説明

ストレッチ器具

【課題】首の後部付近を強く圧迫することなくストレッチ運動できるようにして、首、肩、背中、腰などのこりの緩和や予防に効果的なストレッチ器具を提供する。
【解決手段】パイプ状の中間パイプ部2と、この中間パイプ部2の両側からそれぞれ直線的に延びるパイプ状の先端側パイプ部3とを備え、中間パイプ部2は、中央湾曲部2aから斜め前方両側へ開くように曲げられた第1中間パイプ部2bと、この第1中間パイプ部2bの両側先端からそれぞれ斜め後方側へ開くように曲げられた第2中間パイプ部2dを有し、各先端側パイプ部3は、各第2中間パイプ部2dの先端側から直線的に延びており、中間パイプ部2を肩部の上に置くようにして第1中間パイプ部2bの前面側に首部Cの後部両側を接触させ、左右方向に広げた両腕を後方側から各先端側パイプ部3の上部先端側に載せてストレッチ運動を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、首、肩、背中、腰などの筋肉のこり(以下、単に「こり」という)の緩和や予防を行うためのストレッチ器具に関する。
【背景技術】
【0002】
運動不足の人、パソコンなどの作業を長時間する人、車の運転を長時間する人などは、首、肩、背中、腰などにこりが生じ易くなる。これらのこり症状がある人は、日常生活にも影響が生じるので、例えばハリ治療やマッサージなどの専門医に通って治療を受けたりしている。しかしながら、ハリ治療やマッサージなどの専門医に通って治療を受ける場合には、治療費が高いものとなり、また通院のための時間もかかるため、日常生活において時間的な制約も大きくなってしまう。
【0003】
このため、例えば首こりや肩こりなどの緩和や予防をストレッチ運動によって手軽に行うためのストレッチ器具が、従来より提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記特許文献1の器具(健康棒)は、断面が略四角形の棒体の両端側に断面が略楕円形の握り部が形成されており、使用者が棒体の両端側の握り部を握って、例えば握り部を握った両腕を前方へ伸ばした状態で上体を左右や上下等に動かすようにしてストレッチ運動を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−209960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1の器具(健康棒)は、全体が直線状の棒体なので、肩こり等を緩和するためストレッチ運動を行う場合、例えばこの棒体の中央部を首部の後ろに当てた状態で、両端側の握り部を握って上体を左右に回すようにする。
【0007】
この場合、棒体が肩と首の中央部の結ぶ直線上よりも後方側に位置しているので、首(頚椎)の後部は、接している棒体で前方側へ強く押された状態となる。このため、このようなストレッチ運動を行っている間は、首の後部が棒体で前方側へ強く圧迫された状態となるので、首の後部付近に痛みが生じることがある。
【0008】
そこで、本発明は、首の後部付近を強く圧迫することなくストレッチ運動できるようにして、首、肩、背中、腰などのこりの緩和や予防に効果的なストレッチ器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明に係るストレッチ器具は、パイプ状又は円柱状の中間部と、該中間部の両側からそれぞれ直線的に延びるパイプ状又は円柱状の先端部とを備え、前記中間部は、前方側へ湾曲した中央部から斜め前方両側へ開くように曲げられた第1中間部と、該第1中間部の両側先端からそれぞれ斜め後方側へ開くように曲げられた第2中間部を有し、前記各先端部は、前記各第2中間部の先端側から直線的に延びており、前記中間部を肩部の上に置くようにして前記第1中間部の前面側に首部の後部両側近傍を接触させ、左右方向に広げた両腕の先側を後方側から前記各先端部の上部先端側に載せることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るストレッチ器具によれば、ストレッチ運動を行う際には、中間部を肩部の上に置くようにして第1中間部の前面側に首部の後部両側近傍を接触させ、左右方向に広げた両腕の先側を後方側から各先端部の上部先端側に載せることにより、中間部が首部の後部一点に強く接して圧迫することが防止されるので、長時間ストレッチ運動を行っても首の後部両側や後部付近に痛みが生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係るストレッチ器具を示す平面図、(b)は、本実施形態に係るストレッチ器具を示す正面図。
【図2】本実施形態に係るストレッチ器具を首部の後部側の両側に接触させて水平状態に保持した状態を示す正面図。
【図3】(a)は、本実施形態に係るストレッチ器具の先端側パイプ部を接続部で分割した状態を示す図、(b)は、先端側パイプ部の接続部を示す分解拡大図。
【図4】(a),(b)は、本実施形態に係るストレッチ器具を用いたトレッチ運動の一例を示す図。
【図5】(a),(b)は、本実施形態に係るストレッチ器具を用いたトレッチ運動の一例を示す図。
【図6】(a),(b)は、本実施形態に係るストレッチ器具を用いたトレッチ運動の一例を示す図。
【図7】本実施形態に係るストレッチ器具の中間パイプ部に取付けたパット部材を示す斜視図。
【図8】本実施形態の変形例に係るストレッチ器具を示す平面図。
【図9】本実施形態の他の変形例に係るストレッチ器具を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1(a),(b)は、本実施形態に係るストレッチ器具1の外観を示す概略図、図2は、使用者がこのストレッチ器具1を首部の後ろ側の両側に接触させて水平状態に保持した状態を示す正面図である。なお、図1(a)は、このストレッチ器具1の平面図、図1(b)は、このストレッチ器具1の正面図である。
【0013】
図1(a),(b)に示すように、このパイプ状のストレッチ器具1は、中間パイプ部2と、該中間パイプ部2の両側からそれぞれ直線的に延びる先端側パイプ部3とで構成されている。このストレッチ器具1は、例えばステンレス製のパイプ部材で形成されており、直径が2〜3cm程度、全体の長さ(図1(a),(b)の左右方向の長さ)が140〜170cm程度である。
【0014】
中間パイプ部2は、中央湾曲部2aから角度α1で斜め前方両側(図1(a)の斜め下方側)へ開くように曲げられた第1中間パイプ部2bと、第1中間パイプ部2bの両側の各先端部2cから角度α2(=角度α1)で斜め後方側(図1(a)の斜め上方側)へ開くように曲げられた第2中間パイプ部2dとを有している。各先端側パイプ部3は、第2中間パイプ部2dの両側の端部2eから図1(a)の左右方向に対して若干斜め前方側(図1(a)の斜め下方側)を向くように少し曲げられている。
【0015】
前記角度α1(=角度α2)は、90度〜130度程度である。また、図1(b)、図2に示すように、このストレッチ器具1を水平状態にして前方側から見た場合には、一直線状になっている。
【0016】
図1(a),(b),図2に示すように、ストレッチ運動時においてはストレッチ器具1の中間パイプ部2(第1中間パイプ部2b)の前面側(図1(a)の下側)表面の2箇所に、使用者の首部Cの後部両側を接触させる。
【0017】
図3(a)に示すように、各先端側パイプ部3は、その中間パイプ部2側の接続部3aで取外し可能に分割できる。図3(b)に示すように、この接続部3aの一方側(取外される側の先端側パイプ部3a1))3a’の内周面には、雄ネジ部4aが形成されたフランジ4が溶接によって接合されている。また、この接続部3aの他方側(中間パイプ部2側の先端側パイプ部3a2)3a”の内周面には、雌ネジ部5aが形成されたナット5が溶接によって接合されている。
【0018】
そして、取外される側の先端側パイプ部3a1の雄ネジ部4aを、中間パイプ部2側の先端側パイプ部3a2の雌ネジ部5aにねじ込んで締結することで、先端側パイプ部3が接続部3aで一体的に接続される(図1(a)参照)。このように、先端側パイプ部3を接続部3aで分割することによって、ストレッチ器具1の全長を短くできるので、使用しないときは場所を取らずに収納でき、また、持ち運びも容易となる。
【0019】
次に、このストレッチ器具1を用いたストレッチ運動の例を、図4〜図6を参照して説明する。
【0020】
先ず、ストレッチ器具1の中間パイプ部2の第1中間パイプ部2bの前面側表面に、使用者の首部Cの後部両側を接触させる(図2参照)。そして、両腕を左右方向に広げて水平よりも少し上方に上げて、手首付近を先端側パイプ部3の上部先端側に後ろ側から軽く載せるようにする。
【0021】
そして、図2の状態から、例えば、上体を左右方向に回す(捻る)ようなストレッチ運動(図4(a),(b)参照)や、上体を側面上下方向に動かすようなストレッチ運動(図5(a),(b)参照)、更には、上体を少し前に倒して左右方向に回す(捻る)ようなストレッチ運動(図6(a),(b)参照)を行う。
【0022】
このように、ストレッチ器具1を用いて上記したようなストレッチ運動を行う際には、ストレッチ器具1の中間パイプ部2、各先端側パイプ部3が首部Cの両側から両肩の上部上を略直線状に接した状態なので、中間パイプ部2の第1中間パイプ部2bの前面側表面の2箇所に、使用者の首部Cの後部両側が軽く接触する程度である。よって、中間パイプ部2の第1中間パイプ部2bが首部Cの後部一点に強く接して圧迫するようなことはなく、長時間ストレッチ運動を行っても首部の後部両側や後部付近に痛みが生じることはない。
【0023】
また、ストレッチ器具1を用いて上記したようなストレッチ運動を際には、中間パイプ部2の第1中間パイプ部2bの前面側に使用者の首部Cの後部両側が位置することで、ストレッチ器具1の中間パイプ部2、各先端側パイプ部3が首部Cの両側から両肩の上部上を略直線状に接した状態となる。これにより、ストレッチ器具1の中心(中間パイプ部2の中央湾曲部2a)と使用者の体軸とが略一致するので、一体感が増し、心地よくストレッチ運動を行うことができる。
【0024】
よって、肩回り、背中回り、腰回りの筋肉の筋を心地よく伸ばすことができるので、肩こり、腰のこりなどの緩和や予防に効果的である。更に、中間パイプ部2の第1中間パイプ部2bの前面側表面の2箇所に首部の後部両側付近が軽く接触することで、このときの首部への当たりが、こりをほぐすようなマッサージ効果となり、首筋のこりも緩和することができる。
【0025】
また、図7に示すように、中間パイプ部2の第1中間パイプ部2bの前面側に、吸湿性と弾性を有するパット部材6を取付けてもよい。このパット部材6は、樹脂成形によって湾曲した第1中間パイプ部2bの形状に合わせて湾曲形状に形成されており、両側に設けた取付開口部6aを中間パイプ部2に通すことで、第1中間パイプ部2bの前面側に取付けることができる。
【0026】
このようなパット部材6を第1中間パイプ部2bの前面側に取付けることにより、使用者の首部が金属製(ステンレス製)の第1中間パイプ部2bに直接に接することがない。よって、夏場等に使用して首部から汗が出ても吸湿性を有するパット部材6に吸湿されるので、使用者が不快感を感じることなくストレッチ運動を行うことができる。また、冬場等に使用した場合には、金属の冷たさがパット部材6で緩和されるので、使用者が不快感を感じることなくストレッチ運動を行うことができる。
【0027】
なお、パット部材6が汚れたりした場合には、第1中間パイプ部2bから取外して洗うことで、何度でも新品状態で使用することがきる。
【0028】
また、前記実施形態では、ストレッチ器具1の各先端側パイプ部3を、その中間パイプ部2側の接続部3aで取外し可能に分割できるようにした構成であったが、図8に示すように、中間パイプ部2と各先端側パイプ部3を一体形成したストレッチ器具1としてもよい。
【0029】
このように、中間パイプ部2と各先端側パイプ部3を一体形成することにより、製造が容易となり、かつ部品点数も削減されるので、低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、前記実施形態では、各先端側パイプ部3が中間パイプ部2の両側部2cから若干斜め前方側を向くように少し曲げられていたが、図9に示すように、各先端側パイプ部3を、中間パイプ部2の両側部2cから左右方向に直線状に形成してもよい。この場合には、両腕をより左右方向に伸ばす必要があるので、肩から両腕にかけてより負荷をかけた状態でストレッチ運動することができる。
【0031】
なお、前記実施形態では、ストレッチ器具1の中間パイプ部2と先端側パイプ部3をパイプ部材で構成していたが、円柱状の金属部材で同様に形成してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ストレッチ器具
2 中間パイプ部
2b 第1中間パイプ部
2d 第2中間パイプ部
3 先端側パイプ部
4a 雄ネジ部
5a 雌ネジ部
6 パット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状又は円柱状の中間部と、該中間部の両側からそれぞれ直線的に延びるパイプ状又は円柱状の先端部とを備え、
前記中間部は、前方側へ湾曲した中央部から斜め前方両側へ開くように曲げられた第1中間部と、該第1中間部の両側先端からそれぞれ斜め後方側へ開くように曲げられた第2中間部を有し、前記各先端部は、前記各第2中間部の先端側から直線的に延びており、
前記中間部を肩部の上に置くようにして前記第1中間部の前面側に首部の後部両側を接触させ、左右方向に広げた両腕を後方側から前記各先端部の上部先端側に載せることを特徴とするストレッチ器具。
【請求項2】
前記各先端部は、接続部材を介して分割可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のストレッチ器具。
【請求項3】
前記第1中間部の前面側に、吸湿性と弾性を有するパット部材が取外し可能に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のストレッチ器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231909(P2012−231909A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101950(P2011−101950)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(501299392)
【Fターム(参考)】