説明

スターリングサイクルマシン用衝突式熱交換器

【課題】必要な熱伝達容量を提供するスターリングサイクルマシンの使用のための熱交換器を提供する。
【解決手段】スターリングサイクルマシン用熱交換器は、作動流体を収容する入口、複数の溝(265)が形成されている衝突バッフル(215)、及び前記スターリングサイクルマシンの内壁(240)と衝突バッフル(215)間の空間に形成されたマニホルド(235)を含み; 作動流体は、第1方向に流動されるとき、前記スターリングマシンの内壁上で衝突され、第2方向に流動されるときは、前記スターリングサイクルマシンのチャンバー内に向かうことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリングサイクルマシンに関するものであり、特に作動時に作動流体へ、また作動流体から熱を伝達するために使用されるスターリングサイクルマシン(stirling cycle machine)における熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スターリングサイクルエンジン(stirling cycle engine)は、19世紀初期、Robert Stirlingによって考案された。19世紀中盤には、高温ガスエンジン(hot gas engine)の商業的応用がミル(mill)に回転動力を提供するために考案された。エンジン及び冷却器を含むスターリングサイクルマシンは、参考としてここに含まれたWalker, Stirling Engines, Oxford University Press(1980)に詳細に説明されている。
【0003】
スターリングサイクルエンジンの基本的な原理は、スターリング熱力学サイクルの機械的な実現である[1)シリンダー内でのガスの等的加熱,2)ガスの等温膨脹(ピストンを駆動することによって作業が行われる間),3)等温冷却,及び4)等温圧縮]。スターリングサイクルマシンの実施形態に関する付加的な背景技術とこれに対する改善策は、ここで、参考として含まれたHargreaves、 The Phillips Stirling Engine(Elsevier、Amsterdam、1991)で論議された。
【0004】
スターリングエンジンの高理論効率は、最近になって相当な関心を呼び起こした。スターリングエンジンは、燃焼排出物の容易な制御、安全で安値であり、より容易に利用できる燃料の潜在的な使用及び静的な走行作動の付加的な長所を付加させ、これらの付加的な長所は、結合されて多くの応用のために内燃機関に対する非常に望ましい代替品としてスターリングエンジンを作る。
【0005】
このような長所にもかかわらず、スターリングエンジンの開発は、期待したより非常に遅く進行された。より深刻ないくつかの問題点は、作業空間内で、高圧で作動ガスを密封する必要性、熱源から作動ガスへヒーターヘッド(heater head)を通じて高温度で熱を伝達する必要性、及び負荷の変動によって動力を調節する単純で信頼性のある経済的な手段に対する必要性を有するということである。
【0006】
多様な適用に最も適合した一つの設計は、フリー-ピストンスターリングエンジン(free-piston stirling engine)である。フリー-ピストンスターリングエンジンは、機械的に動力出力部材と独立的なディスプレーサ(displacer)を使用する。動力出力部材と関連したディスプレーサでの動き及びフェイジング(phasing)は、機械的な連結よりもスプリング及びメス(mass)の均衡動的システム(balanced dynamic system)の状態によって達成される。
【0007】
スターリングエンジンは、広範囲な応用に使用するために提案された。例は、外部空間における応用、冷却システム及び自動車の応用を含む。パワー ポータブル電子装備(power portable electronics equipment)、通信装置、医療装置及び遠隔分野のサービスにおける他の装備に対する必要性は、他の機会を提供する。これは、これらの応用が高出力及びエネルギー密度を提供する電力原を要求する一方、最小サイズ及び重量、低排出物及び費用を必要とするためである。
【0008】
これまで、バッテリーは携帯用電源を供給する主要手段であった。しかし、バッテリーの再充電のために必要な時間は、連続的な使用において障害になるということが判明した。
しかも、携帯用バッテリーは、通常、数ミリワット乃至数ワットの範囲で電力生産において制限されていることによって移動機器の相当なレベル、軽量の電力生産に対する必要性を提起することができない。
【0009】
又、ガソリン機関なのか、ディーゼル機関なのかに関係なく、内燃機関によって動力が供給される小型発電機が使用された。しかし、この小型発電機の騷音及び排出特性のため、広範囲な移動機器の電力システムに対して全的に不適切であり、室内で使用するには安全でない。高エネルギー密度の液体燃料により動力が供給される従来の熱機関が、サイズにおいて長所を提供する反面、熱力学的スケーリング(thermodynamic scaling)及び単価に対する配慮は、大型発電所で使われるものに偏る傾向がある。
【0010】
エンジンの設備において、電力を生産する目的で又は冷却設備において冷却を目的にスターリングサイクルを実行するため、これらの機械は、外部熱源及び外部ヒートシンク(heat sink)二つとを備えなければならない。機械の外部圧力管壁と作動流体間の熱伝逹は、典型的に内部の熱交換器を使用して達成することができる。できる限り、多くの熱がエンジンの構成要素又は他の吸熱体よりは、むしろ作動流体に伝達される時、最大効率が得られる。
【0011】
作動流体への熱伝達は、 三種類の熱交換器の特性によって影響を受ける: 1) 熱源/ヒットシンク及び作動流体と接触するようになる熱交換器の表面的、2) 作動流体と表面間の熱伝達率、3)熱交換器の表面と作動流体間の温度差。改善された熱伝達は、これらの三つのパラメーターのうち、いずれか又は皆を増加させることによって達成できる。
スターリングエンジンにおける高熱効率への欲求は、高蓄熱器の効率に影響を与え、結果的に蓄熱器から取り出され、ホットエンド熱交換器(hot end heat exchanger)[以後、“ヒーター(heater)”として言及されている]に取り入れられる流体は、ヒーター壁(heater wall)の温度近辺にあるということを表す。同じように、蓄熱器から取り出されてコールドエンド熱交換器(cold end heat exchanger)[ここで“クーラー(cooler)”と言及されている]に取り入れられる作動流体の温度は、クーラー壁の温度近辺を表す。又、エンジンの圧力変化は、フリーピストンスターリングマシンの実施形態において特に典型的に小さいため、エンド状態(end state)の膨脹又は圧縮された流体温度は、それぞれヒーター及びクーラーの壁の温度へ向かう傾向がある。又、従来のヒーター またはクーラー熱交換器における作動流体の温度は、それぞれの熱交換器の入口で熱交換器の壁と作動流体間の温度差によって空間的に変化し、熱交換器の出口で最小に到達するまで熱交換器の長さに従って減少し、ここで熱交換器が適切に設計されたとすれば、作動流体は熱交換器の壁の温度近辺にほとんど到達するようになる。したがって、良く設計されたスターリングサイクルマシンにおいて作動流体とヒーター/クーラー熱交換器間の効率的な温度差は設計上小さい。
【0012】
従来のスターリングサイクルマシン用熱交換器の設計は、管または代案で多様なタイプのフィン(fin)等の流路内の延長面、厚い壁内のスロットまたはホールを採用する。スターリングサイクルマシン内に使用された伝統的な熱交換器の設計は、前記に論議されたような作動流体と熱源間の低い温度差により作動される。熱源/ヒットシンクと作動流体間の低い温度差を補償するために、スターリングサイクルマシンと関して伝統的な熱交換器の応用は、他の交換を体験するようになる。
【0013】
例えば、いくつかの場合、効果的な熱伝達のために必要な増加された面積を提供するよう、熱交換器の構造は所望より大きくなければならない。これはより大きなエンジンサイズ、他のエンジン構成部品のための小さい空間、またはこれらの皆を惹起させる。また、いくつかの場合、必要な熱伝達を達成するために設計された解決策は、高価の材料、時には、外部の材料だけでなく、信頼性のある製造工程及び設計に比べて高価であり、時間の消費が大きく、時には、信頼性の低い材料に対する使用を必要とする。
【0014】
また、従来の熱交換器の設計に他の欠点も存在する。例えば、最小の熱抵抗を達成するために圧力容器と熱交換器の壁間の金属-金属接触の必要性は製造するのに難しいため、高価の設計を惹起させる。
必要な熱伝達を達成するために大きな表面的を提供する代わりに熱交換器はある程度の高圧力低下の費用にもかかわらず、高熱伝達率を発生させるように設計されることができる。しかし、相当な製造、組立及び単価の利得は、延びた面の熱交換器に対する必要性を除去することによって生じることができる。
【非特許文献1】Walker, Stirling Engines, Oxford University Press(1980)
【非特許文献2】Hargreaves、 The Phillips Stirling Engine(Elsevier、Amsterdam、1991)
【非特許文献3】G.Failla等による「Enhanced Jet Impingement Heat Transfer with Crossflow at Low Reynolds Numbers」(published in the Journal of Electronics Manufacturing, Vol.9, No.2, June 1999)
【非特許文献4】D.M.Kercher 及び W.Tabakoffによる「Heat Transfer by a Square Array of Round Air Jets Impinging Perpendicular to a Flat Surface Including the Effect of Spent Air」(published in the Journal of Engineering Power, January 1970)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一つの実施形態は、必要な熱伝達容量を提供するスターリングサイクルマシンの使用のための熱交換器を提供することである。
本発明の他の実施形態は、単価が効果的で機能的に信頼性のある熱交換器を提供することである。
本発明のもう一つの実施形態は、容易に製造できて設置することができる熱交換器を提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの実施形態は、経済的に製造されて設置することができる熱交換器を提供することである。
本発明のもう一つの実施形態は、熱伝達を最大化させ、温度増減を調節するために外部の熱交換器の空間的な熱伝達特性と符合させるように熱伝達を局部的に変化させることができる能力を提供する熱交換器を提供することである。
【0017】
本発明のもう一つの実施形態は、流動方向によって非常に相異する速度で、作動流体へ/作動流体から熱を伝達する能力を提供し、向上した効率及び/または出力のために熱力学サイクルを向上及び/または修正できる熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の好ましい形態は、相当な熱伝達改善及び単価減少を提供することができる衝突式熱交換器を含む。本発明の熱交換器は、作動流体が圧力容器面 上に衝突するスターリングサイクル間、熱源と作動流体間の大量の熱伝達が発生するように作動する。この衝突式熱交換器は、前記圧力容器面上での作動流体の衝突が、いずれか一側の流動方向に発生するように構成することができる。同様に、クーラーにおいて、衝突式熱交換器は、流体が圧縮空間に取り入れられたり、ここから取り出されるサイクル間に流体から伝達される大量の熱が発生するように構成することができる。
【0019】
本発明によると、二つの相異する衝突式熱交換器の構成が可能である。第一に、ヒーターとクーラー応用のための順方向流動衝突式熱交換器(forward flow impingement heat exchanger)(“FFIHX”)構成で言及されたことにおいては、衝突熱伝達は、流体が順方向に移動する間に発生し、圧力容器内の膨脹 空間に向ける。一方、本発明の熱交換器の2番目の構成と関連して、ヒーターとクーラー応用のための逆方向流動衝突式熱交換器(backward flow impingement heat exchanger)(“BFIHX”)構成として言及されたことにおいて、衝突式熱伝達は、作動流体が逆方向へ移動する間に発生して、圧力容器の圧縮空間に向ける。
【0020】
本発明の熱交換器のFFIHX構成は、クーラー又はヒーターと関連して使用されることができる。ヒーターの一実施形態において、FFIXXは、熱交換器と圧力容器壁の間のマニホルドより圧力容器の膨脹空間に隣接して位置される。このような方式で、蓄熱器からの作動流体は、順方向流動熱交換器に取り入れて衝突ポートを通過し、容器壁の加熱面上に衝突されるように加熱できる。作動流体が膨脹空間から蓄熱器を通して圧縮空間に提供され、冷却が要望されれば、作動流体は、順方向流動熱交換器を通過して熱交換器のクーラー内部面上に衝突される。FFIHXヒーターの構成によると、作動流体へ伝達される大量のサイクルの熱は、流動が膨脹空間に向けるようになる時、達成される。圧力容器からFFIHXヒーター内の作動流体へ伝達される全体熱の摩擦は、サイクルの逆方向流動部に反対のサイクルの順方向流動部分間、FFIHXの特定設計を通じて合うことができる。
【0021】
本発明の熱交換器のBFIHXの構成は、クーラー又はヒーターと関して使われることができる。前者の場合、BFIHXは、圧縮空間に隣接した蓄熱器の下に配置される。相対的に加熱した状態にある作動流体は、圧縮空間からエンジンの膨脹空間に向けるようになるため、BFIHXを通じて圧縮空間に隣接した熱交換器の相対的に熱い表面上に衝突される。流体が膨脹空間から圧縮空間への、前記と他の方向に流動されて冷却が要求されれば、流体は、前記クーラー機構の相対的に冷たい面である圧力容器上に衝突される。BFIHXクーラーの構成によると、作動流体から取り出された大量のサイクル熱は、流動が圧縮空間に向けるようになる時達成される。作動流体からBFIHXクーラー内の圧力容器壁へ伝えられる全体熱の摩擦は、サイクルの順方向流動部に反対のサイクルの逆方向流動部分間にBFIHXの特定設計を通じて合うことができる。
【0022】
また、BFIHXの構成は、ヒーティングキャパシティー(heating capacity)に使用されることができる。この場合、本発明のこのような形態の熱交換器は、膨脹空間に隣接した圧力容器の上部に配置される。作動流体が圧縮空間から膨脹空間に向けて流動された後、蓄熱器を通過するようになれば、この流体は、衝突ポートを通して膨脹空間に取り入れられるに先立って、圧力容器壁の相対的に熱い面と衝突バッフルの間を流動するという事実によって熱伝達を達成することができる。作動流体が膨脹空間から圧縮空間に向けるようになる時、圧力容器壁上に衝突し流体が加熱される。流体は、圧縮空間を通して連続的に流動されるため、逆流の時、とりもどすことができる多くの熱を奪うことができる蓄熱器を通過する。
【0023】
これにより、作動流体の圧縮及び膨脹を通じて作動するスターリングサイクルマシンが提供されており、
このスターリングサイクルマシンは、ピストンにより第1シリンダー内に形成された膨脹チャンバー及び前記ピストンにより第2シリンダー内に形成された圧縮チャンバーを含んでおり、
前記膨脹チャンバー及び圧縮チャンバーは、ひとつ以上の流路を通して連通されており、
前記流路は、一つ以上の熱交換器を含み、この一つ以上の熱交換器は、前記圧縮チャンバーに向かって作動流体が流動される時と反対方向である前記膨脹チャンバーに向かう方向に作動流体が流動される時より、高い熱伝達の機能を提供する。
【0024】
また、作動流体を収容入口、
複数の溝が形成された衝突バッフル及び
前記スターリングサイクルマシンの内壁と、前記衝突バッフルの間の空間に形成されたマニホルドを含むスターリングサイクルマシン用熱交換器が提供されており:
前記作動流体は、第1方向に流動される時、前記スターリングサイクルマシンの内壁上に衝突され、第2方向に流動される時、前記スターリングサイクル マシンのチャンバーに向かうようになる。
【0025】
また、ピストンによってシリンダー内に形成された膨脹チャンバーを提供する段階、
前記ピストンによって前記シリンダー内に形成された圧縮チャンバーを提供する段階、及び
一つ以上の流路を通し、前記圧縮チャンバーと前記膨脹チャンバーの間を作動流体が流動するようにする段階を含むスターリングサイクルマシン内で、作動流体の温度を調節する方法が提供されており;
前記流路は、一つ以上の熱交換器を含み、この一つ以上の熱交換器は前記圧縮チャンバーに向かって作動流体が流動される時と反対の方向である、前記膨脹チャンバーに向かう方向に作動流体が流動される時より、ほぼ高い熱伝達の機能を提供する。
【0026】
また、下記に更に詳細に説明され、当業者により理解できる本発明の他の実施形態が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、例として挙げられた本発明の好ましい形態と添付図面を参照し、より詳細に本発明を説明する。
図1〜図4に図示された実施形態を参照しよう。ここで、同一の符号は、同一の部分を示すために使用された。本発明は、フリーピストンスターリングエンジンの内容に関して説明しているが、これに必ずしも限定されるものではない。また、本発明の多様な他のアプリケーション(application)は、エンジン又はマシンが、スターリングサイクルに基づいて作動するかの可否に関係なく、例えば、多様なヒットエンジン(heat engine)及びクーラーマシン(cooler machine)と関連したアプリケーションを含む。
【0028】
図1は、本発明により設計されたフリーピストンスターリングエンジン(FPSE)(100)の部分断面図である。FPSE(100)は、ディスプレーサピストン(displacer piston)(150)が軸方向に往復運動するシリンダー(170)を含む。ディスプレーサピストン(150)は、このディスプレーサピストン(150)とシリンダーヘッド(140)の間で、可変的な体積を有する膨脹チャンバー(180)を形成する。膨脹チャンバー(180)の体積は、ディスプレーサピストン(150)がシリンダーヘッド(140)に向かい、又、このシリンダーヘッド(140)から遠くなる方向に往復運動するようなエンジンの作動時に変更される。ディスプレーサピストン(150)は、ディスプレーサピストンロッド(160)上に置かれる。ディスプレーサピストン(150)の下にある圧縮チャンバー(190)は、またディスプレーサピストン(150)及びパワーピストン(power piston)(図示されていない)と関連して体積が変わる。圧縮チャンバー(190)は、通常、一端にはディスプレーサピストン(150)が形成されており、他端にはパワーピストンの上面が形成されている。
【0029】
図1に図示されたFPSE(100)の作動は、通常、次のように進行される。熱源は、FPSE(100)のシリンダーヘッドに図示されたように適用される。結果的な熱エネルギーは、シリンダーヘッド(140)における圧力容器を通して伝えられ、下記に、より詳細に説明された通り、熱交換器(130)を通して作動流体に分配される。スターリングサイクルを達成するため、マシン内での圧縮及び膨脹体積の動き、又、熱交換器を通じた作動流体の動きは、ディスプレーサピストン(150)の動作により顕著に駆動される。スターリングサイクル間にディスプレーサピストン(150)が上方に動くため、膨脹チャンバー(180)内の作動流体は、膨脹チャンバー(180)から逆方向へ移動して熱交換器(130)、蓄熱器(110)、熱交換器(120)を通して圧縮チャンバー(190)に移動する。理想的なスターリングサイクルにおいて、パワーピストン(図示されていない)は、ディスプレーサピストン(150)の上方運動の後、最大量の作動流体が圧縮空間(190)内に置かれる時、作動流体を圧縮するように移動する。当業者は、スターリングサイクルの実際の実施形態において、ディスプレーサピストン(150)及びパワーピストンの動きは、互いに断絶されたり、又は完全に分離されているものではないということを理解できるであろう。
【0030】
ディスプレーサピストン(150)が下方に動くことによって、圧縮チャンバー(190)内の作動流体は、順方向に移動して熱交換器(120)、蓄熱器(110)、熱交換器(130)を通して膨脹チャンバー(180)に取り入れられる。作動流体の順方向への移動中に作動流体は加熱され、パワーピストンが膨脹方向に作動流体により押されることによって、作動流体の膨脹結果としてサイクルから機械的な作業が省略できる。
【0031】
図1に図示された特定の実施形態は、熱交換器(120)としてBFIHXと、熱交換器(130)としてBFIHXを採用する。次の議論を目的に、本実施形態でのそれぞれの機能によって熱交換器(120)は、「クーラー」と言及され、熱交換器(130)は「ヒーター」と言及される。以下、FPSE(100)の動作と関連した各熱交換器の動作について全て論議される。
図1におけるBFIHXヒーター(130)は、図2に非常に詳細に図示されている。
【0032】
図2を詳細に参照してみると、BFIHX衝突バッフル(215)は、蓄熱器(210)に固着されて支持される。銅めっき(図示されていない)は、シリンダーヘッド(240)の内面に沿って「ホットスポット(hot spot)」の緩和を助けるために必要な圧力容器壁(240)の内面に沿って選択的に配置される。
本発明の好ましい実施形態によると、衝突バッフル(215)には、複数の溝(265)が形成されて圧力容器壁(240)又はディスプレーサ(250)の表面に対して、ジェット衝突熱伝達(jet impingement heat transfer)を提供する。下記に詳細に説明される通り、流体の流動方向は「順方向」又は「逆方向」に関係なく、作動流体が衝突する面を決定する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、BFIHX衝突バッフル(215)には、特定 数の溝(265)が、特定溝間隔及びパターンに形成されてジェット衝突を通じ熱伝達を最大化する。例えば、ジェット衝突機能を最大化させる技術を説明する、G.Failla等による「Enhanced Jet Impingement Heat Transfer with Crossflow at Low Reynolds Numbers」(published in the Journal of Electronics Manufacturing, Vol.9, No.2, June 1999)と、D.M.Kercher 及び W.Tabakoffによる「Heat Transfer by a Square Array of Round Air Jets Impinging Perpendicular to a Flat Surface Including the Effect of Spent Air」(published in the Journal of Engineering Power, January 1970)等のジェット衝突技術と関連した多くの文書及び他の情報源が存在する。
【0034】
本発明の目的のために1〜3mmの範囲を有し、中心から中心まで6〜10mmの範囲に離隔されている衝突バッフルの面を通じて非常に均一の形態に離隔されている溝直径が採用できる。衝突バッフル(215)は、ステンレススチールで製造でき、スピニング(spinning)、ドローイング(drawing)、ディップドローイング(deep drawing)、ハイドロ-フォーミング又はソリッドストック(solid stock)からの機械加工等の多様な技術を用いて形成されることができる。
【0035】
本発明の新規な熱交換器の設計によると、作動流体に、又、作動流体からの熱伝達量は、作動流体の方向[即ち、膨脹チャンバー(280)に向かう「順方向」又は膨脹チャンバー(280)から遠くなる「逆方向」]によって変化される。BFIHXヒーターの構成によると、前記サイクル間、作動流体に伝達された大量の外部熱は、流動が逆方向にある時に発生する。作動流体は、膨脹空間(280)から衝突バッフル(215)を通して逆方向に流動される時圧力容器 壁(240)上に衝突される。膨脹空間(280)から膨脹された作動流体と、圧力容器壁(240)の間の非常に大きな温度差と結合された衝突によって達成できる高い 熱伝達速度は、次に衝突される作動流体が圧力容器壁温度の近くの温度に到達するようにする。以後、作動流体はBFIHXクーラー(120)に取り入れられる前に多くのエネルギーを奪う蓄熱器(210)内へ進む。よく設計された機械において、作動流体が膨脹空間(280)に復帰される時、熱は蓄熱器(210)によって作動流体に復帰される。
【0036】
作動流体は、蓄熱器(210)からマニホルド(235)、衝突バッフル(215)を通し 順方向に流動される時、ディスプレーサ(250)上に衝突されたり、又はジェット(jet)が膨張空間(280)内で流体を消散させる。各場合において、マニホルド(235)内の作動流体と圧力容器壁(240)の間の流路熱伝達が小さく、相次ぐ衝突熱伝達が作動流体とディスプレーサ(250)の間で低い温度差で発生したり、又は全く発生しない。
【0037】
BFIHXクーラー(120)は、多様な機能の構成要素を含む。特に、図3を参照してみると、BFIHX衝突バッフル(315)は、BFIHXクーラー(120)の体積を内部 マニホルド(325)と外部マニホルド(335)に分割するようにシリンダー(370)と 圧力容器壁(340)の間を指向する。内部マニホルド(325)は、蓄熱器(310)へ開放され、衝突ポート(365)を通し圧縮空間(390)へ開放される外部マニホルド(335)と連通されている。
【0038】
BFIHXクーラーの構成によると、前記サイクル間に作動流体から出される大量の熱は、流動が逆方向である時に発生される。作動流体は、蓄熱器(310)から内部マニホルド(325)、衝突バッフル(315)を通して逆方向に流動される時、圧力容器壁(340)上に衝突される。蓄熱器(310)から移動する作動流体と、圧力容器壁(340)の間の非常に高い温度差と結合された衝突により達成できる高い熱伝逹の速度は、外部マニホルド(335)内の次の衝突作動流体は 圧力容器壁温度の近くの温度に到達されることを惹起させる。作動流体は以後、圧縮空間(390)内に進行される。
【0039】
下記に説明された通り、逆流動方向における蓄熱器からの排出温度は、圧力容器壁の温度より非常に高い。圧縮空間(390)から外部マニホルド(335)及び衝突バッフル(315)を通し順方向に流動される次の圧縮作動流体は、圧力容器壁(340)より高い温度にある内部マニホルド(325)の壁上に衝突される。外部マニホルド(335)内の作動流体と、圧力容器壁(340)の間の流路熱伝達は 低く、相次ぐ衝突熱伝達が作動流体と内部マニホルド(325)壁の間で低い温度 差で発生するため、このサイクル間に小さな熱が作動流体から出される。
【0040】
次いで、蓄熱器(310)は、従来の熱交換器が採用することより冷却端部(cold end)で高温流体に充電される。本発明のBFIHXクーラーの望ましい実施例において、従来の熱交換器の望ましい実施形態での圧力容器壁(340)の温度よりはむしろ次の圧縮温度でガスは、圧縮空間(390)から蓄熱器(310)の冷却端部に伝達される。
図4に戻って、FFIHX熱交換器の実施形態を議論する。本実施形態において、BFIHXクーラーの構成と同じように、二つのマニホルドが順方向及び逆方向に熱伝達を調節するために使用される。BFIHXヒーターの構成によると、前記サイクル間に作動流体に伝達される大量の外部の熱は、流動が順方向にある場合に発生する。作動流体は、蓄熱器(410)から内部マニホルド(435)及び衝突バッフル(415)を通し順方向に流動される時、圧力容器壁(440)上に衝突される。蓄熱器(410)から移動する圧縮された作動流体と、圧力 容器壁(440)の間の非常に高い温度差と共に結合された衝突によって達成できる高熱伝達速度によって、次に衝突される作動流体は、圧力容器壁の温度に近接した温度に到達される。以後、流体は外部マニホルド(425)から膨脹空間(480)へ移動する。また、図4に図示されたBFIHXヒーターの実施形態は、望ましくはサイクルの圧力変動において相互作用することから、体積を隔離させるために使用された空洞(445)を含む。
【0041】
以下に説明されるように、順方向における蓄熱器(410)からの出口温度は、圧力容器壁の温度より非常に低い。膨脹空間(480)から外部マニホルド(425)、衝突バッフル(415)、内部マニホルド(435)を通して逆方向に流動され蓄熱器(410)に取り入れられた後に膨脹される作動流体は、熱源、圧力容器壁(440)から小さな熱を収集する。逆流動方向において、マニホルド内の流路熱伝達は低く、次に膨脹される作動流体と、内部マニホルド壁(435)の間で衝突熱伝達が低い温度差で発生する。次いで、蓄熱器(410)は、従来の熱交換器又は本発明のBFIHXが採用されたことよりホット端部(hot end)で低い温度流体で充電される。従って、FFIHXヒーターの望ましい実施形態において、作動流体は、従来の熱交換器の望ましい実施形態における圧力容器壁(440)の温度よりは、むしろ次の膨脹温度で、膨脹空間(490)から蓄熱器(410)のホット端部に伝達される。
【0042】
ヒーターとしてのFFIHX実施形態の使用は、ヒーターとしてのBFIHXの使用を通じて、より大きな熱力学サイクルの長所を提供する。このように、FFIHXによると、流体が蓄熱器(410)に到達するまでに冷却され、小型で安価な蓄熱器の使用を許容する。また、BFIHXの実施形態よりFFIHXの使用を通じて圧力降下の不利益が少し付加される。
BFIHXは、FFIHXの実施形態と比較してみるとき、逆流動方向の作動流体への熱伝達を最小化するという点において、通常効果が弱い反面、BFIHXの実施形態は、非常に単純で、より信頼性のある製造及び設置工程だけでなく、構成のために金属をあまり必要としないという長所を提供するということは、当業者によって分かるはずである。
【0043】
本発明に開示された熱交換器は、例えば、構成と関連して非常に減少された単価、作動における付加的な信頼性及びサイズのユニット当たり向上した熱伝逹特性を含む重要な長所を提供する。多様な実施形態の本発明の熱交換器は、非常に安価な300シリーズステンレススチールで構成され得る。
また、熱交換器の構成及び設置と関連した高単価及び危険なろう付け(brazing)動作は、特に、本発明のBFIHX実施形態の使用を通じて除去することができる。代りに、低単価機械加工及びフォーミング技術が使われることができ、本発明のFFIHX及びBFIHXの実施形態は、圧力容器アセンブリーに容易に挿入されることができる。
【0044】
スターリングサイクルマシンのヒーターヘッド及びクーリングセグメントと関連して使用するための多様な実施形態の新規な熱交換器の設計がここに開示された。当業者によって分かるように、本発明は、ここに開示された特定の実施形態に必ずしも制限されるわけではなく、本発明の範囲及び思想から外れない限り、他の多様な実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】BFIHXヒーターとBFIHXクーラーの実施形態を表す本発明によるスターリングエンジンの部分断面図である。
【図2】本発明の熱交換器におけるBFIHXヒーターの実施形態の詳細断面図である。
【図3】本発明の熱交換器におけるBFIHXクーラーの実施形態の詳細断面図である。
【図4】本発明の熱交換器におけるFFIHXヒーターの実施形態の詳細断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体の圧縮及び膨脹を通じて作動するスターリングサイクルマシンであって:
ピストンによって第1シリンダー内に形成された膨脹チャンバー、及び
前記ピストンによって第2シリンダー内に形成された圧縮チャンバーを含んで;
前記膨脹チャンバー及び圧縮チャンバーは、一つ以上の流路を通して連通されており、
前記流路は、一つ以上の熱交換器を含み、この一つ以上の熱交換器は、前記圧縮チャンバーに向かって作動流体が流動される時と反対の方向である前記膨脹チャンバーに向かう方向に作動流体が流動される時より高い熱伝達の機能を提供することを特徴とするスターリングサイクルマシン。
【請求項2】
前記一つ以上の熱交換器は、前記膨脹チャンバーに隣接した順方向流動熱交換器を含むことを特徴とする請求項1に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項3】
前記一つ以上の熱交換器は、前記膨脹チャンバーに隣接した逆方向流動熱交換器を含むことを特徴とする請求項1に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項4】
前記一つ以上の熱交換器は、前記圧縮チャンバーに隣接した逆方向流動熱交換器を含むことを特徴とする請求項1に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項5】
前記一つ以上の熱交換器は、表面に対する前記作動流体のジェット衝突を 惹起させる複数の溝を含むことを特徴とする請求項1に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項6】
前記表面は、前記膨脹チャンバーに向かって作動流体が流動される時、第1面を含み、前記表面は、前記作動流体が前記圧縮チャンバーに向かって流動される時、第2面を含み、前記第1面は、前記第2面と同じ面でないことを特徴とする請求項5に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項7】
前記表面は、前記膨脹チャンバーに向かって作動流体が流動されるとき、前記スターリングサイクルマシンの内壁に隣接しためっきを含むことを特徴とする請求項5に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項8】
前記表面は、前記膨脹チャンバーに向かって作動流体が流動されるとき、前記スターリングサイクルマシンの内壁を含むことを特徴とする請求項5に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項9】
前記表面は、前記熱交換器の壁を含み、前記壁は、 前記圧縮チャンバーに向かって作動流体が流動されるとき、前記膨脹チャンバーに隣接したことを特徴とする請求項5に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項10】
前記一つ以上の熱交換器は、第1熱交換器と第2熱交換器を含み、前記第1熱交換器は、前記膨脹チャンバーに隣接して配置され、前記第2熱交換器は前記圧縮チャンバーに隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項11】
前記第1熱交換器は、順方向の流動熱交換器であり、前記第2熱交換器は、逆方向の流動熱交換器であることを特徴とする請求効10に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項12】
前記第1熱交換器は、逆方向の流動熱交換器であり、前記第2熱交換器は、逆方向の流動熱交換器であることを特徴とする請求項10に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項13】
前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器は、蓄熱器を通じて互いに連通されることを特徴とする請求項10に記載のスターリングサイクルマシン。
【請求項14】
作動流体を収容する入口、
複数の溝が形成された衝突バッフル、及び
前記スターリングサイクルマシンの内壁と、前記衝突バッフルの間の空間に形成されたマニホルドを含むスターリングサイクルマシン用の熱交換器であって:
前記作動流体は、第1方向に流動されるとき、前記スターリングサイクルマシンの内壁上に衝突され、第2方向に流動されるとき、前記スターリングサイクルマシンのチャンバーに向かうようになることを特徴とするスターリング サイクルマシン用熱交換器。
【請求項15】
前記スターリングサイクルマシンのチャンバーは膨脹チャンバーであり、前記第2方向は、前記膨脹チャンバーに向かうことを特徴とする請求項14に記載のスターリングサイクルマシン用熱交換器。
【請求項16】
前記スターリングサイクルマシンのチャンバーは、圧縮チャンバーであり、前記第2方向は、前記圧縮チャンバーに向かうことを特徴とする請求効14に記載のスターリングサイクルマシン用熱交換器。
【請求項17】
ピストンによってシリンダー内に形成された膨脹チャンバーを提供する段階、前記ピストンによって前記シリンダー内に形成された圧縮チャンバーを提供する段階、及び
一つ以上の流路を通して前記圧縮チャンバーと前記膨脹チャンバーの間を作動流体が流動するようにする段階を含むスターリングサイクルマシン内で作動流体の温度を調節する方法であって:
前記流路は、一つ以上の熱交換器を含み、この一つ以上の熱交換器は、前記圧縮チャンバーに向かって作動流体が流動されるときと反対の方向である前記膨脹チャンバーに向かう方向に作動流体が流動されるとき、ほとんどより高い熱伝達の機能を提供することを特徴とするスターリングサイクルマシン内で作動 流体の温度を調節する方法。
【請求項18】
前記一つ以上の熱交換器は、表面に対して作動流体のジェット衝突を惹起させる複数の溝を含むことを特徴とする請求項17に記載のスターリングサイクルマシン内で作動流体の温度を調節する方法
【請求項19】
前記表面は、前記圧縮チャンバーに向かって作動流体が流動されるときと反対の方向である前記膨脹チャンバーに向かって作動流体が流動されるとき、相対的に熱いことを特徴とする請求項18に記載のスターリングサイクルマシン内で作動流体の温度を調節する方法。
【請求項20】
前記表面は、前記膨脹チャンバーに向かって作動流体が流動されるとき、前記スターリングサイクルマシンの内壁に隣接しためっきを含むことを特徴とする請求項18に記載のスターリングサイクルマシン内で作動流体の温度を調節する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−527480(P2007−527480A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518790(P2006−518790)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/021290
【国際公開番号】WO2005/003544
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506004300)タイアックス エルエルシー (13)