説明

ジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置及びその方法

【課題】狭い場所で重量が大きくて長い吊り荷を吊り上げるときに、できるだけ細い吊りケーブルを多数本使用して、速やかにすべての吊りケーブルの荷重を均等化すること。
【解決手段】複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるセンターホールジャッキのすべてのシリンダを1つの送り配管で連通して圧油を送る工程と、それぞれのセンターホールジャッキのラムでそれぞれの引き込み側保持装置を上昇させる工程と、それぞれの引き込み側保持装置の上昇距離を吊りケーブルの弛み取り距離としてストロークセンサで検出する工程と、いずれかの吊りケーブルの弛み取り距離が設定値に達したらすべてのシリンダに圧油を送り、すべての吊りケーブルの荷重を盛り替え側保持装置に盛り替えてセンターホールジャッキのラムと引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程と、これらの工程を繰り返してすべての吊りケーブルの弛み取りを行う工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数本の吊りケーブルを用いて長尺の重量物を吊り上げる場合、例えば、8本の吊りケーブルを1つの単位とする吊り上げジャッキを12台設置して1つの長尺の重量物を数100m以上の高い位置まで吊り上げる場合に使用されるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置及びその方法であって、特に、吊り上げ作業初期の複数本の吊りケーブルの弛み取りを速やかに、かつ、安全に行うことを目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
ジャッキによる吊り上げ装置には、種々の方式のものが知られている。その中の1つに図10に示すようなPC鋼の吊りケーブル11を多数本使用した多線方式の装置がある。この装置は、固定された架台12にジャッキチェア13を載せ、このジャッキチェア13の上に複数本の吊りケーブル11を挿通したセンターホールジャッキ21が固定的に据え付けられる。前記ジャッキチェア13内には、アンカーヘッド14と3つ割にした複数個の下部グリッパ15からなる盛り替え側保持装置16が設置され、前記センターホールジャッキ21のシリンダ20内にラム17を上下進退自在に設け、このラム17の上端にプーリングヘッド22と3つ割にした複数個の上部グリッパ23からなる引き込み側保持装置24が取り付けられる。
【0003】
このような構成において、引き込み側保持装置24のそれぞれの上部グリッパ23と、盛り替え側保持装置16のそれぞれの下部グリッパ15にそれぞれ1本ずつの吊りケーブル11を挿通して下端部を吊り荷10に固着する。この状態で送り側油圧口18に圧油を送ると、ラム17が上昇し戻し側油圧口19側から油が戻されることにより、引き込み側保持装置24のプーリングヘッド22が押し上げられる。すると、吊りケーブル11が上部グリッパ23にグリップされて吊り荷10が吊り上げられる。
【0004】
ここで、架台12から吊り荷10までの吊り上げ距離Lが数100mもあるような場合、複数本の吊りケーブル11にそれぞれ異なった弛みが生じるため、最も弛みのない吊りケーブル11にまず吊り荷10の荷重がかかる。このことは、複数本で吊り荷10を吊り上げようとするときに、作業開始直後に弛みのない吊りケーブル11だけで全荷重を吊り上げることになり制限以上の荷重がかかり、危険な状態になる。
【0005】
これを避けるために、引き込み側保持装置にイコライザ装置を付加して荷重を平均化する装置が知られている(特許文献1)。図9において、イコライザ装置25の本体左右には、一方のシリンダ26aと他方のシリンダ26bが並設され、これらの間を連通路27で連通し、作動油で充填されている。前記一方のシリンダ26aと他方のシリンダ26bには、プーリングヘッド22aとグリッパ23aからなる一方の引き込み側保持装置24aと、プーリングヘッド22bとグリッパ23bからなる他方の引き込み側保持装置24bが上下動自在に嵌合されている。前記一方の引き込み側保持装置24aには、吊りケーブル11aが、また、他方の引き込み側保持装置24bには、吊りケーブル11bが挿通され、前記イコライザ装置25の中心部のシリンダ28には、ピストン29が設けられ、このピストン29の端部にプーリングヘッド引き込み板30が設けられて、復帰手段を構成している。
【0006】
この図9において、イコライザ装置25の本体を、図10のセンターホールジャッキ21のラム17により押し上げると、吊りケーブル11aと11bに張力がかかる。この時、弛みの少ない例えば吊りケーブル11aを噛持する一方の引き込み側保持装置24aに吊り荷10の負荷が掛かり、プーリングヘッド22aはそのままの位置で保持されるが、イコライザ装置25の本体の上昇により一方のシリンダ26aの内部の作動油が連通路27を介して他方のシリンダ26b側に流入してイコライザ装置25の本体よりもプーリングヘッド22bが上昇し、弛みの多い吊りケーブル11bを押し上げ、張力が均等になると、吊りケーブル11aと11bの弛みが吸収される。
1回の均衡作用で吊りケーブル11aと11bの弛み取りができない場合には、例えば、図10の盛り替え側保持装置16に吊り荷を盛り替えて、シリンダ28の上側から圧油を送りピストン29を下降してプーリングヘッド引き込み板30により他方の引き込み側保持装置24bを元の状態に下降復帰させて再度前記同様の作用を繰り返すことにより弛みがなくなるまで行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−3894号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9に示すイコライザ装置25を具備したものでは、次のような問題点を有していた。
(1)吊り上げ用のセンターホールジャッキの上に、図9に示すようなイコライザ装置25を取り付けなければならないので、装置が高価になるという問題があった。
(2)この種のイコライザ装置25は、弛み取り距離が高々20〜30mmの細かな調整用であるため、吊り上げ距離Lが数100mで、弛み取り距離が数mもある場合には、すべての吊りケーブルにおける初期張力を一定にするための弛み取り作業の回数が極めて多くなり、吊り上げ作業の効率がよくなかった。
(3)弛みを取って初期張力を一定にする作業は、目視による手動操作で行っていたため、吊りケーブルが伸び切ったかどうかの見誤り、見落としなどのトラブル発生の原因となっていた。しかも、吊りケーブルの本数が多くなると1本ずつの正確な調整が困難になり、長い時間が掛かるという問題があった。
(4)吊り荷10を実際に吊り上げながら行うので、弛みのない特定の吊りケーブル11で吊り荷10の全荷重を支えることになり、吊りケーブル11の安全率の大きな太いものを使用せざるを得ず、この結果、装置自体が大型化していた。また、特定の吊りケーブル11だけで吊り荷10の全荷重を支えることになり、危険を伴うという問題もあった。
【0009】
本発明の目的は、次の通りである。
(1)段取りがし易く、かつ、安価なジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置を提供すること。
(2)狭い場所で重量の大きな吊り荷を安全に吊り上げるために、速やかにすべての吊りケーブルの荷重を均等化して、複数本の吊りケーブルをすべて有効に働かせること。
(3)弛み取り前の吊りケーブルには、重量のある吊り荷の荷重を直接掛けずに、吊り荷の荷重より小さい荷重で吊り荷が地上から離れる前に均等化すること。
(4)手動ではなく、自動的に均等化の制御をすること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような目的を達成するために、本発明によるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置は、以下のような手段により課題を解決している。
盛り替え側保持装置、センターホールジャッキ、引き込み側保持装置を順次積層し、これらの中心部に1本の吊りケーブルを挿通して単線方式のセンターホールジャッキ装置を構成し、前記センターホールジャッキにより前記引き込み側保持装置を押し上げて吊り荷の吊り上げ作業を行うジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置において、
前記単線方式のセンターホールジャッキ装置を同一のジャッキ台座の上に複数台搭載し、
これら複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるそれぞれのセンターホールジャッキと引き込み側保持装置の間に、吊り上げ距離を検出するストロークセンサを取り付け、
これらのストロークセンサを、ストローク制御部に結合し、
複数台の前記単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるそれぞれのセンターホールジャッキのシリンダに設けた送り側油圧口を1つの送り配管で連通するとともに、戻し側油圧口を1つの戻し配管で連通し、
これらの送り配管と戻し配管を吊り上げ用電動ポンプユニットに連結し、
前記ストローク制御部と吊り上げ用電動ポンプユニットを、前記それぞれの吊りケーブルの弛み取りのための吊り上げ距離を設定するとともに、前記センターホールジャッキへの圧油の送りと戻りを制御するコントロールボックスに結合し、
このコントロールボックスを、複数本の吊りケーブルの弛み取りストロークと吊り上げ油圧の制御信号を送る集中操作盤に結合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、盛り替え側保持装置、センターホールジャッキ、引き込み側保持装置を順次積層し、これらの中心部に1本の吊りケーブルを挿通して単線方式のセンターホールジャッキ装置を構成し、前記センターホールジャッキにより前記引き込み側保持装置を押し上げて吊り荷の吊り上げ作業を行うジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置において、前記単線方式のセンターホールジャッキ装置を同一のジャッキ台座の上に複数台搭載し、これら複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるそれぞれのセンターホールジャッキと引き込み側保持装置の間に、吊り上げ距離を検出するストロークセンサを取り付け、これらのストロークセンサを、ストローク制御部に結合し、複数台の前記単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるそれぞれのセンターホールジャッキのシリンダに設けた送り側油圧口を1つの送り配管で連通するとともに、戻し側油圧口を1つの戻し配管で連通し、これらの送り配管と戻し配管を吊り上げ用電動ポンプユニットに連結し、前記ストローク制御部と吊り上げ用電動ポンプユニットを、前記それぞれの吊りケーブルの弛み取りのための吊り上げ距離を設定するとともに、前記センターホールジャッキへの圧油の送りと戻りを制御するコントロールボックスに結合し、このコントロールボックスを、複数本の吊りケーブルの弛み取りストロークと吊り上げ油圧の制御信号を送る集中操作盤に結合したので、次の効果を有する。
(1)専用のイコライザ装置を用いることなく、吊り上げ用のセンターホールジャッキをイコライザ装置として兼用してストローク管理により自動制御でき、かつ、安価なジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置を提供することができる。
(2)狭い場所で重量の大きな吊り荷を吊り上げる際に、速やかにすべての吊りケーブルの荷重を均等化して、複数本の吊りケーブルをすべて有効に働かせることができる。
(3)重量のある吊り荷が地上から離れる前に吊り荷の荷重より小さい、例えば5〜60%の荷重で均等化でき、極めて安全である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、送り側油圧口と送り配管の間と、戻し側油圧口と戻し配管の間に、それぞれ圧力センサ付きバルブを介在したので、複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置のいずれかに故障が発生しても故障したもの装置だけを停止し、残りの装置で安全に吊り上げ作業ができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、ジャッキ台座に搭載した複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置を1ユニットとし、このユニットを複数台備え、ユニット毎の吊り上げ用電動ポンプユニットを1台のコントロールボックスで制御するようにしたので、狭い場所での据え付け、解体移設、その他の作業の段取りが容易である。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、盛り替え側保持装置、センターホールジャッキ、引き込み側保持装置を順次積層し、これらの中心部に1本の吊りケーブルを挿通して単線方式のセンターホールジャッキ装置を構成し、この単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるセンターホールジャッキにより前記引き込み側保持装置を押し上げて吊り荷の吊り上げ作業を行うジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法において、
同一台座に搭載した複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置における前記センターホールジャッキのすべてのシリンダを1つの送り配管で連通して吊り上げ用電動ポンプユニットから圧油を送る工程と、
前記それぞれのセンターホールジャッキのラムで前記それぞれの引き込み側保持装置を上昇させる工程と、
それぞれの引き込み側保持装置の上昇距離を吊りケーブルの弛み取り距離としてストロークセンサで検出する工程と、
いずれかの吊りケーブルの弛み取り距離が設定値に達したら1つの戻し配管からすべてのシリンダに圧油を送り、すべての吊りケーブルの荷重を盛り替え側保持装置に盛り替えてセンターホールジャッキのラムと引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程と、
前記引き込み側保持装置を上昇させる工程とストロークセンサで弛み取り距離を検出する工程と、引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程とを繰り返してすべての吊りケーブルの弛み取りを行う工程と
からなるので、吊り上げ距離が数100mもある場合における初期張力を一定にするための弛み取り作業を少ない回数で行うことができ、吊り上げ作業の効率を良くすることができる。また、初期張力を一定にする作業を自動制御とすることができ、トラブル発生をなくすることができる。さらに、初期張力が一定になるまで吊り荷の全荷重を支えることがないので、吊りケーブルの安全率の小さな細いものを使用でき、装置自体を小型化できる。また、極めて安全である。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、送り配管とそれぞれのシリンダの間に設けた圧力センサ付きバルブと、戻し配管とそれぞれのシリンダの間に設けた圧力センサ付きバルブで、それぞれのシリンダの内部圧力を検出するようにしたので、複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置のうち、1台に故障が生じても故障した圧力センサ付きバルブと圧力センサ付きバルブを閉じれば、残りで正常に吊り上げ作業ができる。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、各吊りケーブル間の弛みの差が大きく異なる初期の段階では、弛み取りストローク量をセンターホールジャッキの範囲内で大きく、かつ、油圧値を小さく設定し、各吊りケーブル間の弛みの差が小さくなったら弛み取りストローク量を小さく、かつ、圧油値を吊り荷に近い大きな値に設定して制御をするようにしたので、安全で精度よく調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による複数の単線方式のセンターホールジャッキ装置37を1ユニットとするジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の一実施例を示す一部切り欠いた正面図である。
【図2】図1における単線方式のセンターホールジャッキ装置37の詳細な断面図である。
【図3】図2における複数の単線方式のセンターホールジャッキ装置37からなるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を第1ジャッキステージ34に据え付けた状態の側面図である。
【図4】図3におけるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の平面図である。
【図5】(a)〜(e)は、鉄塔32を建設しつつ本発明によるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を用いてアンテナ10を吊り上げる作業の工程図である。
【図6】図5において、ジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9でアンテナ10を吊り上げる状態の拡大図である。
【図7】図6における鉄塔32の水平方向断面図である。
【図8】本発明による複数台のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を用いてアンテナ10を吊り上げる作業の油圧配管及び電気回路図である。
【図9】従来のイコライザ装置25の断面図である。
【図10】従来の多線方式のジャッキ吊り上げ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法は、
盛り替え側保持装置、センターホールジャッキ、引き込み側保持装置を順次積層し、これらの中心部に1本の吊りケーブルを挿通して単線方式のセンターホールジャッキ装置を構成し、この単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるセンターホールジャッキにより前記引き込み側保持装置を押し上げて吊り荷の吊り上げ作業を行うジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法において、
同一台座に搭載した複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置における前記センターホールジャッキのすべてのシリンダを1つの送り配管で連通して吊り上げ用電動ポンプユニットから圧油を送る工程と、
前記それぞれのセンターホールジャッキのラムで前記それぞれの引き込み側保持装置を上昇させる工程と、
それぞれの引き込み側保持装置の上昇距離を吊りケーブルの弛み取り距離としてストロークセンサで検出する工程と、
いずれかの吊りケーブルの弛み取り距離が設定値に達したら1つの戻し配管からすべてのシリンダに圧油を送り、すべての吊りケーブルの荷重を盛り替え側保持装置に盛り替えてセンターホールジャッキのラムと引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程と、
前記引き込み側保持装置を上昇させる工程とストロークセンサで弛み取り距離を検出する工程と、引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程とを繰り返してすべての吊りケーブルの弛み取りを行う工程と
からなる。
【0019】
また、送り配管とそれぞれのシリンダの間に設けた圧力センサ付きバルブと、戻し配管とそれぞれのシリンダの間に設けた圧力センサ付きバルブで、それぞれのシリンダの内部圧力を検出する。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
本発明によるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を、鉄塔32のアンテナなどの吊り荷10を吊り上げるときに使用した例が図5に示されており、500mの鉄塔32にさらにアンテナなどの吊り荷10を110m伸ばして全体の高さが610mとする例を示している。以下、吊り荷10として、例えば、長さ250m、重さ4000tonのアンテナの場合を例とする。
【0021】
前記鉄塔32には、図6及び図7に示すように、内部に中空部33が形成され、アンテナ10がこの中空部33内で組み立てられ、前記中空部33内を本発明のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9で吊り上げられて鉄塔32の頂部に取り付けられる。前記中空部33は、アンテナ10の吊り上げスペースとして必要最小限に形成されている。そのため、ジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を設置するための第1ジャッキステージ34(例えば250m)、第2ジャッキステージ35(例えば375m)及び第3ジャッキステージ36(例えば485m)は、鉄塔32の途中に複数本の、例えば12本の横桁58が中心に向かって放射状に前記中空部33にわずかに突出するようにして構成し、その先端部に、図4に示すように、複数台(例えば8台)の単線方式のセンターホールジャッキ装置37で1ユニットを構成した12ユニットのジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9a〜9nと、リフトアップ用の電動ポンプユニット55a〜55nと、チャック定着・開放用の電動ポンプユニット56a〜,57a〜が搭載される。
【0022】
12ユニットのジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9によるアンテナ10の吊り上げ作業の前に、ユニット毎の吊りケーブル11は、アンテナ10の下端部に設けた盛り替え装置を上下逆向きにしたようなケーブル固定枠51にケーブル結束端52で固定的に取り付けられる。
【0023】
次にジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の具体的構造を図1乃至図4に基づき説明する。
図4において、1台のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9は、ジャッキ台座50に、複数台(例えば8台)の単線方式のセンターホールジャッキ装置37が環状に搭載されて1ユニットを構成している。
一般的な前記単線方式のセンターホールジャッキ装置37は、図2に示すように、ジャッキ台座50の上に、盛り替え側保持装置16と解放油圧ジャッキ43を設けたジャッキチェア13を取り付け、このジャッキチェア13の上に、センターホールジャッキ21、解放油圧ジャッキ42,引き込み側保持装置24を順次積み重ねて取り付ける。
前記引き込み側保持装置24は、プーリングヘッド22の中心部に、縦方向に3つ割にした逆円錐形の上部グリッパ23が嵌合し、この上部グリッパ23の中心部にて吊りケーブル11を噛持する。プーリングヘッド22には、カバー48が被せられ、このカバー48と上部グリッパ23の間には、コイルばね49が介在されている。
前記解放油圧ジャッキ42は、送り口46と戻し口47を有するシリンダ45の内部にピストン44が嵌合され、送り口46からの油圧でピストン44を押し上げて引き込み側保持装置24を開放するときに使用される。この解放油圧ジャッキ42は、主に吊り下ろしのときに作動する。
前記盛り替え側保持装置16は、前記引き込み側保持装置24と同一構成で、また、前記解放油圧ジャッキ43は、前記解放油圧ジャッキ42と同一構成である。
【0024】
本発明の具体的実施例では、図2に示した単線方式のセンターホールジャッキ装置37の下端部に、図3に示すように、さらに2台の盛り替え側保持装置を取り付けたものが使用される。すなわち、ジャッキ台座50aの下に、盛り替え側保持装置16bを取り付けたジャッキ台座50bと、さらにその下に盛り替え側保持装置16cを取り付けたジャッキ台座50cが積層されて取り付けられる。
そして、第1ジャッキステージ34では、図3に示したすべてのジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9が設置される。第1ジャッキステージ34での吊り上げ作業が終了すると、盛り替え側保持装置16cとジャッキ台座50cを第1ジャッキステージ34に残したままでアンテナ10を盛り替え支持し、ジャッキ台座50bを含む上の部分を第2ジャッキステージ35に移設して吊り上げ作業をする。この第2ジャッキステージ35での吊り上げ作業が終了すると、盛り替え側保持装置16bとジャッキ台座50bを第2ジャッキステージ35に残したままでアンテナ10を盛り替え支持し、ジャッキ台座50aを含む上の部分を第3ジャッキステージ36に移設して吊り上げ作業を行う。
【0025】
図4で示した8台の単線方式のセンターホールジャッキ装置37は、環状に配置しているが、図1では、説明の都合上、横一列に配置している。また、この図1は、本発明特有の吊り上げ作業時の荷重均等化の作用を説明するものであり、図2における解放油圧ジャッキ42と解放油圧ジャッキ43は省略してある。
前記8台の単線方式のセンターホールジャッキ装置37には、すべてのセンターホールジャッキ21にストロークセンサ59を取り付け、このストロークセンサ59から引き出されたワイヤ60が上部の引き込み側保持装置24のプーリングヘッド22に固着され、ラム17の上昇距離が測定され、その距離が出力信号線61から電気信号で出力される。また、すべての送り側油圧口18は、圧力センサ付きバルブ40を介在して送り配管38にて連通し、さらに、すべての戻し側油圧口19は、圧力センサ付きバルブ41を介在して戻し配管39にて連通している。
【0026】
図8は、油圧制御回路を示すもので、全体の制御を指令する集中操作盤53は、コントロールボックス54に接続され、このコントロールボックス54は、ストローク制御部62a〜62n、吊り上げ用電動ポンプユニット55a〜55nに結合され、ユニット化された12のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9のセンターホールジャッキ21を制御する。また、コントロールボックス54は、チャックの定着・開放用電動ポンプユニット56a〜56nと、チャックの定着・開放用電動ポンプユニット57a〜57nに結合され、主に吊り下ろす時にユニット化された12のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の引き込み側保持装置24と盛り替え側保持装置16を制御する。
【0027】
前記吊り上げ用電動ポンプユニット55a〜55nにおける送り油口には、ユニット化された12のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の送り配管38に結合され、戻し油口側には、戻し配管39に結合されている。
チャックの定着・開放用電動ポンプユニット56a〜56nの送り油口と戻し油口側には、ユニット化された12のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の引き込み側保持装置24に結合され、また、チャックの定着・開放用電動ポンプユニット57a〜57nの送り油口と戻し油口側には、ユニット化された12のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の盛り替え側保持装置16に結合されている。
【0028】
次に本発明により各吊りケーブル11の弛み取りを行い、張力及び各吊り上げ点の吊り上げ力を一定に調整する作用を説明する。
図6及び図7において、第1ジャッキステージ34の12箇所の横桁58に図4に示す8台の単線方式のセンターホールジャッキ装置37からなる12ユニットのジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9が据え付けられる。1ユニット毎の吊りケーブル11の下端部をアンテナ10のケーブル固定枠51のケーブル結束端52に結合する。この例では、吊りケーブル11の合計本数は、96本であり、吊り上げ作業の初期状態では、それぞれの弛みが異なる状態となる。この時点では、アンテナ10は、地上に載置されている。
集中操作盤53では、各単線方式のセンターホールジャッキ装置37における吊りケーブル11の弛み取りをしようとするストローク量と弛み取りのための荷重を設定し、この設定値をコントロールボックス54に送る。設定されるストローク量は、センターホールジャッキ21におけるラム17の駆動ストローク以内、例えば駆動ストロークが20cmのとき、18cmとし、また、設定される1本当たりの吊りケーブル11の荷重は、例えば、吊り上げるときの1本当たりの吊りケーブル11に係る最大荷重の50〜60%程度とする。コントロールボックス54からのこれらの信号により吊り上げ用電動ポンプユニット55a〜55nは、送り配管38を介してユニット毎のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9に圧油を送る。すると、送り配管38から圧力センサ付きバルブ40を経て各単線方式のセンターホールジャッキ装置37におけるセンターホールジャッキ21の送り側油圧口18に圧油を送り、各センターホールジャッキ21のラム17を押し上げ、シリンダ20内の油は戻し側油圧口19,圧力センサ付きバルブ41、戻し配管39を経て吊り上げ用電動ポンプユニット55に戻される。
【0029】
ここで、個々の吊りケーブル11毎の圧力センサ付きバルブ40は、かかっている負荷に応じて異なる圧力が検出される。吊り上げ用電動ポンプユニット55a〜55nからは、同一の圧油が送られるので、圧力の少ない(弛みの大きい)吊りケーブル11のセンターホールジャッキ21のラム17は、より多く押し上げられてワイヤ60の伸びが大きく、逆に圧力の大きい(弛みの小さい)吊りケーブル11のセンターホールジャッキ21のラム17は、押し上げが少なく、ワイヤ60の伸び小さい。各ラム17の押し上げられた距離は、ストロークセンサ59から出力信号線61を介してストローク制御部62に送られる。
すべてのストロークセンサ59のうちのいずれか1つのストロークセンサ59の検出値が設定値(18cm)に達するまで各センターホールジャッキ21のラム17は、押し上げられて、図1に示すように、引き込み側保持装置24は、上下ばらばらの位置で停止する。
【0030】
上下ばらばらの位置で停止したら、吊り上げ用電動ポンプユニット55から戻し配管39,圧力センサ付きバルブ41を経て各センターホールジャッキ21の戻し側油圧口19に圧油を送り、各センターホールジャッキ21の送り側油圧口18を戻し側に切り替えると、荷重は、盛り替え側保持装置16に盛り替えられ、すべての引き込み側保持装置24は無荷重となってラム17とともに元の下端位置まで戻される。
再度コントロールボックス54からの信号により吊り上げ用電動ポンプユニット55a〜55nは、送り配管38を介してユニット毎のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9に圧油を送り、ストロークを検出して弛み取りを行い、各センターホールジャッキ21における引き込み側保持装置24の位置が同一になるまで同様の動作を繰り返す。
【0031】
前述の各吊りケーブル11の弛み取りを行う工程において、各吊りケーブル11間の弛みの差が大きく異なる初期の段階では、弛み取りストローク量をセンターホールジャッキ21の範囲内で大きく、かつ、油圧値を小さく設定し、弛みの差が小さくなったら弛み取りストローク量を小さく、かつ、圧油値を吊り荷に近い大きな値に設定して制御をすることにより、安全で精度よく調整できる。
また、弛み取りは、吊り荷を吊り上げるセンターホールジャッキ21を利用しているので、イコライザ装置を用いることなく、しかも、調整するストロークを大きく取ることができ、作業時間を大幅に短縮することができる。
図9に示す従来のイコライザ装置25では、当初の段階から吊り荷10の全荷重をいずれかの吊りケーブル11にかけて均等化するように調整しているが、本発明では、吊り上げ用電動ポンプユニット55から吊りケーブル11の全荷重より小さな荷重をかけて大きなストローク量を調整することで、徐々にすべての吊りケーブル11に全荷重を分担させることができる。また、バルブ40、41の圧力センサによる異常な圧力の検出と相俟って安全で、確実な荷重管理ができる。また、手動ではないので、熟練者によらずに、自動制御により調整できる。
【0032】
つぎに、500mの鉄塔32にさらにアンテナ10を110m伸ばして全体の高さが610mの塔を建設する作業工程を図5(a)〜(e)に基づき説明する。
図5(a):まず地上基礎31を構築し、その上に300mの鉄塔32を建設する。この鉄塔32には、アンテナ10を吊り上げ、その後エレベータ等を設けるための中心に直径が約10mの中空部33を形成する。この鉄塔32の250mにおける中空部33の周りの第1ジャッキステージ34に、本発明によるジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を12ユニット据え付ける。前記中空部33の下部では、アンテナ10の上端部をジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9の吊りケーブル11で吊り上げながら順次組み立てる。
【0033】
図5(b):アンテナ10が所定長(例えば250m)になるまで、第1ジャッキステージ34のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9で吊りケーブル11により吊り上げながら組み立てる。
【0034】
図5(c):鉄塔32を上方に向って建設しつつ、アンテナ10を組み立て、組み立てたアンテナ10が所定の長さ(例えば250m)になったら、吊りケーブル11をアンテナ10の上端部から下端部に吊り直す。アンテナ10は、第1ジャッキステージ34用の図3に示すジャッキ台座50cと盛り替え側保持装置16cに全荷重を盛り替え、これらのジャッキ台座50cと盛り替え側保持装置16cを残して、図3に示す第2ジャッキステージ35用のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を375mの第2ジャッキステージ35に移設する。そして、第2ジャッキステージ35用のジャッキ台座50bと盛り替え側保持装置16bに荷重を盛り替える。第1ジャッキステージ34用のジャッキ台座50cと盛り替え側保持装置16cを解体する。第2ジャッキステージ35用のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9と吊りケーブル11でアンテナ10を吊り上げる。
【0035】
図5(d):鉄塔32を上方に向って建設しつつ、第2ジャッキステージ35用のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9と吊りケーブル11でアンテナ10を375mまで吊り上げたら、第2ジャッキステージ35用のジャッキ台座50bと盛り替え側保持装置16bに全荷重を盛り替え、図3に示す第3ジャッキステージ36用のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を485mの第3ジャッキステージ36に移設する。
【0036】
図5(e):移設した第3ジャッキステージ36用のジャッキ台座50aと盛り替え側保持装置16aに吊りケーブル11の全荷重を盛り替え、第2ジャッキステージ35用のジャッキ台座50bと盛り替え側保持装置16bを解体する。第3ジャッキステージ36のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9でアンテナ10の上端が目的の高さ(例えば610m)になるまでアンテナ10を吊り上げて鉄塔32の中空部33に固定する。固定後、第3ジャッキステージ36のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置9を解体する。
【0037】
各単線方式のセンターホールジャッキ装置37の送り側油圧口18は、圧力センサ付きバルブ40を介して送り配管38に連結し、また、戻し側油圧口19は、圧力センサ付きバルブ41を介して戻し配管39に連結したことにより、8台の単線方式のセンターホールジャッキ装置37のうち、1台に故障が生じても故障した圧力センサ付きバルブ40と圧力センサ付きバルブ41を閉じれば、残りの7台で正常に吊り上げ作業ができる。
【符号の説明】
【0038】
9…ジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置、10…アンテナなどの吊り荷、11…吊りケーブル、12…架台、13…ジャッキチェア、14…アンカーヘッド、15…下部グリッパ、16…盛り替え側保持装置、17…ラム、18…送り側油圧口、19…戻し側油圧口、20…シリンダ、21…センターホールジャッキ、22…プーリングヘッド、23…上部グリッパ、24…引き込み側保持装置、25…イコライザ装置、26a,26b…シリンダ、27…連通路、28…シリンダ、29…ピストン、30…プーリングヘッド引き込み板、31…地上基礎、32…鉄塔、33…中空部、34…第1ジャッキステージ、35…第2ジャッキステージ、36…第3ジャッキステージ、37…単線方式のセンターホールジャッキ、38…送り配管、39…戻し配管、40…圧力センサ付きバルブ、41…圧力センサ付きバルブ、42…解放油圧ジャッキ、43…解放油圧ジャッキ、44…ピストン、45…シリンダ、46…送り口、47…戻し口、48…カバー、49…コイルばね、50…ジャッキ台座、51…ケーブル固定枠、52…ケーブル結束端、53…集中操作盤、54…コントロールボックス、55…吊り上げ用電動ポンプユニット、56…チャックの定着・開放用電動ポンプユニット、57…チャックの定着・開放用電動ポンプユニット、58…横桁、59…ストロークセンサ、60…ワイヤ、61…出力信号線、62…ストローク制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盛り替え側保持装置、センターホールジャッキ、引き込み側保持装置を順次積層し、これらの中心部に1本の吊りケーブルを挿通して単線方式のセンターホールジャッキ装置を構成し、前記センターホールジャッキにより前記引き込み側保持装置を押し上げて吊り荷の吊り上げ作業を行うジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置において、前記単線方式のセンターホールジャッキ装置を同一のジャッキ台座の上に複数台搭載し、これら複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるそれぞれのセンターホールジャッキと引き込み側保持装置の間に、吊り上げ距離を検出するストロークセンサを取り付け、これらのストロークセンサを、ストローク制御部に結合し、複数台の前記単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるそれぞれのセンターホールジャッキのシリンダに設けた送り側油圧口を1つの送り配管で連通するとともに、戻し側油圧口を1つの戻し配管で連通し、これらの送り配管と戻し配管を吊り上げ用電動ポンプユニットに連結し、前記ストローク制御部と吊り上げ用電動ポンプユニットを、前記それぞれの吊りケーブルの弛み取りのための吊り上げ距離を設定するとともに、前記センターホールジャッキへの圧油の送りと戻りを制御するコントロールボックスに結合し、このコントロールボックスを、複数本の吊りケーブルの弛み取りストロークと吊り上げ油圧の制御信号を送る集中操作盤に結合したことを特徴とするジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置。
【請求項2】
送り側油圧口と送り配管の間と、戻し側油圧口と戻し配管の間に、それぞれ圧力センサ付きバルブを介在したことを特徴とする請求項1記載のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置。
【請求項3】
ジャッキ台座に搭載した複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置を1ユニットとし、このユニットを複数台備え、ユニット毎の吊り上げ用電動ポンプユニットを1台のコントロールボックスで制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り装置。
【請求項4】
盛り替え側保持装置、センターホールジャッキ、引き込み側保持装置を順次積層し、これらの中心部に1本の吊りケーブルを挿通して単線方式のセンターホールジャッキ装置を構成し、この単線方式のセンターホールジャッキ装置におけるセンターホールジャッキにより前記引き込み側保持装置を押し上げて吊り荷の吊り上げ作業を行うジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法において、
同一台座に搭載した複数台の単線方式のセンターホールジャッキ装置における前記センターホールジャッキのすべてのシリンダを1つの送り配管で連通して吊り上げ用電動ポンプユニットから圧油を送る工程と、
前記それぞれのセンターホールジャッキのラムで前記それぞれの引き込み側保持装置を上昇させる工程と、
それぞれの引き込み側保持装置の上昇距離を吊りケーブルの弛み取り距離としてストロークセンサで検出する工程と、
いずれかの吊りケーブルの弛み取り距離が設定値に達したら1つの戻し配管からすべてのシリンダに圧油を送り、すべての吊りケーブルの荷重を盛り替え側保持装置に盛り替えてセンターホールジャッキのラムと引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程と、
前記引き込み側保持装置を上昇させる工程とストロークセンサで弛み取り距離を検出する工程と、引き込み側保持装置を元の位置に戻す工程とを繰り返してすべての吊りケーブルの弛み取りを行う工程と
からなることを特徴とするジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法。
【請求項5】
送り配管とそれぞれのシリンダの間に設けた圧力センサ付きバルブと、戻し配管とそれぞれのシリンダの間に設けた圧力センサ付きバルブで、それぞれのシリンダの内部圧力を検出するようにしたことを特徴とする請求項4記載のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法。
【請求項6】
各吊りケーブル間の弛みの差が大きく異なる初期の段階では、弛み取りストローク量をセンターホールジャッキの範囲内で大きく、かつ、油圧値を小さく設定し、各吊りケーブル間の弛みの差が小さくなったら弛み取りストローク量を小さく、かつ、圧油値を吊り荷に近い大きな値に設定して制御をすることを特徴とする請求項4又は5記載のジャッキ式吊り上げ兼弛み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−68463(P2011−68463A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221196(P2009−221196)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(592182573)オックスジャッキ株式会社 (19)