ジョイント部材
【課題】 収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するようにして簡単かつ強固に接合できると共に、滑り止め部材の端部相互の接合部分が綺麗に仕上げられ、この接合部分に物などが引っ掛かったりするのを適切に防止できるようにする。
【解決手段】 収容溝部１２内に滑り止め用シート材１１が収容された細長状の滑り止め部材１０の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材２０において、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材２１の内面に、カバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材２２を設けた。
【解決手段】 収容溝部１２内に滑り止め用シート材１１が収容された細長状の滑り止め部材１０の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材２０において、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材２１の内面に、カバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材２２を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材に係り、滑り止め部材の端部相互を簡単かつ強固に接合できると共に、滑り止め部材の端部相互の接合部分が綺麗に仕上げられ、この接合部分に物などが引っ掛かったりするのを適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、階段等の段部や床における滑りを防止するため、樹脂等で構成された滑り止め用シート材を収容溝部内に収容させた細長状の滑り止め部材を、階段等の段部や床に取り付けることが行われている。
【０００３】
ここで、このように滑り止め用シート材を収容溝部内に収容させた細長状の滑り止め部材を階段等の段部や床に取り付けるにあたって、この滑り止め部材を階段等の段部や床におけるコーナー部分等に交差するようにして取り付ける場合、従来においては、図１に示すように、滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部を、それぞれ滑り止め部材１０相互を接合させるコーナー部分等の角度に対応させて適切な角度で傾斜するように切断し、このように傾斜させた切断した各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部相互を接合させるようにしていた。
【０００４】
しかし、このように滑り止め部材１０相互を接合させるコーナー部分等の角度に対応させて、各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部をそれぞれ適切な角度で傾斜するように切断させる作業は非常に困難であり、時間を要すると共に、各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部が適切な角度でうまく切断されず、滑り止め部材１０の端部相互の接合させた場合に、この接合部分に隙間が生じ、仕上がり状態が悪くなると共に、この接合部分の隙間に物などが引っ掛かり、安全性も低下するという問題があった。
【０００５】
さらに、上記の滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部を、それぞれコーナー部分等の角度に対応させて適切な角度で傾斜するように切断し、このように傾斜させた切断した各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部相互を適切に接合させた場合においても、熱によって上記の滑り止め用シート材１１が伸縮し、滑り止め用シート材１１の端部相互が押されて盛り上がったり、接合された滑り止め用シート材１１の端部相互が離間されたりして、仕上がり状態が悪くなったり、安全性が低下したりするという問題があった。
【０００６】
また、上記のような滑り止め部材とは用途や分野が異なるが、従来においては、特許文献１に示されるように、ビニールシートを骨組みに止着する手段として使用される開口部が幅狭の溝形をなす２本のシート止め材を直角に連結するにあたり、この２本のシート止め材を直角に連結するジョイント部材として、２本のシート止め材の内部に差し込むＬ字形状の内ジョイントと、直角に連結された２本のシート止め材の連結部における開口部を覆うＬ字形状のカバージョイントとを用いるようにしたものが提案されている。
【０００７】
そして、上記のジョイント部材によって２本のシート止め材を直角に連結するにあたっては、２本のシート止め材の内部にＬ字形状の内ジョイントを差し込んだ後、直角に連結された２本のシート止め材の連結部における開口部を覆うようにＬ字形状のカバージョイントを装着させ、この状態で、カバージョイントの両側の部分の上からそれぞれボルトを内ジョイントに設けられたねじ孔にねじ込んで締め付け、シート止め材の両側壁をこの内ジョイントとカバージョイントとにより挟み込んで、２本のシート止め材を直角に連結させるようにしている。
【０００８】
しかし、この特許文献１に示されるものは、上記のように滑り止め用シート材を収容溝部内に収容させた細長状の滑り止め部材を階段等の段部や床に取り付ける滑り止め部材とはその用途や分野が全く異なるものであり、また上記の滑り止め部材を階段等の段部や床におけるコーナー部分等に交差するようにして取り付けるにあたり、上記のようなジョイント部材を用いた場合、カバージョイントの両側の部分の上から内ジョイントに設けられたねじ孔にねじ込んだボルトが上に突出して、接合部分の仕上がり状態が悪くなると共に、突出したボルトに物などが引っ掛かり、安全性も低下するという問題があった。
【０００９】
さらに、上記の特許文献１に示されるものにおいては、上記のように２本のシート止め材の内部にＬ字形状の内ジョイントを差し込んだ後、直角に連結された２本のシート止め材の連結部における開口部を覆うようにＬ字形状のカバージョイントを装着させ、この状態で、カバージョイントの両側の部分の上からそれぞれボルトを内ジョイントに設けられたねじ孔にねじ込むため、ボルトを位置合わせする等の作業が必要になり、ジョイント部材によって２本のシート止め材を連結させる作業は非常に困難になる等の問題があった。
【特許文献１】特開２００７−２８２５１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
この発明は、収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させる場合における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【００１１】
すなわち、この発明においては、上記のように収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるにあたり、適切なジョイント部材を使用し、滑り止め部材の端部相互を簡単かつ強固に接合できると共に、滑り止め部材の端部相互の接合部分が綺麗に仕上げられ、この接合部分に物などが引っ掛かったりするのを適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材において、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材の内面に、このカバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けた。
【００１３】
ここで、このジョイント部材においては、各滑り止め部材に対応させて、上記のカバー部材の内面に、各滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けることが好ましい。
【００１４】
また、上記のジョイント部材においては、上記の係止部材を上記のカバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けることが好ましい。
【００１５】
さらに、上記のジョイント部材を金属で構成することが好ましい。
【発明の効果】
【００１６】
この発明におけるジョイント部材においては、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材の内面に、このカバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けたため、従来のように、接合させる各滑り止め部材及び滑り止め用シート材の端部をそれぞれ接合させるコーナー部分等の角度に対応させて適切な角度で傾斜するように切断させるひつようがなく、このジョイント部材のカバー部材内に、接合させる各滑り止め部材の端部を挿入させると共に、滑り止め部材の収容溝部内に上記の係止部材を係止させることにより、簡単に滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させることができる。
【００１７】
また、滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるコーナー部分が上記のジョイント部材のカバー部材によって被覆されているため、従来のように、滑り止め部材の端部相互の接合させた接合部分に隙間が生じるということがなく、良好な仕上がり状態が得られると共に、接合部分の隙間に物などが引っ掛かり、安全性が低下するということもない。
【００１８】
また、このジョイント部材においては、滑り止め部材の収容溝部内に上記の係止部材を係止させるようにしたため、このジョイント部材が滑り止め部材から外れるのが防止され、特に、カバー部材の内面に、各滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けると、端部相互を交差するように接合させる各滑り止め部材からこのジョイント部材が外れるのが防止されて、このジョイント部材によって滑り止め部材相互が強固に接合されるようになる。
【００１９】
また、上記のジョイント部材において、上記のカバー部材の内面に係止部材を設けるにあたり、係止部材をカバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けると、上記のようにジョイント部材のカバー部材内に各滑り止め部材の端部を挿入させて、滑り止め部材の収容溝部内に上記の係止部材を係止させた場合において、滑り止め部材の収容溝部内に収容させる滑り止め用シート材を、カバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けられた係止部材と当接する位置まで導くことができ、滑り止め部材の収容溝部内に収容させた滑り止め用シート材の端部が上記のカバー部材に被覆されて見えなくなり、滑り止め部材の端部相互を接合させた接合部分がより良好な仕上がり状態になる。
【００２０】
また、このように滑り止め部材の収容溝部内に収容させた滑り止め用シート材の端部を上記のカバー部材によって被覆させると、熱によって上記の滑り止め用シート材が伸縮した場合においても、従来のように滑り止め用シート材の端部相互が押されて盛り上がるということがなく、また滑り止め用シート材が収縮した場合においても、滑り止め用シート材の端部が露出するということがなく、良好な仕上がり状態が維持されると共に、安全性が低下するということもない。
【００２１】
さらに、上記のジョイント部材を金属で構成すると、このジョイント部材の強度が増し、このジョイント部材を踏みつけた場合においても、このジョイント部材が変形したり、破損したりするのが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
以下、この発明の実施形態に係るジョイント部材及びこのジョイント部材を用いて収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させる場合を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るジョイント部材は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【００２３】
この実施形態においては、図２に示すような、上部が収縮した収容溝部１２内に樹脂等で構成された滑り止め用シート材１１が嵌め込むようにして収容されると共に、階段等の段部１のけ込み面１ａに延出させる前面保護部１３が設けられた細長状のステンレス等の金属で構成された滑り止め部材１０を用いた場合において、この滑り止め部材１０の端部相互を直角に交差するように接合させるのに用いるジョイント部材２０について説明する。
【００２４】
この実施形態のジョイント部材２０においては、図３及び図４に示すように、上記のように直角に交差するように接合させる各滑り止め部材１０の端部を差し込むように収容させて、上記の前面保護部１３を含めて各滑り止め部材１０の端部を被覆する平面鉤型状に折り曲げられたカバー部材２１と、凸部２２ａの両側から滑り止め部材１０の収容溝部１１内に係止させる係止鍔２２ｂが側方に延出された係止部材２２とをそれぞれステンレス等の金属で構成し、上記の係止部材２２における凸部２２ａを、各滑り止め部材１０の端部を挿入させるカバー部材２１の各端部からそれぞれ所要間隔を介したカバー部材２１の内面に溶接等によって取り付けている。
【００２５】
ここで、この実施形態のジョイント部材２０を用いて、上記の滑り止め部材１０の端部相互を直角に交差するように接合させるにあたっては、図５及び図６に示すように、上記の各滑り止め部材１０の端部を、それぞれジョイント部材２０におけるカバー部材２１のそれぞれの端部からカバー部材２１の内部に挿入させると共に、カバー部材２１の内面に取り付けられた上記の各係止部材２２の係止鍔２２ｂを各滑り止め部材１０の収容溝部１１内に挿入させて、各滑り止め部材１０の端部をカバー部材２１の内面に取り付けられた各係止部材２２に係止させる。そして、各滑り止め部材１０の収容溝部１２内に収容させる上記の滑り止め用シート材１１を、カバー部材２１の内面に取り付けられた上記の各係止部材２２に当たる位置までカバー部材２１の内部に挿入させ、収容溝部１１内に滑り止め用シート材１１が収容された滑り止め部材１０の端部相互を、このジョイント部材２０により直角に交差するように接合させる。
【００２６】
このようにして滑り止め部材１０の端部相互をジョイント部材２０により直角に交差するように接合させると、このジョイント部材２０におけるカバー部材２１により、各滑り止め部材１０の端部及び各滑り止め部材１０の収容溝部１２内に収容された各滑り止め用シート材１１の端部が被覆され、従来のように、滑り止め部材１０の端部相互の接合させた接合部分に隙間が生じるということがなく、良好な仕上がり状態が得られると共に、接合部分の隙間に物などが引っ掛かるということがなく、安全性が向上する。
【００２７】
また、上記のようにカバー部材２１の内面に設けた各係止部材２２の係止鍔２２ｂを各滑り止め部材１０の収容溝部１１内に挿入させて、各滑り止め部材１０の端部をカバー部材２１の内面に設けられた各係止部材２２に係止させるようにしたため、各滑り止め部材１０からこのジョイント部材２０が外れるのが防止されて、このジョイント部材２０によって滑り止め部材１０相互が強固に接合されるようになる。
【００２８】
また、この実施形態においては、上記のように各滑り止め部材１０の端部をそれぞれジョイント部材２０におけるカバー部材２１のそれぞれの端部からカバー部材２１の内部に挿入させるにあたり、図５に示すように、一方の滑り止め部材１０をカバー部材２１の内面に当接するまでカバー部材２１の内部に挿入させる一方、他方の滑り止め部材１０をこの一方の滑り止め部材１０と当接する位置までカバー部材２１の内部に挿入させるようにしている。
【００２９】
このようにして各滑り止め部材１０の端部をそれぞれジョイント部材２０におけるカバー部材２１の内部に挿入させると、上記の各滑り止め部材１０が略カバー部材２１の内部全体に挿入された状態になって、このカバー部材２１全体が各滑り止め部材１０によって支持されるようになり、このカバー部材２１のコーナー部も、カバー部材２１の内面に当接するまで挿入された滑り止め部材１０によってその強度が向上し、このジョイント部材２０を踏みつけた場合においても、ジョイント部材２０が変形したり、破損したりするのが一層防止される。
【００３０】
なお、この実施形態のジョイント部材２０においては、カバー部材２１を平面鉤型状に折り曲げ、カバー部材２１滑り止め部材１０の端部相互を直角に交差するようにして接合させるようにしたが、滑り止め部材１０の端部相互を直角以外の角度で交差するように接合させる場合には、滑り止め部材１０の端部相互を交差させる角度に対応させて、このジョイント部材２０におけるカバー部材２１を折り曲げる角度を変更させるようにする。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】滑り止め用シート材が収容溝部内に収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するようにして取り付ける従来例の概略平面図である。
【図２】この発明の実施形態に係るジョイント部材を用いて接合させる滑り止め部材を段部に取り付ける状態を示した概略斜視図である。
【図３】この発明の実施形態に係るジョイント部材の概略平面図である。
【図４】同実施形態に係るジョイント部材の概略断面図である。
【図５】同実施形態に係るジョイント部材を用いて滑り止め部材の端部相互を直角に交差するように接合させた状態を示した概略平面図である。
【図６】同実施形態に係るジョイント部材を用いて滑り止め部材の端部相互を直角に交差するように接合させた状態を示した概略断面図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 段部
１ａ け込み面
１０ 滑り止め部材
１１ 滑り止め用シート材
１２ 収容溝部
１３ 前面保護部
２０ ジョイント部材
２１ カバー部材
２２ 係止部材
２２ａ 凸部
２２ｂ 係止鍔
【技術分野】
【０００１】
この発明は、収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材に係り、滑り止め部材の端部相互を簡単かつ強固に接合できると共に、滑り止め部材の端部相互の接合部分が綺麗に仕上げられ、この接合部分に物などが引っ掛かったりするのを適切に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、階段等の段部や床における滑りを防止するため、樹脂等で構成された滑り止め用シート材を収容溝部内に収容させた細長状の滑り止め部材を、階段等の段部や床に取り付けることが行われている。
【０００３】
ここで、このように滑り止め用シート材を収容溝部内に収容させた細長状の滑り止め部材を階段等の段部や床に取り付けるにあたって、この滑り止め部材を階段等の段部や床におけるコーナー部分等に交差するようにして取り付ける場合、従来においては、図１に示すように、滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部を、それぞれ滑り止め部材１０相互を接合させるコーナー部分等の角度に対応させて適切な角度で傾斜するように切断し、このように傾斜させた切断した各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部相互を接合させるようにしていた。
【０００４】
しかし、このように滑り止め部材１０相互を接合させるコーナー部分等の角度に対応させて、各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部をそれぞれ適切な角度で傾斜するように切断させる作業は非常に困難であり、時間を要すると共に、各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部が適切な角度でうまく切断されず、滑り止め部材１０の端部相互の接合させた場合に、この接合部分に隙間が生じ、仕上がり状態が悪くなると共に、この接合部分の隙間に物などが引っ掛かり、安全性も低下するという問題があった。
【０００５】
さらに、上記の滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部を、それぞれコーナー部分等の角度に対応させて適切な角度で傾斜するように切断し、このように傾斜させた切断した各滑り止め部材１０及び滑り止め用シート材１１の端部相互を適切に接合させた場合においても、熱によって上記の滑り止め用シート材１１が伸縮し、滑り止め用シート材１１の端部相互が押されて盛り上がったり、接合された滑り止め用シート材１１の端部相互が離間されたりして、仕上がり状態が悪くなったり、安全性が低下したりするという問題があった。
【０００６】
また、上記のような滑り止め部材とは用途や分野が異なるが、従来においては、特許文献１に示されるように、ビニールシートを骨組みに止着する手段として使用される開口部が幅狭の溝形をなす２本のシート止め材を直角に連結するにあたり、この２本のシート止め材を直角に連結するジョイント部材として、２本のシート止め材の内部に差し込むＬ字形状の内ジョイントと、直角に連結された２本のシート止め材の連結部における開口部を覆うＬ字形状のカバージョイントとを用いるようにしたものが提案されている。
【０００７】
そして、上記のジョイント部材によって２本のシート止め材を直角に連結するにあたっては、２本のシート止め材の内部にＬ字形状の内ジョイントを差し込んだ後、直角に連結された２本のシート止め材の連結部における開口部を覆うようにＬ字形状のカバージョイントを装着させ、この状態で、カバージョイントの両側の部分の上からそれぞれボルトを内ジョイントに設けられたねじ孔にねじ込んで締め付け、シート止め材の両側壁をこの内ジョイントとカバージョイントとにより挟み込んで、２本のシート止め材を直角に連結させるようにしている。
【０００８】
しかし、この特許文献１に示されるものは、上記のように滑り止め用シート材を収容溝部内に収容させた細長状の滑り止め部材を階段等の段部や床に取り付ける滑り止め部材とはその用途や分野が全く異なるものであり、また上記の滑り止め部材を階段等の段部や床におけるコーナー部分等に交差するようにして取り付けるにあたり、上記のようなジョイント部材を用いた場合、カバージョイントの両側の部分の上から内ジョイントに設けられたねじ孔にねじ込んだボルトが上に突出して、接合部分の仕上がり状態が悪くなると共に、突出したボルトに物などが引っ掛かり、安全性も低下するという問題があった。
【０００９】
さらに、上記の特許文献１に示されるものにおいては、上記のように２本のシート止め材の内部にＬ字形状の内ジョイントを差し込んだ後、直角に連結された２本のシート止め材の連結部における開口部を覆うようにＬ字形状のカバージョイントを装着させ、この状態で、カバージョイントの両側の部分の上からそれぞれボルトを内ジョイントに設けられたねじ孔にねじ込むため、ボルトを位置合わせする等の作業が必要になり、ジョイント部材によって２本のシート止め材を連結させる作業は非常に困難になる等の問題があった。
【特許文献１】特開２００７−２８２５１０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
この発明は、収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させる場合における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【００１１】
すなわち、この発明においては、上記のように収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるにあたり、適切なジョイント部材を使用し、滑り止め部材の端部相互を簡単かつ強固に接合できると共に、滑り止め部材の端部相互の接合部分が綺麗に仕上げられ、この接合部分に物などが引っ掛かったりするのを適切に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材において、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材の内面に、このカバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けた。
【００１３】
ここで、このジョイント部材においては、各滑り止め部材に対応させて、上記のカバー部材の内面に、各滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けることが好ましい。
【００１４】
また、上記のジョイント部材においては、上記の係止部材を上記のカバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けることが好ましい。
【００１５】
さらに、上記のジョイント部材を金属で構成することが好ましい。
【発明の効果】
【００１６】
この発明におけるジョイント部材においては、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材の内面に、このカバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けたため、従来のように、接合させる各滑り止め部材及び滑り止め用シート材の端部をそれぞれ接合させるコーナー部分等の角度に対応させて適切な角度で傾斜するように切断させるひつようがなく、このジョイント部材のカバー部材内に、接合させる各滑り止め部材の端部を挿入させると共に、滑り止め部材の収容溝部内に上記の係止部材を係止させることにより、簡単に滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させることができる。
【００１７】
また、滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるコーナー部分が上記のジョイント部材のカバー部材によって被覆されているため、従来のように、滑り止め部材の端部相互の接合させた接合部分に隙間が生じるということがなく、良好な仕上がり状態が得られると共に、接合部分の隙間に物などが引っ掛かり、安全性が低下するということもない。
【００１８】
また、このジョイント部材においては、滑り止め部材の収容溝部内に上記の係止部材を係止させるようにしたため、このジョイント部材が滑り止め部材から外れるのが防止され、特に、カバー部材の内面に、各滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材を設けると、端部相互を交差するように接合させる各滑り止め部材からこのジョイント部材が外れるのが防止されて、このジョイント部材によって滑り止め部材相互が強固に接合されるようになる。
【００１９】
また、上記のジョイント部材において、上記のカバー部材の内面に係止部材を設けるにあたり、係止部材をカバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けると、上記のようにジョイント部材のカバー部材内に各滑り止め部材の端部を挿入させて、滑り止め部材の収容溝部内に上記の係止部材を係止させた場合において、滑り止め部材の収容溝部内に収容させる滑り止め用シート材を、カバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けられた係止部材と当接する位置まで導くことができ、滑り止め部材の収容溝部内に収容させた滑り止め用シート材の端部が上記のカバー部材に被覆されて見えなくなり、滑り止め部材の端部相互を接合させた接合部分がより良好な仕上がり状態になる。
【００２０】
また、このように滑り止め部材の収容溝部内に収容させた滑り止め用シート材の端部を上記のカバー部材によって被覆させると、熱によって上記の滑り止め用シート材が伸縮した場合においても、従来のように滑り止め用シート材の端部相互が押されて盛り上がるということがなく、また滑り止め用シート材が収縮した場合においても、滑り止め用シート材の端部が露出するということがなく、良好な仕上がり状態が維持されると共に、安全性が低下するということもない。
【００２１】
さらに、上記のジョイント部材を金属で構成すると、このジョイント部材の強度が増し、このジョイント部材を踏みつけた場合においても、このジョイント部材が変形したり、破損したりするのが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２２】
以下、この発明の実施形態に係るジョイント部材及びこのジョイント部材を用いて収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させる場合を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るジョイント部材は、特に下記の実施形態に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【００２３】
この実施形態においては、図２に示すような、上部が収縮した収容溝部１２内に樹脂等で構成された滑り止め用シート材１１が嵌め込むようにして収容されると共に、階段等の段部１のけ込み面１ａに延出させる前面保護部１３が設けられた細長状のステンレス等の金属で構成された滑り止め部材１０を用いた場合において、この滑り止め部材１０の端部相互を直角に交差するように接合させるのに用いるジョイント部材２０について説明する。
【００２４】
この実施形態のジョイント部材２０においては、図３及び図４に示すように、上記のように直角に交差するように接合させる各滑り止め部材１０の端部を差し込むように収容させて、上記の前面保護部１３を含めて各滑り止め部材１０の端部を被覆する平面鉤型状に折り曲げられたカバー部材２１と、凸部２２ａの両側から滑り止め部材１０の収容溝部１１内に係止させる係止鍔２２ｂが側方に延出された係止部材２２とをそれぞれステンレス等の金属で構成し、上記の係止部材２２における凸部２２ａを、各滑り止め部材１０の端部を挿入させるカバー部材２１の各端部からそれぞれ所要間隔を介したカバー部材２１の内面に溶接等によって取り付けている。
【００２５】
ここで、この実施形態のジョイント部材２０を用いて、上記の滑り止め部材１０の端部相互を直角に交差するように接合させるにあたっては、図５及び図６に示すように、上記の各滑り止め部材１０の端部を、それぞれジョイント部材２０におけるカバー部材２１のそれぞれの端部からカバー部材２１の内部に挿入させると共に、カバー部材２１の内面に取り付けられた上記の各係止部材２２の係止鍔２２ｂを各滑り止め部材１０の収容溝部１１内に挿入させて、各滑り止め部材１０の端部をカバー部材２１の内面に取り付けられた各係止部材２２に係止させる。そして、各滑り止め部材１０の収容溝部１２内に収容させる上記の滑り止め用シート材１１を、カバー部材２１の内面に取り付けられた上記の各係止部材２２に当たる位置までカバー部材２１の内部に挿入させ、収容溝部１１内に滑り止め用シート材１１が収容された滑り止め部材１０の端部相互を、このジョイント部材２０により直角に交差するように接合させる。
【００２６】
このようにして滑り止め部材１０の端部相互をジョイント部材２０により直角に交差するように接合させると、このジョイント部材２０におけるカバー部材２１により、各滑り止め部材１０の端部及び各滑り止め部材１０の収容溝部１２内に収容された各滑り止め用シート材１１の端部が被覆され、従来のように、滑り止め部材１０の端部相互の接合させた接合部分に隙間が生じるということがなく、良好な仕上がり状態が得られると共に、接合部分の隙間に物などが引っ掛かるということがなく、安全性が向上する。
【００２７】
また、上記のようにカバー部材２１の内面に設けた各係止部材２２の係止鍔２２ｂを各滑り止め部材１０の収容溝部１１内に挿入させて、各滑り止め部材１０の端部をカバー部材２１の内面に設けられた各係止部材２２に係止させるようにしたため、各滑り止め部材１０からこのジョイント部材２０が外れるのが防止されて、このジョイント部材２０によって滑り止め部材１０相互が強固に接合されるようになる。
【００２８】
また、この実施形態においては、上記のように各滑り止め部材１０の端部をそれぞれジョイント部材２０におけるカバー部材２１のそれぞれの端部からカバー部材２１の内部に挿入させるにあたり、図５に示すように、一方の滑り止め部材１０をカバー部材２１の内面に当接するまでカバー部材２１の内部に挿入させる一方、他方の滑り止め部材１０をこの一方の滑り止め部材１０と当接する位置までカバー部材２１の内部に挿入させるようにしている。
【００２９】
このようにして各滑り止め部材１０の端部をそれぞれジョイント部材２０におけるカバー部材２１の内部に挿入させると、上記の各滑り止め部材１０が略カバー部材２１の内部全体に挿入された状態になって、このカバー部材２１全体が各滑り止め部材１０によって支持されるようになり、このカバー部材２１のコーナー部も、カバー部材２１の内面に当接するまで挿入された滑り止め部材１０によってその強度が向上し、このジョイント部材２０を踏みつけた場合においても、ジョイント部材２０が変形したり、破損したりするのが一層防止される。
【００３０】
なお、この実施形態のジョイント部材２０においては、カバー部材２１を平面鉤型状に折り曲げ、カバー部材２１滑り止め部材１０の端部相互を直角に交差するようにして接合させるようにしたが、滑り止め部材１０の端部相互を直角以外の角度で交差するように接合させる場合には、滑り止め部材１０の端部相互を交差させる角度に対応させて、このジョイント部材２０におけるカバー部材２１を折り曲げる角度を変更させるようにする。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】滑り止め用シート材が収容溝部内に収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するようにして取り付ける従来例の概略平面図である。
【図２】この発明の実施形態に係るジョイント部材を用いて接合させる滑り止め部材を段部に取り付ける状態を示した概略斜視図である。
【図３】この発明の実施形態に係るジョイント部材の概略平面図である。
【図４】同実施形態に係るジョイント部材の概略断面図である。
【図５】同実施形態に係るジョイント部材を用いて滑り止め部材の端部相互を直角に交差するように接合させた状態を示した概略平面図である。
【図６】同実施形態に係るジョイント部材を用いて滑り止め部材の端部相互を直角に交差するように接合させた状態を示した概略断面図である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 段部
１ａ け込み面
１０ 滑り止め部材
１１ 滑り止め用シート材
１２ 収容溝部
１３ 前面保護部
２０ ジョイント部材
２１ カバー部材
２２ 係止部材
２２ａ 凸部
２２ｂ 係止鍔
【特許請求の範囲】
【請求項１】
収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材において、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材の内面に、このカバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材が設けられてなることを特徴とするジョイント部材。
【請求項２】
請求項１に記載したジョイント部材において、上記のカバー部材の内面に、各滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材が設けられてなることを特徴とするジョイント部材。
【請求項３】
請求項１又は請求項２に記載したジョイント部材において、上記の係止部材が上記のカバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けられていることを特徴とするジョイント部材。
【請求項４】
請求項１〜請求項３の何れか１項に記載したジョイント部材において、上記のジョイント部材が金属で構成されていることを特徴とするジョイント部材。
【請求項１】
収容溝部内に滑り止め用シート材が収容された細長状の滑り止め部材の端部相互を交差するように接合させるジョイント部材において、接合される各滑り止め部材の端部を被覆するカバー部材の内面に、このカバー部材によって被覆された少なくとも一つの滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材が設けられてなることを特徴とするジョイント部材。
【請求項２】
請求項１に記載したジョイント部材において、上記のカバー部材の内面に、各滑り止め部材の収容溝部内に係止させる係止部材が設けられてなることを特徴とするジョイント部材。
【請求項３】
請求項１又は請求項２に記載したジョイント部材において、上記の係止部材が上記のカバー部材の端部から所要間隔を介したカバー部材の内面に設けられていることを特徴とするジョイント部材。
【請求項４】
請求項１〜請求項３の何れか１項に記載したジョイント部材において、上記のジョイント部材が金属で構成されていることを特徴とするジョイント部材。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１０−７０９３８（Ｐ２０１０−７０９３８Ａ）
【公開日】平成２２年４月２日（２０１０．４．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２３７７８７（Ｐ２００８−２３７７８７）
【出願日】平成２０年９月１７日（２００８．９．１７）
【出願人】（５９５１１１５９４）株式会社アシスト (6)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年４月２日（２０１０．４．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年９月１７日（２００８．９．１７）
【出願人】（５９５１１１５９４）株式会社アシスト (6)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]