説明

スチールスキッドとその組立方法

【課題】 本発明は、薄鋼板等の直方型重量物や長尺物を巻回したコイル状の物を積載させて移動させるのに組立・分解の処理操作が容易で軽量なスチールキッドとその組立方法を提供している。
【解決手段】 スチールスキッド1は、連続した背面に溝型窪みを形成して、相対する側面には両側に短辺を備えた開口部を形成して成る溝形鋼を開口部を上側にして2本以上配置する下部枠材2と下部枠材上に類似形の溝形鋼を背面の溝型窪みを下側にして2本以上直交状態に配置する上部枠材3とから構成されており、下部枠材の開口部に備えた両側の短辺には上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを組形成し、上部枠材の背面に形成される溝型窪みの両側には下部枠材と直交する部位に上記一対の切り込みと嵌合する切起こし爪を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄鋼板等の矩形状物体を積層して形成される直方型重量物や取扱困難な長尺物を巻回したコイル状の物を積載させて容易に移動させられるスチールキッドとその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄鋼板のような矩形状物体を積層させた直方型重量物や取扱困難な長尺物を巻回したコイル状の物を吊り上げ輸送するための台枠として、従来は交差部を釘打ち固定した木製台枠を主力的に用いていたが、近年に到って木材資源の枯渇によって木製台枠の価格が上昇すると同時に使用後の木製台枠を解体して廃棄処分には多くの人手を要すると共に大量の炭酸ガスを発生させる等の環境保護に関する脱木材等の問題点が指摘される情勢から、木製台枠に代って再利用が可能で安価なスチールスキッドが多用化されてきた。
【0003】
従来のスチールスキッドでは、前後に間隔をおいて並設された3本の角鋼管製上部枠杆25と、左右に間隔をおいて並設された3本の角鋼管製下部枠杆26とを備えており、中間の上部枠杆と左右の下部枠杆との十字状交叉部において下部枠杆に固定されている係止金具27の間に上部枠杆25が係止されると共に、上部枠杆25の左右端に固定の位置決め金具28によって上部枠杆の左右方向位置が規制されながら、上部枠杆と下部枠杆とのT字状交叉部では上部枠杆に固定のL形連結金具29によって上部枠杆と下部枠杆とが接続されると共に、4隅の交叉部ではワイヤー当て金具30が下部枠杆の外側面に設けている。(特許文献1を参照)
【0004】
しかしながら、従来のスチールスキッドは、各3本以上の角鋼管製上下部枠杆を主体にして、一方の下部枠杆には上部枠杆を受け入れるための解離阻止機構の無い係止もしくは補強金具や位置決め金具及び受け金具を上面もしくは側面に装備すると共に、下部枠杆上に載置する他方の上部枠杆にはスチールスキッドとしてのワイヤー当て金具と下部枠杆の上記受け金具に対応させてこれに内側から挿入される複雑な構成のL形連結金具を備えているために、角鋼管製の上下部枠杆が重量的に多大であることに始まって、上下の各枠杆には多くの突出した金具が装備されているために取扱において怪我が無いように注意を払いながら複雑な機構を処理するという煩雑さを伴って全体的に組立・分解という処理操作において支障をきたすという欠点を露呈していた。
このために、問題点の多かった木製台枠に変って提案されていた従来のスチールスキッドに対しても、上記のような欠点が認識されてきたことから、重量的に問題のある角鋼管製から成る上下部枠杆を中止して其処に装備していた突出部品の形態を少なくすることで、全体的に軽量にして余分な注意力を要せずに簡易な取扱を可能にするスチールスキッドの出現を待望する声が関係業界内に多く発生していた。
【特許文献1】特開2003−231524号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、薄鋼板等の矩形状物体を積層して形成される直方型重量物や取扱困難な長尺物を巻回したコイル状の物を積載させて容易に移動させるのに、突出部品の形態を少なくして装備機構を簡素にすることで組立・分解の処理操作が容易であると共に全体的に軽量なスチールキッドとその組立方法の提供を目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による基本的なスチールスキッドは、連続した背面の中央部に溝型窪みを形成し
て、その背面に相対する側面には両側に短辺を備えた開口部を形成して成る溝形鋼を、開口部を上側にして2本以上配置する下部枠材と、下部枠材上に類似形の溝形鋼を、背面の溝型窪みを下側にして2本以上直交状態に配置する上部枠材とから構成されており、下部枠材を構成する溝形鋼の開口部に備えた両側の短辺には上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを2組形成して、上部枠材を構成する溝形鋼の背面に形成される溝型窪みの両側には下部枠材と直交する部位に上記一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を形成していることで、スチールスキッドにおける組立・分解の処理操作が容易であって全体的に軽量であると共に、使用に際しては背面の溝型窪みがスチールスキッドの強度向上を果たしながら積載物の固定フープを通すガイドとして作業性の向上を図ると同時に固定フープの封滅金具を隠して積載形態を邪魔しない効能を発揮するように構成されている。
【0007】
本発明による他のスチールスキッドは、下部枠材の両切断端上に上部枠材を配置して成るスチールスキッドであって、上部枠材を構成している溝形鋼の背面に形成された溝型窪みの下部枠材の外端側に位置する部位側に形成されているところの外側にL型の切起こし爪と係合するための押え部を上端に形成し、下部枠材の両側面を狭持する把握部を両側に備えると共に、下部枠材の背面に形成された溝型窪みを貫通させる切込みを下端に形成して成るスキッド金具を、下部枠材の両切断端に配備していることで、上記効果に加えてスチールスキッドを簡潔に纏めながらその強度を向上させている。
【0008】
本発明による他の更に改良されたスチールスキッドは、上記他のスチールスキッドにおいて、下部枠材の両側面を狭持するスキッド金具の把握部を、下部枠材を構成する溝形鋼の両側面を内側に抑える両側の中央に設けた押圧部とこの押圧部の上下側に装備されることで溝形鋼の両側面を外側に支えている支持部とから構成していることで、上記効果に加えて下部枠材及びスチールスキッドの強度を更に確立させている。
【0009】
本発明によるスチールスキッドの組立方法は、中央部に溝型窪みを形成した背面を下側にして上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを有する短辺を備えた開口部を上側にした溝形鋼から成る下部枠材を所定の間隔で2本以上配置すると共に、この下部枠材と直交状態にして背面に形成される溝型窪みの両側に在って下部枠材と直交する部位において、上記の一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を備えた背面を下側にした溝形鋼から成る上部枠材を、下部枠材の切り込みに対応させた形態にして下部枠材の上に2本以上配置しており、しかる後に下部枠材の直交部位近辺の開口部を拡大させることで下部枠材の各切り込みに上部枠材に設けた外側にL型の切起こし爪の両端を嵌合させることでスチールスキッドを一体に組み立てていることで、スチールスキッドの組立・分解の処理操作を容易にしている。
【0010】
本発明による他のスチールスキッドの組立方法は、上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを有する短辺を備えた開口部を有する下部枠材を、開口部を上側にして所定の間隔で2本以上配置しており、この下部枠材と直交する部位に下部枠材の切り込みに嵌合させる外側にL型の切起こし爪を備えた上部枠材を背面を下側にして2本以上配置しながら、下部枠材の直交部位近辺の開口部を拡大させることで下部枠材の各切り込みに上部枠材に設けた外側にL型の切起こし爪の両端を嵌合させて一体に組み立てた後に、スキッド金具を下部枠材の切断端に配置することで、上部枠材に形成されている溝型窪みの下部枠材の切断端側に位置する側のL型の切起こし爪にスキッド金具の上端に設けた押え部を係合させてから、下部枠材の両側面をスキッド金具の垂直面の中央に設けた押圧部で内側に抑えながら、この押圧部の上下側に装備された支持部によって外側に支えることで下部枠材の両側面を狭持すると共に、下部枠材に形成された溝型窪みをスキッド金具の下端に形成している切込みを介しながら貫通させていることで、上記効果に加えて下部枠材及びスチールスキッドの強度を更に確立させている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるスチールキッドとその組立方法は、薄鋼板等の矩形状物体を積層して形成される直方型重量物や取扱困難な長尺物を巻回したコイル状の物を積載させて容易に移動させるために、突出部品の形態を少なくして装備機構を簡素にすることで、スチールスキッドにおける組立・分解の処理操作が容易であって全体的に軽量であると共に、使用に際しては背面の溝型窪みがスチールスキッドの強度向上を果たしながら積載物の固定フープを通すガイドとして作業性の向上を図ると同時に固定フープの封滅金具を隠して積載形態を邪魔しないで適切な積上げのできる効果を奏している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によるスチールスキッドは、連続した背面の中央部に溝型窪みを形成して、その背面に相対する側面には両側に短辺を備えた開口部を形成して成る溝形鋼を、開口部を上側にして2本以上配置する下部枠材と、下部枠材上に類似形の溝形鋼を、背面の溝型窪みを下側にして2本以上直交状態に配置する上部枠材とから構成されており、下部枠材を構成する溝形鋼の開口部に備えた両側の短辺には上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを2組形成して、上部枠材を構成する溝形鋼の背面に形成される溝型窪みの両側には下部枠材と直交する部位に上記一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を形成することを基本にしているので、組立・分解の処理操作が容易であると共に全体的に軽量に構成されている。
【実施例1】
【0013】
本発明によるスチールスキッドは、連続した背面の中央部に溝型窪みを形成して、その背面に相対する側面には両側に短辺を備えた開口部を形成して成る溝形鋼を、開口部を上側にして2本以上配置する下部枠材と下部枠材上に類似形の溝形鋼を背面の溝型窪みを下側にして2本以上直交状態に配置する上部枠材とから構成しているので、スチールスキッドの形態を斜視図で示す図1と下部枠材と上部枠材を示す図2、3に基づいて説明する。
【0014】
本発明によるスチールスキッド1は、図1(a)において横方向に配列された2本以上の下部枠材2の上に、図1(a)において上下方向に配列されている2本以上の上部枠材3を配列することで基本的な直方体形状を構成している。下部枠材2と上部枠材3とは、図1(a)におけるA−A方向の断面図である図1(b)に示されるように、下部枠材2に形成された開口部4の両側に相対して形成されている短辺5、5において上部枠材3と直交する部位に形成されている一対の切り込み6、6に対して、上部枠材3の背面9に在って下部枠材2と直交する複数の切り込み6に対応している溝型窪み10の両側の背面9の部位に形成されている切起こし爪7を嵌合させることで各直交部位において堅固に結合されている。
これによって、チールスキッド1は、薄鋼板等の矩形状物体を積層して形成される直方型重量物や取扱困難な長尺物を巻回したコイル状の物を積載させた後にフープで容易に固定すると共にクレーン等のロープを下部枠材で滑り止めることによって安定した状態で簡潔に移動させると同時に、保管する場合にも直方型重量物や長尺物を巻回したコイル状の物を一体にした形態で確実に積み重ねて整理整頓することを可能にする搬送機材として良好に機能している。
【0015】
下部枠材2は、図2に示すように連続した背面11の中央部に溝型窪み12を形成して強度を増強しており、この背面11に相対する側面13には両側に短辺5、5を備えた開口部4を形成して成る溝形鋼から構成されている。
図2の側面図は、切り込み6を詳細に示すために溝形鋼の一端14側を矢印B−Bの方向に部分的な断面にして示しており、図2の横断面図は、側面図の端部において矢印C−C方向に断面にした形態を示したものである。本実施例では下部枠材2の上に3本の上部枠材を配置させるために、下部枠材2の短辺5に形成されている切り込み6は、側面図に
示すように直交する部位である両端部と中央部の位置における両短辺5、5を一対にした2組毎に構成した形態で配置されている。
切り込み6の形状は、本実施例では図示のように短辺5に対して直角方向に切り落として切断部分8をそのまま下側に押し曲げて残しながら開放された部分を切り込みとして形成しているが、その形状は、例えば切断部分8を除去した形態にするという具合に他の任意形状に選択することも可能である。
【0016】
上部枠材3は、図3に示すように連続した背面15の中央部に溝型窪み16を形成して強度を増強しており、この背面15に相対する側面17には両側に短辺5、5を備えた開口部4を形成して成り、上下方向の寸法が下部枠材よりも短尺に形成されている溝形鋼によって構成されている。
図3の側面図は、切起こし爪7を詳細に示すために溝形鋼の中央部を矢印D−Dの方向に部分的な断面にして示しており、図3の横断面図は、側面図の中央部において矢印E−E方向に断面にした形態を示したものである。本実施例では下部枠材2の上に3本の上部枠材を配置させるために、上部枠材3の背面15の中央部に形成されている溝型窪み16の両側に形成されている切起こし爪7は、側面図に示すように下部枠材2と直交する部位である両端部の近傍と中央部の位置に形成する形態で配置されている。
上部枠材3の背面15に形成されている切起こし爪7も、本実施例では連続した背面15の中央部に形成されている溝型窪み16の両側から背面15の該当部分を打ち抜くことで切り起こして外側にL型の爪状に形成されているが、この切起こし爪7に形成されるL型の形状や溝型窪み16における内外側に亘る切起こし爪7の形成位置については、下部枠材2の切り込み6との嵌合関係において形成できる形態であれば任意に選択することも容易である。
【0017】
以上のように、本発明によるスチールスキッドを構成している下部枠材2の形状は、下部枠材2を形成している溝形鋼の外部に突出している部分は皆無であって、上部枠材と直交する部分の嵌合機構に用いられる切り込み6や強度を向上させるための溝型窪み12についても溶接等のコスト高になる工作を廃して内方に切り込むか打抜き成形による一括加工等の廉価な作業によって容易に製作可能な形態になっている。
同様に、上部枠材3の形状においても構成している溝形鋼の外部に突出している部分は、外側にL型の爪状に形成した切起こし爪7のみであって、切起こし爪7に関してもその先鋭な角部分を柔和な形態に丸めることによってスチールスキッドの組立・分解の際に殺傷問題を心配する必要のある危険な突出部分は殆ど見当たらないものにできると共に、他の成型加工にあっても下部枠材2と同様な廉価な一括の加工作業によって容易に製作可能な構造に納まっている。
【0018】
本発明による他のスチールスキッドは、下部枠材の両切断端上に上部枠材を配置して成るスチールスキッドであって、上部枠材を構成している溝形鋼の背面に形成された溝型窪みの下部枠材の外端側に位置する部位側に形成されているところの外側にL型の切起こし爪と係合するための押え部を上端に形成し、下部枠材の両側面を狭持する把握部を両側に備えると共に、下部枠材の背面に形成された溝型窪みを貫通させる切込みを下端に形成して成るスキッド金具を、下部枠材の両切断端に配備しているので、スチールスキッドを簡潔に纏めながらその強度を向上させている。
又、更に改良されたスチールスキッドは、上記の他のスチールスキッドにおけるスキッド金具の把握部を、下部枠材を構成する溝形鋼の両側面を内側に抑える両側の中央に設けた押圧部とこの押圧部の上下側に装備して溝形鋼の両側面を外側に支えている支持部とから構成しているので、下部枠材及びスチールスキッドの強度を更に確立させている。
【実施例2】
【0019】
本発明による他のスチールスキッドは、上部枠材を構成している溝形鋼の背面に形成さ
れた溝型窪みの下部枠材の外端側に位置する部位側に形成されている外側にL型の切起こし爪と係合するための押え部を上端に形成し、下部枠材を構成する溝形鋼の両側面を内側に抑える両側の中央に設けた押圧部とこの押圧部の上下側に装備して溝形鋼の両側面を外側に支えている支持部とから構成して成る把握部を備えると共に、下部枠材の背面に形成された溝型窪みを貫通させるための切込みを下端に形成して成るスキッド金具を下部枠材の両切断端に配備しているので、スチールスキッドの端部における状態を部分想定図で示す上下部枠材の斜視図である図4に基づいて説明する。
【0020】
上下部枠材の直交した結合状態を示す部分想定の斜視図は、下部枠材2の上面に形成されている短辺の切り込みに嵌合している上部枠材3の外側にL型の切起こし爪を一点鎖線の下部枠材と二点鎖線の上部枠材で部分想定しており、総体的には下部枠材の端部におけるスキッド金具の装備状況を示している。
【0021】
スキッド金具18は、上部枠材3の外側にL型の切起こし爪と係合するための押え部19を上端に形成して、下部枠材を構成する溝形鋼の両側面を内側に抑える両側の中央部分に設けた押圧部20とこの押圧部20の上下側に装備している溝形鋼の両側面を外側に支える支持部21、22とで把握部を構成すると共に、下部枠材2の背面に形成されている溝型窪みを貫通させるための切込み23を下端に形成している。
押え部19は、上部枠材3の背面に形成された溝型窪みの下部枠材2の外端側に位置する部位に備えられている切起こし爪と係合させるために設けられるので、図示のようにスキッド金具18本体の上端側から内側に向かって切起こし爪と係合できる位置まで伸長させた後に直角に折り曲げて切起こし爪に到達できる係合片24を設ける形状に構成されている。
把握部の中心を構成している押圧部20は、下部枠材2の垂直な両側面を外側から押さえ込むようにスキッド金具18本体の両側から下部枠材2の外側面に向かって伸長しており、幅広く構成することによって下部枠材2が加えられる荷重に対して外側に座屈しないで耐えるように構成している。押圧部20は、図示のようにスキッド金具18の本体から下部枠材2の端部より離れる方向に一旦曲げた後に下部枠材2の側面を押さえ込む方向に折り曲げることで、下部枠材2側面への押圧力を強める構成にすることが望ましい。
支持部21、22は、溝形鋼の両側面を外側の方向に支えることで内側にも座屈しないように機能するものであり、押圧部20の上側に位置する支持部21の内側への伸長長さは、押圧部20の伸長長さよりも長い方が望ましく下部枠材2の端部にスキッド金具18を装着させる際に安定的に成る面も考慮される必要がある。これに対して、押圧部20の下側に位置する支持部22の伸長長さは、押圧部20の伸長長さよりも短い方が望ましく、その端部形状も図示のように下方に向かって傾斜状にすることがスキッド金具18を下部枠材2の端部に装着させる際に取扱を容易にして確実になる効能を発揮している。
下端面に形成される切込み23は、下部枠材2の溝型窪みを貫通させるためとスキッド金具18の安定した装着を確立させるものであり、上端側の押え部19と相俟って下部枠材2の端面に隙間無く着装されるように働くも兼ね備えている。
下部枠材2の端部は、スチールスキッドに薄鋼板等の直方型重量物や金属線等の長尺物を巻回したコイル状の物を積載固定させる際にこれらを移動しないように固着するためのフープを経由させるので、積載物形状の保持と下部枠材における座屈変形の防止は必須の機能であることから、スキッド金具18の下部枠材端部への適用は有効な手段である。
【0022】
本発明によるスチールスキッドの組立方法は、中央部に溝型窪みを形成した背面を下側にして上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを有する短辺を備えた開口部を上側にした溝形鋼から成る下部枠材を所定の間隔で2本以上配置すると共に、この下部枠材と直交状態にして背面に形成される溝型窪みの両側に在って下部枠材と直交する部位において、上記の一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を備えた背面を下側にした溝形鋼から成る上部枠材を、下部枠材の切り込みに対応させた形態にして下部枠材の上に2本
以上配置しており、しかる後に下部枠材の直交部位近辺の開口部を拡大させることで下部枠材の各切り込みに上部枠材に設けた外側にL型の切起こし爪の両端を嵌合させることでスチールスキッドを一体に組み立てていることで、スチールスキッドの組立・分解の処理操作を容易にしている。
又、他のスチールスキッドの組立方法は、上記ように下部枠材を所定の間隔で2本以上配置してから下部枠材と直交する部位に上部枠材を2本以上配置して一体に組み立てた後に、スキッド金具を下部枠材の切断端に配置して、上部枠材の溝型窪みに形成した切起こし爪にスキッド金具の上端に設けた押え部を係合させて、下部枠材の両側面をスキッド金具の垂直面の中央に設けた押圧部で内側に抑えながら、この押圧部の上下側に装備された支持部によって外側に支えることで下部枠材の両側面を狭持すると共に、下部枠材に形成された溝型窪みをスキッド金具の下端に形成している切込みを介しながら貫通させているので、下部枠材及びスチールスキッドの強度を更に確立させている。
【実施例3】
【0023】
本発明によるスチールスキッドの組立方法は、中央部に溝型窪みを形成した背面を下側にして上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを有する短辺を備えた開口部を上側にした溝形鋼から成る下部枠材を所定の間隔で2本以上配置すると共に、この下部枠材と直交状態にして背面に形成される溝型窪みの両側に在って下部枠材と直交する部位において、上記の一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を備えた背面を下側にした溝形鋼から成る上部枠材を、下部枠材の切り込みに対応させた形態にして下部枠材の上に2本以上配置して、しかる後に下部枠材の直交部位近辺の開口部を拡大させて下部枠材の各切り込みに上部枠材に設けた外側にL型の切起こし爪の両端を嵌合させることでスチールスキッドを一体に組み立てることを基本にして、スチールスキッドを一体に組み立てた後にスキッド金具を下部枠材の切断端に配置して、上部枠材の溝型窪みに形成した切起こし爪にスキッド金具の上端に設けた押え部を係合させ下部枠材の両側面をスキッド金具の垂直面の中央に設けた押圧部で内側に抑えながら押圧部の上下側に装備された支持部で外側に支えて下部枠材の両側面を狭持すると共に、下部枠材に形成された溝型窪みをスキッド金具の下端に形成している切込みを介しながら貫通させているので、これらの各工程を示す図5〜7に基づいて詳細に説明する。
【0024】
本発明によるスチールスキッドの組立方法では、図5が示すように最初に中央部に溝型窪み12を形成した背面11を下側にして上部枠材と直交する部位に一対の切り込み6を2組有する短辺5を備えた開口部4を上側にした溝形鋼から成る下部枠材2を所定の間隔で3本配置している。
次いで、この下部枠材2と直交状態にして背面15に形成される溝型窪み16の両側に在って下部枠材と直交する部位において、上述した一対の切り込み6と嵌合する外側にL型の切起こし爪7を3箇所に備えている背面15を下側にして図6に示すように溝形鋼から成る上部枠材3を下部枠材2の切り込み6に対応させながら下部枠材2上の所定の位置に3本配置する。
図7は、下部枠材2とこの上に配置されている上部枠材3を直交する形態で堅固に結合する工程を明らかにしているものであり、図示のように下部枠材2の一対の各切り込みを形成されている両側の短辺5、5の近傍において、その開口部4に対してこれを押し広げる方向に加圧することによって、上部枠材3に設けられている外側にL型の切起こし爪7の両端が短辺5、5に形成されている各切り込み6の中に嵌り込む位置まで拡大されている。
この後は、切起こし爪7の両端を短辺5の切り込み6に正確に嵌合させるものであり、この工程によって、下部枠材2と上部枠材3とが堅固に結合されることによって図1に示した堅牢なスチールスキッド1として、組立・分解の処理操作を容易にしたスチールスキッドの組立方法として完成することになる。
又、図5〜7の各工程では説明していないが、上記の基本的なスチールスキッドの組立
方法に加えて図4で説明したスキッド金具を下部枠材2の切断端に配置する工程を追加すると、上記の本実施例は本発明によるスチールスキッドの他の組立方法の実施例として提示されることになり、これによって下部枠材及びスチールスキッドの強度は更に向上されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、薄鋼板等の矩形状物体を積層して形成される直方型重量物や取扱困難な長尺物を巻回したコイル状の物を積載させて容易に移動可能なスチールキッドとその組立方法を提供しており、突出部品の形態を少なくして装備機構を簡素にすることで組立・分解の処理操作を容易にすると共に全体的に軽量で適切な積上げができる効果を発揮している
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるスチールスキッドの斜視図
【図2】下部枠材を示す側面図と断面図
【図3】上部枠材を示す側面図と断面図
【図4】下部枠材に装備されたスキッド金具の斜視図
【図5】下部枠材の配置工程図
【図6】下部枠材上に配置された上部枠材の配置工程図
【図7】下部枠材開口部の拡大工程図
【図8】従来のスチールスキッド図
【符号の説明】
【0027】
1…スチールスキッド、2…下部枠材、… 3…上部枠材、4…開口部、5…短辺、6…切り込み、7…切起こし爪、…8切断部分、9、11、15…背面、10、12、16…溝型窪み、13、17…側面、14…溝形鋼の一端、18…スキッド金具、19…押え部、20…押圧部、21、22… 支持部、23…切込み、24…係合片、25…角鋼管製上部枠杆、26…角鋼管製下部枠杆、27…係止金具、28…位置決め金具、29…L形連結金具、30…ワイヤー当て金具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した背面の中央部に溝型窪みを形成し、該背面に相対する側面に両側に短辺を備えた開口部を形成して成る溝形鋼を開口部を上側にして2本以上配置する下部枠材と該下部枠材上に類似形の溝形鋼を背面の溝型窪みを下側にして2本以上直交状態に配置する上部枠材とから構成され、下部枠材を構成する溝形鋼の開口部に備えた両側の短辺に上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを2組形成し、上部枠材を構成する溝形鋼の背面に形成される溝型窪みの両側に下部枠材と直交する部位に上記一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を形成することを特徴とするスチールスキッド。
【請求項2】
下部枠材の両切断端上に上部枠材を配置して成るスチールスキッドであって、上部枠材を構成する溝形鋼の背面に形成される溝型窪みの下部枠材の外端側に位置する部位側に形成された外側にL型の切起こし爪と係合する押え部を上端に形成し、下部枠材の両側面を狭持する把握部を両側に備えると共に下部枠材の背面に形成された溝型窪みを貫通させる切込みを下端に形成して成るスキッド金具を下部枠材の両切断端に配備することを特徴とする請求項1に記載のスチールスキッド。
【請求項3】
下部枠材の両側面を狭持するスキッド金具の把握部が、下部枠材を構成する溝形鋼の両側面を内側に抑える両側の中央に設けた押圧部と該押圧部の上下側に装備されて溝形鋼の両側面を外側に支える支持部から構成されることを特徴とする請求項2に記載のスチールスキッド。
【請求項4】
中央部に溝型窪みを形成した背面を下側にして上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを有する短辺を備えた開口部を上側にした溝形鋼から成る下部枠材を所定の間隔で2本以上配置し、該下部枠材と直交状態にして背面に形成される溝型窪みの両側で下部枠材と直交する部位において上記一対の切り込みと嵌合する外側にL型の切起こし爪を備えた背面を下側にした溝形鋼から成る上部枠材を下部枠材の切り込みに対応させた形態で下部枠材上に2本以上配置して、しかる後に下部枠材の直交部位近辺の開口部を拡大させて下部枠材の各切り込みに上部枠材に設けた外側にL型の切起こし爪の両端を嵌合させるスチールスキッドの組立方法。
【請求項5】
上部枠材と直交する部位に一対の切り込みを有する短辺を備えた開口部を有する下部枠材を開口部を上側にして所定の間隔で2本以上配置し、該下部枠材と直交する部位に下部枠材の切り込みに嵌合させる外側にL型の切起こし爪を備えた上部枠材を背面を下側にして2本以上配置しながら下部枠材の直交部位近辺の開口部を拡大させることで下部枠材の各切り込みに上部枠材に設けた外側にL型の切起こし爪の両端を嵌合させた後に、スキッド金具を下部枠材の切断端に配置することで上部枠材に形成される溝型窪みの下部枠材の切断端側に位置する側のL型の切起こし爪にスキッド金具の上端に設けた押え部を係合させ、しかる後に下部枠材の両側面をスキッド金具の垂直面の中央に設けた押圧部で内側に抑えながら該押圧部の上下側に装備された支持部で外側に支えることで狭持すると共に下部枠材に形成された溝型窪みをスキッド金具の下端に形成する切込みを介して貫通させることを特徴とする請求項4に記載のスチールスキッドの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−13137(P2010−13137A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173495(P2008−173495)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(397028360)関包スチール株式会社 (11)
【Fターム(参考)】