スタンディングパウチ
【課題】複数回分の内容物が充填される詰め替え用のスタンディングパウチにおいて、スタンディングパウチを形成するフィルムと別部材のパーツを使用することなく、注出口が開口し、内容物が残存しているスタンディングパウチを保管可能とする。
【解決手段】対向する一対のフィルムから胴部5が形成されているスタンディングパウチ1Aが、上部に注出口8となる開口部を有し、注出口8を巻き込むように、胴部5を上端から2回以上折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構を有する。折り畳み状態保持機構としては、胴部5の折り畳みにより重なり合うサイドシール3を互いに掛合又は嵌合させるサイドシール固定機構などが設けられる。
【解決手段】対向する一対のフィルムから胴部5が形成されているスタンディングパウチ1Aが、上部に注出口8となる開口部を有し、注出口8を巻き込むように、胴部5を上端から2回以上折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構を有する。折り畳み状態保持機構としては、胴部5の折り畳みにより重なり合うサイドシール3を互いに掛合又は嵌合させるサイドシール固定機構などが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数回分の内容物が充填される詰め替え用のスタンディングパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤等の液状物を内容物とする詰替容器としてスタンディングパウチが使用されている。このようスタンディングパウチのうち、内容物を一回で使い切るものでは、注出口は、通常、スタンディングパウチを形成しているフィルムを切断することにより開口されるが、内容物を複数回に分けて使用するものでは、内容物が残存しているスタンディングパウチを保管できるようにするため、一般にスパウトと称されている樹脂製の注出口部材とそれに螺合するキャップが取り付けられている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−206163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スタンディングパウチに注出口を形成するために、スタンディングパウチを形成するフィルムとは別部材のスパウトとキャップを設けることは、スタンディングパウチの製造コストを上昇させ、また、別部材分の樹脂量が必要とされることから環境負荷も高くなる。
【0005】
これに対し、本発明は、複数回分の内容物が充填される詰め替え用のスタンディングパウチにおいて、スタンディングパウチを形成するフィルムと別部材のパーツを使用することなく、一旦開口した注出口をスタンディングパウチ自体の形状によって閉じ、内容物が残存しているスタンディングパウチを保管できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上部に注出口が開口するスタンディングパウチについて、開口した注出口を巻き込むようにフィルムを折り畳んだ場合に、その折り畳んだ状態を保持する掛合等の機構を、スタンディングパウチを構成するフィルム材料の形状によって形成すると上述の目的を達成できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、対向する一対のフィルムがサイドシールで接着されて胴部が形成されているスタンディングパウチであって、上部に注出口となる開口部を有し、
注出口を巻き込むように、胴部を上端から2回以上折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構を有するスタンディングパウチを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスタンディングパウチによれば、一旦開口した注出口を、スタンディングパウチの胴部の折り畳みにより閉じることができるので、内容物が残存した状態でスタンディングパウチを保管することが可能となる。
さらに、本発明によれば、一旦は開口した注出口を閉じた状態に保持するために、スパウトやキャップは不用であり、フィルム材料自体の形状で注出口を閉じた状態にすることができる。したがって、スタンディングパウチの製造に必要とされる樹脂量を削減し、環境負荷を抑制することができる。また、製造方法も単純化し、スタンディングパウチの製造コストを下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、実施例のスタンディングパウチ1Aの未開封状態の平面図である。
【図1B】図1Bは、スタンディングパウチ1Aの開封状態の平面図である。
【図1C】図1Cは、開封後のスタンディングパウチ1Aを1回折り畳んだ状態の平面図である。
【図1D】図1Dは、開封後のスタンディングパウチ1Aを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図2A】図2Aは、実施例のスタンディングパウチ1Bの未開封状態の平面図である。
【図2B】図2Bは、スタンディングパウチ1Bの開封状態の平面図である。
【図2C】図2Cは、開封後のスタンディングパウチ1Bを1回折り畳んだ状態の平面図である。
【図2D】図2Dは、開封後のスタンディングパウチ1Bを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図3A】図3Aは、実施例のスタンディングパウチ1Cの未開封状態の平面図である。
【図3B】図3Bは、開封後のスタンディングパウチ1Cを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図4A】図4Aは、実施例のスタンディングパウチ1Dの未開封状態の平面図である。
【図4B】図4Bは、開封後のスタンディングパウチ1Dを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図5A】図5Aは、実施例のスタンディングパウチ1Eの未開封状態の平面図である。
【図5B】図5Bは、開封後のスタンディングパウチ1Eを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図6A】図6Aは、実施例のスタンディングパウチ1Fの未開封状態の平面図である。
【図6B】図6Bは、開封後のスタンディングパウチ1Fを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図7A】図7Aは、実施例のスタンディングパウチ1Gの未開封状態の平面図である。
【図7B】図7Bは、開封後のスタンディングパウチ1Gを2回折り畳み、サイドシールの凹凸加工を嵌合させた状態の平面図である。
【図7C】図7Cは、スタンディングパウチ1Gにおけるサイドシールの凹凸加工の嵌合部分の断面図である。
【図8A】図8Aは、実施例のスタンディングパウチ1Hの未開封状態の平面図である。
【図8B】図8Bは、開封後のスタンディングパウチ1Hを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた起立状態の斜視図である。
【図9A】図9Aは、実施例のスタンディングパウチ1Iの未開封状態の平面図である。
【図9B】図9Bは、開封後のスタンディングパウチ1Iを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図9C】図9Cは、開封後のスタンディングパウチ1Iを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の一実施例のスタンディングパウチ1Aの未開封状態の平面図である。このスタンディングパウチ1Aは、食器用洗剤、洗髪剤、全身洗浄剤等の液状物の詰め替え複数回分や、衣料用洗剤、自動食器洗浄機用洗剤、漂白剤等の粉末の詰め替え複数回分が収容される詰替容器として使用されるもので、対向する一対のフィルム2が左右両端部のサイドシール3と上部シール4で接着され、胴部5が形成されている。また、底部6にはマチを形成するフィルムが接着されて自立可能に形成されている。スタンディングパウチ1Aの上端部にはノッチ7が形成されており、そこからフィルムを破線のように引き裂くことにより注出口8が開口する。なお、平面図においてドットで塗りつぶした部分は、対向するフィルムが接着されたシール領域である。
【0011】
このスタンディングパウチ1Aは、側面にマチが無い点でガゼット袋とは異なる。側面にマチがあるガゼット袋では、左右の端部に2条ずつのサイドシールがあるため、サイドシール同士の掛合又は嵌合により胴部の折り畳み状態を保持することが困難となる。
【0012】
スタンディングパウチ1Aの胴部には、スタンディングパウチ1Aを横断するように2筋の折れ線10a、10bが形成されている。ここで、折れ線10a、10bは、ライン状に形成したフィルムの肉薄部あるいは表面が凸、裏側が凹となる条を形成することなどで形成される。この折れ線10a、10bは、後述するように、注出口8を巻き込むように胴部5を2回折り畳むことを可能とするものである。
【0013】
なお、底面側の折れ線10bの形成位置につき、底面側の折れ線10bとスタンディングパウチ1Aの底辺からの高さをそれぞれH1、H0とした場合に、残液量が多い時も折り畳むことを可能とし、かつその折り畳み状態を保持できるようにする点から、H1/H0を1/2程度とすることが好ましい。
【0014】
スタンディングパウチ1Aの胴部には、折れ線10a、10bで胴部5を折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構として、折り畳みにより重なり合うサイドシール3同士を掛合させるサイドシール固定機構がサイドシール3に設けられている。より具体的には、サイドシール3に切れ込み11a、11b、11cが形成されている。このサイドシール3における切れ込み11a、11b、11cの形成位置は、胴部5の折り畳みによりサイドシール3が3重に重なり合う部分となっている。また、切れ込み11a、11b、11cの形状としては、胴部5を折れ線10a、10bで折り畳んだ状態でこれら切れ込み11a、11b、11cを掛合させた場合に、胴部5の折り畳み状態を保持できるものとし、本実施例では、上側の折れ線10aよりも上側のサイドシールと、2本の折れ線10a、10bの間のサイドシールに、サイドシール3の縁部から水平に伸びた切れ込み11a、11bが形成され、下側の折れ線10bよりも底部側のサイドシールに、サイドシール3の縁部から胴部側に斜めに切れ上がった切れ込み11cが形成されている。
【0015】
このスタンディングパウチ1Aは次のように使用される。
まず、ノッチ7からフィルム2を切断することにより注出口8を開口し(図1B)、内容物の一部を詰替容器に吐出させる。その後、スタンディングパウチ1Aの胴部を上側の折れ線10aで折り(図1C)、さらに注出口8を巻き込むように下側の折れ線10bで胴部を折り畳む。この折り畳みにより注出口8が閉じると共に注出口8が胴部5のフィルム2で囲まれ、外界から遮られる。また、サイドシール3は3重に重なり合い、前述の切れ込み11a、11b、11cも重なり合う。そこで、裏側の外表面に位置する斜めの切れ込み11cにより引き起こし可能となった切れ込み片11ccが、他の切れ込み11a、11bを通って表側の外表面に出るように、これら切れ込み11a、11b、11cを掛合させる(図1D)。この三重の切れ込みの掛合により、注出口8を閉じると共に注出口8を外界から遮る胴部5の折り畳み状態を確実に保持できるので、内容物が残存した状態でスタンディングパウチ1Aを安定して保管することが可能となる。
【0016】
なお、上述のようにこのスタンディングパウチ1Aは、胴部5を折り畳んだ状態で保管されるため、商品名等の商品情報は、折り畳んだ部分と重ならない胴部の下部領域5bに設けることが好ましい。
【0017】
本発明において、サイドシールを掛合させるサイドシール固定機構は種々の態様をとることができる。例えば、図2Aのスタンディングパウチ1Bは、上述の図1Aのスタンディングパウチ1Aにおいて、折れ線10aで最初に折り込まれる胴部の上部の幅を狭くすることにより、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳んだ場合に、胴部5は三重に重なり合っていても、サイドシール3には二重にしか重ならない部分を形成し、その部分に上述のスタンディングパウチ1Aの切れ込み11b、11cと同様の切れ込みを設け、上側の折れ線10aよりも上側の切れ込みを省略したものである。
【0018】
このスタンディングパウチ1Bの使用方法においても、まず、ノッチ7からフィルムを切断することにより注出口8を形成し(図2B)、内容物の一部を詰替容器に吐出させ、次いでスタンディングパウチ1Bの胴部を上側の折れ線10aで折り(図2C)、さらに注出口8を巻き込むように下側の折れ線10bで胴部を折り畳む。この折り畳みにより、注出口8は閉じると共に、折り畳まれた胴部5のフィルムで囲まれる。また、折り畳みによりサイドシール3が重なり合った領域には、外表面をなす表側のフィルムと裏側のフィルムとで2重にしか重なっていない部分が形成され、この部分に切れ込み11b、11cが形成されているので、裏側の切れ込み11cにより引き起こし可能となった切れ込み片11ccが、表側の切れ込み11bを通って表側の外表面に出るように、これら切れ込み11b、11cを掛合させる(図2D)。この掛合は二重に重なり合った切れ込みを掛合させるものであるため、三重に重なり合った切れ込みを掛合させる場合に比して掛合操作が簡便であるが、この掛合によっても注出口8を閉じると共に注出口8を外界から遮る胴部5の折り畳み状態を保持することができる。したがって、内容物が残存した状態でスタンディングパウチ1Bを保管することが可能となる。
【0019】
図3Aのスタンディングパウチ1Cは、胴部5の折り畳みにより重なり合うサイドシール3同士を掛合させ、その折り畳み状態を保持させるサイドシール固定機構として、左右両端のサイドシール3のうち、注出口8側のサイドシール3aには、2本の折れ線10a、10bの間と、下側の折れ線10bよりも下側にそれぞれ切れ込み11b、11cを形成し、注出口8と反対側のサイドシール3bでは、これらの切れ込み11b、11cに加えて、上側の折れ線10aより上方にも切れ込み11aを形成したものである。
【0020】
切れ込みの形状は、折れ線10a、10bの間の切れ込み11bは蝶型で、その羽に相当する上下一対の切れ込み片11bbが引き起こし可能となっている。また、上側の折れ線10aよりも上方の切れ込み11aと、下側の折れ線10bよりも底部側の切れ込み11cは、上述の蝶型の切れ込み11bに掛合する一対の平行な直線状の切れ込みで、サイドシール3の縁部から水平方向に伸びたものとなっている。
【0021】
このスタンディングパウチ1Cでも、注出口8を開口後、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳み、サイドシール3に形成された切れ込み11a、11b、11c掛合させることにより、その折り畳み状態を保持するが、この場合、図3Bに示すように、注出口8側のサイドシール3aでは、二重に重なった切れ込み11b、11cが掛合し、注出口8と反対側のサイドシール3bでは、三重に重なった切れ込み11a、11b、11cが掛合する。
【0022】
また、この掛合では、切れ込み11bの上下一対の蝶型の切れ込み片11bbが、他の切れ込み11c(又は11aと11c)により押さえられるので、より安定した掛合状態を得ることができる。
【0023】
図4Aのスタンディングパウチ1Dは、サイドシール固定機構となる蝶型の切れ込み11bと一対の平行線からなる切れ込み11cを、注出口8側のサイドシール3aには設けず、注出口8と反対側のサイドシール3bのみに設けたものである。スタンディングパウチを形成するフィルムが折り畳みやすいものである場合、左右両側のサイドシール3a、3bのうち、一方のみにサイドシール固定機構となる切れ込みを設けても良い。
【0024】
また、このスタンディングパウチ1Dでは、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳んだ後に注出口8の一部が折り畳まれた胴部5のフィルムから突出し、注出口8が胴部5のフィルムで完全には囲まれてはいないが、この場合でも胴部5の折り畳みにより注出口8は閉じるので、内容物が残存した状態でスタンディングパウチ1Dを保管することが可能となる。
【0025】
図5Aのスタンディングパウチ1Eも上述のスタンディングパウチ1Dと同様に、サイドシール固定機構となる切れ込み11a、11b、11cを、注出口8と反対側のサイドシール3bのみに設けたものである。
【0026】
また、このスタンディングパウチ1Eでは、折れ線10a、10bの間の切れ込み11bが矢印型となっており、上側の折れ線10aより上方の切れ込み11aと、下側の折れ線10bよりも底部側の切れ込み11cは、矢印型の切れ込み11bに掛合する水平な切れ込み線が、サイドシール3の幅内に形成されたものとなっている。
【0027】
このスタンディングパウチ1Eでは、注出口8を開口後、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳み、図5Bに示すように、矢印型の切れ込み片11bbの先端部を水平な切れ込み線11a、11cに挿入することにより、切れ込み11a、11b、11cを掛合させる。このように切れ込み11bを矢印型に形成することにより、一般ユーザーにとって、スタンディングパウチ1Eの胴部5の折り畳み状態の固定方法の理解が容易になる。
【0028】
図6Aのスタンディングパウチ1Fは、サイドシール固定機構として、左右両側のサイドシール3に、それぞれ山型の切れ込み11cを1カ所ずつ設けたものである。図6Bに示すように、この山型の切れ込み11cは、注出口8を開口後、胴部5を折れ線10aと折れ線10bで2回折り畳んだときの折り山の下端部12をちょうど押さえられる位置に形成されている。
【0029】
スタンディングパウチを形成するフィルムが折り畳み易いものであり、折れ線10a、10bにより胴部5がしっかりと折り畳まれる場合には、このような簡便な掛合によっても胴部5の折り畳み状態を保持することができる。
【0030】
図7Aのスタンディングパウチ1Gは、サイドシール固定機構として、上述の切れ込み11b、11cに代えて、互いに嵌合する凹凸加工13b、13cを設けたものである。凹凸加工13b、13cは、スタンディングパウチを形成するフィルムの成形により、スタンディングパウチと一体に成形されるもので、例えば、図7Cに示すように嵌合する簡易な構造の樹脂スナップとすることができる
【0031】
凹凸加工13b、13cの形成位置は、胴部5の折り畳みにより重なり合うサイドシール3のうち表側の外表面に位置する部分と、裏側の外表面に位置する部分である。また、サイドシール3の上端部であって、胴部5の折り畳みにより凹凸加工13b、13cの間に挟まれることとなる部分には、凹凸加工13b、13cの嵌合が妨げられないように、馬鹿穴14が設けられている。
【0032】
このスタンディングパウチ1Gでは、注出口8を開口後、図7Bに示すように、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳み、サイドシール3a、3bに形成された凹凸加工13b、13cを嵌合させることにより、胴部の折り畳み状態を保持する。このスタンディングパウチ1Gによっても、一旦は開口した注出口8を閉じた状態に保持するために、スパウトやキャップは不用であり、環境負荷を抑制し、製造コストを削減することができる。
【0033】
図8Aのスタンディングパウチ1Hは、図1Aのスタンディングパウチ1Aの胴部5の下部に、スタンディングパウチの起立方向に伸びたリブ15を設けたものである。このようなリブ15により、内容物が残存しているスタンディングパウチ1Hの胴部5を折れ線10a、10bで折り畳んで保管するに際し、図8Bに示すように、起立状態を安定化させることができる。
【0034】
図9Aのスタンディングパウチ1Iは、上述と同様のリブ15を、図4Aのスタンディングパウチ1Dの胴部5の下部に設けたものである。
また、このスタンディングパウチ1Iには、胴部5を折り畳む折り線10a、10bの他に、これらよりも底部側にさらに折れ線10cが形成されている。図9Bに示すように、胴部5を折れ線10a、10bで折り畳んで切れ込み11b、11cを掛合させると、フィルムを折り畳んだ胴部5側に重心が偏り、図9Cに破線で示すようにスタンディングパウチが倒れるおそれが生じるが、底部側の折れ線10cにより、図9Cに示すように、胴部5を折り畳んだスタンディングパウチ1Iをく字型に屈曲させ、起立状態を安定化させることができる。ここで、底部側の折れ線10cは、胴部を折り畳むための折れ線10a、10bに比して弱い折れ筋とし、胴部5のフィルムを容易に二つ折りにするものではなく、く字形に屈曲させる程度の折れ線とすることが好ましい。
このように胴部5を折り畳んだスタンディングパウチ1Iの起立状態の安定化は、スタンディングパウチの背が高いことにより、起立状態が安定化しにくい場合に特に有効である。
【0035】
本発明において、胴部の折り畳み状態を保持させる折り畳み保持状態機構としては、サイドシール同士を掛合あるいは嵌合させるサイドシール固定機構の他、胴部に再剥離性の粘着領域を設けてもよい。
【0036】
胴部5の折れ線は、単に印刷したのみでも良い。また、折れ線は、スタンディングパウチを形成するフィルム材料によっては、省略することができる。通常は、折り畳み回数が2回以上に対応したものとする。折り込み回数が1回では、開口した注出口8を胴部5のフィルムで囲むことができず、液だれのおそれもある。折り込み操作を簡便にする点からは、3回よりも2回が好ましい。
【0037】
本発明のスタンディングパウチは、折り畳み保持状態機構を設ける以外は常法により製造することができ、スタンディングパウチを形成するフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ナイロンなどの樹脂フィルムのほか、樹脂にアルミ・アルミナ・シリカ等を蒸着したフィルム、また薄膜アルミをラミネートしたフィルム等を使用することができる。
【0038】
また、本発明において、上述したスタンディングパウチの構成は、適宜組み合わせることができ、切れ込み形状などについて、さらに種々の態様をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、食器洗用洗剤、洗濯洗剤、柔軟剤、全身洗浄剤等の液状物や、衣料用洗剤、自動食器洗浄機用洗剤、漂白剤等の粉末の詰め替え複数回分の詰め替え容器として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I スタンディングパウチ
2 フィルム
3、3a、3b サイドシール
4 上部シール
5 胴部
5b 胴部の下部
6 底部
7 ノッチ
8 注出口
10a、10b、10c 折れ線
11a、11b、11c 切れ込み
11cc 切れ込み片
12 折り山の下端部
13b、13c 凹凸加工
14 馬鹿穴
15 リブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数回分の内容物が充填される詰め替え用のスタンディングパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤等の液状物を内容物とする詰替容器としてスタンディングパウチが使用されている。このようスタンディングパウチのうち、内容物を一回で使い切るものでは、注出口は、通常、スタンディングパウチを形成しているフィルムを切断することにより開口されるが、内容物を複数回に分けて使用するものでは、内容物が残存しているスタンディングパウチを保管できるようにするため、一般にスパウトと称されている樹脂製の注出口部材とそれに螺合するキャップが取り付けられている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−206163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スタンディングパウチに注出口を形成するために、スタンディングパウチを形成するフィルムとは別部材のスパウトとキャップを設けることは、スタンディングパウチの製造コストを上昇させ、また、別部材分の樹脂量が必要とされることから環境負荷も高くなる。
【0005】
これに対し、本発明は、複数回分の内容物が充填される詰め替え用のスタンディングパウチにおいて、スタンディングパウチを形成するフィルムと別部材のパーツを使用することなく、一旦開口した注出口をスタンディングパウチ自体の形状によって閉じ、内容物が残存しているスタンディングパウチを保管できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上部に注出口が開口するスタンディングパウチについて、開口した注出口を巻き込むようにフィルムを折り畳んだ場合に、その折り畳んだ状態を保持する掛合等の機構を、スタンディングパウチを構成するフィルム材料の形状によって形成すると上述の目的を達成できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、対向する一対のフィルムがサイドシールで接着されて胴部が形成されているスタンディングパウチであって、上部に注出口となる開口部を有し、
注出口を巻き込むように、胴部を上端から2回以上折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構を有するスタンディングパウチを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスタンディングパウチによれば、一旦開口した注出口を、スタンディングパウチの胴部の折り畳みにより閉じることができるので、内容物が残存した状態でスタンディングパウチを保管することが可能となる。
さらに、本発明によれば、一旦は開口した注出口を閉じた状態に保持するために、スパウトやキャップは不用であり、フィルム材料自体の形状で注出口を閉じた状態にすることができる。したがって、スタンディングパウチの製造に必要とされる樹脂量を削減し、環境負荷を抑制することができる。また、製造方法も単純化し、スタンディングパウチの製造コストを下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、実施例のスタンディングパウチ1Aの未開封状態の平面図である。
【図1B】図1Bは、スタンディングパウチ1Aの開封状態の平面図である。
【図1C】図1Cは、開封後のスタンディングパウチ1Aを1回折り畳んだ状態の平面図である。
【図1D】図1Dは、開封後のスタンディングパウチ1Aを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図2A】図2Aは、実施例のスタンディングパウチ1Bの未開封状態の平面図である。
【図2B】図2Bは、スタンディングパウチ1Bの開封状態の平面図である。
【図2C】図2Cは、開封後のスタンディングパウチ1Bを1回折り畳んだ状態の平面図である。
【図2D】図2Dは、開封後のスタンディングパウチ1Bを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図3A】図3Aは、実施例のスタンディングパウチ1Cの未開封状態の平面図である。
【図3B】図3Bは、開封後のスタンディングパウチ1Cを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図4A】図4Aは、実施例のスタンディングパウチ1Dの未開封状態の平面図である。
【図4B】図4Bは、開封後のスタンディングパウチ1Dを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図5A】図5Aは、実施例のスタンディングパウチ1Eの未開封状態の平面図である。
【図5B】図5Bは、開封後のスタンディングパウチ1Eを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図6A】図6Aは、実施例のスタンディングパウチ1Fの未開封状態の平面図である。
【図6B】図6Bは、開封後のスタンディングパウチ1Fを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図7A】図7Aは、実施例のスタンディングパウチ1Gの未開封状態の平面図である。
【図7B】図7Bは、開封後のスタンディングパウチ1Gを2回折り畳み、サイドシールの凹凸加工を嵌合させた状態の平面図である。
【図7C】図7Cは、スタンディングパウチ1Gにおけるサイドシールの凹凸加工の嵌合部分の断面図である。
【図8A】図8Aは、実施例のスタンディングパウチ1Hの未開封状態の平面図である。
【図8B】図8Bは、開封後のスタンディングパウチ1Hを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた起立状態の斜視図である。
【図9A】図9Aは、実施例のスタンディングパウチ1Iの未開封状態の平面図である。
【図9B】図9Bは、開封後のスタンディングパウチ1Iを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の平面図である。
【図9C】図9Cは、開封後のスタンディングパウチ1Iを2回折り畳み、サイドシールの切れ込みを掛合させた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の一実施例のスタンディングパウチ1Aの未開封状態の平面図である。このスタンディングパウチ1Aは、食器用洗剤、洗髪剤、全身洗浄剤等の液状物の詰め替え複数回分や、衣料用洗剤、自動食器洗浄機用洗剤、漂白剤等の粉末の詰め替え複数回分が収容される詰替容器として使用されるもので、対向する一対のフィルム2が左右両端部のサイドシール3と上部シール4で接着され、胴部5が形成されている。また、底部6にはマチを形成するフィルムが接着されて自立可能に形成されている。スタンディングパウチ1Aの上端部にはノッチ7が形成されており、そこからフィルムを破線のように引き裂くことにより注出口8が開口する。なお、平面図においてドットで塗りつぶした部分は、対向するフィルムが接着されたシール領域である。
【0011】
このスタンディングパウチ1Aは、側面にマチが無い点でガゼット袋とは異なる。側面にマチがあるガゼット袋では、左右の端部に2条ずつのサイドシールがあるため、サイドシール同士の掛合又は嵌合により胴部の折り畳み状態を保持することが困難となる。
【0012】
スタンディングパウチ1Aの胴部には、スタンディングパウチ1Aを横断するように2筋の折れ線10a、10bが形成されている。ここで、折れ線10a、10bは、ライン状に形成したフィルムの肉薄部あるいは表面が凸、裏側が凹となる条を形成することなどで形成される。この折れ線10a、10bは、後述するように、注出口8を巻き込むように胴部5を2回折り畳むことを可能とするものである。
【0013】
なお、底面側の折れ線10bの形成位置につき、底面側の折れ線10bとスタンディングパウチ1Aの底辺からの高さをそれぞれH1、H0とした場合に、残液量が多い時も折り畳むことを可能とし、かつその折り畳み状態を保持できるようにする点から、H1/H0を1/2程度とすることが好ましい。
【0014】
スタンディングパウチ1Aの胴部には、折れ線10a、10bで胴部5を折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構として、折り畳みにより重なり合うサイドシール3同士を掛合させるサイドシール固定機構がサイドシール3に設けられている。より具体的には、サイドシール3に切れ込み11a、11b、11cが形成されている。このサイドシール3における切れ込み11a、11b、11cの形成位置は、胴部5の折り畳みによりサイドシール3が3重に重なり合う部分となっている。また、切れ込み11a、11b、11cの形状としては、胴部5を折れ線10a、10bで折り畳んだ状態でこれら切れ込み11a、11b、11cを掛合させた場合に、胴部5の折り畳み状態を保持できるものとし、本実施例では、上側の折れ線10aよりも上側のサイドシールと、2本の折れ線10a、10bの間のサイドシールに、サイドシール3の縁部から水平に伸びた切れ込み11a、11bが形成され、下側の折れ線10bよりも底部側のサイドシールに、サイドシール3の縁部から胴部側に斜めに切れ上がった切れ込み11cが形成されている。
【0015】
このスタンディングパウチ1Aは次のように使用される。
まず、ノッチ7からフィルム2を切断することにより注出口8を開口し(図1B)、内容物の一部を詰替容器に吐出させる。その後、スタンディングパウチ1Aの胴部を上側の折れ線10aで折り(図1C)、さらに注出口8を巻き込むように下側の折れ線10bで胴部を折り畳む。この折り畳みにより注出口8が閉じると共に注出口8が胴部5のフィルム2で囲まれ、外界から遮られる。また、サイドシール3は3重に重なり合い、前述の切れ込み11a、11b、11cも重なり合う。そこで、裏側の外表面に位置する斜めの切れ込み11cにより引き起こし可能となった切れ込み片11ccが、他の切れ込み11a、11bを通って表側の外表面に出るように、これら切れ込み11a、11b、11cを掛合させる(図1D)。この三重の切れ込みの掛合により、注出口8を閉じると共に注出口8を外界から遮る胴部5の折り畳み状態を確実に保持できるので、内容物が残存した状態でスタンディングパウチ1Aを安定して保管することが可能となる。
【0016】
なお、上述のようにこのスタンディングパウチ1Aは、胴部5を折り畳んだ状態で保管されるため、商品名等の商品情報は、折り畳んだ部分と重ならない胴部の下部領域5bに設けることが好ましい。
【0017】
本発明において、サイドシールを掛合させるサイドシール固定機構は種々の態様をとることができる。例えば、図2Aのスタンディングパウチ1Bは、上述の図1Aのスタンディングパウチ1Aにおいて、折れ線10aで最初に折り込まれる胴部の上部の幅を狭くすることにより、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳んだ場合に、胴部5は三重に重なり合っていても、サイドシール3には二重にしか重ならない部分を形成し、その部分に上述のスタンディングパウチ1Aの切れ込み11b、11cと同様の切れ込みを設け、上側の折れ線10aよりも上側の切れ込みを省略したものである。
【0018】
このスタンディングパウチ1Bの使用方法においても、まず、ノッチ7からフィルムを切断することにより注出口8を形成し(図2B)、内容物の一部を詰替容器に吐出させ、次いでスタンディングパウチ1Bの胴部を上側の折れ線10aで折り(図2C)、さらに注出口8を巻き込むように下側の折れ線10bで胴部を折り畳む。この折り畳みにより、注出口8は閉じると共に、折り畳まれた胴部5のフィルムで囲まれる。また、折り畳みによりサイドシール3が重なり合った領域には、外表面をなす表側のフィルムと裏側のフィルムとで2重にしか重なっていない部分が形成され、この部分に切れ込み11b、11cが形成されているので、裏側の切れ込み11cにより引き起こし可能となった切れ込み片11ccが、表側の切れ込み11bを通って表側の外表面に出るように、これら切れ込み11b、11cを掛合させる(図2D)。この掛合は二重に重なり合った切れ込みを掛合させるものであるため、三重に重なり合った切れ込みを掛合させる場合に比して掛合操作が簡便であるが、この掛合によっても注出口8を閉じると共に注出口8を外界から遮る胴部5の折り畳み状態を保持することができる。したがって、内容物が残存した状態でスタンディングパウチ1Bを保管することが可能となる。
【0019】
図3Aのスタンディングパウチ1Cは、胴部5の折り畳みにより重なり合うサイドシール3同士を掛合させ、その折り畳み状態を保持させるサイドシール固定機構として、左右両端のサイドシール3のうち、注出口8側のサイドシール3aには、2本の折れ線10a、10bの間と、下側の折れ線10bよりも下側にそれぞれ切れ込み11b、11cを形成し、注出口8と反対側のサイドシール3bでは、これらの切れ込み11b、11cに加えて、上側の折れ線10aより上方にも切れ込み11aを形成したものである。
【0020】
切れ込みの形状は、折れ線10a、10bの間の切れ込み11bは蝶型で、その羽に相当する上下一対の切れ込み片11bbが引き起こし可能となっている。また、上側の折れ線10aよりも上方の切れ込み11aと、下側の折れ線10bよりも底部側の切れ込み11cは、上述の蝶型の切れ込み11bに掛合する一対の平行な直線状の切れ込みで、サイドシール3の縁部から水平方向に伸びたものとなっている。
【0021】
このスタンディングパウチ1Cでも、注出口8を開口後、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳み、サイドシール3に形成された切れ込み11a、11b、11c掛合させることにより、その折り畳み状態を保持するが、この場合、図3Bに示すように、注出口8側のサイドシール3aでは、二重に重なった切れ込み11b、11cが掛合し、注出口8と反対側のサイドシール3bでは、三重に重なった切れ込み11a、11b、11cが掛合する。
【0022】
また、この掛合では、切れ込み11bの上下一対の蝶型の切れ込み片11bbが、他の切れ込み11c(又は11aと11c)により押さえられるので、より安定した掛合状態を得ることができる。
【0023】
図4Aのスタンディングパウチ1Dは、サイドシール固定機構となる蝶型の切れ込み11bと一対の平行線からなる切れ込み11cを、注出口8側のサイドシール3aには設けず、注出口8と反対側のサイドシール3bのみに設けたものである。スタンディングパウチを形成するフィルムが折り畳みやすいものである場合、左右両側のサイドシール3a、3bのうち、一方のみにサイドシール固定機構となる切れ込みを設けても良い。
【0024】
また、このスタンディングパウチ1Dでは、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳んだ後に注出口8の一部が折り畳まれた胴部5のフィルムから突出し、注出口8が胴部5のフィルムで完全には囲まれてはいないが、この場合でも胴部5の折り畳みにより注出口8は閉じるので、内容物が残存した状態でスタンディングパウチ1Dを保管することが可能となる。
【0025】
図5Aのスタンディングパウチ1Eも上述のスタンディングパウチ1Dと同様に、サイドシール固定機構となる切れ込み11a、11b、11cを、注出口8と反対側のサイドシール3bのみに設けたものである。
【0026】
また、このスタンディングパウチ1Eでは、折れ線10a、10bの間の切れ込み11bが矢印型となっており、上側の折れ線10aより上方の切れ込み11aと、下側の折れ線10bよりも底部側の切れ込み11cは、矢印型の切れ込み11bに掛合する水平な切れ込み線が、サイドシール3の幅内に形成されたものとなっている。
【0027】
このスタンディングパウチ1Eでは、注出口8を開口後、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳み、図5Bに示すように、矢印型の切れ込み片11bbの先端部を水平な切れ込み線11a、11cに挿入することにより、切れ込み11a、11b、11cを掛合させる。このように切れ込み11bを矢印型に形成することにより、一般ユーザーにとって、スタンディングパウチ1Eの胴部5の折り畳み状態の固定方法の理解が容易になる。
【0028】
図6Aのスタンディングパウチ1Fは、サイドシール固定機構として、左右両側のサイドシール3に、それぞれ山型の切れ込み11cを1カ所ずつ設けたものである。図6Bに示すように、この山型の切れ込み11cは、注出口8を開口後、胴部5を折れ線10aと折れ線10bで2回折り畳んだときの折り山の下端部12をちょうど押さえられる位置に形成されている。
【0029】
スタンディングパウチを形成するフィルムが折り畳み易いものであり、折れ線10a、10bにより胴部5がしっかりと折り畳まれる場合には、このような簡便な掛合によっても胴部5の折り畳み状態を保持することができる。
【0030】
図7Aのスタンディングパウチ1Gは、サイドシール固定機構として、上述の切れ込み11b、11cに代えて、互いに嵌合する凹凸加工13b、13cを設けたものである。凹凸加工13b、13cは、スタンディングパウチを形成するフィルムの成形により、スタンディングパウチと一体に成形されるもので、例えば、図7Cに示すように嵌合する簡易な構造の樹脂スナップとすることができる
【0031】
凹凸加工13b、13cの形成位置は、胴部5の折り畳みにより重なり合うサイドシール3のうち表側の外表面に位置する部分と、裏側の外表面に位置する部分である。また、サイドシール3の上端部であって、胴部5の折り畳みにより凹凸加工13b、13cの間に挟まれることとなる部分には、凹凸加工13b、13cの嵌合が妨げられないように、馬鹿穴14が設けられている。
【0032】
このスタンディングパウチ1Gでは、注出口8を開口後、図7Bに示すように、胴部5を折れ線10a、折れ線10bで2回折り畳み、サイドシール3a、3bに形成された凹凸加工13b、13cを嵌合させることにより、胴部の折り畳み状態を保持する。このスタンディングパウチ1Gによっても、一旦は開口した注出口8を閉じた状態に保持するために、スパウトやキャップは不用であり、環境負荷を抑制し、製造コストを削減することができる。
【0033】
図8Aのスタンディングパウチ1Hは、図1Aのスタンディングパウチ1Aの胴部5の下部に、スタンディングパウチの起立方向に伸びたリブ15を設けたものである。このようなリブ15により、内容物が残存しているスタンディングパウチ1Hの胴部5を折れ線10a、10bで折り畳んで保管するに際し、図8Bに示すように、起立状態を安定化させることができる。
【0034】
図9Aのスタンディングパウチ1Iは、上述と同様のリブ15を、図4Aのスタンディングパウチ1Dの胴部5の下部に設けたものである。
また、このスタンディングパウチ1Iには、胴部5を折り畳む折り線10a、10bの他に、これらよりも底部側にさらに折れ線10cが形成されている。図9Bに示すように、胴部5を折れ線10a、10bで折り畳んで切れ込み11b、11cを掛合させると、フィルムを折り畳んだ胴部5側に重心が偏り、図9Cに破線で示すようにスタンディングパウチが倒れるおそれが生じるが、底部側の折れ線10cにより、図9Cに示すように、胴部5を折り畳んだスタンディングパウチ1Iをく字型に屈曲させ、起立状態を安定化させることができる。ここで、底部側の折れ線10cは、胴部を折り畳むための折れ線10a、10bに比して弱い折れ筋とし、胴部5のフィルムを容易に二つ折りにするものではなく、く字形に屈曲させる程度の折れ線とすることが好ましい。
このように胴部5を折り畳んだスタンディングパウチ1Iの起立状態の安定化は、スタンディングパウチの背が高いことにより、起立状態が安定化しにくい場合に特に有効である。
【0035】
本発明において、胴部の折り畳み状態を保持させる折り畳み保持状態機構としては、サイドシール同士を掛合あるいは嵌合させるサイドシール固定機構の他、胴部に再剥離性の粘着領域を設けてもよい。
【0036】
胴部5の折れ線は、単に印刷したのみでも良い。また、折れ線は、スタンディングパウチを形成するフィルム材料によっては、省略することができる。通常は、折り畳み回数が2回以上に対応したものとする。折り込み回数が1回では、開口した注出口8を胴部5のフィルムで囲むことができず、液だれのおそれもある。折り込み操作を簡便にする点からは、3回よりも2回が好ましい。
【0037】
本発明のスタンディングパウチは、折り畳み保持状態機構を設ける以外は常法により製造することができ、スタンディングパウチを形成するフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ナイロンなどの樹脂フィルムのほか、樹脂にアルミ・アルミナ・シリカ等を蒸着したフィルム、また薄膜アルミをラミネートしたフィルム等を使用することができる。
【0038】
また、本発明において、上述したスタンディングパウチの構成は、適宜組み合わせることができ、切れ込み形状などについて、さらに種々の態様をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、食器洗用洗剤、洗濯洗剤、柔軟剤、全身洗浄剤等の液状物や、衣料用洗剤、自動食器洗浄機用洗剤、漂白剤等の粉末の詰め替え複数回分の詰め替え容器として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I スタンディングパウチ
2 フィルム
3、3a、3b サイドシール
4 上部シール
5 胴部
5b 胴部の下部
6 底部
7 ノッチ
8 注出口
10a、10b、10c 折れ線
11a、11b、11c 切れ込み
11cc 切れ込み片
12 折り山の下端部
13b、13c 凹凸加工
14 馬鹿穴
15 リブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のフィルムがサイドシールで接着されて胴部が形成されているスタンディングパウチであって、上部に注出口となる開口部を有し、
注出口を巻き込むように、胴部を上端から2回以上折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構を有するスタンディングパウチ。
【請求項2】
胴部に、注出口を巻き込むように、該胴部を上端から2回以上折り畳む折れ線が設けられている請求項1記載のスタンディングパウチ。
【請求項3】
折り畳み状態保持機構が、胴部の折り畳みにより重なり合うサイドシール同士を掛合又は嵌合させるサイドシール固定機構である請求項1又は2記載のスタンディングパウチ。
【請求項4】
サイドシール固定機構が、サイドシールに形成された切れ込みからなる請求項3記載のスタンディングパウチ。
【請求項5】
胴部の折り畳みにより重なり合うサイドシールのうち、表側と裏側の外表面をなす部分にそれぞれ切れ込みが形成されている請求項4記載のスタンディングパウチ。
【請求項6】
サイドシール固定機構が、サイドシールに形成された凹凸加工からなる請求項3記載のスタンディングパウチ。
【請求項7】
胴部の折り畳みにより重なり合うサイドシールのうち、表側と裏側の外表面をなす部分にそれぞれ凹凸加工が形成されている請求項6記載のスタンディングパウチ。
【請求項8】
胴部の下部に、スタンディングパウチの起立方向に伸びたリブが設けられている請求項1〜7のいずれかに記載のスタンディングパウチ。
【請求項9】
注出口を巻き込むように胴部を上端から2回以上折り折り畳む折れ線が設けられると共に、それよりも底部側に、胴部を屈曲させる折れ線が設けられている請求項1〜8のいずれかに記載のスタンディングパウチ。
【請求項1】
対向する一対のフィルムがサイドシールで接着されて胴部が形成されているスタンディングパウチであって、上部に注出口となる開口部を有し、
注出口を巻き込むように、胴部を上端から2回以上折り畳んだ状態を保持する折り畳み状態保持機構を有するスタンディングパウチ。
【請求項2】
胴部に、注出口を巻き込むように、該胴部を上端から2回以上折り畳む折れ線が設けられている請求項1記載のスタンディングパウチ。
【請求項3】
折り畳み状態保持機構が、胴部の折り畳みにより重なり合うサイドシール同士を掛合又は嵌合させるサイドシール固定機構である請求項1又は2記載のスタンディングパウチ。
【請求項4】
サイドシール固定機構が、サイドシールに形成された切れ込みからなる請求項3記載のスタンディングパウチ。
【請求項5】
胴部の折り畳みにより重なり合うサイドシールのうち、表側と裏側の外表面をなす部分にそれぞれ切れ込みが形成されている請求項4記載のスタンディングパウチ。
【請求項6】
サイドシール固定機構が、サイドシールに形成された凹凸加工からなる請求項3記載のスタンディングパウチ。
【請求項7】
胴部の折り畳みにより重なり合うサイドシールのうち、表側と裏側の外表面をなす部分にそれぞれ凹凸加工が形成されている請求項6記載のスタンディングパウチ。
【請求項8】
胴部の下部に、スタンディングパウチの起立方向に伸びたリブが設けられている請求項1〜7のいずれかに記載のスタンディングパウチ。
【請求項9】
注出口を巻き込むように胴部を上端から2回以上折り折り畳む折れ線が設けられると共に、それよりも底部側に、胴部を屈曲させる折れ線が設けられている請求項1〜8のいずれかに記載のスタンディングパウチ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公開番号】特開2013−6624(P2013−6624A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141719(P2011−141719)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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