説明

スタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物およびスタッドレスタイヤ

【課題】氷雪上性能を低下させることなく、耐摩耗性を向上させ得るスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物、およびスタッドレスタイヤを提供する。
【解決手段】蛋白質の指標としての総チッ素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムとブタジエンゴムとを重量比で30/70〜70/30の割合で含むゴム成分を含むスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱蛋白天然ゴムを用いたスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物、および該ゴム組成物をキャップトレッドに用いたスタッドレスタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
氷雪路面走行用としてスタッドレスタイヤが普及している。このスタッドレスタイヤでは氷雪路面へのグリップ性を高めるため、キャップトレッド部分に低温特性に優れたジエン系ゴム、特に天然ゴムを多く配合するなどの材料面での工夫がなされている。
【0003】
近年、さらなる氷雪上性能の向上が求められる中、キャップトレッドのゴム硬度は低い方が氷雪上性能が良好なことから、ゴム硬度を低く抑える傾向にある。そのほか、氷雪上性能を向上させるため、カーボンブラックの配合量を少なくするなどの他の成分の調整も行われているが、いずれの手段でも、耐摩耗性の低下というキャップトレッドの要求性能においての背反事象が生じている。
【0004】
ところで天然ゴムは、天然ゴム中に存在している蛋白質や脂質などの非ゴム成分が起因となって分子同士が絡み合い、ゲル化がおこるとされている。ゲル化がおこるとゴムの粘度が上昇し、加工性が悪化するという欠点がある。一般的に、天然ゴムの加工性を改良するために、練りロール機や密閉式混合機で素練りし、分子量を下げるという方法が用いられているが、このような素練りは分子主鎖をランダムに切断してしまうため、燃費特性の悪化を引き起こす。一方、ゲル化の要因の一つとしてあげられている蛋白質を除去する方法が、ゲル化を抑制する方法として提案されている。たとえば、ラテックスの遠心分離等により蛋白質などの非ゴム成分を除去する方法が記載されている。
【0005】
そして、この脱蛋白天然ゴムをタイヤのゴム成分として使用することが特許文献1に提案され、さらにスタッドレスタイヤのキャップトレッドとして使用することが特許文献2に提案されている。
【0006】
しかし、これらの文献ではいずれも脱蛋白天然ゴム単独でキャップトレッドを形成しており、その場合、摩耗への効果は期待できても氷上性能の面では期待ができないため、耐摩耗性と氷上性能の両立の面でのさらなる改善が望まれている。
【0007】
【特許文献1】特開平6−329838号公報
【特許文献2】特開2005−47993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、氷雪上性能を低下させることなく、耐摩耗性を向上させ得るスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物、およびスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、蛋白質の指標としての総チッ素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムとブタジエンゴムとを重量比で30/70〜70/30の割合で含むゴム成分を含むスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物に関する。
【0010】
前記脱蛋白天然ゴムの総チッ素含有率は0.1重量%以下であることが好ましい。
【0011】
また、前記ゴム成分は、脱蛋白天然ゴムとブタジエンゴムのみからなっていてもよいし、天然ゴムを50重量%以下含んでいてもよい。
【0012】
前記ゴム成分中の脱蛋白天然ゴムの割合は10重量%以上、さらには40重量%以上であることが好ましい。
【0013】
本発明はまた、前記キャップトレッド用ゴム組成物からなるキャップトレッドを有するスタッドレスタイヤにも関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、氷雪上性能を低下させることなく、耐摩耗性を向上させ得るスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物、およびスタッドレスタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明のスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物は、総チッ素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴム(DPNR)とブタジエンゴム(BR)とをゴム成分中に含む。
【0017】
本発明で使用する脱蛋白天然ゴムは、天然ゴム中に5〜10重量%程度含まれ、ゲル化を引きおこす蛋白質を除去し、蛋白質の指標としての総チッ素含有率を0.3重量%以下にした脱蛋白天然ゴムをゴム成分の一部として配合することで、氷上性能を低下させることなく、耐摩耗性を改善している。なお、天然ゴムを脱蛋白する処理としては、特開平6−329838号公報、特開2005−47993号公報などに記載されている従来から公知の方法を採用することができる。
【0018】
本発明では、脱蛋白天然ゴムの蛋白質含有量の指標として総チッ素含有率を用いる。脱蛋白天然ゴムの総チッ素含有率は0.3重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。総チッ素含有率が0.3重量%をこえると、ゲル化を引き起こす要因となり、耐摩耗性の向上効果が低くなる。なお、脱蛋白天然ゴムの総チッ素含有率は低い方が好ましく、できればチッ素を含有しないことが望ましいが、製法などの制限から、下限は通常0.01重量%である。
【0019】
脱蛋白天然ゴムの重量平均分子量は、生ゴム強度が高く、加硫後も破壊強度などの特性に優れる点から、140万以上が好ましく、150万以上がより好ましい。なお、脱蛋白天然ゴムの重量平均分子量の上限値はとくに制限はないが、加工性に優れる点から、通常200万以下が好ましい。
【0020】
また、脱蛋白天然ゴムはゲル分が減少した天然ゴムであり、トルエン不溶分として測定される脱蛋白天然ゴムのゲル含有率は、未加硫ゴムの粘度の上昇を抑制でき、加工性に優れる点から、10重量%以下が好ましい。なお、脱蛋白天然ゴムのゲル含有率は低い方が好ましく、できればゲル分を含有しないことが望ましいが、製法などの制限から、下限は通常1重量%である。
【0021】
本発明においてゴム成分として使用される脱蛋白天然ゴム以外のゴム成分は天然ゴムである。
【0022】
ゴム成分中における脱蛋白天然ゴムの割合は好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは40重量%以上である。脱蛋白天然ゴムの割合が10量%を下回ると脱蛋白天然ゴムを配合することによる効果が発揮できない傾向にある。一方、上限は70重量%、好ましくは60重量%である。70重量%をこえると氷上性能が大幅に低下する。
【0023】
本発明のゴム組成物にはカーボンブラックを含むことが好ましい。
【0024】
本発明に用いられるカーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は好ましくは70m2/g以上、さらに好ましくは80〜180m2/gである。カーボンブラックのN2SAが前記の範囲にあるとき、良好な補強効果が得られることから好ましい。
【0025】
前記カーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸油量は好ましくは70ml/100g以上、さらに好ましくは80〜160ml/100gである。DBP吸油量が前記範囲にあるとき、良好な補強効果が得られることから好ましい。
【0026】
前記カーボンブラックの具体例としては、HAF、ISAF、SAF等があげられるが、とくに制限されるものではない。
【0027】
前記カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対して好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜120重量部、特に好ましくは15〜100重量部である。カーボンブラックの配合量が前記の範囲にあるとき、より一層充分な低発熱性およびウェットグリップ性能が得られ、また良好な加工性、作業性が達成できる。
【0028】
本発明のゴム組成物はシリカを含んでいてもよい。シリカとしては湿式法または乾式法により製造されたシリカがあげられるが、とくに制限はない。
【0029】
本発明に用いられるシリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は好ましくは100〜300m2/g、さらに好ましくは120〜280m2/gである。シリカのN2SAがこの範囲にあるとき、良好な補強効果と良好な分散性が得られ、ゴム組成物の発熱性をさらに抑えることができる。
【0030】
前記シリカの配合量は、ゴム成分100重量部に対して好ましくは5〜150重量部、さらに好ましくは10〜120重量部、特に好ましくは15〜100重量部である。シリカの配合量が前記の範囲にあるとき、より一層充分な低発熱性およびウェットグリップ性能が得られ、また良好な加工性、作業性が達成できる。
【0031】
本発明のゴム組成物はシランカップリング剤を含むことが好ましい。本発明で好適に使用できるシランカップリング剤は、従来からシリカ充填剤と併用される任意のシランカップリング剤とすることができる。具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。カップリング剤添加効果とコストの両立からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらシランカップリング剤は1種、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ100重量部に対して0〜20重量部が好ましい。シランカップリング剤の配合量が前記範囲にあるとき、適正なコストでカップリング効果が得られ、より一層良好な補強性や耐摩耗性が達成できる。分散効果、カップリング効果がさらに向上することから、シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して2〜15重量部であることがより好ましい。
【0033】
なお、本発明のゴム組成物には、前記のブタジエンゴム、脱蛋白天然ゴム、さらに要すればカーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤以外に、必要に応じて、オイル、ワックス、軟化剤、老化防止剤、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等のスタッドレスタイヤのキャップトレッドの製造に通常用いられる配合剤を適宜配合することができる。
【0034】
本発明のスタッドレスタイヤは、本発明のキャップトレッド用ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、必要に応じて前記配合剤を配合した本発明のゴム組成物を、未加硫の段階でスタッドレスタイヤのキャップトレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造する。
【0035】
なお、本明細書で規定する総チッ素含有率、ゲル含有率および重量平均分子量の測定法はつぎのとおりである。
【0036】
(総チッ素含有率)
ケルダール試験法(特開平6−329838号公報に詳しく記載されている方法)により総チッ素含有率を測定する。
【0037】
(ゲル含有率)
生ゴムを1mm×1mmに切断したサンプル70mgを計り取り、これに35mlのトルエンを加え1週間冷暗所に静置する。ついで、遠心分離してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで洗浄した後、乾燥し重量(mg)を測定し、つぎの式によりゲル含有率(%)を求める。
ゲル含有率(%)=(乾燥後の重量)/(最初のサンプル重量)×100
【0038】
(重量平均分子量測定)
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定し(溶媒:テトラヒドロフラン)、重量平均分子量を求める。
【実施例】
【0039】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0040】
各種薬品の説明
天然ゴム:RSS#3(テックビーハング社製、総チッ素含有率0.6重量%)
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のUBEPOL−BR150B
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN220(N2SA:114m2/g、DBP吸油量:100ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3(N2SA:210m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−エトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPS323
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
【0041】
下記に示す調製例1〜3により脱蛋白天然ゴムA〜Cを調製した。
【0042】
調製例1(脱蛋白天然ゴムA)
特開2005−47993号公報の実施例に記載された天然ゴムの脱蛋白処理方法に準じて、総チッ素含有率が0.08重量%の脱蛋白天然ゴムA(DPNR−A)を得た。
【0043】
調製例2(脱蛋白天然ゴムB)
調製例1と同様にして総チッ素含有率が0.2重量%の脱蛋白天然ゴムB(DPNR−B)を得た。
【0044】
調製例3(脱蛋白天然ゴムC)
調製例1と同様にして総チッ素含有率が0.5重量%の脱蛋白天然ゴムC(DPNR−C)を得た。
【0045】
実施例1〜6および比較例1〜4
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を3〜5分間混練りし、温度が150℃に達した時点で取り出しベース練りゴムを得た。次に、得られたベース練りゴムに硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。この得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫し、キャップトレッド用ゴム組成物を得た。
【0046】
これらの加硫ゴム組成物について、つぎの特性を調べた。結果を表1に示す。
【0047】
(低温時のゴム硬度)
JIS K6253に準じて作製した各試験片の−10℃における硬度をタイプA硬度計を用いて測定する。
【0048】
(ガラス転移温度)
上記加硫ゴム組成物を粘弾性試験用サンプルに加工し、試験片を得た。
【0049】
得られた試験片を粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、試験片について、10Hz、歪み0.5%の条件下で−60℃〜+70℃の範囲で温度分散を測定し、tanδのピークにおける温度をガラス転移温度(Tg)とする。Tgが低い方が低温特性に優れている。
【0050】
(氷上制動試験)
上記加硫ゴム組成物を氷上試験用のサンプルに加工し、試験用のサンプルを得た。
【0051】
−5℃および−2℃に温度制御された恒温室内に設置された氷面(−5℃)上に試験片を荷重2kg/cm2で押し付け、速度20km/hrで滑らせたときの抵抗(摩擦力)を測定する。結果は、実施例1の摩擦力を100としたときの指数で表す。数値が大きいほど摩擦力(制動力)が大きい。
【0052】
前記未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材と貼りあわせ、180℃の条件下で10分間プレス加硫することにより、空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
【0053】
(耐摩耗性試験)
製造したタイヤを国産FF車の全輪に装着し、8000km走行した後のタイヤのキャップトレッド部の溝深さを測定し、タイヤの溝深さが1mm減るときの走行距離を算出した。実施例1のタイヤの溝深さが1mm減るときの走行距離を100としたときの指数で示す。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
【0054】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛋白質の指標としての総チッ素含有率が0.3重量%以下である脱蛋白天然ゴムとブタジエンゴムとを重量比で30/70〜70/30の割合で含むゴム成分を含むスタッドレスタイヤのキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記脱蛋白天然ゴムの総チッ素含有率が0.1重量%以下である請求項1記載のキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記ゴム成分が脱蛋白天然ゴムとブタジエンゴムのみからなる請求項1または2記載のキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
前記ゴム成分が、天然ゴムを50重量%以下含む請求項1または2記載のキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
前記ゴム成分中の脱蛋白天然ゴムの割合が10重量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項6】
前記ゴム成分中の脱蛋白天然ゴムの割合が40重量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のキャップトレッド用ゴム組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のキャップトレッド用ゴム組成物からなるキャップトレッドを有するスタッドレスタイヤ。