説明

スケジュール運転方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の記憶装置内に記憶された複数の加工プログラムをスケジュールプログラムに従った順序で実行するスケジュール運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は従来のスケジュール運転方法を実現する数値制御(NC)装置の一例を示すブロック図である。まず、オペレータがデジタイザ1または三次元CAD/CAM2を使用して作成した形状加工用プログラムSAは、加工プログラム入力部3を介して加工プログラム記憶部4に記憶される。また、オペレータが二次元自動プログラムシステム6を使用して作成した輪郭・穴明・面加工用プログラムSCは、加工プログラム入力部7を介して加工プログラム記憶部8に記憶される。一方、オペレータによってキーボード9を介して入力されたスケジュールプログラム作成指令SEはスケジュールプログラム作成部10に読込まれ、スケジュールプログラムSFが作成されてスケジュールプログラム入力部11に送出される。スケジュールプログラム入力部11に読込まれたスケジュールプログラムSFは、輪郭・穴明・面加工用プログラムのNC用スケジュールプログラムSG及び形状加工用プログラムのDNC用スケジュールプログラムSHに分別されて、NC装置内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12及びDNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13に記憶される。
【0003】一方、オペレータによってキーボード9を介して入力されたスケジュールプログラム選択指令SIはスケジュールプログラム選択指示部14に読込まれ、スケジュールプログラム選択指示SJが作成されてNC装置内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12又はDNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13のうちオペレータによって選択されたスケジュールプログラムが存在する方へ送出される。そして、NC装置内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12に記憶されているNC用スケジュールプログラムSG及びDNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13に記憶されているDNC用スケジュールプログラムSHは、スケジュールプログラム選択指示部14に読込まれたスケジュールプログラム選択指示SJに従って、加工プログラム記憶部8及び加工プログラム記憶部4にそれぞれ送出される。そして、加工プログラム記憶部8に記憶されている輪郭・穴明・面加工用プログラムSCは、NC装置内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12から読込まれたNC用スケジュールプログラムSGに従った順番に構成されて、スケジュール順輪郭・穴明・面加工用プログラムSDとして加工プログラム読込部16に送出される。また、加工プログラム記憶部4に記憶されている形状加工用プログラムSAは、DNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13から読込まれたDNC用スケジュールプログラムSHに従った順番に構成されて、スケジュール順形状加工用プログラムSBとして加工プログラム転送部5を介して加工プログラム読込部16に送出される。
【0004】一方、オペレータによってNC起動指令SLがキーボード9からNC起動部15に入力されると、加工プログラム実行指令SMが作成されて加工プログラム読込部16へ送出される。加工プログラム実行指令SMが加工プログラム読込部16に読込まれると、スケジュール順形状加工用プログラムSB又はスケジュール順輪郭・穴明・面加工用プログラムSDが実行加工プログラムSNとしてX.Y.Z関数発生部17に送出される。実行加工プログラムSDは、X.Y.Z関数発生部17にて解析されてX.Y.Z関数SOが発生されてX.Y.Z制御軸駆動部18に送出され、工作機械のX.Y.Z制御軸19の動作が制御される。
【0005】上述の構成において、その動作の一例を図6R>6のフローチャートを用いて説明すると、まず加工プログラム入力部3がオペレータによってデジタイザ1又は三次元CAD/CAM2にて作成された形状加工用プログラムSAを読込んで加工プログラム記憶部4に記憶させる(ステップS1)。同様に、加工プログラム入力部7が二次元自動プログラムシステム6にて作成された輪郭・穴明・面加工用プログラムSCを読込んで加工プログラム記憶部8に記憶させる(ステップS2)。そして、スケジュールプログラム入力部11がスケジュールプログラム作成部10で作成されたスケジュールプログラムSFを読込み、スケジュールプログラムSFをNC用スケジュールプログラムSF及びDNC用スケジュールプログラムSHに分別し、NC装置内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12及びDNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13に記憶させる(ステップS3)。
【0006】次に、オペレータがDNC内の形状加工用プログラムSAを実行させるのかNC装置内の輪郭・穴明・面加工用プログラムSCを実行させるのかを決定し、キーボード9を介してスケジュールプログラム選択指令SIをスケジュールプログラム選択指示部14に入力する(ステップS4)。オペレータがDNC内の形状加工用プログラムSAを実行させると決定した場合は、まず、スケジュールプログラム選択指示部14が入力されたスケジュールプログラム選択指令SIに従ってスケジュールプログラム選択指示SJを作成し、DNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13へ送出する。すると、DNC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部13が記憶していたDNC用スケジュールプログラムSHを加工プログラム記憶部4へ送出し記憶させる(ステップS5)。一方、オペレータがNC内の輪郭・穴明・面加工用プログラムSCを実行させると決定した場合は、まず、スケジュールプログラム選択指示部14が入力されたスケジュールプログラム選択指令SIに従ってスケジュールプログラム選択指示SJを作成し、NC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12へ送出する。すると、NC内加工プログラム用スケジュールプログラム記憶部12が記憶していたNC用スケジュールプログラムSGを加工プログラム記憶部8へ送出し記憶させる(ステップS6)。
【0007】そして、オペレータがキーボード9を介してNC起動指令SLをNC起動部15に入力すると、NC起動部15が加工プログラム実行指令SMを作成して加工プログラム読込部16に送出してNC装置を起動する(ステップS7)。加工プログラム実行指令SMを読込んだ加工プログラム読込部16は、ステップS4にてオペレータがDNC内の形状加工用プログラムSAを実行させると決定した場合にはスケジュール順形状加工用プログラムSBを加工プログラム記憶部4から加工プログラム転送部5を介して読込み、実行加工プログラムSNとしてX.Y.Z関数発生部17へ送出し、ステップS4にてオペレータがNC内の輪郭・穴明・面加工用プログラムSCを実行させると決定した場合にはスケジュール順輪郭・穴明・面加工用プログラムSDを加工プログラム記憶部4から読込み、実行加工プログラムSNとしてX.Y.Z関数発生部17へ送出する(ステップS8)。X.Y.Z関数発生部17は加工プログラム読込部16から読込んだ実行加工プログラムSNに従ってX.Y.Z関数SOを発生させてX.Y.Z制御軸駆動部18に送出し、X.Y.Z制御軸19の駆動を制御させる(ステップS9)。そして、全ての処理が終了したか否かを判定し(ステップS10)、全ての処理が終了していない場合はステップS4に戻って上述した動作を繰返し、全ての処理が終了した場合には全ての動作を終了する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のスケジュール運転方法においては、NC装置内に記憶されている輪郭・穴明・面加工用プログラム及びDNC内に記憶されている形状加工用プログラムのそれぞれについて別々のスケジュールプログラムが作成されていたので、輪郭・穴明・面加工用プログラムの実行スケジュールと形状加工用プログラムの実行スケジュールとをオペレータが手動で組合わせなければならず、無駄な時間と労力を費やしていた。本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、NC装置内に記憶されている輪郭・穴明・面加工用プログラムとDNC内に記憶されている形状加工用プログラムとを順序だてて自動的に実行する事ができるスケジュール運転方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、数の加工プログラムをスケジュールプログラムに従った順序で実行するスケジュール運転方法に関するものであり、本発明の上記目的は、前記複数の加工プログラムが異種の制御装置を含む複数の装置に分散して記憶されている場合、自動スケジュール運転対象の各加工プログラムの実行順序を示すスケジュール情報及び前記各加工プログラムに対応して付与された当該加工プログラムの記憶装置を特定する識別情報に基づき、一つのスケジュールプログラムにて前記自動スケジュール運転対象の各加工プログラムの実行順序と記憶されている装置とを自動判別し、前記分散して記憶されている複数の加工プログラムを連続的に実行して自動運転させることによって達成される。
【0010】
【作用】本発明にあっては、複数の記憶装置に記憶された複数の加工プログラムを一つのスケジュールプログラムに従った順序で読込み実行させることができるので、加工プログラムの実行時間を短縮させることができる。
【0011】
【実施例】図1は本発明のスケジュール運転方法を実現するNC装置の一例を図5に対応させて示すブロック図であり、同一構成箇所は同符号を付して説明を省略する。スケジュールプログラム作成部10にて作成されたスケジュールプログラムSFはスケジュールプログラム入力部11に読込まれ、スケジュールプログラム記憶部20に記憶される。一方、NC起動部15からスケジュールプログラム制御部21に加工プログラム実行指令SMが送出されると、スケジュールプログラム記憶部20に記憶されているスケジュールプログラムSFはスケジュールプログラム制御部21を介して加工プログラム記憶部8および加工プログラム記憶部4に送出される。それと同時に、スケジュールプログラム制御部21に読込まれたスケジュールプログラムSFは、解析されて加工プログラム読込み制御指令SQが作成されて加工プログラム読込部16に送出され、加工プログラムの読込みが制御される。
【0012】上述の構成において、その動作の一例を図2R>2のフローチャートを用いて説明すると、まず加工プログラム入力部3がオペレータによってデジタイザ1又は三次元CAD/CAM2にて作成された形状加工用プログラムSAを読込んで加工プログラム記憶部4に記憶させる(ステップS11)。同様に、加工プログラム入力部7が二次元自動プログラムシステム6にて作成された輪郭・穴明・面加工用プログラムSCを読込んで加工プログラム記憶部8に記憶させる(ステップS12)。そして、スケジュールプログラム入力部11がスケジュールプログラム作成部10で作成されたスケジュールプログラムSFを読込んでスケジュールプログラム記憶部20に記憶させる(ステップS13)。次に、NC起動部15が加工プログラム実行指令SMを作成してスケジュールプログラム制御部21に送出してNC装置を起動する(ステップS14)。NC起動部15から加工プログラム実行指令SMを読込んだスケジュールプログラム制御部21は、スケジュールプログラム記憶部20に記憶されているスケジュールプログラムSFを読込み解析して、次に実行すべき加工プログラムがNC装置内の加工プログラム記憶部8に記憶されているのかDNCコンピュータ内の加工プログラム記憶部4に記憶されているのかを判別する(ステップS15、S16)。
【0013】次に実行すべき加工プログラムがNC装置内の加工プログラム記憶部8に記憶されている場合は、加工プログラム読込部16がスケジュールプログラム制御部21から読込んだ加工プログラム読込制御指令SQに従って、加工プログラム記憶部8から一工程分のスケジュール順輪郭・穴明・面加工用プログラムSDを読込み、実行加工プログラムSNとしてX.Y.Z関数発生部17へ送出する(ステップS17)。一方、次に実行すべき加工プログラムがDNC装置内の加工プログラム記憶部4に記憶されている場合は、加工プログラム読込部16がスケジュールプログラム制御部21から読込んだ加工プログラム読込制御指令SQに従って、加工プログラム転送部5を介して加工プログラム記憶部4から一工程分のスケジュール順形状加工用プログラムSBを読込み、実行加工プログラムSNとしてX.Y.Z関数発生部17へ送出する(ステップS18)。X.Y.Z関数発生部17は加工プログラム読込部16から読込んだ実行加工プログラムSNに従ってX.Y.Z関数SOを発生させてX.Y.Z制御軸駆動部18に送出し、X.Y.Z制御軸19の駆動を制御させる(ステップS19)。そして、全ての処理が終了したか否かを判定し(ステップS20)、全ての処理が終了していない場合はステップS15に戻って上述した動作を繰返し、全ての処理が終了した場合には全ての動作を終了する。
【0014】例えば図3に示すような三次元形状加工■の加工プログラムはDNCコンピュータ内で作成され、加工プログラム記憶部4に記憶される。また、輪郭加工■、穴明加工■及び面加工■の様な二次元的な加工プログラムはNC装置内で作成され、加工プログラム記憶部8に記憶される。加工プログラムが加工プログラム記憶部に記憶される際、DNCコンピュータ内の加工プログラム記憶部4に記憶される加工プログラムには判別コード“−D”を持ったプログラム名が“A−D”の様に付けられ、NC装置内の加工プログラム記憶部8に記憶される加工プログラムには判別コード“−N”を持ったプログラム名が“B−N”の様に付けられる。そして、図4に示すようなDNCコンピュータ内の加工プログラム記憶部4に記憶されている加工プログラムとNC装置内の加工プログラム記憶部8に記憶されている加工プログラムとを連続して実行させることができるようなスケジュールプログラムによって、各加工プログラムが順次実行されていく。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明のスケジュール運転方法によれば、一つのスケジュールプログラムが複数の記憶装置に記憶された複数の加工プログラムの実行順序を決定するので、加工プログラムを長時間連続実行させることが可能になり、オペレータによる加工プログラムの実行操作手順が簡素化されオペレータの負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスケジュール運転方法を実現するNC装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明のスケジュール運転方法を実現するNC装置の動作例を示すフローチャートである。
【図3】本発明のスケジュール運転方法を説明するための具体例を示す図である。
【図4】本発明のスケジュール運転方法に用いられるプログラム例を示す図である。
【図5】従来のスケジュール運転方法を実現するNC装置の一例を示すブロック図である。
【図6】従来のスケジュール運転方法を実現するNC装置の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
20 スケジュールプログラム記憶部
21 スケジュールプログラム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 数の加工プログラムをスケジュールプログラムに従った順序で実行するスケジュール運転方法において、前記複数の加工プログラムが異種の制御装置を含む複数の装置に分散して記憶されている場合、自動スケジュール運転対象の各加工プログラムの実行順序を示すスケジュール情報及び前記各加工プログラムに対応して付与された当該加工プログラムの記憶装置を特定する識別情報に基づき、一つのスケジュールプログラムにて前記自動スケジュール運転対象の各加工プログラムの実行順序と記憶されている装置とを自動判別し、前記分散して記憶されている複数の加工プログラムを連続的に実行して自動運転させるようにしたことを特徴とするスケジュール運転方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【特許番号】特許第3072918号(P3072918)
【登録日】平成12年6月2日(2000.6.2)
【発行日】平成12年8月7日(2000.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−145479
【出願日】平成3年5月21日(1991.5.21)
【公開番号】特開平4−344502
【公開日】平成4年12月1日(1992.12.1)
【審査請求日】平成9年9月26日(1997.9.26)
【出願人】(000149066)オークマ株式会社 (476)
【参考文献】
【文献】特開 平2−143306(JP,A)
【文献】特開 昭64−11749(JP,A)
【文献】特開 平1−200409(JP,A)