説明

スクリュプレス

【課題】圧搾された原料を小切状に裁断し、次工程での処理を容易とする。
【解決手段】スクリュ羽根7等により圧搾が終了した原料は、スクリュプレスの下流側で、第1の固定刃16によって原料の移動方向に沿って帯状に切断される。更に進行した原料は、第1、第2の固定刃16、18により支持され、回転刃17によって小片状に完全に裁断され、排出口13から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧搾すると固まり易く硬化し易い原料を、圧搾後に小片状に裁断して排出するスクリュプレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、合成ゴムの原料などに含まれる水分を圧搾除去するためにスクリュプレスを使用すると、押し出された圧搾原料は硬化した板状のものとして排出され、このままでは後段の処理に極めて難渋する。このために、次工程で裁断機などにより板状の圧搾原料を小片に裁断する必要があるが、それだけ全体の設備が大掛りとなり、経費も嵩む欠点がある。このことを解決するために、特許文献1にはリング状の溝を通して裁断する手段が開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開昭53―72872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1の手段は圧搾原料をリングの溝を通して押し出すようにしているため、構造が大掛かりで、高価となる問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、排出端から小片状に裁断された圧搾原料が得られるようにして、簡易な構造のスクリュプレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るスクリュプレスは、回転自在に配置したスクリュ軸と、該スクリュ軸の外周に螺旋状に設けたスクリュ羽根と、該スクリュ羽根を包囲するように設け多数の濾過孔を有する円筒状の濾過筒とを具備し、これらスクリュ軸、スクリュ羽根及び濾過筒によつて囲まれる空間を前記濾過筒の上流側から下流側に向けて減少し、前記濾過筒の前記上流側から原料を投入し、前記下流側から圧搾された原料を押し出し、刃により切断して排出部から排出するスクリュプレスにおいて、前記排出部の前記スクリュ軸の周囲に、前記上流側から、前記スクリュ軸に対し離隔的に配置した複数の第1の固定刃と、該第1の固定刃に隣接して配置し前記スクリュ軸の周囲に取り付けた複数の回転刃と、該回転刃に隣接して配置し前記スクリュ軸に対し離隔的に配置した複数の第2の固定刃とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るスクリュプレスによれば、圧搾された原料は第1、第2の固定刃及び回転刃により小切状に裁断されるので、次工程での処理が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例のスクリュプレスの縦断面図である。両側の基台1、2にそれぞれ軸受3、4が固定され、スクリュ軸5が軸受3及び4間に回転自在に支承されている。スクリュ軸5の左端に固定したスプロケット6を介して、図示しないチェーン、モータによりスクリュ軸5が回転可能とされている。スクリュ軸5の外周にはスクリュ羽根7が螺旋状に巻回され、更にこのスクリュ羽根7を囲むように多数の濾過孔を有する円筒状の濾過筒8が配置され、濾過筒8の外周には複数の補強環9を設けられている。
【0009】
スクリュ軸5は右方の上流側から左方の下流側に向けてその径が増大するテーパ状とされ、スクリュ羽根7が巻回され、スクリュ軸5、スクリュ羽根7及び濾過筒8によって囲まれる空間が右方から左方に向けて減少している。なお、スクリュ軸5を等径とし、スクリュ羽根7のピッチを左方に向うにつれ狭くするようにしてもよい。スクリュ羽根7の外周は濾過筒8の内周にほぼ接しており、濾過筒8の上流及び下流側にはそれぞれ側板10、11が設けられ、スクリュ軸5はこれらの側板10、11を貫通している。
【0010】
更に、濾過筒8の右端には原料を投入するための投入ロ12が設けられ、左端には排出口13が設けられている。そして、濾過筒8の下方には搾液受皿14が設けられている。
【0011】
図2にも示すように、排出側のスクリュ羽根7の後端以降のスクリュ軸5の周囲にリング部材15が構設され、このリング部材15の入口側の内側のスクリュ軸5との間に、例えば12枚の第1の固定刃16が、スクリュ軸5の軸方向に向けて図2に示すように放射状に配置され、第1の固定刃16の刃先16aは上流側に向けられている。
【0012】
また、第1の固定刃16の下流に隣接したスクリュ軸5の周囲には、例えば4枚の回転刃17が取り付けられており、これらの回転刃17はスクリュ軸5の回転方向に対して傾斜して配置され、刃先17aは上流側にかつスクリュ軸5の回転方向と反対方向を向いている。なお、この回転刃17は傾斜させずに、スクリュ軸5の円周方向に向けて配置してもよく、この場合には刃先17aはスクリュ軸5の回転方向と反対方向に向ければよい。
【0013】
更に、回転刃17の下流側に隣接してリング部材15の出口側の内側に、例えば12枚の第2の固定刃18が設けられ、第2の固定刃18はスクリュ軸5の円周方向に配置され、刃先18aは回転方向と反対方向に向けられている。なお、第1、第2の固定刃16、18、回転刃17の刃先16a、18a、17aは、原料を切断し易いように鋭角のエッジ刃に加工されている。
【0014】
スクリュ軸5、スクリュ羽根7を回転させながら、投入口12から液体分を含んだ原料を投入すると、原料はスクリュ軸5、スクリュ羽根7及び濾過筒8で囲まれた空間内で、右方から左方に圧搾されながら搬送され、含有されていた液体は濾過筒8に開けた濾過孔により濾過されて搾液受皿14に集められ、取り出される。
【0015】
圧搾が終了した原料は、スクリュプレスの左端で排出口13に排出されることになるが、硬化して円筒状に圧縮された原料は、その最終過程で第1の固定刃16によって原料の移動方向に沿って帯状に切断される。更に、第1の固定刃16で帯状に切断された原料は、回転刃17によって幅方向つまり回転方向に切断されることになる。このとき、回転刃17の刃先17aは第1の固定刃16間から押し出されてくる原料を切断し易いように、回転方向に向けて傾斜するように設けられている。
【0016】
第1の固定刃16で帯状に切断された原料は、回転刃17の間を進み第2の固定刃18により切断されることになるが、第1、第2の固定刃16、18により支持された原料を回転刃17により切断することになり、切断が効率的になされる。このようにして、圧搾された原料は第1の固定刃16、回転刃17、第2の固定刃18により小片状に裁断され、排出口13から排出されるので、以後の処理は極めて容易となる。
【0017】
第2の固定刃18は効果的な切断が可能なように、原料の送り速度、第1の固定刃16の位置などを勘案して、その数、位置、傾斜角を決定すればよい。
【0018】
また、第1の固定刃16、回転刃17、第2の固定刃18は、原料に対する抵抗となって出力負荷を増大する作用もあるため、スクリュ羽根7等による原料に加わる圧力は大きくなり、圧搾効率も向上する利点もある。
【0019】
なお、本発明は上述した実施例にのみ限定されるものではなく、幾多の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】スクリュプレスの縦断面図である。
【図2】第1の固定刃、回転刃を軸方向から見た横断面図である。
【符号の説明】
【0021】
5 スクリュ軸
7 スクリュ羽根
8 濾過筒
10、11 側板
12 投入口
13 排出口
15 リング部材
16 第1の固定刃
17 回転刃
18 第2の固定刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に配置したスクリュ軸と、該スクリュ軸の外周に螺旋状に設けたスクリュ羽根と、該スクリュ羽根を包囲するように設け多数の濾過孔を有する円筒状の濾過筒とを具備し、これらスクリュ軸、スクリュ羽根及び濾過筒によつて囲まれる空間を前記濾過筒の上流側から下流側に向けて減少し、前記濾過筒の前記上流側から原料を投入し、前記下流側から圧搾された原料を押し出し、刃により切断して排出部から排出するスクリュプレスにおいて、前記排出部の前記スクリュ軸の周囲に、前記上流側から、前記スクリュ軸に対し離隔的に配置した複数の第1の固定刃と、該第1の固定刃に隣接して配置し前記スクリュ軸の周囲に取り付けた複数の回転刃と、該回転刃に隣接して配置し前記スクリュ軸に対し離隔的に配置した複数の第2の固定刃とを有することを特徴とするスクリュプレス。
【請求項2】
前記第1の固定刃は前記スクリュ軸の中心線方向に対し平行に配置し、刃先を前記上流側に向けて形成したことを特徴とする請求項1に記載のスクリュプレス。
【請求項3】
前記回転刃は前記スクリュ軸の円周方向に対し傾斜又は同方向に配置し、その刃先を前記スクリュ軸の回転方向と反対方向に向けたことを特徴とする請求項2に記載のスクリュプレス。
【請求項4】
前記第2の固定刃は前記スクリュ軸の円周方向に配置し、刃先を前記スクリュ軸の回転方向と反対方向に向けたことを特徴とする請求項3に記載のスクリュプレス。
【請求項5】
前記第1、第2の固定刃は前記スクリュ軸の周囲に固定したリング部材の内側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のスクリュプレス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate