説明

スイッチ装置及びこれを用いた入力装置

【課題】主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置及びこれを用いた入力装置に関し、誤操作がなく操作の容易なものを提供することを目的とする。
【解決手段】回転及び左右へ揺動、並びに上下動可能な略円柱状の操作体11を設け、この操作体11の回転を回転検出手段によって検出すると共に、操作体11の揺動及び上下動によってスイッチ接点の電気的接離を行い、これに応じて制御手段30が表示手段26のメニューを選択することによって、操作体11を回転または揺動することでメニューの選択を、押圧することでメニューの確定を各々行うことができるため、操作が容易で、誤操作も生じにくいスイッチ装置18、及びこれを用いた入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられるスイッチ装置、及びこれを用いた入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音響、空調等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むなか、これらを操作するスイッチ装置や入力装置においても、多様な操作を容易に行えるものが求められている。
【0003】
このような従来のスイッチ装置及びこれを用いた入力装置について、リモコン送信機を例に、図11を用いて説明する。
【0004】
図11は従来のリモコン送信機の斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製で略箱型の筐体、2はゴム等の複数の押釦、3は同じく複数の操作体で、押釦2や操作体3の上面には数字や文字等が表示されると共に、これらが筐体1上面に形成された複数の開口孔から突出している。
【0005】
また、筐体1内には、複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納されると共に、押釦2や操作体3下面と配線基板上面の間には複数のスイッチ接点(図示せず)が形成されて、スイッチ装置が構成されている。
【0006】
さらに、筐体1内の配線基板には、液晶表示素子等の表示手段4が接続されると共に、実装された発光ダイオード等によって送信手段(図示せず)や、マイコン等の制御手段(図示せず)が形成され、これらが配線パターンによって電気的に接続されて、リモコン送信機が構成されている。
【0007】
以上の構成において、例えば、上面に「6」が表示された押釦2Aを押圧操作すると、押釦2Aが下方へ移動して、この下面のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段が検出して、送信手段から赤外線のリモコン信号をテレビへ送信し、例えば、テレビのチャンネルが「6」に切換わる。
【0008】
また、テレビとの通信等により表示手段4に複数のメニューが表示された状態で、上下方向に配置された操作体3Aや3Bを押圧操作すると、この下面のスイッチ接点の電気的接離を制御手段が検出して、表示手段4に表示されたカーソルAやポインタ等を上下方向に移動させる。
【0009】
或いは、左右方向に配置された操作体3Cや3Dを押圧操作すると、カーソルAが左右方向に移動し、所望のメニュー上にカーソルAが移動した状態で、中央の操作体3Eを押圧操作するとメニューが確定し、これを制御手段が検出してリモコン信号をテレビへ送信し、メニューの選択と確定が行われる。
【0010】
つまり、複数の押釦2の操作によって、遠隔操作したい機器、例えばテレビの選局等といった機器の機能を直接操作すると共に、操作体3A〜3Dや3Eの操作によって、表示手段4に表示された複数のメニューの選択や確定が行われるように構成されているものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−228548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のスイッチ装置やリモコン送信機においては、表示手段4に表示されたメニューの選択や確定を行う場合、複数の操作体3A〜3Dの操作によってメニューの選択を、操作体3Eの操作によってメニューの確定を各々行っているため、操作の都度、それまで操作していた操作体から指を離し、別の操作体を操作する必要があり、操作が煩雑で、押し間違い等の誤操作も生じ易いという課題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で誤操作がなく、操作の容易なスイッチ装置及びこれを用いた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、回転及び左右へ揺動、並びに上下動可能な略円柱状の操作体を設け、この操作体の回転を回転検出手段によって検出すると共に、操作体の揺動及び上下動によってスイッチ接点の電気的接離を行うようにしてスイッチ装置を構成したものであり、例えばメニューの選択や確定等を行う際、一つの操作体に指等を触れたままで、この操作体を回転または揺動することでメニューの選択を、押圧することでメニューの確定を各々行うことができるため、操作が容易で、誤操作も生じにくいスイッチ装置を得ることができるという作用を有する。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のスイッチ装置と表示手段に制御手段を接続すると共に、制御手段がスイッチ装置の操作に応じて、表示手段のメニューを選択するようにして入力装置を構成したものであり、メニューの選択や確定等が行い易く、誤操作がなく操作の容易な入力装置を実現することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、簡易な構成で誤操作がなく、操作の容易なスイッチ装置及びこれを用いた入力装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、主にリモコン送信機を例に、図1〜図10を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の正面断面図、図2(a)は同側面断面図、図3は同分解斜視図であり、11はポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製で略円柱状の操作体、12は同じく絶縁樹脂製のホルダーで、操作体11の外周には凹凸部が、左端の回転軸11A外周には複数の突部11Bが各々形成されると共に、左右端の回転軸11Aが、ホルダー12の回転孔12Aに回転可能に挿入されている。
【0020】
また、13は絶縁樹脂製で略箱型のケースで、前後方向に対向して設けられた取付孔13Aには、ホルダー12の取付軸12Bが、左右へ揺動及び上下動可能に挿入されている。
【0021】
さらに、ケース13の内底面には、銅合金等でアーム状の接触片14やこの先端と対向する固定接点15、上面に可動接点16が載置された複数の固定接点17がインサート成形等によって植設され、これらの端部がケース13から外方へ突出すると共に、接触片14と固定接点15によって回転検出手段が、可動接点16と固定接点17によって複数のスイッチ接点が各々形成されて、スイッチ装置18が構成されている。
【0022】
そして、図4は、このようなスイッチ装置18を用いた入力装置の一例としての、リモコン送信機の断面図、図5は同斜視図であり、同図において、21はゴムやエラストマー等の弾性樹脂製の押釦で、下面外周に形成された薄肉のドーム部によって複数の押釦21が連結されると共に、各々の下面には、カーボン等によって可動接点22が形成されている。
【0023】
また、23は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面に銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この配線基板23上面にはカーボン等によって、押釦21の可動接点22と所定の間隙を空けて対向する複数の固定接点24が形成されている。
【0024】
さらに、25はポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製の筐体で、この上面の複数の開口孔からは、上面に数字や文字等が表示された複数の押釦21が上下動可能に突出すると共に、筐体25内に収納されたスイッチ装置18の操作体11が突出している。
【0025】
また、26は液晶表示素子等の表示手段で、この表示手段26が導電ゴム27によって配線基板23の配線パターンに接続されると共に、スイッチ装置18の回転検出手段やスイッチ接点が、リード線28によって配線基板23の配線パターンに接続されている。
【0026】
そして、29は配線基板23に実装された発光ダイオード等の送信手段、30は同じくマイコン等の制御手段で、この制御手段30が配線パターンを介して、送信手段29や表示手段26、スイッチ装置18、固定接点24等に電気的に接続されて、リモコン送信機が構成されている。
【0027】
以上の構成において、例えば、上面に「6」が表示された押釦21Aを押圧操作すると、押釦21Aが下方へ移動して、この下面の可動接点22と固定接点24の電気的接離が行われ、これを制御手段30が検出して、送信手段29から赤外線のリモコン信号をテレビへ送信し、例えば、テレビのチャンネルが「6」に切換わる。
【0028】
また、テレビとの通信等により表示手段26に複数のメニューが表示された状態で、スイッチ装置18の操作体11を上下方向へ回転操作すると、図2(b)に示すように、操作体11の回転に伴って複数の突部11Bが回転し、この複数の突部11Bが順次アーム状の接触片14を押圧して、接触片14先端と固定接点15との電気的接離が順次行われる。
【0029】
そして、このスイッチ装置18の回転検出手段の電気的接離に応じて制御手段30が、その回数と順序から操作体11の回転方向と回転量を検出して、図5に示すように、表示手段26に表示されたカーソルAやポインタ等を、操作体11を回転した方向へ回転した分だけ上下方向に移動させる。
【0030】
これに対し、指をややずらせて操作体11を右または左方向へ揺動操作すると、図6(a)の正面断面図に示すように、ケース13の取付孔13Aに挿入された取付軸12Bを支点として、ホルダー12が右または左方向へ揺動し、下面の凸部が可動接点16を弾性変形させて、複数の固定接点17の電気的接離が行われる。
【0031】
また、このスイッチ装置18のスイッチ接点の電気的接離を制御手段30が検出して、図5に示すように、表示手段26に表示されたカーソルAを、操作体11が揺動操作された右または左方向へ移動させる。
【0032】
さらに、所望のメニュー上にカーソルAが移動した状態で、操作体11中央を下方へ押圧操作すると、図6(b)に示すように、ケース13の取付孔13A内を取付軸12Bが下方へ移動して、ホルダー12全体が下方へ押圧され、下面左右の凸部が左右の可動接点16を弾性変形させて、左右両方の固定接点17の電気的接離が行われる。
【0033】
そして、このスイッチ装置18のスイッチ接点の電気的接離を制御手段30が検出して、選択したメニューが確定し、この確定したメニューに応じたリモコン信号が送信手段29からテレビへ送信される。
【0034】
つまり、複数の押釦21の操作によって、遠隔操作したい機器、例えばテレビの選局等といった機器の機能を直接操作すると共に、一つの操作体11を回転及び揺動、或いは押圧操作することによって、表示手段26に表示された複数のメニューの選択や確定が行われるように構成されている。
【0035】
即ち、メニューの選択や確定を行う都度、それまで操作していた操作体から指を離し、別の操作体を操作する必要はなく、一つの操作体11に指を触れたままで、これを回転または揺動操作することでメニューの選択を、押圧操作することでメニューの確定を各々行うことができるため、誤操作が生じにくく、容易に操作を行うことが可能なようになっている。
【0036】
このように本実施の形態によれば、回転及び左右へ揺動、並びに上下動可能な略円柱状の操作体11を設け、この操作体11の回転を回転検出手段によって検出すると共に、操作体11の揺動及び上下動によってスイッチ接点の電気的接離を行い、これに応じて制御手段30が表示手段26のメニューを選択することによって、操作体11を回転または揺動することでメニューの選択を、押圧することでメニューの確定を各々行うことができるため、操作が容易で、誤操作も生じにくいスイッチ装置18、及びこれを用いた入力装置を得ることができるものである。
【0037】
なお、以上の説明では、スイッチ装置18の回転検出手段を、操作体11の左端に複数の突部11Bを形成し、回転操作により突部11Bで順次アーム状の接触片14を押圧して、固定接点15との電気的接離を行う構成について説明したが、図7の側面断面図や図8の分解斜視図に示すように、回転軸11A左端の外周に突状の複数の固定接点15Aを設けると共に、回転軸11A右端の外周全周に固定接点15Bを設け、これらに複数の接触片14Aを弾接させて、回転操作により左端の接触片14Aと固定接点15Aの電気的接離を行わせる構成としても、本発明の実施は可能である。
【0038】
また、図9の分解斜視図に示すように、下方の配線基板23A上に、上方へ揺動可能に突出したレバー31Aが、中立位置復帰型のレバースイッチ31を実装配置し、このレバー31Aを操作体11の回転軸11A左端の突部11Bで揺動操作し、レバースイッチ31の電気的接離に応じて、操作体11の回転を検出する構成としてもよい。
【0039】
さらに、図10の分解斜視図に示すように、操作体11の回転軸11A左端に複数の通孔32Aが形成された回転板32を設け、下方の配線基板23A上に実装配置した光センサ33によって、操作体11の回転方向及び回転量を検出するようにして、回転検出手段を構成してもよい。
【0040】
また、以上の説明では、入力装置としてリモコン送信機を用い、これに装着された表示手段26のメニューを、操作体11の操作によって選択・確定する構成について説明したが、テレビ等の画面に複数のメニューを表示し、これを操作体11の操作によって選択・確定したり、スイッチ装置18をテレビ等の電子機器に装着し、機器の画面を見ながらメニューの選択や確定を行うようにしたりしても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によるスイッチ装置及びこれを用いた入力装置は、誤操作がなく操作の容易なものが得られ、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態によるスイッチ装置の正面断面図
【図2】同側面断面図
【図3】同分解斜視図
【図4】同リモコン送信機の断面図
【図5】同斜視図
【図6】同操作時の正面断面図
【図7】同他の実施の形態による側面断面図
【図8】同分解斜視図
【図9】同分解斜視図
【図10】同分解斜視図
【図11】従来のリモコン送信機の斜視図
【符号の説明】
【0043】
11 操作体
11A 回転軸
11B 突部
12 ホルダー
12A 回転孔
12B 取付軸
13 ケース
13A 取付孔
14、14A 接触片
15、15A、15B 固定接点
16 可動接点
17 固定接点
18 スイッチ装置
21 押釦
22 可動接点
23、23A 配線基板
24 固定接点
25 筐体
26 表示手段
27 導電ゴム
28 リード線
29 送信手段
30 制御手段
31 レバースイッチ
31A レバー
32 回転板
32A 通孔
33 光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転及び左右へ揺動、並びに上下動可能な略円柱状の操作体と、この操作体の回転を検出する回転検出手段と、上記操作体の揺動及び上下動に応じて電気的接離を行うスイッチ接点からなるスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1記載のスイッチ装置と、複数のメニューを表示する表示手段と、上記スイッチ装置及び上記表示手段に接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記スイッチ装置の操作に応じて、上記表示手段のメニューを選択する入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−179902(P2007−179902A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377945(P2005−377945)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】