説明

ストラットマウントならびに、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造

【課題】製造コストを小さく抑えつつ、ストラットロッドへのバウンド荷重の作用に対して、ストラットロッドの、車体側パネルの上方側への過度の変位を有効に規制することができるストラットマウントならびに、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造を提供する。
【解決手段】この発明のストラットマウントは、中心軸線の一方側に向けて拡径するテーパ状部分2aおよび、該テーパ状部分2aの、中心軸線の他方側の周縁に連続して内周側へ突出する内向きフランジ部分2bを有する筒体2と、該筒体2の外周面に全周にわたって固着させた筒状の本体ゴム3とを具えてなるものであって、本体ゴム3の内側で、筒体2の内向きフランジ部分2aの外表面に、車体側パネル20側に向けて突出する一個もしくは複数個の弾性ストッパ4を設け、前記弾性ストッパ4を、本体ゴム3の、車体側パネル20への嵌め合わせ姿勢で、車体側パネル20の窪み頂壁22に非接触としてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーパ形状を有する筒体と、該筒体の外周面に全周にわたって固着させた筒状の本体ゴムとを具えてなり、車輪側から延びるストラットロッドを前記筒体に貫通させるとともに、窪み頂壁に貫通孔を設けた車体側パネルの窪み面に、前記本体ゴムを嵌め合わせて使用に供されるストラットマウントならびに、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造に関するものであり、とくに、ストラットロッドに、突き上げ方向の大きな入力、いわゆるバウンド荷重が作用した際の、ストラットロッドの、車体側パネルに対する上方側への過大な変位を有効に規制できるストラットマウントを、低廉に製造することができる技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
車体側パネルと、車輪側から延びるストラットロッドとの間に配設されて、車輪側からの入力振動の、車体側への伝達の抑制に寄与するストラットマウントとして、従来は、特許文献1に記載されるように、車体側パネルへの嵌め合わせ姿勢で使用に供されるものが提案されている。
たとえば、図5に示すストラットマウント101は、図の下方側に向けて拡径するテーパ形状を有する筒体102と、その筒体102の外周面に全周にわたって固着させた筒状のゴム弾性体103とを具えるものであり、このストラットマウント101の、車体側と車輪側との間への配設は、図示のように、車輪側から延びるストラットロッド110を、筒体102に貫通させるとともに、ゴム弾性体103を、車体側パネル120の窪み面121に嵌め合わせて、ストラットロッド110の、車体側パネル120の貫通孔122から上方に突き出る上端部分111に、剛性ストッパプレート部材130を取り付けることにより行うことができる。
【0003】
ところで、このようなストラットマウント101では、ゴム弾性体103の、図では下方側の外周面に、全周にわたって延びて、中心軸線側に窪む環状溝104を設けて、ゴム弾性体103を、主として、車輪側からの入力振動の、車体側への伝達を抑制する本体ゴム部分103aと、ストラットロッド110の、車体側パネル120の上方側への変位を規制する弾性ストッパ部分103bとに機能分離することとしているため、ストラットマウント101の通常の使用状態では、本体ゴム103aによる、図の上下方向の軟らかいばね特性によって、車輪側からの入力振動を十分に吸収し、この一方で、ストラットロッド110に、車輪側からの、突き上げ方向の大きなバウンド荷重が作用した場合には、弾性ストッパ部分103bが本体ゴム103aの下面に当接して、環状溝104の閉塞をもたらして、ストラットロッド110および筒体102の、車体側パネル120に対する上方側へのさらなる変位を規制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−128273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、図5に示すようなストラットマウント101を製造するに際し、ストラットマウント101の加硫成形に供する金型を、単に、上型と下型とで構成されて、ストラットマウント101の軸線方向に型開きするものとした場合は、ゴム弾性体103の外周面に環状溝104を形成するための、金型内面からの突条の存在に起因して、成形したストラットマウント101の、金型からの型抜きが困難となる。
そのため、従来のストラットマウント101を加硫成形するに当っては、通常、上型と下型との間に、上下型の型開きに際して、水平方向に型開きする一対の中間型を設けた加硫成形金型を用いることが必要になり、これにより、製造に要する設備コストの増大が余儀なくされるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、製造コストを小さく抑えつつ、ストラットロッドへのバウンド荷重の作用に対して、ストラットロッドの、車体側パネルの上方側への過度の変位を有効に規制することができるストラットマウントならびに、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のストラットマウントは、中心軸線の一方側に向けて拡径するテーパ状部分および、該テーパ状部分の、中心軸線の他方側の周縁に連続して内周側へ突出する内向きフランジ部分を有する筒体と、該筒体の外周面に全周にわたって固着させた筒状の本体ゴムとを具えてなり、車輪側から延びるストラットロッドを、前記筒体に貫通させるとともに、窪み頂壁に貫通孔を設けた車体側パネルの窪み面に、前記本体ゴムを嵌め合わせて使用に供されるものであって、
本体ゴムの内側で、筒体の内向きフランジ部分の外表面に、車体側パネル側に向けて突出する一個もしくは複数個の弾性ストッパを設け、該弾性ストッパを、車体側パネルへの本体ゴムの嵌め合わせ姿勢で、車体側パネルの窪み頂壁に非接触としてなるものである。
なおここで、「車体側パネルへの本体ゴムの嵌め合わせ姿勢」とは、ストラットロッドを、筒体に貫通させて該筒体に連結するとともに、本体ゴムを車体側パネルの窪み面に嵌め合わせて、ストラットマウントを車輪側と車体側との間に配設し、そのストラットマウントに車体重量が作用して、ストラットマウントが車輪側に変位した状態をいうものとする。
【0008】
ここで、弾性ストッパは、所要の物性の弾性材料をもって、本体ゴムから分離させて形成し得ることはもちろんであるが、弾性ストッパの外側に位置する本体ゴムに一体的に連結させて形成することが好ましい。
【0009】
また、この発明の、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造は、上述したいずれかのストラットマウントを介して、ストラットロッドを車体側パネルに取付ける構造であって、ストラットロッドを、ストラットマウントの筒体に貫通させるとともに、車体側パネルの前記窪み面に、ストラットマウントの本体ゴムを嵌め合わせて、ストラットロッドの、車体側パネルの貫通孔から上方に突き出る上端部分に、剛性ストッパプレート部材を取り付け、
車体側パネルの窪み頂壁の、前記貫通孔の周縁部分を全周にわたって、筒体側に変形させて、該周縁部分を、筒体の内向きフランジ部分に設けた前記弾性ストッパに接近させてなるものである。
【0010】
なお、剛性ストッパプレート部材の外周縁に、下方に向けて突設される環状弾性部材は、車体側パネルの、上方へ最も高く突出する頂縁よりも内周側に位置させることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明のストラットマウントによれば、本体ゴムの内側で、高剛性の、筒体の内向きフランジ部分の外表面に、車体側パネル側に向けて突出するとともに、車体側パネルへの本体ゴムの嵌め合わせ姿勢で、それの窪み頂壁に非接触とした弾性ストッパを設けたことにより、車体側と車輪側との間に配設して使用に供するに際し、弾性ストッパが車体側パネルの窪み頂壁に接触しない状態では、本体ゴムによる軟らかいばね特性の発揮に基き、車輪側からの入力振動を有効に吸収することができ、そして、ストラットロッドに大きなバウンド荷重が作用した場合には、筒体の内向きフランジ部分でバックアップされた弾性ストッパの、車体側パネルの窪み頂壁への当接下で、ばね定数の急増をもたらして、ストラットロッドの、突き上げ方向の過度の変位を有効に規制することができる。
【0012】
しかも、このストラットマウントでは、弾性ストッパを、本体ゴムの内側で、筒体の内向きフランジ部分の外表面に設けたことにより、従来技術のように、ゴム弾性体の外周面に、中心軸線側に窪む環状溝の形成が不要となるので、ストラットマウントの製造を、上型と下型とで構成される金型によって容易に、かつ低コストで行うことができる。
【0013】
ここにおいて、弾性ストッパを、それの外側に位置する本体ゴムに一体的に連続する構成としたときは、本体ゴムの加硫成形と同時に、弾性ストッパを、筒体の内向きフランジ部分に加硫接着させて形成することができるので、本体ゴムとは別個の部材としての弾性ストッパを、本体ゴムの加硫成形とは分離させて形成して、筒体の内向きフランジ部分に事後的に固定ないしは固着する場合に比して、製造工程が低減されて、より一層容易な製造を実現することができる。
【0014】
また、この発明の、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造によれば、上述したように、製造コストの増大を招くことなく、ストラットロッドの大きな変位を有効に規制できることの他、車体側パネルの窪み頂壁の、貫通孔の周縁部分を全周にわたって、筒体側に変形させて、その周縁部分を、筒体の内向きフランジ部分に設けた前記弾性ストッパに接近させることにより、弾性ストッパの、前記周縁部分への当接による硬いばね特性が発揮されるに到るまでの、ストラットロッドの変位量を小さくすることができるので、その周縁部分の変形量を適宜選択することで、ストラットマウントを配設する車両に応じて、弾性ストッパに、ストラットロッドの変位規制機能を発揮させることができる。
【0015】
なお、この取付け構造において、剛性ストッパプレート部材の外周縁に、下方に向けて突設される環状弾性部材を、車体側パネルの、上方へ最も高く突出する頂縁よりも内周側に位置させたときは、剛性ストッパプレート部材および環状弾性部材のそれぞれの少なくとも一部を、車体側パネルの、筒体側に変形させた周縁部分内に入り込ませて配置することができるので、ストラットロッドの取り付け構造を、上下方向にコンパクト化して、車両のボンネット位置を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明のストラットマウントの一の実施形態を、車両側と車輪側との間への配設姿勢で示す、中心軸線を含む縦断面図である。
【図2】図1のストラットマウントの弾性ストッパの他の形成例を示す拡大縦断面図である。
【図3】図1のストラットマウントの要部の変形例を示す拡大縦断面図である。
【図4】他の実施形態を示す、図1と同様の縦断面図である。
【図5】従来のストラットマウントを、車両側と車輪側との間への配設姿勢で示す、中心軸線を含む縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
図1に例示するストラットマウント1は、中心軸線の一方側(図では下方側)に向けて拡径するテーパ状部分2aおよび、テーパ状部分2aの、中心軸線の他方側(図では上方側)の周縁に連続して内周側へ突出する内向きフランジ部分2bを有する、たとえば金属製の剛性の筒体2と、筒体2の外周面に全周にわたって固着させた本体ゴム3とを具えてなる。
ここで、本体ゴム3の外表面は、筒体2の中心軸線の一方側に向けて拡径する、テーパ状部分2aに略平行なテーパ状に形成することができる。
【0018】
このストラットマウント1は、図1に示すように、筒体2の中央部に、車輪側から延びるストラットロッド10を貫通させるとともに、本体ゴム3の外表面を、車体側パネル20に設けた上方側への窪みの、本体ゴム3の外表面に略平行な窪み面21に嵌め合わせて、車体側パネル20の窪み頂壁22に設けた貫通孔23から上方に突き出るストラットロッド10の上端部分11に、環状の剛性ストッパプレート部材30を取り付けることにより、車体側と車輪側との間に配設することができる。
【0019】
そして、ストラットマウント1を配設した車両の走行に際しては、車輪が路面から受ける上下方向の入力の大部分を、図示しないショックアブソーバおよび、ショックアブソーバの周囲を取り囲むコイルスプリングとで吸収するとともに、それらで吸収できなかった入力部分を、ストラットマウント1の、主として本体ゴム3の剪断変形により吸収して、これらの部材が、車輪側からの入力振動の、車体側への伝達を抑制する懸架装置として機能する。
【0020】
ここにおいて、ストラットロッド10に、突き上げ方向の大きな入力が作用した場合に、ストラットロッド10の、車体側パネル20に対する上方側への過度の変位を抑えるため、この発明では、本体ゴム3の内側で、筒体2の内向きフランジ部分2bの外表面に、車体パネル20側に向けて突出する弾性ストッパ4を設ける。
この一方で、ストラットロッド10の変位量が所定の大きさに達するまでは、ストラットマウント1に軟らかいばね特性を発揮させるべく、上記の弾性ストッパ4は、図示の、車体側パネル20への本体ゴム3の嵌め合わせ姿勢で、車体側パネル20の窪み頂壁22に非接触とする。
【0021】
これによれば、ストラットロッド10の変位量が所定の大きさを超えるような大きなバウンド荷重が作用した際に、たとえば金属製の剛性内向きフランジ部分2bの外表面に設けた弾性ストッパ4が、車体側パネル20の窪み頂壁22に、内向きフランジ部分2bのバックアップ下で当接して、ストラットロッド10の、上方側へのさらなる変位に対し、硬いばね特性が発揮されることになるので、ストラットロッド10の過度の変位を有効に規制することができ、併せて、本体ゴム3の過大な剪断変形を防止することができる。
しかも、このようなストラットマウント1、とりわけ本体ゴム3は、単に、上下に型開きするだけの、上型と下型からなる金型で加硫成形して製造できるので、製造コストを小さく抑えることができる。
【0022】
ここで、弾性ストッパ4は、窪み頂壁22に当接した際の、要求されるばね特性に応じて様々な形状等に形成することができる。
たとえば、弾性ストッパを、本体ゴム3の周方向の全周にわたるリング状とする場合は、全周にわたって車体側パネル側へ同様に突出する形状、または、周方向の一箇所もしくは複数個所で車体側パネル側へとくに大きく部分的に突出する形状とすることができる。
あるいは、弾性ストッパは、本体ゴム3の内周側で、所要の形状で部分的に突出する、一個もしくは複数個だけを設けることもできる。
【0023】
またここで、図2(a)に示す弾性ストッパ44は、それの外周側の本体ゴム3とは別体として形成したものであるが、ストラットマウント1の製造を一層容易なものとするとの観点からは、弾性ストッパを、図1に示すように、本体ゴム3と一体的に連続させて形成することが好ましい。
なお、図1に示すように、弾性ストッパ4を、本体ゴム3に連続させて一体形成する場合は、弾性ストッパ4と本体ゴム3との連続箇所のゴム厚みを薄くして、弾性ストッパ4と本体ゴム3との相互間での、ゴムの変形による影響を小さくすることが好ましい。
【0024】
そしてまた、弾性ストッパを、本体ゴム3と一体的に形成するか、または別個の部材として形成するかのいかんにかかわらず、図2(b)に示すように、弾性ストッパ54を、熱可塑性エラストマー等の弾性材とすることもできる。
このことによれば、ゴム製のものに比して高硬度の弾性ストッパ54の、車体側パネル20の窪み頂壁22への当接に基いて、より高いストッパ機能を発揮させることができる。
【0025】
なおここで、弾性ストッパによるストッパ特性を変更するため、図3に例示するように、筒体2の内向きフランジ部分2bの、弾性ストッパ4が固着される部分2cに、たとえば、車体側パネル22側に盛り上がる塑性加工を施すこともできる。
【0026】
なお、図1に示すところでは、筒体2の内向きフランジ部2bの下面側に、下方に向けて突出する筒部11aを具えたスラストベアリング11を配置するとともに、このスラストベアリング11の下方に、前記筒部11aを取り囲んで、ブラケット12を取付けて、これらのスラストベアリング11およびブラケット12のそれぞれの内部に、ストラットロッド10を挿通配置している。
ところで、ブラケット12の、図の下端側の拡径端は、ショックアブソーバと並列に配置されるスプリング、ここではコイルスプリングのばね座として機能する。
【0027】
ここで、ブラケット12は、スラストベアリング11の筒部11aを取り囲む孔を形成した上端壁付きの、図の下方に向けて僅かに縮径する略円筒状をなす筒状部分12aと、筒状部分12aの下端側の周縁に連続させて形成した、図の下方に向けて拡径するテーパ筒部分12bと、テーパ筒部分12bの下端側の周縁に連続させて形成した、図示の断面で略倒立L字状の筒状フランジ部分12cとからなる。
【0028】
またここでは、ストラットロッド10の、図の上方側の部分に形成した、下方側の部分に比して小径の雄ねじ部13を、下側雌ねじ部材14に螺合させるとともに、その下側雌ねじ部材14の締込みによって、筒体2の内向きフランジ部分2bを、下側雌ねじ部材14とスラストベアリング11との間に挟み込んで固定し、併せて、前記雄ねじ部13を、上側雌ねじ部材15に螺合させて、前記下側雌ねじ部材14とその上側雌ねじ部材15との間に、環状の剛性ストッパプレート部材30を締込み固定する。
以上に述べたようにして、ストラットロッド10は、ストラットマウント1を介して車体側パネル20に、間接的に取付けられることになる。
【0029】
なお、底部に貫通穴を有する、全体として皿状形状をなす剛性ストッパプレート部材30の外周縁には、ストラットロッド10の、車体側パネル20に対する下方側への変位を、その車体側パネルへの当接下で規制する環状弾性部材31を設けることができる。
図1に示すところでは、環状弾性部材31を、図示の姿勢で、車体側パネル20の窪み頂壁22の外表面に予め接触させているが、環状弾性部材は、窪み頂壁22に非接触とすることも可能である。
【0030】
ところで、図4に示す他の実施形態のストラットマウント61は、車体側パネル70の窪み頂壁72の、貫通孔73の周縁部分74を全周にわたって、下方側の、筒体62側に塑性変形させたことに起因して、弾性ストッパ64の、車体側パネル70側への突出高さを、図1に示すものに比して低くしたものである。
このように、車体側パネル70の前記周縁部分74の変形量および、弾性ストッパ64の突出高さ等を変更することにより、車両によって異なる、ストラットロッド10の変位規制に対する様々な要求に応じて、ストラットロッド10を取付けることができる。
【0031】
そしてここでは、ストラットロッド10に取付けられて、車体側パネル70の上方側に位置する環状の剛性ストッパプレート部材80の外径を、図1に示すものよりも小さくするとともに、剛性ストッパプレート部材80の外周縁に設ける環状弾性部材81を、車体側パネル70の、上方へ最も高く突出する頂縁Bよりも内周側に位置させて、剛性ストッパプレート部材80および環状弾性部材81のそれぞれの下方側部分を、車体側パネル70の、筒体62側に変形させた周縁部分74内に入り込ませることにより、ストラットロッド10の、車体側パネル70への取付け構造の上下方向の寸法を、先に述べたものに比して小さくすることができるので、このような取付け構造を採用する車両のボンネットを低く設定でき、この結果として、車両走行時の空気抵抗の軽減等をもたらすことができる。
【符号の説明】
【0032】
1,61 ストラットマウント
2,62 筒体
2a テーパ状部分
2b 内向きフランジ部分
2c 塑性変形部分
3,63 本体ゴム
4,44,54,64 弾性ストッパ
10 ストラットロッド
11 上端部分
12 ブラケット
13 雄ねじ部
14,15 雌ねじ部材
20,70 車体側パネル
21 窪み面
22,72 窪み頂壁
23,73 貫通孔
74 周縁部分
30,80 剛性ストッパプレート部材
31,81 環状弾性部材
B 車体側パネルの頂縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線の一方側に向けて拡径するテーパ状部分および、該テーパ状部分の、中心軸線の他方側の周縁に連続して内周側へ突出する内向きフランジ部分を有する筒体と、該筒体の外周面に全周にわたって固着させた筒状の本体ゴムとを具えてなり、車輪側から延びるストラットロッドを、前記筒体に貫通させるとともに、窪み頂壁に貫通孔を設けた車体側パネルの窪み面に、前記本体ゴムを嵌め合わせて使用に供されるストラットマウントであって、
本体ゴムの内側で、筒体の内向きフランジ部分の外表面に、車体側パネル側に向けて突出する一個もしくは複数個の弾性ストッパを設け、該弾性ストッパを、車体側パネルへの本体ゴムの嵌め合わせ姿勢で、車体側パネルの窪み頂壁に非接触としてなるストラットマウント。
【請求項2】
弾性ストッパを、該弾性ストッパの外側の本体ゴムに一体的に連結してなる請求項1に記載のストラットマウント。
【請求項3】
請求項1もしくは2に記載のストラットマウントを介して、ストラットロッドを車体側パネルに取付ける構造であって、ストラットロッドをストラットマウントの筒体に貫通させるとともに、車体側パネルの前記窪み面に、ストラットマウントの本体ゴムを嵌め合わせて、ストラットロッドの、車体側パネルの貫通孔から上方に突き出る上端部分に、剛性ストッパプレート部材を取り付け、
車体側パネルの窪み頂壁の、前記貫通孔の周縁部分を全周にわたって、筒体側に変形させて、該周縁部分を、筒体の内向きフランジ部分に設けた前記弾性ストッパに接近させてなる、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造。
【請求項4】
剛性ストッパプレート部材の外周縁に、下方に向けて突設される環状弾性部材を、車体側パネルの、上方へ最も高く突出する頂縁よりも内周側に位置させてなる、請求項3に記載の、ストラットロッドの、車体側パネルへの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219913(P2012−219913A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86262(P2011−86262)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】