説明

スクリュー圧縮機

【課題】スクリュー圧縮機において、スクリューロータと電動機のロータとを連結する駆動シャフトを支持する軸受の耐用寿命を長くする。
【解決手段】ケーシング(11)と、円筒状のステータ(13)、及び複数の磁石(14a)が設けられた円筒状に形成されステータ(13)の内部に所定のエアギャップを介して挿通されたロータ(14)を有する電動機(12)と、ロータ(14)の中心軸(14M)と同軸となるようにロータ(14)に連結されて略水平方向に延びる駆動シャフト(21)と、駆動シャフト(21)と連結して回転駆動される圧縮機構(20)と、駆動シャフト(21)を回転自在に支持する複数の軸受部(61,66,67)と、を備えるスクリュー圧縮機を構成する。ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分の半分以上は、ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュー圧縮機に関し、特に、スクリュー圧縮機の耐用寿命向上の対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷媒等を圧縮する圧縮機として、スクリュー圧縮機が知られている。例えば特許文献1には、ケーシング内に、スクリューを有する圧縮部と、該圧縮部を駆動させるモータ部とが水平方向に離間して配置されたスクリュー圧縮機が開示されている。上記圧縮部とモータ部のロータとは、主軸によって連結されている。この主軸の両端部及び中央部には転がり軸受が設けられていて、該転がり軸受は、上記主軸がケーシングに対して回転可能なように該主軸を支持している。上述のような構成においてモータ部を駆動させると、主軸によってスクリューがシリンダ内で回転され、その結果、上記圧縮部によって冷媒ガスが圧縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−227486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように、主軸にはスクリューとモータ部のロータとが連結されているため、該主軸を支える軸受には、主軸の自重だけでなく、比較的重量の重いスクリューやロータの自重も作用する。その結果、該主軸を受ける軸受には比較的大きな荷重が作用するため、軸受は破損等しやすくなる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクリューロータと電動機のロータとを連結する駆動シャフトを支持する軸受の耐用寿命を長くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、スクリュー圧縮機を対象とする。そして、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)の内周面に固定される円筒状のステータ(13)、及び複数の磁石(14a)が設けられた円筒状に形成され上記ステータ(13)の内部に所定のエアギャップを介して挿通されたロータ(14)を有する電動機(12)と、上記ロータ(14)の中心軸(14M)と同軸となるように該ロータ(14)に連結されて略水平方向に延びる駆動シャフト(21)と、該駆動シャフト(21)と連結して回転駆動される圧縮機構(20)と、上記駆動シャフト(21)を回転自在に支持する複数の軸受部(61,66,67)と、を備え、上記ロータ(14)は、該ロータ(14)の中心軸(14M)のうち上記ステータ(13)の内部に位置する部分の少なくとも半分以上が、上記ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するように配設されていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明では、ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分の少なくとも半分以上がステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するように、ロータ(14)をステータ(13)内に配設した。これにより、ロータ(14)に設けられた磁石(14a)がステータ(13)によって上方に吸引される磁力の方が、下方に吸引される磁力よりも大きくなる。つまり、ロータ(14)全体に作用する磁気吸引力は上向きになる。このように上向きに作用する磁気吸引力によって、ロータ(14)が連結された駆動シャフト(21)に上向きの力が作用するため、該駆動シャフト(21)を支える複数の軸受部(61,66,67)に作用する荷重が軽減される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、上記複数の軸受部は、上記駆動シャフト(21)の両端部のうち上記圧縮機構(20)側の端部を支持する圧縮機構側軸受部(61)を含み、上記ロータ(14)及び駆動シャフト(21)は、上記電動機(12)側から上記圧縮機構(20)側へ向けて上方に傾斜していることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、ロータ(14)を、電動機(12)側から圧縮機構(20)側へ向けて上方へ傾けた。これにより、上側のエアギャップは圧縮機構(20)側へ近づくにつれて狭くなるため、ロータ(14)に作用する上向きの磁気吸引力は、圧縮機構(20)側へ近づくにつれて大きくなる。そうなると、駆動シャフト(21)には、該駆動シャフト(21)の圧縮機構(20)側の端部が上方へ持ち上げられるような回転モーメントが作用する。従って、駆動シャフト(21)の両端部のうち圧縮機構(20)側の端部を支える圧縮機構側軸受部(61)に作用する荷重が軽減される。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記圧縮機構(20)は、該圧縮機構(20)に形成された吸入口(24)から吐出口(22)へ向けて螺旋状に延びる圧縮室(23)が形成され、上記駆動シャフト(21)に連結されたスクリューロータ(40)を含み、上記複数の軸受部は、スラスト軸受(61,67)を含み、上記ロータ(14)は、該ロータ(14)の軸方向端面が上記ステータ(13)から突出するように、上記ステータ(13)に対して上記吐出口(22)側から吸入口(24)側に向けてずれて配設されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、圧縮機構(20)には、該圧縮機構(20)に形成された吸入口(24)から吐出口(22)へ螺旋状に延びる圧縮室(23)が形成されたスクリューロータ(40)が設けられている。ここで、上記圧縮室(23)のうち吸入口(24)付近の空間は比較的圧力の低い気体で満たされている一方、該圧縮室(23)のうち吐出口(22)付近の空間は比較的圧力の高い気体で満たされている。つまり、スクリューロータ(40)には、吐出口(24)側から吸入口(22)側へ向かう力が作用する。その結果、該スクリューロータ(40)が連結された駆動シャフト(21)、及び該駆動シャフト(21)をスラスト方向に支持するスラスト軸受(61,67)にも同様の力(スラスト力)が作用するため、該スラスト軸受(61,67)の耐用寿命が短くなってしまう。
【0012】
これに対して、第3の発明では、ロータ(14)をステータ(13)に対して吐出口(22)側から吸入口(24)側に向かう方向にずらして配置した。こうすると、ロータ(14)の端面のうち吐出口(22)から離れている側の端面は、ステータの端面から突出する。そうなると、ロータ(14)の突出した部分に設けられている磁石(14a)は、ステータ(13)によって吸入口(24)側から吐出口(22)側に向かう方向に吸引される。すなわち、ロータ(14)には、吸入口(24)側から吐出口(22)側に向かう磁気吸引力が作用する。これにより、該ロータ(14)が連結された駆動シャフト(21)にかかる上記スラスト力が軽減されるため、該駆動シャフト(21)を支持するスラスト軸受(61,67)にかかるスラスト力も軽減される。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分の少なくとも半分以上がステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するように、ロータ(14)をステータ(13)内に配設した。これにより、ロータ(14)全体に上向きの磁気吸引力が作用するため、ロータ(14)及び圧縮機構(20)を連結する駆動シャフト(21)に上向きの磁気吸引力を作用させることができる。従って、駆動シャフト(21)を支持する複数の軸受部(61,66,67)に作用する荷重が軽減されるため、該複数の軸受部(61,66,67)の耐用寿命を長くすることができる。
【0014】
また、上記第2の発明によれば、ロータ(14)を電動機(12)側から圧縮機構(20)側へ向けて上方へ傾けた。これにより、圧縮機構(20)が上方へ持ち上げられるような回転モーメントを駆動シャフト(21)に作用させることができる。従って、圧縮機構側軸受部(61)に作用する下向きの荷重を軽減することができる。
【0015】
また、上記第3の発明によれば、ロータ(14)をステータ(13)に対して、圧縮機構(20)の吐出口(22)側から吸入口(24)側に向けてずらして配置した。これにより、ロータ(14)には、吸入口(24)側から吐出口(22)側に向かう方向に磁気吸引力が作用する。従って、圧縮機構(20)の圧縮室(23)内の圧力差に起因する、駆動シャフト(21)に作用するスラスト力を軽減することができ、該駆動シャフト(21)を支持するスラスト軸受(61,67)に作用するスラスト力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るスクリュー圧縮機を備えた空調装置の冷媒回路図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係るスクリュー圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【図3】図3は、スクリュー圧縮機の構成を示す横断面図である。
【図4】図4は、スクリュー圧縮機の要部を抜き出して示す斜視図である。
【図5】図5は、スクリュー圧縮機の要部を抜き出して示す、別の角度から見た斜視図である。
【図6】図6は、スクリュー圧縮機における電動機のステータとロータとの位置関係を示す概略図である。
【図7】図7は、スクリュー圧縮機の圧縮機構の動作を示す平面図であって、(a)は吸込行程を示し、(b)は圧縮行程を示し、(c)は吐出行程を示す。
【図8】図8は、その他の実施形態に係るスクリュー圧縮機の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0018】
本実施形態は、本発明に係るスクリュー圧縮機(10)を備えた空調装置(1)である。
【0019】
−空調装置の全体構成−
図1に示すように、本実施形態に係る空調装置(1)は、冷媒回路(7)を備えている。この冷媒回路(7)には、スクリュー圧縮機(10)と、四方切換弁(2)と、熱源側熱交換器(3)と、利用側熱交換器(4)と、熱源側膨張弁(5)と、利用側膨張弁(6)とが接続されている。この冷媒回路(7)には冷媒が充填されている。この冷媒回路(7)では、充填された冷媒を循環させることによる蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
【0020】
上記冷媒回路(7)では、スクリュー圧縮機(10)は、その吐出側が四方切換弁(2)の第1ポートに、その吸入側が四方切換弁(2)の第2ポートにそれぞれ接続されている。熱源側熱交換器(3)の一端は、四方切換弁(2)の第3ポートに接続されている。熱源側熱交換器(3)の他端は、熱源側膨張弁(5)及び利用側膨張弁(6)を介して利用側熱交換器(4)の一端に接続されている。利用側熱交換器(4)の他端は、四方切換弁(2)の第4ポートに接続されている。
【0021】
四方切換弁(2)は、第1ポートと第3ポートが連通し且つ第2ポートと第4ポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートが連通し且つ第2ポートと第3ポートが連通する第2状態(図1に点線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0022】
−スクリュー圧縮機の構成−
スクリュー圧縮機(10)は、図2及び図3に示すように、密閉状に構成されている。このスクリュー圧縮機(10)は、水平方向に細長いケーシング(11)と、該ケーシング(11)の一端側(図2における左側)に設けられた電動機(12)と、該電動機(12)によって駆動される圧縮機構(20)と、上記電動機(12)と圧縮機構(20)とを連結する駆動シャフト(21)と、を備えている。
【0023】
ケーシング(11)内は、区画部材(29)によって、低圧空間(S1)(図2の左側)と高圧空間(S2)(図2の右側)とに区画されている。低圧空間(S1)には、冷媒回路(7)の熱源側熱交換器(3)又は利用側熱交換器(4)から低圧のガス冷媒が流入する一方、高圧空間(S2)には、圧縮機構(20)から吐出された高圧のガス冷媒が流入する。
【0024】
ケーシング(11)の低圧空間(S1)側には、吸入口(11a)が開口している。この吸入口(11a)には、吸入側フィルタ(19)が取り付けられている。この吸入側フィルタ(19)は、冷媒回路(7)の熱源側熱交換器(3)又は利用側熱交換器(4)から吸入されたガス冷媒に含まれる異物を捕集する。
【0025】
電動機(12)は、いわゆるインナーロータ型のブラシレスDCモータで構成されている。電動機(12)は、ケーシング(11)の内周壁に固定された略円筒状のステータ(13)と、該ステータ(13)に所定のエアギャップを介して挿通された円筒状のロータ(14)と、を有している。
【0026】
ステータ(13)は、周方向に等間隔に配列された複数のティース(図示省略)を備えていて、該複数のティースには、複数相(例えば、U相、V相、W相)の電流が流れるコイル(図示省略)が周方向に順に巻回されている。これにより、ステータ(13)の内周面で覆われた空間に回転磁界を発生させることができる。
【0027】
ロータ(14)は、該ロータ(14)の周方向について交互に埋設された複数の永久磁石(14a)を備えている。ロータ(14)は、該ロータ(14)の永久磁石(14a)が上記ステータ(13)内で形成される回転磁界に引き寄せられるように回転することにより、ステータ(13)内で回転する。また、ロータ(14)には、駆動シャフト(21)を挿通固定するための挿通穴(14c)が、該ロータ(14)の中心軸(14M)と同軸となるように形成されている。
【0028】
ここで、図2及び図6に示すように、ロータ(14)は、その中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分が上記ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するように、且つ電動機(12)側から圧縮機構(20)側へ向けて(図2及び図6における左側から右側へ向けて)上方へ傾くように、ステータ(13)内に配置されている。さらに、ロータ(14)は、その中心軸(14M)方向の端面のうち圧縮機構(20)から離れている側の端面が、ステータ(13)に対して突出するようにずれて配置されている。このように、ロータ(14)をステータ(13)に対して配置する理由については、後述する。
【0029】
圧縮機構(20)は、図2〜図5に示すように、ケーシング(11)内に形成された円筒壁(16)と、該円筒壁(16)の中に配置された1つのスクリューロータ(40)と、該スクリューロータ(40)に噛み合う2つのゲートロータ(50)とを備えている。
【0030】
スクリューロータ(40)は、概ね円柱状に形成された金属製の部材である。スクリューロータ(40)の外径は、円筒壁(16)の内径よりも若干小さく設定されており、スクリューロータ(40)の外周面が円筒壁(16)の内周面と摺接するように構成されている。スクリューロータ(40)の外周部には、スクリューロータ(40)の軸方向一端から他端へ向かって螺旋状に延びる螺旋溝(41)が複数(本実施形態では、6本)形成されている。
【0031】
スクリューロータ(40)の各螺旋溝(41)は、図4及び図5に示すように、円柱状のスクリューロータ(40)の軸心周りに対称な形状をしている。すなわち、スクリューロータ(40)の横断面において、各螺旋溝(41)は、スクリューロータ(40)の中心に対して点対称な形状をしている。そして、複数の螺旋溝(41)が所定の軸周りに対称となるときのその軸を螺旋溝(41)の軸心という。スクリューロータ(40)に対して螺旋溝(41)が精度良く形成されているときには、螺旋溝(41)の軸心はスクリューロータ(40)の軸心と一致する。
【0032】
ここで、前記スクリューロータ(40)の軸方向一端側の周縁部にはテーパ面(45)が形成されていて、螺旋溝(41)の一端部はテーパ面(45)に開口している。各螺旋溝(41)は、テーパ面(45)に開口する一端部が始端部となり、他端部が終端部となっている。一方、螺旋溝(41)の終端部は、スクリューロータ(40)の軸方向他端側においてその側周面に開口している。螺旋溝(41)では、両側の側壁面(42,43)のうち、ゲート(51)の進行方向の前側に位置するものが第1側壁面(42)となり、ゲート(51)の進行方向の後側に位置するものが第2側壁面(43)となっている。
【0033】
また、スクリューロータ(40)の他端部には、螺旋溝(41)が形成されている本体部(40a)よりも外径が小さな小径部(46)が形成されている。
【0034】
さらに、スクリューロータ(40)には、図2に示すように、駆動シャフト(21)を挿通させるための挿通穴(47)がスクリューロータ(40)の軸心を通って貫通形成されている。
【0035】
図4及び図5に示すように、ゲートロータ(50)は、長方形板状に形成された複数(本実施形態では、11枚)のゲート(51)が放射状に設けられた樹脂製の部材である。各ゲートロータ(50)は、円筒壁(16)の外側にスクリューロータ(40)を挟んで対称に配置され、軸心がスクリューロータ(40)の軸心と直交している。各ゲートロータ(50)は、ゲート(51)が円筒壁(16)の一部を貫通してスクリューロータ(40)の螺旋溝(41)に噛み合うように配置されている。
【0036】
ゲートロータ(50)は、金属製のロータ支持部材(55)に取り付けられている。ロータ支持部材(55)は、基部(56)とアーム部(57)と軸部(58)とを備えている。基部(56)は、やや肉厚の円板状に形成されている。アーム部(57)は、ゲートロータ(50)のゲート(51)と同数だけ設けられており、基部(56)の外周面から外側へ向かって放射状に延びている。軸部(58)は、棒状に形成されて基部(56)に立設されている。軸部(58)の中心軸は、基部(56)の中心軸と一致している。ゲートロータ(50)は、基部(56)及びアーム部(57)における軸部(58)とは反対側の面に取り付けられている。各アーム部(57)は、ゲート(51)の背面に当接している。
【0037】
図3に示すように、ゲートロータ(50)が取り付けられたロータ支持部材(55)は、円筒壁(16)に隣接してケーシング(11)内に区画形成されたゲートロータ室(18)に収容されている。図3におけるスクリューロータ(40)の右側に配置されたロータ支持部材(55)は、ゲートロータ(50)が下端側となる姿勢で設置されている。一方、図3におけるスクリューロータ(40)の左側に配置されたロータ支持部材(55)は、ゲートロータ(50)が上端側となる姿勢で設置されている。各ロータ支持部材(55)の軸部(58)は、ゲートロータ室(18)内の軸受ハウジング(52)に玉軸受(53)を介して回転自在に支持されている。なお、各ゲートロータ室(18)は、低圧空間(S1)に連通している。
【0038】
ここで、圧縮機構(20)では、円筒壁(16)の内周面と、スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)と、ゲートロータ(50)のゲート(51)とによって囲まれた空間が圧縮室(23)になる(図2参照)。スクリューロータ(40)の螺旋溝(41)は、吸入側端部において低圧空間(S1)に開放しており、この開放部分が圧縮機構(20)の吸入口(24)を構成している。
【0039】
駆動シャフト(21)は、略水平方向に延びる細長い棒状に形成されている。この駆動シャフト(21)の一端側は、上記電動機(12)のロータ(14)の挿通穴(14c)に挿通された状態で固定されている一方、その他端側は、上記スクリューロータ(40)の挿通穴(47)に挿通された状態で固定されている。駆動シャフト(21)の重心(G)は、該駆動シャフト(21)の両端にロータ(14)とスクリューロータ(40)とがそれぞれ連結された状態で、ロータ(14)とスクリューロータ(40)との間に位置している。また、駆動シャフト(21)には、その軸方向に貫通する貫通穴(21c)が形成されている。
【0040】
駆動シャフト(21)の一端部には、ロータ(14)から突出する第1被支持部(21a)が形成されており、この第1被支持部(21a)がコロ軸受(66)(軸受部)に回転自在に支持されている。このコロ軸受(66)は、駆動シャフト(21)をラジアル方向に支持している。コロ軸受(66)は、コロ軸受ホルダ(65)に設置されている。コロ軸受ホルダ(65)のロータ(14)側は開口しており、駆動シャフト(21)の貫通穴(21c)を介してコロ軸受ホルダ(65)内に供給された冷媒が、コロ軸受(66)を通過した後でコロ軸受ホルダ(65)の開口部から電動機(12)のコイルに供給されるようになっている。
【0041】
一方、上記駆動シャフト(21)の他端部にはスクリューロータ(40)から突出する第2被支持部(21b)が形成されており、この第2被支持部(21b)が圧縮機構(20)の高圧側に位置する玉軸受(61)(軸受部、圧縮機構側軸受部、スラスト軸受)に回転自在に支持されている。この玉軸受(61)は、駆動シャフト(21)をラジアル方向及びスラスト方向に支持する、いわゆるアンギュラ玉軸受である。玉軸受(61)は、ケーシング(11)の円筒壁(16)に嵌合された軸受ホルダ(60)に設置されている。玉軸受(61)は、垂直方向について、上記コロ軸受(66)よりもやや上方に配置されている。これにより、上記駆動シャフト(21)及びロータ(14)は、電動機(12)側から圧縮機構(20)側へ向けて上方へ傾くように配置される。
【0042】
軸受ホルダ(60)の、スクリューロータ(40)側の端面の周縁部には、スクリューロータ(40)側に突出した環状壁部(62)が設けられている。環状壁部(62)は、スクリューロータ(40)が円筒壁(16)内に配置されたときに、スクリューロータ(40)の小径部(46)が環状壁部(62)の内周側に入り込むように構成されている。このとき、小径部(46)と環状壁部(62)との継ぎ目(76)には若干の隙間が形成されており、スクリューロータ(40)の小径部(46)と軸受ホルダ(60)の環状壁部(62)とは径方向にも軸方向にも接触していない。つまり、小径部(46)と環状壁部(62)との間には、スクリューロータ(40)の外周面から径方向内方に入り込んだ後、軸方向に屈曲し、その後、さらに径方向内側に屈曲した、すなわち、縦断面がクランク状に屈曲した形状の潤滑路(75)が形成されている。
【0043】
潤滑路(75)は、スクリューロータ(40)で圧縮された冷媒に含まれる油を軸受ホルダ(60)の玉軸受(61)に向かって流通させて玉軸受(61)を潤滑させるための流路である。玉軸受(61)を通過した冷媒は、駆動シャフト(21)の他端部(図2の右側)から貫通穴(21c)を通って一端部(図2の左側)から吐出され、コロ軸受(66)を潤滑する。コロ軸受(66)を潤滑した後の冷媒は、コロ軸受ホルダ(65)の開口部から電動機(12)のコイルに供給され、コイルを潤滑する。
【0044】
スクリュー圧縮機(10)は、更に、容量制御機構としてスライドバルブ(88)を備えている。このスライドバルブ(88)は、円筒壁(16)がその周方向の2カ所において径方向外側に膨出したスライドバルブ収納部(17)内に設けられている。スライドバルブ(88)は、内面が円筒壁(16)の内周面の一部を構成するとともに、円筒壁(16)の軸心方向にスライド可能に構成されている。
【0045】
スクリュー圧縮機(10)は、更に、上記スライドバルブ(88)を円筒壁(16)の軸心方向にスライド駆動させるためのスライドバルブ駆動機構(80)を備えている。このスライドバルブ駆動機構(80)は、区画部材(29)の右側壁面に形成されたシリンダ(81)と、シリンダ(81)内に装填されたピストン(82)と、該ピストン(82)に連結されたピストンロッド(83)と、該ピストンロッド(83)に連結されたアーム(84)と、該アーム(84)とスライドバルブ(88)とを連結する連結ロッド(85)と、一端がピストンロッド(83)に連結された駆動バー(86)と、該駆動バー(86)の他端に連結された駆動機構(87)とを備えている。
【0046】
駆動機構(87)は、ピストンロッド(83)の軸方向と直交する方向に延びるシャフト(87a)周りに回動するように構成されている。具体的に、シャフト(87a)には図示しないベーンモータが連結しており、このベーンモータの回転角度を変化させることで、スライドバルブ(88)の位置を調整するように構成されている。
【0047】
また、スライドバルブ(88)には、圧縮室(23)と高圧空間(S2)とを連通させるための吐出口(22)が形成されている。つまり、圧縮室(23)で圧縮された冷媒は、スライドバルブ(88)の吐出口(22)から高圧空間(S2)に吐出される。また、円筒壁(16)には、圧縮室(23)から低圧空間(S1)へ冷媒を戻すためのバイパス通路の上流端が開口しており、スライドバルブ(88)はこのバイパス通路の上流端を開閉して、圧縮機構(20)の容量を調整する。
【0048】
ケーシング(11)の高圧空間(S2)は、中空の円筒状に形成された高圧側ケース(27)で構成されている。この高圧側ケース(27)の底部には、油溜まり(28)が設けられている。この油溜まり(28)に貯留された油は、スクリューロータ(40)等の駆動部品の潤滑に用いられる。
【0049】
そして、低圧空間(S1)と高圧空間(S2)とを区画する区画部材(29)内には、油供給路(29a)が形成されている。この油供給路(29a)には、油溜まり(28)に貯留された油に含まれる異物を捕集するオイルフィルタ(25)が取り付けられている。このオイルフィルタ(25)で異物が捕集された後の油は、油供給路(29a)を介してスクリューロータ(40)等の駆動部品に対して供給されるようになっている。
【0050】
高圧側ケース(27)の上部には、吐出口(27a)が形成されている。また、高圧側ケース(27)内における油溜まり(28)の上方且つスライドバルブ(88)の吐出口(22)と高圧側ケース(27)の吐出口(27a)との間には、デミスタ(26)が配置されている。
【0051】
デミスタ(26)は、ガス冷媒から油を分離するものである。具体的に、スライドバルブ(88)の吐出口(22)から吐出された冷媒は、デミスタ(26)を通過する際に、冷媒に含まれる油がデミスタ(26)に捕捉される。デミスタ(26)に捕捉された油は、高圧側ケース(27)内の油溜まり(28)に回収される。一方、油が分離された後のガス冷媒は、吐出口(27a)を介してケーシング(11)外部に吐出される。
【0052】
図2に示すように、ケーシング(11)には、台座部(11b)が形成されている。この台座部(11b)は、ケーシング(11)の上部から突出するように形成されており、その上面が概ね水平な平坦面となっている。台座部(11b)には、ターミナル組立品(30)が取り付けられている。
【0053】
ターミナル組立品(30)は、ターミナル台(31)と、ターミナル(32)とによって構成されている。ターミナル台(31)は、長方形の厚板状に形成され、その長辺がケーシング(11)の軸方向と概ね平行となる姿勢で、台座部(11b)の上面に取り付けられている。ターミナル台(31)の下面は、台座部(11b)の上面と接している。
【0054】
ターミナル(32)は、電動機(12)に給電するためのものであり、端子座(33)と6本の端子棒(34)とを備えている。端子座(33)は、絶縁性の樹脂等からなるブロック状の部材であって、ターミナル台(31)の上面及び下面の中央部に設置されている。各端子棒(34)は、金属製の部材であって、その軸方向が概ね鉛直方向となる姿勢で端子座(33)に取り付けられている。
【0055】
−運転動作−
以下、上記スクリュー圧縮機(10)の運転動作について説明する。スクリュー圧縮機(10)において電動機(12)を起動すると、ステータ(13)内に回転磁界が発生する。ロータ(14)に埋設された複数の磁石(14a)が上記回転磁界に吸引されながら回転することにより、ロータ(14)が回転する。すると、該ロータ(14)に連結固定された駆動シャフト(21)及びスクリューロータ(40)も回転する。このスクリューロータ(40)の回転に伴ってゲートロータ(50)も回転し、圧縮機構(20)が吸入行程、圧縮行程及び吐出行程を繰り返す。ここでは、図7において網掛けを付した圧縮室(23)に着目して説明する。
【0056】
図7(a)において、網掛けを付した圧縮室(23)は、低圧空間(S1)に連通している。また、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、図7(a)の下側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされている。スクリューロータ(40)が回転すると、このゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって相対的に移動し、それに伴って圧縮室(23)の容積が拡大する。その結果、低圧空間(S1)の低圧ガス冷媒が吸入口(24)を通じて圧縮室(23)へ吸い込まれる。
【0057】
上記スクリューロータ(40)がさらに回転すると、図7(b)の状態となる。図7(b)において、網掛けを付した圧縮室(23)は、閉じきり状態となっている。つまり、この圧縮室(23)が形成されている螺旋溝(41)は、図7(b)の上側に位置するゲートロータ(50)のゲート(51)と噛み合わされ、このゲート(51)によって低圧空間(S1)から仕切られている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮室(23)の容積が次第に縮小する。その結果、圧縮室(23)内のガス冷媒が圧縮される。
【0058】
上記スクリューロータ(40)がさらに回転すると、図7(c)の状態となる。図7(c)において、網掛けを付した圧縮室(23)は、吐出口(22)を介して高圧空間(S2)と連通した状態となっている。そして、スクリューロータ(40)の回転に伴ってゲート(51)が螺旋溝(41)の終端へ向かって移動すると、圧縮されたガス冷媒が圧縮室(23)から高圧空間(S2)へ押し出されてゆく。
【0059】
上述のように、低圧空間(S1)から吸入口(24)を介して圧縮室(23)へ吸入された冷媒ガスは、圧縮室(23)内で徐々に圧縮されながら吐出口(22)へ向かい、該吐出口(22)を介して高圧空間(S2)へ吐出される。つまり、圧縮室(23)のうち吐出口(22)に近い空間は、比較的高圧の冷媒で満たされている一方、吸入口(24)に近い空間は、比較的低圧の冷媒で満たされている。従って、スクリューロータ(40)は、圧縮室(23)のうち吐出口(22)付近の高圧ガス冷媒によって電動機(12)側へ押圧されるため、スクリューロータ(40)が連結された駆動シャフト(21)には、図2における左向きのスラスト力が作用することになる。
【0060】
一方、上記圧縮室(23)から押し出されたガス冷媒の一部は、スクリューロータ(40)と軸受ホルダ(60)との隙間に形成された潤滑路(75)を介して玉軸受(61)に向かって流通する。このガス冷媒には油が含まれているので、ガス冷媒が玉軸受(61)を通過する際に玉軸受(61)が潤滑される。そして、玉軸受(61)を通過したガス冷媒は、駆動シャフト(21)の他端部から貫通穴(21c)を通って一端部から吐出され、コロ軸受(66)が潤滑される。コロ軸受(66)を潤滑した後のガス冷媒は、コロ軸受ホルダ(65)の開口部から電動機(12)のコイルに供給され、コイルが潤滑される。
【0061】
−ロータに作用する磁気吸引力について−
図2及び図6を用いて、電動機(12)のロータ(14)に作用する磁気吸引力について説明する。
【0062】
電動機(12)を起動すると、上述のように、ロータ(14)内に埋設された複数の磁石(14a)がステータ(13)内で発生する回転磁界に引き寄せられながら回転することにより、ロータ(14)がステータ(13)内で回転する。
【0063】
ここで、上述のように、ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分は、ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置している。つまり、ステータ(13)とロータ(14)との間の隙間(エアギャップ)については、上側のエアギャップの方が下側のエアギャップよりも狭くなるため、ロータ(14)に作用する上向きの磁気吸引力は、下向きの磁気吸引力よりも大きくなる。従って、該ロータ(14)に連結固定された駆動シャフト(21)には上向きの磁気吸引力が作用することになる。これにより、駆動シャフト(21)を支持するコロ軸受(66)及び玉軸受(61)に作用する駆動シャフト(21)の荷重が軽減されるため、これらの軸受(61,66)の耐用寿命を長くすることができる。
【0064】
また、ロータ(14)の中心軸(14M)は、電動機(12)側から圧縮機構(20)側へ向けて上方に傾いている。こうすると、電動機(12)のエアギャップのうち上側のエアギャップは、スクリューロータ(40)側へ近づくにつれて狭くなる。つまり、ロータ(14)に作用する上向きの磁気吸引力は、スクリューロータ(40)へ近づくにつれて大きくなる。その結果、駆動シャフト(21)には、図2における反時計回り方向に回転モーメントが発生する。この回転モーメントにより、ロータ(14)及びスクリューロータ(40)が連結された駆動シャフト(21)の重心(G)に作用する荷重を軽減することができる。
【0065】
さらに、ロータ(14)はステータ(13)に対して、圧縮機構(20)の吐出口(22)から吸入口(24)に向かう方向(図2における左方向)にずれて配設されている。こうすると、ロータ(14)の端面のうち圧縮機構(20)から離れている側の端面がステータ(13)から突出する。そうなると、ステータ(13)から突出した部分に設けられているロータ(14)の磁石(14a)は、ステータ(13)内で発生する磁力によって、圧縮機構(20)側へ吸引される。これにより、スクリューロータ(40)内の差圧に起因するスラスト力に抗してロータ(14)を右側へ押しつけることができるため、スクリューロータ(40)に連結された駆動シャフト(21)をスラスト方向に支持する玉軸受(61)に作用するスラスト力を軽減することができる。
【0066】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態のスクリュー圧縮機では、ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分がステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するように、ロータ(14)をステータ(13)内に配置した。これにより、上側のエアギャップの方が下側のエアギャップよりも狭くなるため、ロータ(14)に作用する上向きの磁気吸引力の方が下向きの磁気吸引力よりも大きくなる。つまり、ロータ(14)全体には上向きの磁気吸引力がかかるため、該ロータ(14)に連結された駆動シャフト(21)に上向きの力を作用させることができる。これにより、該駆動シャフト(21)を支持する玉軸受(61)及びコロ軸受(66)に作用する荷重を軽減でき、その分、軸受(61,66)の寿命を長くすることができる。
【0067】
また、ロータ(14)の中心軸(14M)を、電動機(12)側から圧縮機構(20)側(図2における右側)へ向けて上方へ傾けた。これにより、上側のエアギャップがスクリューロータ(40)側へ近づくにつれて狭くなるため、駆動シャフト(21)に、図2における反時計回り方向の回転モーメントを作用させることができる。この回転モーメントにより、駆動シャフト(21)の重心(G)に作用する荷重を軽減できるため、玉軸受(61)に作用する駆動シャフト(21)の荷重を軽減することができる。
【0068】
さらに、ロータ(14)をステータ(13)に対して、圧縮機構(20)の吐出口(22)側から吸入口(24)側(図2における左側)にずらして配置した。これにより、ステータ(13)から突出した部分に設けられたロータ(14)の磁石(14a)は、ステータ(13)によって圧縮機構(20)側に吸引される。従って、スクリューロータ(40)において左方向に向かうスラスト力を軽減できるため、ロータ(14)が連結された駆動シャフト(21)を支持する玉軸受(61)にかかるスラスト力を低減することができる。
【0069】
−その他の実施形態−
上記実施形態については、以下のような構成にしてもよい。
【0070】
上記実施形態では、駆動シャフト(21)の軸受として、駆動シャフトの一端側(図2における右側)を支持する玉軸受(61)と、駆動シャフト(21)の他端側(図2における左側)を支持するコロ軸受(66)とを設けたが、この限りでなく、図8に示すように、上記2つの軸受(61,66)の他に、駆動シャフト(21)の軸方向における中央部分を支持する玉軸受(67)を設けてもよい。この玉軸受(67)は、いわゆるアンギュラ玉軸受である。これにより、駆動シャフト(21)を軸方向における3箇所で支持することができるため、上記実施形態のように駆動シャフト(21)を2箇所で支持する場合と比べて、各軸受(61,66,67)に作用する荷重を軽減できる。
【0071】
そして、このように3つの軸受(61,66,67)を設けた構成において、上記実施形態1の場合と同様、ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分がステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するようにロータ(14)がステータ(13)内に配置されているため、3つの軸受(61,66,67)に作用する荷重を軽減できる。更に、ロータ(14)がステータ(13)に対して、圧縮機構(20)の吐出口(22)側から吸入口(24)側(図8における左側)にずれて配置されているため、2つのスラスト軸受(61,67)にかかるスラスト力を低減できる。
【0072】
また、実施形態では、ロータ(14)の中心軸(14M)のうちステータ(13)の内部に位置する部分全体が、ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置しているが、この限りでなく、ロータの中心軸のうち上記ステータ(13)の内部に位置する部分の少なくとも半分以上が、ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置していればよい。これにより、ロータ全体には上向きの磁気吸引力が作用するため、軸受にかかる荷重を低減することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、ロータ(14)の中心軸(14M)は、ロータ(14)からスクリューロータ(40)へ向かって上方に傾いているが、この限りでなく、例えば水平になるように配置されていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ロータ(14)をステータ(13)に対して、圧縮機構(20)の吐出口(22)から吸入口(24)へ向けてずらして配設したが、この限りでなく、例えば、ロータをステータに対してずらさずに配設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明は、水平方向に延びる駆動シャフトによって圧縮機構を駆動させる電動機を備えたスクリュー圧縮機に特に有用である。
【符号の説明】
【0076】
10 スクリュー圧縮機
11 ケーシング
12 電動機
13 ステータ
13M 中心軸
14 ロータ
14a 磁石
14M 中心軸
20 圧縮機構
21 駆動シャフト
22 吐出口
23 圧縮室
24 吸入口
61 玉軸受(軸受部、圧縮機構側軸受部、スラスト軸受)
66 コロ軸受(軸受部)
67 玉軸受(軸受部、スラスト軸受)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュー圧縮機であって、
ケーシング(11)と、
上記ケーシング(11)の内周面に固定される円筒状のステータ(13)、及び複数の磁石(14a)が設けられた円筒状に形成され上記ステータ(13)の内部に所定のエアギャップを介して挿通されたロータ(14)を有する電動機(12)と、
上記ロータ(14)の中心軸(14M)と同軸となるように該ロータ(14)に連結されて略水平方向に延びる駆動シャフト(21)と、
上記駆動シャフト(21)と連結して回転駆動される圧縮機構(20)と、
上記駆動シャフト(21)を回転自在に支持する複数の軸受部(61,66,67)と、を備え、
上記ロータ(14)は、該ロータ(14)の中心軸(14M)のうち上記ステータ(13)の内部に位置する部分の少なくとも半分以上が、上記ステータ(13)の中心軸(13M)よりも上方に位置するように配設されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、
上記複数の軸受部は、上記駆動シャフト(21)の両端部のうち上記圧縮機構(20)側の端部を支持する圧縮機構側軸受部(61)を含み、
上記ロータ(14)及び駆動シャフト(21)は、上記電動機(12)側から上記圧縮機構(20)側へ向けて上方に傾斜していることを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスクリュー圧縮機において、
上記圧縮機構(20)は、該圧縮機構(20)に形成された吸入口(24)から吐出口(22)へ向けて螺旋状に延びる圧縮室(23)が形成され、上記駆動シャフト(21)に連結されたスクリューロータ(40)を含み、
上記複数の軸受部は、スラスト軸受(61,67)を含み、
上記ロータ(14)は、該ロータ(14)の軸方向端面が上記ステータ(13)から突出するように、上記ステータ(13)に対して上記吐出口(22)側から吸入口(24)側に向けてずれて配設されていることを特徴とするスクリュー圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−102707(P2012−102707A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254120(P2010−254120)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)