説明

ジャイロトロン装置

【課題】 周波数の微調整が可能なジャイロトロン装置を提供する。
【解決手段】 空胴共振器12の軸線C方向の寸法及び前記軸線Cに交叉する方向の寸法の少なくとも一方を変化させる形状変化手段と、この形状変化手段に作用して前記寸法の変化を生じさせる駆動手段とを有する。駆動手段としては形状変化手段に所定の電圧を印加する電圧印加手段9を用い、かつ、形状変化手段が、印加された電圧に応じて寸法が変化する性質を有する材料から形成された圧電体102とするとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波またはミリ波を発生するジャイロトロン装置に関し、特に、簡単な構造で周波数を変化させることのできるジャイロトロン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子銃から放出された電子からサイクロトロン共鳴メーザ作用により電磁波を発生させ、この電磁波から電子ビームを分離させてマイクロ波やミリ波の高周波を取り出すジャイロトロン装置が知られている(例えば特許文献1,2参照)。
図5は、従来のジャイロトロン装置の全体構成を説明する縦断面図である。
ジャイロトロン装置1は、電子ビームを取り出す電子銃11と、この電子銃11によって取り出された電子ビームと高周波電磁場とが共鳴的に相互作用を起こし高周波を発生させる空胴共振器12と、この空胴共振器12の周囲を取り囲むように配置され、ジャイロトロン装置の軸方向に高周波電磁場を発生させる電磁石13と、空胴共振器12で相互作用を終えた電子ビームを回収するコレクタ14と、空胴共振器12で発生した高周波を取り出す出力窓15とを有している。
電子銃11は、カソード111、カソード111上に設けられた電子放出部112、第1アノード113、第2アノード114を有し、周囲に電磁石115を配置したものが知られている。
空胴共振器12及びコレクタ14は、それぞれ、電子銃11の一端に取り付けられたジャイロトロン本体10の内部の円筒空胴から形成され、出力窓15と電子銃11の電子放出部112とを連通状に連結している。
【0003】
上記構成のジャイロトロン装置1では、電子銃111の電子放出部112から放出された電子ビームは、カソード111と第1アノード113との間の電界により加速され、電磁石115によって発生された磁場により、旋回運動しながら軸方向にドリフトする。さらに、電磁石13によって発生された強力な磁場によって電子ビームは圧縮され、電子は磁場に対して垂直方向の速度を増大させ、平行方向速度を減少させながら、空胴共振器12に入る。電磁石13が発生する軸方向磁場によってサイクロトロン運動している電子は、空胴共振器12における固有モードの高周波電磁場とサイクロトロン共鳴メーザとが相互作用し、電子の垂直速度成分によるエネルギーの一部は高周波エネルギーに変換される。空胴共振器12で相互作用を終えた電子ビームは、コレクタ14に回収され、空胴共振器12で励起された高周波は、出力窓15を透過して外部に取り出される。
【0004】
上記したような従来のジャイロトロン装置では、一般に、空胴共振器の形状によって取り出される高周波の周波数が一義的に決定される。
その一方で、発振出力を調整可能にしたものが提案されており、例えば、特許文献1には、電磁石による磁場を精度良く調整することで、発振させたい固有モードの周波数に調整できることが記載されている。
また、特許文献2には、所望の発振出力を得るために空胴共振器における軸方向の磁束密度のうちの±10%以下を調節する主磁場微調整電磁石を設けるか、電子銃のカソード上の電子放出部における軸方向の磁束密度のうちの±10%以下を調節する電子銃磁場微調整電磁石を設けた技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−308794号公報(例えば段落0013の記載参照)
【特許文献2】特開平8−203441号公報(請求項6,7の記載参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記文献に記載の技術のように、磁場の磁束密度を変化させても、それほど大きな周波数変化を得ることはできず、簡単な構成で大きな周波数の変化を得ることができる技術の開発が求められていた。
本発明は、上記の要求に応えるべくなされたもので、簡単な構成で大きな周波数変化を得ることのできるジャイロトロン装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電子ビームを射出する電子銃と、射出電子に旋回運動を起こさせる磁場発生装置と、サイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさせる空胴共振器と、この空胴共振器内を通過した電子ビームを回収するコレクタと、前記サイクロトロン共鳴メーザ作用により発生した高周波を取り出す出力窓とを有するジャイロトロン装置において、前記空胴共振器の軸線方向の寸法及び前記軸線に交叉する方向の寸法の少なくとも一方を変化させる形状変化手段と、この形状変化手段による前記寸法の変化を生じさせる駆動手段とを有する構成としてある。
【0007】
前記形状変化手段による空胴共振器の寸法変化方向は、軸線方向であってもよいし、径方向(軸線と交叉する方向)であってもよい。軸線方向と径方向の両方を変化させてもよい。軸線方向及び径方向のいずれか一方又は双方の寸法が変化すれば、この変化量に比例した周波数変化を得ることができる。
【0008】
形状変化手段及び駆動手段としては、空胴共振器の形状(寸法)を変化させることができるものであれば種々のものを用いることができる。例えば、駆動手段として誘導加熱コイルやヒータ等を用い、空胴共振器を囲堯する金属筒を加熱することで、前記金属筒を膨張させるようにしてもよい。
また、請求項2に記載するように、前記駆動手段として前記形状変化手段に所定の電圧を印加する電圧印加手段を用い、かつ、前記形状変化手段として、印加された電圧に応じて寸法が変化する性質を有する材料から形成されたものを用いることで、周波数の変化量を制御することが容易になる。印加電圧によって形状が変化するものとしては、例えば、公知の圧電体を構成する材料と同じものを挙げることができる。
【0009】
圧電体と同じ性質を有する形状変化手段を用いた場合、請求項3に記載するように、前記形状変化手段の外周面及び内周面に導電被膜を形成し、この導電被膜に前記駆動手段を接続した構成とすることができる。この構成によれば、外周面と内周面との間に電圧を印加することで、空胴共振器の径方向の寸法を変化させることができる。
また、請求項4に記載するように、前記形状変化手段の両端に前記駆動手段を接続し、前記両端に電圧を印加するようにしてもよい。このようにすることで、空胴共振器の軸線方向の寸法を変化させることができる。
なお、形状変化手段としてセラミック等の非導電性の材料を用いる場合は、請求項5に記載するように、形状変化手段の外周囲に電磁波の漏洩を防止するためのシールドを設けるとよい。
【0010】
また、形状変化手段には、単一の駆動手段を接続するようにしてもよいが、複数の駆動手段を形状変化手段に接続するようにしてもよい。さらに、請求項6に記載するように、形状変化手段を複数の領域に区分けし、各領域を単一又は複数の駆動手段に接続するようにしてもよい。
請求項7に記載するように、前記形状変化手段の外側に、形状変化手段の伸長を調整するための付勢手段を設けてもよい。また、請求項8に記載するように、形状変化手段の外周囲にシールドを設ける場合、前記シールドを蛇腹状に形成するなどして付勢手段を形成するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軸線方向の長さLや径Rを変化させることで、この変化量に比例した周波数可変のジャイロトロン装置を得ることができる。すなわち、特許文献1,2に記載の技術と異なり、空胴共振器(キャビティ)の形状そのものを変化させることで、変化量に比例した大きな周波数変化が得られるわけである。
本発明では、形状変化手段として圧電体や熱膨張体を用いることで、長さLや半径Rに対してその変化量(ΔL.ΔR)を大きくとることができ、従って、より大きな範囲内で周波数の調整が可能になる。具体的には、従来では数十MHz程度であった周波数の調整範囲を数百MHz程度まで拡大することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
なお、以下の説明において、図5に示すジャイロトロン装置と同一部位、同一部材には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
この実施形態では、ジャイロトロン本体10の図5中符号Aで示す領域に、空胴共振器12の軸線C方向の寸法を変化させる形状変化手段を取り付ける。すなわち、前記符号Aで示す領域内で、ジャイロトロン本体10を部分的に切除し、空間部101を形成する。
【0013】
そして、この空間部101に、円筒状に形成された形状変化手段としての圧電体102を配置する。この圧電体102は、電圧が印加されることで電圧の印加方向に寸法が変化する性質(圧電効果)を有するものであればよく、公知の圧電素子(ピエゾ素子)と同種の材料で形成することができる。圧電体102の材料としては種々のものを用いることができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、窒化アルミニウム等を挙げることができる。この実施形態において圧電体102は、これら材料を用いて、いわゆる一体物として成形されている。
【0014】
圧電体102の両端は、それぞれ、空間部101によって仕切られたジャイロトロン本体10の前方部材10a及び後方部材10bの開口に嵌め込む。このとき、圧電体102の両端が全周にわたって金属製の前方部材10a及び後方部材10bに接触するようにして、後述する電源9からの電圧が圧電体102の両端の全周にわたって均一に印加されるようにする。
また、空胴共振器12の真空状態を保つために、圧電体102の両端と前方部材10a及び後方部材10bとが接触する部分を精密な仕上げ面として仕上げ、かつ、両者を僅かに締まりばめ状態で嵌合するとよい。あるいは、パッキンやOリング等の封止部材を圧電体102の両端と前方部材10a及び後方部材10bとの間に介在させてもよい。
さらに、絶縁性のばねを用いるか若しくは金属製のばねの両端を、絶縁部材を介在させた状態で前方部材10a及び後方部材10bと連結し、前記ばねの付勢力及び前方部材10aと後方部材10bとで圧電体102を挟持させるようにしてもよい。
【0015】
前方部材10aの後端及び後方部材10bの前端にはフランジ10c,10dを形成し、このフランジ10c,10dに電極103a,103bを取り付ける。そして、この電極103a,103bを直流の電源9に接続する。電源9は、電極103a,103b及び前方部材10aの後端及び後方部材10bを介して圧電体102の両端に所望の電圧を印加することができ、かつ、予め設定された範囲内で印加電圧の大きさを調整できるものである。
【0016】
圧電体102をチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や窒化アルミニウム等のセラミックで形成した場合には、空胴共振器12からの電磁波の漏洩を防止するために、圧電体102の周囲を、例えばリン青銅やステンレス等の導電性の金属で形成されたシールド104で取り囲むとよい。この実施形態では、前方部材10aと後方部材10bとの間にシールド104を設けている。このシールド104は、絶縁部材104aを介在させた状態で、その両端が前方部材10aと後方部材10bに取り付けられ、かつ、圧電体102の軸線C方向の長さ変化に追随できるように、蛇腹状に形成されている。
【0017】
なお、このシールド104を、一定の剛性とばね性とを有するステンレスやばね鋼等の金属材料で形成し、前方部材10aと後方部材10bとを常時付勢するようにしてもよい。この場合、電圧の印加により圧電体102が伸長方向に変形する場合には、シールド104によって前方部材10aと後方部材10とを互いに接近させる方向に付勢し、電圧の印加により圧電体102が短縮方向に変形する場合には、シールド104によって前方部材10aと後方部材10とを互いに離間させる方向に付勢するようにしてもよい。
このような付勢手段を設けることで、圧電体102の軸線C方向の変形量を規制することができる。
また、先に説明したように、前方部材10aと後方部材10bとを互いに接近させる方向に付勢するばね性のシールド104を用いることで、前方部材10aと後方部材10bとで圧電体102を挟持することが可能になる。
【0018】
この実施形態では、電源9から圧電体102の両端に電圧を印加することで、圧電体102の軸線C方向の長さLが、印加した電圧の大きさに応じて変化する。そして、印加電圧の大きさを制御して長さLの変化量を調整することにより、周波数の変化量を調整することができる。
【0019】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
この実施形態においても、先の実施形態と同様の空間部101に、円筒状の圧電体112を配置する。この圧電体112は、先の実施形態と同様のものである。
【0020】
圧電体112の外周面及び内周面は、金属や導電性樹脂で形成された導電層115a,115bによって被覆されている。そして、外周面の導電層115aに電極113aが取り付けられ、内周面の導電層115bに電極113bが取り付けられる。電極113bは、圧電体112の周壁に貫通形成された孔の内部に絶縁部材114aとともに埋め込まれ、その先端が導電層115bに接触するように取り付けられる。
【0021】
圧電体112と前方部材10a及び後方部材10bとは、絶縁部材114bを介在させた状態で突き合わせ接合する。この際、圧電体112の両端の径方向の形状変化を妨げないように、気密性,柔軟性及び絶縁性を併せ持つ公知のゴム系接着剤、ビニール系接着剤、シリコーンゴム系接着剤、プラスチック系接着剤等の樹脂接着材を用いることができる。
この実施形態では、電源9から電極113a,113b及び導電層115a,115bを介して圧電体112に電圧を印加することで、圧電体112は径方向にその寸法(半径R)を変化させる。そして、この半径Rの寸法変化により、周波数を変化させることができる。
【0022】
なお、導電層115a,115bとしては、径方向の寸法変化に追随することができる伸縮性を有するものを使用するとよく、公知の導電性樹脂の他、リン青銅やアルミ等の金属を用いることができる。また、導電層115a,115bによって電磁波の漏洩を十分に防止することができるのであれば、この実施形態では、第1の実施形態のようなシールド104は特に設ける必要はない。
【0023】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
この実施形態のジャイロトロン装置は、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせたものである。そのため、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一部材、同一部位には同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0024】
図示するように、第2の実施形態と同様に、外周面と内周面とに導電層115a,115bを被覆した圧電体112を用いる。そして、圧電体112の両端に、導電性の金属から形成された前方部材10a及び後方部材10bを取り付ける。この実施形態では、導電層115a,115bに取り付けた電極113a,113を電源9aに接続し、前方部材10a及び後方部材10bに取り付けた電極103a,103を別の電源9bに接続しているが、電極113a,113及び電極103a,103を共通の電源に接続してもよいことは勿論である。
【0025】
圧電体112と前方部材10a及び後方部材10bとは、圧電体112の両端の径方向の形状変化を妨げないように、気密性,柔軟性及び導通性を有するハンダ等の軟質金属を用いた溶接や、導電性樹脂等を用いた接着により、突き合わせ接合するとよい。また、第一の実施形態と同様に、ばねにより前方部材10aと後方部材10bとを付勢し、前方部材10aと後方部材10bとによって圧電体112を挟持させるようにしてもよい。
この実施形態では、電源9a,9bから圧電体112に電圧を印加することで、長さL及び半径Rの両方が変化し、第1の実施形態及び第2の実施形態よりもより広い範囲で周波数の調整が可能になる。
【0026】
[実施例]
本発明の発明者は、第1の実施形態のジャイロトロン装置を使って、実験を行った。
ここで、空胴共振器12は、論文「S.Sabchevski, T.Idehara and S. Fuiwara,
Conceptual design study of a novel gyrotron for NMR/DNP spectoscopy,
Int. J. Infrared and Millimeter Waves 」に記載されているものと同じ形状を持つものを用いた。図4は、この空胴共振器12の対応する三つの軸方向モード(TE041モード、TE042モード、TE043モード)に対する実験結果をグラフにしたもので、縦軸に周波数を、横軸に印加電圧をとっている。
【0027】
なお、この実験では、圧電体102として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で形成された長さL=16.26mm,半径R=1.609mmの円筒状のものを用いた。PZTのStrain
coefficient d31(圧電歪定数)は、300×10―12m/Vと仮定している。
この実験結果からわかるように、印加電圧を0Vから500Vに変化させることで、周波数を約200MHzの範囲内で直線的に変化させることができる。従来の調整可能範囲は約40MHzであるから、本発明により、周波数の調整可能範囲が約5倍に拡大したことになる。
【0028】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、圧電体102,112を軸線C方向又は径方向に形状変化させるために、各々一つの電源9(9a,9b)に接続しているが、各々複数の電源に接続するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、蛇腹状のシールド104を設けて空胴共振器12からの電磁波の漏洩を防止するようにしているが、電磁波の漏洩を防止できるのであれば、シールドの形態はこれに限られず、例えば、軸方向に伸縮できるメッシュ状の金属筒を圧電体102の外周に設けるようにしてもよい。
さらに、第2の実施形態の導電層115a,115bにおいては、軸線C方向に導電層115a,115bを輪切り状に複数に分割し、各領域に一つ又は複数の電源を接続するようにしてもよい。
【0029】
また、上記の説明では、印加電圧により形状が変化する圧電体を例に挙げて説明したが、長さ方向及び/又は径方向に均一にその形状を変化させることができるのであれば、形状変化手段としては、例えば温度変化により膨張又は収縮するものを用いてもよい。この場合は、例えば、誘導加熱コイルやヒータを用いて、ジャイロトロン本体10を加熱し、膨張させるものを挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、マイクロ波またはミリ波を発生するジャイロトロン装置に好適に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態にかかり、その構成を説明する空胴共振器の部分縦断面図である。
【図4】第1の実施形態のジャイロトロン装置を使って、印加電圧と周波数との関係を調べた実験結果を示すグラフである。
【図5】従来のジャイロトロン装置の全体構成を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1:ジャイロトロン装置
9:電源
10:ジャイロトロン本体
10a:前方部材
10b:後方部材
101:空間部
102:圧電体(形状変化手段)
103a,103b:電極
104:シールド
12:空胴共振器
14:コレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを射出する電子銃と、射出電子に旋回運動を起こさせる磁場発生装置と、この磁場発生装置と高周波電磁波との間でサイクロトロン共鳴メーザ作用を起こさせる空胴共振器と、この空胴共振器内を通過した電子ビームを回収するコレクタと、前記サイクロトロン共鳴メーザ作用により発生した高周波を取り出す出力窓とを有するジャイロトロン装置において、
前記空胴共振器の軸線方向の寸法及び前記軸線に交叉する方向の寸法の少なくとも一方を変化させる形状変化手段と、
この形状変化手段に作用して前記寸法の変化を生じさせる駆動手段と、
を有することを特徴とするジャイロトロン装置。
【請求項2】
前記駆動手段として前記形状変化手段に所定の電圧を印加する電圧印加手段を用い、かつ、前記形状変化手段が、印加された電圧に応じて寸法が変化する性質を有する材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のジャイロトロン装置。
【請求項3】
前記形状変化手段の外周面及び内周面に導電被膜を形成し、この導電被膜に前記駆動手段を接続し、前記外周面と前記内周面との間に電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載のジャイロトロン装置。
【請求項4】
前記形状変化手段の両端に前記駆動手段を接続し、前記両端に電圧を印加することを特徴とする請求項2に記載のジャイロトロン装置。
【請求項5】
前記形状変化手段の外周囲に、前記空胴共振器からの電磁波の漏洩を防止するためのシールドを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
【請求項6】
前記形状変化手段を複数の領域に区分けし、各領域を単一又は複数の前記駆動手段に接続したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
【請求項7】
前記形状変化手段の外側に、前記形状変化手段を軸線方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のジャイロトロン装置。
【請求項8】
前記前記形状変化手段の外周囲にシールドを設ける場合において、前記付勢手段が前記シールドとして形成されていることを特徴とする請求項7に記載のジャイロトロン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−130292(P2008−130292A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312044(P2006−312044)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】