説明

スクリューコンベア

【課題】
スクリューコンベアにおけるハウジング内のライナーの摩耗の程度を目視することを可能とする。
【解決手段】
ケーシング内面に設けられるライナーに摩耗表示部材を埋設し、該磨耗表示部材が、スクリューの接触等によってライナーの磨耗が進むことに伴って磨耗され、ライナーの磨耗された表面と面一の磨耗面を呈するようになされ、磨耗が進むことに伴って該磨耗面が変化することによってライナーの磨耗の進行の程度を知ることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリューコンベアに関し、特に、下水処理施設における汚泥搬送などに適したスクリューコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリューコンベアは、樋状や円筒状のハウジングと、該ハウジング内に配置されたスクリューとからなり、スクリューを回転させることにより種々のものを搬送する装置として知られているが、搬送するものによっては、スクリューコンベア内で詰まりを起こしてしまう場合があり、そのような詰まりを解消するようにしたものとして、スクリューの回転軸を無くした無軸スクリューコンベアが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開昭55−48113号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
下水処理などでは下水から分離された汚泥を搬送する必要があるが、この汚泥搬送にも上記無軸スクリューコンベアが使用されている。
しかし、無軸スクリューコンベアでは、スクリューの中心に軸がないために、スクリューの螺旋状周縁がハウジングの内面と接触し、該内面の磨耗を生じやすい傾向がある。このため、ハウジングの内面の磨耗を防止するための手段として、該内面に一定厚さのライナーを設ける(貼付する)ことが行われる。
スクリューコンベアを長時間使用すれば、ライナーは磨耗し、このため該ライナーを適宜、取り替える必要がある。しかし、ハウジング内面に取り付けたライナーの摩耗量を確認する手段はこれまで開発されてはおらず、ライナーを取り外して厚さを測らなければ、その摩耗量を知ることはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、このような点に鑑み、スクリューコンベアのハウジング内面に取り付けられたライナーを取り外さず磨耗の程度を的確に判定できるようにすることを目的とするものである。
【0005】
すなわち、本発明は、
軸線を中心に回転駆動されるスクリューと、スクリューの外周の少なくとも下半分を囲い上記軸線方向に延びるケーシングとを備えるスクリューコンベアであって、
上記ケーシングの内面に設けられるライナーと、
該ライナーに埋設される磨耗表示部材と
を備え、
該磨耗表示部材は、ライナーがスクリューの接触等によって磨耗されるのに伴って磨耗され、ライナーの磨耗された表面と面一の磨耗面を呈するようになされ、磨耗が進むことに伴って該磨耗面が変化することによってライナーの磨耗の進行の程度を知ることができるようにしたことを特徴とするスクリューコンベアを提供する。
【0006】
具体的には、磨耗の進行に伴って、磨耗表示部材の上記磨耗面の寸法が変化するものとすることができる。
【0007】
また、磨耗表示部材は、ライナーの内面に並行にして埋設された細長い部材とすることができる。
【0008】
この場合、磨耗表示部材は、上記ケーシングを平面状に展開した状態で、上記軸線に対して所定の角度をもって延びるようにしてケーシングに埋設されているものとすることができる。
【0009】
また、磨耗表示部材は、スクリューの停止している状態でライナーの内面に隣接して延びる当該スクリューの螺旋状周縁に沿うような態様でライナー内に埋設されているものとすることができる。
【0010】
さらに、摩耗表示部材は、横断面が台形とされ、該磨耗表示部材の磨耗の進行に伴って上記磨耗面の寸法が次第に大きくなるように変化するようにしてライナー内に埋設されているものとすることができる。
【0011】
上記磨耗表示部材は、上記ライナーにおける上記スクリューの回転方向上流側端縁から下流側端縁に向けて延び、該下流側端縁の手前で終端するように形成された溝に嵌め込み該ライナー内に埋設するようにすることができる。摩耗表示部材は、ライナーの材質と同じ速度で摩耗される材料で作られているものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成とすることで、長期間の使用によりライナーの摩耗が進行すると、該ライナーと共に磨耗される摩耗表示部材の磨耗面の変化(例えば、磨耗面の面積、摩擦表示部材が細長いものであれば磨耗面の幅方向寸法、色などの変化)を目視することでライナーの偏摩耗状態を的確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明における実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る無軸スクリューコンベア10の斜視図、図2は図1のA−A線断面図である。
【0014】
該無軸スクリューコンベア10は、図示のように、雨樋状のケーシング14と、該ケーシング14内に設けられた無軸スクリュー16と、ケーシング14の外部に設けられて無軸スクリュー16に駆動連結されている駆動装置18とを有する。ケーシング14の内面には図2に示すようにライナー12が設けられ(貼付され)、無軸スクリュー16のケーシング14への直接的な接触を防いでいる。
【0015】
図3には、図1の無軸スクリューコンベア10のライナー12が、また、図4及び図5には、該ライナー12の製作過程が示されている。
すなわち、該ライナー12は、板状部材12−1をケーシング14の内面と同じ曲率を持つように湾曲して形成されるものであり、細長い摩耗表示部材20がその幅方向に延びるように埋設されている。図示の例では、板状部材12−1に予め横断面台形の溝22が設けられ、この溝に、横断面を同じく台形とした摩擦表示部材20を挿入し、これを湾曲して図3に示すライナー12としている。溝22は板状部材12−1の長さ方向(無軸スクリュー16の軸線方向)に対して所定角度で設けられているが、この角度は、無軸スクリュー16のピッチ等を考慮して適宜決められる。
【0016】
溝22は、板状部材12−1の一側縁(スクリューの回転方向上流側端縁)から他方側の縁(同回転方向下流側端縁)に向けて伸び、該他方側の縁の手前で終端している。これは、無軸スクリュー16との摩擦接触により該磨耗表示部材20が、その長さ方向での力を受けて溝から抜け出てしまうのを防止するためである。
【0017】
磨耗表示部材20は、その台形横断面の(上辺よりも長くされた)下辺が、ライナー12の半径方向外側位置とされ、上辺はライナー12の内周面と面一となるようにされている。従って、このライナー12においては、ライナー12と共に磨耗表示部材20の磨耗が進むと、磨耗された面の幅が次第に増大するようになり、該幅によって磨耗の程度を的確に把握することができ、また、該幅を測定することにより、磨耗の程度をより正確に把握することができる。横断面が台形上の磨耗表示部材20を上記のように設定することにより、該磨耗表示部材20が溝から外れにくくすることができる。
【0018】
摩耗表示部材20はライナー12と同じ速度で摩耗する材質とすることで摩耗量の違いによる汚泥等の引っかかりを無くし、好ましくは同材質で色違いとすることで摩耗量を確認し易くする。また、摩耗表示部材20を複数層からなる構造とし、各層毎に異なる色とすることで摩耗量を正確に知ることができるようにしたり、また、ライナー12の交換が必要なまで磨耗が進んだときに当該磨耗表示部材20の磨耗面に赤などの警戒色が現れるようにしたりして、ライナー交換時期をより分かりやすくすることもできる。尚、摩耗表示部材の横断面は台形ではなく、例えば三角形など、摩耗の進行にともなって磨耗面の寸法が変化していくものであればよい。
【0019】
図6及び図7は、それぞれ、本発明に係る磨耗表示部材の第2及び第3の実施形態を示す斜視図である。
図6に示す磨耗表示部材20は、短い円柱状のものとされ、ライナー12の適宜の位置に埋設するようになっている。この磨耗表示部材20では、例えば、その軸線方向で複数の色の積層構造として当該ライナーの磨耗を色で表示したりすることができる。
図7に示す磨耗表示部材20は、円錐形のものとされており、ライナー12の適宜の位置に埋設するようになっており、ライナーと共に磨耗されることにより磨耗面の面積が次第に大きくなることにより磨耗の程度を示すことができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、磨耗表示部材の磨耗面は初めからライナー内面に露出する必要は無く、一定以上磨耗が進んだときに露出するようにすることもでき、更には、ライナー交換時期となった時点で、初めて露出して、交換時期であることを示すようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る無軸スクリューコンベアの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1の無軸スクリューコンベアのライナーの斜視図である。
【図4】本発明に係るライナーを作るための板状部材に摩耗表示部材を挿入する前の図である。
【図5】図4の板状部材の溝に摩擦表示部材を挿入した図である。
【図6】本発明に係るスクリューコンベアのライナーの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るスクリューコンベアのライナーの第3の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10 無軸スクリューコンベア
12 ライナー
12−1 板状部材
14 ケーシング
16 無軸スクリュー
18 駆動装置
20 摩耗表示部材
22 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心に回転駆動されるスクリューと、スクリューの外周の少なくとも下半分を囲い上記軸線方向に延びるケーシングとを備えるスクリューコンベアであって、
上記ケーシングの内面に設けられるライナーと、
該ライナーに埋設される磨耗表示部材と
を備え、
該磨耗表示部材は、ライナーが磨耗されるのに伴って磨耗され、ライナーの磨耗された表面と面一の磨耗面を呈するようになされ、磨耗が進むことに伴って該磨耗面が変化することによってライナーの磨耗の進行の程度を知ることができるようにしたことを特徴とするスクリューコンベア。
【請求項2】
上記磨耗の進行に伴って、磨耗表示部材の上記磨耗面の寸法が変化するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のスクリューコンベア。
【請求項3】
上記磨耗表示部材は、ライナーの内面に並行にして埋設された細長い部材とされていることを特徴とする請求項1若しくは2に記載のスクリューコンベア。
【請求項4】
上記磨耗表示部材は、上記ケーシングを平面状に展開した状態で、上記軸線に対して所定の角度をもって延びるようにしてケーシングに埋設されていることを特徴とする請求項3に記載のスクリューコンベア。
【請求項5】
上記磨耗表示部材は、スクリューの停止している状態でライナーの内面に隣接して延びる当該スクリューの螺旋状周縁に沿うような態様でライナー内に埋設されていることを特徴とする請求項4に記載のスクリューコンベア。
【請求項6】
上記摩耗表示部材は、横断面が台形とされ、該磨耗表示部材の磨耗の進行に伴って上記磨耗面の幅方向寸法が次第に大きくなるようにしてライナー内に埋設されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のスクリューコンベア。
【請求項7】
上記磨耗表示部材は、上記ライナーにおける上記スクリューの回転方向上流側端縁から下流側端縁に向けて延び、該下流側端縁の手前で終端するように形成された溝に嵌め込まれていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のスクリューコンベア。
【請求項8】
上記摩耗表示部材は、ライナーの材質と同じ速度で摩耗される材料で作られていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のスクリューコンベア。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−124062(P2006−124062A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312019(P2004−312019)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(502084920)株式会社 タイヘイ機工 (3)
【Fターム(参考)】