説明

スタンド

【課題】手袋等に対して、簡便で効果的かつ長期的に、消臭、抗菌、防カビ等を施すことができる新規なスタンドを提供する。
【解決手段】手袋2等の開口12から内部に挿入されて、前記手袋等を、略通常使用時の形状を維持した状態で、前記開口を下にして保持するための本体部3の内部を空洞とし、前記本体部内に、徐放性機能剤8の収容部9を設けるとともに、前記本体部の上面(上端部)4、および側面に、前記徐放性機能剤を放散させるための放散口10、11を設けたスタンド1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば炊事用のゴム手袋等の手袋や、各種の帽子、ブーツ等の靴など(以下「手袋等」と略記する場合がある)は、消臭や抗菌、防カビといった観点から、使用後に内部の空気が十分に換気されるような状態にして保管することで、前記内部を十分に乾燥させることが重要である。
例えば手袋の場合は、二股に分かれたフック部を備えた手袋ホルダ(特許文献1)や、プレートに指部に対応する支持片を取り付けた手袋保持具(特許文献2)といった簡便なものが提案されている。
【0002】
しかし、これらの構成では菌やカビの発生を抑えるには不十分であり、特に発汗量が多いときや湿気が多いときなどに手袋内に悪臭やカビが発生しやすいという問題がある。
そこで消臭効果や抗菌、防カビ効果等を付与した専用のホルダやフックがいくつか提案されている。例えば特許文献3では、消臭剤を内部に収容したメッシュ構造の帽子置き・掛けが提案されている。
【0003】
かかる帽子置き・掛けによると、内部に収容した消臭剤によって帽子の内側が消臭され、しかもその効果がメッシュ構造でコントロールされるため消臭効果を一定期間持続することも期待できる。しかしメッシュ構造では持続効果は限定的であることから、中に入れる消臭剤の種類が限られ、消臭効果の大きさや持続性は十分とは言えなかった。
さらに箱型装置内部に複数の手袋をセットし、洗浄水やオゾンなどを自動投入したのち乾燥させる手袋洗浄乾燥装置および乾燥洗浄方法が提案されている(特許文献4)。
【0004】
かかる装置および方法によると、確かに十分な洗浄除菌効果は期待できるものの、装置が大掛かりであるため、一般家庭で使用することはできなかった。
特許文献5では、多孔質セルロースなどの担体にアリルイソチオシアネートなどの揮散性薬剤を封入したガス徐放性製剤が提案されている。このガス徐放製剤を使用すれば、長期に亘って薬剤の効果を持続させることができる。しかし、ガス徐放性製剤の取り付け位置によって製剤の作用が対象物以外にも及ぶため、効果の損失が避けられないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−220916号公報
【特許文献2】特開2005−160966号公報
【特許文献3】特開2009−148524号公報
【特許文献4】特開2003−170129号公報
【特許文献5】特開2008−133228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、手袋等に対して、簡便で効果的かつ長期的に、消臭、抗菌、防カビ等を施すことができる新規なスタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、上記課題を解決するために、徐放性機能剤を入れたスタンドを開発することとし、その形状と、消臭、抗菌、防カビ等の効果との関係を鋭意検討した。その結果、特定の形状を有するスタンドが、効率的かつ長期的にこれらの効果を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、手袋、帽子、靴等の開口から内部に挿入されて、前記手袋、帽子、靴等を、略通常使用時の形状を維持した状態で、前記開口を下にして保持するための本体部を備えたスタンドであって、前記本体部は内部が空洞とされ、前記本体部内には徐放性機能剤の収容部が設けられているとともに、前記本体部の、前記保持状態での上面、および側面には、前記徐放性機能剤を前記本体部外に放散させるための放散口が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、前記手袋等を、内部に挿入された本体部によって、その開口を下にして保持した状態としながら、前記本体部内に設けた収容部に収容された徐放性機能剤を、前記本体部の、前記保持状態での上面、および側面に設けた放散口から放散させることにより、前記手袋等の内部に十分に行き渡らせることができる。そのため簡便で効果的かつ長期的に、前記手袋等に対して、前記徐放性機能剤に付与した作用に基づいて消臭、抗菌、防カビ等を施すことが可能となる。
【0009】
前記本体部は、手袋等の対象物の形状等に応じて、任意の形状とすることができる。
例えば炊事用のゴム手袋やブーツ等の、略筒状の対象物について消臭、抗菌、防カビ等を効率的かつ長期的に施すことを考慮すると、前記本体部は縦型略筒状に形成され、前記本体部の底部近傍に徐放性機能剤の収容部が設けられているとともに、前記収容部を除く側面、および上端部のうちの少なくとも一方に前記放散口が設けられているのが好ましい。
【0010】
特に炊事用のゴム手袋などの柔軟な対象物を、略通常使用時の形状を維持した状態として、消臭、抗菌、防カビ等を効率的かつ長期的に施すことを考慮すると、前記本体部は、前記上端部から高さ方向の中間部にかけて徐々に断面積が小さくなり、前記中間部から底部にかけて徐々に断面積が大きくなる縦型略筒状に形成されているのが好ましい。
また前記縦型略筒状の本体部は、上端部の断面積が20cm以上であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手袋等に対して、簡便で効果的かつ長期的に、消臭、抗菌、防カビ等を施すことができる新規なスタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のスタンドの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のスタンドの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例のスタンド1は、図中に二点鎖線で示す炊事用のゴム手袋2に対して消臭、抗菌、防カビ等を施すためのものである。
前記スタンド1は、図に見るようにゴム手袋2内に挿入されて当該ゴム手袋2を保持するための本体部3を備えている。
【0014】
前記本体部3は、図の例の場合、上端部4から高さ方向の中間部5にかけて徐々に断面積が小さくなり、前記中間部5から底部6にかけて徐々に断面積が大きくなる略円筒状に形成されている。
底部6には、前記底部6よりも外径の大きい平板状の台板7が取り付けられている。これにより底部6が閉じられて、本体部3内の前記底部6の近傍が、徐放性機能剤8の収容部9とされている。収容部9内、すなわち本体部3内に露出した台板7上に、徐放性機能剤8が載置される。
【0015】
本体部3の上端部4は開放されて、徐放性機能剤8を放散させるための放散口10とされている。また本体部3の、前記収容部9を除く側面には、前記本体部3の内外を繋ぐ複数の通孔が設けられて、やはり徐放性機能剤8を放散させるための放散口11とされている。
台板7は、その面方向を、本体部3の軸方向と略直交させた状態で、前記底部6に取り付けられている。
【0016】
スタンド1を、前記台板7を下にして、例えば台所の流し台等の上に設置すると、本体部3が、軸方向を略鉛直方向に向けた状態とされる。そのため前記本体部3にゴム手袋2を被せると、図に示すように前記ゴム手袋2は、袖口の開口12を下にした状態で、前記本体部3によって保持される。
収容部9に収容した徐放性機能剤8は気化し、本体部3内を通って上端部4まで上昇して、前記放散口10を通して本体部3外に放散される。また途中に設けた放散口11からも本体部3外に放散される。そして本体部3に被されて保持されたゴム手袋2の内部に、消臭、抗菌、防カビ等の作用を及ぼす。
【0017】
本体部3と台板7とは、着脱可能に形成してもよい。着脱可能に形成した場合、収容部9に徐放性機能剤8を収容する作業や、効果に応じて徐放性機能剤8を入れ替える作業等が容易になるという利点がある。ただしスタンド1の構造を簡略化することを考慮すると、本体部3と台板7とは一体に形成してもよい。
また本体部3を、例えば中間部5において上下の部品に分割するとともに、着脱可能に形成してもよい。この場合も、本体部3と台板7とを着脱可能に形成した場合と同様の効果が得られる。
【0018】
本体部3は、図に示すようにゴム手袋2を被せることができ、しかも被せた際に、前記ゴム手袋2を、略通常使用時の形状を維持するように適度に拡げることができるように、特に上端部4の断面積を設定するのが好ましい。
具体的には、上端部4の断面積を20cm以上に設定するのが好ましい。これにより、本体部3に被せたゴム手袋2の、前記上端部4に対応する掌部13を、略通常使用時の形状を維持するように広げることができるとともに、前記掌部13の、図において上方に連なる指部14が折れ曲がるのを防止できる。さらに掌部13、図において下方に連なって開口12に至る袖部15をも、略通常使用時の形状を維持するように広げることができる。
【0019】
そのため収容部9から気化して、放散口10、11を通して放散された徐放性機能剤8を、ゴム手袋2の内部の隅々まで行き渡らせて、消臭、抗菌、防カビ等の作用を及ぼすことができる。
なお上端部4の断面積の上限は特に限定されない。ただしゴム手袋2を、本体部3に対してできるだけスムースに着脱できるようにすることを考慮すると、前記上端部4の断面積は30cm以下に設定するのが好ましい。
【0020】
中間部5、および底部6の断面積は任意に設定できるが、中間部5の断面積は1cm以上、特に5cm以上に設定するのが好ましい。これにより、収容部9から気化して上昇する徐放性機能剤8をできるだけスムースに通過させることが可能となる上、前記中間部5の強度を十分に確保することもできる。
また前記中間部5の断面積は15cm以下に設定するのが好ましい。これにより、ゴム手袋2の、掌部13から開口12に続く袖部15と、本体部3との間に適度な隙間を設けて、気化した徐放性機能剤8を、放散口11を通してよりスムースに、ゴム手袋2内に行き渡らせることができる。
【0021】
底部6の断面積は、20cm以上に設定するのが好ましい。これにより、本体部3に被せたゴム手袋2の袖部15を、略通常使用時の形状を維持するように広げつつ、袖口の開口12との隙間をできるだけ小さくして、気化した徐放性機能剤8が外部へ漏出するのをできるだけ抑制することができる。
なお底部6の断面積の上限は特に限定されない。ただしゴム手袋2を、本体部3に対してできるだけスムースに着脱できるようにすることを考慮すると、前記底部6の断面積は30cm以下に設定するのが好ましい。
【0022】
スタンド1は、ゴム手袋2の処理に使用しないときに、例えば台所等の装飾としても利用できるように、任意のデザインを施すのが好ましい。
例えば図の例では、前記のように本体部3を、上端部4から中間部5にかけて徐々に断面積が小さくなり、前記中間部5から底部6にかけて徐々に断面積が大きくなる縦型略円筒状に形成するとともに、前記本体部3の側面に、円形で、しかも開口径の異なる複数の放散口11をランダムに設けている。
【0023】
この他、例えば前記放散口11を、三角形、四角形、五角形以上の多角形等の幾何学形状に形成したり、動物や植物、星、その他キャラクターといった任意の形状に形成したりしてもよい。
また本体部3を、前記円筒状以外の、例えば断面形状が三角形、四角形、五角形以上の多角形等の幾何学形状である筒状に形成したり、動物や植物、星、その他キャラクターといった任意の断面形状の筒状に形成したりしてもよい。
【0024】
先に説明したように、本体部3の底部6の近傍の、側面に前記放散口11を設けていない領域が、徐放性機能剤8の収容部9とされる。
前記収容部9の、底部6からの高さは任意に設定できる。
ただし本体部3の、上端部4から底部6までの高さ、および前記本体部3に被せるゴム手袋2の長さ等に応じて、前記収容部9の高さを設定するのが好ましい。
【0025】
すなわち前記底部6から、図に示すように本体部3に被せるゴム手袋2の袖口の開口12よりも上の任意の位置までの領域を収容部9とする、つまり開口12より下には放散口11を設けないようにするのが好ましい。
これにより、気化した徐放性機能剤8が外部へ漏出するのをできるだけ抑制することができる。
【0026】
前記収容部9の高さの具体的な数値は特に限定されないが、1cm以上であるのが好ましく10cm以下であるのが好ましい。収容部9の高さが1cm未満では、前記気化した徐放性機能剤8が外部へ漏出するのを抑制する効果が十分に得られないおそれがある。また10cmを超える場合には収容部9、ひいては本体部3が過大に大きくなりすぎてスタンド1の材料コストが嵩んだり、スタンド1をおいておく場所が限られたりするおそれが生じる。
【0027】
収容部9に収容する徐放性機能剤8としては、通常は固体または液体で、大気中で徐々に放散してゴム手袋2等に消臭、抗菌、防カビ等の作用を及ぼすことができる種々のものが使用可能である。
前記徐放性機能剤8としては、これに限定されないが、例えば、常温で揮発性を有する抗菌剤、防カビ剤、消臭剤等を多孔質セルロース等の担体中に封入したガス徐放性製剤等が挙げられる。前記ガス徐放性製剤の具体例としては、徐放性抗菌・防カビ剤であるアリルイソチオシアネート包埋多孔質セルロースビーズ〔レンゴー(株)製のワサエース(登録商標)〕等が挙げられる。
【0028】
本発明の構成は、以上で説明した図の例のものには限定されない。例えば同じ縦型筒状の本体部を有するスタンドでもブーツ用の場合は、被せるブーツの寸法、形状等に応じて、前記本体部の各部の断面積や高さ、あるいは本体部の形状等を適宜変更するのが好ましい。
またブーツ以外の靴やゴム手袋以外の手袋、あるいは帽子等のためのスタンドの場合は、処理対象の形状に応じて、本体部を縦型筒状以外の任意の形状に形成することができる。例えば球形、直方体形、円錐形、多角錐形といった幾何学形状や、動物や植物、星、その他キャラクターといった任意の形状に形成してもよい。
【0029】
その他、本発明の用紙を逸脱しない範囲で、適宜の設計変更を施すことができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例、比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈実施例1〉
図1に示すように、上端部4から高さ方向の中間部5にかけて徐々に断面積が小さくなり、前記中間部5から底部6にかけて徐々に断面積が大きくなる縦型略円筒状の本体部3と台板7とを備え、かつ前記上端部4の断面積が25cm、中間部5の断面積が10cm、底部6の断面積が25cmであるスタンド1を作製した。
【0031】
前記本体部3の上端部4は開口させて放散口10とした。また本体部3の側面には、図に示すように円形でかつ開口径の異なる複数の放散口11をランダムに設けた。
本体部3内の前記底部6の近傍を、徐放性機能剤8の収容部9とした。収容部9内、すなわち本体部3内に露出した台板7上に、徐放性機能剤8を載置することとした。
本体部3に、市販の炊事用のゴム手袋〔(株)ダンロップホームプロダクツ製の天然ゴム手袋SP−7〕を被せた際に、図1に示すように、前記ゴム手袋2の開口12より下には放散口11が露出しないように、前記本体部3の高さ、および収容部9の高さを設定した。中間部5の位置は、本体部3の高さのちょうど半分の位置とした。
【0032】
前記収容部9に、前出のレンゴー(株)製のワサエースを一定量収容した。
〈実施例2〉
本体部を、上端部の断面積が10cm、中間部の断面積が10cm、底部の断面積が25cmで、上端部から底部にかけて一方的に断面積が大きくなる縦型略円筒状に形成したこと以外は実施例1と同様にしてスタンドを作製した。
【0033】
前記本体部の上端部は開口させて放散口とした。また本体部の側面には、円形でかつ開口径の異なる複数の放散口をランダムに設けた。上端部および側面の放散口の開口面積の合計は実施例1と同じに設定した。
本体部内の前記底部の近傍を、徐放性機能剤の収容部とした。収容部内、すなわち本体部内に露出した台板上に、徐放性機能剤を載置することとした。
【0034】
本体部の高さ、および収容部の高さも実施例1と同じに設定した。中間部の位置は、本体部の高さのちょうど半分の位置とした。
前記収容部に、ワサエースを実施例1と同量収容した。
〈実施例3〉
本体部を、上端部、中間部、および底部の断面積がいずれも15cmで、上端部から低部まで断面積が等しい縦型円筒状に形成したこと以外は実施例1と同様にしてスタンドを作製した。
【0035】
前記本体部の上端部は開口させて放散口とした。また本体部の側面には、円形でかつ開口径の異なる複数の放散口をランダムに設けた。上端部および側面の放散口の開口面積の合計は実施例1と同じに設定した。
本体部内の前記底部の近傍を、徐放性機能剤の収容部とした。収容部内、すなわち本体部内に露出した台板上に、徐放性機能剤を載置することとした。
【0036】
本体部の高さ、および収容部の高さも実施例1と同じに設定した。中間部の位置は、本体部の高さのちょうど半分の位置とした。
前記収容部に、ワサエースを実施例1と同量収容した。
〈実施例4〉
徐放性機能剤の収容部を、本体部の中間部に設けたこと以外は実施例3と同様にしてスタンドを作製した。
【0037】
前記収容部に、ワサエースを実施例1と同量収容した。
〈比較例1〉
実施例4のスタンドの収容部にワサエースを収容しないものを比較例1とした。
〈比較例2〉
前記ワサエースを直接ゴム手袋内に投入して、スタンドを使用せずに机上に静置したものを比較例2とした。
【0038】
〈比較例3〉
スタンドおよびワサエースを使用せずに、ゴム手袋を通常の洗濯用ハンガーに吊り下げたものを比較例3とした。
〈カビの繁殖度評価〉
日本工業規格JIS Z2911:2010「かび抵抗性試験方法」所載の試験方法に則って、ゴム手袋におけるカビの発生度合いを評価した。
【0039】
すなわち市販のゴム手袋〔前出の(株)ダンロップホームプロダクツ製の天然ゴム手袋SP−7〕の内部にAspergilus niger、Chaetomium globosum、およびPenicillium citrinumの3種のカビの混合物を拭きつけた後、実施例1〜4、比較例1のスタンドについては本体部に被せた状態で、温度25℃、相対湿度70%の環境下で静置した。
また比較例2、3については、前記の状態として、同様に温度25℃、相対湿度70%の環境下で静置した。
【0040】
そして3日後、および1ヵ月後に、それぞれのゴム手袋の親指、中指、小指、掌、甲、および袖部の5箇所から、それぞれ3cm×3cm角のシートサンプルを切り出し、寒天培地上にセットして28℃で7日間静置した後、繁殖したカビの状態を観察して、下記の4段階で評価した。
◎:カビの繁殖は全く確認されなかった。
【0041】
○:ごく僅かにカビが繁殖しているのが確認された。
×:カビが繁殖しているのが確認された。
××:多量のカビが繁殖しているのが確認された。
以上の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1より、ゴム手袋を単に洗濯用ハンガーに吊り下げただけの比較例3では、防カビ効果が全く得られないことが判った。
また実施例4と同じスタンドを使用したものの、徐放性機能剤を使用しなかった比較例1は、比較例3ほどではないものの、やはり防カビ効果が得られないことが判った。
さらにスタンドを使用せず、ゴム手袋内に直接に徐放性機能剤を投入した比較例2は、投入された徐放性機能剤が近くにあった部分では防カビ効果が得られるものの、それ以外の部分では防カビ効果が得られないことが判った。
【0044】
これに対し、スタンドと徐放性機能剤とを使用した実施例1〜4では、良好な防カビ効果が得られることが判った。
また各実施例を比較すると、上端部の断面積が20cm未満で、かつ本体部が図1の形状を有しない実施例2〜4は、いずれも本体部に被せた状態でゴム手袋の指部が折れ曲がりやすいため、前記指部に対する防カビ性が、実用上、差し支えのない範囲ではあるものの、僅かに低くなる傾向があることが判った。
【0045】
また、高さ方向の中間位置に徐放性機能剤の収容部を設けた実施例4は、さらに掌部以下の領域に対する防カビ性も、実用上、差し支えのない範囲ではあるものの、僅かに低くなる傾向があることが判った。
これに対し、上端部の断面積が20cm以上で、本体部が図1の形状を有する上、底部近傍に徐放性機能剤の収容部を設けた実施例1は、ゴム手袋の全体に対して高い防カビ性を発揮しうることが判った。
【符号の説明】
【0046】
1 スタンド
2 ゴム手袋
3 本体部
4 上端部
5 中間部
6 底部
7 台板
8 徐放性機能剤
9 収容部
10 放散口
11 放散口
12 開口
13 掌部
14 指部
15 袖部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手袋、帽子、靴等の開口から内部に挿入されて、前記手袋、帽子、靴等を、略通常使用時の形状を維持した状態で、前記開口を下にして保持するための本体部を備えたスタンドであって、前記本体部は内部が空洞とされ、前記本体部内には徐放性機能剤の収容部が設けられているとともに、前記本体部の、前記保持状態での上面、および側面には、前記徐放性機能剤を前記本体部外に放散させるための放散口が設けられていることを特徴とするスタンド。
【請求項2】
前記本体部は縦型略筒状に形成され、前記本体部の底部近傍に徐放性機能剤の収容部が設けられているとともに、前記収容部を除く側面、および上端部のうちの少なくとも一方に前記放散口が設けられている請求項1に記載の手袋スタンド。
【請求項3】
前記本体部は、前記上端部から高さ方向の中間部にかけて徐々に断面積が小さくなり、前記中間部から底部にかけて徐々に断面積が大きくなる縦型略筒状に形成されている請求項2に記載の手袋スタンド。
【請求項4】
前記本体部は、上端部の断面積が20cm以上である請求項2または3に記載の手袋スタンド。

【図1】
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【公開番号】特開2012−152351(P2012−152351A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13385(P2011−13385)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】