説明

スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法

【課題】
節糸の抑制されたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを効率的に製造する。
【解決手段】テレフタル酸とエチレングリコールからスラリーを製造し、引き続きエステル化反応、更には重縮合反応を行い、次いで得られたポリエステルからモノフィラメントを成形するに際し、テレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比を1.05以上、1.3以下とし、かつスラリーの温度を35℃以上、55℃以下に保持することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスクリーン印刷用メッシュ織物に好適な、さらに詳しくは高度な精密印刷に用いられる、節糸抑制効果を有するポリエステルモノフィラメントの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷用のスクリーン織物としては、従来は絹などの天然繊維やステンレスなどの無機繊維から成るメッシュ織物が広く使用されてきたが、最近は柔軟性や耐久性があり、かつ寸法安定性もあるナイロンやポリエステルなどの有機繊維から成るメッシュ織物、即ちスクリーン紗が使用されることが多くなってきている。このうち特にポリエステルモノフィラメントからなるスクリーン紗織物は、ナイロンからなるものと比較して水分の影響も少なく、また価格面からも有利であるため広く使用されてきている。
【0003】
しかしながら、最近の家電向け電子回路の印刷分野などにおいては、印刷精度向上に対する要求が厳しくなってきていることから、メッシュがより細かく紗張りなどにおいて、伸びの少ない寸法安定性に優れたスクリーン紗が要求されてきている。すなわち、精密印刷向けスクリーン紗織物については繊維直径に対して10%以上太い部分、いわゆる節糸と呼ばれるものが致命的な欠点でありこの改善が望まれている。
【0004】
例えば、従来の節糸抑制方法としては、スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントを製造する際、紡糸パック内に各原料成分毎に静止混練子を組み込んだパックを用い、溶融したポリエステルを通過させることが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかしこの方法では、必ずしも節糸が抑制されず、安定した生産は困難であった。
【0006】
また、芯鞘型複合のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、芯部ポリマーの溶液粘度(IV)が0.70〜1.30であり、破断強度が6.0cN/dtex以上、次式(1)の範囲の複合断面線径である節糸が1個/100万メートル以下であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントが開示されている(特許文献2)。
【0007】
しかし、この方法においても、やはり節糸を抑制して、安定した生産をすることは困難であった。
【0008】
また、エチレングリコールの沸点において、エチレングリコールとテレフタル酸とを混合、続いて直接エステル化を行うことが提案されている(特許文献3)。しかし、本発明者の検討によると、この方法で提案された実施例のエチレングリコールとテレフタル酸の混合物から製造したポリマーを用いてポリエステルモノフィラメントを製造すると、節糸が多発した。
【0009】
また、テレフタル酸とエチレングリコールとからポリエステルを製造するに際し、テレフタル酸1モルに対して1.2モル以上のエチレングリコールを用いて特定粘度のスラリーとして用いることにより、反応装置への影響、作業性、反応性を改善することが示されている(特許文献4)。
【0010】
しかし、本発明者の検討によると、この方法で提案された実施例のスラリーから製造したポリマーを用いても。ポリエステルモノフィラメントを製造した場合、節糸抑制効果が十分でないことがわかった。
【0011】
また、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸とアルキレングリコールとを含むスラリーの調製、スラリー中のジカルボン酸とアルキレングリコールとのエステル化及び、エステル化物の重縮合によりポリエステルを製造する方法において、該スラリーを酸素濃度1体積%以下の不活性ガス雰囲気下に保つことが提案されている(特許文献5)
しかし、本発明者の検討によると、この方法で提案された実施例のスラリーから製造したポリマーを用いてもポリエステルモノフィラメントを製造した場合、節糸抑制効果が十分でないことがわかった。
【特許文献1】特開2003−213528号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2005−240266号公報(請求項1)
【特許文献3】特開昭47−29337号公報(請求項1)
【特許文献4】特開平5−320328号公報(請求項1)
【特許文献5】特開2003−128774号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前述の問題点を改良し、従来のポリエステルモノフィラメント製造方法では見過ごされていたポリエステル原料のスラリーに着眼することにより、従来得られなかった高度に節糸を抑制したポリエステルモノフィラメントの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した本発明の目的は、テレフタル酸とエチレングリコールからスラリーを製造し、引き続きエステル化反応、更には重縮合反応を行い、次いで得られたポリエステルからモノフィラメントを成形するに際し、テレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比を1.05以上、1.3以下とし、かつスラリーの温度を35℃以上、55℃以下に保持することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法で達成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、テレフタル酸とエチレングリコールからなるスラリーを特定の条件で処理してポリエステルモノフィラメントを製造することにより、原料段階から節糸の発生を抑制しているので、エステル化工程、重縮合工程または製糸工程の工程変動などに対しても影響を受けにくく、節糸の少ないスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを効率的にまた安定して生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明で使用するテレフタル酸は、通常のポリエステルの製造に使用されるものを用いることができるが、平均粒径が100〜130μmであると節糸が更に減少するので好ましい。更に好ましくは、105〜115μmである。
【0016】
本発明で使用するエチレングリコールは特に制限はなく、ファイバーグレードと呼ばれるものを好ましく使用できる。
【0017】
本発明においては、テレフタル酸とエチレングリコールを混合しスラリーを調整するが、テレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比が1.05以上、1.3以下、好ましくは1.05以上、1.2以下のスラリーを使用する。
スラリーのモル比が1.3を越えると、節糸が増加する。スラリーのモル比が1.05未満であると、スラリーの粘度が上昇して、取り扱いが困難になるとともに、節糸も増加する。
【0018】
本発明においては、スラリーを調製して、必要に応じて保管、運搬し、エステル化を行い、ポリエステルを製造するが製造後の調製工程、保管、運搬工程でのスラリーの温度を35℃以上55℃以下、好ましくは35℃以上50℃以下に保持することに特徴がある。
【0019】
本発明においては、スラリーを35℃以上または55℃以下にする方法としては、特に制限されないが、常温のテレフタル酸をミキサーに連続的に供給、また加熱されたスラリーを供給し、連続的にスラリーを抜き出す方法が好ましい。特にミキサーにおいては薄膜状に流下させるエチレングリコールにテレフタル酸を混合させる方法がテレフタル酸が均一に分散するので望ましい。
【0020】
スラリーの保持温度、特に調製工程におけるスラリーの保持温度が35℃未満、または55℃を越えると、ポリエステルモノフィラメントに成形したときの節糸が増加する。
【0021】
スラリー温度を上記範囲に保つと節糸が減少するメカニズムは明確ではないが、35℃未満では、テレフタル酸のエチレングリコールへの分散性が十分ではなく、また55℃を越えるとテレフタル酸がエチレングリコールに粒状で均一に分散されるものの、過度な高温のため、テレフタル酸がエチレングリコールに分子状で溶解するので、いずれの場合にも引き続き行われるエステル化反応工程でジエチレングリコールまたはジエチレングリコールなどの副生成の前駆物質の生成が起こり、ポリマーの酸化分解、節糸を誘因するポリエステルの架橋反応が発生すると思われる。
【0022】
ただし、スラリー製造時の温度と重縮合工程でできたポリマーのジエチレングリコール量との相関は明確ではなく、また、ポリマーのジエチレングリコール量と節糸の発生率も相関は明確ではない。
【0023】
さらに本発明においては、テレフタル酸とエチレングリコールのスラリーを製造する際のテレフタル酸とエチレングリコールの温度差が5℃以上、さらに好ましくは10℃以上であると、節糸が減少するので好ましい。
【0024】
この場合、テレフタル酸の温度がエチレングリコールの温度より高い場合と、エチレングリコールの温度がテレフタル酸の温度より高い場合の二つの場合があり得るが、エチレングリコールの温度がテレフタル酸の温度より高い方が、より節糸が減少するので好ましい。
【0025】
本発明においては、スラリーを35℃以上、55℃以下保持する時間は、10分以上、100時間以下が節糸が減少するので望ましい。
【0026】
更に、上記温度を保持した後は、スラリーの温度を下げても良いが、55℃以上にすると、節糸が増加するので好ましくない。
【0027】
また、上記スラリーの調製はバッチ法、連続法のいずれの方法でも適用できるが、連続法が、スラリーの滞留時間が安定するので望ましい。
【0028】
本発明においては、エステル化工程、重縮合工程は通常行われている方法で行うことができるが、バッチ式のポリエステルの製造方法において好ましく用いることができる。
【0029】
更に本発明は、エステル化工程においてテレフタル酸とエチレングリコールのスラリーからオリゴマーを製造し、このオリゴマーを重縮合反応するが、予め製造したオリゴマーと反応させると、スラリーのみで反応させる場合よりは、ジエチレングリコールの生成を抑制できるので好ましい。
【0030】
更に、オリゴマーにスラリーを添加する際、オリゴマーのエステル化反応を行いながら、添加するのが望ましく、更に詳しくは、スラリー供給時の反応率を71〜93%に維持し、かつ加熱した熱媒体と反応系との温度差を12〜40℃の範囲に保持することが、ポリマー中のジエチレングリコールを減少できるので、望ましい。
【0031】
本発明の、ポリマー製造には公知の重縮合反応触媒、添加剤、着色防止剤を使用することができる。また重縮合反応は公知の技術を用いることができるが、重縮合反応後はポリマーを可及的速やかに系外に排出、冷却し固化すると節糸が減少するので好ましい。
特に重縮合反応をバッチ法において行う場合は、ポリマーの重縮合反応完了後、ポリマーの払い出し完了までの時間を45分以内にするのが望ましい。
【0032】
本発明はポリエステルモノフィラメント用ポリエステルの製造に適用されるが、特に好ましくは、ポリエステルモノフィラメントが芯鞘構造であって、かつ芯成分に用いるポリエステルの極限粘度が0.70以上であるポリエステルモノフィラメントとすると、節糸の低減をすることができる。
【0033】
また、本発明の芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントにおいて、繊維長手方向150万メートルあたりの平均繊維直径に対し10%以上太い部分、すなわち節糸部分が好ましくは15個以下、更に好ましくは10個以下であることが望ましい。
【0034】
節糸を繊維長手方向150万メートル当たり15個以下とするためには芯成分および鞘成分を形成するポリマーをそれぞれ独立に溶融、計量した後、パック内に図1に示す静止混練子を組み込んだパック内を通過させ濾過した後、口金を用いて芯鞘複合糸となるように合流、複合させ同一吐出孔から吐出させることが好ましい。
【0035】
なお高強力化するために延伸工程が必要となるが、一度未延伸糸として巻き取った後に改めて延伸工程を経て高強力の延伸糸を得る方法や、紡糸した後巻き取りをせずに直接延伸を行い、延伸糸を得る方法なども採用できる。
【0036】
さらに、ポリエステルモノフィラメントを紡糸する際に使用する口金は、吐出孔を2個以上有し、かつそのすべての吐出孔が口金中心から同距離に配置されているものを用いることが望ましい。
【0037】
一般的にポリエステルモノフィラメントのポリマー吐出量はマルチフィラメントに比べて少なく、そのため紡糸機内のポリマー滞留時間が長くなる傾向がある。これにより前述した熱劣化によるポリマーのゲル化が進んでしまう現象が見られる。このため吐出孔を2個以上持つ口金を使用することにより、一口金当たりのポリマー吐出量を多くでき、ポリマー滞留時間を短くすることができるため、熱劣化によるゲル化ポリマーの発生を抑制することができる。
【0038】
またポリマーの滞留時間を短くすると、熱によるIV低下も同時に抑制できるため、ポリエステルモノフィラメントの強度低下も合わせて防止できる。なお、このような口金を使用し、吐出量を多くすることでポリマー滞留時間を短くできるが、ポリマーが熱履歴を受けるのはパック、口金部分のみではなく溶融されてから口金から吐出されるまでの時間が問題となってくる。従ってIV低下やゲル化の抑制のため、溶融されてから口金から吐出されるまでの通過時間を60分.以内とすることがより好ましい。
【0039】
また、合わせてポリマー吐出孔が口金中心から同距離に配置されている口金を用いることにより、各吐出孔へのポリマーの分配性や口金温度履歴がどの吐出孔も同一とすることができるため、スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントとして必要な糸太さの均一性が得られるため好ましい。
【実施例】
【0040】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって求めた。
A.テレフタル酸の平均粒径
ALPINE社製JETSIEVE(106μm、125μm、90μm)によりテレフタル酸の篩い分けを行い、ふるい分けた重量を測定、正規確率紙を用いて50%に相当する点を読み取り、平均粒径(μm)とする。
B.ポリエステルの極限粘度[η]
オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
C.反応率の算出
特開昭54−041833号に従い求めた。
D.節糸発生個数
繊維直径に対し10%広げたスリット(繊維直径が30ミクロンの場合33ミクロンに設定)中にポリエステルモノフィラメントを通し、引き速500m/分で150万メートル以上走らせたときの、150万メートルあたりのポリエステルモノフィラメントが切断した回数を節糸発生個数とした。
【0041】
実施例1
粒径110μmのテレフタル酸を1時間当たり10000重量部、エチレングリコールを1時間当たり、4300重量部(エチレングリコールのテレフタル酸モル比1.15)、連続的にミキサー(薄膜状にエチレングリコールが流下し、テレフタル酸を落下、混合させるタイプ。滞留時間は数秒。)に供給し、テレフタル酸とエチレングリコールのスラリーを製造した。
【0042】
この際テレフタル酸の温度は35℃であったので、エチレングリコールを55℃に加熱し、その後スラリーの温度を調整して45℃にし、貯槽内で40℃以上、50℃以下で12時間保持した。
【0043】
その後、バッチ式エステル化槽に、該スラリーをテレフタル酸換算で1300重量部のスラリーを4時間にかけて添加した。この際、エステル化槽には事前に調製したテレフタル酸1990重量部相当のポリエステルオリゴマー(反応率90.1%)を共存させ、反応物の温度を245℃、反応率を90.1%に、かつ加熱した熱媒体と反応系との温度差を18℃に維持した。
【0044】
スラリーを供給完了後、テレフタル酸換算で1300重量部の生成したオリゴマーを、重縮合工程に移し、ポリエステル換算で三酸化アンチモン0.45重量部、酢酸コバルト0.255重量部、リン酸0.153重量部を加え、245℃から290℃まで40分をかけて昇温、同時に真空度を常圧から0.66kPaまで30分をかけて減圧し、重縮合反応を行った。
【0045】
その後、極限粘度が0.75に到達時点で窒素で常圧に戻し、速やかにストランド状にして重合缶から排出、直ちに水冷、カッティングしてチップ化した(ポリマーA)。常圧に戻してからカッティングを終了するまでの時間は35分であった。
【0046】
芯成分にポリマーAを、鞘成分に極限粘度0.53、酸化チタンを0.4重量%含有するポリエチレンテレフタレートをそれぞれ独立に150℃、0.66kPa以下で乾燥した後、290℃の温度下で溶融、計量し、紡糸温度290℃でパック内を通過させ濾過した後、口金を用いて芯鞘複合比が85/15となるように合流、複合させ同一吐出孔から吐出させ紡糸速度1000m/分で巻き取り未延伸糸を得た。このとき紡糸油剤としてTMB−8(三洋化成製)とA602(竹本油脂製)の混合油剤を使用し、油剤付着量を0.6重量%とした。次いでこれを加熱された2つまた3つのホットローラーを用いて、延伸倍率3.8倍で延伸することにより10dtex−1fの延伸糸を得た。得られた繊維は6.0cN/dtex、伸度25%、原糸の糸−鏡面の走行糸摩擦係数は0.25であった。また、原糸の節糸発生個数を測定した結果0個であった。
【0047】
実施例2、3
スラリーの温度を、35℃、40℃に変更したほかは、実施例1に従った。節糸を測定した結果は0個であった。
【0048】
実施例4
スラリーのモル比を1.10に変更したほかは、実施例1に従った。節糸を測定した結果は0個であった。
【0049】
実施例5、6
スラリーの温度を35℃以上、55℃以下に保持する時間を8分、120時間に変更したほかは実施例1に従った。節糸は実施例1より多かったが、使用可能な範囲であった。
【0050】
実施例7、8
エチレングリコールの加熱を調整することによりエチレングリコールとテレフタル酸の温度差を7℃、2℃とし、その他は実施例1に従った。節糸は実施例1より多かったが、使用可能な範囲であった。
【0051】
実施例9
エチレングリコールのテレフタル酸に対するモル比を1.25変更して実施例1に従った。節糸は実施例1より多かったが、使用可能な範囲であった。
【0052】
実施例10
スラリーの温度を53℃に変更して実施例1に従った。節糸は実施例1より多かったが、使用可能な範囲であった。
【0053】
実施例11〜13
テレフタル酸を窒素下で容器に入れ、この容器を赤外線で加熱し、内部のテレフタル酸を50℃に加熱、エチレングリコールの温度をおのおの35℃、42℃、47℃ににしてその他は実施例1に従った、節糸は実施例1より多かったが、使用可能な範囲であった。
【0054】
実施例14〜17
テレフタル酸の粒径を102μm、120μm、98μm、135μmに変更して実施例1に従った。節糸は実施例1より多かったが、使用可能な範囲であった。
【0055】
実施例18、19
実施例1に従い、ただし、すらりーの35℃以上、55℃以下に保持する時間を8分、120時間に変更した。節糸は実施例1より多かったが、かろうじて使用可能な範囲であった。
【0056】
比較例1
実施例1に従い、ただし、エチレングリコールのテレフタル酸に対するモル比を1.4に変更した。節糸は多発し、使用できなかった。
【0057】
比較例2
実施例1に従い、ただし、エチレングリコールのテレフタル酸に対するモル比を1.02に変更した。スラリーの流動性はほとんど無く扱いが困難であり、また節糸は多発し、使用できなかった。
【0058】
比較例3
実施例1に従い、ただし、スラリーの温度を60℃に変更した。節糸は多発し、使用できなかった。
【0059】
比較例4
実施例1に従い、ただし、スラリーの温度を30℃に変更した。節糸は多発し、使用できなかった。
【0060】
結果を表1にまとめた。
【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸とエチレングリコールからスラリーを製造し、引き続きエステル化反応、更には重縮合反応を行い、次いで得られたポリエステルからモノフィラメントを成形するに際し、テレフタル酸に対するエチレングリコールのモル比を1.05以上、1.3以下とし、かつスラリーの温度を35℃以上、55℃以下に保持することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法。

【公開番号】特開2008−75222(P2008−75222A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258057(P2006−258057)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】