説明

ストレイナー装置及びスネアドラム

【課題】スネアワイヤがドラムヘッドに接触するときの接触音を抑えることのできるストレイナー装置及びスネアドラムを提供することにある。
【解決手段】ストレイナー装置10は、ストレイナー本体14、カムフォロアが固定されるスライダ16、スネアワイヤ4が固定されるホルダ17、操作レバー13、及び操作レバー13の操作により回動するカムを備えている。操作レバー13を操作してカムを回動させ、カムフォロアをカム面に沿って移動させることにより、スライダ16がストレイナー本体14に対しスライド移動する。スライダ16の移動距離は、操作レバー13の操作角度に対して線形に変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スネアワイヤをドラムヘッドに接離させるために操作されるストレイナー装置及びスネアドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スネアドラムは、円筒状のシェルと、シェルの上下の開口端にそれぞれ装着された一対のドラムヘッドと、下方のドラムヘッドの表面に沿って張設されるスネアワイヤと、シェルの外周面に取り付けられたストレイナー装置とを備えている。ストレイナー装置は、スネアワイヤをドラムヘッドの表面から離間したオフ位置とドラムヘッドの表面に接するオン位置とに切り替えるためのパーツとして用いられる。
【0003】
一般に、ストレイナー装置100は、図10(a),(b)に示すように、スライド溝102aを有するストレイナー本体102と、ストレイナー本体102に対しスライド移動可能に支持されたスライダ103と、ストレイナー本体102に対し回動可能に支持されたカム104とを備えている。スライダ103は、カムフォロア105と、スネアワイヤ106のベルト107が固定されるホルダ108とを備えている。カム104には、円弧に沿って延びるカム溝104aが形成されている。また、カム104には、操作レバー104bが一体形成されている。スライダ103は、カムフォロア105をスライド溝102aとカム溝104aとに挿通させた状態で、ストレイナー本体102とカム104とにそれぞれ組み付けられている。
【0004】
ストレイナー装置100によれば、操作レバー104bを引き上げてカム104を図10(a)に示す反時計回り(図10(b)に示す時計回り)に回動させると、カムフォロア105がカム溝104a内を移動しながらスライド溝102a内を上方に移動する。これにより、カム104の回動運動がカムフォロア105の直線運動に変換されて、スライダ103は、カムフォロア105と共に上方へとスライド移動する。カムフォロア105がカム溝104aの終端に当接するまで操作レバー104bを引き上げると、スネアワイヤ106の位置はオン位置に切り替えられる。一方、オン位置に配置されたスネアワイヤ106の位置をオフ位置に切り替えるには、オン位置に切り替えるときと逆の操作、即ち、操作レバー104bを引き下げてカム104を図10(a)に示す時計回り(図10(b)に示す反時計回り)に回動させればよい。
【0005】
しかしながら、従来のストレイナー装置100によれば、オフ位置からオン位置に切り替えるときのスネアワイヤ106の移動速度、言い換えれば、操作レバー104bの操作角度とスネアワイヤ106の移動距離との関係について考慮されていない。多くの場合、図11に示すように、スネアワイヤ106をオフ位置から引き上げ始めた直後は、操作レバー104bの操作角度に対するスネアワイヤ106の移動距離は比較的大きく、スネアワイヤ106がオン位置に到達する直前では、操作レバー104bの操作角度に対するスネアワイヤ106の移動距離は比較的小さくなっている。
【0006】
これに加え、スネアドラムを演奏する演奏者によって、オン位置に切り替えられた直後のスネアワイヤ106の上下方向の位置は同じではない。これらの理由から、オン位置に切り替えられた直後のスネアワイヤ106の位置によっては、オン位置へ切り替えたときに、スネアワイヤ106がドラムヘッドに勢いよく接触し、それにより、比較的大きな接触音が生じることがある。このため、例えば、オーケストラによる演奏中にスネアワイヤ106のオン又はオフ操作を頻繁に行う場合、その都度、スネアワイヤ106による接触音が生じて、曲の雰囲気が損なわれてしまう虞がある。
【0007】
スネアワイヤ106による接触音を小さくするため、操作レバー104bをゆっくりと操作して、スネアワイヤ106をドラムヘッドに勢いよく接触させないようにすることも考えられる。しかしながら、図11に示すように、従来のストレイナー装置100によれば、オフ位置からオン位置に到達する直前まではスネアワイヤ106の移動速度が比較的速いため、操作レバー104bをゆっくりと引き上げたとしても、スネアワイヤ106をドラムヘッドに軽く接触させることは非常に困難である。よって、スネアワイヤ106による接触音を回避することはできない。
【0008】
上記構成のものとは異なるストレイナー装置として、特許文献1には、オン又はオフ操作時に水平方向に操作される操作レバーを備えたストレイナー装置が開示されている。しかしながら、同文献に開示のストレイナー装置の場合、図10(a),(b)に示すストレイナー装置100と比較して、オン又はオフ操作のとき、操作レバーをより大きく動かす必要がある。また、操作レバーを上方又は下方に操作する一般的なストレイナー装置とは異なり、操作レバーの操作方向が水平方向であることから、演奏者によっては操作し難いといった問題もある。更には、オン又はオフ操作時におけるスネアワイヤの移動速度についても考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6846978号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、スネアワイヤがドラムヘッドに接触するときの接触音を極力抑えることのできるストレイナー装置及びスネアドラム提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、スネアワイヤの位置をドラムヘッドから離間したオフ位置とドラムヘッドと接するオン位置とに切り替えるスネアドラムのストレイナー装置であって、スネアドラムのシェルに取着されるストレイナー本体と、ストレイナー本体に対しスライド移動可能に支持され、カムフォロアが固定されるスライダと、スライダに設けられ、スネアワイヤが固定されるホルダと、スネアワイヤの位置を切り替えるときに操作される操作レバーと、ストレイナー本体に回動可能に支持され、カムフォロアと接するカム面を有すると共に、操作レバーの操作により回動するカムとを備え、操作レバーを操作してカムを回動させ、カムフォロアをカム面に沿って移動させることにより、スライダがストレイナー本体に対しスライド移動するストレイナー装置において、スライダの移動距離は、操作レバーの操作角度に対して線形に変化することを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、スネアワイヤをオフ位置からオン位置に切り替えるまでの間、スライダは、操作レバーの操作角度に対して等速直線運動する。これにより、スライダと共にスライド移動するスネアワイヤを、ドラムヘッドに勢いよく接触させないようにすることができる。よって、スネアワイヤがドラムヘッドに接触するときの接触音を抑えることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、カム面は、カムの回動中心を中心とした螺旋に沿って延びていることを要旨とする。
この構成によれば、カムは、カムの回動中心を中心とする螺旋に沿って延びるカム面を有している。このように、螺旋に沿って延びるカム面上をカムフォロアが滑ることにより、カムフォロアは等速直線運動する。これにより、カムフォロアが固定されたスライダも、操作レバーの操作角度に対して等速直線運動する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、カム面は、スネアワイヤの位置がオフ位置に配置されたときスライダに接する始端と、スネアワイヤの位置がオン位置に配置されたときスライダに接する終端とを備え、カム面の終端付近は、カムの回動中心を中心とした円弧に沿って延びていることを要旨とする。
【0015】
一般的なストレイナー装置によれば、オン位置に配置される直前でスネアワイヤがドラムヘッドに最も接近し、オン位置でスネアワイヤがドラムヘッドから少し離れてしまう。このため、スネアワイヤがドラムヘッドに勢いよく接触し易く、ドラムヘッドに接触するときの接触音も大きくなり易い。その点、本発明によれば、円弧に沿って延びるカム面の終端付近をカムフォロアが滑ることにより、カムフォロアは移動しなくなり、カムフォロアが固定されたスライダも移動しなくなる。つまり、スネアワイヤの張力によって操作レバーが戻ることもない。よって、必要以上に、スネアワイヤをドラムヘッドに接近させることもない。従って、スネアワイヤがドラムヘッドに勢いよく接触し難くなり、ドラムヘッドに接触するときの接触音をより小さくすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、スネアワイヤがオン位置に配置されたとき操作レバーの位置を保持するためのロック機構を備えていることを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、ロック機構により操作レバーの位置が保持されることによって、スネアワイヤをオン位置に確実に保持することができる。このため、演奏中に、誤操作や振動等により、操作レバーが誤ってオン位置からオフ位置に切り替えられることを防止することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、ストレイナー本体をシェルに固定するためのベースプレートを備え、ロック機構は、カムに設けられたロックピンと、ベースプレートに設けられ、ロックピンが係合される凹部と、ロックピンとカムとの間に設けられた付勢手段とから構成されていることを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、ロックピンがベースプレートの凹部に係合することにより、操作レバーの位置が保持される。このとき、ロックピンは、カムとの間に配置された圧縮コイルばねによって付勢されている。これにより、ロックピンが凹部に嵌め込まれたときに生じる節度感触、即ち、クリック感を高めることができる。よって、演奏者は、操作レバーを通じてクリック感を感じることにより、スネアワイヤがオン位置に配置されたことを認識することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、ストレイナー本体とスライダとの間に設けられ、スネアワイヤがドラムヘッドから離間するようにスライダを付勢する付勢手段を備えていることを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、付勢手段の付勢力によって、スネアワイヤがドラムヘッドから離間するようにスライダを保持することができる。これにより、スネアワイヤが張設される下方のドラムヘッドを上向きしても、スネアワイヤをオフ位置に保持することができるため、ストレイナー装置へのスネアワイヤの取り付け作業を容易に行える。また、この場合、付勢手段の付勢力によってスネアワイヤがオフ位置に切り替えられるため、その分、カムの形状を単純化することができ、ひいては、ストレイナー装置の小型化を実現することもできる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、オン位置に配置されたスネアワイヤの上下方向の位置を調整するための操作ノブを含む位置調整機構と、スネアワイヤの上下方向の位置を保持するための保持機構とを備え、保持機構は、操作ノブ及びスライダの一方に設けられた係合部と、操作ノブ及びスライダの他方に設けられ、係合部と係合する被係合部とから構成され、係合部及び被係合部の少なくとも一方が弾性材料からなることを要旨とする。
【0023】
この構成によれば、スネアワイヤの位置をオン位置に切り替えた後、操作ノブの操作に基づき、スネアワイヤの上下方向の位置を微調整することができる。つまり、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧を調整することができ、スネアワイヤによる響き音を調整することができる。また、保持機構によって、スネアワイヤの上下方向の位置が保持されるため、演奏中に、ドラムヘッドに対するスネアワイヤの接触圧の低下を防止することができる。よって、スネアワイヤによる響き音を良好に保つこともできる。この場合、係合部及び被係合部が互いに係合することにより、操作ノブの操作に基づくスライダボルトの軸線回りの回動が規制される。これにより、ホルダに対するスライダボルトの螺合量が保持されるため、スネアワイヤの上下方向の位置を保持することができる。更に、係合部及び被係合部の少なくとも一方が弾性を有しているため、係合部が被係合部に係合したときに生じる節度感触、即ち、クリック感を高めることもできる。よって、演奏者は、操作ノブを通じてクリック感を感じることにより、スネアワイヤの上下方向の位置が調整される量を認識することもできる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明において、ホルダは、クランプホルダと、クランプホルダとの間にスネアワイヤを挟持するクランプカバーを含み、クランプホルダは、クランプカバーに向けて突出すると共にねじ孔を有する一対のガイドを有し、クランプカバーは、両ガイドが挿入される一対のガイド孔を有し、各ガイド孔に挿入されたボルトを対応するガイドのねじ孔に締め付けることにより、クランプホルダにクランプカバーが固定されることを要旨とする。
【0025】
この構成によれば、ホルダにクランプカバーを組み付ける際、クランプカバーのガイド孔に挿入されたボルトがホルダのガイドによって隠蔽されるため、ボルトにスネアワイヤの紐やテープが巻き込まれることを防止することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、円筒状のシェルと、シェルの上下の開口端にそれぞれ装着された一対のドラムヘッドと、下方のドラムヘッドの表面に沿って張設されるスネアワイヤと、シェルの外周面に取り付けられ、スネアワイヤの位置をドラムヘッドから離間したオフ位置とドラムヘッドと接するオン位置とに切り替えるストレイナー装置とを備えたスネアドラムであって、ストレイナー装置は、スネアドラムのシェルに取着されるストレイナー本体と、ストレイナー本体に対しスライド移動可能に支持され、カムフォロアが固定されるスライダと、スライダに設けられ、スネアワイヤが固定されるホルダと、スネアワイヤの位置を切り替えるときに操作される操作レバーと、ストレイナー本体に回動可能に支持され、カムフォロアと接するカム面を有すると共に、操作レバーの操作により回動するカムとを備え、操作レバーを操作してカムを回動させ、カムフォロアをカム面に沿って移動させることにより、スライダがストレイナー本体に対しスライド移動するスネアドラムにおいて、スライダの移動距離は、操作レバーの操作角度に対して線形に変化することを要旨とする。
【0027】
この構成によれば、請求項1と同等の作用効果を発揮することのできるスネアドラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、スネアワイヤがドラムヘッドに接触するときの接触音を抑えることのできるストレイナー装置及びスネアドラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るストレイナー装置が取り付けられたスネアドラムを下方から見た斜視図。
【図2】ストレイナー装置の斜視図。
【図3】ストレイナー装置の分解斜視図。
【図4】(a)はスネアワイヤがオフ位置に配置されているときのストレイナー装置の内部構造を示す平面図、(b)はスネアワイヤがオン位置に配置されているときのストレイナー装置の内部構造を示す平面図。
【図5】図2の5−5線に沿った断面図。
【図6】スネアワイヤがオン位置に配置されているときのストレイナー装置の内部構造を示す横断面図。
【図7】ホルダの分解斜視図。
【図8】保持機構の分解斜視図。
【図9】操作レバーの操作角度とスネアワイヤの移動距離との関係について本実施形態のストレイナー装置と従来のストレイナー装置とを比較したグラフ。
【図10】(a)従来のストレイナー装置を表側から見た斜視図、(b)従来のストレイナー装置を裏側から見た斜視図。
【図11】操作レバー操作角度とスネアワイヤの移動距離との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るストレイナー装置を具体化した一実施形態について図1〜図9を参照して説明する。
図1に示すように、スネアドラム1は、円筒状のシェル2、一対のドラムヘッド3、スネアワイヤ4、及びストレイナー装置10を備えている。ドラムヘッド3は、シェル2の上下の開口端にそれぞれ装着されている。スネアワイヤ4は、下方のドラムヘッド3の表面に沿って張設されている。ストレイナー装置10は、シェル2の外周面に取り付けられている。シェル2の外周面において、ストレイナー装置10と反対側の位置にはバット(図示せず)が取り付けられている。スネアワイヤ4は、バット及びストレイナー装置10を介して、ドラムヘッド3の表面に対し接離可能に、かつスネアワイヤ4の張力(テンション)を調整可能に支持されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、ストレイナー装置10は、ベースプレート11、カム12、操作レバー13、ストレイナー本体14、操作ノブ15、スライダ16、及びホルダ17等を備えている。ベースプレート11の上端と下端とには、ブラケット11aがそれぞれ設けられている。各ブラケット11aは、ベースプレート11の各端部をそれぞれ略L字状に折り曲げて形成されている。各ブラケット11aには、ねじ孔が形成されている。各ブラケット11aのねじ孔には、ストレイナー装置10をシェル2に固定するためのねじが締め付けられる。
【0032】
図3及び図6に示すように、ベースプレート11のブラケット11aと反対側の面には、樹脂製のスペーサ20が固定されている。スペーサ20は、円弧に沿って延びる成形体により形成されている。スペーサ20は、一方の面を球面状に凹ませた凹部20aと、他方の面において凹部20aと対応する位置を突出させた突部20bとを備えている。スペーサ20は、突部20bをベースプレート11の孔に嵌入した状態で、ベースプレート11に固定されている。ベースプレート11は、対向する一対の角部に、ストレイナー本体14との締結に用いられる貫通孔11bをそれぞれ有している。
【0033】
ストレイナー本体14は、ベースプレート11のブラケット11aと反対側の面に組み付けられる。ストレイナー本体14は、4つの壁により包囲された空間を有するケース部14aを備えている。ストレイナー本体14は、ケース部14a内の空間にカム12や操作レバー13等を収納する。また、図4(a),(b)に示すように、ケース部14aの対向する一対の角部には、ねじ孔を有する固定部14bがそれぞれ設けられている。ケース部14aの各固定部14bには、ベースプレート11をストレイナー本体14に固定するためのねじが締め付けられる。
【0034】
ケース部14a内には、カム12が操作レバー13と共に、ストレイナー本体14に組み付けられた状態で収納されている。操作レバー13は、スネアワイヤ4をドラムヘッド3に対し接離させるとき、即ち、スネアワイヤ4の位置をドラムヘッド3から離間したオフ位置又はドラムヘッド3と接するオン位置に切り替えるときに操作される。操作レバー13は、ケース部14a内から開口14cを通じて外方に延びている。操作レバー13の先端には、操作ノブ21がねじにより取り付けられている。操作レバー13の基端部には、カム12との固定に用いられる2つの固定孔13a,13bが設けられている。
【0035】
カム12は、操作レバー13の第1の固定孔13aに固定される固定部12aと、操作レバー13の第2の固定孔13bに固定されるカム部12bとを備えている。固定部12aは、操作レバー13の第1の固定孔13aと対応する位置に軸孔12cを有している(図3参照)。カム部12bは、操作レバー13の第2の固定孔13bと対応する位置に円筒状の突出部12dを有している(図6参照)。カム12は、軸孔12cを操作レバー13の第1の固定孔13aに一致させると共に、突出部12dを操作レバー13の第2の固定孔13bに嵌入した状態で、操作レバー13の基端部に固定されている。
【0036】
カム12は、操作レバー13と共に、ボルト23により、ストレイナー本体14に対し回動可能に支持されている。なお、操作レバー13の回動トルクを適切な値にすべく、カム12とストレイナー本体14との間にはOリング24が介装されている。また、操作レバー13の基端部とボルト23の頭部との間にも、ワッシャ25やOリング26等が介装されている(図3参照)。
【0037】
カム12は、操作レバー13の操作角度に対してスネアワイヤ4の移動距離が線形に変化するように設計されている。詳しくは、カム12は、カム12の回動中心を中心とした螺旋に沿って延びるカム面12eを有している。より詳しくは、カム面12eは、図4(a)に示すように操作レバー13を引き下げたとき後述するカムフォロア30に接する始端Sと、図4(b)に示すように操作レバー13を引き上げたときカムフォロア30に接する終端Tとを有している。終端T付近では、カム面12eの形状が、カム12の回動中心、即ちボルト23の軸心を中心とした円弧に沿って延びている。なお、本実施形態において、操作レバー13の引き上げる操作は、スネアワイヤ4の位置をオン位置に切り替えるためのオン操作であり、操作レバー13を引き下げる操作は、スネアワイヤ4の位置をオフ位置に切り替えるためのオフ操作である。
【0038】
図6に示すように、カム12は、引き上げられた操作レバー13の位置を保持するためのロック機構を備えている。ロック機構は、突出部12d内に収納されたロックピン31と、スペーサ20の凹部20aと、ロックピン31を凹部20aに向けて付勢する圧縮コイルばね32とから構成されている。ロックピン31の先端は、凹部20aの形状と一致するように球面状に形成されている。凹部20aの位置は、スネアワイヤ4がオン位置に切り替えられたタイミングでロックピン31が凹部20aに係合するように設定されている。つまり、ロック機構が機能して、ロックピン31が凹部20aに係合することにより、スネアワイヤ4の位置がオン位置に保持される。
【0039】
図4(a),(b)に示すように、ケース部14a内には、引き上げられた操作レバー13の更なる回動、詳しくは、図4(b)に示す位置から時計回りへの回動を規制するためのストッパー35が取り付けられている。ストッパー35は、ゴム等の弾性材料からなる。ストッパー35は、図4(a),(b)に示す各位置でカム12及び操作レバー13を支持するための支持面35aを有している。支持面35aは、操作レバー13の基端部及びカム12の一部と同形状に形成されている。ストッパー35は、支持面35aを操作レバー13及びカム12に向けると共に、操作レバー13と反対側の面をケース部14aの内面に密着させるようにして取り付けられている。ケース部14aの中央上部には、上下方向に延びるスライド溝14dが形成されている。スライド溝14dの長さは、カム12の回動により直線移動するカムフォロア30の移動距離に応じて設定されている。
【0040】
図3、図5及び図6に示すように、ストレイナー本体14には、カムフォロア30と共に直線移動するスライダ16が支持されている。スライダ16は、スライダ本体40、スライダガイド41、スライダボルト42、付勢手段としてのスプリング43を備え、これらを一体に組み付けて構成されている。ストレイナー本体14には、スライダ本体40をスライド移動可能に支持するための支持孔14eが設けられている。スライド溝14dは、支持孔14eからケース部14a内の空間に向けて延びている。また、ストレイナー本体14には、スプリング43を収納するための収納穴14fが設けられている。収納穴14fは、上下方向に延びる細穴からなり、ケース部14aと近接する位置に設けられている。
【0041】
スライダ本体40は、略円筒状の第1部40aと、スプリング43を保持する第2部40bとを備えている。カムフォロア30は、スライダ本体40の第1部40aに固定されている。カムフォロア30は、カム12のカム面12eと接する部品であり、円柱状に形成されている。カム12の回動運動は、カムフォロア30を介して、スライダ16の直線運動に変換される。つまり、カム12の回動により、カムフォロア30が固定されたスライダ本体40は、支持孔14e内を上下方向に直線移動する。スプリング43は、ストレイナー本体14の収納穴14fに圧縮された状態で収納されている。圧縮されたスプリング43は、スライダ本体40を図5に示す下方に付勢している。ここで、下方とは、スネアワイヤ4をドラムヘッド3から離間する方向を意味する。
【0042】
スライダ本体40の第1部40aには、両端にねじを有するスライダボルト42が、スライダガイド41を介して下方から挿通されている。スライダ本体40の第1部40aの上端には、弾性部材からなるキャップ50が装着されている。キャップ50の外周には、ねじ穴を有する操作ノブ15が装着されている。操作ノブ15は、スネアワイヤ4の位置をオン位置に切り替えた後、スネアワイヤ4の上下方向の位置を微調整するときに操作される。スライダボルト42の上端は、キャップ50の挿通孔を挿通すると共に、操作ノブ15のねじ穴に螺着されている。スライダボルト42は、操作ノブ15と共に軸線回りに回動可能である。
【0043】
図3及び図8に示すように、スライダ本体40の第1部40aの下端には、ホルダ17が支持されている。ホルダ17は、スライダボルト42に螺合されるクランプホルダ51と、クランプホルダ51と共にスネアワイヤ4を固定するクランプカバー52と、クランプカバー52をクランプホルダ51に固定するための一対のボルト53とから構成されている。クランプホルダ51の下面には、クランプカバー52に向けて突出すると共にねじ孔を有する一対のガイド51aが設けられている。クランプカバー52は、両ガイド51aが挿入される一対のガイド孔52aを有している。各ガイド孔52aに挿入されたボルト53を対応するガイド51aのねじ孔にそれぞれ締め付けることにより、クランプカバー52がクランプホルダ51に固定されて、クランプカバー52及びクランプホルダ51間にスネアワイヤ4が挟持される。また、クランプカバー52には、3本の細い溝52bが刻印されている。細い溝52bは、ホルダ17に対するスネアワイヤ4の幅方向の位置を位置決めするための位置決め手段である。溝52bは、クランプカバー52の中央と、中央の溝52bの両側とにそれぞれ設けられている。
【0044】
クランプホルダ51の中央には、ねじ孔を有する支柱51bが設けられている。支柱51bの断面形状は、正六角形を有している。クランプホルダ51の支柱51bは、スライダボルト42の下端に螺合されると共に、スライダ本体40の第1部40a内に下方から挿入されている。スライダ本体40に対するクランプホルダ51の回動は、第1部40a内に設けられた規制部40cによって規制されている(図6参照)。本実施形態において、規制部40cは、スライダ本体40の第1部40a内に設けられた断面六角形状を有する壁面からなる。つまり、クランプホルダ51は、操作ノブ15の操作に基づくスライダボルト42の回動時に、スライダボルト42と共に回動しないように保持されている。これにより、操作ノブ15を回すと、スライダボルト42は回動するものの、クランプホルダ51は回動しない。このため、クランプホルダ51に対するスライダボルト42の螺合量が変更され、スライダ本体40に対するクランプホルダ51の上下方向に位置が調整される。このように、ストレイナー装置10は、操作ノブ15の操作に基づき、オン位置に配置されたスネアワイヤ4の上下方向の位置を微調整するため位置調整機構を備えている。なお、クランプホルダ51の支柱51bには、スライダ本体40に対するクランプホルダ51の上下方向に位置を示すための目印51cが刻印されている。本実施形態において、クランプホルダ51は、操作ノブ15の操作に基づき上限位置と下限位置との間でスライド移動可能に支持されている。目印51cの位置は、上限位置にクランプホルダ51が配置されているときスライダ本体40内に隠蔽されると共に、下限位置にクランプホルダ51が配置されているときスライダ本体40の下端から所定の距離だけ下方に配置されるように設定されている。
【0045】
図3及び図7に示すように、ストレイナー装置10は、クランプホルダ51に螺合された状態から緩まないようにスライダボルト42を保持するための保持機構を備えている。保持機構は、操作ノブ15の内側に形成された係合部としての第1段差部15aと、キャップ50の上面に形成された被係合部としての第2段差部50aとから構成されている。操作ノブ15の第1段差部15aがキャップ50の第2段差部50aと係合することにより、操作ノブ15の回動が規制されるため、操作ノブ15に螺着されたスライダボルト42の回動も規制される。
【0046】
上記のストレイナー装置10の作用について図4及び図9を参照して説明する。
図9中、曲線Aは、従来のストレイナー装置における操作レバーの操作角度とスネアワイヤの移動距離との関係を示し、直線Bは、本実施形態のストレイナー装置10における操作レバー13の操作角度とスネアワイヤ4の移動距離との関係を示す。
【0047】
上述したように、従来のストレイナー装置の場合、曲線Aに示すように、スネアワイヤをオフ位置から引き上げ始めた直後は、操作レバーの操作角度に対するスネアワイヤの移動距離は比較的大きく、スネアワイヤがオン位置に到達する直前では、操作レバーの操作角度に対するスネアワイヤの移動距離は比較的小さくなっている。つまり、この場合、オフ位置周辺でのスネアワイヤの移動速度は、オン位置周辺でのスネアワイヤの移動速度よりも大きい。これに対し、本実施形態に係るストレイナー装置10によれば、操作レバー13の操作角度に対してスネアワイヤ4の移動距離が線形に変形する。
【0048】
具体的には、図4(a)に示すように、操作レバー13が引き下げられた状態では、スネアワイヤ4がオフ位置に配置されている。このとき、カムフォロア30はスライド溝14dの下端に位置し、カム12のカム面12eの始端Sと接触している。操作レバー13が引き上げられる過程で、カム12は図4(a)に示す時計回りへと回動する。これにより、カムフォロア30はカム面12e上を終端Tに向けて移動しつつ、スライド溝14dの上端に向けて直線移動する。こうして、スネアワイヤ4がオフ位置からオン位置に切り替えられるまでの間、カムフォロア30は、カム12の回動中心を中心とする螺旋に沿って延びるカム面12e上(以下、第1の滑り領域と称す)を滑る。その結果、カムフォロア30はスライド溝14d内を等速直線運動し、スライダ16も支持孔14e内を等速直線運動する。よって、図9に示すように、オフ位置からオン位置に切り替えられるまでの期間、スネアワイヤ4は、従来のストレイナー装置よりも遅い速度で等速直線運動する。即ち、オフ位置からオン位置に切り替えられるまでの期間、スネアワイヤ4の移動距離は、操作レバー13の操作角度等に対して線形に変化する。
【0049】
図4(b)に示すように、操作レバー13が引き上げられると、スネアワイヤ4はオン位置に配置される。このとき、カムフォロア30は、スライド溝14dの上端に位置している。スネアワイヤ4がオン位置に配置されてからも、操作レバー13の操作により、カム12は時計回りに少しだけ回動する。このとき、カムフォロア30は、第1の滑り領域を滑り終えて、カム12の回動中心を中心とする円弧に沿って延びるカム面12e上(以下、第2の滑り領域と称す)を滑る。カムフォロア30は、カム面12eの第2の滑り領域を移動する間、スライド溝14d内を移動せずに、スライド溝14dの上端にて停止し続ける。このとき、カムフォロア30が固定されたスライダ16も移動せずに停止し続ける。つまり、スネアワイヤ4の張力によって操作レバー13が引き下げられることもなく、カム12が反時計回りに回動することもない。よって、スネアワイヤ4は、ドラムヘッド3から離れることなくオン位置に保持される。
【0050】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)カム12は、操作レバー13の操作角度に対してスネアワイヤ4の移動距離が線形に変形するように設計されている。この構成によれば、スネアワイヤ4をオフ位置からオン位置に切り替えるまでの間、スライダ16は、操作レバー13の操作角度に対して等速直線運動する。これにより、スライダ16と共にスライド移動するスネアワイヤ4を、ドラムヘッド3に勢いよく接触させないようにすることができる。よって、スネアワイヤ4がドラムヘッド3に接触するときの接触音を抑えることができる。
(2)カム12は、カム12の回動中心を中心とした螺旋に沿って延びるカム面12eを有している。この構成によれば、螺旋に沿って延びるカム面12e上をカムフォロア30が滑ることにより、カムフォロア30は等速直線運動する。これにより、カムフォロア30が固定されたスライダ16も、操作レバー13の操作角度に対して等速直線運動する。
(3)カム面12eは、操作レバー13を引き下げたときカムフォロア30に接する始端Sと、操作レバー13を引き下げたときカムフォロア30に接する終端Tとを有している。終端T付近では、カム面12eの形状が、カム12の回動中心、即ちボルト23の軸心を中心とした円弧に沿って延びている。一般的なストレイナー装置によれば、オン位置に配置される直前でスネアワイヤがドラムヘッドに最も接近し、オン位置でスネアワイヤがドラムヘッドから少し離れてしまう。このため、スネアワイヤがドラムヘッドに勢いよく接触し易く、ドラムヘッドに接触するときの接触音も大きくなり易い。これに対し、本発明によれば、円弧に沿って延びるカム面12eの終端付近をカムフォロア30が滑ることにより、カムフォロア30は移動しなくなり、カムフォロア30が固定されたスライダ16も移動しなくなる。つまり、スネアワイヤ4の張力によって操作レバー13が戻ることもない。よって、必要以上に、スネアワイヤ4をドラムヘッド3に接近させることもない。従って、スネアワイヤ4がドラムヘッド3に勢いよく接触し難くなり、ドラムヘッド3に接触するときの接触音をより小さくすることができる。
(4)カム12は、引き上げられた操作レバー13の位置を保持するためのロック機構を備えている。この構成によれば、ロック機構により操作レバー13の位置が保持されることによって、スネアワイヤ4をオン位置に確実に保持することができる。このため、演奏中に、誤操作や振動等により、操作レバー13が誤ってオン位置からオフ位置に切り替えられることを防止できる。
(5)ロック機構は、突出部12d内に収納されたロックピン31と、スペーサ20の凹部20aと、ロックピン31を凹部20aに向けて付勢する圧縮コイルばねとから構成されている。この構成によれば、ロックピン31が凹部20aに係合することにより、操作レバー13の位置が保持される。このとき、ロックピン31は、カム12との間に配置された圧縮コイルばね32によって付勢されている。これにより、ロックピン31が凹部20aに嵌め込まれたときに生じる節度感触、即ち、クリック感を高めることができる。よって、演奏者は、操作レバー13を通じてクリック感を感じることにより、スネアワイヤ4がオン位置に配置されたことを認識することができる。
(6)圧縮されたスプリング43は、スネアワイヤ4をドラムヘッド3から離間する方向に付勢している。この構成によれば、スネアワイヤ4が張設される下方のドラムヘッド3を上向きしても、スネアワイヤ4をオフ位置に保持できるため、ストレイナー装置10へのスネアワイヤ4の取り付け作業を容易に行える。また、この場合、スプリング43の付勢力によってスネアワイヤ4がオフ位置に切り替えられるため、その分、カム12の形状を単純化することができ、ひいては、ストレイナー装置10の小型化を実現することもできる。
(7)ストレイナー装置10は、オン位置に配置されたスネアワイヤ4の上下方向の位置を微調整するため位置調整機構を備えている。この構成によれば、スネアワイヤ4の位置をオン位置に切り替えた後、操作ノブ15の操作に基づき、オン位置に配置されたスネアワイヤ4の上下方向の位置を微調整することができる。つまり、ドラムヘッド3に対するスネアワイヤ4の接触圧を調整することができ、スネアワイヤ4による響き音を調整することができる。
(8)ストレイナー装置10は、クランプホルダ51に螺合された状態から緩まないようにスライダボルト42を保持するための保持機構を備えている。この構成によれば、スネアワイヤ4の上下方向の位置が保持されるため、演奏中に、ドラムヘッド3に対するスネアワイヤ4の接触圧が低下することを防止できる。よって、スネアワイヤ4による響き音を良好に保つことができる。
(9)保持機構は、操作ノブ15の内側に形成されたの第1段差部15aと、キャップ50の上面に形成された第2段差部50aとから構成されている。この構成によれば、第1段差部15aと第2段差部50aとが互いに係合することにより、操作ノブ15の操作に基づくスライダボルト42の軸線回りの回動が規制される。これにより、クランプホルダ51に対するスライダボルト42の螺合量が保持されるため、スネアワイヤ4の上下方向の位置を保持することができる。また、弾性部材からなるキャップ50を用いることで、第1段差部15aが第2段差部50aに係合したときに生じる節度感触、即ち、クリック感を高めることができる。よって、演奏者は、操作ノブ15を通じてクリック感を感じることにより、スネアワイヤ4の上下方向の位置が調整されたことを認識することができる。
(10)クランプホルダ51の下面には、クランプカバー52に向けて突出すると共にねじ孔を有する一対のガイド51aが設けられている。この構成によれば、クランプホルダ51にクランプカバー52を組み付ける際、クランプカバー52のガイド孔52aに挿入されたボルト53がクランプホルダ51のガイド51aによって隠蔽されるため、ボルト53にスネアワイヤ4の紐やテープが巻き込まれることを防止できる。
【0051】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、第1及び第2の滑り領域を含むカム面12eから、第2の滑り領域のみを省略してもよい。即ち、カム面12eの始端から終端に至る全ての領域を、カム12の回動中心を中心とする螺旋に沿って延びるように形成してもよい。
【0052】
・本実施形態において、操作レバー13の位置を保持するためのロック機構を省略してもよい。
・本実施形態において、ロック機構を構成するロックピン31と凹部20aとの位置関係を逆にしてもよい。即ち、スペーサ20にロックピンを設け、カム12に凹部を設けてもよい。
【0053】
・本実施形態において、ロック機構から圧縮コイルばねを省略してもよい。
・本実施形態において、スネアワイヤ4の上下方向の位置を微調整するため位置調整機構を省略してもよい。
【0054】
・本実施形態において、クランプホルダ51に螺合された状態から緩まないようにスライダボルト42を保持するための保持機構を省略してもよい。
・本実施形態において、弾性部材からなるキャップ50に代えて、弾性部材からなる操作ノブ15を用いてもよい。また、キャップ50及び操作ノブ15の両方を弾性部材から形成してもよい。
【0055】
・本実施形態において、付勢手段としての圧縮コイルばね32やスプリング43を、板ばね等の弾性部材に変更してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…スネアドラム、2…シェル、3…ドラムヘッド、4…スネアワイヤ、10…ストレイナー装置、11…ベースプレート、12…カム、12e…カム面、13…操作レバー、14…ストレイナー本体、15…操作ノブ、16…スライダ、17…ホルダ、20a…凹部、30…カムフォロア、31…ロックピン、32…圧縮コイルばね(付勢手段)、40…スライダ本体、42…スライダボルト、43…スプリング(付勢手段)、51…クランプホルダ、51a…ガイド、52…クランプカバー、52a…ガイド孔、53…ボルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スネアワイヤの位置をドラムヘッドから離間したオフ位置と前記ドラムヘッドと接するオン位置とに切り替えるスネアドラムのストレイナー装置であって、
前記スネアドラムのシェルに取着されるストレイナー本体と、
前記ストレイナー本体に対しスライド移動可能に支持され、カムフォロアが固定されるスライダと、
前記スライダに設けられ、前記スネアワイヤが固定されるホルダと、
前記スネアワイヤの位置を切り替えるときに操作される操作レバーと、
前記ストレイナー本体に回動可能に支持され、前記カムフォロアと接するカム面を有すると共に、前記操作レバーの操作により回動するカムとを備え、
前記操作レバーを操作して前記カムを回動させ、前記カムフォロアを前記カム面に沿って移動させることにより、前記スライダが前記ストレイナー本体に対しスライド移動するストレイナー装置において、
前記スライダの移動距離は、前記操作レバーの操作角度に対して線形に変化することを特徴とするストレイナー装置。
【請求項2】
請求項1記載のストレイナー装置において、
前記カム面は、前記カムの回動中心を中心とした螺旋に沿って延びていることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のストレイナー装置において、
前記カム面は、前記スネアワイヤの位置がオフ位置に配置されたとき前記スライダに接する始端と、前記スネアワイヤの位置がオン位置に配置されたとき前記スライダに接する終端とを備え、前記カム面の終端付近は、前記カムの回動中心を中心とした円弧に沿って延びていることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のストレイナー装置は、更に、
前記スネアワイヤがオン位置に配置されたとき前記操作レバーの位置を保持するためのロック機構を備えていることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項5】
請求項4記載のストレイナー装置は、更に、
前記ストレイナー本体を前記シェルに固定するためのベースプレートを備え、
前記ロック機構は、前記カムに設けられたロックピンと、前記ベースプレートに設けられ、前記ロックピンが係合される凹部と、前記ロックピンと前記カムとの間に設けられた付勢手段とから構成されていることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のストレイナー装置において、
前記ストレイナー本体と前記スライダとの間に設けられ、前記スネアワイヤが前記ドラムヘッドから離間するように前記スライダを付勢する付勢手段を備えていることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のストレイナー装置は、更に、
前記オン位置に配置されたスネアワイヤの上下方向の位置を調整するための操作ノブを含む位置調整機構と、前記スネアワイヤの上下方向の位置を保持するための保持機構とを備え、前記保持機構は、前記操作ノブ及び前記スライダの一方に設けられた係合部と、前記操作ノブ及び前記スライダの他方に設けられ、前記係合部と係合する被係合部とから構成され、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方が弾性材料からなることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のストレイナー装置は、更に、
前記ホルダは、クランプホルダと、前記クランプホルダとの間に前記スネアワイヤを挟持するクランプカバーを含み、前記クランプホルダは、前記クランプカバーに向けて突出すると共にねじ孔を有する一対のガイドを有し、前記クランプカバーは、前記両ガイドが挿入される一対のガイド孔を有し、前記各ガイド孔に挿入されたボルトを対応するガイドのねじ孔に締め付けることにより、前記クランプホルダに前記クランプカバーが固定されることを特徴とするストレイナー装置。
【請求項9】
円筒状のシェルと、前記シェルの上下の開口端にそれぞれ装着された一対のドラムヘッドと、下方のドラムヘッドの表面に沿って張設されるスネアワイヤと、前記シェルの外周面に取り付けられ、前記スネアワイヤの位置を前記ドラムヘッドから離間したオフ位置と前記ドラムヘッドと接するオン位置とに切り替えるストレイナー装置とを備えたスネアドラムであって、
前記ストレイナー装置は、
前記スネアドラムのシェルに取着されるストレイナー本体と、
前記ストレイナー本体に対しスライド移動可能に支持され、カムフォロアが固定されるスライダと、
前記スライダに設けられ、前記スネアワイヤが固定されるホルダと、
前記スネアワイヤの位置を切り替えるときに操作される操作レバーと、
前記ストレイナー本体に回動可能に支持され、前記カムフォロアと接するカム面を有すると共に、前記操作レバーの操作により回動するカムとを備え、
前記操作レバーを操作して前記カムを回動させ、前記カムフォロアを前記カム面に沿って移動させることにより、前記スライダが前記ストレイナー本体に対しスライド移動するスネアドラムにおいて、
前記スライダの移動距離は、前記操作レバーの操作角度に対して線形に変化することを特徴とするスネアドラム。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−230849(P2010−230849A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76681(P2009−76681)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000195018)星野楽器株式会社 (13)