説明

スクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法

【課題】除塵機にて掻き揚げられた高濃度のスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽に貯留し、スクリーン渣移送ポンプにて循環移送してスクリーン渣洗浄槽へ戻す際、高速旋回流を発生させるとともに、し渣の絡まりを抑止して均一な洗浄を効率的に行い、かつ槽内のスクリーン渣残留も抑止できるようにしたスクリーン渣洗浄装置を提供すること。
【解決手段】スクリーン渣移送ポンプ6からの戻しスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽1の側壁外周部に形成した循環水入口14から槽内に接線方向に供給するようにするとともに、スクリーン渣洗浄槽1に洗浄水の噴射にて槽内に旋回流が発生する角度に複数の洗浄ノズル2を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法に関し、特に、除塵機より除去し、スクリーン渣洗浄槽内に投入する高濃度のスクリーン渣をポンプ移送するに際し、選択的にスクリーン渣洗浄槽内に戻して循環、攪拌することで短時間で効率的に均一な洗浄をし、かつ1台のポンプにてスクリーン渣の洗浄と移送とを行うようにしたスクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、除塵機より除去したスクリーン渣や沈砂の洗浄装置として、一般に使用されているものとして、フライトコンベヤ、羽根車攪拌式、空気攪拌式、二重胴式等の洗浄装置が提案されている。
また、搬送装置として、ベルトコンベヤ、フライトコンベヤ、スキップホイスト、コルゲートサイドコンベヤ等が提案されている。
【0003】
ところで、スクリーン渣を洗浄し、移送する装置は、各々別の技術である洗浄装置と搬出装置を互いに組み合わせて使用するようにしているため、処理場に広い設置スペースが必要であるとともに、それぞれ維持管理を行う必要がある上、設備費や維持費が高くなるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、本件出願人は、スクリーン渣貯留槽に一時貯留し、スクリーン渣移送ポンプにてスクリーン渣分離機まで移送するスクリーン渣の洗浄移送装置において、スクリーン渣移送管の途中に弁で切り替え可能な戻し管を設け、スクリーン渣移送ポンプにより移送されるスクリーン渣を、弁を切り替えてスクリーン渣貯留槽へ戻すことにより循環させ、攪拌することにより洗浄を行い、洗浄の後、再び弁を切り替えてスクリーン渣をスクリーン渣分離機へ移送するようにしたスクリーン渣洗浄装置を開発した(特許文献1参照)。
【0005】
このスクリーン渣洗浄装置は、通常濃度のスクリーン渣の洗浄には適しているが、スクリーン渣濃度3%以上になる高濃度のスクリーン渣においては、スクリーン渣移送ポンプに詰まりが生じたり、或いは高濃度によるスクリーン渣移送速度にも限度があるため、スクリーン渣洗浄槽内での流速を上げることができず、この故に短時間で、かつ効率的で均一な洗浄が行えず、さらには洗浄後洗浄槽よりスクリーン渣を排出する際にもその粘性によって洗浄槽内面、特にスクリーン渣排出口付近に付着しやすいという問題があった。
【特許文献1】特開2005−279532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スクリーン渣洗浄装置の有する問題点に鑑み、除塵機にて掻き揚げられた高濃度のスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽に貯留し、スクリーン渣移送ポンプにて循環移送してスクリーン渣洗浄槽へ戻す際、高速旋回流を発生させるとともに、し渣の絡まりを抑止して均一な洗浄を効率的に行い、かつ槽内のスクリーン渣残留も抑止できるようにしたスクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のスクリーン渣洗浄装置は、除塵機等より掻き揚げられたスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽に一時貯留し、スクリーン渣移送ポンプにてスクリーン渣分離機へ移送する際、切替弁の切り替えでスクリーン渣洗浄槽へ戻す循環にてスクリーン渣を洗浄するようにしたスクリーン渣の洗浄装置において、スクリーン渣移送ポンプからの戻しスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽の側壁外周部の接線方向から供給するようにするとともに、スクリーン渣洗浄槽に洗浄水の噴射にて槽内に旋回流が発生する角度に複数の洗浄ノズルを配設したことを特徴とする。
【0008】
この場合において、スクリーン渣洗浄槽を、楕円形とし、傾斜させた槽底の低位置にスクリーン渣排出口を形成することができる。
【0009】
また、スクリーン渣移送ポンプを、ジェットポンプ式とすることができる。
【0010】
また、洗浄ノズルを水中に配設することができる。
【0011】
また、スクリーン渣洗浄槽の越流部に、スクリーン洗浄用ノズルを備えた多軸回転ディスク式の越流スクリーンを配設することができる。
【0012】
また、スクリーン渣洗浄槽内面を洗浄する槽内面洗浄ノズルを配設することができる。
【0013】
また、本発明のスクリーン渣洗浄方法は、上記のスクリーン渣洗浄装置を用いるスクリーン渣洗浄方法であって、スクリーン渣の洗浄を、槽内の旋回流による洗浄作用、洗浄ノズルからの洗浄水の噴射による洗浄作用及び循環配管内での移送流による洗浄作用によって行うようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスクリーン渣洗浄装置によれば、除塵機等より掻き揚げられたスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽に一時貯留し、スクリーン渣移送ポンプにてスクリーン渣分離機へ移送する際、切替弁の切り替えでスクリーン渣洗浄槽へ戻す循環にてスクリーン渣を洗浄するようにしたスクリーン渣の洗浄装置において、スクリーン渣移送ポンプからの戻しスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽の側壁外周部の接線方向から供給するようにするとともに、スクリーン渣洗浄槽に洗浄水の噴射にて槽内に旋回流が発生する角度に複数の洗浄ノズルを配設することにより、移送したスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽へその側壁外周部の接線方向から戻すため、槽内の発生攪拌流と上部の洗浄ノズルからの噴射にて発生する水面、水中の乱流との相乗効果にて、槽内により早い流速の旋回流が発生して高濃度のスクリーン渣も解きほぐしつつ効率的に短時間にて洗浄できるとともに、洗浄水の噴射圧による洗浄効果も期待でき、さらにはスクリーン渣洗浄後の槽内からの排出移送時においても、特に流れが滞留しやすい中心部に向かっての洗浄水の噴射により旋回流を発生させる作用にて槽内でスクリーン渣が再び絡みつくのを防止して均一な洗浄を効率的に行うことができる。
【0015】
また、スクリーン渣洗浄槽を、楕円形とし、傾斜させた槽底の低位置にスクリーン渣排出口を形成することにより、スクリーン渣洗浄槽の側壁外周部の接線方向から供給される戻りスクリーン渣流を確実に旋回流として高速の流速を得やすくなり、スクリーン渣の循環、排出を確実に行い、かつ移送漏れが少なくなるので衛生的にできる。
【0016】
また、スクリーン渣移送ポンプを、ジェットポンプ式とすることにより、濃度の高いスクリーン渣でも該ポンプに供給される駆動水の圧力を調節することで、ポンプに詰まりを生じさせることなく確実に移送することができる。
【0017】
また、洗浄ノズルを水中に配設することにより、洗浄ノズルからの洗浄水に含まれる気泡による洗浄作用によって、スクリーン渣の洗浄を一層効率的に行うことができる。
【0018】
また、スクリーン渣洗浄槽の越流部に、スクリーン洗浄用ノズルを備えた多軸回転ディスク式の越流スクリーンを配設することにより、越流スクリーン部においてスクリーン渣の絡みつきも抑止でき、確実に洗浄水を越流させることができる。
【0019】
また、スクリーン渣洗浄槽内面を洗浄する槽内面洗浄ノズルを配設することにより、スクリーン渣の循環攪拌洗浄時、或いは洗浄後のスクリーン渣排出時のいずれにおいても、スクリーン渣が槽内面に付着するのを防止して洗浄及び排出を確実に行うことができる。
【0020】
また、本発明のスクリーン渣洗浄方法によれば、スクリーン渣の洗浄を、槽内の旋回流による洗浄作用、洗浄ノズルからの洗浄水の噴射による洗浄作用及び循環配管内での移送流による洗浄作用によって行うようにすることにより、スクリーン渣の均一な洗浄を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のスクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図3に、本発明のスクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法の一実施例を示す。
【0023】
本発明のスクリーン渣洗浄装置は、除塵機等より掻き揚げられたスクリーン渣を一時的に貯留して洗浄するためのスクリーン渣洗浄槽1と、該スクリーン渣洗浄槽1よりスクリーン渣をスクリーン渣分離機9へ移送するスクリーン渣移送ポンプ6と、該スクリーン渣移送ポンプ6にてスクリーン渣分離機9へ移送或いはスクリーン渣洗浄槽1へ戻して循環させるよう切替弁7の切り替えで、移送と循環攪拌洗浄とを選択的に行うようにした駆動水配管8とより構成する。
【0024】
このスクリーン渣洗浄槽1は、その上面の一部に除塵機等より掻き揚げられたスクリーン渣を投入(供給)するスクリーン渣投入口11を、槽底面12を傾斜させてその低位置に、特に限定されるものではないが、例えば、図示のように槽中央部にスクリーン渣排出口13を、また側壁外周部の接線方向にスクリーン渣移送ポンプからの戻りスクリーン渣(循環水)を供給する循環水入口14をそれぞれ形成するとともに、スクリーン渣洗浄槽上部に洗浄水の噴射にて槽内に旋回流が発生してスクリーン渣の洗浄を助けるための洗浄ノズル2と槽内面洗浄ノズル3とを配設して構成する。
【0025】
この場合、スクリーン渣洗浄槽1は、平面形状を円形又は楕円形に形成するようにする。
スクリーン渣洗浄槽1の平面形状を円形に形成した場合には、発生した旋回流の流速が低下しにくい反面、旋回流による攪拌作用が得にくい。
一方、スクリーン渣洗浄槽1の平面形状を楕円形に形成した場合には、発生した旋回流の流速が低下しやすい反面、旋回流による攪拌作用が得やすい。そして、スクリーン渣洗浄槽1の平面形状を楕円形にする場合には、図4(a)に示すように、縦横比(D1/D2)が1.1〜1.2となるようにすることが望ましい。
また、例えば、スクリーン渣排出口13を、スクリーン渣洗浄槽1の外周部に形成する等でスクリーン渣洗浄槽1の中央部の流速が低下する場合には、流速が遅い槽中央部に洗浄が未完全なスクリーン渣が滞留することになる。これを防止するために、図4(b)に示すように、スクリーン渣洗浄槽1の中央部に、スクリーン渣洗浄槽1と略相似形の整流体17を設置するようにする。これにより、スクリーン渣洗浄槽1の全体の流速を均一化し、洗浄が未完全なスクリーン渣が滞留することを防止することができる。
そして、スクリーン渣洗浄槽1の槽形状(容積)は、スクリーン渣の処理量(投入量)に合わせて設定するようにするが、例えば、スクリーン渣の処理量(投入量)が0.5mの場合は、槽容積3m、水深700mm程度に設定するようにする。
【0026】
洗浄ノズル2は、図1に示すように、スクリーン渣洗浄槽1の上部位置、より具体的には、スクリーン渣洗浄槽1内に所定の水位まで供給されている洗浄水の水面上の位置に、洗浄水の噴射にて槽内に旋回流が発生し、つれて流れが中心部に向かう取付角度にて複数個を配設し、これにより水面位置のスクリーン渣を洗浄水の噴射圧にて破砕し、かつ発生旋回流にて攪拌するとともに、スクリーン渣を含む洗浄水が槽中心部に向かうようにする。そして、洗浄ノズル2の取付ピッチ及び洗浄水の供給量は、特に限定されるものではないが、例えば、1000mm以内、0.03m/min/1箇所とする。
なお、この洗浄ノズル2には洗浄水を供給するための配管(図示省略)が接続される。
【0027】
また、槽内面洗浄ノズル3は、洗浄ノズル2と同様にスクリーン渣洗浄槽上部位置に所定の間隔で複数配設するが、この槽内面洗浄ノズル3は、主にスクリーン渣洗浄槽の内周面を洗浄するためのもので、これにより槽内面に付着するスクリーン渣を洗い流すようにすることができる。
【0028】
また、このスクリーン渣洗浄槽1の一部に洗浄水を越流させる越流部15を形成する。この越流部15には越流スクリーン4を配設するが、この越流スクリーン4にはその前面部と後面部にそれぞれスクリーン洗浄用ノズル51、52を備える。この越流スクリーン4は、特に限定されるものではないが、例えば、多軸回転ディスク式とすることができる。
この多軸回転ディスク式の越流スクリーン4は、1本の軸に複数枚のディスクを所要間隔、特に限定されるものではないが、例えば、5mm間隔(目幅5mm)に、各ディスクの間隔を保持するよう串差し状にして形成し、この複数本を互いにそのディスクの一部が重なり合うようにして、スクリーン渣洗浄槽の越流部15に配列配設し、かつ駆動機41にて所定の回転速度で回転するよう構成する。
これにより、スクリーン渣洗浄槽内の洗浄水を越流させる場合、スクリーン渣を捕捉除去し、洗浄水のみを越流させることができる。このとき、越流スクリーン4の回転によりその目詰まりを防止するようにする。
【0029】
また、この越流スクリーンへのスクリーン渣の絡みつきを抑止するため、2つの方法が考えられる。1つは、前述のように越流スクリーン4の前面側と後面側にそれぞれスクリーン洗浄用ノズル51、52を配設する方法で、さらに他の方法は、図示省略したが、スクリーン下部に隙間防止板を設け、かつ該隙間防止板を多重円板の形状に合わせ、高さ方向は、段々にした形状とし円板の上面に合わせる、水平方向は円板に沿った形状としその隙間をゼロにする方法である。
【0030】
スクリーン渣洗浄槽のスクリーン渣排出口13にはスクリーン渣移送ポンプ6を配設するが、このスクリーン渣移送ポンプ6をジェットポンプ式とする。
このジェットポンプ式のスクリーン渣移送ポンプ6は、スクリーン渣洗浄槽底下面に取り付けられ、該槽のスクリーン渣排出口13からスクリーン渣が吸い込まれるようにして供給されるようにし、かつその一側面には高圧の駆動水を供給するための駆動水投入口61を、これと対向する側面には吐出口62をそれぞれ配設して構成する。
これにより、駆動水投入口61からスクリーン渣移送ポンプ内に供給され、吐出口62から吐出される際、高圧駆動水にてスクリーン渣移送ポンプ筺体内が負圧となり、これにより槽のスクリーン渣排出口13からスクリーン渣が吸い込まれやすくなり、該筺体内で高圧駆動水と混合攪拌され、スクリーン渣は破砕されつつ洗浄されるようになる。
【0031】
次に、このスクリーン渣洗浄装置の作用について説明する。
除塵機等より掻き揚げられたスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽1に投入する。この際、スクリーン渣洗浄槽1内には洗浄水が所定の水位まで供給されており、駆動水配管8内に配設された切替弁7にてスクリーン渣移送ポンプ6より吐出される戻りスクリーン渣(循環水)をスクリーン渣洗浄槽内に戻るように切り替えておくと、スクリーン渣移送ポンプ6へ供給される高圧の駆動水はその吐出口62より吐出され、駆動水配管8の循環配管81を経て循環水入口14よりスクリーン渣洗浄槽1に戻り、この水圧を利用してスクリーン渣洗浄槽1内には旋回流が発生する。
【0032】
このスクリーン渣移送ポンプ6が駆動水にて駆動されるとき、槽内のスクリーン渣はスクリーン渣排出口13よりスクリーン渣移送ポンプ6内に吸い込まれ、高圧の駆動水圧にて攪拌、破砕される。このようにスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽1よりスクリーン渣移送ポンプ6、循環配管81を経て再びスクリーン渣洗浄槽1に戻るよう少なくとも1回以上循環することで洗浄されるが、このとき、スクリーン渣洗浄槽1内にはその接線方向から投入される循環水圧と洗浄ノズル2よりの噴射洗浄水との相乗効果にて槽内により強い旋回流が発生する。しかも、洗浄ノズル2よりの噴射洗浄水圧にて旋回流が発生し、かつ水面のスクリーン渣は破砕、攪拌されるとともに、旋回流の流れが槽中心部に向かうようになって槽内全体の洗浄が均一に行えるようになり、洗浄効果が向上する。
【0033】
また、このスクリーン渣の循環洗浄時、余剰洗浄水はスクリーン渣洗浄槽1内より越流部15の回転する越流スクリーン4を越流して排水口16を経て槽外へ排水されるとともに、該越流スクリーン4にてスクリーン渣はろ過されて再びスクリーン渣洗浄槽1内に戻される。
この越流スクリーン4にて捕捉され、かつ越流スクリーン4に付着するスクリーン渣は、該越流スクリーン4の回転と、該スクリーンの前後面に配設されたスクリーン洗浄用ノズル51、52からの洗浄水の噴射にて越流スクリーン4の目詰まりは防止され、連続して洗浄水の越流、排水が行われる。
【0034】
このようにして、所要の洗浄が完了すると、次に切替弁7を切り替えてスクリーン渣移送ポンプ6と駆動水配管8の移送配管82と接続することで、洗浄後のスクリーン渣、循環水はスクリーン渣洗浄槽1よりスクリーン渣移送ポンプ6、移送配管82を経てスクリーン渣分離機9へ移送し、ここで洗浄後のスクリーン渣と洗浄水とを分離し、スクリーン渣を脱水後廃棄或いは焼却するようにする。
【0035】
なお、スクリーン渣洗浄槽1内及びスクリーン渣移送ポンプ6を洗浄する場合は、切替弁7及び逆洗弁10の切り替えで駆動水を駆動水配管8の逆洗配管83を経るようにすることにより行うことができ、また槽内面洗浄ノズル3から洗浄水を噴射することにより槽内に付着しているスクリーン渣をも洗い流すことができる。
【0036】
これにより、通常は旋回流速が遅くなる槽中心付近においても洗浄ノズル2よりの噴射洗浄水圧にて旋回流が発生し、つれて中心に向かう水流が発生してスクリーン渣が槽中心部に自然と集まるようになり、かつ該中央部からスクリーン渣を吸い込むことで流速が遅い槽中心付近の未洗浄を防ぎ、旋回流を増大させることができるので、洗浄効率を向上させることができる。
このように、このスクリーン渣洗浄装置によるスクリーン渣洗浄方法によれば、スクリーン渣の洗浄を、スクリーン渣洗浄槽1内の旋回流による洗浄作用、洗浄ノズル2からの洗浄水の噴射による洗浄作用及び循環配管81内での移送流による洗浄作用によって行うようにすることにより、スクリーン渣の均一な洗浄を効率的に行うことができる。
そして、スクリーン渣濃度3%以上になる高濃度のスクリーン渣においても、洗浄効率が向上するので洗浄時間を短く設定でき、洗浄率のバラつきもなくし、槽内のスクリーン渣残留も抑止できる利点がある。
【0037】
ところで、上記実施例のスクリーン渣洗浄装置においては、洗浄ノズル2をスクリーン渣洗浄槽1内に所定の水位まで供給されている洗浄水の水面上の位置に配設するようにしたが、洗浄ノズル2を水中に位置するように配設することもできる。
これにより、例えば、ジェットポンプ式のスクリーン渣移送ポンプ6による圧送時に混入する空気が、洗浄水の噴射にて槽内に旋回流として放出された際に気泡となり、その気泡の洗浄作用によって、スクリーン渣の洗浄を一層効率的に行うことができる。
この場合、気泡の洗浄作用を有効に得るためには、(1)洗浄ノズル2を気泡が消泡しない水中に位置に配設すること、及び(2)スクリーン渣洗浄槽1内の旋回流の流速を適度な流速、特に限定されるものではないが、例えば、槽内の外周部の流速を0.5〜1m/s程度以上、中心部の流速を0.2m/s程度以上になるようにすることが必要である。
【0038】
以上、本発明のスクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のスクリーン渣洗浄装置及びこの装置を用いたスクリーン渣洗浄方法は、除塵機にて掻き揚げられた高濃度のスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽に貯留し、スクリーン渣移送ポンプにて循環移送してスクリーン渣洗浄槽へ戻す際、高速旋回流を発生させるとともに、し渣の絡まりを抑止して均一な洗浄を効率的に行い、かつ槽内のスクリーン渣残留も抑止できることから、スクリーン渣濃度3%以上になる高濃度のスクリーン渣洗浄の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のスクリーン渣洗浄装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】同正面縦断面図である。
【図3】スクリーン渣洗浄工程の説明図である。
【図4】スクリーン渣洗浄槽を示し、(a)は平面形状を楕円形にした場合の説明図、(b)は整流体を設置した場合の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 スクリーン渣洗浄槽
11 スクリーン渣投入口
12 スクリーン渣洗浄槽の底面
13 スクリーン渣排出口
14 循環水入口
15 スクリーン渣洗浄槽の越流部
2 洗浄ノズル
3 槽内面洗浄ノズル
4 越流スクリーン
41 駆動機
51 スクリーン洗浄用ノズル
52 スクリーン洗浄用ノズル
6 スクリーン渣移送ポンプ
61 駆動水投入口
62 吐出口
7 切替弁
8 駆動水配管
81 循環配管
82 移送配管
83 逆洗配管
9 スクリーン渣分離機
10 逆洗弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除塵機等より掻き揚げられたスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽に一時貯留し、スクリーン渣移送ポンプにてスクリーン渣分離機へ移送する際、切替弁の切り替えでスクリーン渣洗浄槽へ戻す循環にてスクリーン渣を洗浄するようにしたスクリーン渣の洗浄装置において、スクリーン渣移送ポンプからの戻しスクリーン渣をスクリーン渣洗浄槽の側壁外周部の接線方向から供給するようにするとともに、スクリーン渣洗浄槽に洗浄水の噴射にて槽内に旋回流が発生する角度に複数の洗浄ノズルを配設したことを特徴とするスクリーン渣洗浄装置。
【請求項2】
スクリーン渣洗浄槽を、楕円形とし、傾斜させた槽底の低位置にスクリーン渣排出口を形成したことを特徴とする請求項1記載のスクリーン渣洗浄装置。
【請求項3】
スクリーン渣移送ポンプを、ジェットポンプ式としたことを特徴とする請求項1又は2記載のスクリーン渣洗浄装置。
【請求項4】
洗浄ノズルを水中に配設したことを特徴とする請求項1、2又は3記載のスクリーン渣洗浄装置。
【請求項5】
スクリーン渣洗浄槽の越流部に、スクリーン洗浄用ノズルを備えた多軸回転ディスク式の越流スクリーンを配設したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のスクリーン渣洗浄装置。
【請求項6】
スクリーン渣洗浄槽内面を洗浄する槽内面洗浄ノズルを配設したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のスクリーン渣洗浄装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6に記載のスクリーン渣洗浄装置を用いるスクリーン渣洗浄方法であって、スクリーン渣の洗浄を、槽内の旋回流による洗浄作用、洗浄ノズルからの洗浄水の噴射による洗浄作用及び循環配管内での移送流による洗浄作用によって行うようにすることを特徴とするスクリーン渣洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−253020(P2007−253020A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78636(P2006−78636)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】