説明

ジョイントコネクタ

【課題】コネクタハウジングに形成される仕切り壁同士の間隔にかかわらず、そのコネクタハウジングによる電線側端子の係止力を高く維持する。
【解決手段】電線側端子同士を短絡させるためのジョイント端子と、このジョイント端子を保持するコネクタハウジング40とを備える。ジョイント端子は、特定方向に配列された複数の電気接触部32と、これらの電気接触部32につながる短絡部とを有する。コネクタハウジング40には、電気接触部同士の間に介在する仕切り壁44と、各電線側端子を係止する複数のランス46とが形成される。仕切り壁44は、電気接触部32の配列方向と平行な方向からみてランス46と重なるのを回避する形状を有することにより、ランス46の幅寸法の設定の自由度を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ワイヤハーネス等において、複数の電線からなる分岐回路の形成等を目的として、前記各電線の端末にそれぞれ設けられた複数の電線側端子同士を電気的に短絡させるのに用いられるジョイントコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のようなジョイントコネクタとして、特許文献1に記載されるものが知られている。このジョイントコネクタは、ジョイント端子と、このジョイント端子を保持するコネクタハウジング(コネクタハウジング)とを備える。前記ジョイント端子は、複数の電線の端末にそれぞれ設けられた電線側端子同士を短絡させるためのジョイント端子である。
【0003】
前記ジョイント端子は、複数本の電気接触部と、連結部とを一体に有する。前記電気接触部は、特定方向に配列され、前記連結部により相互連結される。各電気接触部に電線側端子が接触可能であり、この接触により全ての電線側端子が前記ジョイント端子を介して相互に短絡される。
【0004】
前記コネクタハウジングは、複数の仕切り壁及び複数のランスを有する。各仕切り壁は、前記電気接触部のうち互いに隣接する電気接触部同士の間に介在する。各ランスは、前記各仕切り壁同士の間に形成され、前記各電線側端子をこの電線側端子が電気接触部と接触する位置に係止する端子係止片として機能する。
【特許文献1】特開平6−176832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、前記のようなジョイントコネクタをはじめとする各種コネクタの小型化が進められている。しかし、このようなコネクタの小型化が進められるほど、当該コネクタハウジングのランス(端子係止部)が電線側端子を係止する係止力を十分に確保することが難しくなる。
【0006】
前記係止力を高く保持するには、前記ランスの幅を十分に大きくとることが有効であるが、前記各ランスは前記各仕切り壁同士の間に形成されているため、当該ランスの拡幅には著しい制限がある。前記ランスの幅をこのランスを挟む仕切り壁同士の間隔に近づけるほど、当該ランスの両側面が仕切り壁に近づくため、当該ランスの僅かなねじれでも当該ランスと前記仕切り壁との接触を招くおそれが生じる。この接触は、ランスの作動不良の要因となる。また、前記コネクタハウジングを樹脂成形する場合、前記ランスの両側面と前記仕切り壁との隙間を小さく設定することは、その成形のための金型の製作を著しく難しくする。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、コネクタハウジングの仕切り壁と端子係止片との干渉を確実に回避しながら、コネクタハウジングによる電線側端子の係止力を高く維持することが可能なジョイントコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するための手段として、ジョイントコネクタに特有の事情、特に、コネクタハウジングに形成される仕切り壁の役割について着目した。通常のコネクタでは、互いに隣接する端子同士を絶縁する必要があるため、コネクタハウジングに形成される仕切り壁には絶縁壁としての機能が求められる。従って、当該仕切り壁は各端子を完全に隔離する形状を有しなければならない。逆にジョイントコネクタは、端子同士を短絡させることを目的としたものであるので、そのコネクタハウジングの仕切り壁に絶縁壁としての機能は求められず、その他の目的(例えばコネクタハウジングの補強や挿入される端子の案内)を達成し得る形状であれば十分である。
【0009】
本発明は、このような観点からなされたものであり、複数の電線の端末にそれぞれ設けられた複数の電線側端子同士を電気的に短絡させるためのジョイントコネクタであって、導電材料からなり、前記各電線側端子に共通して接続されることによりこれらの電線側端子同士を短絡させるジョイント端子と、絶縁材料により成形され、前記ジョイント端子を格納した状態で保持するコネクタハウジングとを備え、前記ジョイント端子は、前記各電線側端子と接触可能な形状を有し、特定方向に配列される複数の電気接触部と、これらの電気接触部の配列方向に延び、各電気接触部とつながる短絡部とを一体に有し、前記コネクタハウジングは、前記ジョイント端子を保持する端子保持部と、この端子保持部により保持されるジョイント端子の互いに隣接する電気接触部同士の間に介在して前記各電線側端子がそれぞれ挿入可能な複数の端子挿入空間を画定する複数の仕切り壁と、前記端子挿入空間ごとに設けられ、その端子挿入空間に挿入されて前記電気接触部と接触する電線側端子を係止する複数の端子係止片とを一体に有し、前記各端子係止片は、対応する電線側端子と係合可能な係止部を有するとともに、この係止部が前記電線側端子からその挿入方向と直交する方向に退避するように撓み変位することが可能な形状を有し、前記各仕切り壁は、前記電気接触部の配列方向と平行な方向からみて前記端子係止片と重なるのを回避する形状を有するものである。
【0010】
このジョイントコネクタでは、ジョイント端子の電気接触部同士の間にそれぞれ介在する複数の仕切り壁が各端子挿入空間を画定するとともにコネクタハウジングを有効に補強する一方、各仕切り壁は前記電気接触部の配列方向と平行な方向からみて前記端子係止片と重なるのを回避する形状を有するため、これらの仕切り壁の間隔にかかわらずコネクタハウジングの端子係止片の幅を大きく設定してその係止力を高く保持することが可能である。しかも、上述のように、ジョイントコネクタでは端子間を絶縁する機能が求められないので、当該仕切り壁が前記のように端子係止部を回避する形状、すなわち電線側端子同士を完全に隔離しない形状であっても特に支障がない。
【0011】
前記コネクタハウジングは、前記各電気接触部に嵌合される電線側端子を前記端子係止片と反対の側から覆う本体壁を有し、前記各仕切り壁は前記本体壁から前記コネクタハウジングの内側に突出するものが好適である。
【0012】
このコネクタハウジングでは、前記本体壁から突出する各仕切り壁が前記本体壁の剛性を有効に高める。
【0013】
当該本体壁から各仕切り壁が突出するコネクタハウジングでは、前記各仕切り壁は、前記端子係止片と前記本体壁との間に介在し、前記本体壁から端子係止片までの最短距離よりも小さい突出寸法を有する部分と、前記端子係止片から前記電線側端子の挿入方向と平行な方向に外れた位置で前記本体壁から端子係止片までの最短距離よりも大きな突出寸法を有する部分とを一体に有するものが、好ましい。このコネクタハウジングでは、前記端子係止片と前記仕切り壁との干渉を回避しながら、当該仕切り壁の長手寸法(電線側端子の挿入方向と平行な方向の寸法)及び突出寸法の双方を大きく確保することができる。
【0014】
また、前記端子保持部が、前記各端子係止片から前記各電線側端子の挿入方向と平行な方向に外れた位置で前記ジョイント端子の短絡部を保持するものである場合、前記各仕切り壁は、前記端子保持部と前記各端子係止片との間に介在しかつ前記端子保持部と一体につながる部分を有していれば、コネクタハウジングの強度はさらに高まる。
【0015】
そして、前記各仕切り壁のうち前記端子保持部と前記各端子係止片との間に介在しかつ前記端子保持部と一体につながる部分は、前記本体壁から端子係止片までの最短距離よりも大きな突出寸法を有することが、より好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係るジョイントコネクタによれば、ジョイント端子の電気接触部同士の間に仕切り壁が介在することにより、コネクタハウジングの有効な補強や電線側端子の案内等が達成される一方、当該仕切り壁との干渉を回避しながら端子係止片の幅を増やすことが可能であるために当該端子係止片による係止力を高く保持することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1〜図7は、この実施の形態に係るジョイントコネクタJCを示す。このジョイントコネクタJCは、図8及び図9に示す複数本(図例では4本)の電線10の端末にそれぞれ設けられた電線側端子20同士を短絡させるためのものである。
【0019】
前記各電線10は、導体12と、この導体12を被覆する絶縁被覆14とを備え、この絶縁被覆14の端末が除去されることにより前記導体12の端末が露出している。そして、この導体12の端末に前記電線側端子20が圧着されている。
【0020】
この実施の形態に係る電線側端子20は、雌型の電気接触部22と電線圧着部24とを前後に有する。前記電気接触部22は、中空角筒状の本体と、この本体内で撓み可能に設けられる接触ばね片26とを有する。前記電線圧着部24は、前記導体12の端末を抱き込む姿勢で当該導体12に圧着されることにより当該導体に電気的に接続される。
【0021】
前記ジョイントコネクタJCは、図5に示されるジョイント端子30と、このジョイント端子30を保持するためのコネクタハウジング40とを備える。前記ジョイント端子30は、導電材料からなり、前記各電線側端子20に共通して接続されることによりこれらの電線側端子20同士を短絡させる。前記コネクタハウジング40は、合成樹脂等の絶縁材料により全体が一体に成型され、前記ジョイント端子を格納した状態で保持することが可能な形状を有する。
【0022】
この実施の形態に係るジョイント端子30は、単一の金属板により構成される。具体的には、複数の電気接触部32と、短絡部34とを一体に有する。各電気接触部32は、前記各電線側端子20の雌型の電気接触部22に嵌入可能な雄型(タブ)であり、これらの電気接触部32がその幅方向と平行な方向に配列されている。前記短絡部34は、前記電気接触部32の配列方向に延び、この短絡部34に前記各電気接触部32の基端がつながっている。
【0023】
前記コネクタハウジング40は、平板状の本体壁41と、この本体壁41の幅方向両端部から立ち上がる左右の側壁42と、前記本体壁41及び前記側壁42の後端(図5〜図7では左端)につながる端子保持部43と、前記本体壁41からハウジング内方に突出する複数の仕切り壁44と、補助壁45と、この補助壁45につながる複数のランス(端子係止片)46とを一体に有する。
【0024】
前記端子保持部43は、前記本体壁41の後端につながり、前記ジョイント端子30の短絡部34を保持する形状を有する。具体的には、前記短絡部34よりも一回り大きい外形を有し、前記短絡部34が後方(図5では左方)から挿入可能なジョイント端子挿入口43aを囲む。そして、当該挿入口43aから、前記各電気接触部32を前方に向けた姿勢で端子保持部43内に前記短絡部34が圧入される。より詳しくは、当該短絡部34の幅方向両端部に図5に示すような突起34aが形成され、これらの突起34aが前記端子保持部43の内側面に食い込むようにして前記ジョイント端子挿入口42a内に前記短絡部34が固定される。
【0025】
この端子保持部43の幅寸法は、当該端子保持部43が前記短絡部34を保持する強度を十分に確保するために他の部分の幅寸法よりも大きい寸法に設定されている。つまり、この端子保持部43の幅方向両端部は、前記左右両側壁42の外側面よりも外側に突出する突出部43bを形成している。
【0026】
前記各仕切り壁44は、前記端子保持部43により保持される前記ジョイント端子30のうちの互いに隣接する電気接触部32同士の間に介在する位置で、前記本体壁41の内側面からコネクタハウジング40の内側(図1〜図10に示されるジョイントコネクタJCの姿勢では上側)に突出する。これらの仕切り壁44は、前記端子保持部43からその反対側の端部(コネクタハウジング40の前端部)に至るまで、連続的にかつ直線的に延びている。
【0027】
互いに隣り合う仕切り壁44は、その間に、前記電気接触部32に接続されるべき電線側端子20が挿入可能な挿入空間47を画定する。これらの挿入空間47は前記コネクタハウジング40の前端側(前記端子保持部43と反対の側)に開口しており、その開口から前記電線側端子20が挿入される。
【0028】
前記補助壁45は、前記コネクタハウジング40の前側部分(前記端子保持部43と反対側の部分)に形成され、前記各挿入空間47を前記本体壁41と反対の側(図1〜図10に示されるジョイントコネクタJCの姿勢では上側)から覆うように前記各側壁42及び前記各仕切り壁44につながっている。つまり、各挿入空間47は、前記本体壁41と、前記補助壁45と、前記仕切り壁44または前記側壁42とによって四方から囲まれている。
【0029】
前記各ランス46は、前記挿入空間47ごとに設けられている。詳しくは、前記補助壁44から後方(前記端子保持部43に向かう方向)に各ランス46が延びている。これらのランス46の端部は前記本体壁41から離れる向き(図1〜図10では上向き)に撓み変位可能な自由端部となっている。そして、この自由端部に係止部46aが形成されている。
【0030】
各係止部46aは、図8及び図9に示されるように前記挿入空間47に挿入されて前記電気接触部32と嵌合する電線側端子20を係止するものである。具体的に、各係止部46aは、当該電線側端子20の上面に形成された段部に対してコネクタハウジング40の前側(図9では右側)から当接可能な爪状をなし、その当接により、当該電線側端子20が前記コネクタハウジング40から抜けるのを阻止する。
【0031】
これらの係止部46aは、前記電線側端子20が前記挿入空間47に挿入される際にこの電線側端子20の上面と接触し、この電線側端子20により押し上げられる、つまり外向きに(前記本体壁41と反対側に)撓み変位させられる。そして、当該電線側端子20が前記電気接触部32と完全に嵌合した時点で元の位置に弾性復帰し、前記電線側端子20と係合する。この係合は、各電線側端子20とこれに対応する電気接触部32との間での通電状態を良好に保ち、ひいては、ジョイント端子30を媒介として電線側端子20同士を短絡する回路を良好に維持する。
【0032】
そして、このジョイントコネクタJCの特徴として、前記各仕切り壁44は、図6及び図7に示すように、前記電気接触部32の配列方向と平行な方向(側方)からみて前記ランス46と重なるのを回避する形状を有している。
【0033】
具体的に、各仕切り壁44は、前記本体壁41と前記ランス46との間に介在する中央壁部44aと、前記ランス46の後端と前記端子保持部43との間に介在する後側壁部44bと、前記中央壁部44aよりも前側の位置で前記補助壁45につながる前側壁部44cとを一体に有する。そして、前記中央壁部44aが前記本体壁41から前記ランス46までの最短距離よりも小さい突出寸法を有する一方、前記後側壁部44bおよび前記前側壁部44cがいずれも前記最短距離よりも大きな突出寸法を有している。換言すれば、前記各仕切り壁44には、この仕切り壁44が電気接触部32の配列方向と平行な方向から見て前記ランス46の存在領域を回避することを可能にする矩形状の切欠44dが形成されている。
【0034】
このような形状をもつ仕切り壁44は、当該仕切り壁44に近接するランス46の側面との接触を確実に回避する。このことは、当該仕切り壁44の配列間隔にかかわらず前記ランス46の幅寸法を大きく設定することを可能にし、これにより当該ランス46による電線側端子20の係止力を高めることを可能にする。
【0035】
具体的に、この実施の形態では、各ランス46の幅寸法が仕切り壁44同士の間隔とほぼ同等(僅かに小さい)寸法に設定されている。この寸法設定は、前記各仕切り壁44が側方から見てランス46との重なりを回避する形状を有していることによりはじめて実現されるものである。仮に、当該仕切り壁44が当該ランス46同士の間に介在する部分も含む形状(側方からみてランス46と重なる形状)を有する場合、前記のような寸法設定を行うと当該仕切り壁44と当該ランス46との隙間がきわめて微小なものとなるため、当該ランス46の僅かなねじれが当該ランス46と当該仕切り壁44との接触を生じさせ、この接触がランス46の作動不良を引き起こすおそれがある。また、当該ランス46及び仕切り壁44を含むコネクタハウジング40を成型するための金型の製作は困難をきわめることになる。
【0036】
これに対し、仕切り壁44が前記図6及び図7等に示されるような形状を有していれば、当該仕切り壁44の存在にかかわらずランス46の幅寸法を大きく設定することが可能である。しかも、ここに示すジョイントコネクタJCは通常のコネクタと異なり、端子間を短絡することを目的とするものであって、前記仕切り壁44に端子同士を絶縁する絶縁壁としての機能は求められないため、当該仕切り壁44に図6及び図7に示すような切欠44dが形成されていても何ら支障はない。
【0037】
特に、この実施の形態に係る仕切り壁44では、前記本体壁41と前記ランス46との間に介在する中央壁部44aが前記本体壁41から前記ランス46までの最短距離よりも小さい突出寸法を有する一方、当該ランス46から前後に(つまり電線側端子20の挿入方向と平行な方向に)前側壁部44b及び後側壁部44cが前記最短距離よりも大きな突出寸法を有しているため、前記仕切り壁44と前記ランス46との干渉を確実に回避しながらも、仕切り壁44の突出寸法を可能なかぎり稼いでそのハウジング補強効果や端子案内効果を高く維持することが可能である。さらに、前記後側壁部44cが前記端子保持部43と一体につながっているため、前記補強効果は増強される。
【0038】
なお、この実施の形態に係るジョイントコネクタJCでは、前記の構成に加え、前記本体壁41の前端(前記端子保持部43の反対側の端部)に突出部48が形成されている。この突出部48は、前記本体壁41から外向きすなわち前記端子保持部43の幅方向と直交する向きに突出するもので、当該本体壁41の幅方向全域にわたって形成されている。この突出部48は、ジョイントコネクタJCに接続された電線10の引張強度を試験する際に治具に保持される被保持部として機能するのと同時に、当該ジョイントコネクタJCがテープを用いてワイヤハーネスに巻付けられる際に、前記端子保持部43の両突出部43bと協働して前記テープの位置を安定させるテープ規制部として機能することが可能である。
【0039】
前記引張試験を行うための治具の例を図10に示す。この図に示される治具50は、前記ジョイントコネクタJC全体を格納可能な容器状をなし、かつ、当該ジョイントコネクタJCにつながる電線10を当該治具50の外部に導出するための窓52を有している。さらに、この窓52の周縁部には、前記突出部48に対して外側から当接可能な当接壁54が形成されている。
【0040】
前記引張試験は、前記治具50内に前記ジョイントコネクタJCを格納した状態で前記電線10に引張荷重を加えることにより行われる。このとき、前記突出部48と前記当接壁54とが当接することにより前記治具50から前記ジョイントコネクタJCから離脱することが阻止されるため、当該ジョイントコネクタJCにつながる電線10に適正な引張荷重を付与することができる。
【0041】
図11は、前記ジョイントコネクタJCが自動車等のワイヤハーネス56の幹線(支線でもよい。)にテープ(例えば粘着テープ)58により巻付けられた状態を示す。このジョイントコネクタJCには、前記ワイヤハーネス56に含まれる電線または外部から導かれた電線が分岐接続対象の電線10として接続され、当該電線10同士が当該ジョイントコネクタJCのジョイント端子30を介して相互に短絡される。
【0042】
前記ジョイントコネクタJCは、前記本体壁41及び前記突出部48が外を向く姿勢、すなわち前記ランス46がワイヤハーネス56の幹線の外周面に対向する姿勢で、当該外周面上に固定される。ここで、前記端子保持部43bの突出部43bと前記突出部48との間隔(コネクタハウジング40内への電線側端子20の挿入方向と平行な方向の間隔)が前記テープ58の幅寸法と略同等に設定されていれば、当該突出部43b及び前記突出部48を前記テープ58の位置決め部として機能させることが可能である。
【0043】
なお、本発明に係る仕切り壁は、図示の仕切り壁44のように端子保持部43からその反対側の端部に至るまで全域にわたって延びるものに限定されない。例えば、前記端子保持部43と前記ランス46との間に介在する後側壁部44bのみからなるものでもよいし、当該後側壁部44bと中央壁部44aとのみを有するものでもよい。また、当該仕切り壁の目的は、コネクタハウジング40の補強と電線側端子20の案内とを兼ねていなくてもよく、いずれか一方のみを目的とするものでもよい。
【0044】
前記仕切り壁44と前記ランス46との重なりを回避するための仕切り壁44の形状は、図示のような矩形状の切欠44dを有するものに限られない。例えば、端子保持部43から前記ランス46の前端の位置にかけて仕切り壁44の突出量が連続的に減少するような形状であってもよい。
【0045】
ランス46の幅寸法も自由に設定可能である。成型上の支障がなければ当該ランス46の幅寸法が仕切り壁44同士の間隔と同等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係るジョイントコネクタの斜視図である。
【図2】前記ジョイントコネクタの平面図である。
【図3】前記ジョイントコネクタの側面図である。
【図4】前記ジョイントコネクタの正面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】図2のVII−VII線断面図である。
【図8】前記ジョイントコネクタに各電線が接続された状態を示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】前記ジョイントコネクタが引張試験用の治具に格納された状態を示す断面図である。
【図11】前記ジョイントコネクタがワイヤハーネスの幹線に巻付けられた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
JC ジョイントコネクタ
10 電線
20 電線側端子
30 ジョイント端子
32 電気接触部
34 短絡部
40 コネクタハウジング
41 本体壁
43 端子保持部
44 仕切り壁
44a 中央壁部
44b 後側壁部
44c 前側壁部
44d 切欠
46 ランス(端子係止片)
46a 係止部
47 挿入空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線の端末にそれぞれ設けられた複数の電線側端子同士を電気的に短絡させるためのジョイントコネクタであって、
導電材料からなり、前記各電線側端子に共通して接続されることによりこれらの電線側端子同士を短絡させるジョイント端子と、
絶縁材料により成形され、前記ジョイント端子を格納した状態で保持するコネクタハウジングとを備え、
前記ジョイント端子は、前記各電線側端子と接触可能な形状を有し、特定方向に配列される複数の電気接触部と、これらの電気接触部の配列方向に延び、各電気接触部とつながる短絡部とを一体に有し、
前記コネクタハウジングは、前記ジョイント端子を保持する端子保持部と、この端子保持部により保持されるジョイント端子の互いに隣接する電気接触部同士の間に介在し、前記各電線側端子がそれぞれ挿入可能な複数の端子挿入空間を画定する複数の仕切り壁と、前記端子挿入空間ごとに設けられ、その端子挿入空間に挿入されて前記電気接触部と接触する電線側端子を係止する複数の端子係止片とを一体に有し、
前記各端子係止片は、対応する電線側端子と係合可能な係止部を有するとともに、この係止部が前記電線側端子からその挿入方向と直交する方向に退避するように撓み変位することが可能な形状を有し、
前記各仕切り壁は、前記電気接触部の配列方向と平行な方向からみて前記端子係止片と重なるのを回避する形状を有することを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のジョイントコネクタにおいて、
前記コネクタハウジングは、前記各電気接触部に接触する電線側端子を前記端子係止片と反対の側から覆う本体壁を有し、
前記各仕切り壁は前記本体壁から前記コネクタハウジングの内側に突出するものであることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のジョイントコネクタにおいて、
前記各仕切り壁は、前記端子係止片と前記本体壁との間に介在し、前記本体壁から端子係止片までの最短距離よりも小さい突出寸法を有する部分と、前記端子係止片から前記電線側端子の挿入方向と平行な方向に外れた位置で前記本体壁から端子係止片までの最短距離よりも大きな突出寸法を有する部分とを有することを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のジョイントコネクタにおいて、
前記端子保持部は、前記各端子係止片から前記各電線側端子の挿入方向と平行な方向に外れた位置で前記ジョイント端子の短絡部を保持するものであり、
前記各仕切り壁は、前記端子保持部と前記各端子係止片との間に介在しかつ前記端子保持部と一体につながる部分を有することを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のジョイントコネクタにおいて、
前記各仕切り壁のうち前記端子保持部と前記各端子係止片との間に介在しかつ前記端子保持部と一体につながる部分は、前記本体壁から端子係止片までの最短距離よりも大きな突出寸法を有することを特徴とするジョイントコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−16292(P2009−16292A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179517(P2007−179517)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)