説明

スイッチ

【課題】小型化・薄型化に際しても、安定した切り替え動作が可能で、且つ耐久性の高いスライドスイッチ等のスイッチの提供。
【解決手段】固定接点に接触する可動接点を有する可動接点端子14と、ハウジングに固定接点間方向で移動可能に収容された操作体とを備え、可動接点端子14は、操作体に支持される基部30を備えるとともに、基部30の固定接点間方向両端部に互いに固定接点間方向で反対方向に向けた一対の弾性接触片31a,31bをそれぞれ異なる側に片寄せた互い違い配置に備え、弾性接触片31a,31bは、基部30端部より固定接点間方向の一方に向けた形状の弾性支持片34a,34bと、弾性支持片の先端側より固定接点側に折り返して固定接点間方向の他方に向けた形状の接点支持片36a,36bとを備え、接点支持片36a,36bの他端部に可動接点13a,13bが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルオーディオ、デジタルカメラ、携帯端末機器等に使用されるスライドスイッチ等の摺動接点方式のスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスイッチとしては、例えば、図7に示す如きスライドスイッチが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このスライドスイッチ1は、絶縁樹脂製のハウジング2と、ハウジング2の内側面部に間隔を置いて露出させた複数の固定接点3a,3b,3c,3dと、固定接点に接触する一対の可動接点4a,4aを有する可動接点端子4と、ハウジング2に固定接点間方向で移動可能に収容されたスライダー5とを備え、可動接点端子4がスライダー5の移動に連動して固定接点間方向で移動するようになっている。尚、図中符号2aはスライダー5の操作摘み5aが挿入される長孔状のスライド孔である。
【0004】
可動接点端子4は、操作体5に支持させた基部4bの固定接点間方向両端よりそれぞれ固定接点側に傾けた形状の弾性接触片4c,4cを一体に備え、この弾性接触片4c,4cの先端に可動接点4a,4aが形成され、スライダー5を移動させることにより、スライダー5に支持された可動接点端子4が固定接点間方向で移動し、それに伴い可動接点4a,4aが固定接点3a,3cから摺動しながら隣り合う他の固定接点3b,3dまで移動し、それによりスライドスイッチ1に接続された電気回路の切り替えがなされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−215659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述の如き従来の技術では、両弾性接触片が基部より互いに相反する方向に向けた形状であるため、固定接点間方向のスイッチ外形を小型化するには、弾性接触片の長さを短くせざるを得ず、その分弾性変形可能な部分が短くなると、可動接点の固定接点に対する押し付け圧が増加して弾性接触片に対する負荷が大きくなるという問題があり、その為疲労し易く、寿命の低下を招くおそれがあった。
【0007】
また、可動接点端子の弾性変形可能な部分が短いと、適切な接触圧が得られず、移動した固定接点毎の接触圧にばらつきが生じ、接続の安定性に欠けるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、小型化・薄型化に際しても、安定した切り替え動作が可能で、且つ耐久性の高いスライドスイッチ等のスイッチの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、ハウジングの内側面部に間隔を置いて露出させた複数の固定接点と、該固定接点に接離する一対の可動接点を有する可動接点端子と、前記ハウジングに前記固定接点間方向で移動可能に収容された操作体とを備え、前記可動接点端子が前記操作体の移動に連動して前記固定接点間方向で移動することにより切り替え動作がなされるようにしてなるスイッチにおいて、前記可動接点端子は、前記操作体に支持される基部を備えるとともに、該基部の固定接点間方向両端部に互いに固定接点間方向で反対方向に向けた一対の弾性接触片をそれぞれ異なる側に片寄せた互い違い配置に備え、該弾性接触片は、前記基部端部より固定接点間方向の一方に向けた形状の弾性支持片部と、前記弾性支持片部の先端側より固定接点側に折り返して前記固定接点間方向の他方に向けた形状の接点支持片部とを備え、該接点支持片部の先端部に前記可動接点が形成され、前記両可動接点が固定接点間方向で間隔を置いて互い違いに配置されるようにしたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスイッチは、上述したように、ハウジングの内側面部に間隔を置いて露出させた複数の固定接点と、該固定接点に接離する一対の可動接点を有する可動接点端子と、前記ハウジングに前記固定接点間方向で移動可能に収容された操作体とを備え、前記可動接点端子が前記操作体の移動に連動して前記固定接点間方向で移動することにより切り替え動作がなされるようにしてなるスイッチにおいて、前記可動接点端子は、前記操作体に支持される基部を備えるとともに、該基部の固定接点間方向両端部に互いに固定接点間方向で反対方向に向けた一対の弾性接触片をそれぞれ異なる側に片寄せた互い違い配置に備え、該弾性接触片は、前記基部端部より固定接点間方向の一方に向けた形状の弾性支持片部と、前記弾性支持片部の先端側より固定接点側に折り返して前記固定接点間方向の他方に向けた形状の接点支持片部とを備え、該接点支持片部の先端部に前記可動接点が形成され、前記両可動接点が固定接点間方向で間隔を置いて互い違いに配置されるようにしたことにより、弾性変形可能な部分を長く確保することができ、スイッチ全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るスイッチの一例を示す斜視図である。
【図2】同上のスイッチの分解斜視図である。
【図3】(a)は同上のスイッチの縦断面図、(b)は同スライド動作させた状態の縦断面図である。
【図4】図1中のスライダーを組み込んだ状態のモールドケースを示す底面図である。
【図5】(a)は図3中の可動接点端子を示す斜視図、(b)は同下側から見た斜視図である。
【図6】図2中のFPC基板の一例を示す斜視図である。
【図7】(a)は従来のスイッチの一例を示す断面図、(b)は同切り替え動作させた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るスイッチの実施の態様を図1〜図6に示す実施例に基づいて説明する。尚、図中符号10は摺動接点式のスライドスイッチである。
【0013】
このスライドスイッチ10は、ハウジング11の内側面部に間隔を置いて露出させた複数の固定接点12a,12b,12cと、固定接点12a,12b(12b,12c)にそれぞれ接離する一対の可動接点13a,13bを有する可動接点端子14と、ハウジング11内に固定接点間方向で移動可能に収容された操作体としてのスライダー15とを備え、可動接点端子14がスライダー15の移動に連動して固定接点間方向で移動することにより、スイッチの切り替え動作を行うようになっている。
【0014】
ハウジング11は、絶縁樹脂製の下面が開口したモールドケース16と、モールドケース16の下面部を閉鎖するFPC基板17と、FPC基板17をモールドケース16に固定するための金属性のカバー部材18とを組み込むことにより中空箱状に形成されている。
【0015】
モールドケース16は、モールド成形により下面が開口した中空箱状に形成され、内部にスライダー15が一方向にスライド移動可能な状態に収容されるようになっている。
【0016】
このモールドケース16には、内部両側部に互いに対向する一対の節度用バネ部材19を備え、この両節度用バネ部材19がスライダー15の側部に当接して、所定のスライド位置間の移動に際して節度を生じさせるとともに、各スライド位置においてスライダー15の移動を規制するようになっている。
【0017】
この節度用バネ部材19は、細長板状の金属製の板バネをもって構成され、中央部に内側に向けて膨出した円弧状の摺接用突起19aが形成されている。
【0018】
この節度用バネ部材19は、両端部がモールドケース16に形成された固定溝20,20に圧入され、両端部を支持されてスイッチ幅方向に弾性変形できるようになっている。
【0019】
スライダー15は、モールド成形により矩形駒状に形成され、下面部に可動接点端子14を収容する溝状の収容凹部21が形成されている。
【0020】
このスライダー15の上面部には、操作摘み22が一体に形成されており、この操作摘み22がモールドケース16の上面部にスライド方向に向けて形成された長孔状のスライド孔23を通してスイッチ上面部に突出し、この操作摘み22をスライド孔23に沿って操作することによりスライダー15が移動してスイッチの切り替え動作がなされるようになっている。
【0021】
また、スライダー15の上面部には、スライド方向に向けたガイド用突条24が形成され、この突条24がモールドケース16の上側内側面部に形成されたスライド方向に向けたスライド溝25に嵌め込まれ、スライドをガイドされるようになっている。
【0022】
一方、スライダー15の両側部には、外側に突出した山形状の節度用突起26,26が形成されており、スライダー15の移動に際し、節度用バネ部材19が弾性変形して摺接用突起19aがこの節度用突起を乗り越え、節度用突起26の一方側から他方側へ移動し、それにより節度感が得られるようになっている。
【0023】
可動接点端子14は、図5に示すように、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、平板状の基部30と、基部30の固定接点間方向両端縁部に支持された一対の弾性接触片31a,31bとを備えている。
【0024】
基部30は、中央部に固定孔32を有する矩形平板状に形成され、固定孔32に収容凹部21の溝状底部より下向きに突出した固定用突起33が挿入されることにより、可動接点端子14がスライダー15に支持され、スライダー15の移動に伴い可動接点13a,13bが固定接点間方向で摺動するようになっている。
【0025】
両弾性接触片31a,31bは、基部30の固定接点間方向、即ち移動方向の両端縁に、それぞれスイッチ幅方向で異なる側に片寄せた配置に支持されて互い違いに形成され、固定接点間方向では互いに逆側に向け、且つスイッチ幅方向で互いに平行に並べた配置となっている。
【0026】
各弾性接触片31a,31bは、基部30縁部より固定接点間方向やや下向きに向けて延びる細長板状の弾性支持片部34a,34bと、弾性支持片部34a,34bの先端側より円弧状の折り返し部35a,35bを介して固定接点12a,12b,12c側、即ち下側に折り返した形状の接点支持片部36a,36bとをもってそれぞれ構成され、接点支持片部36a,36bの先端側、即ち折り返し部35a,35bとは反対側端部に円弧状の可動接点13a,13bが形成されている。
【0027】
接点支持片部36a,36bは、弾性支持片部34a,34bに比べて長く形成され、各弾性接触片31a,31bの可動接点13a,13bがスイッチ幅方向で他方の弾性接触片31a,31bの折り返し部35とほぼ並ぶ配置となるように形成されている。
【0028】
即ち、接点支持片36aと接点支持片36bとは、互いに干渉せずに交差するように配置され、両可動接点13a,13bの固定接点間方向の距離を十分にとることができ、且つ可動接点13a,13bが固定接点間方向で間隔を置いて互い違いに配置される。
【0029】
尚、両可動接点13a,13b間の距離は、隣り合う固定接点12a,12b(12b,12c)間の距離に合わせて形成されている。
【0030】
このように構成された弾性接触片31a,31bは、弾性支持片部34、折り返し部35及び接点支持片部36が全体として弾性変形可能なバネ材として機能し、且つ弾性可能な部分が上下で重複する配置に形成したことにより弾性変形可能な部分のスパンを長くとることができる。
【0031】
固定接点12a,12b,12cは、図7に示すように、FPC基板17の表面部に間隔を置いてプリント成形され、FPC基板17をモールドケース16に組み込むことによりハウジング11内側面部に露出するようになっている。
【0032】
各固定接点12a,12b,12cは、スライド移動方向に間隔を置いて配置されており、スライダー15の移動に伴い、図3(a)(b)に示すように、可動接点13a,13bが固定接点12a,12bから固定接点12b,12cの位置に摺動し、切り替え動作がされるようになっている。尚、固定接点12bはコモン接点である。
【0033】
カバー部材18は、金属性板材をもって矩形平板状に形成され、その両側部には、モールドケース16の側面部に形成された係合突起40と互いに係合する固定用係合片41を備えている。
【0034】
このカバー部材18は、モールドケース16との間にFPC基板17を配置し、その状態でモールドケース16の係合突起40に固定用係合片41を係合させカバー部材18を固定することによりFPC基板17をモールドケース16に組み込むようになっている。
【0035】
尚、上述の実施例では、直線方向でスライド移動するスライダー15に連動して固定接点12a,12b,12c間を可動接点13a,13bが摺動するスライドスイッチ10を例に説明したが、円周方向に間隔を置いて固定接点12a,12b,12cを配置し、操作子としての回転式摘みの動きに連動して可動接点端子14を円周方向で移動させるようにしたもの等のその他の摺動接点式のスイッチにも適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 スライドスイッチ
11 ハウジング
12 固定接点
13 可動接点
14 可動接点端子
15 スライダー(操作体)
16 モールドケース
17 FPC基板
18 カバー部材
19 節度用バネ部材
20 固定溝
21 収容凹部
22 操作摘み
23 スライド孔
24 ガイド用突条
25 スライド溝
26 節度用突起
30 基部
31 弾性接触片
32 固定孔
33 固定用突起
34 弾性支持片部
35 折り返し部
36 接点支持片部
40 係合突起
41 固定用係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内側面部に間隔を置いて露出させた複数の固定接点と、該固定接点に接離する一対の可動接点を有する可動接点端子と、前記ハウジングに前記固定接点間方向で移動可能に収容された操作体とを備え、前記可動接点端子が前記操作体の移動に連動して前記固定接点間方向で移動することにより切り替え動作がなされるようにしてなるスイッチにおいて、
前記可動接点端子は、前記操作体に支持される基部を備えるとともに、該基部の固定接点間方向両端部に互いに固定接点間方向で反対方向に向けた一対の弾性接触片をそれぞれ異なる側に片寄せた互い違い配置に備え、
該弾性接触片は、前記基部端部より固定接点間方向の一方に向けた形状の弾性支持片部と、前記弾性支持片部の先端側より固定接点側に折り返して前記固定接点間方向の他方に向けた形状の接点支持片部とを備え、該接点支持片部の先端部に前記可動接点が形成され、前記両可動接点が固定接点間方向で間隔を置いて互い違いに配置されるようにしたことを特徴としてなるスイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−20739(P2013−20739A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151400(P2011−151400)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】