説明

スチームアイロン

【課題】アイロンをどの方向に移動させても、衣類に十分にスチームをあてて、しわ伸ばしを効率よく仕上げることができるスチームアイロンを提供する。
【解決手段】ヒータ2によって加熱されるベース3と、ベース3に形成されスチームを生成する気化室4と、気化室4に供給する水を蓄える水タンク7と、ベース3の下面に設けられた掛け面6とを備え、掛け面6に、気化室4と連通しスチームを噴出させる複数のスチーム穴5を環状に連なるように配列したもので、しわ伸ばしのためアイロン掛けを行うときに、環状に配されたスチーム穴5の外側から内側へ衣類のしわ部分が移動するときにスチームがあたり、次に、環状に配されたスチーム穴5の内側から外側へ衣類のしわ部分が移動するときにもスチームがあたるので、アイロンをどの方向に移動させてアイロン掛けを行っても、衣類に十分にスチームをあてて、しわ伸ばしを効率よく仕上げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等のしわ伸ばしに用いられるスチームアイロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のスチームアイロンは、図4に示すように、掛け面6に、複数のスチーム穴5を略U字状列に配置したものが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実公昭48−28073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アイロン掛けによるしわ伸ばしのメカニズムを説明すると、掛け面6のスチーム穴5から噴出された蒸気によって、衣類の繊維は、熱と水分で膨潤し、繊維の変形部すなわち衣類しわが軟化し、その後直ちに通過する掛け面6の熱と面圧力で平面に成形乾燥されて、衣類のしわが伸ばされる。しかしながら、上記従来のスチームアイロンの構成では、衣類にスチームがあたる部分が不十分なアイロン掛けの方向があり、同じ部分をアイロン掛けしなければならず、衣類のしわ伸ばしを効率良く仕上げられないという課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、スチームアイロンをあらゆる方向に移動させてアイロン掛けを行っても、衣類に十分にスチームがあたり、しわ伸ばしを効率よく仕上げられるスチームアイロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明のスチームアイロンは、ヒータによって加熱されるベースと、前記ベースに形成されスチームを生成する気化室と、前記気化室に供給する水を蓄える水タンクと、前記ベースの下面に設けられた掛け面とを備え、前記掛け面に、前記気化室と連通し前記スチームを噴出させる複数のスチーム穴を環状に連なるように配列したもので、しわ伸ばしのためアイロン掛けを行うときに、環状に配されたスチーム穴の外側から内側へ衣類のしわ部分が移動するときにスチームがあたり、次に、同じく環状に配されたスチーム穴の内側から外側へ衣類のしわ部分が移動するときにもスチームがあたるので、アイロンをどの方向に移動させてアイロン掛けを行っても、衣類に十分にスチームをあてることができ、しわ伸ばしを効率よく仕上げられるスチームアイロンを提供することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスチームアイロンは、アイロンをどの方向に移動させてアイロン掛けを行っても、衣類に十分にスチームがあたり、しわ伸ばしを効率よく仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、ヒータによって加熱されるベースと、前記ベースに形成されスチームを生成する気化室と、前記気化室に供給する水を蓄える水タンクと、前記ベースの下面に設けられた掛け面とを備え、前記掛け面に、前記気化室と連通し前記スチームを噴出させる複数のスチーム穴を環状に連なるように配列したもので、しわ伸ばしのためアイロン掛けを行うときに、環状に配されたスチーム穴の外側から内側へ衣類のしわ部分が移動するときにスチームがあたり、次に、同じく環状に配されたスチーム穴の内側から外側へ衣類のしわ部分が移動するときにもスチームがあたるので、アイロンをどの方向に移動させてアイロン掛けを行っても、衣類に十分にスチームをあてることができ、しわ伸ばしを効率よく仕上げられるスチームアイロンを提供することができる。
【0008】
第2の発明は、特に、第1の発明の掛け面の、環状に配列したスチーム穴より後方に、スチーム穴を有さない部分を備えたもので、アイロンを前方に進めてアイロン掛けする基本動作において、最後に平面乾燥を確実にすることができる。
【0009】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の掛け面を、ベースとは別部材で形成したもので、ベースと掛け面の接続構成を簡単な構成とすることができるので、安価で品質の安定したなスチームアイロンを提供することができる。
【0010】
第4の発明は、特に、第3の発明のベースの下面に、複数のスチーム穴と気化室とを連通するスチーム通路を設け、前記スチーム通路を環状に形成したもので、ある箇所においてスチーム通路が水垢等により閉塞した場合でも、すべてのスチーム穴へスチームを供給することができるので、安定したスチームを提供することができ、使い勝手のよいスチームアイロンを提供することができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスチームアイロンの側面図、図2は、同スチームアイロンの下面図、図3は、同スチームアイロンの掛け面を取り外した状態の下面図である。
【0013】
図1〜図3において、本実施の形態におけるスチームアイロンのアイロン本体1は、ヒータ2により加熱されるベース3と、ベース3の上面にスチームを発生させる気化室4と、ベース3の下面に取り付けられた掛け面6とを備え、掛け面6には、気化室4と連通して気化室4から発生したスチームを噴出させると共に、ほぼ一定間隔で、しかも一周する環状に連なるように複数のスチーム穴5が配列されている。
【0014】
7は、気化室4に供給する水を貯える水タンク、8は、外部操作によって水タンク7の水を気化室4に供給、停止を行うスチームダイヤルである。
【0015】
また、ベース3の下面に、スチーム穴5と気化室4とを連通するスチーム通路9を環状に形成し、スチーム通路9の真下にスチーム穴5を配設している。
【0016】
また、掛け面6は、環状に配設したスチーム穴5の内側でスチーム穴5を有さない掛け面6aと、環状に配列したスチーム穴5より後方でスチーム穴5を有さない掛け面6bを備えている。
【0017】
なお、その他の構成は、従来よく知られたスチームアイロンと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0018】
以上のように構成された本実施の形態におけるスチームアイロンの作用、動作について、以下に説明する。
【0019】
なお、スチームアイロンとしての基本的な動作は、従来よく知られたものと同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0020】
まず、スチームダイヤル8を操作して水タンク7内の水を気化室4に供給すると、気化室4で蒸気が発生し、スチーム通路9を経て各スチーム穴5から外部に噴出され、スチームを活用したアイロン掛けを行うことができる。
【0021】
このとき、スチーム穴5は、ほぼ一定間隔で一周する環状に連なるように配置されているので、アイロン本体1をどの方向に移動させてアイロン掛けを行っても、環状に配されたスチーム穴5の外側から内側へ衣類(図示せず)のしわ部分が移動するときに、スチームがあたり、次に、環状に配されたスチーム穴5の内側から外側へ衣類のしわ部分が移動するときにもスチームがあたるので、衣類に十分にスチームをあてることができ、しわ伸ばしを効率よく仕上げられるスチームアイロンを提供することができる。
【0022】
また、掛け面6は、図2に示すように、環状に配列したスチーム穴5の内側でスチーム穴5を有さない掛け面6aと、環状に配列したスチーム穴5より後方でスチーム穴5を有さない掛け面6bとを備えているので、アイロン本体1を前に滑らすアイロン掛け作業の基本動作に対して、まず掛け面6aの前方にあるスチーム穴5から噴出されたスチームによって、衣類が膨潤した後、掛け面6aによって成形乾燥を行い、さらに掛け面6aの後方のスチーム穴5からもスチームが噴出し、掛け面6bによって成形乾燥を行うことができるので、布地の乾燥やしわ伸ばしをより確実に行うことができる。
【0023】
さらに、掛け面6を、ベース3とは別部材で形成したので、掛け面6とベース3の接続構成を簡単な構成とすることができ、安価で、品質の安定したスチームアイロンを提供することができる。
【0024】
また、スチーム通路9のある箇所において、水垢等により閉塞した場合でも、環状にスチーム通路9が形成されているので、すべてのスチーム穴5へスチームを確実に供給することができ、それによって安定したスチームを提供することができ、使い勝手のよいスチームアイロンを提供することができる。
【0025】
なお、本実施の形態では、掛け面6とベース3を別部材としたが、掛け面6とベース3を一体で構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明にかかるスチームアイロンは、アイロンをどの方向に移動させてアイロン掛けを行っても、衣類に十分にスチームが当たり、しわ伸ばしを効率よく仕上げることができるもので、家庭用、業務用のスチームアイロンに広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスチームアイロンの側面図
【図2】同スチームアイロンの下面図
【図3】同スチームアイロンの掛け面を取り外した状態の下面図
【図4】従来のスチームアイロンの掛け面を示した平面図
【符号の説明】
【0028】
1 アイロン本体
2 ヒータ
3 ベース
4 気化室
5 スチーム穴
6 掛け面
7 水タンク
8 スチームダイヤル
9 スチーム通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータによって加熱されるベースと、前記ベースに形成されスチームを生成する気化室と、前記気化室に供給する水を蓄える水タンクと、前記ベースの下面に設けられた掛け面とを備え、前記掛け面に、前記気化室と連通し前記スチームを噴出させる複数のスチーム穴を環状に連なるように配列したスチームアイロン。
【請求項2】
掛け面の、環状に配列したスチーム穴より後方に、スチーム穴を有さない部分を備えた請求項1に記載のスチームアイロン。
【請求項3】
掛け面を、ベースとは別部材で形成した請求項1または2に記載のスチームアイロン。
【請求項4】
ベースの下面に、複数のスチーム穴と気化室とを連通するスチーム通路を設け、前記スチーム通路を環状に形成した請求項3に記載のスチームアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−61070(P2009−61070A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230965(P2007−230965)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】