ジャイロユニット
【課題】ジャイロユニット単独でコマ玩具として遊ぶことができるとともに、他の動作玩具の動力源として利用することができる発展性のあるジャイロユニットを提供すること。
【解決手段】ユニットケース1の内部に2つのフライホイール4を所定間隔を置いて配置し、該フライホイール4の中心を回転軸17で連結するとともに、該回転軸17の両端をユニットケース1の両側面に設けた軸受け10に回転自在に軸支させ、上記回転軸17に直交する方向に配置した出力軸17の一端には上記回転軸17設けたピニオンギヤ30に噛合するクラウン歯車31を固定し、他端はユニットケース1から外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車33を固定し、上記フライホイール4には上記ユニットケース1の貫通口2から差し込まれたラックベルト3に噛み合う歯車16を設けた。
【解決手段】ユニットケース1の内部に2つのフライホイール4を所定間隔を置いて配置し、該フライホイール4の中心を回転軸17で連結するとともに、該回転軸17の両端をユニットケース1の両側面に設けた軸受け10に回転自在に軸支させ、上記回転軸17に直交する方向に配置した出力軸17の一端には上記回転軸17設けたピニオンギヤ30に噛合するクラウン歯車31を固定し、他端はユニットケース1から外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車33を固定し、上記フライホイール4には上記ユニットケース1の貫通口2から差し込まれたラックベルト3に噛み合う歯車16を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロユニット、詳しくは内装したフライホイールを回転させてコマとしても動作させることができるとともに、動作玩具の動力としての機能を備えたジャイロユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジャイロ機能を利用した玩具として、本出願人の出願になるコマ玩具がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
このコマ玩具は、従来のコマ玩具が発射装置を用いて回転させる代わりに、玩具本体の内部にはジャイロホイールを回転自在に設け、玩具本体にはジャイロホイールの回転軸と同軸上に設けられた歯車と噛合するラックベルトを横から挿通する貫通口を形成し、貫通口から差し込んだラックベルトを引き操作することにより、玩具本体は回転しないが、ジャイロホイールを勢いよく回転させることができ、ジャイロ効果を利用して曲ゴマとしての遊びを楽しむことができるようにしたものである。
【特許文献1】実用新案登録第3097704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述のコマ玩具は玩具本体が回転する通常のコマと同じ遊びができるとともに、曲ゴマとして遊ぶことができるようにしたものであるが、あくまで、コマ玩具単体で遊ぶものであり、発展性のない点であった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、ジャイロユニット単独でコマ玩具として遊ぶことができるとともに、他の動作玩具の動力源として利用することができる発展性のあるジャイロユニットと動作玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係るジャイロユニットは、以下の用件を備えることを特徴とする。
(イ)円盤状のユニットケースの内部には2枚のフライホイールが所定間隔を置いて対向して配置され、該2枚のフライホイールの中心を回転軸で連結するとともに、該回転軸の両端はユニットケースの両側面に設けた軸受けに回転自在に軸支させたこと
(ロ)上記ユニットケースには上記回転軸に直交する方向に出力軸を配置し、該出力軸の一端には上記回転軸のほぼ中央に設けたピニオンギヤに噛合するクラウン歯車を固定し、他端はユニットケースから外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車を固定したこと
(ハ)上記フライホイールの側面には、上記ユニットケースの貫通口から差し込まれたラックベルトに噛み合う歯車を設け、上記フライホイールはラックベルトの引き操作で回転させられること
【0007】
なお、前記ジャイロユニットは前記フライホイールの回転軸を垂直状態にし、該回転軸の先端を接地させ、単独でコマのモードを実行することができるようにしてもよい。
【0008】
また、前記ジャイロユニットは動作玩具に着脱可能に形成され、装着時には前記駆動歯車が動作玩具の動作機構に連係し、ジャイロユニットを動力源として利用することができるようにしてもよい。
【0009】
さらに、前記ジャイロユニットは前記動作機構を動作させるとともに、該動作機構はジャイロユニットを回動動作させ、該ジャイロユニットにジャイロ効果を発揮させることにより、動作玩具はジャイロユニットのジャイロ効果により左右に揺動しながら走行などの動作を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フライホイールの回転軸から直接出力を取り出すのではないので、ジャイロユニットを左右対称に形成することができるとともに、回転軸に直交する方向から出力を取り出すことができユニット全体のバランスがとれ単独でも動力源としても使用することができる多機能のジャイロユニットを実現することができる。
【0011】
また、本発明に係るジャイロユニットを動作玩具に装着した時には動力を供給するとともにジャイロ効果を積極的に利用した動きをさせることが可能になり、動作玩具を走行などの動作に加え左右への揺動動作が加わり従来の動作玩具では味わえない複雑な動作を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
円盤状のユニットケースの内部には2枚のフライホイールが所定間隔を置いて対向して配置され、該2枚のフライホイールの中心を回転軸で連結するとともに、該回転軸の両端はユニットケースの両側面に設けた軸受けに回転自在に軸支させるとともに、上記ユニットケースには上記回転軸に直交する方向に出力軸を配置し、該出力軸の一端には上記回転軸のほぼ中央に設けたピニオンギヤに噛合するクラウン歯車を固定し、他端はユニットケースから外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車を固定し、上記フライホイールの側面には、上記ユニットケースの貫通口から差し込まれたラックベルトに噛み合う歯車を設け、ラックベルトの引き操作でフライホイールを回転させることができるようにした。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係るジャイロユニットの斜視図を示し、このジャイロユニットAはユニットケース1に形成された貫通口2にラックベルト3を差し込み、差し込んだラックベルト3を勢いよく引き抜くことにより内装したフライホイール4を回転させ、ジャイロユニットを単独でコマ玩具として作動させることができるとともに、フライホイール4の回転力を動力源として利用し、他の動作玩具を作動させることができるようにしたものである。
【0014】
ジャイロユニットAは、図2に示すように、左ケース1aと右ケース1bとを合体させて円盤状に形成したユニットケース1の内部に2枚のフライホイール4と、この2枚のフライホイール4の間に配置されたギヤボックス5とから構成されている。
【0015】
左ケース1aと右ケース1bとはそれぞれ周方向にネジ孔を有する4つの張り出し片6が形成され、上下には軸孔7を有する凸部8が形成され、張り出し片6同士と凸部8同士とが重なるように左ケース1aと右ケース1bとを合わせてネジ止めし、固定リング9を凸部8に嵌め合わせることによりユニットケース1を形成することができるようになっている。
【0016】
なお、左ケース1aと右ケース1bとの側面中央には後述するフライホイール4の回転軸17を回転自在に軸支する軸受け10が形成され、底部には円柱状の係合凸部11がそれぞれ下方に突出して形成されている(図3参照)。
【0017】
フライホイール4は真鍮等の金属からなる半円形の板部材12を上下に連結し、外側面に形成された凹部13に円板状の連結板14を嵌め込み、ネジ15で固定して円板状に形成したものである。そして連結板14の外側面には歯車16が一体に形成されている。2つの連結板14は中心が回転軸17に固定され、回転軸17の両端はユニットケース1の軸受け10に回転自在に軸支され、回転軸17が軸受け10に軸支されたフライホイール4は回転軸17とともにユニットケース1内で高速回転できるようになっている。
【0018】
なお、連結板14に形成された歯車16は、ユニットケース1に形成された貫通口2にラックベルト3を挿通させたときラックベルト3のラックギヤ3aが噛み合うようになっている。
【0019】
そして、上記回転軸17の中間にはギヤボックス5が配置されている。このギヤボックス5はフライホイール4の回転力を外部に出力するためのもので、ボックス25と蓋体26とで構成され、ボックス25の両側面には上記回転軸17を通す凹部27が形成され、前後の上端にはフック28が形成され、フック28を蓋体26の開口部29に係止させることによりギヤボックス5が回転軸17に支持されるようになっている。
【0020】
回転軸17のギヤボックス5内に位置する部分にはピニオンギヤ30が取り付けられ、このピニオンギヤ30にはクラウン歯車31が噛み合っている。このクラウン歯車31は出力軸32の上端に固定されている。この出力軸32は上記回転軸17に直交する方向に配置されるとともに、ボックス25の底部を貫通し、さらにケース体1の凸部8に形成された軸孔7を貫通して下方に突出し、下端にはウォームギヤ33が固定されている。
【0021】
上記構成のジャイロユニットAは、ユニットケース1に形成された貫通口2にラックベルト3を挿通するとラックベルト3のラックギヤ3aはフライホイール4の連結板14に形成された歯車16に噛み合っているので、ラックベルト3を勢いよく引き抜くと、歯車16を勢いよく回転させるので歯車16と一体のフライホイール4は勢いよく回転する。このフライホイール4の回転軸17には所定間隔を置いて対向してフライホイール4が固定されているので2つのフライホイール4は回転軸17とともに勢いよく回転することになる。
【0022】
ジャイロユニットAは左右対称に形成されているので、ラックベルト3は左右いずれの貫通口から差し込んでもかまわず、上の貫通口から差し込んだ場合と下の貫通口から差し込んだ場合、前側の貫通口から差し込んだ場合と後側の貫通口から差し込んだ場合とではフライホイールの回転方向が異なる。
【0023】
ジャイロユニットAは内部で回転するフライホイール4でジャイロ効果を発揮するとともに2枚のフライホイールが回転するので、慣性力が大きくなり、図4(a)に示すように、載置面に横に置くとコマ玩具のように回転し、図4(b)に示すように、載置面に縦に置くとその姿勢のまま単独で振動しながら載置面上をゆっくり移動させて遊ぶことができる。
【0024】
なお、上述のジャイロ効果とは、フライホイールが垂直方向に回転しているときに、水平方向に回転力を加えると、上下方向にジャイロモーメントが生じるようになっているもので、図5(a)の左側面図に示すように、フライホイールを時計方向(矢印a方向)に回転させた状態で、図5(b)の平面図に示すように、ジャイロユニットに時計方向(矢印b方向)の回転力を与えた場合は、図5(c)の正面図に示すように、ジャイロモーメントが時計方向(矢印c)に発生し、図5(b)の平面図に示すように、ジャイロユニットに反時計方向(矢印d方向)の回転力を与えた場合は、図5(c)の正面図に示すように、ジャイロモーメントが時計方向(矢印e方向)に発生する、公知の効果である。
【0025】
次に、上述のジャイロユニットを動作玩具の動力源として利用する場合について説明する。
【0026】
図6は、動作玩具Bが一輪車の場合を示し、この一輪車は上述のジャイロユニットAを動力源として走行するもので、板状のリング40とジャイロユニットAを保持するホルダー41と、このホルダー41をリング40に取り付ける2枚の取付板42とから構成され、ホルダー41には駆動機構Dが配置されている。
【0027】
図7に示すように、上記取付板42は略コ字状に曲折し、横板42aの上下面にはそれぞれ係止片43が突出形成され、この係止片43をリング40の周面の直径方向に対称に形成された係止孔44に、リング40の内周面側から嵌め込むことによりリング40に取り付けることができるようになっている。
【0028】
なお、上記取付板42の縦板42bの中央には後述するホルダー41の側板46に形成された支軸47を軸支し、ホルダー41を回動可能に保持する軸受け55が形成されるとともに、この軸受け55を挟んで上下に係合孔56がそれぞれ形成されている。
【0029】
ホルダー41は箱状の基台45の両側部から上方に立設した側板46でジャイロユニットAを両側から挟むように保持するとともに、側板46の上に形成された係止孔48に天板49に形成されたフック50を係止することによりジャイロユニットAを基台45上に固定することができるようになっている。
【0030】
なお、上記基台45にはジャイロユニットAのウォームギヤ33を差し込む開口部51と、ジャイロユニットAの底面に形成された係合凸部11を係合させる係合孔52とが形成され、天板49には中央にジャイロユニットAの上側に取り付けられた固定リング9を嵌め合わせる嵌合孔53が形成され、開口部51からウォームギヤ33を差込むとともに、係合凸部11を係合孔52に係合させ、上から天板49の嵌合孔53に固定リング9を嵌め合わせ、フック50を係止孔48に係止することによりホルダー41にジャイロユニットAを固定することができるようになっている。
【0031】
そして、上記基台45の内部に配置された駆動機構Dは、ジャイロユニットAの出力軸32に固定されたウォームギヤ33に噛み合う平歯車59と、この平歯車59にクラッチ61を介して連結される回転軸62と、この回転軸62に一端に固定された小プーリー63と、ホルダー41の側板46に形成された支軸47に回転可能に軸支されたプーリー64とで構成され、小プーリー63が回転するとゴムベルト65を介してプーリー64が回転するようになっている。
【0032】
上記回転軸62の両側には座金70、70が固定され、平歯車59はフリクション板60にクラッチ61とともに圧接するようにスプリング71で押し付けられている。このスプリング72はワッシャー72とワッシャー73との間に配置され、ワッシャー73は回転軸62に固定され、ワッシャー72はクラッチ61の支軸に嵌め合わされている。上記回転軸62は座金70が、基台45の支持溝74に支持され底面から底板75をネジ止めすることによって、基台45に対しフリーに回転できるようになっている。
【0033】
なお、符号76はスイッチレバーを示し、平歯車59をスプリング71に抗してフリクション板60から引き離し、フリクション板60と平歯車59との間にこのスイッチレバー76の先端部76aを割り込ませると、平歯車59はスイッチレバー76の先端部76aに当接し、フリクション板60から離反するとともに、平歯車59とジャイロユニットAのウォームギヤ33との噛み合いが外れた状態(以下、この状態をスイッチレバーによる駆動機構DのOFF状態と呼ぶ)を維持することができるようになっている。
【0034】
そして、プーリー64の外側面には軸孔66を中心に対称に2つの係合凸部67が突出して形成され、支軸47が取付板42の軸受け55に支持され、係合凸部67が係合孔56にそれぞれ係合するようになっており、プーリー64が回転して取付板42が回転し、リング40が回転してもホルダー41は支軸47が取付板42の軸受け55に軸支されるとともに重心が下部に位置するように図示しない錘部材が基台45に取り付けられているので、ホルダー41は支軸47が取付板42の軸受け55に支持されて、常に垂直状態を維持でき、リング40が回転してもリング40に連動して前後に回転しないようになっている。
【0035】
なお、図7上で右のプーリー64は右側の側板46の支軸47を右側の取付板42に支持させるためのもので、ベルト65が掛けられることはない。
【0036】
上記構成の一輪車によれば、先ずホルダー41の基台45にジャイロユニットAを固定する。この時、ウォームギヤ33を開口部51から差込むとともに、係合凸部11を係合孔52に係合させ、上から天板49の嵌合孔53に固定リング9を嵌め合わせ、フック50を係止孔48に係止することによりホルダー41にジャイロユニットAを固定することができる。
【0037】
次に、支軸47にプーリー64の軸孔66を嵌め、左のプーリー64と小プーリー63との間にベルト65を掛け渡した後、支軸47を取付板42の軸受け55に挿通させるとともに、係合凸部67を係合孔56に嵌め合わせ、ホルダー41の両側にプーリー64を介して取付板42を取り付けた状態で、係止片43を係止孔44に嵌め合わせれば、取付板42を介してAを取り付けたホルダー41をリング40に取り付けることができる(図8(a)参照)。
【0038】
次に、平歯車59をスプリング71に抗してフリクション板60から引き離し、スイッチレバー76の先端部76aを平歯車59とフリクション板60との間にセットする(図9(a)参照)。この状態では上述したようにジャイロユニットAのウォームギヤ33と平歯車59との噛み合いは外れ、駆動機構DはOFF状態になっている。
【0039】
この状態でジャイロユニットAの貫通口2にラックベルト3を充分に差し込み、勢いよく引き抜くとフライホイールが勢いよく回転してウォームギヤ33が回転するので、図9(b)に示すように、スイッチレバー76を上方に回動操作して先端部76aによる平歯車59とフリクション板60との乖離を解除する。平歯車59はスプリング71に付勢されてフリクション板60に圧接すると同時にジャイロユニットAのウォームギヤ33に噛み合うので、平歯車59の回転が始まり、クラッチ61を介して回転軸62が回転するので小プーリー63が回転する。
【0040】
小プーリー63が回転するとベルト65を介してプーリー64が回転し、このプーリー64が固定された取付板42が回転する。取付板42が回転するとリング40が回転するが、ホルダー41は支軸47が取付板42に回転自在に軸支され、ホルダー41は重心が低い位置に設定されているので、ホルダー41(ジャイロユニットA)は垂直の状態を維持しながら、小プーリー63、ベルト65を介してプーリー64(支持板42)を回転させるので、図8(b)に示すように、図面上で反時計方向に回転しながら左方向に走行させることができる。この時、一輪車はジャイロユニットのフライホイール4が垂直方向に回転しているので姿勢を垂直状態に維持するジャイロ効果で、倒れることなく走行させることができる。
【0041】
次に、動作玩具Bが四輪車の場合を図10の斜視図と、図11の分解斜視図とで説明する。この四輪車は上述のジャイロユニットAを動力源として走行するもので、車台80と、車台80の上にジャイロユニットAを保持する保持枠81とから構成され、車台80には動輪82と自由輪83が配置されるとともに、動輪82を回転させる駆動機構Dが配置されている。
【0042】
車台80は基台85、底板86、固定枠87とから構成され、基台85の下方から底板86がネジ止めされ、基台85と底板86で形成される空間には駆動機構Dが配置され、動輪82の車軸84が軸受け88に、自由輪83の車軸89が軸受け90にそれぞれ回転自在に軸支されている。この駆動機構Dは上述の一輪車と同様に、ジャイロユニットAの出力軸32に固定されたウォームギヤ33に噛み合う平歯車91と、この平歯車91にクラッチ92を介して連結される回転軸93と、この回転軸93の一端に固定されたプーリー94と、動輪82の車軸84に固定されたプーリー95とで構成され、プーリー94が回転するとゴムベルト96を介してプーリー95が回転し、動輪82が回転するようになっている。
【0043】
なお、動輪82の外側の車軸84に固定された補助輪97と、自由輪83の外側の車軸89に固定された補助輪98とは、それぞれ動輪82、自由輪83よりも小さな径の車輪で、四輪車が傾いたとき接地するようになっているものである。
【0044】
上記回転軸93の両側には偏心軸100を備えたクランク板101が左右逆位相に固定され、平歯車91はフリクション板102にクラッチ92とともに圧接するようにスプリング103で押し付けられている。このスプリング103はワッシャー104とワッシャー105との間に配置され、ワッシャー104は回転軸93に固定され、ワッシャー105はクラッチ92の支軸92aに嵌め合わされている。
【0045】
基台85の上面の両側には縦長のガイド孔110が形成され、そのガイド孔110の内側にはそれぞれ2本のレール111が形成されている。上記ガイド孔110には基台85上に配置されるスライダ112、113のガイド板114、115が差し込まれ、このガイド板114、115に形成された縦長のガイド溝116、117には上述のクランク板101の偏心軸100が係合し、回転軸93が回転するとスライダ112、113は互いに逆方向に前後往復スライドするようになっている。なお、上記レール111はスライダ112、113と基台85との接触面積を小さくし往復スライドがスムーズにできるようにするためのものである。
【0046】
そして、上記基台85の上面には固定枠87がネジ止めされている。この固定枠87は保持枠81を固定するとともに、上述のスライダ112、113をガイドする機能を備えたもので固定枠87の三方の側面に形成された係止孔120、121、122に、保持枠81の3つの脚片125、126、127の内壁面に形成された係止凸部128、129、130それぞれを嵌め合わせることにより、固定枠87(基台80)に保持枠81を固定することができるとともに、固定枠87の両側の底面に形成された凹溝131がスライダ112、113を上からガイドするようになっている。
【0047】
なお、スライダ112、113の対向する面には切り欠き132、133が形成され、この切り欠き132、133にはジャイロユニットAの底部に形成された係合凸部11が係合するようになっている。
【0048】
上記構成の四輪車によれば、先ずジャイロユニットAを車台80に取り付ける。このときウォームギヤ33を基台85の上面に形成された開口部135から差込むとともに、係合凸部11を切り欠き132、133に係合させ、上から81の軸受け136に固定リング9を嵌め合わせ、係止凸部128、129、130を固定枠87の三方の側面に形成された係止孔120、121、122に係止することにより車台80にジャイロユニットAを取り付けることができる(図10参照)。
【0049】
次に、平歯車91をフリクション板102から手で引き離し、スイッチレバー137の先端部137aを平歯車91とフリクション板102の間にセットする。この状態では上述したようにジャイロユニットAのウォームギヤ33と平歯車91との噛み合いは外れ、駆動機構DはOFF状態になっている。
【0050】
この状態で、図12(a)に示すように、ジャイロユニットAの貫通口2にラックベルト3を充分に差し込み、勢いよく引き抜くとフライホイール4が勢いよく矢印a方向に回転してウォームギヤ33が回転するので、スイッチレバー137を操作して平歯車91とフリクション板102との乖離を解除する。平歯車91はスプリング103に付勢されてフリクション板102に圧接すると同時にジャイロユニットAのウォームギヤ33に噛み合うので、平歯車91が回転し、クラッチ92を介して回転軸93が回転し、この回転軸93に固定されたプーリー94が回転する。プーリー94が回転するとベルト96を介してプーリー95が回転し、このプーリー95が固定された車軸84が回転する。車軸84が回転すると動輪82が回転するので、四輪車は動輪82の回転によって、図12(b)に示すように、前進走行する。
【0051】
なお、回転軸93が回転するとクランク板101も回転するが、このクランク板101には左右逆位相に偏心軸100が形成されているので、この偏心軸100の公転によってスライダ112、113が互いに相反する方向に前後往復スライドする。このスライド112、113に形成されたきり欠き132、133にはジャイロユニットAの係合凸部11が係合しているので、上面の固定リング9が保持枠81の軸受け136に支持され、底部の固定リング9が開口部135に支持されているジャイロユニットAは、上下の固定リング9を中心に左右に往復回動することになり、ジャイロユニットAは車台80上で左右に往復回動しながら、車台80を前進させる。
【0052】
このとき、ジャイロユニットAは、上述したようにフライホイールが垂直方向に回転しているときに、水平方向に回転力を加えると、上下方向にジャイロモーメントが生じるジャイロ効果があるので、図13に示すように、フライホイールが矢印a方向に回転している状態で、ジャイロユニットが矢印b方向に回動したときには、ジャイロモーメントが矢印c方向に発生するので四輪車は右に傾き、図面13上で右側の補助輪97、98が接地し、ジャイロユニットが矢印d方向に回動したときには、ジャイロモーメントが矢印e方向に発生するので四輪車は左に傾き、図面13上で左側の補助輪97、98が接地することになり、四輪車は左右に揺動しながら矢印f方向に向かって走行するので、単に走行するだけの従来の走行玩具とは異なった動作を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るジャイロユニットの斜視図
【図2】上記ジャイロユニットの分解斜視図
【図3】上記ジャイロユニットの底面側斜視図
【図4】(a)(b)はジャイロユニットの動作状態を説明する斜視図
【図5】(a)(b)(c)はジャイロ効果を説明する正面図、平面図及び側面図
【図6】動作玩具の一例を説明する斜視図
【図7】上記動作玩具の構成を説明する分解斜視図
【図8】(a)(b)は動作玩具の正面図及び一部切断した側面図
【図9】(a)(b)は上記動作玩具のスイッチの動作状態を説明する要部斜視図及び側面図
【図10】動作玩具の他の例を説明する斜視図
【図11】上記他の例の動作玩具の構成を説明する分解斜視図
【図12】(a)(b)は上記他の例の動作玩具の使用態様を説明する斜視図及び動作状態を説明する要部断面図
【図13】上記他の例の動作玩具の動作状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0054】
1 ユニットケース
2 貫通口
3 ラックベルト
4 フライホイール
10 軸受け
16 歯車
17 回転軸
30 ピニオンギヤ
33 駆動歯車
A ジャイロユニット
B 動作玩具
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロユニット、詳しくは内装したフライホイールを回転させてコマとしても動作させることができるとともに、動作玩具の動力としての機能を備えたジャイロユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジャイロ機能を利用した玩具として、本出願人の出願になるコマ玩具がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
このコマ玩具は、従来のコマ玩具が発射装置を用いて回転させる代わりに、玩具本体の内部にはジャイロホイールを回転自在に設け、玩具本体にはジャイロホイールの回転軸と同軸上に設けられた歯車と噛合するラックベルトを横から挿通する貫通口を形成し、貫通口から差し込んだラックベルトを引き操作することにより、玩具本体は回転しないが、ジャイロホイールを勢いよく回転させることができ、ジャイロ効果を利用して曲ゴマとしての遊びを楽しむことができるようにしたものである。
【特許文献1】実用新案登録第3097704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述のコマ玩具は玩具本体が回転する通常のコマと同じ遊びができるとともに、曲ゴマとして遊ぶことができるようにしたものであるが、あくまで、コマ玩具単体で遊ぶものであり、発展性のない点であった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、ジャイロユニット単独でコマ玩具として遊ぶことができるとともに、他の動作玩具の動力源として利用することができる発展性のあるジャイロユニットと動作玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係るジャイロユニットは、以下の用件を備えることを特徴とする。
(イ)円盤状のユニットケースの内部には2枚のフライホイールが所定間隔を置いて対向して配置され、該2枚のフライホイールの中心を回転軸で連結するとともに、該回転軸の両端はユニットケースの両側面に設けた軸受けに回転自在に軸支させたこと
(ロ)上記ユニットケースには上記回転軸に直交する方向に出力軸を配置し、該出力軸の一端には上記回転軸のほぼ中央に設けたピニオンギヤに噛合するクラウン歯車を固定し、他端はユニットケースから外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車を固定したこと
(ハ)上記フライホイールの側面には、上記ユニットケースの貫通口から差し込まれたラックベルトに噛み合う歯車を設け、上記フライホイールはラックベルトの引き操作で回転させられること
【0007】
なお、前記ジャイロユニットは前記フライホイールの回転軸を垂直状態にし、該回転軸の先端を接地させ、単独でコマのモードを実行することができるようにしてもよい。
【0008】
また、前記ジャイロユニットは動作玩具に着脱可能に形成され、装着時には前記駆動歯車が動作玩具の動作機構に連係し、ジャイロユニットを動力源として利用することができるようにしてもよい。
【0009】
さらに、前記ジャイロユニットは前記動作機構を動作させるとともに、該動作機構はジャイロユニットを回動動作させ、該ジャイロユニットにジャイロ効果を発揮させることにより、動作玩具はジャイロユニットのジャイロ効果により左右に揺動しながら走行などの動作を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フライホイールの回転軸から直接出力を取り出すのではないので、ジャイロユニットを左右対称に形成することができるとともに、回転軸に直交する方向から出力を取り出すことができユニット全体のバランスがとれ単独でも動力源としても使用することができる多機能のジャイロユニットを実現することができる。
【0011】
また、本発明に係るジャイロユニットを動作玩具に装着した時には動力を供給するとともにジャイロ効果を積極的に利用した動きをさせることが可能になり、動作玩具を走行などの動作に加え左右への揺動動作が加わり従来の動作玩具では味わえない複雑な動作を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
円盤状のユニットケースの内部には2枚のフライホイールが所定間隔を置いて対向して配置され、該2枚のフライホイールの中心を回転軸で連結するとともに、該回転軸の両端はユニットケースの両側面に設けた軸受けに回転自在に軸支させるとともに、上記ユニットケースには上記回転軸に直交する方向に出力軸を配置し、該出力軸の一端には上記回転軸のほぼ中央に設けたピニオンギヤに噛合するクラウン歯車を固定し、他端はユニットケースから外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車を固定し、上記フライホイールの側面には、上記ユニットケースの貫通口から差し込まれたラックベルトに噛み合う歯車を設け、ラックベルトの引き操作でフライホイールを回転させることができるようにした。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係るジャイロユニットの斜視図を示し、このジャイロユニットAはユニットケース1に形成された貫通口2にラックベルト3を差し込み、差し込んだラックベルト3を勢いよく引き抜くことにより内装したフライホイール4を回転させ、ジャイロユニットを単独でコマ玩具として作動させることができるとともに、フライホイール4の回転力を動力源として利用し、他の動作玩具を作動させることができるようにしたものである。
【0014】
ジャイロユニットAは、図2に示すように、左ケース1aと右ケース1bとを合体させて円盤状に形成したユニットケース1の内部に2枚のフライホイール4と、この2枚のフライホイール4の間に配置されたギヤボックス5とから構成されている。
【0015】
左ケース1aと右ケース1bとはそれぞれ周方向にネジ孔を有する4つの張り出し片6が形成され、上下には軸孔7を有する凸部8が形成され、張り出し片6同士と凸部8同士とが重なるように左ケース1aと右ケース1bとを合わせてネジ止めし、固定リング9を凸部8に嵌め合わせることによりユニットケース1を形成することができるようになっている。
【0016】
なお、左ケース1aと右ケース1bとの側面中央には後述するフライホイール4の回転軸17を回転自在に軸支する軸受け10が形成され、底部には円柱状の係合凸部11がそれぞれ下方に突出して形成されている(図3参照)。
【0017】
フライホイール4は真鍮等の金属からなる半円形の板部材12を上下に連結し、外側面に形成された凹部13に円板状の連結板14を嵌め込み、ネジ15で固定して円板状に形成したものである。そして連結板14の外側面には歯車16が一体に形成されている。2つの連結板14は中心が回転軸17に固定され、回転軸17の両端はユニットケース1の軸受け10に回転自在に軸支され、回転軸17が軸受け10に軸支されたフライホイール4は回転軸17とともにユニットケース1内で高速回転できるようになっている。
【0018】
なお、連結板14に形成された歯車16は、ユニットケース1に形成された貫通口2にラックベルト3を挿通させたときラックベルト3のラックギヤ3aが噛み合うようになっている。
【0019】
そして、上記回転軸17の中間にはギヤボックス5が配置されている。このギヤボックス5はフライホイール4の回転力を外部に出力するためのもので、ボックス25と蓋体26とで構成され、ボックス25の両側面には上記回転軸17を通す凹部27が形成され、前後の上端にはフック28が形成され、フック28を蓋体26の開口部29に係止させることによりギヤボックス5が回転軸17に支持されるようになっている。
【0020】
回転軸17のギヤボックス5内に位置する部分にはピニオンギヤ30が取り付けられ、このピニオンギヤ30にはクラウン歯車31が噛み合っている。このクラウン歯車31は出力軸32の上端に固定されている。この出力軸32は上記回転軸17に直交する方向に配置されるとともに、ボックス25の底部を貫通し、さらにケース体1の凸部8に形成された軸孔7を貫通して下方に突出し、下端にはウォームギヤ33が固定されている。
【0021】
上記構成のジャイロユニットAは、ユニットケース1に形成された貫通口2にラックベルト3を挿通するとラックベルト3のラックギヤ3aはフライホイール4の連結板14に形成された歯車16に噛み合っているので、ラックベルト3を勢いよく引き抜くと、歯車16を勢いよく回転させるので歯車16と一体のフライホイール4は勢いよく回転する。このフライホイール4の回転軸17には所定間隔を置いて対向してフライホイール4が固定されているので2つのフライホイール4は回転軸17とともに勢いよく回転することになる。
【0022】
ジャイロユニットAは左右対称に形成されているので、ラックベルト3は左右いずれの貫通口から差し込んでもかまわず、上の貫通口から差し込んだ場合と下の貫通口から差し込んだ場合、前側の貫通口から差し込んだ場合と後側の貫通口から差し込んだ場合とではフライホイールの回転方向が異なる。
【0023】
ジャイロユニットAは内部で回転するフライホイール4でジャイロ効果を発揮するとともに2枚のフライホイールが回転するので、慣性力が大きくなり、図4(a)に示すように、載置面に横に置くとコマ玩具のように回転し、図4(b)に示すように、載置面に縦に置くとその姿勢のまま単独で振動しながら載置面上をゆっくり移動させて遊ぶことができる。
【0024】
なお、上述のジャイロ効果とは、フライホイールが垂直方向に回転しているときに、水平方向に回転力を加えると、上下方向にジャイロモーメントが生じるようになっているもので、図5(a)の左側面図に示すように、フライホイールを時計方向(矢印a方向)に回転させた状態で、図5(b)の平面図に示すように、ジャイロユニットに時計方向(矢印b方向)の回転力を与えた場合は、図5(c)の正面図に示すように、ジャイロモーメントが時計方向(矢印c)に発生し、図5(b)の平面図に示すように、ジャイロユニットに反時計方向(矢印d方向)の回転力を与えた場合は、図5(c)の正面図に示すように、ジャイロモーメントが時計方向(矢印e方向)に発生する、公知の効果である。
【0025】
次に、上述のジャイロユニットを動作玩具の動力源として利用する場合について説明する。
【0026】
図6は、動作玩具Bが一輪車の場合を示し、この一輪車は上述のジャイロユニットAを動力源として走行するもので、板状のリング40とジャイロユニットAを保持するホルダー41と、このホルダー41をリング40に取り付ける2枚の取付板42とから構成され、ホルダー41には駆動機構Dが配置されている。
【0027】
図7に示すように、上記取付板42は略コ字状に曲折し、横板42aの上下面にはそれぞれ係止片43が突出形成され、この係止片43をリング40の周面の直径方向に対称に形成された係止孔44に、リング40の内周面側から嵌め込むことによりリング40に取り付けることができるようになっている。
【0028】
なお、上記取付板42の縦板42bの中央には後述するホルダー41の側板46に形成された支軸47を軸支し、ホルダー41を回動可能に保持する軸受け55が形成されるとともに、この軸受け55を挟んで上下に係合孔56がそれぞれ形成されている。
【0029】
ホルダー41は箱状の基台45の両側部から上方に立設した側板46でジャイロユニットAを両側から挟むように保持するとともに、側板46の上に形成された係止孔48に天板49に形成されたフック50を係止することによりジャイロユニットAを基台45上に固定することができるようになっている。
【0030】
なお、上記基台45にはジャイロユニットAのウォームギヤ33を差し込む開口部51と、ジャイロユニットAの底面に形成された係合凸部11を係合させる係合孔52とが形成され、天板49には中央にジャイロユニットAの上側に取り付けられた固定リング9を嵌め合わせる嵌合孔53が形成され、開口部51からウォームギヤ33を差込むとともに、係合凸部11を係合孔52に係合させ、上から天板49の嵌合孔53に固定リング9を嵌め合わせ、フック50を係止孔48に係止することによりホルダー41にジャイロユニットAを固定することができるようになっている。
【0031】
そして、上記基台45の内部に配置された駆動機構Dは、ジャイロユニットAの出力軸32に固定されたウォームギヤ33に噛み合う平歯車59と、この平歯車59にクラッチ61を介して連結される回転軸62と、この回転軸62に一端に固定された小プーリー63と、ホルダー41の側板46に形成された支軸47に回転可能に軸支されたプーリー64とで構成され、小プーリー63が回転するとゴムベルト65を介してプーリー64が回転するようになっている。
【0032】
上記回転軸62の両側には座金70、70が固定され、平歯車59はフリクション板60にクラッチ61とともに圧接するようにスプリング71で押し付けられている。このスプリング72はワッシャー72とワッシャー73との間に配置され、ワッシャー73は回転軸62に固定され、ワッシャー72はクラッチ61の支軸に嵌め合わされている。上記回転軸62は座金70が、基台45の支持溝74に支持され底面から底板75をネジ止めすることによって、基台45に対しフリーに回転できるようになっている。
【0033】
なお、符号76はスイッチレバーを示し、平歯車59をスプリング71に抗してフリクション板60から引き離し、フリクション板60と平歯車59との間にこのスイッチレバー76の先端部76aを割り込ませると、平歯車59はスイッチレバー76の先端部76aに当接し、フリクション板60から離反するとともに、平歯車59とジャイロユニットAのウォームギヤ33との噛み合いが外れた状態(以下、この状態をスイッチレバーによる駆動機構DのOFF状態と呼ぶ)を維持することができるようになっている。
【0034】
そして、プーリー64の外側面には軸孔66を中心に対称に2つの係合凸部67が突出して形成され、支軸47が取付板42の軸受け55に支持され、係合凸部67が係合孔56にそれぞれ係合するようになっており、プーリー64が回転して取付板42が回転し、リング40が回転してもホルダー41は支軸47が取付板42の軸受け55に軸支されるとともに重心が下部に位置するように図示しない錘部材が基台45に取り付けられているので、ホルダー41は支軸47が取付板42の軸受け55に支持されて、常に垂直状態を維持でき、リング40が回転してもリング40に連動して前後に回転しないようになっている。
【0035】
なお、図7上で右のプーリー64は右側の側板46の支軸47を右側の取付板42に支持させるためのもので、ベルト65が掛けられることはない。
【0036】
上記構成の一輪車によれば、先ずホルダー41の基台45にジャイロユニットAを固定する。この時、ウォームギヤ33を開口部51から差込むとともに、係合凸部11を係合孔52に係合させ、上から天板49の嵌合孔53に固定リング9を嵌め合わせ、フック50を係止孔48に係止することによりホルダー41にジャイロユニットAを固定することができる。
【0037】
次に、支軸47にプーリー64の軸孔66を嵌め、左のプーリー64と小プーリー63との間にベルト65を掛け渡した後、支軸47を取付板42の軸受け55に挿通させるとともに、係合凸部67を係合孔56に嵌め合わせ、ホルダー41の両側にプーリー64を介して取付板42を取り付けた状態で、係止片43を係止孔44に嵌め合わせれば、取付板42を介してAを取り付けたホルダー41をリング40に取り付けることができる(図8(a)参照)。
【0038】
次に、平歯車59をスプリング71に抗してフリクション板60から引き離し、スイッチレバー76の先端部76aを平歯車59とフリクション板60との間にセットする(図9(a)参照)。この状態では上述したようにジャイロユニットAのウォームギヤ33と平歯車59との噛み合いは外れ、駆動機構DはOFF状態になっている。
【0039】
この状態でジャイロユニットAの貫通口2にラックベルト3を充分に差し込み、勢いよく引き抜くとフライホイールが勢いよく回転してウォームギヤ33が回転するので、図9(b)に示すように、スイッチレバー76を上方に回動操作して先端部76aによる平歯車59とフリクション板60との乖離を解除する。平歯車59はスプリング71に付勢されてフリクション板60に圧接すると同時にジャイロユニットAのウォームギヤ33に噛み合うので、平歯車59の回転が始まり、クラッチ61を介して回転軸62が回転するので小プーリー63が回転する。
【0040】
小プーリー63が回転するとベルト65を介してプーリー64が回転し、このプーリー64が固定された取付板42が回転する。取付板42が回転するとリング40が回転するが、ホルダー41は支軸47が取付板42に回転自在に軸支され、ホルダー41は重心が低い位置に設定されているので、ホルダー41(ジャイロユニットA)は垂直の状態を維持しながら、小プーリー63、ベルト65を介してプーリー64(支持板42)を回転させるので、図8(b)に示すように、図面上で反時計方向に回転しながら左方向に走行させることができる。この時、一輪車はジャイロユニットのフライホイール4が垂直方向に回転しているので姿勢を垂直状態に維持するジャイロ効果で、倒れることなく走行させることができる。
【0041】
次に、動作玩具Bが四輪車の場合を図10の斜視図と、図11の分解斜視図とで説明する。この四輪車は上述のジャイロユニットAを動力源として走行するもので、車台80と、車台80の上にジャイロユニットAを保持する保持枠81とから構成され、車台80には動輪82と自由輪83が配置されるとともに、動輪82を回転させる駆動機構Dが配置されている。
【0042】
車台80は基台85、底板86、固定枠87とから構成され、基台85の下方から底板86がネジ止めされ、基台85と底板86で形成される空間には駆動機構Dが配置され、動輪82の車軸84が軸受け88に、自由輪83の車軸89が軸受け90にそれぞれ回転自在に軸支されている。この駆動機構Dは上述の一輪車と同様に、ジャイロユニットAの出力軸32に固定されたウォームギヤ33に噛み合う平歯車91と、この平歯車91にクラッチ92を介して連結される回転軸93と、この回転軸93の一端に固定されたプーリー94と、動輪82の車軸84に固定されたプーリー95とで構成され、プーリー94が回転するとゴムベルト96を介してプーリー95が回転し、動輪82が回転するようになっている。
【0043】
なお、動輪82の外側の車軸84に固定された補助輪97と、自由輪83の外側の車軸89に固定された補助輪98とは、それぞれ動輪82、自由輪83よりも小さな径の車輪で、四輪車が傾いたとき接地するようになっているものである。
【0044】
上記回転軸93の両側には偏心軸100を備えたクランク板101が左右逆位相に固定され、平歯車91はフリクション板102にクラッチ92とともに圧接するようにスプリング103で押し付けられている。このスプリング103はワッシャー104とワッシャー105との間に配置され、ワッシャー104は回転軸93に固定され、ワッシャー105はクラッチ92の支軸92aに嵌め合わされている。
【0045】
基台85の上面の両側には縦長のガイド孔110が形成され、そのガイド孔110の内側にはそれぞれ2本のレール111が形成されている。上記ガイド孔110には基台85上に配置されるスライダ112、113のガイド板114、115が差し込まれ、このガイド板114、115に形成された縦長のガイド溝116、117には上述のクランク板101の偏心軸100が係合し、回転軸93が回転するとスライダ112、113は互いに逆方向に前後往復スライドするようになっている。なお、上記レール111はスライダ112、113と基台85との接触面積を小さくし往復スライドがスムーズにできるようにするためのものである。
【0046】
そして、上記基台85の上面には固定枠87がネジ止めされている。この固定枠87は保持枠81を固定するとともに、上述のスライダ112、113をガイドする機能を備えたもので固定枠87の三方の側面に形成された係止孔120、121、122に、保持枠81の3つの脚片125、126、127の内壁面に形成された係止凸部128、129、130それぞれを嵌め合わせることにより、固定枠87(基台80)に保持枠81を固定することができるとともに、固定枠87の両側の底面に形成された凹溝131がスライダ112、113を上からガイドするようになっている。
【0047】
なお、スライダ112、113の対向する面には切り欠き132、133が形成され、この切り欠き132、133にはジャイロユニットAの底部に形成された係合凸部11が係合するようになっている。
【0048】
上記構成の四輪車によれば、先ずジャイロユニットAを車台80に取り付ける。このときウォームギヤ33を基台85の上面に形成された開口部135から差込むとともに、係合凸部11を切り欠き132、133に係合させ、上から81の軸受け136に固定リング9を嵌め合わせ、係止凸部128、129、130を固定枠87の三方の側面に形成された係止孔120、121、122に係止することにより車台80にジャイロユニットAを取り付けることができる(図10参照)。
【0049】
次に、平歯車91をフリクション板102から手で引き離し、スイッチレバー137の先端部137aを平歯車91とフリクション板102の間にセットする。この状態では上述したようにジャイロユニットAのウォームギヤ33と平歯車91との噛み合いは外れ、駆動機構DはOFF状態になっている。
【0050】
この状態で、図12(a)に示すように、ジャイロユニットAの貫通口2にラックベルト3を充分に差し込み、勢いよく引き抜くとフライホイール4が勢いよく矢印a方向に回転してウォームギヤ33が回転するので、スイッチレバー137を操作して平歯車91とフリクション板102との乖離を解除する。平歯車91はスプリング103に付勢されてフリクション板102に圧接すると同時にジャイロユニットAのウォームギヤ33に噛み合うので、平歯車91が回転し、クラッチ92を介して回転軸93が回転し、この回転軸93に固定されたプーリー94が回転する。プーリー94が回転するとベルト96を介してプーリー95が回転し、このプーリー95が固定された車軸84が回転する。車軸84が回転すると動輪82が回転するので、四輪車は動輪82の回転によって、図12(b)に示すように、前進走行する。
【0051】
なお、回転軸93が回転するとクランク板101も回転するが、このクランク板101には左右逆位相に偏心軸100が形成されているので、この偏心軸100の公転によってスライダ112、113が互いに相反する方向に前後往復スライドする。このスライド112、113に形成されたきり欠き132、133にはジャイロユニットAの係合凸部11が係合しているので、上面の固定リング9が保持枠81の軸受け136に支持され、底部の固定リング9が開口部135に支持されているジャイロユニットAは、上下の固定リング9を中心に左右に往復回動することになり、ジャイロユニットAは車台80上で左右に往復回動しながら、車台80を前進させる。
【0052】
このとき、ジャイロユニットAは、上述したようにフライホイールが垂直方向に回転しているときに、水平方向に回転力を加えると、上下方向にジャイロモーメントが生じるジャイロ効果があるので、図13に示すように、フライホイールが矢印a方向に回転している状態で、ジャイロユニットが矢印b方向に回動したときには、ジャイロモーメントが矢印c方向に発生するので四輪車は右に傾き、図面13上で右側の補助輪97、98が接地し、ジャイロユニットが矢印d方向に回動したときには、ジャイロモーメントが矢印e方向に発生するので四輪車は左に傾き、図面13上で左側の補助輪97、98が接地することになり、四輪車は左右に揺動しながら矢印f方向に向かって走行するので、単に走行するだけの従来の走行玩具とは異なった動作を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るジャイロユニットの斜視図
【図2】上記ジャイロユニットの分解斜視図
【図3】上記ジャイロユニットの底面側斜視図
【図4】(a)(b)はジャイロユニットの動作状態を説明する斜視図
【図5】(a)(b)(c)はジャイロ効果を説明する正面図、平面図及び側面図
【図6】動作玩具の一例を説明する斜視図
【図7】上記動作玩具の構成を説明する分解斜視図
【図8】(a)(b)は動作玩具の正面図及び一部切断した側面図
【図9】(a)(b)は上記動作玩具のスイッチの動作状態を説明する要部斜視図及び側面図
【図10】動作玩具の他の例を説明する斜視図
【図11】上記他の例の動作玩具の構成を説明する分解斜視図
【図12】(a)(b)は上記他の例の動作玩具の使用態様を説明する斜視図及び動作状態を説明する要部断面図
【図13】上記他の例の動作玩具の動作状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0054】
1 ユニットケース
2 貫通口
3 ラックベルト
4 フライホイール
10 軸受け
16 歯車
17 回転軸
30 ピニオンギヤ
33 駆動歯車
A ジャイロユニット
B 動作玩具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とするジャイロユニット。
(イ)円盤状のユニットケースの内部には2枚のフライホイールが所定間隔を置いて対向して配置され、該2枚のフライホイールの中心を回転軸で連結するとともに、該回転軸の両端はユニットケースの両側面に設けた軸受けに回転自在に軸支させたこと
(ロ)上記ユニットケースには上記回転軸に直交する方向に出力軸を配置し、該出力軸の一端には上記回転軸のほぼ中央に設けたピニオンギヤに噛合するクラウン歯車を固定し、他端はユニットケースから外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車を固定したこと
(ハ)上記フライホイールの側面には、上記ユニットケースの貫通口から差し込まれたラックベルトに噛み合う歯車を設け、上記フライホイールはラックベルトの引き操作で回転させられること
【請求項2】
前記ジャイロユニットは前記フライホイールの回転軸を垂直状態にし、該回転軸の先端を接地させると、単独でコマのモードを実行することができる、請求項1記載のジャイロユニット。
【請求項3】
前記ジャイロユニットは動作玩具に着脱可能に形成され、装着時には前記駆動歯車が動作玩具の動作機構に連係する、請求項2記載のジャイロユニット。
【請求項4】
前記ジャイロユニットは前記動作機構を動作させるとともに、該動作機構はジャイロユニットを回動動作させ、該ジャイロユニットにジャイロ効果を発揮させる、請求項3記載のジャイロユニット。
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とするジャイロユニット。
(イ)円盤状のユニットケースの内部には2枚のフライホイールが所定間隔を置いて対向して配置され、該2枚のフライホイールの中心を回転軸で連結するとともに、該回転軸の両端はユニットケースの両側面に設けた軸受けに回転自在に軸支させたこと
(ロ)上記ユニットケースには上記回転軸に直交する方向に出力軸を配置し、該出力軸の一端には上記回転軸のほぼ中央に設けたピニオンギヤに噛合するクラウン歯車を固定し、他端はユニットケースから外部に突出させるとともに、他端には駆動歯車を固定したこと
(ハ)上記フライホイールの側面には、上記ユニットケースの貫通口から差し込まれたラックベルトに噛み合う歯車を設け、上記フライホイールはラックベルトの引き操作で回転させられること
【請求項2】
前記ジャイロユニットは前記フライホイールの回転軸を垂直状態にし、該回転軸の先端を接地させると、単独でコマのモードを実行することができる、請求項1記載のジャイロユニット。
【請求項3】
前記ジャイロユニットは動作玩具に着脱可能に形成され、装着時には前記駆動歯車が動作玩具の動作機構に連係する、請求項2記載のジャイロユニット。
【請求項4】
前記ジャイロユニットは前記動作機構を動作させるとともに、該動作機構はジャイロユニットを回動動作させ、該ジャイロユニットにジャイロ効果を発揮させる、請求項3記載のジャイロユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−115978(P2006−115978A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305328(P2004−305328)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000132998)株式会社タカラ (35)
【出願人】(593152454)有限会社ジェノイド・プロトデザイン (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000132998)株式会社タカラ (35)
【出願人】(593152454)有限会社ジェノイド・プロトデザイン (8)
【Fターム(参考)】
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