説明

スイッチ装置

【課題】可動接点が弾性力を有さないものであっても、可動接点と、この可動接点が接触する固定接点との間の接点圧を確保することができる。
【解決手段】ケース1の収納部1a内に、可動接点5を保持する操作体6と、この操作体6を初期位置に復帰させるコイルばね4とを備えるとともに、操作体6が、可動接点5を保持し、コイルばね4の弾性力に抗してケース1の収納部内1aを摺動可能な保持部材7と、この保持部材7に当接し、この保持部材7を摺動させる駆動部材8とから成っている。また、コイルばね4の弾性力を操作体6の操作方向とは異なる方向へ変換する変換手段を備え、この変換手段は例えば、駆動部材8に形成された傾斜面8cと、この傾斜面8cに当接し、保持部材7に形成された傾斜面7bとから成っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話のキーロック等に活用されるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この特許文献1には、固定接点が形成された収納部を有するとともに、上方に開口部を有し、合成樹脂から成るケースとこのケースを覆う蓋部材とから成る筐体と、この筐体のケースの収納部内に一方向の摺動可能に配置され、固定接点に接触可能な弾性可動接片すなわち弾性を有する可動接点と、この可動接点が保持され、一方向に摺動可能な摺動体すなわち操作体とが備えられている。また、ケースの収納部内に配置され、操作体を初期位置に復帰させるコイルばね、すなわち弾性部材を備え、この弾性部材の弾性力に抗して操作体をスライド操作させて、可動接点を固定接点に接触させる自動復帰式スライドスイッチ、すなわちスイッチ装置が開示されている。
【0003】
この従来技術は、初期位置では例えばスイッチオフとなり、操作体を弾性部材の弾性力に抗して一方向に摺動させると、可動接点が所定の固定接点の組み合わせに接触してスイッチオンとなる。操作体に与えていた操作力を除くと、弾性部材の弾性力によって可動接点が初期位置に復帰してスイッチオフとなる。このようなスイッチ装置は、携帯電話のキーロック等に活用されている。
【特許文献1】特開平9−326217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術にあっては、可動接点の自己保有する弾性力によってこの可動接点と固定接点との間の望ましい接点圧を確保するようになっている。このような従来技術に示されるスイッチ装置において、装置の小型化を実現させようとする場合には、可動接点を小さく形成させなければならないが、このように可動接点を小さくすると自己の保有する弾性力が小さくなり上述の望ましい接点圧の確保が困難となる。すなわち従来技術では、所望の接点圧を確保するために比較的大きな可動接点を設けざるを得ず、これに伴って、スイッチ装置の小型化を実現させることが難しかった。
【0005】
なお、従来技術に示されるスイッチ装置が回路基板上に取り付けられる場合には、ケースの収納部内に操作体、可動接点及び弾性部材を収納した組立体から成るスイッチ装置が回路基板上に搭載された状態で、半田によって回路基板の回路とケースの収納部内に形成される固定接点とが、接続端子を介して接続されるようになっている。この半田付けに際して実施される組立体への加熱によって上述した従来技術では、弾性を有する可動接点に熱によるへたりを生じて、その可動接点の弾性力が低下し、望ましい接点圧の確保が難しくなる懸念がある。また、可動接点の弾性力が固定接点を介してケースに与えられている状態で上述した組立体に加熱されることにより、ケースに歪みを生じる懸念がある。このように従来技術では、スイッチ装置を半田付けによって回路基板に取り付けた際の信頼性が低下しやすい問題もある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、可動接点が弾性力を有さないものであっても、可動接点と、この可動接点が接触する固定接点との間の接点圧を確保することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、固定接点が設けられた収納部を有する筐体と、この筐体の前記収納部内に摺動可能に配置され、前記固定接点に接触可能な可動接点と、前記筐体の前記収納部内に操作可能に配置され、前記可動接点を摺動させる操作体と、前記筐体の前記収納部内に配置され、操作された前記操作体に、この操作体を復帰させる方向の弾性力を付与する弾性部材とを備え、前記弾性部材の弾性力に抗して前記操作体を操作させて、前記可動接点を前記固定接点に接触させるスイッチ装置であって、前記弾性部材の弾性力を前記操作体の操作方向とは異なる方向へ変換する変換手段を備え、前記操作体の操作に伴って摺動する前記可動接点が、前記変換手段を介して変換された前記弾性部材の弾性力に基づく力によって前記固定接点側に押し付けられることを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、操作体が初期位置に保持され、例えば可動接点と固定接点とが離れてスイッチオフとなっている状態から、弾性部材の弾性力に抗して操作体を操作させると、変換手段によって操作体の操作方向とは異なる方向に変換された弾性部材の弾性力に基づく力に応じて可動接点が固定接点側に押し付けられ、この状態において可動接点が固定接点に接触し、スイッチオンとなる。なお、操作体を初期位置方向に戻すと、可動接点が固定接点から離れ、スイッチオフとなる。
【0009】
このように本発明は、操作体の操作によって可動接点を摺動させ、この可動接点を固定接点に接触させることができるが、可動接点の摺動の間に、この可動接点は変換手段を介して弾性部材の弾性力に基づく力で固定接点側に押圧されながら摺動する。また、操作体の操作によって弾性部材の弾性力を強くすることができ、これに相応して可動接点が固定接点に強く押し付けられて接触する。したがって、可動接点が弾性力を有さないものであっても、弾性部材の弾性力に基づく力によって所望の接点圧を確保することができる。
【0010】
また、本発明は、可動接点の摺動操作の間、この可動接点は変換手段を介して弾性部材の弾性力に基づく力で固定接点側に押し付けられながら摺動するので、可動接点と固定接点の接触面のクリーニングを実現できる。
【0011】
さらに本発明は、操作体を操作させない状態では、変換手段によって変換される弾性部材の弾性力に基づく力が弱くなり、これによって可動接点に加えられる力が弱くなり、また、可動接点を介して筐体に加えられる力が弱くなり、この本発明に係るスイッチ装置の回路基板への半田付けの際に、熱による可動接点のへたりや、筐体の歪みの発生を抑えることができる。
【0012】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記操作体が、前記可動接点を保持し、前記弾性部材の弾性力に抗して前記筐体の前記収納部内を摺動可能な保持部材と、前記筐体から露出する操作部を有し、前記保持部材を摺動させる駆動部材とを備え、前記保持部材と前記駆動部材とによって前記変換手段が構成されることを特徴としている。このように構成した本発明は、操作体が、可動接点を保持する保持部材と、この保持部材とは別体の駆動部材とを備えていることから、操作体の操作時に、この操作体に含まれる駆動部材に曲げ等の不所望の力が与えられても、そのような不所望の力が保持部材に直接に伝えられることがない。
【0013】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記保持部材と前記駆動部材とを、互いに対向する当接部を介して当接させ、前記駆動部材の当接部が、前記操作体の操作時に、前記保持部材の当接部を押圧する押圧部を成し、前記保持部材の当接部が、前記操作体の操作時に、前記駆動部材の前記押圧部によって押圧される被押圧部を成し、前記駆動部材の押圧部と前記保持部材の被押圧部とによって前記変換手段が構成されることを特徴としている。このように構成した本発明は、弾性部材の弾性力に基づく力が駆動部材の押圧部から保持部材の被押圧部に伝えられ、これによって保持部材に保持される可動接点を固定接点に押し付けることができ、所望の接点圧を確実に確保できる。
【0014】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記駆動部材の前記押圧部と前記保持部材の前記被押圧部のうちの少なくとも一方を、前記操作体の操作に伴って、前記可動接点が、前記固定接点側に徐々に押し付けられるようにする変換面としたことを特徴としている。このように構成した本発明は、操作体の操作時に、弾性部材の弾性力に基づく力が駆動部材の押圧部、及び保持部材の被押圧部のうちの少なくとも一方を成す変換面を介して保持部材に伝えられる。すなわち、変換面を介して弾性部材の弾性力に応じた力を、徐々に可動接点を固定接点に押し付ける力として円滑に伝えることができる。
【0015】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記変換面は傾斜面から成り、この傾斜面を、前記当接部を成す前記駆動部材の前記押圧部と前記保持部材の前記被押圧部のそれぞれに設け、これらの傾斜面を互いに当接させることによって前記変換手段が構成されることを特徴としている。このように構成した本発明は、駆動部材の押圧部と保持部材の被押圧部の双方が傾斜面に形成されるので、操作体の操作の際に、駆動部材と保持部材とを傾斜面同士の面接触によって当接させることができ、したがってこれらの傾斜面の削れを抑え、このような削れによる削れ粉の発生を低減させることができる。
【0016】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記筐体は、前記固定接点が設けられ、開口部を有する前記収納部を備えたケースと、このケースの前記開口部を覆う蓋部材とから成り、前記蓋部材に、前記固定接点側に突出し、前記操作体の操作時にこの操作体が当接する突部を設け、前記操作体と前記突部とが前記変換手段を構成していることを特徴としている。このように構成した本発明は、変換手段が操作体と蓋部材とで構成できるので、変換手段に係る部品数の増加を抑えることができる。また、蓋部材の突部の位置を変えることにより、可動接点が固定接点を押し付ける位置を自在に選定することができる。
【0017】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記筐体は、前記固定接点が設けられ、開口部を有する前記収納部を備えたケースと、このケースの前記開口部を覆う蓋部材とから成り、前記筐体の前記ケースの前記開口部より、前記保持部材及び前記弾性部材と、前記駆動部材とを前記収納部内に収納した際に、前記弾性部材の弾性力によって前記保持部材と前記駆動部材が前記変換面を介して浮き上がることを規制する規制部を、前記保持部材と前記駆動部材に設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、規制部によって変換面を介しての駆動部材と保持部材の浮き上がりが規制されるので、ケースの収納部へ保持部材及び弾性部材と、駆動部材とを組み込む際に、駆動部材と保持部材のケースの収納部からの飛び出しを防ぐことができる。したがって、ケースの収納部への保持部材及び弾性部材と、駆動部材の組み込みを容易に行なうことができる。
【0018】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記規制部は、前記駆動部材の前記押圧部または前記保持部材の前記被押圧部に形成された係合部と、前記保持部材の前記被押圧部または前記駆動部材の前記押圧部に形成され、前記ケースの前記開口部より、前記保持部材及び前記弾性部材と、前記駆動部材とを前記収納部内に収納した際に、前記弾性部材の弾性力によって前記係合部に係合する被係合部とを備え、前記係合部と前記被係合部とを、前記蓋部材が前記ケースに取り付けられた際には、互いに離間するように配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、規制部を、駆動部材と保持部材とによって構成できるので、この規制部を設けるための特別な別部材を要することがない。なお、蓋部材をケースに組み付けたときには、つまり操作体の非操作位置及び操作位置においては、駆動部材または保持部材の係合部と、保持部材または駆動部材の被係合部は互いに離れて位置するので、このスイッチ装置の組立後の操作体の操作を支障なく行なうことができる。
【0019】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記可動接点が、剛性を有する導電性金属材から成る接点部を備え、この接点部が前記固定接点と接離することを特徴としている。このように構成した本発明は、可動接点の接点部が剛性を有するものであることから、変換手段によって変換された弾性部材の弾性力に基づく力によってこの可動接点の接点部を固定接点に確実に押し付けることができ、可動接点と固定接点の間に良好な接点圧を確保できる。
【0020】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記弾性部材が、導電性を有し、前記操作体を初期位置に復帰させるコイルばねから成り、前記固定接点が、少なくとも第1固定接点と第2固定接点を備え、前記コイルばねを、前記可動接点と前記第1固定接点とを導通させるように配置し、前記可動接点を前記第2固定接点に接離可能に設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、コイルばねをスイッチ操作における導電経路として活用することができる。これによって配線の引き回しを簡略化させることができる。
【0021】
また本発明は、前記スイッチ装置において、前記第1固定接点が、導電性金属板から成り、この第1固定接点を前記コイルばねの一端が当接する面を露出させて前記収納部の側面に埋設し、前記第2固定接点が、導電性金属板から成り、この第2固定接点は、前記可動接点の前記接触部が接触する面を露出させた状態で前記収納部の内底面に埋設し、前記可動接点は、前記コイルばねの他端を受けるばね受部と、前記コイルばねの巻回部に挿入される突部とを備え、この突部及びばね受部と前記可動接点の前記接点部は同じ金属体から成り、前記可動接点を、前記ばね受部と前記突部と前記接点部を露出させて前記保持部材に埋設したことを特徴としている。このように構成した本発明は、コイルばねの一端が筐体の収納部の側面に設けられた第1固定接点の露出面に支持され、コイルばねの他端が可動接点のばね受部に支持されるとともに、コイルばねの巻回部が可動接点の突部に保持されるので、操作体の操作の間、このコイルばねを筐体の収納部内に圧縮状態で安定して保持させることができる。すなわち、コイルばねを安定して保持して、確実に導電経路として活用させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、可動接点を摺動させる操作体に、この操作体を復帰させる方向の弾性力を付与する弾性部材を備えるとともに、この弾性部材の弾性力を操作体の操作方向とは異なる方向へ変換する変換手段を備え、操作体の操作に伴って摺動する前記可動接点が、変換手段を介して変換された弾性部材の弾性力に基づく力によって固定接点側に押し付けられる構成にしてある。この構成により、操作体の操作によって弾性部材の弾性力が強くなり、これに相応して可動接点が固定接点に押し付けられた状態で接触する。すなわち、可動接点が弾性力を有さないものであっても所望の接点圧を確保することができる。したがって、可動接点を、接点圧を確保するための弾性力を考慮しないで済む小さな形状寸法にすることが可能になり、これに伴って従来困難であったこのスイッチ装置の小型化を実現させることができる。
【0023】
また、本発明は、可動接点の摺動操作の間、この可動接点は変換手段を介して弾性部材の弾性力に基づく力で固定接点側に押し付けられながら摺動するので、可動接点と固定接点の接触面のクリーニングを実現でき、優れたスイッチ機能を確保することができる。
【0024】
さらに、本発明は、操作体を操作させない状態では、変換手段によって変換される弾性部材の弾性力に基づく力が弱くなり、これによって可動接点に加えられる力が弱くなり、また、可動接点を介して筐体に加えられる力が弱くなり、このスイッチ装置の回路基板への半田付けの際に、熱による可動接点のへたりや、筐体の歪みの発生を抑えることができ、このスイッチ装置の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下,本発明に係るスイッチ装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態の構成]
図1は本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。図2は第1実施形態が初期位置に保たれている状態を示す平面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2に示す状態から蓋部材を除いた平面図である。図5は第1実施形態がスイッチ作動位置まで操作された状態を示す平面図、図6は図5のB−B断面図、図7は図5に示す状態から蓋部材を除いた平面図である。
【0027】
図1,3,4等に示すように、本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態は、例えばセルフリターン型スライドスイッチであり、複数の固定接点、例えば第1固定接点2aと第2固定接点2bが設けられた収納部1aを有し、合成樹脂材から成るケース1と、このケース1の収納部1aの上方に形成された開口部1a1を覆う蓋部材9とから成る筐体と、この筐体のケース1の収納部1a内に一方向へ摺動可能に配置され、上述した2つの固定接点2a,2bのうちの第2固定接点2bに接離可能な可動接点5を備えている。また、ケース1の収納部1a内に収納され、可動接点5を摺動させる操作体6と、この操作体6を初期位置に復帰させる弾性部材、例えば可動接点5と第1固定接点2aとを導通させる導電性を有するコイルばね4とを備えている。
【0028】
この第1実施形態は、コイルばね4の弾性力を操作体6のスライド方向とは異なる方向へ変換する変換手段を備え、操作体6のスライド操作に伴って摺動する可動接点5が、変換手段を介して変換されたコイルばね4の弾性力に基づく力によって第2固定接点2bに押し付けられる構成になっている。
【0029】
上述した操作体6は、可動接点5を保持し、コイルばね4の弾性力に抗してケース1の収納部1a内を一方向に摺動可能な保持部材7と、筐体から露出する操作部、例えばケース1から突出する操作突起8bを有し、保持部材7を摺動させる駆動部材8とを備えている。保持部材7と駆動部材8とは図3に示すように、互いに対向する当接部7a,8aを介して当接させてある。駆動部材8の当接部8aは、操作体6のスライド操作時に保持部材7の当接部7aを押圧する押圧部を成し、保持部材7の当接部7aは、操作体6のスライド操作時に駆動部材8の押圧部によって押圧される被押圧部を成している。これらの駆動部材8の当接部8aから成る押圧部と、保持部材7の当接部7aから成る被押圧部によって、コイルばね4の弾性力を操作体6のスライド移動方向とは異なる方向(例えば直交する方向)へ変換する上述の変換手段が構成されている。
【0030】
また、上述した駆動部材8の押圧部と保持部材7の被押圧部のうちの少なくとも一方、例えば双方を、操作体6のスライド操作に伴って可動接点5が第2固定接点2b側に徐々に押し付けられるようにする変換面としてある。この変換面は、例えば傾斜面から成っている。すなわち、当接部8aを成す駆動部材8の押圧部に傾斜面8cを設け、当接部7aを成す保持部材7の被押圧部に傾斜面7bを設け、これらの傾斜面8c,7bを互いに当接させることによって上述の変換手段が構成されている。駆動部材8の傾斜面8cと保持部材7の傾斜面7bのそれぞれは、第2固定接点2bが配置されたケース1の収納部1aを形成する面部に近づくに従って、例えば図3に示すように収納部1aの内底面1gに近づくに従って、次第にコイルばね4から離れる形状に形成されている。
【0031】
上述したケース1は、図1に示すように、一方の側壁に切欠き部1bを有し、この切欠き部1bに駆動部材8の操作突起8bがスライド移動可能に配置されている。また、ケース1には、図4,7に示すように、駆動部材8の係合部8dが係止される係止部1cの他、外壁に複数の係合突起1dを設けてある。このケース1には、第1固定接点2a、第2固定接点2bのそれぞれ該当するものに導通する接続端子3a,3bも設けてある。また、このケース1には、図1,7に示すように、操作体6に含まれる駆動部材8に形成された第1被ガイド部8eを案内する上述の係止部1cの他、駆動部材8に形成された第2被ガイド部8f1を案内する内壁1f1と、駆動部材8に形成された第3被ガイド部8f2を案内する内壁1f2とが形成されている。ケース1の係止部1c、及び内壁1f1,1f2は、操作体6のスライド操作方向に沿うように延設されている。なお、駆動部材8に設けられスライド移動方向に延設された溝8gは、蓋部材9に設けられた壁(案内部)に案内されるようになっている。また、駆動部材8に当接する保持部材7の第1被ガイド部7c1は、ケース1のガイド壁1eによって案内され、保持部材7の第2被ガイド部7c2は、ケース1の内壁1f2によって案内されるようになっている。
【0032】
第1固定接点2aは、例えば導電性金属板から成り、図3に示すように、この第1固定接点2aはコイルばね4の一端4aが当接する面2a1を露出させた状態でケース1の収納部1aの側面に埋設してある。第2固定接点2bも、例えば導電性金属板から成り、この第2固定接点2bは、可動接点5の接点部5aが接触する面2b1を露出させた状態でケース1の内底面1gに埋設させてある。これらの第1固定接点2a及び第2固定接点2bは、ケース1にインサート成形により設けてある。
【0033】
可動接点5は、剛性を有し、半円球面状の曲面形状をした接点部5aを有している。可動接点5の接点部5aの反対側の部分は図3等に示すように、保持部材7の受部7cによって保持されている。また、この可動接点5は、図1に示すように、コイルばね4の他端4bを支持するばね受部5bと、コイルばね4の巻回部4cに挿入される突部5cとを備えている。ばね受部5bは例えば、突部5cの両側に配置された一対の段部で形成されている。これらのばね受部5b、突部5c、及び上述の接点部5aは、同じ金属体から成っている。すなわち、可動接点5の全体は、導電性金属体、例えば第1,第2固定接点2a,2bを構成する金属板よりも板厚の厚い一枚の導電性金属板によって構成されており、この可動接点5は、ばね受部5bと突部5cと接点部5aを露出させるように保持部材7にインサート成形によって設けてある。
【0034】
金属線材から成るコイルばね4は、図3にも示すように、一端4aが第1固定接点2aの面2a1に常時弾接され、他端4bが可動接点5のばね受部5bに支持され、巻回部4cが可動接点5の突部5cに保持されるように配置してある。
【0035】
なお、筐体を構成する上述の蓋部材9には、ケース1の係合突起1dのそれぞれに係合する係合穴9aを設けてある。また、上述した保持部材7、及びこの保持部材7に保持される可動接点5の接点部5aは、ケース1の内底面1g上を摺動可能となるように、ケース1の収納部1a内に配置してある。
【0036】
[第1実施形態の動作]
図2〜4に示すように、操作体6が初期位置に、すなわち非操作位置に保持されている状態では、上述したようにコイルばね4の一端4aが第1固定接点2aの面2a1に弾接され、コイルばね4の巻回部4cが可動接点5の突部5cに保持され、コイルばね4の他端4bが可動接点5のばね受部5bに支持される。これによって可動接点5がコイルばね4を介して第1固定接点2aに導通しているものの、保持部材7へのコイルばね4の弾性力の付与によって、この可動接点5の接点部5aは、第2固定接点2bの面2b1から離れた状態に保たれ、第2固定接点2bと第1固定接点2aとの間が遮断され、スイッチオフとなっている。このとき、保持部材7の傾斜面7bは、操作体6に含まれる駆動部材8の傾斜面8cに接合し、駆動部材8は、例えば可動接点5の摺動方向と直交する面部を形成するケース1の収納部1aの一方の内側面1hに当接した状態に保持される。この状態にあっては、コイルばね4は自然長に近い長さにわずかに圧縮されており、このコイルばね4による駆動部材8に対する弾性力を小さくすることができる。すなわち、コイルばね4の弾性力によって保持部材7及び駆動部材8を含む操作体6が、ケース1の収納部1aの上述した内側面1hに押し付けられる力、及びコイルばね4の弾性力に基づく力よって保持部材7及び可動接点5が、ケース1の収納部1aの内底面1gに押し付けられる力をきわめて小さくすることができる。
【0037】
このような状態から駆動部材8の操作突起8bを図2の矢印10で示すように移動させると、駆動部材8の溝8gが蓋部材9に設けられた壁に案内されるとともに、駆動部材8の第1被ガイド部8e、第2被ガイド部8f1、第3被ガイド部8f2のそれぞれが、ケース1の係止部1c、内壁1f1,1f2の該当するものによって案内されて駆動部材8が摺動するが、このときに駆動部材8に加えられている操作力が、この駆動部材8の傾斜面8cと、この傾斜面8cに当接している保持部材7の傾斜面7bとを介して保持部材7の摺動力として伝えられ、保持部材7がコイルばね4の弾性力に抗して、また、その第1被ガイド部7c1、第2被ガイド部7c2がケース1のガイド壁1e、内壁1f2の該当するものに案内されることによって同図2の矢印10方向に摺動する。また、この保持部材7と一体的に可動接点5が同図2の矢印10方向に摺動し、図5〜7に示すように、可動接点5がケース1の収納部1aの内底面1gに形成された第2固定接点2bの面2b1に接触することによりスイッチオンとなる。
【0038】
上述のように第1実施形態は、操作体6を形成する駆動部材8の傾斜面8cと保持部材7の傾斜面7bとを介して可動接点5を摺動させ、この可動接点5の接点部5aを第2固定接点2bの面2b1に接触させることができるが、駆動部材8の傾斜面8cから保持部材7の傾斜面7bに操作力が伝えられる際に、その分力すなわちコイルばね4の弾性力に基づく力によって保持部材7が操作体6の操作方向とは異なる直交方向となる第2固定接点2b側に、すなわちケース1の収納部1aの内底面1g方向に押されながら摺動する。また、保持部材7の摺動に伴って、すなわち操作体6の操作によって、圧縮されるコイルばね4の弾性力を強くすることができ、これに相応して操作力が強くなる。すなわち、保持部材7の摺動に伴って上述のコイルばね4の弾性力に基づく力が強くなることによって、保持部材7に保持された可動接点5の接点部5aが、第2固定接点2bの面2b1との接触に際し、この第2固定接点2bの面2b1に強く押し付けられ、これにより所望の接点圧が得られる。
【0039】
このように可動接点5の接点部5aが第2固定接点2bの面2b1に接触すると、この第2固定接点2bと、第1固定接点2aとが、導電性を有する圧縮されたコイルばね4及び可動接点5を介して導通し、上述したようにスイッチオンとなる。
【0040】
なお、駆動部材8に加えていた操作力を除くと、圧縮されたコイルばね4の弾性力によって可動接点5を保持する保持部材7、及び駆動部材8が初期位置に復帰し、可動接点5の接点部5aが第2固定接点2bの面2b1から離れ、再び第2固定接点2bと第1固定接点2aとの間が遮断され、スイッチオフとなる。
【0041】
[第1実施形態の効果]
このように構成した第1実施形態は、上述のように操作体6のスライド操作によって可動接点5を摺動させ、この可動接点5を第2固定接点2bに接触させることができるが、可動接点5の摺動の間に、この可動接点5は保持部材7の傾斜面7bと駆動部材8の傾斜面8cとによって形成される変換手段を介して、コイルばね4の弾性力に基づく力で第2固定接点2bが形成されるケース1の内底面1g方向に押圧されながら摺動する。また、操作体6の操作によって圧縮されたコイルばね4の弾性力を強くすることができ、これに相応して可動接点5が第2固定接点2bに強く押し付けられて接触する。したがって、可動接点5が弾性力を有しないものであっても所望の接点圧を確保することができる。これにより、可動接点5を接点圧を確保するための弾性力を考慮しないで済む小さな形状寸法にすることが可能になり、このスイッチ装置の小型化を実現させることができる。
【0042】
また、可動接点5の摺動操作の間、この可動接点5は傾斜面7b,8cから成る変換手段を介してコイルばね4の弾性力に相応する力で第2固定接点2b側に押し付けられながら摺動するので、可動接点5と第2固定接点2bの接触面のクリーニングを実現でき、優れたスイッチ機能を確保できる。
【0043】
さらに、操作体6をスライド操作させない状態では、傾斜面7b,8cから成る変換手段によって変換されるコイルばね4の弾性力に基づく力が弱くなり、これによって可動接点5に加えられる力が弱くなり、また、可動接点5を介して筐体を構成するケース1に加えられる力が弱くなり、このスイッチ装置の回路基板への半田付けの際に、熱による可動接点5のへたりや、ケース1の歪みの発生を抑えることができ、このスイッチ装置の信頼性を高めることができる。なお、第1実施形態に係るスイッチ装置を回路基板に半田付けする場合、リフロー半田によって半田付けするようにしてもよく、また、回路基板に形成された孔に、この第1実施形態の端子3a,3bを挿入させて、ディップ半田によって半田付けするようにしてもよい。いずれの場合にも、上述した可動接点5のへたり等を抑えることができる。
【0044】
また、この第1実施形態は、操作体6が、可動接点5を保持する保持部材7と、この保持部材7とは別体の駆動部材8とを備えていることから、操作体6のスライド操作時に、この操作体6に含まれる駆動部材8に曲げ等の不所望の力が与えられても、そのような不所望の力が保持部材7に直接に伝えられることがない。したがって、不所望な力に対して保持部材7に保持される可動接点5と、この可動接点5が接離する第2固定接点2bを保護することができる。
【0045】
また、コイルばね4の弾性力に基づく力が駆動部材8の当接部8aを形成する押圧部から保持部材7の当接部7aを形成する被押圧部に伝えられ、これによって保持部材7に保持される可動接点5を第2固定接点2bに押し付けることができ、所望の接点圧を確実に確保でき、優れた信頼性が得られる。
【0046】
また、コイルばね4の弾性力に基づく力が駆動部材8の押圧部、及び保持部材7の被押圧部の双方に形成される傾斜面8c,7bから成る変換面を介して保持部材7に伝えられる。すなわち、変換面を介して圧縮されるコイルばね4の弾性力に応じた力を、徐々に可動接点5を第2固定接点2bに押し付ける力として円滑に伝えることができ、高い信頼性を確保できる。
【0047】
さらに、操作体6のスライド操作の際に、駆動部材8と保持部材7とを傾斜面8c,7b同士の面接触によって当接させることができ、したがってこれらの傾斜面8c,7bの削れを抑え、削れ粉の発生を低減させることができ、このような削れ粉による可動接点5と第2固定接点2bとの接触不良を起こしにくくすることができる。
【0048】
また、可動接点5の接点部5aが剛性を有することから、傾斜面8c,7bから成る変換手段によって変換されたコイルばね4の弾性力に基づく力によって、この可動接点5の接点部5aを第2固定接点2bの面2b1に確実に押し付けることができ、可動接点5の接点部5aと第2固定接点2bの面2b1の間に良好な接点圧を確保でき、これによっても高い信頼性が得られる。
【0049】
また、導電性を有し、操作体6を初期位置に復帰させるコイルばね4と、第1固定接点2a及び第2固定接点2bを備え、コイルばね4を、可動接点5と第1固定接点2aとを導通させるように配置したことから、コイルばね4をスイッチ操作における導電経路として活用することができる。これによって配線の引き回しを簡略化させることができ、この第1実施形態に係るスイッチ装置の構造を簡単にすることができる。また、このスイッチ装置の組立が容易となる。
【0050】
また、コイルばね4の一端4aが筐体を形成するケース1の収納部1aの側面に設けられた第1固定接点2aの露出面2a1に支持され、コイルばね4の他端4bが可動接点5のばね受部5bに支持されるとともに、コイルばね4の巻回部4cが可動接点5の突部5cに保持されるので、操作体6のスライド操作の間、このコイルばね4をケース1の収納部1a内に圧縮した状態で安定して保持させることができる。すなわち、コイルばね4を圧縮した状態で安定した導電経路として活用させることができ、これによっても高い信頼性を確保することができる。
【0051】
[第2実施形態の構成]
図8は本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態を示す斜視図、図9は図8に示す第2実施形態から蓋部材を除いた平面図、図10は第2実施形態の分解斜視図、図11は第2実施形態に備えられるケースを示す平面図、図12は第2実施形態に備えられる駆動部材を裏面側から見た斜視図、図13は第2実施形態に備えられる保持部材及び可動接点を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は裏面図である。図14は第2実施形態の側断面図、図15は第2実施形態のケース内への保持部材、コイルばね、及び駆動部材の組み付け時の状態を示す側断面図である。なお、理解をし易くするために、図10においては、ケースに埋設される固定接点も分解して示してある。
【0052】
図8,9,10,11等に示すように、本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態も、例えばセルフリターン型スライドスイッチであり、基本構成は上述した第1実施形態と同等である。すなわち、複数の固定接点、例えば第1固定接点12aと第2固定接点12bが形成された収納部11aを有し、合成樹脂材から成るケース11と、このケース11の収納部11aの上方に形成された開口部11a1を覆う蓋部材19とから成る筐体と、この筐体のケース11の収納部11a内に一方向へ摺動可能に配置され、上述した2つの固定接点12a,12bのうちの第2固定接点12bに接離可能な可動接点15を備えている。また、ケース11の収納部11a内に収納され、可動接点15を摺動させる操作体16と、この操作体16を初期位置に復帰させる弾性部材、例えば可動接点15と第1固定接点12aとを導通させる導電性を有するコイルばね14とを備えている。
【0053】
また、コイルばね14の弾性力を操作体16のスライド方向とは異なる方向へ変換する変換手段を備え、操作体16のスライド操作に伴って摺動する可動接点15が、変換手段を介して変換されたコイルばね14の弾性力に基づく力によって第2固定接点12bに押し付けられる構成になっている。
【0054】
上述した操作体16は、図10,12,13にも示すように、可動接点15を保持し、コイルばね14の弾性力に抗してケース11の収納部11a内を一方向に摺動可能な保持部材17と、筐体から露出する操作部、例えばケース11から突出する操作突起18bを有し、保持部材17を摺動させる駆動部材18とを備えている。保持部材17と駆動部材18とは図14に示すように、互いに対向する当接部17a,18aを介して当接させてある。駆動部材18の当接部18aは、操作体16のスライド操作時に保持部材17の当接部17aを押圧する押圧部を成し、保持部材17の当接部17aは、操作体16のスライド操作時に駆動部材18の押圧部によって押圧される被押圧部を成している。これらの駆動部材18の押圧部と保持部材17の被押圧部によって、コイルばね14の弾性力を操作体16のスライド移動方向とは異なる方向(例えば直交方向)へ変換する上述の変換手段が構成されている。
【0055】
また、上述した駆動部材18の当接部18aから成る押圧部と、保持部材17の当接部17aから成る被押圧部のうちの少なくとも一方、例えば双方を、操作体16のスライド操作に伴って可動接点15が第2固定接点12b側に徐々に押し付けられるようにする変換面としてある。この変換面は、例えば傾斜面から成っている。すなわち、図12に示すように当接部18aを成す駆動部材18の押圧部に傾斜面18cを設け、図13の(a)図に示すように当接部17aを成す保持部材17の被押圧部に傾斜面17bを設け、これらの傾斜面18c,17bを互いに当接させることによって上述の変換手段が構成されている。駆動部材18の傾斜面18cと保持部材17の傾斜面17bのそれぞれは、図14に示すように、第2固定接点12bが配置されたケース11の収納部11aを形成する面部、例えば収納部11aの内底面11gに近づくに従って次第にコイルばね14から離れる形状に形成されている。
【0056】
上述したケース11は、図8,9,11に示すように一方の側壁に切欠き部11bを有し、この切欠き部11bに駆動部材18の操作突起18bが移動可能に配置されている。また、このケース11には、操作体16に含まれる駆動部材18に形成された第1被ガイド部18eを案内するガイド壁11eと、駆動部材18に形成された第2被ガイド部18f1を案内する内壁11f1と、駆動部材18に形成された第3被ガイド部18f2を案内する内壁11f2が形成されている。ケース11のガイド壁11e及び内壁11f1,11f2は、操作体16のスライド操作方向に沿うように延設されている。なお、駆動部材18に当接する保持部材17の第1被ガイド部17c1は、ケース11のガイド壁11eによって案内され、保持部材17の第2被ガイド部17c2は、ケース11の内壁11f2によって案内されるようになっている。
【0057】
第1固定接点12aは、例えば導電性金属板から成り、この第1固定接点12aをコイルばね14の一端14aが当接する面12a1を露出させてケース11の収納部11aの側面に埋設してある。第2固定接点12bも、例えば導電性金属板から成り、この第2固定接点12bを可動接点15の接点部15Aが接触する面12b1を露出させてケース11の内底面11gに埋設させてある。これらの第1固定接点12a及び第2固定接点12bは、ケース11にインサート成形により設けてある。
【0058】
可動接点15は、図13に示すように第2固定接点12bに接離可能で剛性を有し、半球形状等の曲面形状をした接点部15Aを有している。可動接点15の接点部15Aの反対側の部分は図14に示すように、合成樹脂から成る保持部材17の受部17cによって保持されている。また、この可動接点15は、図13の(b)図に示すように、コイルばね14の他端14bを支持するばね受部15bと、コイルばね14の巻回部14cに挿入される突部15cとを備えている。ばね受部15bは例えば、突部15cの両側に配置された一対の段部で形成されている。これらのばね受部15b、突部15c、及び上述の接点部15Aは、同じ金属体から成っている。すなわち、可動接点15の全体は、導電性金属体、例えば一枚の導電性金属板によって構成されており、この可動接点15は、ばね受部15bと突部15cと、例えばプレス加工によって半球状に形成した接点部15Aとを露出させるように保持部材17にインサート成形によって設けてある。
【0059】
コイルばね14は、図9,14に示すように、一端14aが第1固定接点12aの面12a1に常時弾接され、他端14bが可動接点15のばね受部15bに支持され、巻回部14cが可動接点15の突部15cに保持されるように配置してある。
【0060】
なお、上述した保持部材17、及びこの保持部材17に保持させた可動接点15の接点部15Aは、ケース11の内底面11g上を摺動可能となるように、ケース11の収納部11a内に配置してある。この第2実施形態に係る以上の基本構成については、第1実施形態とほぼ同等である。
【0061】
この第2実施形態は、筐体を構成するケース11の開口部11a1より、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とをケース11の収納部11a内に収納した際に、コイルばね14の弾性力によって保持部材17と駆動部材18が変換面を介して、すなわち保持部材17の傾斜面17b及び駆動部材18の傾斜面18cを介して浮き上がることを規制する規制部を、保持部材17と駆動部材18に設けた構成にしてある。
【0062】
上述の規制部は、例えば図15等に示すように、駆動部材18の当接部18aから成る押圧部に隣接して形成された凸状の係合部20と、保持部材17の当接部17aから成る被押圧部に隣接して形成され、筐体のケース11の開口部11a1より、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とを収納部11a内に収納した際に、コイルばね14の弾性力によって上述の駆動部材18の係合部20に係合する凹状の被係合部21とを備えている。係合部20と被係合部21とは、操作体16が操作されない非操作位置、及び操作体16がスライド操作される操作位置、すなわち、蓋部材19がケース11に取り付けられた状態では、図14に例示するように互いに離間するように配置される。
【0063】
また、上述のように筐体のケース11の開口部11a1より、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とを収納部11a内に収納した際に、駆動部材18の係合部20が保持部材17の被係合部21に係合する箇所が、図15の一点鎖線23で示すように、コイルばね14の中心線22より距離Sだけ上方に位置するように予め設定してある。すなわち、同図15に示すように、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とをケース11の収納部11a内に収納し、蓋部材19がケース11に装着されていない状態では、圧縮された状態で収納されたコイルばね14の弾性力によって保持部材17が押され、傾斜面17b,18cを介して駆動部材18は、ケース11の開口部11a1よりも上方に突出した状態でケース11の内側面に当接した状態となる。この状態においては、駆動部材18に同図15の矢印24で示す右回りのモーメントを生じ、これによって駆動部材18の係合部20と保持部材17の被係合部21はケース11の内底面11gに向かって押し下げられる傾向となる。
【0064】
なお、上述の状態から、ケース11に蓋部材19を被せると、この蓋部材19によって駆動部材18が下方へ押され、この駆動部材18の傾斜面18cと保持部材17の傾斜面17b間の摺接動作を介して保持部材17がコイルばね14方向に移動する。これにより駆動部材18の係合部20と保持部材17の被係合部21とが互いに離れ、図14に例示する状態、すなわち、係合部20と被係合部21とが、操作体16が操作されない非操作位置、及び操作体16がスライド操作される操作位置において、互いに離間するように配置された状態となる。
【0065】
このように構成した第2実施形態も、第1実施形態と同様に、コイルばね14の弾性力を操作体16のスライド方向とは異なる方向へ、すなわち保持部材17によって保持された可動接点15の接点部15Aを、第2固定接点12bに押し付ける方向へ変換する駆動部材18の傾斜面18cと保持部材17の傾斜面17bを含む変換手段を備えたことから、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
また、筐体のケース11の開口部11a1より、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とを収納部11a内に収納し、蓋部材19が被せられていない状態では、駆動部材18の係合部20と保持部材17の被係合部21とから成る規制部によって、上述のように駆動部材18に図15の矢印24で示す右回りのモーメントが生じ、駆動部材18の係合部20と保持部材17の被係合部21はケース11の内底面11gに向かって押し下げられる傾向となる。これにより、変換面すなわち傾斜面18c,17bを介しての駆動部材18と保持部材17の浮き上がりが規制され、筐体を構成するケース11の収納部11aへ保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とを組み込む際の、駆動部材18と保持部材17のケース11からの飛び出しを防ぐことができる。したがって、ケース11への保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18の組み込みを容易に行なうことができ、この第2実施形態に係るスイッチ装置の組立作業能率を向上させることができる。
【0067】
また、この第2実施形態は、上述のように規制部が、駆動部材18に形成した係合部20と、保持部材17に形成した被係合部とによって構成されるので、この規制部を設けるための特別な別部材を要することがない。なお、蓋部材19をケース11に組み付けたときには、つまり操作体16の非操作位置及び操作位置においては、上述のように駆動部材18の係合部20と保持部材17の被係合部21は互いに離れて位置するので、このスイッチ装置の組立後の操作体16のスライド操作を支障なく行なうことができ、操作体16の良好なスライド操作性を確保できる。
【0068】
なお、上記した第2実施形態では、筐体を構成するケース11の開口部11a1より、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とを収納部11a内に収納した際に、コイルばね14の弾性力によって保持部材17と駆動部材18が浮き上がることを規制する規制部を、駆動部材18に形成された凸状の係合部20と、保持部材17に形成され、駆動部材18の係合部20に係合する凹状の被係合部21とによって構成したが、本発明は、このように構成することには限られない。規制部を上述とは逆に、保持部材17に形成した凸状の係合部と、駆動部材18に形成され、保持部材17の係合部に係合する凹状の被係合部とによって構成してもよい。この場合にも、係合部と被係合部とが係合する箇所は、コイルばねの中心線よりも上方に予め設定される。これにより、第2実施形態におけるのと同等の作用効果が得られる。すなわち、規制部を構成する係合部と被係合部との当接面が、操作体16のスライド移動方向と直交する方向に沿った状態に設定するか、傾斜面18c,17bの当接面とは逆向きの傾斜面となるように設定すればよい。このように構成することで、保持部材17及びコイルばね14と、駆動部材18とをケース11の収納部11a内に収納し、蓋部材19が被せられていない状態においては、駆動部材18の被係合部と保持部材17の係合部はケース11の内底面11gに向かって押し下げられる傾向となる。これによって駆動部材18と保持部材17の浮き上がりを規制することができる。
【0069】
[第3実施形態の構成]
図16は本発明の第3実施形態の要部を示す平面図である。この第3実施形態も第1実施形態と同様に、操作突起25aを有する駆動部材25と、可動接点27を保持する保持部材26とによって操作体が構成されている。また、駆動部材25に形成した傾斜面25bと、この傾斜面25bに接合し、保持部材26に形成した傾斜面26aとによって、変換手段が構成されている。この第3実施形態では、駆動部材25と保持部材26から成る操作体に、この操作体を復帰させる方向の弾性力を付与する弾性部材として、第1実施形態におけるコイルばね4とは異なって、導電性を有するトーションばね28を設けてある。このトーションばね28の一端28aは、可動接点27のばね受部27aに支持され、他端28bは図示しない第1実施形態におけるのと同様の第1固定接点に常時弾接されている。その他の構成は、第1実施形態と同等である。
【0070】
このように構成した第3実施形態も、第1実施形態と同様にトーションばね28の弾性力を、可動接点27に対する図示しない第2固定接点側への押し付け力として伝えることができ、第1実施形態とほぼ同様の作用効果が得られる。なお弾性部材を、第1実施形態におけるコイルばね4、あるいは第3実施形態に示したトーションばね28に代えて、引っ張りばねによって構成してもよい。
【0071】
[第4実施形態の構成]
図17は本発明の第4実施形態の要部を示す側面図である。この第4実施形態は、ケース29を覆う蓋部材30が、ケース29内に配置される図示しない第2固定接点側に突出し、例えば曲面状に形成された突部30aを有するとともに、可動接点32を摺動させる操作体31が、蓋部材30の突部30aに当接可能な傾斜面31aを有する一部材から成っている。この操作体31の傾斜面31aは、ケース29の収納部29aの内底面に近づくに従って次第にコイルばね33に近づく形状に形成してある。可動接点32は、全体が導電性金属体から成り、例えば合成樹脂から成る操作体31にインサート成形によって設けられ、第1実施形態におけるのと同等のケース29に埋設された図示しない第2固定接点に接離可能に配置されている。ケース29の収納部29a内には、弾性部材として導電性金属から成るコイルばね33を配置してあり、このコイルばね33の一端33aは、ケース29に埋設された図示しない第1固定接点に常時弾接され、他端33bは、可動接点32に支持されている。
【0072】
この第4実施形態は、コイルばね33の弾性力を操作体31のスライド操作方向と異なる方向へ変換する変換手段が、蓋部材30の突部30aと、操作体31に形成した傾斜面31aとによって構成されている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0073】
このように構成した第4実施形態も、操作体31をコイルばね33を圧縮するように矢印31b方向へスライド操作すると、操作体31の傾斜面31aが蓋部材30の突部30aに当接し、圧縮されて強くなったコイルばね30の弾性力に基づく力によって、蓋部材30の突部30aと操作体31の傾斜面31aの当接を介して、操作体31に保持された可動接点32がケース29の図示しない第2固定接点側に押し付けられ、第1実施形態とほぼ同等の作用効果が得られる。また、変換手段が操作体31と蓋部材30とから成るので、変換手段に係る部品数の増加を抑えることができ、製作が容易となる。また、蓋部材30の突部30aの位置を変えることにより可動接点32が図示しない第2固定接点を押し付ける位置を自在に選定することができ、可動接点32と図示しない第2固定接点との位置関係に対する設計の自由度を大きくすることができる。
【0074】
なお、部品数の増加を考慮しなくて済むような場合には、上述した一部材から成る操作体31に代えて、操作体を、蓋部材30の突部30aに当接する傾斜面を有する駆動部材と、この駆動部材とは別体に設けられるものの、駆動部材との当接部を有する保持部材、すなわち可動接点32を保持する保持部材との2部材によって構成してもよい。このように構成したものは、操作体のスライド操作時に、この操作体に含まれる駆動部材に曲げ等の不所望の力が与えられても、そのような不所望の力が別部材である保持部材に直接に伝えられることがない。したがって、不所望な力に対して保持部材に保持される可動接点32と、この可動接点32が接離する図示しない第2固定接点を保護することができる。
【0075】
[第5実施形態の構成]
図18は本発明の第5実施形態の要部を示す側面図である。この第5実施形態は、第1実施形態と同様に操作体を駆動部材34と、可動接点36を保持する保持部材35によって構成してある。また、駆動部材34の当接部を形成する押圧部34aに、曲面34bを形成してあり、保持部材35の当接部を形成する被押圧部35aに、駆動部材34の曲面34bに接合する傾斜面35bを形成してある。保持部材35の傾斜面35bは、第1実施形態におけるのと同様に、図示しないケースの収納部の内底面に近づくに従って次第に図示しないコイルばねから離れる形状に形成してある。上述した駆動部材34の曲面34bと、保持部材35の傾斜面35bによって、図示しないコイルばねの弾性力を、駆動部材34と保持部材35を含む操作体のスライド操作方向と異なる方向へ変換する変換面、すなわち変換手段が構成されている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0076】
このように構成した第5実施形態も、第1実施形態と同様に、操作体のスライド操作に際して、駆動部材34の曲面34bと保持部材35の傾斜面35bとの摺接を介して、図示しないコイルばねを圧縮させながら可動接点36を保持する保持部材35が摺動し、コイルばねの弾性力に基づく力によって可動接点36の接点部36aが図示しない第2固定接点に押し付けられ、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0077】
なお、この第5実施形態は、駆動部材34に曲面34bを形成し、保持部材35に駆動部材34の曲面34bに接合する傾斜面35bを形成した構成にしてあるが、これとは逆に、駆動部材34に傾斜面を形成し、保持部材35に駆動部材34の傾斜面に接合する曲面を形成した構成にしてもよい。
【0078】
[第6実施形態の構成]
図19は本発明の第6実施形態の要部を示す側面図である。この第6実施形態も、第1実施形態と同様に操作体を駆動部材37と、可動接点39を保持する保持部材38によって構成してある。また、駆動部材37の当接部を形成する押圧部37aに、曲面37bを形成してあり、保持部材38の当接部を形成する被押圧部38aに、駆動部材37の曲面37bに接合する曲面38bを形成してある。上述した駆動部材37の曲面37bと、保持部材38の曲面38bによって、図示しないコイルばねの弾性力を、駆動部材37と保持部材38を含む操作体のスライド操作方向と異なる方向へ変換する変換面、すなわち変換手段が構成されている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0079】
このように構成した第6実施形態も、第1実施形態と同様に、操作体のスライド操作に際して、駆動部材37の曲面37bと保持部材38の曲面38bとの摺接を介して、図示しないコイルばねを圧縮させながら可動接点39を保持する保持部材38が摺動し、図示しないコイルばねの弾性力に基づく力によって可動接点39の接点部39aが図示しない第2固定接点に押し付けられ、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0080】
[第7実施形態の構成]
図20は本発明の第7実施形態の要部を示す側面図である。この第7実施形態も、第1実施形態と同様に操作体を駆動部材40と、可動接点42を保持する保持部材41によって構成してある。また、駆動部材40の当接部を形成する押圧部40aに、傾斜面40bを形成してあり、保持部材41の当接部を形成する被押圧部41aに、駆動部材40の傾斜面40bに対向する傾斜面41bを形成してある。また、この保持部材41の傾斜面41bに半球状凹部41cを形成してあり、この半球状凹部41c内に、駆動部材40の傾斜面40bに接合する球43を転動自在に収容させてある。駆動部材40の傾斜面40b及び保持部材41の傾斜面41bのそれぞれは、第1実施形態におけるのと同様に、図示しないケースの収納部の内底面に近づくに従って次第に図示しないコイルばねから離れる形状に形成してある。上述した駆動部材40の傾斜面40bと、保持部材41の半球状凹部41cに収容した球43とによって、図示しないコイルばねの弾性力を、駆動部材40と保持部材41を含む操作体のスライド操作方向と異なる方向へ変換する変換手段が構成されている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0081】
このように構成した第7実施形態も、第1実施形態と同様に、操作体のスライド操作に際して、駆動部材40の傾斜面40bと摺接する保持部材41に保持された球43の転動を介して、図示しないコイルばねを圧縮させながら可動接点42を保持する保持部材41が摺動し、図示しないコイルばねの弾性力に基づく力によって可動接点42の接点部42aが図示しない第2固定接点に押し付けられ、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0082】
なお、この第7実施形態は、保持部材41に半球状凹部41cを形成し、この半球状凹部41cに駆動部材40の傾斜面40bに接合する球43を収容した構成にしてあるが、これとは逆に、駆動部材40の傾斜面に半球状凹部を形成し、この半球状凹部に保持部材41の傾斜面に接合する転動自在な球を収容した構成にしてもよい。
【0083】
[第8実施形態の構成]
図21は本発明の第8実施形態の要部を示す側面図である。この第8実施形態も、第1実施形態と同様に操作体を駆動部材45と、可動接点47を保持する保持部材46によって構成してある。また、第7実施形態と同様に、駆動部材45の当接部を形成する押圧部45aに、傾斜面45bを形成してあり、保持部材46の当接部を形成する被押圧部46aに、駆動部材45の傾斜面45bに対向する傾斜面46bを形成してある。また、この保持部材46の傾斜面46bに駆動部材45の傾斜面45bに接合する半球状凸部46cを形成してある。駆動部材45の傾斜面45b及び保持部材46の傾斜面46bのそれぞれは、第1実施形態におけるのと同様に、図示しないケースの収納部の内底面に近づくに従って次第に図示しないコイルばねから離れる形状に形成してある。上述した駆動部材45の傾斜面45bと、保持部材46の半球状凸部46cとによって、図示しないコイルばねの弾性力を、駆動部材45と保持部材46を含む操作体のスライド操作方向と異なる方向へ変換する変換手段が構成されている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0084】
このように構成した第8実施形態も、第1実施形態と同様に、操作体のスライド操作に際して、駆動部材45の傾斜面45bと摺接する保持部材46の半球状凸部46cを介して、図示しないコイルばねを圧縮させながら可動接点47を保持する保持部材46が摺動し、図示しないコイルばねの弾性力に基づく力によって可動接点47の接点部47aが図示しない第2固定接点に押し付けられ、第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0085】
なお、この第8実施形態は、保持部材46に半球状凸部46cを形成し、この半球状凸部46cに接合する傾斜面45bを駆動部材45に形成した構成にしてあるが、これとは逆に、駆動部材45に半球状凸部を形成し、この半球状凸部に接合する傾斜面を保持部材46に形成した構成にしてもよい。
【0086】
[第9実施形態の構成]
図22は本発明の第9実施形態の要部を示す側面図である。この第9実施形態は、第4実施形態と同様に、図示しないケースの収納部48aを覆う蓋部材49が、図示しないケース内に配置される第2固定接点側に突出し、例えば曲面状の突部49aを有するとともに、可動接点51を摺動させる操作体50が、蓋部材49の突部49aに当接可能な傾斜面50aを有する一部材から成っている。この操作体50の傾斜面50aは、図示しないケースの収納部48aの内底面に近づくに従って次第にコイルばね53に近づく形状に形成してある。可動接点51は、全体が導電性金属体から成り、例えば合成樹脂から成る操作体50にインサート成形によって設けられ、第1実施形態におけるのと同等のケースに埋設された図示しない第2固定接点に接離可能に配置されている。ケースの収納部48a内には、弾性部材として導電性を有するコイルばね53を配置してあり、このコイルばね53の一端53aは、ケースに埋設された図示しない第1固定接点に常時弾接され、他端53bは、可動接点51に支持されている。また、操作体50の操作に伴って共に移動し、例えば図示しないケースとでクリック感を生起させると共に、操作体50の位置を保持可能なクリック機構52を備えている。この第9実施形態は、セルフリターン型でなく、操作体50はコイルばね53による弾性力を受けるものの、クリック機構52によって初期位置、及び可動接点51が図示しない第2固定接点に接する位置に停止するように構成されている。
【0087】
この第9実施形態も第4実施形態と同様に、コイルばね53の弾性力を操作体50のスライド操作方向と異なる方向へ変換する変換手段が、蓋部材49の突部49aと、操作体50に形成した傾斜面50aとによって構成されている。その他の構成は第1実施形態と同等である。
【0088】
このように構成した第9実施形態も、操作体50をコイルばね53を撓めるようにスライド操作すると、操作体50の傾斜面50aが蓋部材49の突部49aに係合し、圧縮されて強くなったコイルばね53の弾性力に基づく力によって、蓋部材49の突部49aと操作体50の傾斜面50aの当接を介して、操作体50に保持された可動接点51がケースの図示しない第2固定接点側に押し付けられ、第1実施形態とほぼ同等の作用効果が得られる。また、操作体50を初期位置に戻す際には、クリック機構52による操作体50の保持状態を解除して、操作体50を初期位置に戻すことができる。
【0089】
[第10実施形態の構成]
図23は本発明の第10実施形態に備えられる保持部材及び可動接点を裏面側から見た斜視図、図24は図23に示す可動接点を保持する保持部材と固定接点との配置関係を示す斜視図である。
【0090】
この第10実施形態は、図23に示すように、保持部材54に保持された可動接点55が、操作体のスライド操作方向と直交する方向に延設された2つの接点部、すなわち第1接点部55aと第2接点部55bを備えている。また、保持部材54は、図24に示すようにこの保持部材54とともに操作体を構成する図示しない駆動部材の例えば傾斜面と当接する傾斜面54aを有するとともに、その裏面に、可動接点55の第1接点部55a及び第2接点部55bの下端位置とほぼ同位置となる下端を有する絶縁性の突部54bを備えている。図示しない駆動部材の傾斜面、及びこの傾斜面と当接する保持部材54の傾斜面54aのそれぞれは、第1実施形態におけるのと同様に、図示しないケースの収納部の内底面56に近づくに従って次第に図示しないコイルばねから離れる形状に形成してある。
【0091】
また、図24に示すように、図示しないケースの内底面56には、操作体のスライド操作方向に沿って延設された二つの固定接点、すなわち可動接点55の第1接点部55aが常時接触する長さの長い第1固定接点57と、この第1固定接点57に比べて短く形成され、可動接点55の第2接点部55bが接離可能な第2固定接点58とを並設させてある。これらの第1固定接点57及び第2固定接点58は、例えば図示しないケースにインサート成形される導電性金属板から成っている。
【0092】
この第10実施形態では、保持部材54に弾性力を付与する弾性部材として、例えば図示しない金属部材から成るコイルばねを備えているものの、このコイルばねは導電性を有する必要はない。また、そのコイルばねは、図示しないケースの収納部に収納されるものの、例えば上述した第1実施形態におけるものとは異なり、第1固定接点57とは接触しないように保持される。これらの図示しない第1接点部55a及び第2接点部55bを有する可動接点55と、図示しないケースの内底面56に配置される第1固定接点57及び第2固定接点58を除く構成は、例えば上述した第1実施形態と同等である。
【0093】
この第10実施形態は、操作体が操作されない初期位置にあっては、保持部材54に保持された可動接点55の第1接点部55aが第1固定接点57に接触しているものの、可動接点55の第2接点部55bは第2固定接点58に接触しない状態に保たれ、第1固定接点57と第2固定接点58との間が遮断されてスイッチオフとなる。この状態から操作体、すなわち操作体を構成する図示しない駆動部材を図24の矢印59方向へスライド操作させると、図示しない駆動部材の傾斜面と保持部材54の傾斜面54aを介して可動接点55を保持する保持部材54が、圧縮される図示しないコイルばねの弾性力に抗して同矢印59方向に摺動する。この際に第1実施形態において既に説明したように、図示しないコイルばねの弾性力に基づく力により保持部材54はケースの内底面56側に押し付けられながら摺動する。保持部材54が所定位置まで摺動すると、可動接点55の第2接点部55bが第2固定接点58に接触する。これにより、可動接点55の第1接点部55a及び第2接点部55bを介して第1固定接点57と第2固定接点58とが導通し、スイッチオンとなる。このとき、上述したように図示しないコイルばねの弾性力に基づく力によって可動接点55の第1接点部55aと第2接点部55bの双方が、第1固定接点57及び第2固定接点58のうちの該当する固定接点にそれぞれ押し付けられ、所望の接点圧を確保できる。すなわち、上述した第1実施形態におけるのとほぼ同等の効果を得ることができる。
【0094】
また、この第10実施形態は、第1固定接点57及び第2固定接点58の形状を簡単にすることができ、保持部材54に弾性力を付与するコイルばねが導電経路を形成する必要はないので、このスイッチ装置の製作が簡単である。なお、この第10実施形態は、弾性部材が導電性を有しなくて済むことから、弾性部材としてコイルばねに代えて、ゴム、エラストマー等を備えた構成とすることもできる。
【0095】
[他の実施形態]
上記実施形態、例えば第1実施形態では、第2固定接点2bを可動接点5の摺動方向に沿うように、ケース1の収納部1aの内底面1gに形成するとともに、駆動部材8の傾斜面8c及び保持部材7の傾斜面7bの形状を、収納部1aの内底面に近づくに従って次第にコイルばね4から離れる形状に形成してあるが、本発明は、このように構成することには限定されない。すなわち、第1実施形態において考慮した場合、第2固定接点2bを可動接点5の摺動方向に沿うように、ケース1の収納部1aの内側面、例えばケース1に形成された図1に示す切欠き部1bに対向する内側面に形成するとともに、駆動部材8の傾斜面8c及び保持部材7の傾斜面7bの形状を、収納部1aの上述した内側面に近づくに従って次第にコイルばね4から離れる形状に形成してもよい。このように構成した場合も、上述した各実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0096】
また、上記各実施形態は、操作体がスライド操作する構成になっているが、本発明は、操作体をスライド操作させることには限られず、操作体をプッシュ操作可能に構成してもよい。
【0097】
また、上記各実施形態では、第1固定接点及び第2固定接点が導電性金属板から成り、合成樹脂より成るケースにインサート成形される構成にしてあるが、本発明は、第1固定接点及び第2固定接点をこのように構成することには限られず、これらの第1固定接点及び第2固定接点が印刷パターンから成るものであってもよい。
【0098】
また、上記各実施形態では、操作体が直線的にスライド操作されるように構成されているが、本発明は、このように操作体が直線的にスライド操作される構成には限られず、操作体が円弧を描くようにスライド操作される構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態が初期位置に保たれている状態を示す平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2に示す状態から蓋部材を除いた平面図である。
【図5】第1実施形態がスイッチ作動位置まで操作された状態を示す平面図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】図5に示す状態から蓋部材を除いた平面図である。
【図8】本発明に係るスイッチ装置の第2実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8に示す第2実施形態から蓋部材を除いた平面図である。
【図10】第2実施形態の分解斜視図である。
【図11】第2実施形態に備えられるケースを示す平面図である。
【図12】第2実施形態に備えられる駆動部材を裏面側から見た斜視図である。
【図13】第2実施形態に備えられる保持部材及び可動接点を示す図で、(a)図は側面図、(b)図は裏面図である。
【図14】第2実施形態の側断面図である。
【図15】第2実施形態のケース内への保持部材、コイルばね、及び駆動部材の組み付け時の状態を示す側断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態の要部を示す平面図である。
【図17】本発明の第4実施形態の要部を示す側面図である。
【図18】本発明の第5実施形態の要部を示す側面図である。
【図19】本発明の第6実施形態の要部を示す側面図である。
【図20】本発明の第7実施形態の要部を示す側面図である。
【図21】本発明の第8実施形態の要部を示す側面図である。
【図22】本発明の第9実施形態の要部を示す側面図である。
【図23】本発明の第10実施形態に備えられる保持部材及び可動接点を裏面側から見た斜視図である。
【図24】図23に示す可動接点を保持する保持部材と固定接点との配置関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
1 ケース
1a 収納部
1a1 開口部
1e ガイド壁
1f1 内壁
1f2 内壁
1g 内底面
2a 第1固定接点
2a1 面
2b 第2固定接点
2b1 面
4 コイルばね(弾性部材)
4a 一端
4b 他端
4c 巻回部
5 可動接点
5a 接点部
5b ばね受部
5c 突部
6 操作体
7 保持部材
7a 当接部
7b 傾斜面(変換手段)
7c1 第1被ガイド部
7c2 第2被ガイド部
8 駆動部材
8a 当接部
8c 傾斜面(変換手段)
8e 第1被ガイド部
8f1 第2被ガイド部
8f2 第3被ガイド部
8g 溝
9 蓋部材
11 ケース
11a 収納部
11a1 開口部
11e ガイド壁
11f1 内壁
11f2 内壁
11g 内底面
12a 第1固定接点
12a1 面
12b 第2固定接点
12b1 面
14 コイルばね(弾性部材)
14a 一端
14b 他端
14c 巻回部
15 可動接点
15A 接点部
15b ばね受部
15c 突部
16 操作体
17 保持部材
17a 当接部
17b 傾斜面(変換手段)
17c1 第1被ガイド部
17c2 第2被ガイド部
18 駆動部材
18a 当接部
18c 傾斜面(変換手段)
18e 第1被ガイド部
18f1 第2被ガイド部
18f2 第3被ガイド部
19 蓋部材
20 係合部(規制部)
21 被係合部(規制部)
25 駆動部材
25b 傾斜面(変換手段)
26 保持部材
26a 傾斜面(変換手段)
27 可動接点
27a ばね受部
28 トーションばね(弾性部材)
28a 一端
28b 他端
29 ケース
29a 収納部
30 蓋部材
30a 突部(変換手段)
31 操作体
31a 傾斜面(変換手段)
32 可動接点
33 コイルばね(弾性部材)
33a 一端
33b 他端
34 駆動部材
34a 押圧部
34b 曲面(変換手段)
35 保持部材
35a 被押圧部
35b 傾斜面(変換手段)
36 可動接点
36a 接点部
37 駆動部材
37a 押圧部
37b 曲面(変換手段)
38 保持部材
38a 被押圧部
38b 曲面(変換手段)
39 可動接点
39a 接点部
40 駆動部材
40a 押圧部
40b 傾斜面(変換手段)
41 保持部材
41a 被押圧部
41b 傾斜面
41c 半球状凹部
42 可動接点
42a 接点部
43 球(変換手段)
45 駆動部材
45a 押圧部
45b 傾斜面(変換手段)
46 保持部材
46a 被押圧部
46b 傾斜面
46c 半球状凸部(変換手段)
47 可動接点
47a 接点部
48a 収納部
49 蓋部材
49a 突部(変換手段)
50 操作体
50a 傾斜面(変換手段)
51 可動接点
52 クリック機構
53 コイルばね(弾性部材)
53a 一端
53b 他端
54 保持部材
54a 傾斜面(変換手段)
54b 突部(変換手段)
55 可動接点
55a 第1接点部
55b 第2接点部
56 内底面
57 第1固定接点
58 第2固定接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点が設けられた収納部を有する筐体と、この筐体の前記収納部内に摺動可能に配置され、前記固定接点に接触可能な可動接点と、前記筐体の前記収納部内に操作可能に配置され、前記可動接点を摺動させる操作体と、前記筐体の前記収納部内に配置され、操作された前記操作体に、この操作体を復帰させる方向の弾性力を付与する弾性部材とを備え、
前記弾性部材の弾性力に抗して前記操作体を操作させて、前記可動接点を前記固定接点に接触させるスイッチ装置であって、
前記弾性部材の弾性力を前記操作体の操作方向とは異なる方向へ変換する変換手段を備え、
前記操作体の操作に伴って摺動する前記可動接点が、前記変換手段を介して変換された前記弾性部材の弾性力に基づく力によって前記固定接点側に押し付けられることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記請求項1記載のスイッチ装置において、
前記操作体が、前記可動接点を保持し、前記弾性部材の弾性力に抗して前記筐体の前記収納部内を摺動可能な保持部材と、前記筐体から露出する操作部を有し、前記保持部材を摺動させる駆動部材とを備え、
前記保持部材と前記駆動部材とが前記変換手段を構成していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
前記請求項2記載のスイッチ装置において、
前記保持部材と前記駆動部材とを、互いに対向する当接部を介して当接させ、
前記駆動部材の当接部が、前記操作体の操作時に、前記保持部材の当接部を押圧する押圧部を成し、
前記保持部材の当接部が、前記操作体の操作時に、前記駆動部材の前記押圧部によって押圧される被押圧部を成し、
前記駆動部材の押圧部と前記保持部材の被押圧部とによって前記変換手段が構成されることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
前記請求項3記載のスイッチ装置において、
前記駆動部材の前記押圧部と前記保持部材の前記被押圧部のうちの少なくとも一方を、前記操作体の操作に伴って、前記可動接点が、前記固定接点側に徐々に押し付けられるようにする変換面としたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
前記請求項4記載のスイッチ装置において、
前記変換面は傾斜面から成り、この傾斜面を、前記当接部を成す前記駆動部材の前記押圧部と前記保持部材の前記被押圧部のそれぞれに設け、これらの傾斜面を互いに当接させることによって前記変換手段が構成されることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
前記請求項1記載のスイッチ装置において、
前記筐体は、前記固定接点が設けられ、開口部を有する前記収納部を備えたケースと、このケースの前記開口部を覆う蓋部材とから成り、
前記蓋部材に、前記固定接点側に突出し、前記操作体の操作時にこの操作体が当接する突部を設け、
前記操作体と前記突部とが前記変換手段を構成していることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
前記請求項4または5記載のスイッチ装置において、
前記筐体は、前記固定接点が設けられ、開口部を有する前記収納部を備えたケースと、このケースの前記開口部を覆う蓋部材とから成り、
前記筐体の前記ケースの前記開口部より、前記保持部材及び前記弾性部材と、前記駆動部材とを前記収納部内に収納した際に、前記弾性部材の弾性力によって前記保持部材と前記駆動部材が前記変換面を介して浮き上がることを規制する規制部を、前記保持部材と前記駆動部材に設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項8】
前記請求項7記載のスイッチ装置において、
前記規制部は、前記駆動部材の前記押圧部または前記保持部材の前記被押圧部に形成された係合部と、
前記保持部材の前記被押圧部または前記駆動部材の前記押圧部に形成され、前記ケースの前記開口部より、前記保持部材及び前記弾性部材と、前記駆動部材とを前記収納部内に収納した際に、前記弾性部材の弾性力によって前記係合部に係合する被係合部とを備え、
前記係合部と前記被係合部とを、前記蓋部材が前記ケースに取り付けられた際には、互いに離間するように配置したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項9】
前記請求項1〜8のいずれか1項記載のスイッチ装置において、
前記可動接点が、剛性を有する導電性金属材から成る接点部を備え、この接点部が前記固定接点と接離することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項10】
前記請求項9記載のスイッチ装置において、
前記弾性部材が、導電性を有し、前記操作体を初期位置に復帰させるコイルばねから成り、
前記固定接点が、少なくとも第1固定接点と第2固定接点を備え、
前記コイルばねを、前記可動接点と前記第1固定接点とを導通させるように配置し、
前記可動接点を前記第2固定接点に接離可能に設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項11】
前記請求項10記載のスイッチ装置において、
前記第1固定接点が、導電性金属板から成り、この第1固定接点を前記コイルばねの一端が当接する面を露出させて前記収納部の側面に埋設し、
前記第2固定接点が、導電性金属板から成り、この第2固定接点は、前記可動接点の前記接点部が接触する面を露出させた状態で前記収納部の内底面に埋設し、
前記可動接点は、前記コイルばねの他端を受けるばね受部と、前記コイルばねの巻回部に挿入される突部とを備え、この突部及びばね受部と前記可動接点の前記接点部は同じ金属体から成り、前記可動接点を、前記ばね受部と前記突部と前記接点部を露出させて前記保持部材に埋設したことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−204941(P2008−204941A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313799(P2007−313799)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】