説明

スケジュール管理システム、スケジュール管理方法、およびコンピュータプログラム

【課題】コールセンタにおける顧客への応対を従来よりも効率的に行えるようにする。
【解決手段】スケジュール管理装置2に、顧客の知識のレベルを示す顧客データ6Cを記憶する顧客マスタ2M3と、オペレータの知識のレベルを示すオペレータデータ6Bを記憶するオペレータマスタ2M2と、オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータ7Aを記憶するスケジュールデータベース2B1と、顧客から問合せがありかつその問合せに応対するためにその顧客に電話を掛ける必要がある場合に、その顧客の顧客データ6Cおよび各オペレータのオペレータデータ6Bに基づいて、その顧客以上の知識のレベルを有するオペレータの選出を行う顧客レベルオペレータ選出部203と、選出されたオペレータのスケジュールデータ7Aを、その問合せに応対する時期が示されるように更新するスケジュール更新処理部205と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンタにおけるオペレータのスケジュールを管理するシステムおよび方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービスをユーザに提供する企業において、ユーザなどからの電話による問合せまたは注文などに対して効率的に応対するために、コールセンタシステムが広く用いられている。近年は、CTI(Computer Telephony Integration)技術が採用され、一層効率化を図ることができるようになっている。
【0003】
ところが、CTI技術が採用されても、コールセンタ(「電話サポートセンタ」などと呼ばれることもある。)に電話を掛けて来たユーザに電話窓口係のオペレータがマンツーマンで応対しなければならない点は、変わりない。したがって、オペレータの電話がすべて塞がっている場合は、ユーザは、オペレータの電話が空くまで待つか、一旦電話を切って再度掛け直さなければならない。このような状況は、ユーザにとって不満となり得るし、企業にとって顧客離れの心配となり得る。
【0004】
そこで、コールセンタにおける顧客へのサービスを向上させるためのシステムが提案されている。
【0005】
特許文献1に記載されるシステムは、顧客からの受電をサーバーを介してオペレータの端末コンピュータに接続し、顧客とオペレータとの対話を可能にするシステムであって、サーバーが、少なくとも、顧客からの受電時にサーバーに接続中のオペレータを検出する接続中オペレータ検出手段と、実際に接続すべき最適なオペレータを事前に準備されたデータベースに基づいて選択する最適オペレータ選択手段とを有する。
【0006】
特許文献2に記載されるシステムは、顧客が発信した電子メールによるオペレータ対応要求を受け付ける要求受付処理部と、電子メールに指定されたキーワードに基づき当該顧客との応対に要する予想対応時間を算出する対応時間予測処理部と、予想対応時間に基づき当該顧客と電話にて応対するオペレータ及びその顧客との対応開始予定時刻と対応終了予定時刻とを決定するスケジューリング部と、決定した対応開始予定時刻をコールバックする予定時刻として当該顧客に電子メールにて通知する受付通知処理部を有する。
【0007】
そのほか、特許文献3には、顧客に適した営業担当者を選択するシステムが提案されている。特許文献3に記載されるシステムは、顧客が営業担当者の選択条件を入力すると、候補者の一覧を表示する。顧客が希望の営業担当者のイメージを押下すると、詳細情報表示画面が表示する。顧客が営業担当者の訪問・連絡時間を指定すると、顧客用端末からメインサーバに当該営業担当者が指名された旨の情報を送信する。メインサーバは、顧客データベースを更新する。そして、顧客の情報を、営業担当者の端末へ送信する。
【特許文献1】特開2007−200198号公報
【特許文献2】特開2003−143301号公報
【特許文献3】特開2002−99797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来、顧客を担当するのに好適な担当者を選択したりコールバックのスケジューリングを行ったりするシステムが提案されている。しかし、より一層、顧客へのサービスを向上させることが求められている。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、コールセンタにおける顧客への応対を従来よりも効率的に行えるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るスケジュール管理システムは、コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するシステムである。前記スケジュール管理システムは、顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを記憶する、第一の知識レベルデータ記憶手段と、前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを記憶する、第二の知識レベルデータ記憶手段と、前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータを記憶する、スケジュールデータ記憶手段と、前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う、オペレータ選出手段と、前記オペレータ選出手段によって選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する、スケジュール更新手段と、を有する。
【0011】
好ましくは、前記第一の知識レベルデータ記憶手段は、前記第一の知識レベルデータとして、カテゴリごとの知識のレベルを示すデータを記憶し、前記第二の知識レベルデータ記憶手段は、前記第二の知識レベルデータとして、前記カテゴリごとの知識のレベルを示すデータを記憶し、前記オペレータ選出手段は、前記第一の知識レベルデータに示される、前記問合せに係る前記カテゴリの知識のレベルと、前記各第二の知識レベルデータに示される、当該カテゴリの知識のレベルと、に基づいて、前記選出を行う。
【0012】
または、顧客ごとに、当該顧客が過去に前記オペレータに応対された際に掛かった応対時間を示す前記応対時間データを記憶する、応対時間データ記憶手段、を有し、前記スケジュール更新手段は、前記問合せを行った前記顧客の応対時間データに示される前記応対時間に基づいて予測される、当該問合せに要する予測時間が、前記時期の長さとして示されるように、前記スケジュールデータを更新する。
【0013】
または、顧客ごとに、当該顧客が過去に応対された際に掛かった応対時間および応対した前記オペレータを示す応対実績データを記憶する、応対実績記憶手段、を有し、前記オペレータ選出手段は、前記顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータのうち当該顧客に最短の時間で応対したものを選出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、コールセンタにおける顧客への応対を従来よりも効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1はコールセンタシステムSYSが設けられたネットワークシステム全体の構成の例を示す図、図2はスケジュール管理装置2のハードウェア構成の例を示す図、図3はスケジュール管理装置2の機能的構成の例を示す図である。
【0016】
図1に示すようにコールセンタシステムSYSは、PBX(Private Branch Exchange)1、スケジュール管理装置2、複数台のパーソナルコンピュータ3、および複数台の電話機4などによって構成される。各装置は、構内回線、LAN、公衆回線、または専用線などによって互いに接続可能である。
【0017】
コールセンタシステムSYSは、例えば、企業などが開設した、顧客からの電話による商品またはサービスに関する問合せまたは注文に応対するコールセンタを、効率的に運営するために用いられる。企業は、自社のイントラネットの中にコールセンタシステムSYSを構築してもよいし、アウトソーシング会社が運営するコールセンタシステムSYSを使用してもよい。以下、コンピュータおよびその関連商品を取り扱う企業Xが顧客からの問合せに応対するコールセンタのために使用されるコールセンタシステムSYSを例に説明する。
【0018】
コールセンタシステムSYSは、従来のCTI(Computer Telephony Integration)の機能を有している。さらに、コールセンタの電話応対係である職員(いわゆる電話オペレータ。以下、「オペレータ」と記載する。)が問合せ者である顧客に対して効率的にコールバックを行えるようにする機能が組み込まれている。
【0019】
パーソナルコンピュータ3および電話機4は、オペレータごとに1台ずつ貸与される。オペレータは、電話機4を用いて顧客と会話することができる。また、パーソナルコンピュータ3を用いて顧客に関する情報および商品に関する情報などを参照したり、顧客への応対の報告を入力したりすることができる。
【0020】
PBX1は、顧客の電話機(以下、「電話機TR」と記載する。)から掛かって来た電話をオペレータの電話機4に割り振って両電話機を接続する。また、PBX1には、ACD(Automatic Call Distribution)の機能が備えられており、顧客からの着信をオペレータの電話機4に均等に振り分けることができる。
【0021】
スケジュール管理装置2は、オペレータのスケジュールを管理する装置である。スケジュール管理装置2は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20a、RAM(Random Access Memory)20b、ROM(Read Only Memory)20c、ハードディスク20d、通信装置20e、その他種々の装置によって構成される。
【0022】
通信装置20eは、PBX1および各パーソナルコンピュータ3と通信を行うための装置である。
【0023】
ROM20cおよびハードディスク20dには、図3に示す問合せ情報取得部201、標準レベルオペレータ選出部202、顧客レベルオペレータ選出部203、最短応対オペレータ選出部204、スケジュール更新処理部205、マスタ生成部211、応対実績情報取得部212、要電話情報等出力部213、カテゴリマスタ2M1、オペレータマスタ2M2、顧客マスタ2M3、スケジュールデータベース2B1、応対履歴データベース2B2、および問合せ情報データベース2B3などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによってプログラムが実行される。
【0024】
図4はカテゴリマスタ2M1の例を示す図、図5はオペレータマスタ2M2の例を示す図、図6は顧客マスタ2M3の例を示す図、図7はスケジュールデータ7Aの例を示す図、図8は応対履歴データベース2B2の例を示す図、図9は標準レベルオペレータ選出部202の処理を説明するための図、図10は顧客レベルオペレータ選出部203の処理を説明するための図、図11は最短応対オペレータ選出部204の処理を説明するための図である。
【0025】
次に、図3に示すスケジュール管理装置2の各部の処理内容などについて、詳細に説明する。
【0026】
カテゴリマスタ2M1には、図4に示すように、企業Xの商品に関する種々の語句(キーワード)を分類したカテゴリごとのカテゴリデータ6Aが格納されている。カテゴリデータ6Aには、そのカテゴリを他のカテゴリと区別するためのカテゴリID、そのカテゴリの基本的な(代表的な)語句である基本語、およびその基本語の類義語が示されている。
【0027】
オペレータマスタ2M2には、図5に示すように、オペレータごとのオペレータデータ6Bが格納されている。オペレータデータ6Bには、オペレータを識別するオペレータIDのほか、そのオペレータの氏名および上述のカテゴリごとの習熟の度合い(習熟度)のレベルが示されている。
【0028】
習熟度のレベルは、各カテゴリに関するテストまたはアンケートをオペレータに対して実施し、その結果に基づいて算出される。「1」は、そのカテゴリに関する事項をほとんど知らないレベルを意味する。「2」は、そのカテゴリに関する事項の知識を多少有しているレベルを意味する。「3」は、そのカテゴリに関する全般的な知識を有しているレベルを意味する。「4」は、そのカテゴリに関する問題を解決する能力を有しているレベルを意味する。「5」は、そのカテゴリに関する講義の講師を行える能力を有しているレベルを意味する。
【0029】
テストまたはアンケートの内容として、アプリケーションのインストールの経験の有無、レジストリの設定の有無、およびハードウェアの増設の経験の有無などが考えられる。
【0030】
顧客マスタ2M3には、図6に示すように、顧客ごとの顧客データ6Cが格納されている。顧客データ6Cには、顧客を識別するための顧客IDのほか、その顧客の氏名、連絡先、および上述のカテゴリごとの習熟度のレベルが示されている。習熟度の各レベルの意味は、図5で説明したオペレータの習熟度の各レベルの意味と同じである。習熟度のレベルの算出方法も、オペレータの習熟度の算出方法と同じであり、顧客に対してテストまたはアンケートを実施することによって習熟度のレベルが求められる。この際に、応対の円滑のために、顧客が使用する商品の条件(例えば、コンピュータの機種、OS、メモリの量、アプリケーションの名称およびバージョンなど)も一緒に回答してもらってもよい。
【0031】
コールセンタシステムSYSの管理者は、コールセンタシステムSYSの運用を開始する前に予め、商品に関するキーワードをカテゴリに分類し、カテゴリごとの基本語および類義語をスケジュール管理装置2に入力する。すると、スケジュール管理装置2において、マスタ生成部211は、カテゴリごとにユニークなカテゴリIDを発行し、各カテゴリの、カテゴリID、基本語、および類義語を示すカテゴリデータ6Aを生成する。そして、生成したカテゴリデータ6Aをカテゴリマスタ2M1に格納する。なお、マスタ生成部211は、下記の通り、他のマスタのデータの生成の処理も行う。
【0032】
また、管理者は、各オペレータに対してテストを実施し、各オペレータの各カテゴリの習熟度のレベルを判定する。そして、オペレータごとの、氏名および各カテゴリの習熟度のレベルを、スケジュール管理装置2に入力する。
【0033】
すると、マスタ生成部211は、オペレータごとにユニークなオペレータIDを発行し、各オペレータの、オペレータID、氏名、および各カテゴリの習熟度のレベルを示すオペレータデータ6Bを生成する。そして、生成したオペレータデータ6Bをオペレータマスタ2M2に格納する。
【0034】
同様に、管理者は、各顧客に対してテストを実施し、各オペレータの各カテゴリの習熟度のレベルを判定する。そして、顧客ごとの、氏名、連絡先、および各カテゴリの習熟度のレベルを、スケジュール管理装置2に入力する。
【0035】
すると、マスタ生成部211は、顧客ごとにユニークな顧客IDを発行し、各顧客の、顧客ID、連絡先、および各カテゴリの習熟度のレベルを示す顧客データ6Cを生成する。そして、生成した顧客データ6Cを顧客マスタ2M3に格納する。
【0036】
スケジュールデータベース2B1には、オペレータごとのスケジュールデータ7Aが格納されている。スケジュールデータ7Aには、図7のように、各日の各時間帯におけるオペレータの業務の予定が示されている。つまり、スケジュールデータ7Aは、オペレータの勤務時刻表のデータである。
【0037】
具体的には、各日の時間帯ごとに、「○」、「×」、または顧客IDのいずれかが示されている。「○」は、その日のその時間帯は電話応対の業務に従事する予定であることを意味し、「×」は従事しない予定であることを意味する。顧客IDが示される場合は、その日のその時間帯に、その顧客IDの顧客に電話を掛けて(コールバックして)応対を行う予定であることを、意味する。
【0038】
オペレータは、自分の今後の勤務の都合を管理者に定期的に伝える。例えば、次の月度が始める10日前までに都合を伝える。管理者は、各オペレータの都合を考慮しつつ、今度の(例えば、次の月度の)各オペレータの予定つまり各日の各時間帯の「○」および「×」を決定する。そして、それをスケジュール管理装置2に入力する。
【0039】
すると、スケジュール更新処理部205は、各オペレータのスケジュールデータ7Aを、入力された内容に応じて更新する。なお、スケジュール更新処理部205は、顧客へのコールバックを行うべきオペレータのスケジュールデータ7Aを更新する処理も行う。これについては、後に説明する。
【0040】
PBX1は、いずれかの電話機TRから電話が掛かってくると、現在の日時の予定が「○」でありかつ現在空いている(どの顧客にも応対していない)オペレータをACDの機能によって選択し、その電話機TRとそのオペレータの電話機4とを繋げる。
【0041】
オペレータは、問合せ(質問)の内容や不具合の状況などを聞き、適切なアドバイスを与えるなどして、電話を掛けてきた顧客に応対する。そして、自分のオペレータID、応対を行った日時(応対日時)、応対に要した時間(応対時間)、問合せの内容のカテゴリのカテゴリID(問合せカテゴリID)、問合せの内容(問合せ内容)、および応対相手である顧客の顧客IDを自分のパーソナルコンピュータ3に入力する。
【0042】
すると、入力されたこれらの情報を示す応対実績データ7Bがそのパーソナルコンピュータ3からスケジュール管理装置2に送信され、応対履歴データベース2B2に格納される。このようにして、応対履歴データベース2B2には、図8に示すように、応対実績データ7Bが蓄積される。
【0043】
問合せ情報取得部201は、応対するためにコールバックを要する問合せに関する情報を取得する。具体的には、問合せの内容、問合せのカテゴリ、問合せ者の顧客ID、および希望する応対の日時の情報を取得する。これらの情報は、例えば、次のようにして取得される。
【0044】
顧客は、自分のパーソナルコンピュータまたは携帯電話端末を操作して、問合せの内容、自分の顧客ID、および応対の希望の日時を記載した電子メールを作成し、企業Xの特定の電子メールアドレスに宛てて送信する。
【0045】
問合せ情報取得部201は、定期的に(例えば、数秒ごとにまたは数分ごとに)電子メールサーバにアクセスし、その電子メールアドレス宛ての電子メールを受信する。さらに、問合せ情報取得部201は、電子メールに記されている問合せの内容の中から、カテゴリマスタ2M1(図4参照)に示されるいずれかの基本語または類義語を検索する。そして、いずれかの基本語または類義語が見つかったら、その基本語または類義語が属するカテゴリを、その顧客からの問合せのカテゴリであると判別する。
【0046】
または、顧客は、電話機TRを操作して企業Xの特定の電話番号に電話を掛け、音声ガイダンスに従って問合せの内容、自分の顧客ID、および応対の希望の日時を話す。
【0047】
すると、問合せ情報取得部201は、顧客の声を集音し、音声認識処理を施すことによって、問合せの内容および顧客の顧客IDを示すテキストデータを生成する。さらに、電子メールの場合と同様に、問合せの内容の中から基本語または類義語を検索することによって、問合せのカテゴリを判別する。
【0048】
そのほか、問合せの受付用のWebページを企業XのWebサーバに設けておき、このWebページを介して各項目の情報を取得してもよい。
【0049】
問合せ情報データベース2B3には、問合せ情報取得部201によって問合せに関する上述の各項目の情報が取得されるごとに、それらの情報を示す問合せデータ7Cが格納される。
【0050】
標準レベルオペレータ選出部202、顧客レベルオペレータ選出部203、および最短応対オペレータ選出部204は、問合せ情報取得部201によって問合せの情報が取得されるごとに、問合せに応対すべきオペレータを決定する処理を行う。ここで、この処理の手順を、図9〜図11を参照しながら説明する。
【0051】
標準レベルオペレータ選出部202は、問合せ情報取得部201によって判別された問合せに応対し得る標準的なレベルのオペレータを選出する。具体的には、その問合せのカテゴリのレベルが「3」以上のオペレータを選出する。問合せのカテゴリが複数ある場合は、これらのカテゴリすべてについてレベルが「3」以上であるオペレータを選出する。
【0052】
例えば、図9に示すように、問合せのカテゴリが、カテゴリIDがそれぞれ「CT_0003」および「CT_0005」である2つのカテゴリである場合は、標準レベルオペレータ選出部202は、オペレータマスタ2M2に基づいて、オペレータIDがそれぞれ「P002」、「P003」、「P005」、および「P006」である4人のオペレータを選出する。
【0053】
ただし、その問合せ者の希望の日時における応対が不能なオペレータ(つまり、その希望の日時の属する時間帯がすべて、他の顧客へのコールバックの予定または欠勤の予定で埋まっているオペレータ)は、選出しないようにする。
【0054】
顧客レベルオペレータ選出部203は、標準レベルオペレータ選出部202によって選出されたオペレータの中から、さらに、問合せのカテゴリについてその問合せ者(顧客)と同等またはそれ以上のレベルのオペレータを選出する。その問合せ者のレベルは、問合せ情報取得部201によって取得された顧客IDに対応する顧客データ6C(図6参照)に示されている。
【0055】
例えば、図10に示すように、カテゴリIDがそれぞれ「CT_0003」および「CT_0005」である2つのカテゴリのレベルが「4」および「2」である場合は、オペレータIDがそれぞれ「P002」、「P005」、および「P006」である3人のオペレータを選出する。
【0056】
最短応対オペレータ選出部204は、顧客レベルオペレータ選出部203によって選出されたオペレータの中から、今回の問合せと同じカテゴリの問合せを過去にその問合せ者から受けかつ最短でそれに応対したオペレータを選出する。過去の応対の時間は、応対実績データ7B(図8参照)に示されている。
【0057】
例えば、図11に示すように、その問合せ者に対する過去の応対の履歴が5件ある場合は、最短応対オペレータ選出部204は、5件の中から、今回の問合せのカテゴリと同じカテゴリを示しかつ顧客レベルオペレータ選出部203によって選出されたオペレータを示すものを抽出する。すると、太枠で囲った2件が抽出される。
【0058】
そして、最短応対オペレータ選出部204は、抽出した過去の応対のうち所要時間(応対時間)が最も短いものを担当したオペレータ(本例では、オペレータIDが「P002」であるオペレータ)を、今回の問合せを行うべきオペレータとして選出する。
【0059】
スケジュール更新処理部205は、最短応対オペレータ選出部204によって選出されたオペレータのスケジュールデータ7A(図7参照)を、その問合せ者へのコールバックの予定がその問合せ者の希望の日時の属する時間帯に追加されるように、更新する。具体的には、その時間帯のセルに、その問合せ者の顧客IDを書き込む。ただし、既に他の問合せの予定または不在の予定が入っている時間帯は、除外する。
【0060】
なお、スケジュール更新処理部205は、その問合せに応対するのに要する時間を予測し、その時間の分だけ、選出されたオペレータの時間を確保するようにしてもよい。予測は、次のように行えばよい。
【0061】
例えば、その問合せ者からの過去の問合せに応対するのに要した時間の平均値を算出することによって予測してもよい。さらに、その平均値(平均時間)を、選出されたオペレータのレベルに応じて加減してもよい。つまり、選出されたオペレータのレベルが高いほど平均時間を減らし、低いほど平均時間を増やすように、補正してもよい。
【0062】
または、選出されたオペレータがその問合せ者からの過去の問合せに応対した時間の平均値を算出することによって、予測してもよい。
【0063】
要電話情報等出力部213は、各オペレータのスケジュールデータ7Aに基づいて、間もなく顧客に電話を掛けて(コールバックして)問合せに応対しなければならないオペレータを検索する。そして、そのオペレータのパーソナルコンピュータ3にその顧客の氏名、連絡先(電話番号)、レベル、および問合せの内容などを表示させる。
【0064】
例えば、要電話情報等出力部213は、ある時間帯の始期の10分前になったら、各オペレータのその時間帯のセルにいずれかの顧客の顧客IDが示さていないかどうかをチェックする。顧客IDが示されるスケジュールデータ7Aがあれば、そのスケジュールデータ7Aを有するオペレータのパーソナルコンピュータ3に、その顧客IDの顧客に関する上記の情報を表示させる。氏名、連絡先、およびレベルは、顧客マスタ2M3に格納されている、その顧客IDの顧客データ6Cを参照すれば分かる。問合せの内容は、問合せ情報データベース2B3に格納されている問合せデータ7Cを参照すれば分かる。
【0065】
そして、オペレータは、自分のパーソナルコンピュータ3に表示された情報を見ながら、顧客に電話を掛けて問合せに応対する。
【0066】
図12はコールセンタシステムSYSの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0067】
次に、コールセンタシステムSYSにおける全体的な処理の流れを、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0068】
コールセンタシステムSYSの各装置は、イベントが発生するごとに、次のような処理を実行する。
【0069】
コールバックが不要な通常の問合せの電話が掛かってくると(図12の#1でYes)、PBX1は、ACDの機能によっていずれかのオペレータにそれを割り振る(#2)。つまり、いずれかのオペレータの電話機4と問合せ者の電話機TRとを繋げる。オペレータは、問合せへの応対後、応対の実績を自分のパーソナルコンピュータ3に入力する。すると、スケジュール管理装置2は、それを示す応対実績データ7Bを生成し応対履歴データベース2B2(図8参照)に格納する(#3)。
【0070】
または、スケジュール管理装置2は、コールバックを要する問合せの情報を取得すると(#4でYes)、問合せのカテゴリなどを解析し(#5)、問合せのカテゴリなどを示す問合せデータ7Cを生成し問合せ情報データベース2B3に格納する(#6)。問合せのカテゴリ、問合せ者のレベル、および各オペレータのスケジュールおよびレベルなどに基づいて、応対すべきオペレータを選出する(#7)。そして、選出したオペレータのスケジュールデータ7Aにコールバックの予定を書き込む(#8)。
【0071】
または、スケジュール管理装置2は、コールバックの時期が近づいたら(#9)、コールバックを行うべきオペレータのパーソナルコンピュータ3に、問合せ者の連絡先および問合せの内容を表示させるなどして、コールバックの時期が近づいたことを通知する(#10)。オペレータは、コールバックして問合せに応対した後、応対の実績を自分のパーソナルコンピュータ3に入力する。すると、スケジュール管理装置2は、それを示す応対実績データ7Bを生成し応対履歴データベース2B2に格納する(#11)。
【0072】
そのほか、スケジュール管理装置2は、各種のマスタへデータを登録する処理および次の所定の期(例えば、次の月度)の各オペレータの予定をスケジュールデータ7Aに追記する処理などを、適宜、行う。
【0073】
本実施形態によると、顧客からの、コールバックを要する問合せがあった場合に、その問合せに応対し得る標準的なレベルおよび顧客以上のレベルを有するオペレータを、コールバックの担当者として選出する。しかも、顧客およびオペレータ双方の都合を考慮してコールバックの予定を決定する。さらに、応対に要する時間を予測してコールバックの予定を決定する。したがって、従来よりも効率的に顧客に応対することができる。
【0074】
本実施形態では、標準レベルオペレータ選出部202、顧客レベルオペレータ選出部203、および最短応対オペレータ選出部204の順にオペレータの選出を行ったが、途中で唯一のオペレータに絞られた場合は、その時点で、応対の担当者をその唯一のオペレータに決定すればよい。
【0075】
その他、コールセンタシステムSYS、PBX1、スケジュール管理装置2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データベースの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0076】
上に述べた実施例には、以下に述べるような付記も開示されている。
(付記1)
コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するスケジュール管理システムにおいて、
顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを記憶する、第一の知識レベルデータ記憶手段と、
前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを記憶する、第二の知識レベルデータ記憶手段と、
前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータを記憶する、スケジュールデータ記憶手段と、
前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う、オペレータ選出手段と、
前記オペレータ選出手段によって選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する、スケジュール更新手段と、
を有するスケジュール管理システム。
(付記2)
前記第一の知識レベルデータ記憶手段は、前記第一の知識レベルデータとして、カテゴリごとの知識のレベルを示すデータを記憶し、
前記第二の知識レベルデータ記憶手段は、前記第二の知識レベルデータとして、前記カテゴリごとの知識のレベルを示すデータを記憶し、
前記オペレータ選出手段は、前記第一の知識レベルデータに示される、前記問合せに係る前記カテゴリの知識のレベルと、前記各第二の知識レベルデータに示される、当該カテゴリの知識のレベルと、に基づいて、前記選出を行う、
付記1記載のスケジュール管理システム。
(付記3)
顧客ごとに、当該顧客が過去に前記オペレータに応対された際に掛かった応対時間を示す前記応対時間データを記憶する、応対時間データ記憶手段、を有し、
前記スケジュール更新手段は、前記問合せを行った前記顧客の応対時間データに示される前記応対時間に基づいて予測される、当該問合せに要する予測時間が、前記時期の長さとして示されるように、前記スケジュールデータを更新する、
付記1または付記2記載のスケジュール管理システム。
(付記4)
顧客ごとに、当該顧客が過去に応対された際に掛かった応対時間および応対した前記オペレータを示す応対実績データを記憶する、応対実績記憶手段、を有し、
前記オペレータ選出手段は、前記顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータのうち当該顧客に最短の時間で応対したものを選出する、
付記1記載のスケジュール管理システム。
(付記5)
コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するスケジュール管理方法において、
顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを第一の知識レベルデータ記憶手段に記憶させておき、
前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを第二の知識レベルデータ記憶手段に記憶させておき、
前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータをスケジュールデータ記憶手段に記憶させておき、
コンピュータに、
前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う処理と、
選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する処理と、を実行させる、
スケジュール管理方法。
(付記6)
コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを第一の知識レベルデータ記憶手段に記憶させる処理と、
前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを第二の知識レベルデータ記憶手段に記憶させる処理と、
前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータをスケジュールデータ記憶手段に記憶させる処理と、
前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う処理と、
選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】コールセンタシステムが設けられたネットワークシステム全体の構成の例を示す図である。
【図2】スケジュール管理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】スケジュール管理装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】カテゴリマスタの例を示す図である。
【図5】オペレータマスタの例を示す図である。
【図6】顧客マスタの例を示す図である。
【図7】スケジュールデータの例を示す図である。
【図8】応対履歴データベースの例を示す図である。
【図9】標準レベルオペレータ選出部の処理を説明するための図である。
【図10】顧客レベルオペレータ選出部の処理を説明するための図である。
【図11】最短応対オペレータ選出部の処理を説明するための図である。
【図12】コールセンタシステムの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
2 スケジュール管理装置(スケジュール管理システム)
203 顧客レベルオペレータ選出部(オペレータ選出手段)
204 最短応対オペレータ選出部(オペレータ選出手段)
205 スケジュール更新処理部(スケジュール更新手段)
2B1 スケジュールデータベース(スケジュールデータ記憶手段)
2B2 応対履歴データベース(応対実績記憶手段)
2M2 オペレータマスタ(第二の知識レベルデータ記憶手段)
2M3 顧客マスタ(第一の知識レベルデータ記憶手段)
6B オペレータデータ(第二の知識レベルデータ)
6C 顧客データ(第一の知識レベルデータ)
7A スケジュールデータ
7B 応対実績データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するスケジュール管理システムにおいて、
顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを記憶する、第一の知識レベルデータ記憶手段と、
前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを記憶する、第二の知識レベルデータ記憶手段と、
前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータを記憶する、スケジュールデータ記憶手段と、
前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う、オペレータ選出手段と、
前記オペレータ選出手段によって選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する、スケジュール更新手段と、
を有するスケジュール管理システム。
【請求項2】
コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するスケジュール管理方法において、
顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを第一の知識レベルデータ記憶手段に記憶させておき、
前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを第二の知識レベルデータ記憶手段に記憶させておき、
前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータをスケジュールデータ記憶手段に記憶させておき、
コンピュータに、
前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う処理と、
選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する処理と、を実行させる、
スケジュール管理方法。
【請求項3】
コールセンタのオペレータごとのスケジュールを管理するコンピュータを制御するためのコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
顧客ごとに、当該顧客の知識のレベルを示す第一の知識レベルデータを第一の知識レベルデータ記憶手段に記憶させる処理と、
前記オペレータごとに、当該オペレータの知識のレベルを示す第二の知識レベルデータを第二の知識レベルデータ記憶手段に記憶させる処理と、
前記オペレータごとに、当該オペレータのスケジュールを示すスケジュールデータをスケジュールデータ記憶手段に記憶させる処理と、
前記顧客から問合せがありかつ当該問合せに応対するために当該顧客に電話を掛ける必要がある場合に、当該顧客の前記第一の知識レベルデータおよび前記各オペレータの前記第二の知識レベルデータに基づいて、当該顧客以上の知識のレベルを有する前記オペレータの選出を行う処理と、
選出された前記オペレータの前記スケジュールデータを、前記問合せに応対する時期が示されるように更新する処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−33105(P2010−33105A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191399(P2008−191399)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】