。好ましくは、これらの全てについて幅を算出するが、データ量が多いときは、ある程度の数だけとしても良い。具体的には、これらパターンには、立ち下がりエッジ及び立ち下がりエッジが1個ずつ含まれるので、これらの間の幅を、波形データの振幅の50%につき算出する。なお、”010”又は”101”のパターンは、波形データ中の一番小さなパルス波形であることから特定できる。次に、求めた複数の幅の平均値を算出し、それを第1仮UI(ユニット・インターバル)と定める(ステップ46)。
【0030】
ステップ48では、第1仮UIを使って、測定対象の波形データに含まれる合計ビット数を算出する。第1仮UIを1ビット相当の幅として、波形データのパルス波形部分に順次適用していくと、差分の生じる箇所があるが、このステップではこの差分は無視する。次のステップ50では、測定対象の波形データの全長を合計ビット数で割り算し、得られた幅を第2仮UIとする。第2仮UIは、第1仮UIに比べ、より多数のパルス波形を利用して算出しているので、より本来のUIに近い値となる。
【0031】
ステップ52では、第2仮UIを波形データのパルス波形部分に順次適用し、差分を算出する。次のステップ54では、ステップ52で求めた差分を最小にする第2仮UIを、例えば最小二乗法を用いて算出し、これを基準UIとする。
【0032】
ステップ56では、波形データの開始部分から基準UIの幅で繰り返す時点を基準タイミングとして、ビット・パターン別にジッタ特性が算出される。例えば、”0101”では、立ち下がりエッジ及び立ち下がりエッジ合計4カ所でのジッタ特性が算出される。また、”0110”では、立ち下がりエッジ及び立ち下がりエッジ合計2カ所でのジッタ特性が算出される。ステップ58では、図4〜図11に例示したような表又はグラフが表示される。
【0033】
図12に示した例では、波形データから1UIを算出したが、波形データが例えばUSB規格によるものであれば、送信速度が例えば480Mbpsであるから、これから1UIを算出しても良い。ただし、実際の信号は、送信過程で規格値とは微妙に異なってくるので、上述の如く波形データから算出した方が的確である。
【0034】
以上、詳細に説明してきたが、本発明によれば、ユーザは、パターン依存性ジッタをビット・パターン別に種々の観点から検討できる。特に、パターン依存性ジッタのなかでも、特定のビット・パターンに生じている問題を容易に発見できるので、電子回路や伝送経路に潜む問題の発見に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】波形表示装置の一例の機能ブロック図である。
【図2】波形データと算出するジッタ量の関係を示す図である。
【図3】波形データとしきい値の部分の拡大図である。
【図4】ビット・パターン毎のジッタ特性を一覧にした本発明による表である。
【図5】図4に示した表を、最大値に関して降順で並べ替えた表である。
【図6】ビット・パターン毎の最大値及び最小値をバーを用いて表現した本発明によるグラフ表示である。
【図7】図6の変形例であり、ジッタ量の最大値でビット・パターンを降順に並べ替えた本発明によるグラフ表示である。
【図8】図6の変形例であり、ビット・パターン毎に最大値及び最小値を折れ線グラフで表現した本発明によるグラフ表示である。
【図9】ビット・パターン毎の標準偏差を折れ線グラフで示した本発明によるグラフ表示である。
【図10】ビット・パターン別に経過時間に対するジッタ特性の変化の推移を示した本発明によるグラフ表示である。
【図11】ビット・パターン別にジッタ量の頻度分布を示した本発明によるグラフ表示である。
【図12】本発明の実施例に基づくフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10 CPU
12 メモリ
14 ハードディスク・ドライブ
16 バス
18 操作パネル
20 マウス
22 入出力ポート
24 外部記憶装置
26 前置増幅回路
28 アナログ・デジタル変換回路
30 トリガ検出回路
32 取込みメモリ
34 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル信号の波形データに含まれる複数のビット・パターンを特定する機能と、
該ビット・パターン夫々のジッタ特性を算出する機能と、
上記ビット・パターンと上記ジッタ特性との関係を示す表又はグラフを表示する機能と
を演算機能を具える装置に実行させるジッタ特性分析プログラム。
【請求項2】
上記グラフが、複数の上記ビット・パターン夫々の所定変数に関するジッタ特性を示すものであることを特徴とする請求項1記載のジッタ特性分析プログラム。
【請求項3】
被測定信号の波形データから1ビット相当の幅を有する部分を複数検出し、複数の該部分の幅から1ビット相当の第1仮UI(ユニット・インターバル)を算出する機能と、
上記第1仮UIを用いて上記波形データに含まれるビット数を算出する機能と、
上記ビット数で波形データの長さを割り算し、1ビット相当の第2仮UIを算出する機能と、
上記波形データに含まれる複数のビットに上記第2仮UIを適用して差分を算出し、該差分の大きさを最小にする上記第2仮UIを基準UIとして算出する機能と、
該基準UI毎の基準タイミングに対する上記波形データに含まれるビット・パターン夫々のジッタ特性を算出する機能と
を演算機能を具える装置に実行させるジッタ特性分析プログラム。
【請求項4】
デジタル信号に含まれる複数のビット・パターンと、複数の上記ビット・パターン夫々のジッタ特性との関係を示すジッタ特性の表又はグラフ表示であって、
上記ビット・パターンは、演算機能を具える装置が、上記デジタル信号の波形データから特定したものであり、
上記ジッタ特性は、上記演算機能を具える装置が、複数の上記ビット・パターンの夫々について算出したものであり、
上記表又はグラフは、上記演算機能を具える装置に接続された表示手段に表示されるものであることを特徴とするジッタ特性の表又はグラフ表示。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−45900(P2008−45900A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219462(P2006−219462)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000108409)日本テクトロニクス株式会社 (32)