説明

スクラッチカードの製造方法、及びスクラッチカード

【課題】
高意匠性を有しセキュリティ性も高く、かつ、生産効率がよく歩留りも高いスクラッチカードの製造方法、及びスクラッチカードを提供する。
【解決手段】
(1)予め、ホログラム転写箔1準備工程と、(2)カード基材101面に、秘密情報を印刷する印刷層27形成工程と、(3)前記印刷層27を覆うように剥離層25を形成する剥離層27形成工程と、(4)前記剥離層27の周縁よりも内側に周縁を有するように、隠蔽性のスクラッチ層23を形成するスクラッチ層23形成工程と、(5)スクラッチ層23の面に、転写層21を転写する転写工程とを含む、カード基材101の上に設けられた秘密情報を隠蔽し、スクラッチ可能なスクラッチ層23の面に、少なくともホログラム層15と透明反射層17とを有する転写層21を転写することをを特徴とし、また、上記転写層21の周縁が上記スクラッチ層23の周縁より0.1〜2mm大きいことも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラッチカードの製造方法に関し、さらに詳しくは、擦ることにより除去される隠蔽層(以下、スクラッチ層という)面に、転写層を転写するのためのスクラッチカードの製造方法、及びスクラッチカードに関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「スクラッチ層」は「隠蔽層」、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明のスクラッチカードの主なる用途としては、宝くじカード、抽選くじカード、プリペイドカードなどである。しかしながら、種々のカードなどの、くじ結果や個別情報等を隠蔽するための隠蔽層(以下、スクラッチ層という)を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)従来、この種のスクラッチカードは、くじ結果や個別情報等を隠蔽するためのスクラッチ層が設けられているが、該スクラッチ層は充分な隠蔽効果を持たせるために、印刷による厚い銀インキ層である。該銀インキ層はスクラッチカードの目立つ主要部分に設けられているが、地味で意匠性の低いものである。これを解消するために、スクラッチ層にホログラムを設けたものもあるが、生産効率が低いものであった。なお、使用時には、スクラッチ層はコインや爪などで擦ることにより剥離層面から除去されて、個別情報などの印刷層を目視で観察できるようになる。
そこで、スクラッチカードの製造方法、及びスクラッチカードは、高意匠性を有しセキュリティ性も高く、かつ、生産効率がよく歩留りの高い製造方法が求められている。
【0005】
(先行技術)従来、スクラッチカードは、個別情報等が印刷された印刷層、剥離層、スクラッチ層等とを備え、スクラッチ層は個別情報等を隠蔽すると共に、コイン等により削り取ることが可能な層で、剥離層はその上面に形成されたスクラッチ層を剥離可能にする層であるものが知られている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかしながら、スクラッチ層は通常のインキ層であり、意匠性が低いという問題点がある。
また、本出願人はセキュリティ性を高めるために、スクラッチ層の上側にホログラム層を形成したスクラッチカードを開示している(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、スクラッチ層の上側にホログラム層を形成する方法が転写法であり、カード面へ予め設けたスクラッチ層の位置へ、位置を合わせてホログラム層を転写するが、ホログラムの金属反射層が不透明なために、位置合わせする際にホログラムを透して、スクラッチ層が目視できず、位置合わせに長時間を要して、極めて生産効率が低く、また、生産効率を高めるために、転写温度を高くすると白化するという欠点がある。そこで、前記の課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を進め本発明に至ったものである。
【0006】
【特許文献1】実開平6−42229号公報
【特許文献2】特開2003−72268号公報
【特許文献3】特開2005−324521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、高意匠性を有しセキュリティ性も高く、かつ、生産効率がよく歩留りの高いスクラッチカードの製造方法、及びスクラッチカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、
請求項1の発明に係わるスクラッチカードの製造方法は、カード基材の上に設けられた秘密情報を隠蔽し、スクラッチ可能なスクラッチ層の面に、少なくともホログラム層と透明反射層とを有する転写層を転写するスクラッチカードの製造方法において、(1)予め、前記転写層を有するホログラム転写箔を準備するホログラム転写箔準備工程と、(2)前記カード基材の少なくとも一方の面に、秘密情報を印刷する印刷層形成工程と、(3)前記印刷層を覆うように剥離層を形成する剥離層形成工程と、(4)前記剥離層の周縁よりも内側に周縁を有するように、隠蔽性のスクラッチ層を形成するスクラッチ層形成工程と、(5)その周縁が前記剥離層の周縁よりも内側にあり、かつ、前記スクラッチ層の周縁よりも外側にある転写用スタンパを用いて、前記転写層を前記スクラッチ層に押圧することにより、前記スクラッチ層の面に、前記転写層を転写する転写工程と、を含むように、したものである。
請求項2の発明に係わるスクラッチカードの製造方法は、請求項1に記載のスクラッチカードの製造方法において、上記転写工程では、上記転写用スタンパの周縁が、上記剥離層の周縁よりも内側にあり、かつ、前記スクラッチ層の周縁よりも外側にあるように、前記転写用スタンパの位置を合わせるように、したものである。
請求項3の発明に係わるスクラッチカードの製造方法は、上記転写された転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より0.1〜2mm大きいように、したものである。
請求項4の発明に係わるスクラッチカードは、請求項1〜3のいずれかに記載のスクラッチカードの製造方法を用いて製造されたスクラッチカードであって、上記転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より大きいように、したものである。
請求項5の発明に係わるスクラッチカードは、請求項3に記載のスクラッチカードの製造方法を用いて製造されたスクラッチカードであって、上記転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より0.1〜2mm大きいように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、転写温度を高くして転写速度を早めても白化せず、高意匠性を有しセキュリティ性も高く、かつ、生産効率がよく歩留りの高いスクラッチカードの製造方法が提供される。
請求項2〜3の本発明によれば、意匠性の低いスクラッチ層を透明ホログラムで覆った意匠性とセキュリティ性に優れるスクラッチカードが、生産効率をよく歩留りも高いスクラッチカードの製造方法が提供される。
請求項4の本発明によれば、スクラッチカードが不用意に曲げられた際にも、金属反射層のホログラムで発生するようなクラックによる外観の低下や白化現象の少なく、高意匠性を有しセキュリティ性も高いスクラッチカードが提供される。
請求項5の本発明によれば、意匠性の低いスクラッチ層が透明ホログラムで覆われているので、透明ホログラムの意匠性と高セキュリティ性に優れるスクラッチカードが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すスクラッチカードの断面図である。
図2は、本発明のスクラッチカードの製造方法で使用するホログラム転写箔の断面図である。
図3は、本発明のスクラッチカードの製造方法を説明する説明図である。
【0011】
(方法の発明)本発明のスクラッチカード10の製造方法は、カード基材101の上に設けられた秘密情報を隠蔽し、スクラッチ可能なスクラッチ層23の面に、少なくともホログラム層15と透明反射層17とを有する転写層21を転写するスクラッチカード10の製造方法であって、(1)予め、前記転写層21を有するホログラム転写箔1を準備するホログラム転写箔10準備工程と、(2)前記カード基材101の少なくとも一方の面に、秘密情報を印刷する印刷層27形成工程と、(3)前記印刷層27を覆うように剥離層25を形成する剥離層25形成工程と、(4)前記剥離層25の周縁よりも内側に周縁を有するように、隠蔽性のスクラッチ層23を形成するスクラッチ層23形成工程と、(5)その周縁が前記剥離層25の周縁よりも内側にあり、かつ、前記スクラッチ層23の周縁よりも外側にある転写用スタンパを用いて、前記転写層21を前記スクラッチ層23に押圧することにより、前記スクラッチ層23の面に、前記転写層21を転写する転写工程と、を含むものである。
【0012】
(物の発明)本発明のスクラッチカード10は、図1に示すように、転写層21{剥離層13(必要に応じて)/ホログラム層15/透明反射層17/接着層18(必要に応じて)}/スクラッチ層23/剥離層25/印刷層27/カード基材101、の層構成である。上記転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より大きいように、したものである。
また、上記転写層21の周縁を上記スクラッチ層23の周縁より大きくするのが、好ましく、0.1〜2mm大きくするが、意匠性の低いスクラッチ層が透明ホログラムで覆われているので、透明ホログラムの意匠性と高セキュリティ性に優れる点、さらにスクラッチカードが不用意に曲げられた際にも、金属反射層のホログラムで発生するようなクラックによる外観の低下や白化現象の少ない点でさらに好ましい。なお、本発明のスクラッチカード10のカードとはカード形状に限らず、ラベル、切片、しおり、チラシ状などの、種々の形態でもよい。
【0013】
(ホログラム転写箔準備工程)第1工程は、転写層21を有するホログラム転写箔1を準備するホログラム転写箔1準備工程である。ホログラム転写箔1は、図2に示すように、転写基材11/剥離層13(必要に応じて)/ホログラム層15/透明反射層17/接着層18(必要に応じて)の層構成であり、剥離層13及び/又は接着層18は必要に応じて設ければよい。
【0014】
(転写基材)転写基材11としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどがある。該転写基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。通常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系のフィルムが、耐熱性、機械的強度がよいため好適に使用され、ポリエチレンテレフタレートが最適である。
【0015】
また、該転写基材11は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該転写基材の厚さは、通常、2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜12μmが好適で、4〜6μmが最適である。該転写基材11は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
【0016】
(離型層、剥離層)転写時の剥離性を向上させるために、離型層13を設け、必要に応じて、剥離層も設けてもよく、離型層13及び剥離層の両方を設けるとより転写性をより向上できる。
【0017】
(離型層)離型層13としては、通常、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などがあるが、本発明ではメラミン系樹脂を用い、後述するホログラム層15又はハードコート層14と組合わせることで、離型層13との剥離性が安定し、転写時の転写性を向上させることができる。離型層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング方法で、塗布し乾燥して、温度150℃〜200℃程度で焼き付ける。離型層13の厚さとしては、通常は0.01μm〜5.0μm程度、好ましくは0.5μm〜3.0μm程度である。
【0018】
(剥離層)必要に応じて設ける剥離層としては、弗素系樹脂、シリコーン、各種のワックスなどの離型剤を添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂、ワックス、メラミン系樹脂等が例示でき、離型層13及び剥離層の両方を設ける場合には、適宜組み合わせて用いればよく、この場合には、剥離層は転写後に保護層としての機能を合わせ持つ。
【0019】
(ホログラム層)ホログラム層15としては、少なくとも電離放射線硬化樹脂、反応性シリコーン及びポリエチレンワックスを含ませる。また、好ましくは、ホログラム層15の材料としては、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と呼称する)、反応性シリコーン及びポリエチレンワックスを含むようにする。さらに好ましくは、(メタ)アクリレートオリゴマーも含ませて硬化させる。該組成物を塗布し乾燥して、ホログラム機能を発現する微細な凹凸レリーフを賦型した後に、電離放射線で硬化させればよい。電離放射線硬化性樹脂は架橋性樹脂ともいわれ、他の層でも同様である。
【0020】
(電離放射線硬化性樹脂組成物M)「電離放射線硬化性樹脂組成物M」としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示でき、実施例でも述べる。即ち、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物である。
【0021】
((メタ)アクリレートオリゴマー)(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、耐熱性のあるオリゴマーであればよく、例えば、日本合成化学社の商品名;紫光6630B、7510B、7630Bなどが例示できる。
【0022】
(ポリエチレンワックス)ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレン系樹脂の粒子やビーズが挙げられるが、好ましくは球状ビーズである。但し、ポリエチレンワックスを添加すると、箔切れ性は低下するので、その添加量は、電離放射線硬化樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部とする。
【0023】
(反応性シリコーン)反応性シリコーンとしては、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化するもので、アクリル変性、メタクリル変性、又はエポキシ変性などで変性した反応性シリコーンで、該反応性シリコーンを含有させる質量基準での割合としては「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100に対して、0.1〜10部程度、好ましくは0.3〜5部である。この範囲未満ではレリーフの賦型時にプレススタンパとの剥離が不十分であり、プレススタンパの汚染を防止することが困難で賦型性が悪い。また、この範囲を超えてはホログラム層面への透明反射層の密着性が低く、ホログラム層と透明反射層との間で剥離し商品価値を失ってしまう。従来のシリコーンオイルの添加では、透明反射層との密着性が悪い。
【0024】
このように、ホログラム層15には、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」、必要に応じて(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、及びポリエチレンワックスを含ませることで、レリーフの賦型性がよく光回折効果が高く、かつ、ハードコート機能を兼ねさせることができる。特にポリエチレンワックスを含有させることで、耐擦傷性(耐スクラッチ性)が著しく向上する。
【0025】
(1)電離放射線硬化前の塗布状態のホログラム層15の塗膜は指乾状態でべとつかず、ブロッキングせずに巻き取ることができるので、ロールツーロール加工ができる。
(2)ホログラム層15へは反応性シリコーンを含ませると、塗布表面に集まりスタンパの凹凸からの剥離がよく賦型性が向上して、レリーフ構造を容易に賦型でき、賦型後には電離放射線で硬化すれば反応性シリコーンも硬化する。
(3)ポリエチレンワックスを含ませることで、転写後にはホログラム層15が最表面層となるが、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗から被転写体に設けられた画像を保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。
(4)ホログラム層15はメラミン系樹脂を用いた離型層13と界面を接しているので、ホログラム層15と離型層13との間で剥離し、安定した剥離性を有するので、転写時には箔切れがよく、バリなどの発生も極めて少なくすることができる。
【0026】
(ホログラム層の形成)ホログラム層15は、上記の電離放射線硬化性樹脂、必要に応じて(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、及びポリエチレンワックスを含ませ、さらに必要に応じて光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して塗膜を形成したりすれば良い。ホログラム層15の厚さとしては、通常は0.5μm〜20μm程度、好ましくは1μm〜10m程度であり、複数回の塗布でもよい。
【0027】
(ホログラム)次に、ホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
【0028】
これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回折格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。これらの原版は公知の材料、方法で作成することができ、通常、感光性材料を塗布したガラス板を用いたレーザ光干渉法、電子線レジスト材料を塗布したガラス板に電子線描画装置を用いてパターン作製する電子線描画法をなどが適用できる。
【0029】
(レリーフの賦型)ホログラム層15面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
【0030】
(レリーフの硬化)ホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(ホログラム層15)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。
【0031】
(レリーフの絵柄)ホログラム層15の絵柄は、特に限定されないが、擬似連続絵柄とすることが好ましい。擬似連続絵柄はプレス型(スタンパという)を作成する際に、小さなレリーフ版の複数を、精度よく突合せてつなぎ目を目立たなくしたり、つなぎ目を樹脂で埋めたりすればよい。このように、擬似連続絵柄とすることで、できるだけ大きな面積、又は好ましくは全面とすることもできる。
【0032】
(透明反射層)透明反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ、透明反射層17へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率のより高れば、特に限定されない。
【0033】
透明反射層17として、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が挙げられる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。
【0034】
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。さらには、ホログラム層15と光の屈折率の異なる透明な合成樹脂を使用してもよく、接着層19材料と紫外線吸収層18材料の屈折率が十分に異なる場合には、紫外線吸収層18が透明反射層17を兼ねることもできる。
【0035】
(接着層)接着層19としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該接着層19には、マイクロシリカなどのフィラーを含むことが、箔切れ性の点で好ましい。また、接着層19の樹脂としては、95℃程度の低温で溶融接着し、60℃程度になると固化して接着する融点が60〜95℃ものが好ましい。融点が上記範囲未満であると、被転写体との接着性が不十分であり、形成された画像を使用する温度が制限される。また、融点が上記範囲を越えるとサーマルヘッドによる加熱では転写性が不十分となり、又、ハードコート層の箔切れ性が低下し、バリなどが発生し易い。
【0036】
該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1〜30μmの層を得る。以上のようにして、ホログラム転写箔1を準備することができる。
【0037】
(印刷層形成工程)第2工程は、カード基材101の少なくとも一方の面に秘密情報を印刷する印刷層27形成工程である。
【0038】
(カード基材)カード基材101としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布あるいは染料受容性のある媒体等いずれのものでもよく、用途によって、適宜選択すればよい。また、カード基材101の媒体はその少なくとも1部が、画像、着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
【0039】
(印刷)カード基材101へ秘密情報を印刷し印刷層27を形成する。該印刷層27は、カード基材101の少なくとも一方の面に形成されており、適宜の秘密情報(例えば、くじの当否、くじの番号、個別情報、シリアルナンバー、可変ナンバー、文字データ、画像、コード、マーク等)が印刷された層である。オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法で形成すればよい。
【0040】
(剥離層形成工程)第3工程は、印刷層27を覆うように剥離層25を形成する剥離層25形成工程である。該剥離層25は、スクラッチ層23の削り取りを容易にするための層であり、例えば、シリコン系の剥離インキによって形成される。また、剥離層25の周縁はスクラッチ層23を覆い、また、後述する転写層21をより大きく形成すればよく、その形状は特に限定されず、矩形、円形、楕円形状や、印刷層27に沿って覆っていてもよい。
【0041】
(スクラッチ層形成工程)第4工程は、剥離層25の周縁よりも内側に周縁を有するように、隠蔽性のスクラッチ層23を形成するスクラッチ層23形成工程である。
【0042】
スクラッチ層23は、コイン等で削り取ることが可能な層であって、印刷層27に印刷された秘密情報を隠蔽するために、印刷層27を覆うように設ける。該スクラッチ層23は、隠蔽性のあるインキを印刷すればよい。例えば、金属粉をインキ化した銀インキなどをオフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷などの公知の印刷法で形成すればよく、隠蔽性をあげるために複数回印刷してもよい。
【0043】
(転写工程)第5工程は、その周縁が前記剥離層25の周縁よりも内側にあり、かつ、前記スクラッチ層23の周縁よりも外側にある転写用スタンパを用いて、前記転写層21を前記スクラッチ層23に押圧することにより、前記スクラッチ層23の面に、前記転写層21を転写する転写工程である。転写工程は、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)などが適用できる。転写層21の周縁はスタンパの形状で決まり、公知の印刷法で形成した適宜の秘密情報が印刷された印刷層を覆えばよく、矩形、円形、楕円形状などの任意の形状を転写してもよい。
【0044】
転写工程は、図3に示すように、第2〜4工程で作成してきた、スクラッチ層23/剥離層25/印刷層27/カード基材101の層構成からなる積層体のスクラッチ層23面と、第1工程で準備したホログラム転写箔1の接着層18面とを対峙させるように、転写機へ装填し、加熱したスタンパを降下させて押圧した後に、スタンパを上昇させ同時に、ホログラム転写箔1の転写基材11を引き上げることで、転写基材11のみが除去されるので、スタンパに相当する部分の転写層21がカード基材101の側へ転写される。
【0045】
しかしながら、転写の際に転写層21がズレる、即ち、転写層21の位置がスクラッチ層23の位置と合わないと、意匠性の低いスクラッチ層23が転写層21からはみ出して見苦しく、著しく外観が悪くなる。このために、転写層21の周縁をスクラッチ層23の周縁よりも外側に大きくなるように、転写用スタンパの大きさを大きくして転写すればよいが、転写層21の周縁部分がスクラッチ層の周縁からはみ出して、剥離層25面にも転写されるようになって、剥離性のある剥離層25面へは接着力が不安定で、ムラが発生しやすい。
【0046】
そこで、転写層21の周縁がスクラッチ層の周縁よりも少し外側に大きい転写用スタンパを用いることが好ましく、より好ましくは、転写層21の周縁が、スクラッチ層23の周縁より0.1〜2mm大きいことである。この範囲を越えると転写層21の周縁がスクラッチ層23の周縁より大きくはみ出して、周縁にムラが発生しやすく外観不良となる。この範囲未満では転写層21の位置をスクラッチ層23の位置と合わせにくく、位置合わせに長時間を要して、極めて生産効率が低くなってしまう。
【0047】
さらに、連続での転写作業の生産効率を高めるために、転写速度を早め転写温度を高くすると、従来のアルミニウム薄膜の反射層を有するホログラムでは白化してしまう。しかしながら、本発明の少なくともホログラム層と透明反射層とを有する転写層を転写するスクラッチカードの製造方法を用いて製造されたスクラッチカードでは、転写温度をあげても白化することがないので、転写温度をあげて転写速度を早め、生産効率を高めることもできる。
【0048】
そこで本発明では、転写層21の周縁がスクラッチ層23の周縁より0.1〜2mm程度大きいだけでも、位置合わせする際に透明ホログラムを透して、スクラッチ層23を目視できるので、容易に合わせができる。従って、意匠性の低いスクラッチ層を透明ホログラムで覆った意匠性とセキュリティ性に優れるスクラッチカードが、生産効率をよく歩留りも高いスクラッチカードの製造方法が提供される。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
(第1工程)ホログラム転写箔10準備工程
転写基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該転写基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層13を形成した。
該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが3μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。なお組成部は成分換算部であり以下同様である。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.2質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径2.0μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
次に、該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。
該ホログラム層15のレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが50nmの酸化チタン薄膜を形成して透明反射層17を形成した。
次に、該透明反射層17面へ、下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成した。
・<接着層組成物>
ポリエステル樹脂P−170(日本合成化学社製、商品名) 20質量部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1.5質量部
溶媒(MEK:トルエン=1:1) 78.5質量部
以上のようにして、転写基材11/離型層13/ホログラム層15/透明反射層17//接着層18、の層構成からなるホログラム転写箔1を得た。
(第2工程)秘密情報を印刷する印刷層27形成工程
カード基材101として、厚さ188μmのPETフィルムを用い、秘密情報として番号を墨インキで、またカード名称や説明文を黄、赤、藍、墨インキの4色を用いて多色オフセット印刷法で印刷して印刷層27を形成した。
(第3工程)剥離層25を形成する剥離層25形成工程
印刷層27面の秘密情報である番号部分を充分に覆うように、シリコーン系インキを用いてシルクスクリーン印刷法で、剥離層25を形成した。
(第4工程)隠蔽性のスクラッチ層23を形成するスクラッチ層23形成工程
剥離層25面へ、剥離層25の周縁より小さく、秘密情報である番号のみを覆うように、銀インキを用いてシルクスクリーン印刷法で、スクラッチ層23を形成した。
(第5工程)スクラッチ層23の面に、転写層21を転写する転写工程
第2〜4工程で得られたスクラッチ層23/剥離層25/印刷層27/カード基材101の層構成からなる積層体と、第1工程で準備したホログラム転写箔1を転写機へ装填した。積層体のスクラッチ層23面と、ホログラム転写箔1の接着層18面とを対峙させて、加熱したスタンパを降下させて押圧した後に、スタンパを上昇させ同時に、ホログラム転写箔1の転写基材11を引き上げて転写基材11のみを除去して、転写層21をカード基材101の側へ転写して、実施例1のスクラッチカードを得た。
なお、転写層21の周縁は、スクラッチ層23の周縁より2mm大きくした。
【0051】
(実施例2)転写層21の周縁を、スクラッチ層23の周縁より0.5mm大きくする以外は実施例1と同様にして、実施例2のスクラッチカードを得た。
【0052】
(比較例1)透明反射層17を真空蒸着法で厚さが500nmのアルミニウム薄膜とする以外は、実施例1と同様にして、比較例1のスクラッチカードを得た。
【0053】
(比較例2)透明反射層17を真空蒸着法で厚さが500nmのアルミニウム薄膜とする以外は、実施例2と同様にして、比較例2のスクラッチカードを得た。
【0054】
(評価結果)位置合わせを含む準備時間は、実施例1では20分、実施例2では30分に対して比較例1では45分、比較例2では60分と長時間かかった。また、1万枚の連続転写作業を行った歩留りは、実施例1では99%、実施例2では97%と高く、比較例1では85%、比較例2では70%と低かった。
さらに、比較例1では転写条件として、転写時間が0.5秒固定で、転写温度が155℃までは良好であったが、160、165℃では白化し、170℃ではカード基材に印刷したインキが剥がれてしまったが、実施例1では転写条件として、転写時間が0.5秒固定で、転写温度が155、160、165、170℃と変えても、白化せず良好に転写することができた。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の1実施例を示すスクラッチカードの断面図である。
【図2】本発明のスクラッチカードの製造方法で使用するホログラム転写箔の断面図である。
【図3】本発明のスクラッチカードの製造方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1:ホログラム転写箔
10:スクラッチカード
11:転写基材
13:剥離層
15:ホログラム層
17:透明反射層
18:接着層
21:転写層
23:スクラッチ層
25:剥離層
27:印刷層
101:カード基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材の上に設けられた秘密情報を隠蔽し、スクラッチ可能なスクラッチ層の面に、少なくともホログラム層と透明反射層とを有する転写層を転写するスクラッチカードの製造方法において、(1)予め、前記転写層を有するホログラム転写箔を準備するホログラム転写箔準備工程と、(2)前記カード基材の少なくとも一方の面に、秘密情報を印刷する印刷層形成工程と、(3)前記印刷層を覆うように剥離層を形成する剥離層形成工程と、(4)前記剥離層の周縁よりも内側に周縁を有するように、隠蔽性のスクラッチ層を形成するスクラッチ層形成工程と、(5)その周縁が前記剥離層の周縁よりも内側にあり、かつ、前記スクラッチ層の周縁よりも外側にある転写用スタンパを用いて、前記転写層を前記スクラッチ層に押圧することにより、前記スクラッチ層の面に、前記転写層を転写する転写工程と、を含むことを特徴とするスクラッチカードの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスクラッチカードの製造方法において、上記転写工程では、上記転写用スタンパの周縁が、上記剥離層の周縁よりも内側にあり、かつ、前記スクラッチ層の周縁よりも外側にあるように、前記転写用スタンパの位置を合わせることを特徴とするスクラッチカードの製造方法。
【請求項3】
上記転写された転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より0.1〜2mm大きいことを特徴とする請求項1記載のスクラッチカードの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のスクラッチカードの製造方法を用いて製造されたスクラッチカードであって、上記転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より大きいことを特徴とするスクラッチカード。
【請求項5】
請求項3に記載のスクラッチカードの製造方法を用いて製造されたスクラッチカードであって、上記転写層の周縁が、上記スクラッチ層の周縁より0.1〜2mm大きいことを特徴とするスクラッチカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−137307(P2008−137307A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326693(P2006−326693)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】