説明

スクリューフィーダー

【課題】簡便かつ容易に清掃することができるスクリューフィーダーを提供する。
【解決手段】ケース1の一方の端部上面に材料投入口2を設け、他方の端部下面に排出口3を設けると共に、ケース1内にスクリュー4を設けて形成され、スクリュー4の回転によって、材料投入口2側から排出口3側に向けてケース1内の成形材料を搬送するようにしたスクリューフィーダに関する。ケース1の上面に開閉自在な蓋6を設ける。ケース1をスクリュー4の周りに回転自在に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューをケース内で回転させ、粉体、顆粒状、ペレット状の成形材料を搬送する機械であるスクリューフィーダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりフェノール樹脂等の成形材料を混練機等に搬送する装置としてスクリューフィーダーが用いられている。このスクリューフィーダーは、ケース内に設けたスクリューを回転させることによってケース内の成形材料をスクリュー軸方向に搬送するものであるが、種類の異なる成形材料を連続して搬送すると、先に搬送した成形材料の残りと後に搬送する成形材料とが混ざり合うおそれがあるので、後に搬送する成形材料をケース内に投入する前にケース内を清掃しておくことが通常行われている(例えば、特許文献1参照。)。そして、この特許文献1には、清掃を容易に行うことができるスクリューフィーダーが記載されている。
【特許文献1】特開平9−169421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のスクリューフィーダーにあっては、清掃後の組み立てに煩雑な面があり、簡便性の点でなお改良の余地が残されているものである。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡便かつ容易に清掃することができるスクリューフィーダーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るスクリューフィーダは、ケース1の一方の端部上面に材料投入口2を設け、他方の端部下面に排出口3を設けると共に、ケース1内にスクリュー4を設けて形成され、スクリュー4の回転によって、材料投入口2側から排出口3側に向けてケース1内の成形材料を搬送するようにしたスクリューフィーダにおいて、ケース1の上面に開閉自在な蓋6を設けると共に、ケース1をスクリュー4の周りに回転自在に形成して成ることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1において、ケース1を所定の角度で保持する保持手段7を設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、ケース1が傾いている場合にはスクリュー4を回転させないインターロック手段8を設けて成ることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1において、ケース1を上下に分割し、上部ケース9の上面に開閉自在な蓋6を設けると共に、下部ケース10をスクリュー4の周りに回転自在に形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、ケース1を回転させるための操作用把持部11をケース1に設けて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係るスクリューフィーダーによれば、ケースの蓋を開けると共にケースをスクリューの周りに所定の角度回転させることによって、簡便かつ容易にケース内を清掃することができるものである。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、ケースを所定の角度回転させた後保持手段で保持することによって、ケース内の清掃中にケースが回転するのを防止することができるものである。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、インターロック手段によって、清掃時の安全性を図ることができるものである。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、上部ケースの蓋を開けると共に下部ケースをスクリューの周りに回転させることによって、一層簡便かつ容易にケース内を清掃することができるものである。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、操作用把持部によって、ケースを容易に回転させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、このスクリューフィーダは、ケース1の一方の端部上面に材料投入口2を設け、他方の端部下面に排出口3を設けると共に、ケース1内にスクリュー4を設けて形成され、スクリュー4の回転によって、材料投入口2側から排出口3側に向けてケース1内の成形材料を搬送するようにしたものである。
【0017】
ここで、ケース1は、断面略U字状の細長い箱形の容器等で形成することができるが、図2に示すように、材料搬送部12とこの前後に位置する略円柱状のケース軸部13とで構成されている。材料搬送部12の内部には、材料投入口2及び排出口3に連通する材料搬送空間14が形成されており、一方、ケース軸部13の内部には、ベアリング収納空間15が形成されている。材料搬送空間14と、この材料搬送空間14の前後に位置するベアリング収納空間15とはケース1内において仕切壁16によって仕切られている。また、ケース1の材料搬送部12の上面には図3のように蝶番17を介して開閉自在な蓋6が設けられている。材料投入口2は、この蓋6の上面に設けられているが、図3では図示省略されている。
【0018】
また、スクリュー4は、スクリュー軸(シャフト19)に螺旋状羽根20を設けて形成されている。シャフト19の両端は図2のように仕切壁16を貫通し、ベアリング収納空間15に設けたスクリュー回転用ベアリング21で軸支されている。シャフト19と仕切壁16との間にはグランドパッキン22が設けられ、材料搬送空間14内の成形材料がベアリング収納空間15内に流入しないようになっている。シャフト19の一端はケース1外に突出し、図1のようにケース1外に設けたモーター23に接続されており、このモーター23が駆動することによってスクリュー4が回転するようになっている。
【0019】
そして、ケース1の両端のケース軸部13は、図2に示すように、ケース回転用ベアリング24で軸支され、このケース回転用ベアリング24はケース支持部25に設けられている。これによりケース1全体がスクリュー4の周りに回転自在に形成されている。
【0020】
また、ケース1の両端を支持する各ケース支持部25はそれぞれ水平フレーム26上に設けられている。図1(a)に示すように、排出口3側の水平フレーム26の両端からは下方に向けてハ字状に前脚フレーム27が延設されており、各前脚フレーム27の下面にはキャスター28が設けられている。前脚フレーム27間の下方には補強のため前脚補強フレーム29が架設されている。一方、材料投入口2側の水平フレーム26の両端からは下方に向けてハ字状に後脚フレーム30が延設されており、各後脚フレーム30の下面にはキャスター28が設けられている。後脚フレーム30間の下方には補強のため後脚補強フレーム31が架設されている。さらに、一方の前脚フレーム27と後脚フレーム30との間には補強のため前後脚補強フレーム32が架設されている。ただし、図1に示すように、排出口3の直下にホッパー33等を設置しやすくするため、他方の前脚フレーム27と後脚フレーム30との間には前後脚補強フレーム32は架設されていない。
【0021】
このように形成されたスクリューフィーダにあっては、ケース1内を清掃する場合には、図3のようにケース1の蓋6を開けると共に、清掃作業者にとって清掃しやすい程度にケース1をスクリュー4の周りに所定の角度(例えば図4(a)に示すものにあっては90°、図4(b)に示すものにあっては135°)回転させることによって、ケース1内を清掃作業者の方に向けることができ、簡便かつ容易にケース1内を清掃することができるものである。
【0022】
また、スクリューフィーダには、ケース1を所定の角度で保持する保持手段7が設けられている。この保持手段7は、図5に概念的に示すように、ケース軸部13に設けた複数の位置決め穴34と、ケース支持部25(図5では図示省略、図2参照)に設けたピン挿入装置35とで形成されている。位置決め穴34は、ケース軸部13の周囲に所定の角度で複数設けられている。具体的には、図5に示すように、ケース1が傾いていない状態でケース軸部13の最も高い位置(0°の位置)、0°の位置から左右90°の位置(±90°の位置)、0°の位置から左右135°の位置(±135°の位置)にそれぞれ位置決め穴34を設けることができるが、これに限定されるものではない。ピン挿入装置35は、位置決めピン36を出し入れ自在に形成されており、ケース軸部13の0°の位置にある位置決め穴34aに位置決めピン36を挿入することができるように、ケース支持部25に固定されている。例えば、図5(a)に示すように、ケース1を回転させないで、0°の位置にある位置決め穴34aに位置決めピン36を挿入すると、ケース1を傾けない状態(通常使用される状態)で保持することができるものであるが、図5(b)のようにケース1を回転させて、90°の位置にあった位置決め穴34bが0°の位置に来たときにこの位置決め穴34bに位置決めピン36を挿入すると、ケース1を90°傾けた状態で保持することができるものであり、さらに図5(c)のようにケース1を回転させて、135°の位置にあった位置決め穴34cが0°の位置に来たときにこの位置決め穴34cに位置決めピン36を挿入すると、ケース1を135°傾けた状態で保持することができるものである。このように、ケース1を所定の角度回転させた後保持手段7で保持することによって、ケース1内の清掃中にケース1が勝手に回転するのを防止することができるものである。
【0023】
また、スクリューフィーダには、図5(b)(c)のようにケース1が傾いている場合にはスクリュー4を回転させないインターロック手段8が設けられている。このインターロック手段8は、保持手段7と、近接センサー37とで形成することができる。近接センサー37は、図5(a)に示すように、ケース1が傾いていない状態でケース軸部13の最も高い位置(0°の位置)に固定して設けられており、ケース1と共に回転するようになっている。そして、ケース1が傾いていない状態では、図5(a)に示すように、保持手段7のピン挿入装置35と近接センサー37とは共に0°の位置にあるので、近接センサー37はピン挿入装置35を検出することができる。このように近接センサー37がピン挿入装置35を検出すれば、近接センサー37はモーター23の駆動を許可する信号を制御装置(図示省略)に送信するものとし、この信号によりモーター23を駆動させることができるものである。一方、図5(b)(c)のようにケース1が所定の角度傾いている状態では、保持手段7のピン挿入装置35と近接センサー37とは離間しているので、近接センサー37はピン挿入装置35を検出することができない。このように近接センサー37がピン挿入装置35を検出しなければ、近接センサー37はモーター23の駆動を許可しない信号を制御装置(図示省略)に送信するものとし、この信号によりモーター23を駆動させることはできなくなるものである。ケース1内の清掃は図5(b)(c)のようにケース1が所定の角度傾いている状態で行うので、インターロック手段8によって、ケース1が傾いている場合にはスクリュー4は回転せず、清掃時の安全性を図ることができるものである。
【0024】
また、スクリューフィーダには、ケース1を回転させるための操作用把持部11がケース1に設けられている。具体的には、図1に示すスクリューフィーダには、ケース1が傾いていない状態で長尺の操作用把持部11が上下方向に向けてケース1側面に設けられている。そして、清掃作業者が操作用把持部11をつかんで倒すことによって、ケース1を回転させることができる。このように、清掃作業者がケース1そのものをつかんで回転させるよりも、梃子の原理を利用した操作用把持部11によって、ケース1を容易に回転させることができるものである。
【0025】
図6は本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、このスクリューフィーダも、ケース1の一方の端部上面に材料投入口2を設け、他方の端部下面に排出口3を設けると共に、ケース1内にスクリュー4を設けて形成され、スクリュー4の回転によって、材料投入口2側から排出口3側に向けてケース1内の成形材料を搬送するようにしたものである。
【0026】
ここで、ケース1は、断面略U字状の細長い箱形の容器等で形成することができるが、図8に示すように、上下に分割されている。具体的には、ケース1は、図7のように材料搬送部12とこの前後に位置する略円柱状のケース軸部13とで構成されており、このうち材料搬送部12のみが図8のように上下に分割されている。すなわち、材料搬送部12の上の部分とケース軸部13とで上部ケース9が形成され、材料搬送部12の下の部分のみで下部ケース10が形成されている。図7に示すように、材料搬送部12の内部には、材料投入口2及び排出口3に連通する材料搬送空間14が形成されており、一方、ケース軸部13の内部には、ベアリング収納空間15が形成されている。材料搬送空間14と、この材料搬送空間14の前後に位置するベアリング収納空間15とはケース1内において仕切壁16によって仕切られている。また、上部ケース9の材料搬送部12の上面には図8のように蝶番17を介して開閉自在な蓋6が設けられている。材料投入口2はこの蓋6の上面に設けられているが、図8では図示省略されている。
【0027】
また、スクリュー4は、スクリュー軸(シャフト19)に螺旋状羽根20を設けて形成されている。シャフト19の両端は図7のように仕切壁16を貫通し、ベアリング収納空間15に設けたスクリュー回転用ベアリング21で軸支されている。シャフト19と仕切壁16との間にはグランドパッキン22が設けられ、材料搬送空間14内の成形材料がベアリング収納空間15内に流入しないようになっている。シャフト19の一端はケース1外に突出し、図6のようにケース1外に設けたモーター23に接続されており、このモーター23が駆動することによってスクリュー4が回転するようになっている。
【0028】
そして、上部ケース9の両端のケース軸部13は、図7に示すように、ケース支持部25に固定されている。これにより上部ケース9は固定されることになるが、下部ケース10は図8のように蝶番18を介してスクリュー4の周りに下向きに回転自在に形成されている。また、図8に示すように、下部ケース10の左右には締付ノブ38を設けた枠体39が軸支されており、下部ケース10を持ち上げて、上部ケース9の左右に設けた突出部40に各枠体39を嵌めると共に、締付ノブ38で突出部40を締め付けることによって、図8(a)のように上部ケース9と下部ケース10とを一体化することができ、通常使用される状態とすることができる。なお、蓋6と上部ケース9との間及び上部ケース9と下部ケース10との間には図8のようにパッキン41を設けて、成形材料がケース1から漏れるのを防止している。
【0029】
また、上部ケース9の両端を支持する各ケース支持部25はそれぞれ水平フレーム26上に設けられている。図6(a)に示すように、排出口3側の水平フレーム26の両端からは下方に向けてハ字状に前脚フレーム27が延設されており、各前脚フレーム27の下面にはキャスター28が設けられている。前脚フレーム27間の下方には補強のため前脚補強フレーム29が架設されている。一方、材料投入口2側の水平フレーム26の両端からは下方に向けてハ字状に後脚フレーム30が延設されており、各後脚フレーム30の下面にはキャスター28が設けられている。後脚フレーム30間の下方には補強のため後脚補強フレーム31が架設されている。さらに、一方の前脚フレーム27と後脚フレーム30との間には補強のため前後脚補強フレーム32が架設されている。ただし、図6に示すように、排出口3の直下にホッパー33等を設置しやすくするため、他方の前脚フレーム27と後脚フレーム30との間には前後脚補強フレーム32は架設されていない。
【0030】
このように形成されたスクリューフィーダにあっては、ケース1内を清掃する場合には、図8(b)に示すように、上部ケース9の蓋6を開けると共に、下部ケース10をスクリュー4の周りに回転させることによって、一層簡便かつ容易にケース1内を清掃することができるものである。
【0031】
また、スクリューフィーダには、ケース1を回転させるための操作用把持部11がケース1に設けられている。具体的には、図8に示すスクリューフィーダには、下部ケース10に操作用把持部11が設けられている。そして、清掃作業者が締付ノブ38を緩めて下部ケース10の枠体39を上部ケース9の突出部40から外した後、操作用把持部11をつかんで下げることによって、下部ケース10を回転させることができる。このように、操作用把持部11によって、下部ケース10を容易に回転させたり持ち上げたりすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図2】同上の一部の側面断面図である。
【図3】同上の一部を破断した正面図である。
【図4】(a)(b)は同上の一部を破断した正面図である。
【図5】(a)〜(c)は同上の一部を簡略化した正面図である。
【図6】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図7】同上の一部の側面断面図である。
【図8】(a)(b)は同上の一部の正面断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ケース
2 材料投入口
3 排出口
4 スクリュー
6 蓋
7 保持手段
8 インターロック手段
11 操作用把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの一方の端部上面に材料投入口を設け、他方の端部下面に排出口を設けると共に、ケース内にスクリューを設けて形成され、スクリューの回転によって、材料投入口側から排出口側に向けてケース内の成形材料を搬送するようにしたスクリューフィーダーにおいて、ケースの上面に開閉自在な蓋を設けると共に、ケースをスクリューの周りに回転自在に形成して成ることを特徴とするスクリューフィーダー。
【請求項2】
ケースを所定の角度で保持する保持手段を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載のスクリューフィーダー。
【請求項3】
ケースが傾いている場合にはスクリューを回転させないインターロック手段を設けて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリューフィーダー。
【請求項4】
ケースを上下に分割し、上部ケースの上面に開閉自在な蓋を設けると共に、下部ケースをスクリューの周りに回転自在に形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のスクリューフィーダー。
【請求項5】
ケースを回転させるための操作用把持部をケースに設けて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスクリューフィーダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−133071(P2008−133071A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319063(P2006−319063)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】