説明

ステムスライド装置

【課題】本発明は、ビレット供給時に上昇移動されるステムスライド台の摺動ガタを無くし、ステムスライド台の焼付きを防止したステムスライド装置を提供する。
【解決手段】ステムスライド装置は、ステム上下動支持体71、コンテナ装填のビレットを押圧するステム6が水平に取り付けられたスライド台73、該スライド台の側端部E1、E2が嵌合し上下に摺動するガイド溝を形成するスライドガイド部材72を備える。スライド台の側端部を押圧する油圧シリンダ77をスライドガイド部材に各々備える。スライド台がガイド溝の下端に位置するとき、油圧シリンダの駆動で押圧ロッド78により、スライド台がステム上下動支持体に押し付けられ、ステムをコンテナの軸線の位置に保持できる。スライド台に、ステム上下動支持体の面を摺動するライナ部材を弾性保持して、スライド台とステム上下動支持体との間に、隙間を形成し、焼付きを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出プレス装置に設けられたステムスライド装置に関し、特に、コンテナに装填したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台を、ビレット供給時に上昇させることができるステムスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属材料、例えば、アルミニュウム又はその合金材料などによる押出材(ビレット)を押出プレス装置により押出プレスする場合、油圧シリンダにより駆動されるメインラムの先端部にステムが取り付けられており、ダイスにコンテナを押し付けた状態で、ビレットローダ上のビレットをメインラム先端部のステムで押し付けて、該コンテナのビレット収容部内に装填する。そして、メインラムをさらに油圧シリンダの駆動により前進させることにより、ビレットがステムにて強力に押圧される。そこで、ダイスの出口部から、成形された製品が押し出される。
【0003】
この従来型の押出プレス装置では、コンテナにビレットを装填するときに、ステムの先端は、このビレットの長さ分、後退されなければならないため、メインラムのストロークは、ビレット長に、ステムの長さを加えたものとなっている。そこで、このメインラムのストロークを確保するには、従来型の押出プレス装置の全体が長大化してしまい、メインラムを駆動する油圧シリンダ自体も大型化し、これに伴って、作動させる油量も多く必要となる。
【0004】
近年においては、押出プレス装置のコンパクト化が図られている。このコンパクト化により、押出プレス装置の省スペース化、省エネルギー化を達成することができる。このコンパクト化の一手法である、ショートストロークプレス方式と呼ばれる押出プレス装置が開発されている。従来型の押出プレス装置では、ビレットをコンテナ内に装填するために、ビレット供給用のスペースが必要であり、この長さ分だけ、メインラムのストロークが長くなっていた。そこで、このショートストロークプレス方式では、ビレット供給の仕方を工夫して、ビレット供給用のスペースの長さ分だけ、メインストロークの長さを短くしている。
【0005】
このショートストロークプレス方式によれば、押出プレス装置全体の機長を短くコンパクト化することができ、非押出時間(アイドルタイム)を短縮化でき、さらに、メインラム駆動用の油圧シリンダの作動油量を削減することができる。その結果、押出プレス装置の省スペース化、省エネルギー化を図ることができる。
【0006】
このショートストロークプレス方式は、コンテナを基準においたビレットの供給方向で、2種類に分けられる。その1つの方式が、フロントローディング型と呼ばれるショートストロークプレス方式である。このフロントローディング型は、ビレット供給時には、コンテナをステム側に移動させておき、移動後のコンテナ位置よりダイス側にビレット供給用のスペースを確保するものである。つまり、ダイスとステム先端との間に、ビレットが供給される。
【0007】
このフロントローディング型プレス方式では、ビレットを空中チャージで供給するため、ビレットローダ装置の芯精度の維持が重要となるため、ビレットローダ装置の保守・管理が必要となる。また、ビレットの径、曲り、端面などの精度も要求される。そこで、実際には、コンテナの内径を大きくして対処している。しかし、この内径を大きくすることによって、製品へのブリスターの巻き込みの大きな要因になっている。
【0008】
一方、もう1つの方式が、図4に示されるような、リアローティング型と呼ばれるショートストロークプレス方式が開発されている(例えば、特許文献1、2を参照)。このリアロントローディング型では、ビレット供給時には、ビレット供給用スペースを確保するため、ステムを水平移動又は上昇移動させている。当初のステム位置からステムを水平方向又は上方に移動させ、ステムの側方又は下方において、コンテナのステム側にビレット供給用のスペースを開けている。このスペースに、ビレットが供給される。
【0009】
図4は、リアローディング型ショートストロークプレス方式が採用された押出プレス装置の概要を示し、押出プレス装置の上方から見た構成が示されている。この押出プレス装置では、エンドプラテン1とシリンダ取付ブロック2がタイロッド3によって連結され固定されている。エンドプラテン1には、ビレットを製品に押し出す型を有するダイス4が取り付けられ、そのダイス4には、ビレット収容部Cを備えたコンテナ5が押し付けられている。
【0010】
そして、シリンダ取付ブロック2には、ステム6をコンテナ5のビレット収容部Cの軸に沿って移動させるための主油圧シリンダ8が取り付けられている。図示されていないが、主油圧シリンダ8の内部には、油圧によって駆動されるメインラムが配置され、このメインラムの先端に、ステム支持部材7が取り付けられている。このステム支持部材7に、ステム6が取り付けられており、主油圧シリンダのメインラムが駆動されると、ステム6が、コンテナ5のビレット収容部Cの芯軸に沿って移動される。なお、図4では、ビレット供給時におけるステムの水平移動又は上昇移動のための機構については、図示を省略している。
【0011】
そこで、図4のリアローディング型ショートストロークプレス方式の押出プレス装置に適用されるステムの上昇移動機構の例を、図5に示した。ここでは、図4に示されたステム支持台7が、ステム上下動支持体71、スライドガイド部材72、ステムスライド台73、そして、ステムクランプ部材74で構成されている。スライドガイド部材72は、ステム上下動支持体71に固定され、ステムスライド台73の両側端が上下に摺動できるスライド溝を備えている。
【0012】
ステム6のステム基部が、ステムスライド台73にステムクランプ部材74によりクランプされ、ステム6が水平に保たれて支持される。さらに、ステムスライド台73は、ステム上下駆動油圧シリンダ79の作動により、上下動される。図示されていないが、ステムスライド台73の下降限のためのメカストッパが設けられており、このメカストッパのデジタル近接センサにより、ステムの上下芯が許容値内に入っているか検知される。図5では、ステムスライド台73が下降限にある状態が示され、ステム6の芯が、コンテナ5のビレット収容部Cの軸Xに一致されている。
【0013】
次に、図6(a)乃至(c)を参照し、図4に示されたリアローディング型の押出プレス装置におけるビレット供給動作について説明する。図6(a)乃至(c)では、図4の押出プレス装置と同じ部分には、同じ符号が付されている。
【0014】
先ず、図6(a)に示されるように、ステム6が上昇移動され、その下方に形成されたスペースに、ビレットローダ装置BLに保持されたビレットBが、コンテナ5のビレット収容部Cの軸位置に、押出プレス装置の側方から供給される。このときのステムの上昇移動の様子が、図7に示されている。図7に示されたステムの上昇移動機構は、図5と同様であり、同じ部分には同じ符号が付されている。
【0015】
図7では、ステム上下駆動油圧シリンダ79が作動して、ステムスライド台73が下降限の位置から所定の高さに押し上げられる。そうすると、ステムスライド台73の上昇移動で、これにクランプされているステム6も、軸Xの位置から所定の高さまで上昇移動される。そこで、ステム6が上昇移動した後には、軸Xの位置にスペースが空き、このスペースに、図示のように、次に押し出されるビレットBを供給することができる。
【0016】
次いで、図6(b)に示されるように、ビレットローダ装置BLに備えられているビレット挿入装置が該軸方向に駆動されて、ビレットBが、コンテナ5のビレット収容部C内に挿入され、装填される。
【0017】
図6(c)に示されるように、ビレットBがさらに挿入されて、ビレット収容部Cへの装填が完了すると、ビレットローダ装置BLは、押出プレス装置から側方に退避され、次ビレットの保持動作に移行する。この後、上昇されていたステム6が、下降駆動されて当初のビレット収容部Cの軸位置に戻される。そこで、主油圧シリンダ8が駆動されて、メインラムが前進することにより、ステム6が、ビレットBへの押圧を開始し、以後、ビレットBは、ダイス4によって押出成形される。
【0018】
【特許文献1】特開平4−231110号公報
【特許文献2】特開平8−206727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、リアローディング型ショートストロークプレス方式の押出プレス装置において、上述したようなステムの上昇移動機構を採用した場合には、ステムを支持するステムスライド台が、ステム上下動支持体に形成されたスライド溝の内側を摺動しながら上下動することから、そのスライド溝に施されたライナとステムスライド台との間で、焼付きが生じるという問題があった。焼付きが生じたときには、押出プレス装置を停止させてライナを交換する必要があり、部品の交換の都度、設備が休転するといった問題があった。
【0020】
また、ステムスライド台が重量のあるステムを片持ち支持していることから、ステムスライド台の表面全体がスライド溝のライナと均一に摺動することが無いため、ステムスライド台の上端部と下端部とに重点的に押圧力が生じ、この偏った押圧力により、ステムスライド台が部分的に磨耗しやすくなる。そのため、ステムスライド台が下降限にあるときに、ステムの軸は、コンテナのビレット収容部の軸Xと一致しなくなる。
【0021】
この様な状態になったとき、ステムの軸の軸を、コンテナのビレット収容部の軸Xと一致させることは、至難なことであるため、ステムスライド台自体を交換することになり、この交換には、コストも嵩むと共に、交換のために押出プレス設備を停止する必要があり、設備が休転するといった問題や、コンテナとステムの芯出し作業(X軸の一致作業)が煩雑で、時間を要するといった問題があった。
【0022】
そこで、本発明は、コンテナに装填したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台とステム上下動支持体に設けられたスライド溝との摺動ガタを無くすと共に、ステムスライド台とステム上下動支持体との焼付きを防止し、部品の交換頻度を低減し、芯出し作業を簡単化した、ビレット供給時にステムを上昇移動させることができるステムスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
以上の課題を解決するために、本発明のステムスライド装置では、コンテナに装填したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台と、ステム上下動支持体に取り付けられ、前記ステムスライド台の側端部が嵌合し上下に摺動されるガイド溝を形成したスライドガイド部材と、前記スライドガイド部材に設けられ、前記ステムスライド台の側端部を押圧するロック手段と、を備え、前記ステムスライド台が前記ガイド溝の下端に位置するとき、前記ロック手段が駆動されて、前記ステムスライド台をロックし、前記ステムを前記コンテナの軸線の位置に保持することとした。
【0024】
そして、前記ガイド溝は、前記スライドガイド部材の内面と、前記ステムスライド台を取り付けたステム上下動支持体の壁面とが対向して形成され、前記ステムスライド台の側端部が、該内面と該壁面との間を摺動し、前記ステムスライド台の側端部が、前記ロック手段によって前記ステム上下動支持体の壁面に押圧され、さらに、前記スライドガイド部材の内面と、前記ステム上下動支持体の壁面とに、ライナが施されることとした。
【0025】
また、前記ステムスライド台の側端部は、前記ステム上下動支持体の壁面を摺動し該壁面を押圧する方向に弾性保持されたライナ部材を備えることとした。
【0026】
前記ライナ部材は、前記ロック手段が駆動されたとき、前記ステム上下動支持体の壁面によって押され、前記ステムスライド台の背面が前記ステム上下動支持体の壁面に当接することとした。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明のステムスライド装置によれば、コンテナに装填したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台の側端部を、該ステムスライド台がステムガイド部材のガイド溝の下端に位置するとき、ロック手段の駆動により、前記ステムスライド台の側端部を押圧するようにしたので、ステムを垂直に移動させた後、ステムをビレット押し出し状態に戻したとき、コンテナのビレット収容部へのステム芯の再現性を確保することができる。そのため、コンテナとステムの芯出し作業が簡単化される。
【0028】
また、ステムが取り付けられたステムスライド台における側端部には、前記ステム上下動支持体の壁面を摺動し該壁面を押圧する方向に弾性保持されたライナ部材が設けられているので、この弾性保持されたライナ部材がステム上下動支持体に対する突っ張り機構となり、ステムスライド台の摺動におけるガタツキを抑制し、さらに、ステムスライド台とステム上下動支持体との間に間隙を形成することができ、焼付き防止になる。そのため、部品を交換する頻度を低減でき、設備を休転させる必要性が減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、図1乃至図3を参照しながら、本発明のステムスライド装置の実施形態について説明する。本発明のステムスライド装置は、前述したリアローディング型ショートストロークプレス方式による押出プレス装置に適用されることを基礎とし、そのステムスライド装置の基本構成は、図5及び図6に示されたステムスライド装置と同様である。
【0030】
図1に、本発明のステムスライド装置の第1実施形態が示されている。図1に示された第1実施形態のステムスライド装置は、図5に示されたステムスライド装置のステム軸の位置における横断面で表されている。
【0031】
図5に示されたステムスライド装置は、ステム上下動支持体71、スライドガイド部材72−1及び72−2、ステムスライド台73、そして、ステムクランプ部材74−1及び74−2で基本構成されている。スライドガイド部材72−1及び72−2が、ステム上下動支持体71に固定され、スライドガイド部材72−1及び72−2と、ステム上下動支持体71に施されたライナL1−1及びL1−2との間に、スライド溝が形成されている。このスライド溝内を、ステムスライド台73の両側端部E1、E2が夫々上下に摺動できるようになっている。
【0032】
ステム6のステム基部が、ステムスライド台73にステムクランプ部材74−1及び74−2によりクランプされ、ステム6が水平に保たれて支持される。さらに、ステムスライド台73は、図示されていないが、図5の場合と同様に、ステム上下駆動油圧シリンダ79の作動により、上下動(図1の紙面に直交する方向)される。メカストップについても、図示されていないが、図5の場合と同様に、ステムスライド台73の下降限のために設けられている。
【0033】
そして、ステム上下動支持体71には、鉛直方向に延びたガイドキー75が配設されている。このガイドキー75は、ステム6をコンテナのビレット収容部Cの軸Xに沿って上方に案内するものであり、このガイドキー75を摺動するキー溝76が、ステムスライド台73のステム取り付けと反対側の面に設けられている。このキー溝76がガイドキー75に嵌合して、案内されることにより、ステム6が上下動しても、ステム6の軸がコンテナのビレット収容部Cの軸Xに対して横方向に振れることなく、軸Xの横方向位置を確保することができる。
【0034】
なお、ステムスライド台73の側端部E1、E2とスライドガイド部材72−1及び72−2との間に、ライナL2−1及びL2−2が施され、ステムスライド台73に設けられたキー溝76にも、ライナL3−1及びL3−2が施されている。
【0035】
ここで、第1実施形態によるステムスライド装置では、ステムスライド台73が下降限に到達し、メカストッパが作動したとき、ステムスライド台73をステム上下動支持体71側に押し付けることにより、磨耗によってステム6の中心軸がコンテナのビレット収容部Cの軸Xからのズレを修正できるようにした。これは、元々、ステムスライド台73の背面は、ステム上下動支持体71に施されたライナL1−1及びL1−2の面と平行であり、ステムスライド台73が下降限に位置したとき、ステム6の中心軸がコンテナのビレット収容部Cの軸Xに一致するように設計されていることを利用したものである。
【0036】
そこで、ステムスライド台73の側端部E1及びE2に対向するスライドガイド部材72−1及び72−2に、油圧シリンダ77−1及び77−2をそれぞれ取り付けた。そして、この油圧シリンダ77−1及び77−2の駆動による押圧ロッド78−1及び78−2が設けられる。この押圧ロッド78−1及び78−2は、ステムスライド台73が下降限に位置したことが検知されたとき、油圧シリンダ77−1及び77−2が作動されて、ステムスライド台73の側端部E1及びE2を押圧する。
【0037】
押圧ロッド78−1及び78−2がステムスライド台73の側端部E1及びE2を押圧することによって、ステムスライド台73の背面と、ステム上下動支持体71のライナL1−1及びL1−2の面との間に生じていた隙間が無くなり、ステムスライド台73の背面がライナL1−1及びL1−2の面に押し付けられ、結果として、ステム6の軸の縦振れを修正できる。これで、ステム6の中心軸とコンテナのビレット収容部Cの軸Xとを一致させることができ、ステム6の芯出しが簡単化される。
【0038】
次に、図2に、本発明のステムスライド装置の第2実施形態を示した。図2に示された第2実施形態のステムスライド装置は、図1の場合と同様に、図5に示されたステムスライド装置のステム軸の位置における横断面で表されている。なお、図2に示されたステムスライド装置は、図5に示されたステムスライド装置と同じ基本構成を有しており、図5のステムスライド装置と同じ部分には同じ符号が付されている。
【0039】
ここで、図2の第2実施形態のステムスライド装置が、図1の場合と異なることは、ステムスライド台73の側端部E1及びE2の部位に、ステディガイド機構(突っ張り機構)が備えられたことである。図2では、ステディガイド機構について、その側端部E1及びE2に設けられていることが、一部切り欠きの中に示されている。そのステディガイド機構の詳細が、側端部E1側だけであるが、図3に示した。ステディガイド機構は、側端部E1とE2の両方とも、同じ構成になっている。図3では、ステディガイド機構が、縦断面で示されている。
【0040】
図3に示されるように、側端部E1側のステディガイド機構は、ライナL4−1と、弾性保持部材、例えば、皿バネ座金W1乃至W3と、ボルトBo1乃至Bo3とで基本構成されている。ステムスライド台73には、このスタディガイド機構を収納でき、所定幅及び所定深さを持つ溝Vが設けられ、この溝Vの内部に、ライナL4−1が弾性保持されている。この弾性保持は、皿型バネ座金W1乃至W3とボルトBo1乃至Bo3で実現している。
【0041】
ボルトBo1乃至Bo3は、平座金w1乃至w3をスリーブs1乃至s3を介して締め付け固定する。平座金w1乃至w3には、スリーブs1乃至s3を遊嵌する穴が設けられ、さらに、ライナL4−1にも、スリーブs1乃至s3を遊嵌する穴が設けられているので、図3に示されるように、ライナL4−1は、皿バネ座金W1乃至W3の弾性によって、ステムスライド台73の外方に押されるが、平座金w1乃至w3によって、外方への押し出しが制限される。
【0042】
このライナL4−1は、図3に示されるように、ステムスライドD73の背面から突き出て、ステム上下動支持体71のライナL1−1を押圧し、ステムスライド台73がスライドガイド部材72−1を摺動するときに、ガタツキを無くす。そして、ステムスライドD73の背面と、ステム上下動支持体71のライナL1−1との間に、焼き付き防止のための隙間が形成され、この間隙は任意に調節される。また、ライナL4−1は、ボルトでステムスライド台73に固定されているので、磨耗したライナの交換も簡単に行える。
【0043】
なお、これまで、ステムスライド台73の側端部E1側を中心にして、ステディスガイド機構を説明したが、ステムスライド台73の側端部E2側にも、同様のステディガイド機構が設けられる。特に、ステムスライド台73の側端部E1とE2の双方にステディガイド機構を設けることが、ステム6の横振れの発生を抑制する上で重要である。
【0044】
また、図1に示された第1実施形態のステムスライド装置に、図2及び図3に示された第2実施形態におけるステディガイド機構を組み込むことができる。この場合には、ステムスライド台73が下降限に位置したことが検知されたとき、油圧シリンダ77−1及び77−2の駆動により、押圧ロッド78−1及び78−2が、ステムスライド台73をステム上下動支持体71のライナL1−1及びL1−2に押し付けることになるが、ステディガイド機構のライナL4−1及びL4−2は、弾性保持されているので、ライナL1−1及びL1−2から反力を受け、ステムスライド台73の溝V内に押し戻さる。このとき、ステディガイド機構は、ステム6に関する軸Xへの芯出しに影響しない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による押出プレス装置におけるステムスライド装置の第1実施形態を説明する図である。
【図2】本発明による押出プレス装置におけるステムスライド装置の第2実施形態を説明する図である。
【図3】第2実施形態のステムスライド装置におけるスライド部の要部を説明する拡大断面図である。
【図4】リアローディング型押出プレス装置の構成を説明する図である。
【図5】リアローディング型押出プレス装置におけるステムスライド構成を説明する図である。
【図6】図4に示されたリアローディング型押出プレス装置におけるビレット供給及び挿入の手順を説明する図である。
【図7】図6(a)に示されたビレット供給時におけるステム上昇位置を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
1 エンドプラテン
2 シリンダ取付ブロック
3 タイロッド
4 ダイス
5 コンテナ
6 ステム
7 ステム支持台
71 ステム上下動支持体
72、72−1、72−2 スライドガイド部材
73 ステムスライド台
74、74−1、74−2 ステムクランプ部材
75 ガイドキー
76 キー溝
77−1、77−2 油圧シリンダ
78−1、78−2 押圧ロッド
79 ステム上下駆動油圧シリンダ
8 主油圧シリンダ
B ビレット
BL ビレットローダ
Bo1〜Bo3 ボルト
E1、E2 側端部
HC 主油圧シリンダ
L1−1〜L4−2 ライナ
s1〜s3 スリーブ
W1〜W3 皿バネ座金
w1〜w3 平座金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナに装填したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台と、
ステム上下動支持体に取り付けられ、前記ステムスライド台の側端部が嵌合し上下に摺動されるガイド溝を形成したスライドガイド部材と、
前記スライドガイド部材に設けられ、前記ステムスライド台の側端部を押圧するロック手段と、を備え、
前記ステムスライド台が前記ガイド溝の下端に位置するとき、前記ロック手段が駆動されて、前記ステムスライド台をロックし、前記ステムを前記コンテナの軸線の位置に保持することを特徴とするステムスライド装置。
【請求項2】
前記ガイド溝は、前記スライドガイド部材の内面と、前記ステムスライド台を取り付けたステム上下動支持体の壁面とが対向して形成され、前記ステムスライド台の側端部が、該内面と該壁面との間を摺動し、
前記ステムスライド台の側端部が、前記ロック手段によって前記ステム上下動支持体の壁面に押圧されることを特徴とする請求項1に記載のステムスライド装置。
【請求項3】
前記スライドガイド部材の内面と、前記ステム上下動支持体の壁面とに、ライナが施されていることを特徴とする請求項2に記載のステムスライド装置。
【請求項4】
前記ステムスライド台の側端部は、前記ステム上下動支持体の壁面を摺動し該壁面を押圧する方向に弾性保持されたライナ部材を備えたこと特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のステムスライド装置。
【請求項5】
前記ライナ部材は、前記ロック手段が駆動されたとき、前記ステム上下動支持体の壁面によって押され、前記ステムスライド台の背面が前記ステム上下動支持体の壁面に当接することを特徴とする請求項4に記載のステムスライド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−160329(P2007−160329A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357903(P2005−357903)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】