説明

スクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置

【課題】印刷テーブル面等に対して平行設定するスキージ・スクレッパ等の下降位置検出の精度を向上し、また版枠セット時でも平行検出を可能として検出作業を能率的に遂行できるようにする。
【解決手段】スクリーン印刷機のスキージ2・スクレッパ3の高さ位置を上下動させて位置決めするスキージ上下移動機構7によって、印刷テーブル6上面に対してスキージ2・スクレッパ3の下端縁を平行状態になるように検出する検出装置10を、スキージ2・スクレッパ3の長手方向に沿って検出調整部位に複数で配置する。検出装置10は、検出調整部位に取り付けるベースブロック11と、下降するスキージ2・スクレッパ3の下端縁が当接して押し下げるよう弾発的な緩衝体13を介在させてベースブロック11上に配した検出体12と、この検出体12の押し下げを検出する検出センサー14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷機において所定のワークに対して印刷処理を行うスキージ・スクレッパ等がその全面で平均的にワーク・印刷テーブル等に押圧力が付与できるようにワーク面に対してスキージ・スクレッパ等を平行状態に設定させるためのスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スクリーン印刷機において精密な印刷処理を行うには、ワーク上面に当接させるスクリーン・紗上で走行するスキージ・スクレッパ等の全面・全域をワークに対して平均的に押圧させるようにする必要がある。それには、これらのスキージ・スクレッパ等がワーク、印刷テーブルに対して平行状態に設定されなければならず、特にスキージ自体は使用に伴い次第に摩耗されるから、その交換時には平衡状態となるようにその都度、調整設定している。
【0003】
こうした点からスキージ・スクレッパ等のワークに対して平行状態に設定するために例えば特許文献1にあるようなスクリーン印刷機におけるスキージ平行検出装置が提案されている。この平行検出装置は、印刷テーブルに設けた流体シリンダのロッドに検出移動板を連結し、この検出移動板にはスキージが下降したときに押し下げられる受けプレートを設けると共に、下降したスキージによって受けプレートが押し下げられたときの下降位置検出ドグを流体シリンダに隣接配置の位置検出センサーが検出するものとして構成する。そして、このような検出装置をスキージの長手方向に沿って2箇所にして設けておいて、左右で同時に検出した時にスキージの下降を停止してスキージの印刷テーブルに対する平行度を自動設定するようにしたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−178012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来の特許文献1によると、スキージが下降して受けプレートが押し下げられることで、流体シリンダのロッド、検出移動板、下降位置検出ドグ等がともに下降するようになっており、そのためにロッド自体が速やかに押し下げられるためにも、流体シリンダは低圧に設定されるとしている(段落[0011]項参照)。ところが、流体シリンダが低圧であると受けプレートが下がったままとなり、正確に感知できず、逆に高圧であると受けプレートを押し下げるときにスキージゴムが撓み、精度良く検知できない。しかも、流体シリンダでは、ロッドが縮小されるときの圧縮による推力変化があるから、作業者による圧力コントロールの設定が必要とされ、面倒である。
【0006】
また、2箇所の検出装置の位置検出センサーがオン(検出時)した状態でスキージの上下駆動機構でスキージ下降を停止させるとすると、2箇所での検出が同時に行われずに一方ずつがオンする場合、すなわち平行でない場合には、一方の上下駆動機構が停止しても、他方のそれは位置検出センサーがオンするまでは動作しているから、これによってはじめに停止している一方の側では若干でも下降してしまうから、結果として平行状態にはならず、その精度は十分ではない。
【0007】
そればかりでなく、下降されるスキージの押し下げを受けプレートと共に移動するロッドが有する流体シリンダは印刷テーブルに設けられているから、印刷テーブルに比し大きい版枠(スクリーン/紗)がセットされている場合に、平行検出は極めて面倒である。すなわち、通常は印刷テーブルに比し版枠が大きい場合が多く、そのときにスキージの平行調整を行うとすると、版枠をセットしたままで行えない。そればかりでなく、スキージの摩耗消耗によってスキージを交換するときには、その都度、版枠を取り外さなければならず、再度の手間が掛かり、面倒である。
【0008】
更にはこの特許文献1によるフォトセンサー(位置検出センサー)のセンサユニットは、長孔を介して取付けネジによって取付け位置が変更調整されるように設けられている。そうすると、例えばフォトセンサーが故障したとき等で交換した場合にはその再度の調整は一般的な作業員にとっては困難である。
【0009】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、スキージ・スクレッパ等の下降時の平行位置、所謂ゼロ点位置調整を流体シリンダを使用せずに検出することで下降位置検出の精度の向上を図り、また版枠セット時でも平行検出を可能として検出作業を能率的に遂行できるようにし、更にはフォトセンサー故障時の交換等による再調整等をも容易に行えるようにしたスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、スクリーン印刷機のスキージ2・スクレッパ3の高さ位置を上下動させて位置決めさせるスキージ上下移動機構7によって、印刷テーブル6上面に対してスキージ2・スクレッパ3の下端縁を平行状態になるように設定する平行検出装置において、スキージ2・スクレッパ3の長手方向に沿って検出調整部位に複数で配置した検出装置10から成り、この検出装置10は、検出調整部位に取り付けられるベースブロック11と、下降されるスキージ2・スクレッパ3の下端縁が当接されて押し下げられるよう弾発的な緩衝体13を介在させてベースブロック11上に配した検出体12と、この検出体12が押し下げられたことを検出する検出センサー14とを備えて成ることを特徴とする。
検出センサー14は、ベースブロック11に配置して構成することができる。
また、検出装置10は、検出調整部位に取り付けられる位置決め流体シリンダ21と、下降されるスキージ2・スクレッパ3の下端縁が当接されて押し下げられるよう弾発的な緩衝体13を介在させて位置決め流体シリンダ21のシリンダロッド22に配した検出体12と、この検出体12が押し下げられたことを検出する検出センサー14とを備えて成るものとして構成することができる。
検出センサー14は、位置決め流体シリンダ21に配置して構成することができる。
緩衝体13はコイルスプリングによって構成することができ、検出体12とベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21との間に介装されていて、検出体12下面とベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21上面との間に所定の間隙を設定してベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21上で検出体12を押し下げ自在にして支持するように構成することができる。
検出調整部位は、スクリーン印刷機自体の印刷テーブル6面と平行になっている場所・部位に設定されるものとして構成することができ、例えば印刷テーブル6、版枠4、版枠支持フレーム部5その他のいずれかとしてある。
スキージ2・スクレッパ3の端部側は、端部それぞれに連繋されているスキージ上下移動機構7によって上下動され、検出体12の押し下げを検出した検出センサー14のオン動作によってスキージ上下移動機構7による下降駆動が停止されるようにして構成することができる。
スキージ上下移動機構7は、スキージ2・スクレッパ3の端部側それぞれを各別に上下動させ、スキージ2・スクレッパ3のいずれか一方側の端部の下降を検出するいずれか一方の検出装置10のオン動作によって下降を停止させた後に上昇駆動させてその検出装置10をオフさせ、その後にスキージ2・スクレッパ3のいずれか他方側の端部の下降を検出するいずれか他方の検出装置10のオン動作によって下降を停止させた後に上昇駆動させてその検出装置10をオフさせ、これらのスキージ2・スクレッパ3の上下動を交互に適数回繰り返してスキージ2・スクレッパ3を平行設定するようにして構成することができる。
【0011】
以上のように構成された本発明に係るスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置にあって、これの検出装置10は、印刷テーブル6に対して平行設定すべく下降されるスキージ2・スクレッパ3の下端縁が当接される検出体12が、コイルスプリングの弾発的な緩衝体13を介して押し下げられて検出センサー14にてその押し下げが検出されることで、その押し下げ動作に誤差がなく、僅かな押し下げであっても、その検出体12の動きを検出センサー14が確実に検出する。
緩衝体13を介在させた検出体12を配したシリンダロッド22を有する位置決め流体シリンダ21は、シリンダロッド22の伸縮調整で検出体12の高さ位置を自在に調整設定させ、下降されるスキージ2・スクレッパ3の上下動範囲によって検出体12位置に下降位置が到達しない検出調整部位においても、検出体12の高さ位置を上下方向で調整し、位置決め設定させる。
検出センサー14のベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21への配置は、検出体12の移動を確実に検出し、また交換その他による再調整を容易にさせる。
検出調整部位がスクリーン印刷機自体の印刷テーブル6面と平行になっている場所・部位の選定によって、例えば印刷テーブル6大きさに比し大きい版枠4等に取り付けセットされることで、スキージ2の交換に伴う平行設定を可能にさせる。
スキージ2・スクレッパ3の印刷テーブル6に対する平行設定に際し、スキージ2・スクレッパ3の端部それぞれを各別に上下動させるスキージ上下移動機構7の上下駆動が、下降時の検出センサー14のオン動作とその後の上昇時のオフ動作とが左右の検出装置10それぞれに対して交互に適数回繰り返されることで、印刷テーブル6等に対する平行度の設定を精確に行わせる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上説明したように構成されているため、スキージ2・スクレッパ3等の下降時の位置を従来のように流体シリンダを使用せずに検出できるから、流体シリンダによる推力変動の影響を受けることなく下降位置検出の精度の向上を図ることができ、スキージ2・スクレッパ3それぞれが下降した位置で、これらの長手方向における印刷テーブル6等に対する平行度を精確に設定できる。また、版枠4をセットしたときでも、通常ではこの版枠4が印刷テーブル6を覆い隠す状態となっていても、検出装置10の取付位置の適宜な選択で平行検出作業が可能であり、検出作業を能率的に遂行できる。更にはフォトセンサーの如き検出センサー14の故障時の交換等による再調整等のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0013】
すなわちこれは本発明において、検出装置10は、検出調整部位に取り付けられるベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21と、下降されるスキージ2・スクレッパ3の下端縁が当接されて押し下げられるよう弾発的な緩衝体13を介在させてベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21に配した検出体12と、この検出体12が押し下げられたことを検出する検出センサー14とを備えて成るからである。これによって、スキージ2・スクレッパ3下降時の検出体12に対する当接押し下げ時の検出センサー14の確実なオン動作を可能にしている。
【0014】
また、コイルスプリングによる緩衝体13は、流体シリンダにおけるロッドの伸縮に比し検出体12の押し下げ、ひいては検出センサー14によるこれの検出を確実にし、検出センサー14の検出のオン動作によるスキージ上下移動機構7の駆動停止、これに伴う一層精確な平行度の設定を可能にする。
【0015】
検出調整部位に位置決め流体シリンダ21を取り付け、この位置決め流体シリンダ21に検出体12、検出センサー14それぞれを配置することで、下降されるスキージ2・スクレッパ3が最下端位置に到達しても検出体12に当接しない場合、例えば検出装置10自体の取付場所が印刷テーブル6の下方位置である場合等でも、これに対処可能である。すなわち、検出装置10の取付場所が限定されることで、スキージ2・スクレッパ3の上下ストローク範囲が小さく、検出体12に到達しない場合でも、位置決め流体シリンダ21のシリンダロッド22を伸張させることで、検出体12の高さ位置を十分なものとして設定できるから、検出体12、検出センサー14によるスキージ2・スクレッパ3の下降による平行度を検出できる。
【0016】
また、検出装置10による検出調整部位は、スクリーン印刷機自体の印刷テーブル6面と平行な場所・部位に設定されるものとしてあるから、例えば印刷テーブル6に取り付けた場合は近時位置での検出を可能にする。例えば版枠4、版枠支持フレーム部5に取り付けた場合には、これらは通常では印刷テーブル6に比し大きく形成され、印刷テーブル6の外側方に位置しているから、版枠4をセットした印刷処理の作業中でスキージ2等の摩耗消耗に伴いこれを交換するとき等で、再度の平行度を設定する必要が生じても、版枠4等をセットしたままでも平行検出作業を行うことができる。そのため、版枠4の取り外し、再セット等の面倒な手間を掛けることなく、印刷処理作業を円滑に遂行できる。また、例えばスキージユニット1自体、整合用のカメラユニット等に取り付けられることでも良く、その汎用性に優れる。
【0017】
スキージ2・スクレッパ3の端部それぞれを各別に上下動させるスキージ上下移動機構7それぞれの上下駆動が、スキージ2・スクレッパ3の下降時における検出センサー14のオン動作とその後の上昇時のオフ動作とが左右の検出装置10それぞれに対して交互に適数回繰り返されるものとしてあるから、その繰り返しによってスキージ2・スクレッパ3下端縁と検出体12上面との間隙が次第に小さくなり、これに伴いワーク、印刷テーブル6等に対するスキージ2・スクレッパ3の平行度を一層精確に設定できる。
【0018】
検出装置10における検出センサー14は、スキージ2・スクレッパ3の下端縁が当接する検出体12が押し下げられたことを検出すれば良く、ベースブロック11あるいは位置決め流体シリンダ21に配置されているから、例えば故障した検出センサー14の交換が生じた場合、配置位置の精度に厳密性が要求されないこともあり、その交換は容易である。
【0019】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を実施するための一形態を示すスキージユニット全体の一部省略正面図であり、右半分ではスキージ上下移動機構によってスキージ等が上下動されて位置決めされる状態を、左半分では印刷時におけるスキージ等の上下動状態をそれぞれ示す。
【図2】同じく検出装置の正断面図である。
【図3】同じく側断面図である。
【図4】同じく取付状態を示す平面図である。
【図5】同じく他の実施の形態における正断面図である。
【図6】同じく平行設定のための調整手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1はスクリー印刷機における印刷部で所定のワークに対して印刷処理を施すスキージユニットであり、このスキージユニット1にはスキージ2、スクレッパ3等(以下、単にスキージ2と省略する)が着脱自在に取り付けられる。そして、これらのスキージ2が版枠4のスクリーン・紗を介してワークに印刷すべく走行されるとき、これらのスキージ2の全面・全域がワークに対して平行状態となるように、予め平行状態であることを検出する検出装置10が、例えば版枠4を支持する版枠支持フレーム部5あるいは印刷テーブル6その他の検出調整部位に設けられている。
【0022】
検出装置10は、図示例にあっては版枠支持フレーム部5に設けられており、スキージ2の長手方向に沿って複数にして配置、例えば中央位置を挟んだ左右で相互に所定の間隔を隔てた対状にして2箇所に配置されている。この2箇所の検出装置10が、スキージ2の下降によってこれの下端縁が当接されることで同時にオンされると平行であると検出され、いずれか一方のみのオン動作は平行ではないと判定され、その場合にはスキージ2の端部を上下移動させるスキージ上下移動機構7によって上下位置を調整設定し、その後に再度下降し、検出することを適数回繰り返すことで、平行であるように設定するものとしてある。
【0023】
すなわち、検出装置10自体は、検出調整部位例えば版枠支持フレーム部5に取り付けられるベースブロック11と、下降されるスキージ2の下端縁が当接されて押し下げられるようスプリングの如き弾発的な緩衝体13を介在させてベースブロック11上に配した検出体12と、この検出体12が押し下げられたことを検出する検出センサー14とを備えて成る。
【0024】
ベースブロック11は、スキージユニット1の走行方向に沿う前方あるいは後方部位における版枠支持フレーム部5の棒状のフレーム部分下面にネジ止め固定されており、フレーム部分の側方に突出している突出部を有する。
【0025】
検出体12は、ベースブロック11における突出部上に配置されていて、突出部の突出方向と同方向に更に突出するようにしていることで形成されており、下降するスキージ2の下端縁が確実に当接するようにその当接面を広く、大きくなるように配慮してある。また、この検出体12自体は、金属製の剛性で下部に位置するセンサープレート12Aと、合成樹脂製で上部に位置するセンサーブロック12Bとの上下2層構成としてあって、当接するスキージ2の下端縁が保護されるように配慮してある。もとより、センサープレート12Aあるいはセンサーブロック12Bのいずれか一方のみで形成されることもあり、特に限定されない。
【0026】
また、この検出体12は、ベースブロック11上面と若干の間隙を隔ててベースブロック11上に配置されており、検出体12下面とベースブロック11上面との間に介装したコイルスプリング状の緩衝体13によって支えられている。すなわち緩衝体13は、例えばセンサープレート12A下面に突出させたネジ体先端部分と、ベースブロック11の上面に凹設した収納凹部内との間に介装されており、緩衝体13の拡開・伸張傾向の弾発力によって検出体12をベースブロック11上方で所定間隙を設定して、いわば浮かせるように支持している。この緩衝体13自体は、下降して検出体12に当接したスキージ2が更に下降するとき、その下降量に対応して縮小されることで検出体12が下降したことを検出センサー14にて検出させるようにしている。
【0027】
検出センサー14は、図示例にあってはベースブロック11下面に配置したマイクロフォトセンサーとしてあり、検出体12の下降と共にベースブロック11の上下方向に沿ってスライド下降するスライドドグ体15の上下動を検出するものとしてある。このスライドドグ体15は、上部がセンサープレート12Aにネジ止め連結されて、ベースブロック11の突出部分部位で上下方向で貫挿させて対状に配置したスライドシャフト15Aと、このスライドシャフト15Aのベースブロック11下方への突出部分相互間を連結していて、検出センサー14にて検出されるドグ部15Cを有するジョイントブロック15Bとから成っている。
【0028】
このように構成された検出装置10において、下降するスキージ2の下端縁が検出体12に当接すると、検出体12自体は押し下げられて、その押し下げ力は緩衝体13によって緩衝されることでスライドドグ体15を介してそのドグ部15Cも下降され、この下降動作は検出センサー14にて検出されることでオン動作する。このオン動作は、スキージ2端部それぞれを上下動させるスキージ上下移動機構7の駆動を停止させるようになっている。上述したように、いずれか一方のみの検出装置10のオン動作は、スキージユニット1におけるスキージ2が平行には設定されていないことを示すから、スキージ上下移動機構7のいずれかを作動させてスキージ2のいずれか一方の端部の上下位置を調整し、再度の下降動作で平行度を検出判定するものとしてある。
【0029】
スキージ上下移動機構7は、図1に示すようにスキージユニット1に設けられているもので、印刷部の左右に配した走行ガイド7A相互間で架装されているキャリッジジョイントプレート7Bで連結されているスキージベース7Cそれぞれに配装されている。そして、この左右のスキージベース7Cそれぞれには、例えばサーボモータ、ステッピングモータの如き駆動源7Dの駆動で上下方向でネジ送りされるシリンダユニット7Eを設け、この左右のシリンダベース7Eに配した昇降シリンダ7Fの左右相互間で架装したホルダープレート7Gにスキージ2を着脱自在に取り付けるようにしてある。また、このスキージ上下移動機構7は左右に配されていて、各別に駆動制御されるものして、スキージ2の端部それぞれを各別に上下動させてその高さ位置を設定調整するようになっている。
【0030】
一方、スクレッパ3も同様に構成されたスキージ上下移動機構7のホルダープレート7Gに着脱自在に取り付けられており、これらはスキージユニット1の走行方向の前後でスキージベース7Cに隣接して配置構成されている(図4参照)。
【0031】
尚、ホルダープレート7Gは、図1における右半分に示すようにスキージ上下移動機構7によって上下動されて所定高さ位置に位置決めされるようになっており、また図1における左半分に示すように平行設定された後に位置決めされた高さを起点として印刷時には昇降シリンダ7Fによって昇降され、また走行ガイド7Aに沿って走行されることで、版枠4のスクリーン・紗を介して印刷処理が行われるようになっている。
【0032】
また、図5には別の実施の形態が示されており、検出調整部位例えば版枠支持フレーム部5に取り付けられる位置決め流体シリンダ21と、下降されるスキージ2の下端縁が当接されて押し下げられるようスプリングの如き弾発的な緩衝体13を介在させて位置決め流体シリンダ21のシリンダロッド22に配した検出体12と、この検出体12が押し下げられたことを検出する検出センサー14とを備えて成る。
【0033】
すなわち、シリンダロッド22の前端に、この前端部に外嵌させることで設けたコイルスプリング状の緩衝体13を介して検出体12を支持してあり、検出体12に連繋したドグ部15Cの上下動を検出センサー14にて検出するようにしてある。図示例にあっての検出センサー14は、位置決め流体シリンダ21に隣接して配置してあり、検出体12の下降に伴い同時に下降するドグ部15Cが検出センサー14にて検出されることでオンし、そのオン動作はスキージ上下移動機構7の駆動を停止させるものとしている。
【0034】
このような流体シリンダ21によって検出体12、検出センサー14を配置することで、平行設定すべきスキージ2等が下降したときの下端縁位置と、検出体12位置とが離隔、例えばスキージ2の最下端縁位置でも検出体12位置に十分に到達しない場合、流体シリンダ21の動作でシリンダロッド22を伸張調整することで、検出体12を上方位置に位置決め設定できるようにしてある。
【0035】
検出装置10自体は、印刷テーブル6、版枠4、版枠支持フレーム部5のいずれか、更にはスキージユニット1自体のいずれかの部位、また印刷部に装備した例えば整合用のカメラユニットその他の適当な取付場所に配置されるものとなっている。すなわち、スクリーン印刷機自体において、印刷テーブル6面と平行になっている場所・部位であればいずれであっても良く、その取付場所は特に限定されない。
【0036】
次に、検出装置10によってスキージ2、スクレッパ3等の平行を調整設定する場合の一例を説明すると、検出装置10は印刷テーブル6に平行に位置している例えば版枠支持フレーム部5のフレーム部分の左右に取り付けられている。ここで、スキージユニット1におけるホルダープレート7Gにスキージ2を取り付け、検出装置10側にスキージ2を下降させて印刷テーブル6に対して平行状態となるように調整設定するのである。
【0037】
調整設定に際し、図6(a)を参照して説明すると、例えば図例のようにスキージ2における左側のスキージ上下移動機構7を駆動させることでスキージ2の左側端部を下降させ(ステップS1)、左側の検出装置10の検出体12上面に至り、これに当接して押し下げるとこの検出装置10自体が検出センサー14にてオン動作されてスキージ上下移動機構7の駆動を停止させる。駆動停止後で、検出装置10がオフ動作される位置まで上昇させて停止させる(ステップS2)。次いで、スキージ2における右側のスキージ上下移動機構7を駆動させることでスキージ2の右側端部を下降させ(ステップS3)、右側の検出装置10の検出体12上面に至り、これに当接して押し下げるとこの検出装置10自体が検出センサー14にてオン動作されてスキージ上下移動機構7の駆動を停止させる。駆動停止後で、検出装置10がオフ動作される位置まで上昇させて停止させる(ステップS4)。この状態では、当初の検出装置10上面とスキージ2下端縁との間隙幅L1に比し、上下動させた後の検出装置10上面とスキージ2下端縁との間隙幅L2は小さくなる。これらのステップS1乃至ステップS4を、設定された回数の適数回を繰り返すことで、左右の検出装置10それぞれの検出体12に対して極めて僅かな間隙幅でほぼ平行状態であるものとして設定される。尚、スクレッパ3においても同様な手順で平行状態となるように調整設定される。
【0038】
次いで、図6(b)に示すように、スキージ2を印刷テーブル6面上で左右のスキージ上下移動機構7の同時駆動で下降させて、スキージ2下端縁が印刷テーブル6上面に平行に当接することを確認する。このときいずれか一方の端部が印刷テーブル6上面に当接しても他方の端部が未だ当接していない場合には、その隙間Xを確認し、例えば当接していない側のスキージ上下移動機構7をその隙間X分だけ下降させるように適当な補正値の設定入力等によって駆動させて、最終設定する。
【0039】
尚、これらのスキージ上下移動機構7によるスキージ2の上下高さの位置決めの駆動は、スクリーン印刷機の前面に配置されている操作パネル(図示せず)におけるスキージ上下移動機構7の例えばサーボモータの如き駆動源7Dに対する所定のパラメータの設定、例えばサーボモータに対する適当数の駆動パルスの付加あるいは減少等によって制御できるようにしている。
【符号の説明】
【0040】
1…スキージユニット 2…スキージ
3…スクレッパ 4…版枠
5…版枠支持フレーム部 6…印刷テーブル
7…スキージ上下移動機構 7A…走行ガイド
7B…キャリッジジョイントプレード 7C…スキージベース
7D…駆動源 7E…シリンダユニット
7F…昇降シリンダ 7G…ホルダープレート
10…検出装置 11…ベースブロック
12…検出体 12A…センサープレート
12B…センサーブロック 13…緩衝体
14…検出センサー 15…スライドドグ体
15A…スライドシャフト 15B…ジョイントブロック
15C…ドグ部
21…流体シリンダ 22…シリンダロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷機のスキージ・スクレッパの高さ位置を上下動させて位置決めさせるスキージ上下移動機構によって、印刷テーブル上面に対してスキージ・スクレッパの下端縁を平行状態になるように設定する平行検出装置において、スキージ・スクレッパの長手方向に沿って検出調整部位に複数で配置した検出装置から成り、この検出装置は、検出調整部位に取り付けられるベースブロックと、下降されるスキージ・スクレッパの下端縁が当接されて押し下げられるよう弾発的な緩衝体を介在させてベースブロック上に配した検出体と、この検出体が押し下げられたことを検出する検出センサーとを備えて成ることを特徴とするスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項2】
検出センサーは、ベースブロックに配置してある請求項1に記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項3】
スクリーン印刷機のスキージ・スクレッパの高さ位置を上下動させて位置決めさせるスキージ上下移動機構によって、印刷テーブル上面に対してスキージ・スクレッパの下端縁を平行状態になるように設定する平行検出装置において、スキージ・スクレッパの長手方向に沿って検出調整部位に複数で配置した検出装置から成り、この検出装置は、検出調整部位に取り付けられる位置決め流体シリンダと、下降されるスキージ・スクレッパの下端縁が当接されて押し下げられるよう弾発的な緩衝体を介在させて位置決め流体シリンダのシリンダロッドに配した検出体と、この検出体が押し下げられたことを検出する検出センサーとを備えて成ることを特徴とするスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項4】
検出センサーは、位置決め流体シリンダに配置してある請求項3に記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項5】
緩衝体はコイルスプリングである請求項1乃至4のいずれかに記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置
【請求項6】
緩衝体は、検出体とベースブロックあるいは位置決め流体シリンダとの間に介装されていて、検出体下面とベースブロックあるいは位置決め流体シリンダ上面との間に所定の間隙を設定してベースブロックあるいは位置決め流体シリンダ上で検出体を押し下げ自在にして支持するようにしてある請求項1乃至5のいずれかに記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項7】
検出調整部位は、スクリーン印刷機自体の印刷テーブル面と平行になっている場所・部位に設定される請求項1乃至6のいずれかに記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項8】
スキージ・スクレッパの端部側は、端部それぞれに連繋されているスキージ上下移動機構によって上下動され、検出体の押し下げを検出した検出センサーのオン動作によってスキージ上下移動機構による下降駆動が停止されるようにしてある請求項1乃至7のいずれかに記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。
【請求項9】
スキージ上下移動機構は、スキージ・スクレッパの端部側それぞれを各別に上下動させ、スキージ・スクレッパのいずれか一方側の端部の下降を検出するいずれか一方の検出装置のオン動作によって下降を停止させた後に上昇駆動させてその検出装置をオフさせ、その後にスキージ・スクレッパのいずれか他方側の端部の下降を検出するいずれか他方の検出装置のオン動作によって下降を停止させた後に上昇駆動させてその検出装置をオフさせ、これらのスキージ・スクレッパの上下動を交互に適数回繰り返してスキージ・スクレッパを平行設定するようにしてある請求項1乃至8のいずれかに記載のスクリーン印刷機におけるスキージ・スクレッパ等の平行検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−51296(P2011−51296A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204309(P2009−204309)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000219783)東海精機株式会社 (18)
【出願人】(000219772)東海商事株式会社 (21)
【Fターム(参考)】