スイッチギヤ
【課題】スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の高温の絶縁性ガスが放出されることができるスイッチギヤを提供することを目的とする。
【解決手段】筐体内が複数のコンパートメントに区画され、主回路部品が収納された上記コンパートメントと、前記コンパートメントの天井部に設けられた放圧フラッパと、前記コンパートメントの前記放圧フラッパの上部に配置された放圧ダクトと、前記放圧ダクト内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダクト板とを備えたものである。
【解決手段】筐体内が複数のコンパートメントに区画され、主回路部品が収納された上記コンパートメントと、前記コンパートメントの天井部に設けられた放圧フラッパと、前記コンパートメントの前記放圧フラッパの上部に配置された放圧ダクトと、前記放圧ダクト内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダクト板とを備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたスイッチギヤに関し、特に内部の短絡事故等の発生時における圧力上昇を速やかに放圧する放圧構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたスイッチギヤとしては、真空遮断器や断路器などが配置されたガスタンク容器を備え、そのガスタンク容器の内部に例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたものがある。そして、ガスタンク容器の天井部には短絡事故等の発生時における圧力上昇を速やかに放圧するための放圧フラッパが設けられている。この放圧フラッパは定常運転時には閉じられており、ガスタンク容器の内部が短絡事故等の発生により圧力上昇したときに放圧フラッパは開放されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−221878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のスイッチギヤにおいては、ガスタンク容器の内部に例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されて運転されており、その絶縁性ガスは高温状態となっている。
【0005】
ところで、ガスタンク容器の内部において、その内部に配置された機器の短絡事故等によりアークが発生すると、そのガスタンク容器の内部圧力が上昇し、ガスタンク容器の天井部に設けた放圧フラッパが開放されてガスタンク容器内部の高温の絶縁性ガスが放出されるようになっている。
【0006】
通常、スイッチギヤが据え付けられている電気室は天井の高さが限られてきており、また、スイッチギヤの高さも所定の高さ寸法が必要となっている。このような状態において、ガスタンク容器の内部の短絡事故等により、ガスタンク容器の内部圧力が急上昇してガスタンク容器の天井部に設けた放圧フラッパが開放されると、ガスタンク容器内部の高温の絶縁性ガスが高い圧力でかつ急流速で放出される。したがって、高温の絶縁性ガスが高い圧力でかつ急流速で放出されるので、電気室の天井が低い場合には、高温の絶縁性ガスが電気室の天井ではね返り、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに回り込み支障を来す可能性があるという課題がある。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の絶縁性ガスを放出させることができるスイッチギヤを得ることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わるスイッチギヤは、筐体内が複数のコンパートメントに区画され、主回路部品が収納された上記コンパートメントと、前記コンパートメントの天井部に設けられた放圧フラッパと、前記コンパートメントの前記放圧フラッパの上部に配置された放圧ダクトと、前記放圧ダクト内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダ
クト板とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係わるスイッチギヤは、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の絶縁性ガスを放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤを示す断面側面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す正面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【0011】
【図6】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部の他の例を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1ないし図5に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤを示す断面側面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。図3はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す正面図である。図4はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す平面図である。図5はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【0013】
これら各図において、1は制御機器ユニット、2は三相の母線、3は内部に例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたガスタンク容器であり、三相の母線2が貫挿されて取り付けられている。4はガスタンク容器3内に配置された断路器・接地開閉器切替機構であり、切替操作機構5により切り替え操作される。6はガスタンク容器3内に配置された真空バルブであり、操作機構7により開閉操作される。8は三相の母線2と断路器・接地開閉器切替機構4、真空バルブ6とを接続する分岐導体である。
【0014】
9はガスタンク容器3の天井部に設けられ、短絡事故等の発生時における圧力上昇を速やかに放圧するための放圧フラッパである。この放圧フラッパ9は定常運転時には閉じられており、ガスタンク容器3の内部が短絡事故等の発生により圧力上昇したときに放圧フ
ラッパ9は開放されるように構成されている。
【0015】
10はガスタンク容器3の放圧フラッパ9の上部に配置された放圧ダクト、11は放圧ダクト10内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダクト板であり、図は一例として、放圧ダクト板11は第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の5枚から構成された場合を示している。
【0016】
また、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115は例えば中央部近辺に折曲部11aが設けられ、それら折曲部11aは上方側にくるよう配置されている。すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115はそれぞれ山形状に配置される。
【0017】
そして、放圧ダクト板11には例えば図5に示すように多数の通気孔12が形成されている。すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれ多数の通気孔12が形成されている。13は放圧ダクト10の出口部に設けられたダクトフラッパである。
【0018】
次に、上述した実施の形態1におけるスイッチギヤの動作について説明する。ガスタンク容器3の内部には例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されており、定常運転時にはそのガスタンク容器3の内部に圧縮封入されたドライエアガス等の絶縁性ガスにより、ガスタンク容器3の内部の機器、すなわち、断路器・接地開閉器切替機構4、真空バルブ6、分岐導体8などが冷却されて絶縁性が保たれている。また、ガスタンク容器3の内部のドライエアガス等の絶縁性ガスは高温状態となっている。
【0019】
ところで、ガスタンク容器3の内部の短絡事故等により、ガスタンク容器3の内部圧力が急上昇してガスタンク容器3の天井部に設けた放圧フラッパ9が開放されても直ぐにスイッチギヤの周囲に高い圧力でかつ急流速で放出されることはない。
【0020】
ガスタンク容器3の放圧フラッパ9の上部には放圧ダクト10が配置されており、その放圧ダクト10内には複数枚の放圧ダクト板11、すなわち、5枚で構成される第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115が配置されている。したがって、放圧フラッパ9が開放されると、ガスタンク容器3内部の高温の絶縁性ガスが高い圧力でかつ急流速で放出される。
【0021】
しかし、放圧フラッパ9から高い圧力でかつ急速度で放出された高温の絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した最下段の第1放圧ダクト板111の下面に突き当たり、その第1放圧ダクト板111に設けた多数の通気孔12を通って第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出される。このように、第1放圧ダクト板111の下面に突き当たり、その第1放圧ダクト板111に設けた多数の通気孔12を通って第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出されることにより、放圧フラッパ9から放出されたときの絶縁性ガスの圧力が低下しかつ流速も低下するとともに、第1放圧ダクト板111の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度も低下する。
【0022】
次に、第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した下から2段目の第2放圧ダクト板112の下面に突き当たり、その第2放圧ダクト板112に設けた多数の通気孔12を通って第2放圧ダクト
板112と第3放圧ダクト板113との間に放出される。このように、第2放圧ダクト板112の下面に突き当たり、その第2放圧ダクト板112に設けた多数の通気孔12を通って第2放圧ダクト板112と第3放圧ダクト板113との間に放出されることにより、第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第2放圧ダクト板112の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0023】
次に、第2放圧ダクト板112と第3放圧ダクト板113との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した下から3段目の第3放圧ダクト板113の下面に突き当たり、その第3放圧ダクト板113に設けた多数の通気孔12を通って第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出される。このように、第3放圧ダクト板113の下面に突き当たり、その第3放圧ダクト板113に設けた多数の通気孔12を通って第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出されることにより、第2放圧ダクト板112と第3放圧ダクト板113との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第3放圧ダクト板113の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0024】
次に、第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した上から2段目の第4放圧ダクト板114の下面に突き当たり、その第4放圧ダクト板114に設けた多数の通気孔12を通って第4放圧ダクト板114と第5放圧ダクト板115との間に放出される。このように、第4放圧ダクト板114の下面に突き当たり、その第4放圧ダクト板114に設けた多数の通気孔12を通って第4放圧ダクト板112と第5放圧ダクト板115との間に放出されることにより、第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第4放圧ダクト板114の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0025】
次に、第4放圧ダクト板114と第5放圧ダクト板115との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した最上段の第5放圧ダクト板115の下面に突き当たり、その第5放圧ダクト板115に設けた多数の通気孔12を通って第5放圧ダクト板115の上方側に放出される。このように、第5放圧ダクト板115の下面に突き当たり、その第5放圧ダクト板115に設けた多数の通気孔12を通って第5放圧ダクト板115の上方側に放出されることにより、第4放圧ダクト板114と第5放圧ダクト板115との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第5放圧ダクト板115の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0026】
次に、第5放圧ダクト板115の上方側に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10の出口部に設けたダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される。この放圧ダクト10の出口部に設けたダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ通過することにより段階的に絶縁性ガスの圧力、流速、温度が順次低下され、ガスタンク容器3の放圧フラッパ9から放出されたときの絶縁性ガスの圧力、流速、温度に比べて、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのない程度まで低下させることができる。その結果、スイッチギヤが接地される電気室の天井が低い場合にあっても、放圧ダクト10のダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される絶縁性ガスはスイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのない程度まで低下されているので、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来たすことはない。
【0027】
なお、この実施の形態1においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115はそれぞれ山形状に配置された場合について述べたが、必ずしも山形状に配置されていなくてもよい。例えば平板とするようにしてもよく上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0028】
実施の形態2.
上述した実施の形態1においては、図5に示すように、放圧ダクト板11に形成した多数の通気孔12、すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2が同じ場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1がそれぞれ相違するようにしてもよく、あるいは、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP2がそれぞれ相違するようにしてもよく、さらに、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2がそれぞれ相違するようにしてもよく、さらには、第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2は同じとし、第2放圧ダクト板112、第4放圧ダクト板114のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2は同じであるとともに第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115の多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2とは相違するようにしてもよい。このように多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2を相違するように形成することにより、それら通気孔12を絶縁性ガスが流通する過程において乱流が生じ、絶縁性ガスの圧力、流速、温度をさらに低下させる効果があり、上述した実施の形態1よりも効果が高いものとすることができる。
【0029】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤを図6ないし図9に基づいて説明する。図6はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。図7はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。図8はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。図9はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【0030】
上述した実施の形態1においては、図5に示すように、放圧ダクト板11に形成した多数の通気孔12、すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12の大きさは同じ大きさの円形孔から場合について述べたが、この実施の形態3においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12の大きさが相違するように構成したものである。
【0031】
図は一例として、第1放圧ダクト板111の多数の通気孔12の大きさは図5に示す大きさの円形孔とし、第2放圧ダクト板112の多数の通気孔14の大きさは図6に示すように第1放圧ダクト板111の多数の通気孔12の大きさより大きい円形孔とし、第3放圧ダクト板113の多数の通気孔15の大きさは図7に示すように第2放圧ダクト板11
2の多数の通気孔14の大きさよりさらに大きい円形孔とし、第4放圧ダクト板114の多数の通気孔16の大きさは図8に示すように第3放圧ダクト板113の多数の通気孔15の大きさよりさらに大きい円形孔とし、第5放圧ダクト板115の多数の通気孔12の大きさは図9に示すように第4放圧ダクト板114の多数の通気孔16の大きさよりさらに大きい円形孔としたものである。
【0032】
このように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを順次大きくしていくようにしたことにより、ガスタンク容器3の放圧フラッパ9から放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ大きさの相違する通気孔を通過することにより効率的に絶縁性ガスの圧力、流速、温度が順次低下され、ガスタンク容器3の放圧フラッパ9から放出されたときの絶縁性ガスの圧力、流速、温度に比べて、放圧ダクト10のダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される絶縁性ガスはスイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのない程度まで効率的に低下させることができるので、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来たすことはない。
【0033】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤを図10に基づいて説明する。図10はこの発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。
【0034】
上述した実施の形態1においては、図2に示すように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115は例えば中央部近辺に折曲部11aを設け、それら折曲部11aは上方側にくるよう配置され、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115はそれぞれ山形状に配置された場合について述べたが、図10に示すように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の中央部近辺に設けた折曲部11aを下方側にくるよう配置し、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ逆山形状に配置するようにしてもよく、同様の効果を奏する。
【0035】
また、図11に示すように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ折曲部11aを多数設け、それら折曲部11aは上方側にくるよう配置し、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ波形状に配置するようにしてもよく、同様の効果を奏する。
【0036】
実施の形態5.
上述した実施の形態3においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを順次大きくしていくようにした場合について述べたが、ことにより、第1放圧ダクト板111の多数の通気孔の大きさを最も大きな円形孔とし、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを順次小さくしていくようにしても上述した実施の形態3と同様の効果を奏する。
【0037】
また、これに限定されるものではなく、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113の順に多数の通気孔を大きくしていき、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の順に多数の通気孔を小さくしていくようにしてもよい。さらに、第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを同じとし、第2放圧ダクト板112、第4放圧ダクト板114のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを同じとするとともに第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさよりも大きいかもしくは小さくするようにしてもよく同様の効果を奏する。
【0038】
実施の形態6.
上述した各実施の形態においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の形状が円形の場合について述べたが、これに限定されるものではなく、四角形状やその他形状でもよく、上述した各実施の形態と同様の効果を奏する。
【0039】
実施の形態7.
また、上述した各実施の形態において、複数数から構成された放圧ダクト板11は、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の5枚から構成された場合について述べたが、これに限定されるものではなく、少なくとも2枚の放圧ダクト板を設けておればよく、あるいは、放圧ダクト板を3枚、4枚、6枚以上で構成してもよいことは勿論のことである。
【0040】
なお、ここでは絶縁性ガスとして、ドライエアとして記述したが、これに限定されるものではなく絶縁性ガスであればSF6ガスやN2ガスでも良い。
【0041】
更に、ここでは絶縁性ガスを封入したガスタンク容器内に真空バルブ等を収納したスイッチギヤについて述べたが、これに限定されるものではなく、ガスタンク容器を備えず金属壁により筐体を区画した中に真空バルブ等を収納したスイッチギヤでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の絶縁性ガスを放出させることができるスイッチギヤの実現に好適である。
【符号の説明】
【0043】
3 ガスタンク容器
9 放圧フラッパ
10 放圧ダクト
11 放圧ダクト板
12 通気孔
14 通気孔
15 通気孔
16 通気孔
17 通気孔
111 第1放圧ダクト板
112 第2放圧ダクト板
113 第3放圧ダクト板
114 第4放圧ダクト板
115 第5放圧ダクト板
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたスイッチギヤに関し、特に内部の短絡事故等の発生時における圧力上昇を速やかに放圧する放圧構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたスイッチギヤとしては、真空遮断器や断路器などが配置されたガスタンク容器を備え、そのガスタンク容器の内部に例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたものがある。そして、ガスタンク容器の天井部には短絡事故等の発生時における圧力上昇を速やかに放圧するための放圧フラッパが設けられている。この放圧フラッパは定常運転時には閉じられており、ガスタンク容器の内部が短絡事故等の発生により圧力上昇したときに放圧フラッパは開放されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−221878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のスイッチギヤにおいては、ガスタンク容器の内部に例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されて運転されており、その絶縁性ガスは高温状態となっている。
【0005】
ところで、ガスタンク容器の内部において、その内部に配置された機器の短絡事故等によりアークが発生すると、そのガスタンク容器の内部圧力が上昇し、ガスタンク容器の天井部に設けた放圧フラッパが開放されてガスタンク容器内部の高温の絶縁性ガスが放出されるようになっている。
【0006】
通常、スイッチギヤが据え付けられている電気室は天井の高さが限られてきており、また、スイッチギヤの高さも所定の高さ寸法が必要となっている。このような状態において、ガスタンク容器の内部の短絡事故等により、ガスタンク容器の内部圧力が急上昇してガスタンク容器の天井部に設けた放圧フラッパが開放されると、ガスタンク容器内部の高温の絶縁性ガスが高い圧力でかつ急流速で放出される。したがって、高温の絶縁性ガスが高い圧力でかつ急流速で放出されるので、電気室の天井が低い場合には、高温の絶縁性ガスが電気室の天井ではね返り、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに回り込み支障を来す可能性があるという課題がある。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の絶縁性ガスを放出させることができるスイッチギヤを得ることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係わるスイッチギヤは、筐体内が複数のコンパートメントに区画され、主回路部品が収納された上記コンパートメントと、前記コンパートメントの天井部に設けられた放圧フラッパと、前記コンパートメントの前記放圧フラッパの上部に配置された放圧ダクトと、前記放圧ダクト内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダ
クト板とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係わるスイッチギヤは、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の絶縁性ガスを放出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤを示す断面側面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す正面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【0011】
【図6】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図9】この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。
【図11】この発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部の他の例を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1ないし図5に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤを示す断面側面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。図3はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す正面図である。図4はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す平面図である。図5はこの発明の実施の形態1に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【0013】
これら各図において、1は制御機器ユニット、2は三相の母線、3は内部に例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されたガスタンク容器であり、三相の母線2が貫挿されて取り付けられている。4はガスタンク容器3内に配置された断路器・接地開閉器切替機構であり、切替操作機構5により切り替え操作される。6はガスタンク容器3内に配置された真空バルブであり、操作機構7により開閉操作される。8は三相の母線2と断路器・接地開閉器切替機構4、真空バルブ6とを接続する分岐導体である。
【0014】
9はガスタンク容器3の天井部に設けられ、短絡事故等の発生時における圧力上昇を速やかに放圧するための放圧フラッパである。この放圧フラッパ9は定常運転時には閉じられており、ガスタンク容器3の内部が短絡事故等の発生により圧力上昇したときに放圧フ
ラッパ9は開放されるように構成されている。
【0015】
10はガスタンク容器3の放圧フラッパ9の上部に配置された放圧ダクト、11は放圧ダクト10内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダクト板であり、図は一例として、放圧ダクト板11は第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の5枚から構成された場合を示している。
【0016】
また、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115は例えば中央部近辺に折曲部11aが設けられ、それら折曲部11aは上方側にくるよう配置されている。すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115はそれぞれ山形状に配置される。
【0017】
そして、放圧ダクト板11には例えば図5に示すように多数の通気孔12が形成されている。すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれ多数の通気孔12が形成されている。13は放圧ダクト10の出口部に設けられたダクトフラッパである。
【0018】
次に、上述した実施の形態1におけるスイッチギヤの動作について説明する。ガスタンク容器3の内部には例えばドライエアガス等の絶縁性ガスが圧縮封入されており、定常運転時にはそのガスタンク容器3の内部に圧縮封入されたドライエアガス等の絶縁性ガスにより、ガスタンク容器3の内部の機器、すなわち、断路器・接地開閉器切替機構4、真空バルブ6、分岐導体8などが冷却されて絶縁性が保たれている。また、ガスタンク容器3の内部のドライエアガス等の絶縁性ガスは高温状態となっている。
【0019】
ところで、ガスタンク容器3の内部の短絡事故等により、ガスタンク容器3の内部圧力が急上昇してガスタンク容器3の天井部に設けた放圧フラッパ9が開放されても直ぐにスイッチギヤの周囲に高い圧力でかつ急流速で放出されることはない。
【0020】
ガスタンク容器3の放圧フラッパ9の上部には放圧ダクト10が配置されており、その放圧ダクト10内には複数枚の放圧ダクト板11、すなわち、5枚で構成される第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115が配置されている。したがって、放圧フラッパ9が開放されると、ガスタンク容器3内部の高温の絶縁性ガスが高い圧力でかつ急流速で放出される。
【0021】
しかし、放圧フラッパ9から高い圧力でかつ急速度で放出された高温の絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した最下段の第1放圧ダクト板111の下面に突き当たり、その第1放圧ダクト板111に設けた多数の通気孔12を通って第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出される。このように、第1放圧ダクト板111の下面に突き当たり、その第1放圧ダクト板111に設けた多数の通気孔12を通って第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出されることにより、放圧フラッパ9から放出されたときの絶縁性ガスの圧力が低下しかつ流速も低下するとともに、第1放圧ダクト板111の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度も低下する。
【0022】
次に、第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した下から2段目の第2放圧ダクト板112の下面に突き当たり、その第2放圧ダクト板112に設けた多数の通気孔12を通って第2放圧ダクト
板112と第3放圧ダクト板113との間に放出される。このように、第2放圧ダクト板112の下面に突き当たり、その第2放圧ダクト板112に設けた多数の通気孔12を通って第2放圧ダクト板112と第3放圧ダクト板113との間に放出されることにより、第1放圧ダクト板111と第2放圧ダクト板112との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第2放圧ダクト板112の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0023】
次に、第2放圧ダクト板112と第3放圧ダクト板113との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した下から3段目の第3放圧ダクト板113の下面に突き当たり、その第3放圧ダクト板113に設けた多数の通気孔12を通って第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出される。このように、第3放圧ダクト板113の下面に突き当たり、その第3放圧ダクト板113に設けた多数の通気孔12を通って第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出されることにより、第2放圧ダクト板112と第3放圧ダクト板113との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第3放圧ダクト板113の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0024】
次に、第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した上から2段目の第4放圧ダクト板114の下面に突き当たり、その第4放圧ダクト板114に設けた多数の通気孔12を通って第4放圧ダクト板114と第5放圧ダクト板115との間に放出される。このように、第4放圧ダクト板114の下面に突き当たり、その第4放圧ダクト板114に設けた多数の通気孔12を通って第4放圧ダクト板112と第5放圧ダクト板115との間に放出されることにより、第3放圧ダクト板113と第4放圧ダクト板114との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第4放圧ダクト板114の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0025】
次に、第4放圧ダクト板114と第5放圧ダクト板115との間に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した最上段の第5放圧ダクト板115の下面に突き当たり、その第5放圧ダクト板115に設けた多数の通気孔12を通って第5放圧ダクト板115の上方側に放出される。このように、第5放圧ダクト板115の下面に突き当たり、その第5放圧ダクト板115に設けた多数の通気孔12を通って第5放圧ダクト板115の上方側に放出されることにより、第4放圧ダクト板114と第5放圧ダクト板115との間に放出された絶縁性ガスの圧力がさらに低下しかつ流速もさらに低下するとともに、第5放圧ダクト板115の下面に突き当たることにより冷却されることになり、絶縁性ガスの温度もさらに低下する。
【0026】
次に、第5放圧ダクト板115の上方側に放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10の出口部に設けたダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される。この放圧ダクト10の出口部に設けたダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ通過することにより段階的に絶縁性ガスの圧力、流速、温度が順次低下され、ガスタンク容器3の放圧フラッパ9から放出されたときの絶縁性ガスの圧力、流速、温度に比べて、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのない程度まで低下させることができる。その結果、スイッチギヤが接地される電気室の天井が低い場合にあっても、放圧ダクト10のダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される絶縁性ガスはスイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのない程度まで低下されているので、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来たすことはない。
【0027】
なお、この実施の形態1においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115はそれぞれ山形状に配置された場合について述べたが、必ずしも山形状に配置されていなくてもよい。例えば平板とするようにしてもよく上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0028】
実施の形態2.
上述した実施の形態1においては、図5に示すように、放圧ダクト板11に形成した多数の通気孔12、すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2が同じ場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1がそれぞれ相違するようにしてもよく、あるいは、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP2がそれぞれ相違するようにしてもよく、さらに、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2がそれぞれ相違するようにしてもよく、さらには、第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2は同じとし、第2放圧ダクト板112、第4放圧ダクト板114のそれぞれに形成した多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2は同じであるとともに第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115の多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2とは相違するようにしてもよい。このように多数の通気孔12のピッチP1およびピッチP2を相違するように形成することにより、それら通気孔12を絶縁性ガスが流通する過程において乱流が生じ、絶縁性ガスの圧力、流速、温度をさらに低下させる効果があり、上述した実施の形態1よりも効果が高いものとすることができる。
【0029】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係わるスイッチギヤを図6ないし図9に基づいて説明する。図6はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。図7はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。図8はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。図9はこの発明の実施の形態2に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト板を示す平面図である。
【0030】
上述した実施の形態1においては、図5に示すように、放圧ダクト板11に形成した多数の通気孔12、すなわち、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12の大きさは同じ大きさの円形孔から場合について述べたが、この実施の形態3においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔12の大きさが相違するように構成したものである。
【0031】
図は一例として、第1放圧ダクト板111の多数の通気孔12の大きさは図5に示す大きさの円形孔とし、第2放圧ダクト板112の多数の通気孔14の大きさは図6に示すように第1放圧ダクト板111の多数の通気孔12の大きさより大きい円形孔とし、第3放圧ダクト板113の多数の通気孔15の大きさは図7に示すように第2放圧ダクト板11
2の多数の通気孔14の大きさよりさらに大きい円形孔とし、第4放圧ダクト板114の多数の通気孔16の大きさは図8に示すように第3放圧ダクト板113の多数の通気孔15の大きさよりさらに大きい円形孔とし、第5放圧ダクト板115の多数の通気孔12の大きさは図9に示すように第4放圧ダクト板114の多数の通気孔16の大きさよりさらに大きい円形孔としたものである。
【0032】
このように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを順次大きくしていくようにしたことにより、ガスタンク容器3の放圧フラッパ9から放出された絶縁性ガスは、放圧ダクト10内に配置した第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ大きさの相違する通気孔を通過することにより効率的に絶縁性ガスの圧力、流速、温度が順次低下され、ガスタンク容器3の放圧フラッパ9から放出されたときの絶縁性ガスの圧力、流速、温度に比べて、放圧ダクト10のダクトフラッパ13からスイッチギヤの上部空間に放出される絶縁性ガスはスイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのない程度まで効率的に低下させることができるので、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来たすことはない。
【0033】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤを図10に基づいて説明する。図10はこの発明の実施の形態4に係わるスイッチギヤにおける放圧ダクト部を示す断面側面図である。
【0034】
上述した実施の形態1においては、図2に示すように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115は例えば中央部近辺に折曲部11aを設け、それら折曲部11aは上方側にくるよう配置され、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115はそれぞれ山形状に配置された場合について述べたが、図10に示すように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の中央部近辺に設けた折曲部11aを下方側にくるよう配置し、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ逆山形状に配置するようにしてもよく、同様の効果を奏する。
【0035】
また、図11に示すように、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ折曲部11aを多数設け、それら折曲部11aは上方側にくるよう配置し、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115をそれぞれ波形状に配置するようにしてもよく、同様の効果を奏する。
【0036】
実施の形態5.
上述した実施の形態3においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを順次大きくしていくようにした場合について述べたが、ことにより、第1放圧ダクト板111の多数の通気孔の大きさを最も大きな円形孔とし、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを順次小さくしていくようにしても上述した実施の形態3と同様の効果を奏する。
【0037】
また、これに限定されるものではなく、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113の順に多数の通気孔を大きくしていき、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の順に多数の通気孔を小さくしていくようにしてもよい。さらに、第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを同じとし、第2放圧ダクト板112、第4放圧ダクト板114のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさを同じとするとともに第1放圧ダクト板111、第3放圧ダクト板113、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の大きさよりも大きいかもしくは小さくするようにしてもよく同様の効果を奏する。
【0038】
実施の形態6.
上述した各実施の形態においては、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115のそれぞれに形成した多数の通気孔の形状が円形の場合について述べたが、これに限定されるものではなく、四角形状やその他形状でもよく、上述した各実施の形態と同様の効果を奏する。
【0039】
実施の形態7.
また、上述した各実施の形態において、複数数から構成された放圧ダクト板11は、第1放圧ダクト板111、第2放圧ダクト板112、第3放圧ダクト板113、第4放圧ダクト板114、第5放圧ダクト板115の5枚から構成された場合について述べたが、これに限定されるものではなく、少なくとも2枚の放圧ダクト板を設けておればよく、あるいは、放圧ダクト板を3枚、4枚、6枚以上で構成してもよいことは勿論のことである。
【0040】
なお、ここでは絶縁性ガスとして、ドライエアとして記述したが、これに限定されるものではなく絶縁性ガスであればSF6ガスやN2ガスでも良い。
【0041】
更に、ここでは絶縁性ガスを封入したガスタンク容器内に真空バルブ等を収納したスイッチギヤについて述べたが、これに限定されるものではなく、ガスタンク容器を備えず金属壁により筐体を区画した中に真空バルブ等を収納したスイッチギヤでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、スイッチギヤのメンテナンススペースなどに支障を来すことのないように、ガスタンク容器内部の絶縁性ガスを放出させることができるスイッチギヤの実現に好適である。
【符号の説明】
【0043】
3 ガスタンク容器
9 放圧フラッパ
10 放圧ダクト
11 放圧ダクト板
12 通気孔
14 通気孔
15 通気孔
16 通気孔
17 通気孔
111 第1放圧ダクト板
112 第2放圧ダクト板
113 第3放圧ダクト板
114 第4放圧ダクト板
115 第5放圧ダクト板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内が複数のコンパートメントに区画され、主回路部品が収納された上記コンパートメントと、前記コンパートメントの天井部に設けられた放圧フラッパと、前記コンパートメントの前記放圧フラッパの上部に配置された放圧ダクトと、前記放圧ダクト内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダクト板とを備えたことを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項2】
前記放圧ダクト板は、折曲部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
複数枚から構成された前記放圧ダクト板にそれぞれ形成された多数の前記通気孔のピッチは、前記放圧ダクト板のそれぞれのピッチが相違するように形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
複数枚から構成された前記放圧ダクト板にそれぞれ形成された多数の前記通気孔の大きさは、前記放圧ダクト板のそれぞれの大きさが相違するように形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項1】
筐体内が複数のコンパートメントに区画され、主回路部品が収納された上記コンパートメントと、前記コンパートメントの天井部に設けられた放圧フラッパと、前記コンパートメントの前記放圧フラッパの上部に配置された放圧ダクトと、前記放圧ダクト内に複数枚配設され、それぞれ多数の通気孔が形成された放圧ダクト板とを備えたことを特徴とするスイッチギヤ。
【請求項2】
前記放圧ダクト板は、折曲部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
複数枚から構成された前記放圧ダクト板にそれぞれ形成された多数の前記通気孔のピッチは、前記放圧ダクト板のそれぞれのピッチが相違するように形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
複数枚から構成された前記放圧ダクト板にそれぞれ形成された多数の前記通気孔の大きさは、前記放圧ダクト板のそれぞれの大きさが相違するように形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチギヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−259655(P2011−259655A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133825(P2010−133825)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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