説明

ストリーム生成装置

【課題】特殊な監視装置を不要とし、これにより構成の簡単小型化及び低価格化を図るとともに、ストリームの異常を迅速に検出し得るストリーム生成装置を提供する。
【解決手段】多重部13の後段側にPID検出部15及び出力監視部16を設けるようにし、PID検出部15により指定PIDを利用してTSが正常であるか否かを検出し、出力監視部16にてTS中の一定期間内の指定PIDのTSパケットの総数によりTSが正常であるか否かを判定し、この判定結果情報を外部に通知するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)により、番組で使用する映像、音声のそれぞれのTS(Transport Stream)パケットを多重してTSを生成するストリーム生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波放送システムにおいては、デジタル放送が開始されている。このようなデジタル放送では、MPEG2により、番組で使用するビデオ、オーディオのそれぞれのTSデータを予め決められたパターンで多重伝送し、受信側で各TSデータを復調し、適宜タイミングを合わせて合成再生することで、放送番組を視聴可能としている。
【0003】
ところで、TSを生成する符号化装置にあっては、TSが正しく送出されたか否かを監視する機能が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−8239号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記監視機能を備える符号化装置では、例えば専用の接続ユニットを介してモニタを接続している。このため、符号化装置の構成が極めて大形で高価なものになってしまう欠点がある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、特殊な監視装置を不要とし、これにより構成の簡単小型化及び低価格化を図るとともに、ストリームの異常を迅速に検出し得るストリーム生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記目的を達成するために以下のように構成される。
一定のデータ長の複数の伝送パケットを配列し、かつ該伝送パケットごとにパケットIDを付加したTS(Transport Stream)を生成するストリーム生成装置において、TSを入力し、指定されたパケットIDに対応する伝送パケットがTSに含まれているか否かを検出する検出手段と、この検出手段による検出結果情報を外部に通知する通知制御手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
この構成によれば、パケットIDを利用することで生成されたTSが正常であるか否かが検出され、この検出結果情報が外部に通知されることになる。従って、外部に特殊な監視装置を追加する必要がなくなり、これにより符号化装置の構成の大形化及びコストアップを防止することができ、TSの異常を外部で検出するより迅速に発見できる。
【0008】
また、通知制御手段は、検出手段による検出結果に基づいて、TS中の所定期間内の指定された伝送パケットの数が基準数以上あるか否かを判定し、この判定結果を外部に通知するようにしている。
【0009】
この構成によれば、TS中の所定期間内の指定された伝送パケットの総数によりTSが正常であるか否かを判定するようにしている。従って、TSの正常判断を高精度に行うことができる。
【0010】
通知制御手段は、TSの伝送パケットのうち、映像パケット、音声パケット、PAT(Program Association Table)パケット、PMT(Program Map Table)パケット、PCR(Program Clock Reference)パケット及びデータパケットのそれぞれについての検出結果情報を外部に通知するようにしている。
【0011】
この構成によれば、パケットの種類ごとにパケットIDを利用してTSが正常であるか否かが検出され、この検出結果情報が外部に通知されることになる。従って、TSの正常判断を極めて高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したようにこの発明によれば、特殊な監視装置を不要とし、これにより構成の簡単小型化及び低価格化を図るとともに、ストリームの異常を迅速に検出し得るストリーム生成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明に係わるストリーム生成装置としての映像・音声符号化装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0014】
図1において、符号1は映像・音声符号化装置で、映像符号化部11と、音声符号化部12と、多重部13と、制御部14と、PID検出部15と、出力監視部16とを備えている。
【0015】
映像符号化部11は、映像信号を取り込んでMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)の規定に従って符号化し、その符号化データを多重部13に出力する。また、音声符号化部12は、音声信号を取り込んで符号化し、その符号化データを多重部13に出力する。
【0016】
多重部13では、制御部14による制御の下、映像符号化部11及び音声符号化部12それぞれの出力に、PAT(Program Association Table)パケット、PMT(Program Map Table)パケット、PCR(Program Clock Reference)パケット及びその他のデータパケットを多重することによりTSを生成する。
【0017】
制御部14は、各部の制御を行うとともに、外部から送られるPID指定情報をPID検出部15及び出力監視部16に通知する。
【0018】
PID検出部15は、多重部13から出力されるTSを入力し、外部より指定されたPID(Packet ID)に対応するTSパケットがTSに含まれているか否かを検出する。出力監視部16は、ある一定期間に一致したPIDが存在したか否か、または一定期間のPIDの検出数等を算出し、外部に通知する。
【0019】
次に、上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
まず、映像・音声符号化装置1では、図2に示すTSを生成する。図2において、PID=00XXは映像パケット、PID=00XYは音声パケット、PID=00YZはその他のデータパケットであることを示している。
【0020】
ここで、映像・音声符号化装置1では、多重部13にて生成されたTSをPID検出部15に入力し、指定されたPIDに対応するTSパケットの有無を検出する。この検出結果は出力監視部16に通知される。
【0021】
出力監視部16では、例えば1映像期間内(33.3mS)の映像パケット、音声パケット、その他のデータパケットそれぞれの指定PIDのパケット数を算出する。そして、この算出した映像パケット、音声パケット、その他のデータパケット別のパケット数が予め決められた基準数以上であるか否かを判定し、この判定結果を外部に通知する。さらに、PMTパケット、PATパケット、PCRパケットについても予め決められた基準数以上であるか否かを判定し、この判定結果を外部に通知する。
【0022】
以上のように上記実施形態では、PID検出部15により指定PIDを利用してTSが正常であるか否かを検出し、出力監視部16にてTS中の一定期間内の指定PIDのTSパケットの総数によりTSが正常であるか否かを判定し、この判定結果情報を外部に通知するようにしている。
【0023】
従って、外部に特殊な監視装置を追加する必要がなくなり、これにより映像・音声符号化装置1の構成の大形化及びコストアップを防止することができ、TSの異常を外部で検出するより迅速に発見できる。また、TS中の一定期間内の指定PIDのTSパケットの総数によりTSが正常であるか否かを判定するようにしているので、TSの正常判断を高精度に行うことができる。
【0024】
なお、上記実施形態では、一定期間内の指定PIDの検出数が基準数以上であるか否かを判定することによりTSの異常検出を行なう例について説明したが、指定PIDの検出の有無を外部に通知するようにしてもよい。この場合、例えばTS中にPMT、PAT、PCRが含まれているか否かを検出することでTSの異常判断を行うことが考えられる。
【0025】
また、この他にも、映像・音声符号化装置の構成や、MPEG2符号化方式以外で規定されるストリームを生成する場合、TSの異常判定方法等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明に係わるストリーム生成装置としての映像・音声符号化装置の一実施形態を示すブロック図。
【図2】同実施形態で生成されるTSの構造を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1…映像・音声符号化装置、11…映像符号化部、12…音声符号化部、13…多重部、14…制御部、15…PID検出部、16…出力監視部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定のデータ長の複数の伝送パケットを配列し、かつ該伝送パケットごとにパケットIDを付加したTS(Transport Stream)を生成するストリーム生成装置において、
前記TSを入力し、指定されたパケットIDに対応する伝送パケットが前記TSに含まれているか否かを検出する検出手段と、
この検出手段による検出結果情報を外部に通知する通知制御手段とを具備したことを特徴とするストリーム生成装置。
【請求項2】
前記通知制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記TS中の所定期間内の指定された伝送パケットの数が基準数以上あるか否かを判定し、この判定結果を外部に通知することを特徴とする請求項1記載のストリーム生成装置。
【請求項3】
前記通知制御手段は、前記TSの伝送パケットのうち、映像パケット、音声パケット、PAT(Program Association Table)パケット、PMT(Program Map Table)パケット、PCR(Program Clock Reference)パケット及びデータパケットのそれぞれについての検出結果情報を外部に通知することを特徴とする請求項1記載のストリーム生成装置。
【請求項4】
前記通知制御手段は、前記検出手段の検出結果から、前記TSの伝送パケットのうち、映像パケット、音声パケット、PAT(Program Association Table)パケット、PMT(Program Map Table)パケット、PCR(Program Clock Reference)パケット及びデータパケットのそれぞれについて基準数以上あるか否かを判定することを特徴とする請求項2記載のストリーム生成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−235837(P2007−235837A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57851(P2006−57851)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】